長野 上田藩藩主館跡(Ueda Feudal Lord's Residence Ruins,Nagano,Japan)

2021/08/15 - 2021/08/15

2021年8月15日(日)2時半前、上田城観光を終えて大手通りを歩く。この通りはお城へのメインストリートだった。東側にクランクになっているところが大手門公園になっているが、ここに大手門があった。

この道沿いには真田三代・真田十勇士説明板が並んでいる。昌幸、信繁(幸村)親子は「真田丸」の草刈正雄、堺雅人で知ってる人も多いだろうが、幸隆は昌幸の父(下の写真1)。1988年のNHK大河「武田信玄」(中井貴一主演)で橋爪功が演じていたのが印象に残る。

真田十勇士は講談で親しまれた真田幸村に仕えたとされる10人の家臣。あくまで伝承上の架空の人物だが歴史的な由来を持つ人物もいる。基本的な構成は猿飛佐助、霧隠才蔵、三好清海入道、三好伊左入道、穴山小助、由利鎌之助、筧十蔵、海野六郎、根津甚八(下の写真2)、望月六郎の10人。

市役所の先(東)を南に折れると突き当りに上田高校があるが、この高校は上田藩藩主館跡に建てられたもの。1893年(明治26年)に尋常中学校上田支校として開校し、2年後にこの地に移転した。上田中学や上田松尾高校などを経て現在の校名になったのは1958年。

東急グループの事実上の創業者の五島慶太は尋常中学校時代の卒業生。作家の土屋隆夫さんは戦前の旧制中学の卒業生。漫画家の白土三平さんや作家の永六輔さんは戦争中の疎開で旧制中学に入学したが、終戦で卒業前に東京に戻った。アニメ映画の「サマーウォーズ」は上田が舞台で、登場人物の一人、陣内了平は上田高校野球部のエースで甲子園出場を果たす。実際の野球部(この高校では班と呼ぶ)は1957年と1987年の2回、夏の甲子園に出場している(通算1勝2敗)。

西側に表門とその両脇に続く土塀、濠が今に残り、上田市の文化財に指定されている。古城の門と呼ばれる表門は、前面に4本の太い角柱が並び、中央間に大板扉を釣り、左右には潜りの扉が付けられ、後部の控柱は十六面に削った通し梁で繋いでいる。

江戸中期の1789年に焼失したものを翌年再建したもので当時の様式がよく保たれており、長野県下最大規模の薬医門として貴重な存在。現在も上田高校の正門として利用されており、登校日には朝7時に開門している。2006年公開の映画、市川崑監督作品の「犬神家の一族」では犬神家の裏門として使われた。

土塀は幕末の1863年に建てられたものだが、濠と土塁は真田氏時代からのものが残り、全体として江戸時代の大名屋敷の外廻りを示している。ただし、土塀の下部と濠の周囲の石積みは崩落防止のために最近施行されたもので、濠の幅も道路の拡張により狭められている。

関ケ原合戦の後、東軍に付いた昌幸の長男の真田信之(信幸)が上田藩主となったが、上田城は破却されたため、信之はこの地に居館を構えた。通常、城主の御殿は城の本丸または二の丸に設けられるが、上田城の場合は徳川家への配慮もあり、城の中心部から離れた、三の丸に建てられた。その後、仙石氏・松平氏と藩主は変わったが、藩主邸はそのままここから移転せず明治維新にまで至った。

御屋形とも呼ばれた藩主館は、四囲に堀と土塁をめぐらした陣屋の構えを取っていた。堀を含めた敷地は135m四方あり、入口側から、御表・勝手・御奥の三つの殿舎群に分けられていた。御表は藩主の公的な生活の場で、大書院・大広間等があった。勝手は藩主の居間で小書院・表居間など、また御奥には藩主の寝室・側室の部屋などがあった。

表門の前の道を正面に進むとある桂旅館はこじんまりとした和風旅館だが、宿泊しなくても美味しいイタリアンディナーが食べられる店として有名。また、テイクアウトもあるそうだが、コロナ禍での状況までは不明。
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北国街道柳町に向かうが、続く

エリア 上田(長野)

写真1 真田幸隆・昌幸

写真2 根津甚八