2023年5月ベルギーからのドライブ旅行15　マリア・ラーハ修道院

2023/05/03 - 2023/05/18

コロナ禍あけを待って4年ぶりとなるロマネスク紀行の復活はベルギーからスタートしました。今回も車でオランダ、ドイツ、フランスを巡りました。５日目の行程、１番目の訪問地はドイツのマリア・ラーハ修道院です。

エリア その他の観光地(ドイツ)

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 交通手段: レンタカー
• 航空会社: ANA

ケルンからは南方向に100km弱、車で約1時間で到着します。

ラインラント・プファルツ州アイフェル地方のアンデルナッハ近く、グレース(Glees)に位置するマリア・ラーハ修道院(Abtai Maria Laach)は、ラーハ湖の南西岸に位置するベネディクト 会修道院です。
ラーハはラテン語の湖に由来し、元は湖の修道院を意味します。

大きな駐車場があり、修道院へは道路を横断しなくて済むように地下通路を通って行けるようになっています。

大きな敷地ですので、奥まで進んで修道院の正面に廻る必要があります。

側面からの風景、この修道院には前と後ろに３つずつ形６つの塔があります。

この修道院は11世紀から12世紀に建てられました。ザカリア朝時代のロマネスク建築になります。

創設はライン宮廷伯のハインリッヒ２世・フォン・ラーハ(Heinrich II. von Laach)とその妻アデレード・フォン・ラーハになります。

修道院の建設にはトリアーの聖職者たちと技術者が携わったと言われています。

中央の主塔。

修道院の前庭、向かいにある良き羊飼いの像。

前庭の北西に見えるヨハネス礼拝堂。19世紀のネオロマネスク様式のチャペルです。

修道院へのエントランスにあるナルテクス。ナルテクスとは初期においては、洗礼前の者、女性等が控える広間として設けられた空間ですが、時代が進むにつれて単なる入口広間になってしまっています。今の人権感覚からすると非難が出そうですね。

12世紀から13世紀にかけた建設されたポータル。

ラーチャー・サムソンマイスターと呼ばれるライン川流域で働いていた後期ロマネスクの工房の匠たちによる作品といわれています。

このナルテクスは楽園(Paradies)と呼ばれています。扉口を潜るとホールの奥は回廊を形成しています。

楽園のライオンの泉。

修道院内部へのポータル。

洗礼盤の横には現代の聖水ですか？

西構えに置かれた石棺。

ライン宮廷伯ハインリヒ2世・フォン・ラーハの墓です。彼はライン宮廷伯改め初代プファルツ選帝侯を名乗った人物でもあります。州名に残るプファルツは宮廷伯のパラティーノに由来しています。

一部で修復作業が行われていました。この関係なのか今回地下祭室に入れなかったのは残念でした。

後陣のモザイクと天蓋。

側祭室のモザイク。モザイクは19世紀の物です。

1802年修道院は危機を迎えます。この年フランスの占領下にあった修道院はナポレオンの世俗化令によって資産の差し押さえと売却が命令され、一部の不動産は売却されて修道院は廃止されてしまいます。

処分については裁判の係争中にフランスの敗戦により執行が停止。ウィーン会議の結果プロイセンの国有地となりました。1892年イエズス会が修道院の引継ぎを申し出、ベネディクト会との共同使用により復活を果たします。

翌1983年にイエズス会の提案によりマリアの名称を付加しマリア・ラーハ修道院と名乗るようになります。

修道院はゴシック、バロックのそれぞれの時代に増築や改修が行われており、全てがロマネスクというわけではありませんが、戦災の影響が少な、ロマネスクのスタイルをよく保持しており、ライン川流域のロマネスク建築を代表する存在といっても過言ではありません。

この後は長距離ドライブでアルザスに向かいます。ドイツとはこれでお別れです。