東南アジア5カ国 バックパック旅 [12/13]

2013/03/16 - 2013/03/16

　「またどこか海外旅行したいなぁ～。」独り言の様に呟いた私の提案に、同級生が乗ってきた。彼は仕事が早くて、仕事の要領も良く、そ れでいて面倒見の良い3拍子揃った珍しい奴だった。高専生は中学を卒業してから5年(専攻科生は7年も)同じ学校に通っている為、外に目を向ける意識が非常に低い。他の学生とも触れ合う機会が少なく、完全に「井の中の蛙大海を知らず状態」にあると言える。しかも理科と算数の得意な人間が自然と集まる為、相対的に語学への関心が薄く、高専5年生ですら高校1年生レベルの英語の授業を受けている。英語の授業は英語のテストの為だけに受講しているので、テストが終わってしまったら構文も単語も全て忘れてしまう。そんな高専に居ながら、彼が私のこの話に乗ってきた事は正に「渡りに船」だった。

　お互いのシンポジウム、学会、バイトの都合をすり合わせ、旅行期間は3月、最後のテストが終わり卒業式までの2週間になった。行き先については格安中華系航空会社の多く就航するアジア、そして私の「陸で国境を超えてみた い」と言う希望を優先して貰い、ベトナム～カンボジア～タイ～マレーシア～シンガポールを陸で移動する事で話が纏まった。

　その後詳細調査を進めていった。カンボジアビザの取得方法、それぞれの国の入国手段等、お互い限られた時間であったが、要領よく旅の大枠を決めていった。卒業に必要なあらゆる成果品、論文、書類を提出し終え、翌2013年3 月5日に我々はホーチミンへ出発した。

エリア シンガポール(シンガポール)

• 旅行の満足度: 4.5
• 観光: 4.5
• ホテル: 4.0
• グルメ: 4.5
• 交通: 4.5

• 同行者: 友人
• 一人あたり費用: 10万円 - 15万円
• 交通手段: 鉄道 タクシー 徒歩 飛行機
• 旅行の手配内容: 個別手配

朝7時に起床しシャワーを浴びる。2畳の部屋に2段ベッドという狭い部屋ながら、ベッドが快適だったお陰でよく眠れた。宿泊プランは朝食付きと言うことだったので、小さなレストランでフルーツとトーストだけというシンプルな朝食を頂いた。

　10時前にホテルを出発した。今日はシンガポールフライヤーという巨大な観覧車に乗り、ホーチミン行きの飛行機が出発する19時30分までにチャンギ国際空港へ向かう。それ以外は何も決めていなかった。

アラブ ストリート 散歩・街歩き

　今日も本当に天気がいい。ホテルの近くにあるスルタンモスクはタマネギ型のドームが美しいモスク。深い青空に映えてとても美しかった。日陰を選んで歩かないと、汗がどんどん吹き出てくるほど今日も暑かった。

サルタン モスク 寺院・教会

　シンガポールは美しいが、シミュレーションゲームで作ったかのような統一的で機能的、ある意味無機質な印象も受ける。いかにして独立から45年でここまでの繁栄を遂げたのだろう。

　有名なラッフルズホテルを右手に見ながら、観覧車のあるマリーナベイ方面へ歩く。

ラッフルズ ホテル シンガポール ホテル

　シンガポールフライヤーはマリーナベイサンズのすぐ隣にある世界最大の観覧車でだ。ホテルから徒歩30分ほどで到着した。さっそく33SGD(約2500円)のチケットを購入して中へ入る。

シンガポール フライヤー アクティビティ・乗り物体験

　シンガポールフライヤーは、商業施設の屋上にあり、商業エリアにはネイルサロンやフードコートなどが入っていた。観覧車本体に辿り着くまでには、観覧車の歴史などを紹介する資料館が続いた。高さは175ｍ、28個の籠がぶら下がる構造で、遠くはインドネシアやマレーシアのボルネオ島まで見えるという。

シンガポール フライヤー アクティビティ・乗り物体験

　客の数は多くなく、乗り込んだゴンドラには我々を含めて8人だった。30分かけて1周を回る間、非常に沢山の写真を撮った。

ガーデンズ バイ ザ ベイ テーマパーク・動物園・水族館・植物園

　横から見るマリーナベイサンズ。

マリーナ ベイ サンズ ホテル

　ガーデンシティ(箱庭都市)と呼ばれるにふさわしい、都会ながらも緑に溢れるシンガポールの都心が楽しめた。

シンガポール フライヤー アクティビティ・乗り物体験

　シンガポール フライヤーからの眺め。マリーナスクエアの高層ビル。

シンガポール フライヤー アクティビティ・乗り物体験

　シンガポール フライヤーからの眺め。マリーナベイサンズカジノとラッフルズプレイス方面。

シンガポール フライヤー アクティビティ・乗り物体験

　絶景に大満足で観覧車を降り、1階のフードコートで昼飯を食べた。注文した中華麺(New Ton Meng)はシーフードラーメンで、日本でも絶対にウケると確信できるほどの絶品だった。

シーフードパラダイス 中華

　早くも本日の予定を消化してしまった我々は、飛行機まで7時間を残しながらチャンギ国際空港へ向かうことにした。空港まではMRTが直接乗り入れており、観覧車近くのPromenade駅から2.1SGDだった。

　30分ほどでチャンギ国際空港へ到着した。チャンギは世界のハブ空港と呼ばれるだけあって、きっと残りの時間我々を楽しませてくれるに違いない。空港は拡張工事が行われていた。

シンガポール チャンギ国際空港 (SIN) 空港

　MRTは第2ターミナル駅へ到着した。ホーチミン行きのJetstarのターミナルは第1ターミナルにあるため、スカイトレインという無人モノレールでターミナル間を移動した。

シンガポール チャンギ国際空港 (SIN) 空港

　出発までまだ6時間あったので、航空券を発券してくれるかどうか不安だったが、恐る恐るカウンターのお姉さんにeチケットを見せてみると、あっさりチケットを発券してくれた。ただし、搭乗するゲートの番号はまだ決まっておらず、空白のままだった。

シンガポール チャンギ国際空港 (SIN) 空港

　イミグレをくぐらなければチャンギの面白さは分からないと言うことで、出国手続きをさっさと済ませ出発エリアへ。一面に敷き詰められたフカフカの絨毯ときらびやかな免税店街、充実のフードコートが広がっていた。更にフロアガイドを読み漁ると、無料ラウンジに、無料映画館に、無料ゲームコーナー…チャンギ国際空港は噂通り旅行者を退屈させない施設が目白押しの空港だった。

シンガポール チャンギ国際空港 (SIN) 空港

　ひとしきり空港施設を見学した。映画館ではボーンレガシーが上映中だった。空港見学で疲れた体を休めるべく、コンセント付きの机＆ふかふかのイスがずらり並ぶ一角に陣取り、そこで無料のインターネット(しかも高速で面倒な登録作業も不要)をしながら時間を潰すことにした。

シンガポール チャンギ国際空港 (SIN) 空港

　一体この国は、この空港の為に幾らの金をかけているのだろう。トイレも綺麗だし、空港の案内表示には日本語表記も完備。

シンガポール チャンギ国際空港 (SIN) 空港

　搭乗開始は19時からだったので、フードコートで早めの晩御飯を食べた。シンガポールは本当に綺麗で機能的な街、物価がもう少し安ければもっと長期滞在出来るのに。

　ホーチミン行きのJetstar便は、19時30分の定刻通りにチャンギ空港を離陸し、淡路島ほどの面積しかないシンガポールの紫色の空を、どんどん高度を上げてゆく。街に灯りがともり始め、宝石箱のように輝いて見えた。またいつかこの国に来よう！

　飛行機は順調に飛び続け、ホーチミン時間20時40分にタンソンニャット国際空港に到着した。

タンソンニャット国際空港 (SGN) 空港

　約2週間ぶりに、出発の地ベトナムへ帰ってきた。入国カードは書いていなかったが、日本への帰国便のeチケットを見せるだけで十分だった。日本から到着した際に乗った路線バスは、既にこの時間は運行を終えていたので、1000円のプリペイドタクシーに乗って街へ向かう。

タンソンニャット国際空港 (SGN) 空港

　宿を決めていなかったので、とりあえずやづやどが集まるファングーラオ通り方面へ向かって貰うことにした。

　土曜の夜で多くのタクシーが道を埋め尽くすホーチミンの幹線道路。バイクの2人乗り、3人乗りは当然のように行われており街は騒々しかった。秩序的なシンガポールとは対照的だ。

　タクシーは安宿の集まるファングーラオ通りに到着した。すぐ近くにあったオリエントホテルに入ってみることにした。ツインルームで25USDと、やや中級ホテルだった。まあ最後の夜なので奮発と言う事でここに決めた。

　ザックを置き、ベトナムドンを手に入れる為に街に出た。雑踏の中で大勢の物売りや飲み屋の客引きが入り乱れ、町並は決して綺麗ではないけれど、人間の活気に満ちていて面白い。両替を完了し、虎のマークの印刷された14000ドン(約80円)のビールで乾杯した。

　明日は深夜25時55分のホーチミン発の便に乗って日本へ帰国する。日中は丸々１日ホーチミン観光が出来そうだった。旅の終わりが近づくに連れ、現実世界に引き戻されていくような気がしてとても寂しかった。