1965年の上野国立博物館で「ツタンカーメン展」を観て黄金のマスクの輝きに魅せられ、53年を経てピラミッドを観に行く。

2018/12/02 - 2018/12/02

生まれてからの記憶で古いものいちばんに遡っていくと4歳のころに行きつきます。一番古いのは4歳の誕生日の記念で登った富士山で、夜中に泊った山小屋で見た自分より低い位置の雲間で光る稲光の光景です。そしてその次がその年の秋に行った上野の国立博物館で開催されていた「ツタンカーメン展」です。かなりの時間並んでガラスケースの前に立った時のマスクの鈍い黄金の輝きは強烈な印象で残っています。その当時は結構エジプトブームだったようで我が家にも古代エジプトの人々の描かれたテーブルがありました。これは手に入れた布を樹脂で固めてテーブルの天板にしたものだったそうです。そして母からツタンカーメンやピラミッドの話を聞かされて、いつかエジプトに行ってみたいと思うようになりました。父が亡くなって遺品の本を整理しているとその当時の展覧会の本が新品の姿で残っていました。その当時の国家事業だったようで、名誉総裁が三笠宮様だったり顧問が佐藤栄作総理大臣だったり読み返すと面白いです。ここまでこぎつけてHIS社の8日間のスタンダードなナイル川3泊クルーズのツアーに申し込みました。申し込みをした後からもいろいろ調べていて、アスワンとルクソールで有名なホテルに行ってディナーなんて食べたいねなんて夢が広がります。HISに問い合わせてみると、離団届にサインをすれば自己責任で夜間外出は出来るということでした。ちなみに九アブツーリズム社はホームページ上にエジプトは一切の夜間外出は禁止になっていました。トラピックス社はホームページには記載がなかったのでメールで問い合わせてみると同じく夜間は外出禁止でした。たぶん他の大手旅行会社も同じなのではないでしょうか。そうなると夢は広がってアスワンの「オールド・カタラクト」にメールしてレストランとバーの情報を送ってもらい、ルクソールの「ウインター・パレス」にも同様の問い合わせをしました。メールは数時間で帰ってきましたので、さすがソフィテル・レジェンド系のホテルです。1週間前に最終案内が来た時点でレストランに予約を入れました。
現金の両替については米ドルはみずほ銀行の両替コーナーが手数料が安くなる特典があるので利用しました。1ドル札が多く必要と思い200ドル分の両替をしたら大金持ちになった気分です。エジプトポンドについては丸の内のエクスチェンジャーという両替所がレートも良さそうなので2万円両替しましたが、ここは細かいお札が無かったのが残念です。ただエジプト旅行後に行くチェコとハンガリーの紙幣を2,000円くらい必要だったので併せて両替しておきました。後は録画しておいたエジプト関係のテレビ番組を片っ端に見直して、図書館とアマゾンの中古本を読み漁りました。地球の歩き方の改訂版が2019年の春まで出版されないのが残念でした。というか系列のPlatシリーズを売るためだと思うのですが…。最後にこれも録画しておいた「007 私を愛したスパイ」のエジプトのシーンを見直して、デビッド・スーシェのポワロ版の「ナイルに死す」と映画版の「ナイル殺人事件」（Death on the Nile）を見直して準備完了です。

エリア カイロ(エジプト)

• 旅行の満足度: 4.5
• 観光: 5.0
• ホテル: 4.5
• グルメ: 5.0
• ショッピング: 4.5
• 交通: 4.0

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 一人あたり費用: 20万円 - 25万円
• 交通手段: 観光バス 船 タクシー 徒歩 飛行機
• 航空会社: エジプト航空
• 旅行の手配内容: ツアー（添乗員同行あり）

昭和40年の9月に母に連れられて上野の国立博物館に行きました。私が4歳でまだ2歳の弟も一緒です。父は会社から合流して「ツタンカーメン展」の見学です。

人生の中で初めて行った展覧会だと思います。長く並んだことと混雑した薄暗い展示室でツタンカーメンの黄金のマスクを見た記憶が残っています。24カラットの鈍い輝きを美しいと思いました。

母からエジプトという国の事やピラミッドの話を聞かせてもらいました。そしていつかピラミッドを見たいと思いました。この当時日本ではエジプトブームだったのも覚えています。我が家にもエジプトの壁画の柄の布を樹脂でコーティングしたテーブルがありました。

父が亡くなった後に蔵書を整理していたら「ツタンカーメン展」のパンフレットが出てきました。この時の展覧会の重要性は後ろの役員の名前を見るとよく分かりました。総裁が三笠宮さまで、顧問が佐藤栄作内閣総理大臣に外務大臣に文部大臣、委員には細川護立さんという細川護熙さんのおじいさんまで名を連ねています。

子供のときにこの仮面を見た印象は強烈でした。その後パリのルーブル美術館やロンドンの大英博物館、サンクトペテルブルグのエルミタージュ美術館などエジプト美術を収蔵したところを数々観てきましたが、これを越えるインパクトはありません。

いつか見たいと言う気持ちは40年後に叶いそうになりましたが、身内の病気だったり、エジプト国内の情勢などで頓挫していましたが53年を経てようやく叶います。

10月に行ったマレーシアの帰国時に見つけました。

ホルスが描かれたエジプト航空の機体です。これに乗って14時間のフライトです。クアラルンプールにいながら心はエジプトに飛んでいます。

11月になって汐留の美術館に行く前に丸の内に立ち寄りました。事前にエジプトポンドを両替するためです。

エクスチェンジャーという両替店です。

ここは扱っている紙幣の種類が信じられないくらい多かったです。いろいろ調べるとレートが空港で両替するより格段に良かったのと、到着時のカイロからアスワンへの便の乗り換えが1時間も無いので両替する時間が無さそうだったためです。

エジプトポンドの両替が出来ました。エジプト帰国後にすぐベルリンからドレスデン経由でプラハとウィーンとブダペストに行くので、チェコのコルナとハンガリーのフォリントもそれぞれ2,000円分ほど両替しておきます。クリスマスマーケットを巡るツアーなので、少しお金を持っていた方が時間の節約になります。（ユーロも使えると思いますが、絵葉書と切手を買うためのお金です。）

エジプトポンドは２人で20,000円分両替しました。ツアーではありますが離団した時などいろいろお金がかかります。

20E￡はムハンマド・アリー・モスクとセソストリス神殿で、10E￡はアッ・リファーイー・モスクとカフラー王の彫像、5E￡はイブン＝トゥールーン・モスクとナイル川とその恵みの表現で、1E￡はありませんが、スルタン・カーイトバーイ・モスクとアブシンベル神殿です。

100E￡はスルタン・ハサン・モスクとスフィンクス。50E￡はありませんが、アブー・ハリバ・モスクとエドフ神殿で、200E￡は博物館に収蔵されている書記座像が描かれています。中国の紙幣の絵柄の土地を訪ね歩いたことがありますがエジプトも楽しみです。

イアン・フレミングの長編小説「007」第9作の「007 私を愛したスパイ」はエジプトも舞台になっています。ストーリーがどうこうでは無く、公開されたのが1977年ですからその当時のエジプトの風景が見たかったのです。この映画がヒットして翌年「ナイル殺人事件」が出来たそうです。

核ミサイルを搭載した英潜水艦「レンジャー」とソ連潜水艦「ポチョムキン」が突如消息を絶ち、調査を命ぜられたボンドはエジプトのカイロへ飛び、そこで同じ目的でソ連が派遣した女スパイのアニヤ・アマソワというKGBの少佐と出会います。

この当時から「ピラミッド音と光のショー」が開催されているのに驚きました。画面左に立つロジャー・ムーアが若いです。昨年お亡くなりになりましたが、89歳だったのですね。

ソヴィエトの女スパイはバーバラ・バックが演じていましたがきれいですね。リンゴ・スターの奥さんだったのを思い出しました。

「ナイルに死す / 名探偵ポワロ」#52 (デビット・スーシェ主演)の1シーンです。
ナイル川のクルーズに出る前のルクソールの「ウインターパレスホテル」です。この姿は今も変わりません。ソフィテルウィンターパレスルクソールホテル(Sofitel Winter Palace Luxor hotel)は1886年にナイル川岸に建設され、100年の歴史を持つ王立庭園に囲まれています。ホテルからはナイル川と西岸のネクロポリスを一望出来るそうです。

今回はこのホテルの「1886 RESTAURANT」に何度か問い合わせを入れて出発前に予約を入れました。食後は「VICTORIAN LOUNGE」でカクテルでも飲みたいものです。

こんな風景は現在も変わらないのでしょうか。

そしてクルーズが始まります。現在もこんな外輪船が運航しているのでしょうか。今回のクルーズ船は「ナイル・スタイル号」という安いカテゴリーの船のようです。

そして「ナイル殺人事件」の映画です。今回のエジプト旅行では買い物にはまったくウエイトを置いていないので大丈夫だと思いますが、妻に高いものを買われたらこんな気持ちになるかもしれません。（この感はエドフの水門を通過するときに現実になりました。）

こちらはまだ登頂が出来た頃の話です。実際に登頂が禁止になったのは1983年らしいので、撮影された1978年当時も登って大丈夫だったのでしょう。

こんな所に立ってみたい気持ちはありますが、現在の観光客の量を考えたら無謀でしょうね。出発の数日前に男女が無許可で頭頂して裸で抱き合って逮捕された話をニュースで知りました。

エルキュール・ポアロはピーター・ユスティノフが演じていました。

場面は変わってアスワンの「オールドカタラクトホテル」です。このホテルは1899年に英国人のトーマス・クックによって建築されました。トーマス・クックは1841年に世界で最初の旅行会社を設立した人物で、現在もヨーロッパの列車の時刻表の名前が残っています。

オールドカタラクトはアガサ・クリスティーも滞在して「ナイル殺人事件」の執筆をしています。1201号室がアガサ・クリスティー・ルームとして残されています。

このホテルには日暮れ前に行ってナイル川に沈む夕日を見て「1902 RESTAURANT」に予約を入れてあります。後は「THE BAR」で1杯飲んで…。

アスワンとルクソールに行きながら有名なホテルに泊まれないのは残念ですが、今回は安いツアーですからね。同行の方の迷惑にならないように行動しないと殺人事件が起こるかもしれません。

リネットの弁護士役のジョージ・ケネディーもレイス大佐役のデヴィッド・ニーヴンも亡くなっています。リネットのメイドがジェーン・バーキン、スカイラーの付き添いがマギー・スミスです。彼女はハリー・ポッターのミネルバ・マクゴナガル先生といった方が分かり易いですね。

アスワンからルクソールへのクルーズは今回の我々と同じルートです。こんなところに行けるのかと思うとワクワクしてきます。

エドフ神殿へラクダに乗って移動する場面です。現在は神殿との間には町が出来て、遺跡へは馬車で行きますが1977年当時の風景を見ることが出来て興味深いです。

ファラオを守護するアメン神の分身である牡山羊の頭部のスフィンクスだと分かるのでここがルクソールのカルナック神殿だと分かります。

ロザリー・オッタボーン役のオリビア・ハッセーが可愛らしいです。布施明と結婚した時は驚きました。芸能人ネタでは人生最大のショックだった記憶があります。

レイス大佐のデヴィッド・ニーヴンもポアロも白い麻のスーツがかっこいいです。この当時はこんなスーツをダース単位で持って旅行していたのでしょうね。

そして有名な岩が落下してくるシーンです。

この続きはエジプトで見てくることにします。