2014/12/19 - 2014/12/19
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Yoheiさん
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□ミャンマー人の温かさに触れて
私はシンガポールの子会社に出向していた。今回の旅行の目的地をミャンマーに決めた理由は、単にシンガポールから近かったというだけではなく、ミャンマー人の温かさに触れたことが決め手だった。私がシンガポールで働き始めてから約5ヶ月間、私の前の席に座っていたのが、ミャンマー人の新入社員の 男の子だった。シンガポールの企業では、最近ミャンマー 人の採用を増やしているそうだ。
彼とは協力して仕事をする機会も多く、時間を共にするに連れて、コミュニケーションも多くなった。彼はどんなときも穏やかで、どんな仕事にも真面目に取り組んでいた。よく日本企業がミャンマーに進出理由の一つとして、ミャンマー人の勤勉さが昔の日本人と似ているというが、本当にその通りだと思った。他の ミャンマー人のスタッフ達も穏やかな性格の人が多く、シンガポール人とのガツガツしたやり合いに疲れた私にとって、彼は癒し系の存在だった。ミャンマーに はきっと、こんな素朴で真面目で暖かい人たちが多いに決まっている!シンガポール生活で疲れた私の心を癒してくれる人や景色があるに違いない!そんな理由 で旅行の目的地をミャンマーに選んだのだった。
□ミャンマーでコーラを飲む!?
ミャンマーについて私が知っている情報といえば、最近まで軍事政権下で半鎖国状態にあった事、それ をアウンサンスーチーさん率いるNLDが民主化のために戦い、それを勝ち取った事、その後急激に経済解放が進み、世界的な飲食店、ブランドが急激に流入し ている事くらいだった。それ故、これまではコカコーラが飲めない数少ない国の一つだった。こうなりゃぜひミャンマーでコカコーラを飲もうじゃないか。
シンガポールからミャンマー の首都ヤンゴンへは、直行便で約3時間。ジェットスターを利用すること にした。12月のミャンマーは乾季の真ん中で、殆ど雨が降らず観光のベストシーズンだという。二泊三日の行程を考えた結果、1日目は遺跡で有名なバガンへ 飛び、パゴダ越しに沈む夕陽の幻想的な撮影に臨む。2日目も朝陽とパゴダの撮影をし、その後ヤンゴンへ戻る。3日目は飛行機の時間までヤンゴン観光をする 予定を立てた。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 4.5
- グルメ
- 4.5
- 交通
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 3万円 - 5万円
- 交通手段
- タクシー 徒歩 飛行機
- 航空会社
- ジェットスター・アジア航空 アジアン・ウィングス
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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□アジア最後のフロンティア、ミャンマーへ!
ヤンゴン行きのジェットスター便は、シンガポールチャンギ国際空港を午前9時10分に出発した。動き出した瞬間強い睡魔に教われ、1時間ほど仮眠して目を覚ました時、窓の外にはまだ滑走路が見えた。滑走路の大渋滞なのか、機長が飛ぶ気が無いのか、結局飛行機は1時間遅れでシンガポールを離陸した。時計の針をシンガポールより1時間30分遅らせ(日本時間-2.5時間)3時間のフライトの末、正午頃にヤンゴン国際空港に到着した。ここで3時間後の国内線に乗り換えで、バガン遺跡のあるニャンウー空港まで飛ぶ予定だ。
アジア最後のフロンティアと呼ばれるミャンマー、最近まで自由の象徴であるコカコーラが飲めなかった国、停電が頻発する国、反政府デモで死者が出る国。これがアフリカの話ならまだ頷ける。しかしアジアに未だにこんな国があるとは・・・。ミャンマー旅行が楽しみのような、ちょっと怖いような、ボーディングブリッジを降りる胸が高鳴った。シンガポール チャンギ国際空港 (SIN) 空港
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□入国審査と両替でのサプライズ
空港の規模は日本の地方空港(女満別空港サイズ)といったところ。空港のあるヤンゴン(旧称ラグーン)はミャンマーの最大都市で、経済の中心である(ちなみに首都はネビドー)。エスカレーターを降りて入国審査の列に並んだ。事前にインターネットで取得したeビザのお陰で、何かを詰問される事も無くスムーズに入国スタンプを貰う事が出来た。もちろんビザ代として追加料金を請求される事もなかった。
入国審査をパスして見えた風景に驚いた。何と柱にデカデカと貼られたコカコーラとペプシの広告。待合スペースにはLGと東芝のテレビ。…あれ、思っていたよりフロンティア感が無いんじゃない?
とりあえず両替と思い、宝くじ販売所のような小さなカウンターがずらりと並ぶ両替所を見て回った。この日のレートは1シンガポールドル(90円)=780チャット。とりあえず200シンガポールドル差し出すと、1000チャット札が156枚差し出された。「さ、札束!!」思わず口がポカンと開いた。「More bigger money??」と尋ねるも、カウンターの若い女性たちは英語が分からないらしく、なぜか封筒に札束を入れ直して手渡してくれた。何かのドッキリかと思う様な札束の山を財布に入れる訳にもゆかず、鞄の奥に大切に収納した。これ本当に使えるんだろうな・・・。ヤンゴン国際空港 (RGN) 空港
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□乗り継ぎ時間を利用して日本人墓地へ
バガン遺跡のあるニャンウー空港行きの飛行機が出発するまで、3時間近く時間があった。空港はFree WiFiが使えて快適だが、せっかくなので外に出る事に。だがヤンゴン中心部へは渋滞が起こると片道1時間以上掛かる事もあると言うので現実的ではない。地球の歩き方を見てみると、空港の近くに第2次世界大戦の日本人戦没者の墓地があると書いてある。空港の外観をカメラに収め、さっそくタクシーを拾って行ってみる事にした。ヤンゴン国際空港 (RGN) 空港
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12月のミャンマーは最も雨の少ない乾期にあたり、旅行するにはもってこいのシーズンだった。シンガポールと同様に日差しが強くて暑いが、カラッとしていて気持ちの良い天気だった。北海道の真夏という印象だ。タクシーは片道10kmの道のりで6000チャット(約700円)。空港近くは結構商業看板の類が多くあり、街中を走る車は殆ど日本の中古車だった。これは「東南アジアあるある」の一つだが、「○○ほいくえん」とか「○○観光」とボディに印字されたバス、「高圧ガス」等のペインティングのあるトラックがそのまま走っている。
ヤンゴン国際空港 (RGN) 空港
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暫く走ると、のどかな田園風景が広がり、久々に視界一杯の緑を見た。シンガポールでの生活で薄汚れた(?)眼球が、清らかな湧き水で洗われたようだった。30分程田舎の風景を走り、真っ白い塀に囲まれた場所に止まった。英語の上手な運転手の兄ちゃんは、ここで待っているから行っておいでと私を降ろしてくれた。車通りも少なく彼が去ってしまうと空港まで戻れなくなる可能性があったので有り難い。
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□ビルマの竪琴の舞台
ミャンマーと言えば日本では「ビルマの竪琴」で有名だが、第二次大戦末期、日本軍はビルマ(ミャンマーの旧称)で連合軍と激しい戦いを繰り広げ、19万人という途方もない数の日本人が亡くなった。遠く見ず知らずの地で、何故これ程の数の人が死ななければならなかったのか、全く理解できない。日本人墓地 史跡・遺跡
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ヤンゴン以外にも、ミャンマー各地に日本人戦没者慰霊碑があるらしく、未だにこうして戦没者を慰霊してくれるミャンマー人の心の広さを感じた。うちのオフィスのミャンマー人たちの心の広さというか、あくせくしない感じも、こういう所から来ているのかな~と感心した。ミャンマーは人口の9割近くが仏教徒の国で、これから行くバガン遺跡は仏教の聖地である。
いくつかのお墓には、まだ煙をあげている線香も見られ、誰かが毎日線香を上げに来ているのかと思うと胸が熱くなる。日本国政府が建立したという一際大きなな慰霊碑には管理人と思しき女性がおり、そっと私に線香を手渡した。それを手向けると、今度はノートに記帳するように勧められた。日付と名前を見ていくと、毎日3~4人の日本人がここを訪れている事が分かった。こんな風に線香の匂いに包まれると、ここがミャンマーである事を忘れてしまいそうになる。
各墓石はきれいに磨かれ、周りの草木や花もよく手入れされていた。ミャンマー人の慈悲深さに感動する。現在の「ヤンゴン」という地名には、「戦いの終わり」という意味があるという。日本人墓地 史跡・遺跡
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□Air Baganで仏教遺跡バガンへ
再びタクシーに乗って空港へ戻る。国内線ターミナルは国際線と比べて驚くほど薄暗く、少し「フロンティアさ」を感じた。バガン遺跡のあるニャンウー空港まで、バガン航空の国内線を利用する。チェックインすると、15時30分出発予定が30分遅れの出発になると説明された。
出発ロビーを見渡すと、周りは結構欧米人が多かった。16字の出発と聞いていたが、16時に近づいても全く飛行機に乗れそうな気配が感じられない。すると16時きっかりに、忘れていたかの様に慌ただしくゲート前にスタッフが現れ、飛行機まで我々を運ぶバスが現れた。どうやらPBBは使わないらしい。ヤンゴン国際空港 (RGN) 空港
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我々を乗せたバスはプロペラ機の前で止まった。ATR-72 500だった。なぜかAsian wingsの機体だったが、両社は提携関係にあると機内誌に書いてあった。人生初めてのプロペラ機搭乗に胸が躍った。72人乗りの飛行機は扉が閉まったと思いきや、焦る様にすぐさま滑走路へ向かい、瞬く間に轟音と共に空へテイクオフ。ワクワクしている時間もない程あっという間の出来事だった。
ヤンゴン国際空港 (RGN) 空港
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乗客は殆どが白人で、ローカルはスタッフぐらいに思えた。値段的にAir baganを格安航空会社かと思っていたら大間違いで、機体が安定すると、飲み物と軽食のサービスがあった。特に焼きプリンが、北海道で食べてきたどの焼きプリンよりも濃厚で、大変美味だった。プロペラ音もそこまで気になるものではなく「Air Bagan恐るべし!」といった感じ。
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1時間弱のフライトの後、ニャンウーの空港に着陸した。出発の遅れのおかげで、窓から見える太陽が大分傾きかけている。早くオールドバガンに行って、パゴダ越しに沈む夕日の幻想的な撮影に移りたい。周りに座っている欧米人たちも窓の外を見つめて興奮している様だった。
シートベルトサインが消灯し、席を立ち上がりかけた。しかし散々騒いでいた欧米人たちの団体が席を立とうとしない。それじゃあ私が先に!と席を立って出口に向かって歩く。前の人に倣って降りようとすると、客室乗務員が「your destination??」と聞いてくる。「何を当たり前な?」と思いつつ「ニャンウー」と答えると、「ここはホーヘー空港で、ニャンウーはもう30分のフライトだ」と言う。「ガーン!」まさか経由便だったなんて・・・。恥を承知で再び元の席に収まり、新しい客を乗せてプロペラ機は再び飛び立った。
30分後、午後6時近くなり、すっかり窓の外は暮れている。赤道直下のシンガポールの場合、年間通して7時に太陽が上り下りすると決まっているのに、ミャンマーの日没は早い。北方へ来た事を実感した。欧米人たちも「あと30分到着が早ければ・・・」とか、「残念だけど明日ね・・・」とか呟いていた。日没の撮影はあきらめて、早朝の日の出の撮影に備えよう。
□日が暮れたバガンで
ニャンウー空港はまるで離島の空港のような規模(奥尻サイズ)だった。バスでターミナルまで護送され、薄暗い平屋のターミナルビルへ。バガン遺跡の玄関空港というだけあって、ターミナル内には観光ガイドのブースが沢山見られたが既に閉まっていた。ただ「バガン入場料」の窓口だけはしっかり開いており、15USD支払う様言われた。ミャンマーでは屈指の観光スポットである「バガン遺跡」故に、政府も維持修繕の為に特別な課税を行っている。富士山の入山料みたいなものか。ニャウンウー空港 (パガン空港) (NYU) 空港
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日も暮れてしまったので、とりあえずホテルに向かうべく誘われるがままにタクシーに乗った。運転手のおじさんは英語が堪能で、明日の日の出の時間と、オールドバガンまでの行き方を教わり、無事ホテルへ送り届けて貰った。
バガンには、空港やホテルがあり観光客の多いニャンウー地区、仏教の聖地でパゴダ(仏塔)遺跡のあるオールドバガン地区、ローカルの住民が住むニューバガン地区に分かれている。バガン観光=オールドバガンのパゴダ巡りであり、京都の寺杜仏閣巡りの様に、観光客は古都散策を楽しむ。私の明日の狙いは、朝もやが立ち込める中、昇ってきた朝日がパゴダに差して作り出す絶妙な陰影、その幻想的な光景を写真に収める事だった。
宿泊したホテルは、おばさんの愛想がとても良く、家族経営なのか、小さな女の子がウェルカムドリンクを持ってきてくれた。「日の出を見るならここからだよ」とか「自転車を借りるならこのレストラン!」とか「明日はタクシーを呼んであげるから荷物を置いていっていいよ!」とか、テキパキな対応で助かった。ヤー キン ター ホテル ホテル
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お腹が減ったので、荷物を置いて外に出た。暗い。歩き方によるとホテルの前はレストラン街と紹介されているのだが、ぽつぽつと観光客向けのレストランがあるのみで、とてもしんみりしている。そのレストランの明かり以外は街灯も無いく、そろそろと観光客が真っ暗な道路を歩く中、バイクや車がクラクションを鳴らしながら走っていた。そしてバガンはこの季節予想以上に寒かった。ロングTシャツと七分丈の綿パンで乗り込んだ私、完全に間違いだった。綿入りを着ている欧米人もいる。日の出なんて見に行ったら風邪を引くかも知れない。
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レストラン街の突き当たりまで来たが、それより先は本当に真っ暗で、踏み出す勇気がなかった。
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良さそうなレストランに入り、ミャンマー風チキンカレーをオーダーした。出てきたカレーはスパイスが効いていてとても美味しかった。トマトソースなのか?酸味と、チキンに振られた胡椒のピリッとした辛さ、その他スパイスが絶妙に絡んでうまい。ご飯はパラッパラのインディカ米で、久々に旨いカレーを食べれて満足だった。ただ油を使い過ぎな感があり、食後は口元が綺麗にコーティングされた。レストランの前には自転車が並べられており、2日分で2000チャットで借りる事が出来た。
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通りのお店に入り「ミャンマービール」というそのままの名前のビールを買いホテルへ戻った。飲んでみると、泡がとってもきめ細かくて、毎日薄味のTiger(シンガポール)やChang(タイ)ビールを飲んでいる私には久々の濃厚な美味しさで感動した。東南アジアのビールの中で一歩リードする旨さだと思う。調べてみるとモンドセレクションを何度も受賞した本格派とか。650mlで百数十円。大量にシンガポールに輸入して毎日飲みたい値段だ。
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