2016/12/21 - 2016/12/21
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ウェンディさん
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東京の内なる地
そこには 魂がさざめく古い洋館がある
魂たちは音にならぬ声でその昔を思いだし
囁き合う
そのさざめきを拾い上げ
生の空間へと導きし魔術師 ボルタンスキー
彼は 無音のメッセージを声や形へと変換し
現代へと蘇らせた
そして クリスマスの夜
さざめく魂は 闇の中へ還り
再び 静寂の眠りにつく
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
夏の終わりに ふらりと訪れた美容室で
読むとは無く開いていた雑誌に
1枚の写真を見つけました
いつもならばさらりと流す軽い記事でしたが
この日の私の心はモノクロの”亡霊”に
吸い寄せられました
古い屋敷に彷徨う 亡霊たちの魂
肉体は消え 質量の無くなった魂
魂 “Animitas(アニミタス)”
冬の寒い日に
Animitasを探す旅にでました
★旅行記を読むにあたってのお願い★
この旅行記は、2016年の秋・冬に東京都庭園美術館で開催されたクリスチャン・ボルタンスキーの【アニミタス・さざめく亡霊たち】の記録です。
写真や表現などに、【死】を示唆するものが含まれます。
苦手な方は、閲覧をご注意ください。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- JRローカル 私鉄 徒歩
PR
-
亡霊の魂“Animitas”が彷徨っているのは約80年前に建てられた古いお屋敷。
かつては、朝香宮邸と呼ばれた雅な邸宅だ。
1900年代初頭のアール・デコの様式を随所に取り入れた朝香宮邸。
宮家、首相官邸、迎賓館としてもその役割を全うし、現在は東京都庭園美術館と云う名で知られている。
邸宅へと足を踏み入れると、迎えてくれるのは、翼を広げた女神の透き通る姿。
(写真:玄関 ガラスレリーフ扉/ルネ・ラリック) -
ガラスに浮かび上がる毅然と微笑む女神の姿。
その姿は、美しさで船乗りを惑わせ、船を難破させたというギリシア神話の女神;セイレーンを連想させる。
亡霊を探す旅には、まさにうってつけの出迎えだ。 -
セイレーンの扉を通り抜けると、そこは暖炉のあるサロン。
庭園からは明るい太陽の光が優しくさしこむ日向ぼっこをしたくなるような部屋なのだが、その部屋を支配するものは、主なき声。
部屋の中で静かに耳を澄ますと、どこからか囁く様な声が聞こえてくる。
…本当はここへは来たいと思ってはいなかったんだ…
…そんなこと、誰が信じられたでしょうか…
…私のこと、覚えていますか…
…まるで私達は、もうこの世にいないかの様ですね…
(写真:自然光を取り入れたサロン) -
囁く彼らの声色は一人一人が異なり、会話を交わしている様であるのだが、その会話は全く成り立ってはいない。
お互いが呼応するように囁き合っているが、その時間軸がずれている感じだ。
会話がかみ合わない彼らの声だが、彼らの声に共通する部分もあった。
それは…まるで昔を懐かしむかのような口調。
(写真:サロンのシャンデリア/ルネ・ラリック) -
そんな不思議な声を聴きながら、旧朝香宮邸内を歩く。
邸宅内には日本では珍しい室内用噴水もあった。
昔は水が絶え間なく流れ続けていた室内用噴水なのだろうが、今はもう流れる水はない。
この室内用噴水はまだ屋敷の女主人が存命だったころ、灯りをともしたその気化熱を利用して香水塔としても使われていたそうだ。
部屋の壁には光沢素材のエッチング。
金属に見えるがガラス素材で作られている。
(写真:香水塔/アンリ・ラパン) -
私が室内を歩き回る間も、語り手が見えない声は静かに会話を続けていた。
…君のこと、忘れないよ…
…ずいぶんとねえ、苦しんだんですよ、知っているでしょう…
…布は水を吸うと、本当に重いから…
…あぁ、来るんだなってわかったんです…
(写真:半円形のアーチ型の造りが美しい大食堂/アンリ・ラパン) -
エンドレスで続く、主の見えない会話。
歩みを止め、明るい太陽光が差し込むサロンに佇み、その会話に耳を傾ける。
姿の見える主たちの会話は何回も何回も同じフレーズが繰り返される。
まるで、傷の入ったLPレコードの様に…。
旧朝香宮邸のサロンで囁かれる会話。
この会話は、旧朝香宮邸に残された亡霊たちの記憶が具現化したものだ。
80年間に渡るヒトの営みを記憶した邸宅が、今は亡き人達の囁きを思いだし、静かに呟いている。 -
しかし、その音は現実界を生きる私達人間には通常は聞こえない周波数の筈。
どうして、その音が声として聞こえてくるのだろうか。
そこに介在したのは、魔術師であるChristian Boltanski。
魔術師であり芸術家でもあるボルタンスキーが、古い屋敷に巣食う亡霊たちの音にならない囁きを感じ、言葉として紡ぎだしている(会話の原語はフランス語だが、日本での展覧会の開催に当たり日本語に翻訳されている)。
(写真:大食堂のラジエーター(暖房吹き出し口)のカバー。設置場所が食堂故に、魚など食べ物に由来するデザインであるところが可愛らしい) -
実は、東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)では今年の9月から特別展としてクリスチャン・ボルタンスキーの【アニミタス・さざめく亡霊たち】の展示を開催している。
旧朝香宮邸の1階部分で囁かれる声の正体は、ボルタンスキーが感じた屋敷の囁きで彼の作品である【さざめく亡霊たち】の会話。
時も場所も越えた超越した存在である亡霊。
聴く人の心情によって、全く意味が変わって聞こえてしまう亡霊たちの囁き。
アール・デコの流れをくむ不思議な調度の屋敷の中で、亡霊の囁きがどんな感情を聞き手にもたらすのか。
ボルタンスキーの狙いはそこにあるらしい。 -
イチオシ
ボルタンスキーの作品は声だけではない。
旧朝香宮邸の二階では【影の劇場】も展示されている。
骸骨、蝙蝠、首を吊ったひと…
一見、悪趣味にも思える影絵遊びだが、その雰囲気に暗さはなく、カーニバル的様相を呈している。 -
死をモチーフに作品を作るというのは日本人的には違和感を覚える部分も多いのだろうが、中南米を旅したことのある旅人であれば、このユーモラス感がなんとなく理解できるのではないだろうか。
中南米、特にメキシコでは【死】のすべてがダークと捉えられているわけではない。
メキシコの人にとって死は悲しみでもあるが、再生の時でもある。
メキシコにかつて存在した古代文明であるマヤ文明の神は【自死の神】もいるユニークな考え方をする文明。
ボルタンスキーの作品からは、ラテン的な【死】の捉え方が漂っている。 -
【影の劇場】は決して凝ったつくりではなく、針金や切り絵で作った金属板を吊るしたモビールに光を投影し、その影を壁に投影したモノ。
-
ユラユラと揺れるモビールの影が結ぶ像は、その形がゆがんで見えたり…と面白い。
-
ボルタンスキーの作品は、【死】をテーマにしているだけに賛否両論ある作品だとは思うが表現方法としては、私は嫌いではない。
-
屋敷の中の小さな部屋は、昔は書庫であった場所で壁は木製の本棚となっている。
その部屋に在ったのは、小さな赤い電球。
その電球の赤い光が強くなったり弱くなったり、まるで音楽を奏でるように瞬いていた。
この部屋のタイトルは【心臓音】。
部屋の中には部屋全体がまるで心房となったかのように震えるほどの音響で拍動音が響いていて、赤い電球は拍動音に呼応するかのように瞬いていた。
まるで胎児となり、母体の子宮の中から母の心音を感じているかのように感じさせるような作品だ。
隣の部屋の【死】とこの部屋の【心臓】。
対にして展示することで、その意味が生まれるのかもしれない。 -
新館にもボルタンスキーの作品展示があり、こちらは映像作品。
その中でも印象深かったのは【ささやきの森】。
地球の中で最も過酷な乾燥した土地であるアタカマ砂漠に作られた、風鈴で作られた墓標。
誰を弔う訳ではない墓標。
風鈴が謳う風の唄。
風が揺らす音の一つ一つが、小さな命が存在した証。
風が吹き抜ける砂漠で誰に聞かせるわけでもなく、静かに音を奏でる和の風鈴。
風鈴のオブジェが作られたその場所は、ボルタンスキーしか知らない。
そして、彼はその場所が特定されることを望んではいない。
いつかは、無へと還ることを前提として制作された鈴のオブジェ。
消えてなくなりアタカマの砂と化すその時まで、風鈴は思い出を奏で続けていくのだろう。
この【ささやきの森】は、ボルタンスキーの特別展【Animitas - Les Ames qui murmurent】の主題でもあり、アニミタス…アルマ…魂を表している。
一つ一つの命は、とても儚いもの。
異なる音色を奏でるもの。
消えてなくなるその日まで、静かに個性を主張し続けるもの…なのかもしれない。
旧朝香宮邸の中には、他にも【魂】に関連したボルタンスキーの作品の展示がされているが、その展示は2016年12月25日までだ。 -
旧朝香宮邸での亡霊たちの特別展だが、古い邸宅の雰囲気と相まってなかなか面白かった。
ボルタンスキーの特別展も興味深かったが、旧朝香宮邸の建築物自体も建物としてなかなか素敵♪なので少しだけ紹介したい。
(写真タイトル:眼差し…証明写真から顔の一部分である目に着目した作品。真っ直ぐに来訪者を見つめるその視線に思わずたじろいでしまう) -
ヒトを何かのフェチに分類するならば、私などは階段フェチ(怪談ではない!)に分類されるのだろう。
和の古い階段、古代遺跡の石階段、もっと古いもので云えばバベルの塔…等、階段は私にとって魅了すべき部分を多く持っている。
旧朝香宮邸の階段(第一階段)もそんな階段の一つで、優美さという点では久々のヒットだった。東京都庭園美術館 美術館・博物館
-
イチオシ
階段そのものも美しかったのだが、目を引いたのは大理石のマーブル模様。
手すりとして設置された大理石はイタリア産のポルトロ。
黒に金色の模様がまるで水の中に油滴を垂らしたかのように浮かび上がっている。
手すりの背面の硝子も、オパールの輝きを模したオパルセントと呼ばれる乳白色のガラスで、その上に施された鋳物のレース模様が、手すりが表すアールデコの特徴である直線のジグザクなデザインと好対照となっている。 -
階段の踊り場を過ぎると二階が見えてくるのだが、建物1階分の高さが通常の家屋建築の2倍ある旧朝香宮邸では、その空間の使い方もダイナミック。
手すりの美しい模様と空間を切るナイフの刃の様に設置された階段の手すり。
アール・デコの美しさだけではない和の要素も取り込まれた美だと思う。 -
階段上の照明もまた、その優美さが格別。
手すりの背後にあるオパルセント・ガラスに施されたモチーフと同じ模様が此処でも使われていた。
この照明にはちょっとした仕掛けがあり、照明の足元は水盤になっていて、お客様がある時は花を活けられるようになっている。
昔の方が考える事って、案外、保守的な現代人よりも斬新だったのかもしれない。 -
邸宅内には他にも、目を引くものがある。
そんな物のひとつが 電球だ。
ひとつ前の写真、階段上の照明も個性的だったが、2階の妃殿下の間の照明もちょっと面白い。
パッと見は、ただの丸い電気の集まりにしか見えないが、実はこの照明は妃殿下の趣味にあやかりデザインされた物。
その趣味とは、ゴルフ。
ゴルフボールを模した形になっているそうだ。 -
廊下に使われている電球には、北アフリカ的なデザインも用いられていた。
-
そして、タイル細工なども面白い。
この写真は二階のベランダで床はタイルでではないのだが、大理石が描く市松模様の規則的な美しさと天井につるされたアラビック・ランプがアフリカと欧州が融合したモロッコ的な美を醸し出している。 -
バルコニーや風呂場のタイルには日本で作られたシックなタイルもつかわれている。
釉薬で仕上げた艶のあるタイルが混ざるベランダは、昨年に補修作業が行われたそうだ。 -
浴室のタイルは、直線を利用した和的なデザイン。
タイル細工というとモザイクタイルを思いだし、欧州のデザイナーの物かと思うことが多いのだが、これらのタイル・デザインは、和製。
当時の宮内省内匠寮のエキスパートたちのデザインだという事だ。 -
欧州系のタイル・デザインと和製のタイル・デザイン。
四角いタイルを使うのならば、タイルと云う同じ素材を使ったモノなのでそんなに大きな差はないのではないかな…と思いながら邸宅内を眺めていたのだが、やはり差は存在した。
この写真は、室内用噴水(香水塔)がある1階の次室の床だが、こちらはアール・デコの特徴であるジグザグ模様が多用されていて、宮内省内匠寮の方たちがデザインしたタイル細工とは雰囲気が全く異なる。
この部屋の内装設計は、アンリ・ラパン。
タイルの色使いも、デザインも、壁の色との対比も、アール・デコだなぁ…という感じだ。 -
旧朝香宮邸は、アール・デコ装飾で有名だったのだが、当時の宮内省内匠寮の方たちのデザインの装飾もかなり凄い。
宮内省内匠寮とは、宮内省所管の建築、庭園、土木などを担当した当時の建築のエリート集団で、現在の東京国立博物館も彼らの作品だ。
そんな彼らの作品の中で、今回注目したのはラジエーター・カバー。
ラジエーター・カバーとは、暖房機の前に設置する火傷防止用の柵なのだが、宮内省内匠寮の手によるそのデザインは、まさに美術品。
シンプルなものを組み合わせたデザインなのだが、その美しさが光っていた。 -
妃殿下の居間であった部屋のラジエーター・カバーは妃殿下自身がその下絵を描いたと云われている物で、青海波とユリの花がデザインされている。
-
一方、欧州のデザイナーも負けてはいない。
殿下居間のラジエーター・カバーのデザインは、アンリ・ラパン。
アール・デコでの特徴的なデザインである噴水の水の流れが用いられている。 -
一階サロンのラジエーター・カバーも同じくアンリ・ラパンの作で、流れる様な曲線使いが特徴的。
-
この作品は、さしこむ陽光が作り出す影まで計算に入れられている様だ。
-
旧朝香宮邸内には興味深いモノが沢山あった。
この部屋は、殿下書斎でもあり、その後、吉田茂が執務室として利用したとされる部屋。
歴史と共に歩んできた旧朝香宮邸。
部屋に住む亡霊たちの姿は目には見えないが、そんなものが居てもおかしくはない。
そう感じられる場所だった。 -
イチオシ
邸内には旅行記で紹介した以外にも、多くの部屋があり、見る人によってはまた異なる発見も有ると思う。
今回は特別展とのコラボ企画のために屋敷内の写真撮影が可能だったが、通常展示の時はカメラの持ち込みは不可となる。
写真を撮りながら邸内を愉しみたい場合には、特別展を開催する時(の平日)が狙い目だ。
(写真:玄関のモザイク模様は天然石で作られている。製作者はルネ・ラリックかと思いきや、宮内省内匠寮の大賀隆。日本の(当時の)官僚たち!の技術力は底知れない) -
旧朝香宮邸があるのは目黒駅の近く。
せっかく目黒まで来たので、もう一か所、立ち寄ってみたいところがあった。
そこは、関東のステンドグラスを調べていた時にヒットしてきた教会【カトリック碑文谷教会(サレジオ教会)】だ。
都立大学駅で電車を降り、そこからは徒歩で15分程度のアクセスとなる。
教会にお邪魔する前に、事務室へと立ち寄り写真撮影の許可を貰う。 -
イチオシ
中へと足を踏み入れると、此処は本当に日本!?と疑いたくなるような装飾。
ロマネスク様式の高い天井や壁にはフレスコ画が描かれている。
私以外には誰もいなかったので、一番奥の椅子に座り、静かに教会の中を鑑賞タイム。
基本的には困った時の神頼み以外には、あまり神様を意識することのない生活をしているが、この様な荘厳な空間の中に身を置くと、心がキュっと引き締まる。サレジオ教会(カトリック碑文谷教会) 寺・神社・教会
-
天井から吊るされた蝋燭台。
さすがに本物の蝋燭ではないが、その灯がフレスコ画を浮かび上がらせる。 -
祭壇にはキリストの象徴であるイエスを囲むように牡牛(ルカ)、天使(マタイ)、鷲(ヨハネ)、獅子(マルコ)が描かれている。
そして、アーチ部分にはEDO NO SANTA MARIAの文字が見てとれる。 -
江戸のサンタ・マリアとは、元禄時代に描かれた日本で一番古いマイア像の油絵で教会にはその復元を聖影として掲げてある。
キリシタン・バテレンであるシドッチ師(後に切支丹屋敷で殉教)が欧州から持ってきたマリアの絵が、この江戸のサンタ・マリアであると云われていて(実際は、同構図同寸法とは分かっているが、同定はできてはいない)、サレジオ教会の聖堂は、江戸のキリシタン迫害と殉教の史実を残すために建てられた聖堂だ。 -
聖堂内のステンドグラスも美しい。
かつてはこの教会では、アイドルと呼ばれ現在もその見た目年齢から実年齢は想像できないタレントの松田さんが結婚式を挙げたとかで、そういう意味でミーハーなファンが訪れることも多かったのだろうが、現在はそんなこともなく、純粋なる祈りの場所。
聖堂内には暖房もなくひんやりとした空気が頬を撫でるが、その冷たさが心を引き締め、祈りの場所にいることを躰に刻み込む。 -
聖堂内で心静かに過ごしていたら外界はあっという間に夕焼けの世界になり、ステンドグラス越しに注ぐ光もユックリと暗くなっていった。
そろそろ、最後の目的地へと向かう時間の様だ。 -
イチオシ
この日の最後の目的地は銀座。
日頃の私にはあまり縁のない場所だ。
クリスマス直前なので、その街路はクリスマス装飾で彩られている。
今年の銀座のテーマは、ヒカリミチ。
13万個の灯がキラキラと輝いていた。銀座中央通り 名所・史跡
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季節柄クリスマスツリーもあちこちにあったが、可愛らしかったのは楽器屋さんのツリー。
楽器をモチーフにしたオーナメント。
ツリーの電飾が赤・青・ピンク・紫と変わる中、楽器たちが浮かびあがる姿は、なかなか幻想的だった。
そんなクリスマス色溢れる銀座界隈だったが、私が銀座へと来た理由は輝くクリスマスイルミを見る為ではない。
どうしても気になる映画、1年前から心の片隅にずっと存在し続けていた映画を見るためだ。
銀座の裏通りに面するシネ・スイッチ銀座へと向かう。山野楽器 銀座本店 専門店
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私が見たかった映画は、Land of Mine。
邦名は、ヒトラーの忘れもの…なのだが、この和名のつけ方は全く的外れで、客寄せのために付けられたタイトルのようだ。
Land of Mine…こちらの方が、映画の内容としっくりくる。
この映画はアカデミー賞の外国語部門のデンマークの作品で、ドイツ・デンマークの二国による合作だ。
舞台は、第二次世界大戦後のデンマークの海岸線。
そこに埋められていたのは200万個以上の地雷。
そして、その撤去を命じられたのは敗戦国であるドイツ人の少年捕虜たち。
この事実は現在のデンマークの国民の殆どが知らない話で、映画の公開と同時に多くの国民が自国で起きた悲しい事実に驚愕し、涙したと云われている。
昨年にこの映画の事を知り、どうしても見に行きたい…と思っていた。
しかし、日本での公開予定はなく諦めていたのだが、ようやくこの冬に公開が決定した。
でもマイナーな映画であるため、関東地方でも見ることの出来ることができる映画館は数館だけで、我が家から一番近いのが銀座だった。
あまり書くとネタバレになってしまうのでココまでで止めておくが、戦争の悲惨さ、その狂気、人の心…様々な事を考え会させられる映画で、氷の様に冷たい…と誰かに言われる私の心も久しぶりに揺さぶられた。
世界のリーダーたちが交代しつつある今、日本や世界が向かおうとしている世界が再びこのような時代に戻らないことを切に祈りたい。シネスイッチ銀座 名所・史跡
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旅行記の終わりにこの日に訪れた目黒での1コインランチ情報を。
目黒駅から徒歩5分、東京都庭園美術館から徒歩3分のところにある台湾料理の巧匠(チャオヤン)は点心がリーズナブルで更にその味も美味しいとして有名なお店。
さらに、平日のランチならば1コインでお腹いっぱいになる…という評判のお店だ。
以前から気になっていたお店だったので、この日のランチタイムに突入していた。
メニューを見ると確かに、ランチセットは500円~でボリュームも満点。
チキンカレーセット500円がお勧めという前情報も得ていたのだが、私の目はメニューの中に麻辣熱麺(山椒ピリ辛和え麺)600円を見つけてしまった。
チキンカレーと決めてきたのに、大好きなピリ辛麺の文字。
揺れる乙女心はやはり好きな方に傾いてしまい、麻辣熱麺をオーダー。
ピリ辛と書くほど辛くはなかったが、山椒の風味が効いたジャージャー麺風の麺にスープがついていた。
個人的にはもう少し辛みが強めでも良いかな…とは思うが、味としては美味しい。巧匠 グルメ・レストラン
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この旅行記へのコメント (4)
-
- たらよろさん 2017/01/23 22:27:55
- 詩
- こんばんは、ウェンディさん
今年も明けて早、20日以上が経過して、、、
ご挨拶が遅くなり申し訳ございません。
今年もどうぞよろしくお願いします〜♪
旧浅香宮邸、
また違った意味で行ってみたくなりました。。。。
楽しいイベントをされているんですね〜
まるで、金田一少年がなぞ解きをしてくれそうなイベント☆彡
ウェンディさんの表現力で物語の中に引き込まれてしまいました・・・
今年も学のある素敵な旅行記楽しみにしています。
まだまだ寒い日が続きます。
お身体ご自愛くださいね。
たらよろ
- ウェンディさん からの返信 2017/01/26 21:10:52
- RE: 詩
- たらよろさん こんばんは。
二月まであと数日ですね。
子供の頃は一日でも早くオトナというモノになりたかったのに、時間が経つのが遅くて…。
でも今は、仕事やら家の事に追われ、気がつくと1日、ひと月が過ぎ去ってしまうのもあっという間。
オトナになると時の経過が早いです。
旅は、そんな気忙しい日々の中のオアシスのような瞬。
流れていくような時の中で、ふと立ち止まり、自分を見つめ直す時間となる旅の時間。
ワクワクする旅、のんびりする旅、ドキドキする旅、胸が締め付けられるような旅。
今年も、お互いに様々な旅に出会えたらよいですね。
本年もどうぞよろしくお願いします。
ウェンディ
-
- salsaladyさん 2016/12/26 10:46:40
- 亡霊の魂に惹きつけられて〜
- ☆こちらの文章力?タッチについ魅了されて又来てしまいました。
横浜へは時々過去を尋ねて。。。散歩に行くのですが、「旧朝香宮邸」には何十年も前から行ってみたいと思いつつ、その機会を得られずに過ごしてしまい、残念です。
☆そうか!正月に行くのも良いアイディアだわね。〚開館していたら〗今は庭園美術館と呼ばれるのでしょう?
亡霊と言い、アールデコ装飾と言い、趣味が似てます。≪勝手な思い入れ≫〜see you〜
- ウェンディさん からの返信 2016/12/28 17:58:15
- RE: 亡霊の魂に惹きつけられて〜
- salsaladyさん こんばんは。
東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)で催された特別展の旅行記へのコメントをありがとうございます。
ボルタンスキーさんは、私自身も数か月前に初めて名前を拝見した芸術家(彫刻家なのかな)ですが、その表現方法はユニークで、アールデコの流れをくむ朝香宮邸とのコラボは大成功だったのではないかと思います。
殆ど情報を入れずに、急にお出かけをしたので、最初に邸内で囁かれる亡霊の会話を耳にした時には、ラジオの音が館内放送のラインに混戦したのかと思いましたが、一文一文に意味が込められている会話を聞いている内に、あぁコレが彼の作品なのだ…と気が付きました。
様々な持ち主を経て現代へと残ったアールデコの屋敷なので、あのような会話が過去実際にあったとしても全く違和感がない場所。それが朝香宮邸ですね。
2階のモビールを使った展示も不謹慎な【死】だと分かりつつ、興味深かったです。
現代アートは理解しにくいことが多いのですが、今回の特別展は、製作者が意図するところを私なりに理解できた気がしています(当たっているかどうかは別ですが…)
クリスマスも終わり、あっというまに年の瀬。
秋の終わりの予報では寒さ厳しい冬になるとのことでしたが、今のところは例年並み。
でも、ウイルス性胃腸炎やら流感やらいろいろと冬の風物詩は増えてきている様です。
salsaladyさんも体調に気を付けて大晦日、そして新年をお過ごしくださいね。
やがて巡って来る年が、良き年であることを…。
ウェンディ
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