2008/01/12 - 2008/01/12
151位(同エリア323件中)
ぬいぬいさん
朝香宮家は久邇宮朝彦親王の第8王子鳩彦王が1906年(明治39年)に創立した宮家で、1910年(明治43)に明治天皇第8皇女允子内親王とご結婚され、大正10年(1921)ここ白金台の御料地1万坪を下賜されました。
このアールデコの館をつくるきっかけになったのは、陸軍大学校勤務中のフランス留学時代、パリ郊外で交通事故に遭い、長期の滞在を余儀なくされました。当時フランスは アール・デコ博覧会後の影響で、アール・デコの全盛期で、朝香宮夫妻は大いに影響され、帰国後、1929年(昭和4年)より白金台の敷地に新邸建設の計画をすすめられ、アール・デコの粋を集めた、この朝香宮邸が1933年(昭和8年)5月に竣工しました。
現在は、東京都庭園美術館として利用されており、建物内部は通常撮影禁止なのですが、年に数回、建物の特別公開が行なわれ、そのときだけ撮影OKになります。今回1月12,13,14日の3日間だけの特別公開さっそく見てきました。
これってアールデコ好きな方、近代建築がお好きな方には絶対お勧めです。
入館料は500円 開館時間は10時〜6時まで
- 交通手段
- 徒歩
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我が家から一番近い近代建築である、朝香宮邸、年に数回訪れますが、心置きなく写真が撮れる特別公開の日に来るのは初めて。
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まずはシーサーがお出迎え。こちらは鞠を足元に置いた阿
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こちらは子供を従えた吽
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玄関を入って正面にあるこの硝子レリーフ
フランスのガラス工芸家ルネ・ラリックの作品です。 -
朝香宮邸は建築物としての価値と付帯する仕上げ材、照明器具や装飾品の美術的な価値の2つを楽しめる、希少な建物です。
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香水塔はアンリ・ラパンのデザイン、セーブル窯で作られた香水塔。セーブル窯は「幻の磁器」とも言われ、国立窯として生産量は限定され、そのほとんどはフランス国家のオフィシャルギフトとされています。
朝香宮邸の当時は、この陶器に香水をかけ香りを漂わせたそうです。 -
玄関脇につながっているこの部屋 簡単な来客用の接見用の小部屋のようです。
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この中央階段は、1階大広間から2階の広間へ通じ、朝香宮邸時代はパブリック・スペースからプライベート・スペースへの階段でした。
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南側に面したテラスを控え、朝香宮邸のなかでも最もアール・デコの粋が集められているのが、この大客室と次に続く大食堂です。
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この建物の中の隠れた見所は、各部屋に設置されたヒーターのラジエーターカバーのデザイン。これだけ見ても各部屋でデザインが異なり見応えあります。
こちらは大広間のラジエーターカバー -
もうひとつの見所が、天井から下がる照明器具。これも各室全く違ったデザインのもをつけていて、これを見ているだけでも1時間は楽しめます。照明器具ではこのルネ・ラリックのシャンデリアが一番で、大食堂にはこのシャンデリアが2基ぶら下がっています。
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銀引きフロスト仕上げのエッチング・ガラスを嵌めこんだ扉は、幾何学的にデザインされた花がモチーフなっているようです。
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暖炉の上の壁画はアンリ・ラパンの作で、赤いパーゴラと泉が油絵で描かれています。オレンジ色の大理石の柱や暖炉とすごくマッチしています。
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ほとんどがペンダント式の照明器具の中にあって、唯一直付けの照明かと思ったら、これも吊り下げられていました。
硝子の模様よく見ると、無数のパイナップルとざくろの実がデザインされています。 -
大食堂は隣の大客室とはエッチング・ガラスの引き戸で仕切られています。壁面はブランショによるもので、プラスターの植物文様のレリーフに銀灰色の塗装が施され、品格を保ちながらも大胆な力強い印象を感じさせます。
この扉のエッチングと壁の模様は見応えありました。 -
南面に庭園を望み、大きく円形に張出した窓は開放的な独特の空間を形成しています。
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2階の西側奥にあった、すごく質素な仕上げの部屋
この部屋だけは別物のように質素な感じでした。 -
奥の階段に付けられた明り取りの丸窓。外部にも事務所部分の入り口脇に同じような幾何学模様のはいった丸窓がありました。
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これは1階の一番奥の新館に繋がる手前の照明
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西側の奥にあるサブの階段 こちらはシンプルなつくりです。
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階段室の窓のクレセントは重厚なボリュームあるデザイン
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こちらは2階の姫宮寝室前のホールの照明
カラフルな金平糖のような照明器具。私のここのお気に入りにひとつです。 -
2階の中央の廊下
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姫宮の居間は未公開なのか入り口から覗き込む程度しかできませんでした。
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2階のベランダも3階のウインタールーム同様、市松模様となっています
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2階のテラスの天井の照明
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水周りは洗面所・トイレ・バスタブがセットされた3点式になっています。
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他の部屋と比べると水周りは意外にシンプルにまとめられています
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足元の四角いラジエーターカバー以外にも寝室にはもうひとつ上部に丸いラジエーターカバーが付いています。
モチーフに描かれている花は同じもののようです。 -
2階にある殿下の書斎 狭い部屋ですが使い勝手のよさそうな部屋 こんな書斎が欲しいですね。
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妃殿下の寝室のラジエーターカバー これは自らデザインされたものだそうです。
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この照明もいいですね。
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こちらは2階の殿下の居
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首が痛くなるほど各部屋の照明ばかり見上げてしまいます。各部屋ともに趣向を凝らした照明が付けられています。
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魚のデザインのラジエーターカバー
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妃殿下の居間の照明
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真下から見上げるとこんな感じ
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妃殿下の居間の全景
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3階に突き出る形でのっているウィンターガーデンは、他の室内とは異なり、漆喰と石材、金属とガラスが多用されています。
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床と壁の一部は黒と白の千鳥格子の石貼りになっていて、チェス盤の上にいるような気持ちになります。
設計は宮内省内匠寮が行いました。 -
硝子で囲まれたサンルームのような状態のため、この時期結露はすごい状態です。
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2回のホールの脇にあるこの部屋 何の部屋か見落としてしまいましたがホールに面した嵌め殺しの窓から入ってくる柔らかな灯りでなかな着心地のよさそうな部屋でした。
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普段ここは東京と庭園美術館として企画展が開催され美術品の裏側に、美術品と比較してもひけを取らないほどの装飾が隠れていたなんて・・・
もったいない -
2階のホールにはピアノが置かれ、ご家族のくつろぎの場となっていました。
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2階ホールの天井照明は、ここで一番大きなものです。
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朝香宮ご夫妻の写真 殿下はなかなかの男前ですが、妃殿下は・・・。
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こちらは妃殿下が愛用したオルゴール 期間中1日3,4回音色を聞かせてくれます。
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ホール照明柱、天井照明と手摺壁の部分はアール・デコ特有の幾何学的花模様で統一されています。
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古い洋館好きの私が、建物に入って真っ先に見るのは階段部分。私の私見では階段がその家の価値を決めていると考えます。その観点から見ると、朝香宮邸は最高です。
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階段手摺の嵌めこみ金物はブロンズ製銀イブシ彫刻仕上げになっています。
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照明はシンプルながら根元の漆喰の装飾が素晴らしい
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階段は外国製大理石を用い、手摺のデザインはアール・デコの特徴であるジグザグ模様が協調されています。
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大広間の壁面にはご覧のような大理石のレリーフが。これは、彫刻家レオン・ブランショ作の「戯れる子供たち」
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大正ロマンを感じさせるアールデコの館には、着物姿が良く似合います。
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殿下の居間の壁付け照明
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柱の上部に施された装飾も凝っています。
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ルネ・ラリック作品である来訪者を出迎えるかのように翼を広げる有翼の女神レリーフは、型押ガラス製法で作られています。
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横から見るとこんなに立体感があります。
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庭園側に回って南側の外観はこんな感じです。
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これが東側奥の事務所部分についている丸窓。
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1階テラスは大食堂から開放すれば庭園まで出られるようになっていて手摺はありません。
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この朝香宮邸は、ご覧いただいたように宮内省とフランスのアンリ・ラパン、ルネ・ラリックたちのコラボレーションによってつくられアールデコ「幻の館」ですが、陸軍大将まで昇りつめた朝香宮殿下も戦後皇室離脱し一代だけの宮家は終焉し、昭和22年の皇籍離脱後は、朝香宮邸を外務省に貸し出し、自身は熱海の別荘に隠棲してゴルフ三昧の日々を送ったそうです。
戦後は米軍の接収を免れ吉田首相の公邸として借り上げられ、1950年に西武鉄道の所有となり、1955年から赤坂迎賓館が完成するまでの19年間、国の迎賓館として各国国賓の方々を迎え入れました。その後は「白金プリンス迎賓館」として結婚式、宴会などいろいろな催事に使われますが、都に移管され1983年(昭和58年)「東京都庭園美術館」として一般に公開されることになりました。
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この旅行記へのコメント (6)
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- まゆままさん 2008/01/17 16:36:47
- アールデコの館
- ぬいぬいさん、こんにちは。
東京都庭園美術館、十数年前に東京の美術館巡りをした時に
一度訪れましたが入り口のラリックのガラスのレリーフだけが印象に残っていて後は忘れていました。
またこちらの旅行記で拝見できてよかったです。
階段のジグザグの手摺がとても特徴があって豪華ですね〜
照明もひとつひとつが興味深いです
館中、私の好きな装飾文様がちりばめられていてとても興味をそそります〜
また訪れてみたい場所です。
奈良女子大学記念館の内部も見せていただきました〜
天井の梁が特徴的で美しいホールですね。
奈良基督教会、ライトアップされてますね〜
夜の雰囲気はまた違いますね、ここでコンサートがあったんですね。
- ぬいぬいさん からの返信 2008/01/17 23:27:00
- RE: アールデコの館
- まゆままさん こんばんは
朝香宮邸 ここはいいですよ
我が家から2番目に近い近代建築 アールデコ好きにはたまらないですね。
普段は美術館のため、内部は一切撮影禁止なのですが、年に数回建物だけを公開することがあるようで、今回べるつくさんの情報でじっくりと見てきました。
いつもは美術品の隠れて見えないところが、今回は写真もOKで大満足でした。
ちなみに一番近いのは島津公爵邸 これはコンドルの作品。
こっちもいいですよ。
http://4travel.jp/traveler/nuinui/album/10146639/
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- べるつくさん 2008/01/15 12:59:37
- 私も昨日いってきました
- アールデコの館、いらっしゃったんですね。
私もこのぬいぬいさんのおすすめというコメントに押されて、昨日行ってきました。
最終日の午後のためかおおにぎわいで、階段とか人の途切れるタイミングがない状態でした。ぬいぬいさんの写真だとあまり人が写っていないようですが、すいていましたか?
建築系というよりは美術系の人が多かったように感じました。
品川から目黒まで歩いたのですが、たいしたことないと思っていたら今日ちょっと足が痛いです・・・
- ぬいぬいさん からの返信 2008/01/16 08:57:28
- RE: 私も昨日いってきました
- べるつくさん おはようございます
朝香宮邸いかれましたか。
私が行ったのは初日の3時過ぎでしたが、ちょうどバスツアーの一行とぶつかってしまい、写真を撮るのにしばらく人が切れるのを待つのがしばしばありました。
ちょうどオルゴールのデモンストレーションが始まって、関心がそちらに集中した時、今がチャンスと撮りまくったため、あとで整理するのにわからなくなって、ちょっと苦労しました。
家が近所のため何度も訪れている場所ですが、今回は余計な展示物もなく(私から見れば)新たな発見がたくさんあって、私的にはかなり満足しました。
学習院のピラミッド校舎もなかなかのものでした。
-
- naniwa ladyさん 2008/01/15 08:34:39
- おはようございまーーす。8(*^o^*)8サザエ
- 朝香宮邸、見せていただきました。
素敵ですねぇ。。。アールデコ調ですかぁ・・近代建築もアールデコのことも全然詳しくないですが、すてきなインテリアで、いい雰囲気ですね。
いろんな、ほんのりとした灯り、素敵です。
- ぬいぬいさん からの返信 2008/01/16 08:51:24
- おはようございます
- naniwa ladyさん おはようございます
アールデコの朝香宮邸 私の家から2番目に近い公開している洋館です。
普段は東京都庭園美術館として見術品を展示しているところですが、年に数回だけ建物だけを公開していまして、そのときだけ内部撮影が可能になっているため、今回はじめて特別公開に行ってきました。
パリで開催されたアールデコ博覧会を見て、感銘を受けてつくった建物ですが、さすが宮家 宮内省とアールデコ博に関わったスタッフの協力を得て本物の「アールデコの館」を実現させました。
私はもともと、博物館や美術館に行っても展示物よりも、建物に目が行ってしまう、他の人から見ると変な来場者なのですが、今回は心置きなく建物を眺めて来ました。
朝香宮邸 魅力的な建物でした。
話は変わりますが、昨年クリスマスnaniwa ladyさんのお膝元 奈良に行ってきました。
奈良と言っても時間の関係で、郊外には行けず、予定外の法隆寺と奈良駅周辺の散策でしたが、奈良もいい所ですね。
なにぶん中学校の修学旅行以来の奈良 化石のような古い記憶しかなく、初めて訪れたような新鮮さをもって、楽しく散策してきました。
また、近々、今度は夫婦でのんびりと旅したいと思います。
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