2009/05/05 - 2009/05/05
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ぬいぬいさん
上野の山は歴史的建造物の宝庫、中でも国際こども図書館(旧帝国図書館)はルネサンス様式を取り入れた明治の洋風建築の代表作のひとつで、久留正道の設計により、1908年に鉄骨補強煉瓦造の第一期工事、1929年に鉄筋コンクリート造の第二期の二次にわたって建設されました。
その後、国際子ども図書館に転用されるにあたり安藤忠雄建築研究所と日建設計により設計、鴻池組の施工により改修が行われ、2002年に完成し開館となりました。
改修におけるテーマは、歴史的建造物の保存と再生、現代の施設としての活用が掲げられ、外装、内装は旧態を残すよう極力保全するとともに、徹底的に補修、復元を施し、シャンデリアなどの照明器具は古写真もとに模造復元されました。
現代の施設としての機能の向上は、床の底上げによる空調ダクトや照明ケーブルなどを配管通線、耐震補強や地下の免震構造等、現在の建築基準に適うよう改修されました。
また、機能向上の一環として建物の一部をガラスのカーテンウォールで覆い、階段やエレベーター、ラウンジを新設し空調機能を充実させ、従来の明治の洋風建築の外観を残しつつ、安藤忠雄の得意とするRC打ち放しとカーテンウォールの近代的な外観を加味した建物を作り上げました。
この改修は高い評価を受け、第35回BCS賞、第15回BELCA賞を受賞しました。
今日はこどもの日とあって、休日開放されていて、歴史的建造物と安藤忠雄のコラボをじっくり堪能してきました。
- 交通手段
- 徒歩
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上野にある国際子ども図書館の建物は、明治39年に帝国図書館として建築されました。
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その後、昭和4年に増築され現在の建物の元となる明治期のルネサンス様式の姿になっています。
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戦後は、国立図書館に名称が変わり、昭和23年に国立国会図書館が創設されてからは、その支部図書館となり、平成10年まで上野図書館の施設として使用されてきました。
国立国会図書館 美術館・博物館
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現在の国際子ども図書館に転用されるにあたり、歴史的建造物と安藤忠雄のコラボが実現し、鴻池組の施工により改修が行われ、2002年に完成し開館となりました。
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古き良き明治のルネッサンス様式を継承しながら、近代的な設備を加え、併せて耐震性の向上等を図り、国際子ども図書館として蘇りました。
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ここに来るたびにまず魅入ってしまうのはこの階段
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中央が吹き抜けになった回り階段なのですが、キャンティで支えがありません。
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装飾された手するの内側には、保護のためかガラスが回されています。
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丈の高い大型のドアの更に上は半円アーチの欄間が付いています。
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裏側の改修の際に増築されたラウンジ部分、既存の外壁をそのまま残してカーテンウォールにより開放感を出しています。
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サッシは木製のようで、ガラスのゆがみを見ると建築当初のままのようです。
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この空間いいですね。
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ここでは外壁部分の旧態を間近に見ることができます。
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仕事柄、異種構造の建物のジョイント部分を見ると、雨じまいを気にしてしまいますね。
雨漏り大丈夫のようです。 -
3階の普通閲覧室の東側の壁にはご覧のような漆喰仕上のオーダーが並んでいます。
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もともと創建当初の漆喰内装はほとんどそのまま残っていたようですが、度重なる改修で、何層にもペンキが塗られていて手作業で剥がしてから新たに表面を漆喰できれいに仕上たそうです。
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これだけ手の込んだ装飾を復元するのは、かなりの高度な技術を要するんでしょうね。
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どこを見ても素晴らしいの言葉につきます。
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3階のメディアふれあいコーナーの西側はガラスのサンルームがあって。ここから外観の装飾を身近に見ることができます。
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下から見上げると良くわかりませんでしたが、かなり精巧な装飾が施されています。
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窓周りの装飾すごいですね。
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何を表現しているのか良くわかりませんが結構な立体感のあるボリュームです。
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古写真もとに模造復元されたシャンデリア
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こちらの天井の装飾も素晴らしい
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天井もこれだけ高いとすごい開放感がありますね。
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窓の外には、隣の東京国立博物館の表慶館のドーム屋根がのぞいています。
東京国立博物館 美術館・博物館
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表慶館はこちらで内部も紹介しています。
東京国立博物館の庭園散策
http://4travel.jp/traveler/nuinui/album/10199728/東京国立博物館 美術館・博物館
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これ自体が額縁に入った絵のようです。
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手摺の外側のガラスは、もともとの重厚な意匠を損なうことなく、子どもの落下防止と手摺の高さを現在の基準に合わせるためのもの。
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ここで建物の構造についてちょっと触れておきます。
最初に建てられた東側部分の主要構造は、鉄骨補強煉瓦造という、今では聞きなれない構造になっています。 -
これは、赤煉瓦をセメントモルタルで接着して積んだ壁と鉄骨の梁が建物を支える基本構造となっています。タイルの下には赤煉瓦が隠れている訳ですね。
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昭和初期に増築された南側部分は鉄筋コンクリート造になっています。
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この素晴らしい漆喰の復旧の過程は、施工に携わったメーカーのHPに詳しく紹介されています。興味のある方はこちらをどうぞ。
http://www.marukyosekkai.com/sekou/kokuritu.html -
この建物のモデルにしたのが、シカゴのニューベリー図書館だそうす。アメリカの図書館もこんな感じなんですかね。
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このラウンジに座って本を読んでいるのも、素敵な時間のすごし方。いいですよ、是非お試しください。
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1階から3階までの20m以上の吹き抜けに、鋳鉄製の手摺のついた階段の存在感はかなりのものです。
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この鋳鉄製の手摺のデザイン いいですねえ。
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古き良き明治の建築と先進のデザインをうまく融合させたなんともいえない雰囲気。
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こんな素敵な図書館が近くにあったら毎日来てしまいますね。
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この階段周り強烈な存在感を感じさせますね。
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階段の裏面にはフローリング材が貼られてます。
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裏から見ると別物です。かろうじて避雷針の付いた屋根がチョコッと見えるだけ。
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かろうじて避雷針の付いた屋根がチョコッと見えるだけ。 この避雷針も元のものは鋳鉄製だったものをアルミ製に変えています。
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最後に見えない部分での耐震補強について触れておきます。採用された免震工法は「免震レトロフィット工法」
これは、既存建物を丸ごと地面から切り離して積層ゴムと鉛のダンパーを設置して、揺れの影響を3分の1から5分の1に低減させるというもの。
明治期に建築した建物に耐震装置を設置した初めてのケースだったそうです。
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この旅行記へのコメント (4)
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- まゆままさん 2009/05/23 23:45:21
- 国際こども図書館
- ぬいぬいさん、こんばんは!
国際子ども図書館の階段室、美しいですね。
避雷針のデザインもいいなあ〜と・・
安藤忠雄とのコラボだったんですね。
ほんとに表と裏では別の建物に見えます。
でも建て増しされた部分は違和感なく素敵な空間になってますね。
うちもちょうどGWに大阪府で廃止ということが決定した国際児童文学館の方へ行ってたのですが、
そこは歴史的な建築物ではないんですが、書庫見学ツアーが興味深かったです。
その時にここの蔵書は上野の国際子ども図書館を上回る70万冊で日本一だ。
と聞いてたのですが・・
上野の国際子ども図書館が近代建築だったとは知りませんでした。
国際児童文学館の方は今年中に資料だけは移されて廃止されてしまうそうで・・近くだったのに残念です。
- ぬいぬいさん からの返信 2009/05/24 22:20:02
- 国際こども図書館いいでしょう
- まゆままさん こんばんは
国際こども図書館 安藤忠雄と近代建築のコラボ
全然違和感なくうまく融合していて、それでいてそれぞれが個性ある全く別物顔を持っていて。
上野は歴史的建造物の宝庫なんですが、片山東熊の東京国立博物館の表慶館と並ぶ、私のお気に入りのひとつなんです。
特に階段周りと裏側のラウンジ好きですね。
1階の裏庭のオープンエアのカフェで、コーヒーを飲みながらボーっとしているのが至福の時間です。
-
- Rさん 2009/05/08 14:22:28
- 安藤氏らしさの出た美しさ
- ぬいぬいさん、こんにちは。
国際こども図書館の旅行記にお邪魔しました。
歴史的建造物と安藤忠雄氏のコラボを興味深く拝見しました。
安藤氏は独学で建築を学んだことから枠にとらわれない独自の発想が面白いですよね。
ガラスのカーテンウォールは安藤氏らしさが出ていてとても美しいです。
現代的なのに歴史的な建造物ともしっかりマッチしている、そのあたりが高い評価を受ける所以なんでしょうね。
とても美しい建物に感激致しました。
またお邪魔します。
Rita
- ぬいぬいさん からの返信 2009/05/09 00:16:29
- 近代建築とアンタダのコラボいいでしょう
- Ritaさん こんばんは
上野のこの界隈私は大好きで、行く所がないと必ず来てしまう場所です。
美術館・博物館・動物園 2000円のぐるっとパスを買えばどこでもいけて1日遊べる 暇つぶしにはもってこいのエリア
そして私の大好きな近代建築の宝庫
好きですね 上野
特にこの国際こども博物館
階段周りと貴賓室は圧巻
1階のティールームのコーヒーをオープンエアのテラスでボーっと飲むのも贅沢なひとときです。
今回はあいにく雨でそれはかないませんでしたが。
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