旧平櫛田中邸を訪れる〈木のシンギュラリティ♯2〉

2017/12/03 - 2017/12/03

この旅行記を作成するにあたり、まずエリアをどうしようか迷いました。
何故なら、同じ町内に在る「パティシエ イナムラショウゾウ」は上野・御徒町に属するのに、「上野桜木あたり」は谷根千だからです。番地にしても上野桜木2丁目15と19でメチャ近なのに・・。で、PHOの書こうとしてる「旧平櫛田中邸」は2丁目20です。
嘘です、迷ってません。何故なら「パティシエ イナムラショウゾウ」より南で上野寄りを通っている言問通りが谷根千に属しているのを知っているからです。と言うか住所の名前には上野と入っていますが、上野桜木、特に2丁目は間違い無く谷中の延長です。地元に住んでるPHOが言うのですから間違い有りません。
って、前振りが長くなりましたが、PHOが平櫛田中という存在を知ったのは昭和40年の4月です。入学した小学校の玄関に田中の「いまやらねばいつできる　わしがやらねばたれがやる」と書かれた直筆の額が飾られていたからです。昭和40年は田中が藝大の名誉教授になった年でした。「たれ」が面白くて、同級生と盛り上がってた記憶が有ります。
が、近所に住んでいたとは聞いていましたが、何処だかなんて考えた事も無くン十年。
今回アルバイトでクラブ〇ーリズムの「×の友」を配達している最中、地域の掲示板に貼られたポスターでそのイベントを知り、公開期間の最終日に訪れる事が出来ました。
シンギュラリティと言う聞き慣れない言葉は、英語でブラックホールの中心である「特異点」を意味します。
イベントの詳しい事は、東京藝術大学彫刻科のwebサイトをご覧ください。
http://geidaichoukoku.com/archives/category/sculpture（2017は＃2）
http://geidaichoukoku.com/archives/2563（2016)

エリア 谷根千(東京)

クラブ○ーリズムのパンフレットを配達中、何と旧平櫛田中邸公開の貼り紙を発見。それが12月2日の土曜日でした。貼り紙の案内によれば、公開は3日で終わり。それなら明日の最終日、朝一に行ってみようと決めました。一応場所だけ確認しに、ちょっと寄り道しちゃいました。番地で大体の位置は判りますが、半世紀余りこの地に暮らしながら、気が付かない場所でしたから

この路地の突き当たりでした。此処じゃ判んないです。そもそもこの路地の前を通る道路も上野桜木の中で最も寛永寺墓地寄りで、お住まいの方以外は殆ど通らない静かな場所です

普段はこの門も閉まってるのでしょう

受付で名前を書いて、今日最初の訪問者になりました。其処でいただいたパンフレット

順路などは示されていませんが、左へ進むと早速不思議な作品発見。
《山海経 そう魚》楊 運至秦(至偏に秦で一文字)

と同時に懐かしい「流し(洗面台などとは呼ばない)」に感激

アトリエだったと思われる部屋。
今回は木のシンギュラリティと言うイベントなので、お宅に関する説明は一切有りません。
此処にも作品が展示されています

ケースの中は空っぽ。それ自体が何かを表現してるとか‥。
《またたき、フローズン…いや、催眠術士の》吉野 俊太郎

一《遠いモデル(雲のような)》北山 翔一

二《近い星(触れるように)》北山 翔一

アトリエの奥から

《なごり》荒木 秀造
PHOは血管と思いました

アトリエから板の間を挟んで和室

この部屋が一番門に近いところで、右手の窓は新しいアルミサッシでした

和室から見た門から玄関までの小さな庭

この部屋には畳の上に直接幾つかの作品が置かれていましたが、それらは全て1人の作者による1つの作品でした。
《星座になれなかった星屑》山本 桂輔

ゴミ箱の周りに散らかる紙屑、では有りません

一つ一つがPHOには蛙に見えました

これも作品

箪笥。小さい頃ウチにも在りましたね、こういうの。
階段の下2段は部屋のスペースに置かれてて、可動式。何故そんな？

その階段を2階に上がって

逆光だったせいも有り、いきなりギョッとさせられた作品。《明月を追う》成田 麻美子。
PHO的には、これが一番判りやすくて好きです

その部屋の奥に《また、あした》川口 佳緒里

「左腕に抱いているのは、悲しみと痛みをよく知っている、ねずみくんです。」

作者のコメント「満たされない限り、原動力は尽きません。「渇き」を忘れずに生きていたい。」

かもいの上にちょこんと載ってるのも作品で、主に階段の途中や上に5つ。全部目にした記憶は有るけど、アップで写真に残っていないのは、それが
《普通》ユ ソラ だから

すぐ裏が墓地です

外壁がトタンでした

ちょっと見はL字型(実際は算用数字の3っぽい形に繋がってる)に建っていて、小さいながら庭も在りますが、やはり隣は迫ってます

一旦階段を下りて、受付横の別棟の階段を上がったところは少し新しめで床の間も在る客間のような部屋

此処には3人の作品が展示されています

《文明の貢物》胡 門堯(門の中には文が入ります)
「中国明朝の航海じだ、鄭和船隊は遠征の際にインドからキリンを貢物として皇帝・明成祖に献上するために持ち帰った。」事に由来して

角が鹿のようなのは「今回の新作では鹿とキリンをモチーフにし」てるから

畳の敷かれた床の間には《さらば、わが愛》張 龍

とってもオシャレな部屋でした

障子の向こうに廊下、ガラス窓って昔のおウチによく在る造りでしたよね

一《知らず、生まれ死ぬる人、いづかたより来たりて、いづかたへ去る。》
二《我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか》高山 瑞

階段の上がり口は3畳間で押し入れも在りました。その中に《猫かぶり》猪俣 友莉

「誰だって他の誰かに良い印象をもってもらいたくて自分を演じている気がする。」って言う彼女が受付に座っていた女の子でした

誰っ！
奥の板の間に《リトル・ボーイ》澤井 恭平

きもカワイイ宇宙人のような「幸せを振りまく少年の純粋で残酷な衝動は静かにその心を揺さぶっていく。」のだそうです

押し入れの隣が両開きの襖戸の在る収納スペース。続いて何故か外が見える窓とも収納スペースとも言えない不思議な空間。
一《遠い部屋》野村 絵梨

ねっ、外が見えるでしょ

一番窓際に上半分だけの収納スペース。
二《殉教》野村 絵梨

廊下へと繋がっていて、襖戸の在る。う～ん、この2階の構造、ちょっと珍しい感じ

この階段の途中にも《普通》ユ ソラ

まだ見ていなかった1階の受付(玄関)右手に《窺い知れぬビーちゃん》稲垣 慎

窓側の部屋にレインボーカラーの3つの作品

一《カロリー・ひだまり》丸山 太郎

二《カロリー・クリーム》丸山 太郎

別の角度から見ると見えて来るモノも

三《カロリー・タキオン》丸山 太郎

4作品を一度に見て、平櫛田中宅を辞します。1度に新旧2つ楽しめました

PHOが子供の頃は、こういう家が普通でした(とは言え、坂の下の谷中は門や庭などは無く、いきなり玄関が路地に面してましたけど)。残ってるのは稀少価値

寛永寺墓地入口の桜並木。
町会(子供会)の餅搗きが行われてました。
言問通りへ出られます

パティシエ イナムラショウゾウの店。
開店前なので、並ぶ人もまだ居ません。

ご覧いただき、ありがとうございましたm(_ _)m

この旅行記へのコメント （2）

• ちちぼーさん 2017/12/21 17:40:42

  探し上手

  PHOさん、こんにちは。
  本当にイベント見つけてくるの上手ですよね。
  私は、なかなか見つけられないくせに
  せっかく列車の広告見て家に帰ったら申し込もうと思っていたもの
  申し込んだことがないかも。
  
  旧平櫛田中邸、こんな建物が残っていて見学できるのってうれしいですよね。
  年々味のある建物は再建築されているので、
  ずっと残ってほしいです。
  芸大彫刻科の木彫展は2005年からこちらでやっているのですね。
  機会があったら、見て見たいです。
  
  ちちぼー

  PHOPHOCHANGさん からの返信 2017/12/21 21:36:32

  Re: 探し上手

  ありがとうございます。
  確かに色々見つけます。でも、それって貧乏性が故だと思います。なるべくお金をかけずに遊びたいので、今回はたまたま配達中の掲示板でしたけど、駅の歳時記ポスターやら、新聞記事やら、ネット以外のソースもスーパーの特売と同じ感覚でチェックしたり。でも忘れちゃうのも多いです。いっぱい抱えて、そのうちの1個が残る的な？？
  
  次はぜひ♪