2024/11/30 - 2024/12/01
21位(同エリア110件中)
さっくんさん
とうとうこの旅の紹介も最終回を迎えてしまいました。帰国します。仮出所が終わってムショに戻らなければならない囚人の様な気分です。またお務めの日々が始まります。とは言っても結構気儘にやっていますが…。
バーレーン最後の半日は、二つの博物館で過ごしました。クゥエートで旅の始まりのエンジンをかけ、イラクで歴史浪漫の醍醐味を思う存分堪能し、バーレーンでのんびりと中東の旅の余韻を楽しめました。良い旅となりました。
- 旅行の満足度
- 5.0
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遂に最後の朝になりました。朝食会場に珍しく麺類がありました。おかわりしましょう。
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イチオシ
昨日までの二日間で、大体周りたい場所は訪れる事が出来ました。本日は二つの博物館を巡りましょう。
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やっとバーレーンの交通ルールにも慣れてきました。旅は大抵いつだって、慣れて来た頃帰国となるのが通例です。
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初日には通過したクルアン館を訪れました。世界のクルアンが展示されています。
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私は読めもしない癖にアラビア語のカリグラフィが大好きで、憧れがあります。だからアラビア語がたっぷり眺められるクルアン館は訪れたいと思っていた施設でした。
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美しく描かれたアラビア文字も美し過ぎますが、説明文に記載されている出自に、これ迄旅してきた中で学んだ歴史上の名だたる王朝が次々に出てくるので興奮しっぱなしでした。
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美しいカリグラフィだけでは無く、細密な紋様もまた美しいです。数百年前の人々が書籍の中にこれだけ美意識を描きこんだ事に感銘を受けます。
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ネット社会になって、書籍の立場は年々脅かされている現状ですが、こうした書籍を目前にすると、この書籍から放たれるパワーは決して、スマホやPCの画面からは発せられない力があると感じます。
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未だ技術もままならない当時の人々が、どれだけの精神力、体力、そして、想いを籠めてこの一冊を書き上げたのでしょう?人の命は限られています。だからこそ、せめて自分の生きた証を後世に残したい。
クルアンと言う存在を越えて、そんな人類の儚い願いが込められているのではないでしょうか?そして現在、このネットと言う空間にそれぞれの旅の記憶を書き留めていく我々もまた…。 -
9世紀、イラクかイランで書かれたもの。
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10世紀、北アフリカのもの。
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イラクのクーファ。(ナジャフに隣接する歴史的都市)で書かれたもの。
下はイラクのヒジャズで発見されたもの。 -
16世紀~19世紀、カシミールで編纂されたもの。
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18~19世紀に北アフリカで編纂されたクルアン。
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オスマントルコで書かれたクルアン。
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18世紀、バーレーンで編纂されたもの。
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オスマントルコ統治時代のエジプトで書かれたもの。
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バーレーン・ムハラクの旧市街で邸宅が見所(24年11月修復中)にもなっているシェイク・イサ・ビン・アリ・ハリファ氏が所蔵していたクルアン。
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クルアンは本来、多言語に翻訳する事は固く禁じられています。翻訳する事でアッラーの言葉が、翻訳する際に、如何に忠実に訳そうと心掛けたとしても、其処に人が介在する以上、必ずやニュアンスが変わってしまう為です。
しかし長い歴史の中で、どうしてもその禁を破ってしまう例が出てきてしまうのも仕方の無い事かもしれません。クルアン館では敢てそうした書籍も展示しています。
ふむふむ…これはフランス語。…やりかねない人達ですね。平気で日本の商用利用を認めていない関が原鉄砲隊の旗を無断でゲームに利用するお国柄ですからね。最低ですね。 -
これは中国語で書かれたクルアン。
やっぱりねと言う感想。中国は悪行を隠そうともしないからある意味予定調和なのですが、フランスは外面は綺麗な面して、その裏側は…と言うところに悪質性が中国より高く感じます。 -
そしてこれは…日本語です。恥ずかしい限りです。それにしても聖クラーンとは…。やっぱり翻訳すると変わってしまいます。でも、考え方によっては、コーランより原音に近いかも?
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続いて訪れたのは、鉄板のバーレーン国立博物館です。
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イスラームと言えば、門の装飾も有名です。(イスラームの家屋は外観は質実剛健に建てなければならないのですが、扉だけは装飾を許されているので、各家が美意識を扉に集中させるので、扉の芸術性が高まりました。ザンジバルやチュニジアが特に有名です。
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展示はこれも国立博物館として鉄板の、国の成り立ちとイスラーム史の展示。そして此処バーレーン国立博物館に立ち寄る大きな理由となる、ディルムン文明関連の展示があります。
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此方はアレキサンダー大王の遠征図です。アレキサンダー大王は、前回の旅中央アジアはタジキスタン、ホジャンドでホジャンドがアレキサンダー大王がアレキサンドリア・エスハテ(最果てのアレキサンドリア)と名付けた街だと学んだばかりだったので懐かしいです。それにしても中央アジアと中東で彼の名を立て続けに見ると、彼の遠征が如何に広大なものに及んだかを思い知らされます。
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此方は一目瞭然拡大していくイスラームの勢力図です。ウマイヤ朝時、既に現在のイスラーム圏に近い程に版図が広がっている事が解ります。
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此方は昨日訪れたバーレーンで最初に建てられたモスク。アル・ハーミス・モスクの模型です。
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アラビア語のカリグラフィーで埋め尽くされた石板。
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どこぞのイスラームの門がそのまま展示されています。
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お次はこれも博物館あるあるの、伝統的かつ歴史的な民族の生活風景のジオラマ・コーナーです。
動画
https://www.instagram.com/reel/DDWtjL5T9Cw/?igsh=YWYzMTllcGxvaWln -
ナンを焼く職人さん。地方に言ったりすると今でもこのディスプレイと余り変わらない風景を見る事が出来ます。
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工具屋さんでしょうか?斧などが確認できます。鍛冶屋さんかな?
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壺屋さんです。
ドツボはいりませんか~♪ -
紹介します。私の田舎のお婆ちゃんです。
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真珠関連です。ドバイも含め此処周辺のアラビア海では真珠産業が盛んでしたが、我が国が真珠の養殖に成功した為、真珠の価格が暴落し壊滅してしまいました。
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伝統衣装です。
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お次はこの博物館の目玉とも言えるディルムン文明の発掘品です。
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ディルムン文明の活動範囲図です。驚く程広域なものです。メソポタミア文明とインダス文明間の中継貿易を行っていたと言う事は、紀元前から船による交易を行っていたと言う事でしょう。高度な文明だった事が伺えます。
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発掘された土器自体は何処でも見られる様なものに感じます。
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小学生時代に習った四大文明くらいで私の脳味噌は止まってしまった、いや退化を始めてしまいましたが、まだまだ未知で且つ驚くべき文明があるんだなと驚きました。
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この博物館の凄いところは、バーレーン・フォート等で発掘された遺跡の一部をそのまま大きくスペースを取って、展示している事と思います。
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紀元前のものとしては、しっかりとした石組みが残されています。
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奥に見えるは井戸でしょう。
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こうした貴重な遺跡を部分的とは言え、そのまま展示している博物館も数少ないと思います。
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博物館はマナーマとムハラクの海峡沿いに建っています。
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え?事件ですよ!金田一さん!
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マナーマでも犬神家が流行っている様です。
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これにて博物館の見学を終わります。やはりこの博物館はディルムン遺跡があるところが、別の博物館と違うところです。バーレーン・フォート迄は足を延ばせないけど、ディルムン遺跡は気になると言う人は必見でしょう。
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さて、満を持して気になるアイツに逢いに行きましょう!
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いきなり鳥居があってビックリしました。ジャパニーズ・レストランがこんなところにありました。
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やって来ました気になるアイツ。
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イチオシ
格好良い!でも、残念ながら、期待していた展望台は有りませんでした。中はショッピング・モールになっている様です。
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気になるアイツの正体はModa mallと呼ばれるショッピング・モールでした。中にはそうそうたるブランド・ショップばかり入っています。昨今はダイソーとか庶民に優しいお店も入っているモールも多いですが、そんなコンセプトは無いようです。
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ドバイのモールの様な人混みは無し。当然客層も如何にもな人ばかり…。自分が浮いているのが痛い程解って、なんか公開処刑を受けている気持ちになって、そそくさ退散してしまいました。ちゃっかりトイレは借りましたが、トイレは普通でした。中東あるあるで、中東の人の股下バグってるんじゃないか?と思う程便器の位置が高過ぎましたが(苦笑)
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あっと言う間に内陸部の庶民的スペースに戻って来ました。やっぱり私にはこっちの方がずっと落ち着きます。
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馴染んできたなって思った瞬間、その時はお別れの時が迫っている、旅はいつだってそんな感じ。今此処で感じている大好きな世界観が、当分味わえない非日常に変わる。ちょっと切ない時間帯。
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そろそろ空港へ向かわなければいけません。まるで警察に出頭する様な心境。
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最後の晩餐ならず、最後の昼餐はやぱりケバブと、昨日の店に入ったら残念ケバブは夕食のみでした。結局南極チキンカレーを頼みましたが、なんとカレーには鳥の足一本ドカーンと入っている仕様、あっという間に機嫌を直す現金な私。
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とうとう空港についてしまいました。空港はマナーマから程近いからあっと言う間です。空港からマナーマの高層ビル群を眺めます。昨日は真逆のバーレーン・フォートから眺めていました。
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空港まで向かうタクシーの運転手が私が日本人と解ると大興奮。
「俺、日本に行くんだよ!日本は凄い国だ!」
と言います。夢がかなうと良いなと思っていると、何やら日本語の公式らしいの書類が写ったPDFを見せてくれました。日本に在留許可を提出しているけど数か月待っていても連絡が無いと言います。変なブローカーに騙されてなければ良いのですが…。日本を夢見てくれる人々が哀しい末路を向かえない事を祈ります。 -
イラクのガイドさんが言っていた事を思い出しました。日本は国と言うよりプラネットだと。何事もパーフェクト過ぎて国と言う存在を越していると…。少子高齢化に悩み、円が暴落しても尚、外国の人達は尊敬の目で我々を見つめていてくれる。それに応えられる国であって欲しいし、それに相応しい自分でありたい、いやそうなりたいと願います。
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嗚呼先程迄あんなに近くに見えていたマナーマがはるか遠くに…(←広角で眺めただけです。)
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空港の大きな窓にマナーマが写ってます。
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名残惜しいなぁ…。
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気になるアイツともお別れです。
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意を決して空港へ入りましょう。荷物検査、大嫌いなんだよなぁ…。でもチェックインは済ませてあるから、あの何故か中々進まない長い列をスルー出来るのはとても嬉しい。
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先程マナーマが写っていた大きな窓。中の人になってしまいました。
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空港内はUAEの空港の様な華やかさは無いけれど、とても清潔感がありました。
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入っている店舗は必要なものは揃っていると言う程度です。
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一番うれしかったのがこれ。丸まって眠れるぅ~!
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マリ、イエメン、ミャンマー…今まで訪れた国々の中で、紛争等が発生し、危険度情報が高まり、行けなくなった、行く事が難しくなってしまった旅先が数多くあります。そして何故かそうした国々への旅に限って、深く印象に残った旅先が多いです。これらの国々は客観的にも見所が多く、他の旅人さんにも状況さえ許されれば是非お勧めしたい国々でもあります。
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ほんの1時間足らずでアブダビに到着です。以前なら日本便になると、殆どの乗客が日本人でしたが、やはり円安のせいか、機内の半数が外国人でした。
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そして、未だ私が訪れていない退避勧告に阻まれて行く事が叶わない国々、そんな国々に限って、見所満載な場所が多い事も苦々しい事実です。
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嗚呼とうとうこの行き先を拝まなければならぬ日が参りました。
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今回訪れたイラクもそんな国々の一つでした。そして訪れて見て更にイラクへの想いは募ります。歴史好きには本当に、本当に、見所が詰まった国です。何しろ人類の文明の発祥地、旧約聖書の世界観を構築したメソポタミア文明。その後此処に興ったアッバース朝も、この王朝が興らなかったら、今のヨーロッパ文明も此処迄成長しなかったのでは無いかと言われる程重要な歴史を持つ国です。正に人類は此処で産まれ、此処で成長したと言っても過言では無いでしょう。
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日本人狩りが公然と行われている国が全く危険度が上がっていなかったり、只今紛争中にも関わらず、危険度がレベル3に留められている国があったり、ホテルから出ようとしたら「殺されるから出ないでください。」と迄言われる国が低レベルの危険度で抑えられている中、紛争は終わり、恒常的な戦闘は終わり、国も復興を目指して努力を重ねている国が退避勧告がで続けている現状が残念でたまりません。
一つの大国の利権の為にイラクの人々が多大な被害を被り、今もその後遺症に苦しんでいる事に例え様の無い憤りを感じます。と共に、これだけ貴重な歴史遺産が集中するこの国が、永い事、旅人が簡単に訪れられない状況に陥れた行為は、人類の知的好奇心に対する冒涜です。私はこの現状に陥れたその行為を一生許す事は無いでしょう。 -
そんな現状に少々悔しさを感じつつ、イラクの人々が平和に暮らしている姿、復興が順調に進んでいる光景を見れただけでも、若かりし頃、無惨に攻撃を受けるイラクの姿を見て、多感な時期の心を痛めていた自分にとっては、今回のイラク訪問は宝の様な時間でした。
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成田に到着し私が日常を過ごす監獄への護送車に乗り込みました。また、旅に出るまでお務めの日々が続きます。
旅行記を綴っていて良いな!って思う事は、私にとって貴重な時間である旅の時間を、もう一度振り返る、いやもう一度旅をしている気持ちになれる事。でも、またそれは同時に、もう一度旅が終わる切ない瞬間を迎えると言う事。そしてその時間が最早すぐ其処迄来ています。 -
今回の旅で、今まで使って来たパスポートはお役御免です。一人旅ばかりの私の唯一の相棒でした。今までずっと私を守って来てくれて、本当にありがとうございました。次からは新しいパスポートと共に旅をします。心機一転新しい十年を迎えるにあたって、来年も引き続き、自分の死期が迫ったと仮定して「見るべきものを見た。」と言って旅立てる様な旅先を選ぼうと思っています。
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嗚呼隅田川を渡ります。さて旅の最期でどんな言葉で纏めようかとか悩みましたが、私のボキャでは…言葉が見つかりません。特にイラク…なんかヤバい扉あけちゃったかと思う程見所に満ちています。メソポタミア文明、カルバラーの悲劇、そして螺旋状ミナレット…これ見ず逝ったら、死んでも死にきれない見所ばかりでした。いつか…また、きっと。
本当に良い旅となりました。
最後迄ご覧になってくださり、ありがとうございました。
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