山門を　出れば日本ぞ　茶摘うた 　< 菊舎>　黄檗山萬福寺

2024/07/28 - 2024/07/28

　文学を鑑賞するには予備知識が必要な場合がある。

　特に俳句や川柳はたった十七文字で表現してあるので、背景にある歴史や古典や故事来歴を知らないと楽しめないことが多い。

　もっともその俳句だけで充分鑑賞できる作品もある。

　古池やかわず飛び込む水の音　<芭蕉>

　菜の花や月は東に日は西に　<蕪村>

などの俳句は何の説明も要らず鑑賞できる名句であろう。

　しかしこの「山門を出ずれば日本ぞ茶摘うた」を鑑賞するには些か説明が必要であろう。

　山門とは黄檗山萬福寺の三門のことである。中国から招聘した隠元禅師が宇治に建立したこの寺は、中国の建築様式をそっくり取り入れて作られたので中に居るとまるで中国に来たかのような錯覚に囚われるのだ。

　菊舎は三門を出て宇治茶畑の茶摘み唄を聴いてふと、そうだここは日本だったのだと我に返る気持ちで詠んだのがこの一句である。

エリア 宇治(京都)

• 旅行の満足度: 3.0

• 同行者: 家族旅行
• 交通手段: 自家用車

　黄檗山萬福寺の三門、拝観料５００円を支払う。

　当時はこの門の外が茶畑だったのであろうか。

　天王殿は中国風である。

　本尊か弥勒菩薩（布袋さん）。

　如何にも中国風。

　

　大雄宝殿、隠元禅師が日本にもたらしたものは建築、文学、音楽、書道、絵画、彫刻まで多岐にわたる。

　中華風風鈴提灯。

　隠元禅師はインゲン豆、スイカ、レンコン、ナス、タケノコ、落花生、煎茶なども伝えたらしい。

　法堂。

　開梛（かいぱん）

　斎堂（食堂）前の回廊に吊されている開梛は、時を報ずるための魚板。

　木魚の原形となったもので、現在も使用されている。

　萬福寺開山の隠元禅師は、日本における「煎茶道の祖」ともいわれ、普茶料理、隠元豆、西瓜、蓮根、孟宗竹（タケノコ）・木魚なども隠元が日本にもらたしたものだそうである。