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2021年8月14日(土)10時半、下諏訪宿の湯田坂を過ぎて旧中山道を諏訪大社下社春宮に向かう。雨がひどい。改めて中山道だが、江戸時代に整備された五街道の1つで、江戸の日本橋と京の三条大橋を内陸経由で結ぶが、滋賀県の草津と京の間は東海道と重なっている。<br /><br />私のイメージ的には現在の中央本線から東海道線だったが、実際には江戸から信越本線沿いに高崎から軽井沢に出、佐久を経由して下諏訪に至り、あとは塩尻から中央西線沿いに名古屋に出て、東海道線沿いに草津と云うコースだった。中央東線に当たる部分のほとんどは甲州街道。なので、下諏訪では京に向かっては西の岡谷に向かうが、江戸に向かっては南ではなく、北の和田峠に向かっていた。<br /><br />と云うことで、下諏訪宿中山道口の番屋跡の碑を過ぎると江戸に向かう中山道は北西に向かい、緩い上り坂になる。そして200mほど行くと御作田(みさくだ)社。諏訪大社の末社で,下社の御田植神事が行われる。社殿は流れ造りの簡素な様式(下の写真1)。<br /><br />境内の一隅に斎田が残っているが、「御作田社の斎田に植えられた稲は1ヶ月で穂が出る」と云われ諏訪大社下社七不思議の一つに数えられている。石垣から街道に向かって湧水と温泉が滾々と湧き出し、古くから街道を行き交う旅人の喉を潤し、温泉は洗い物などにも利用されていた(下の写真2)。<br /><br />御作田社から大雨の中。坂道を上って行くと左側に伏見屋邸。江戸末期の1864年の建築と推定される木造二階建ての旧商家。2010年に復元修理し、まち歩きを楽しむ観光客の休憩や住民の交流の場として開館した。中山道の街道沿いにあった商家の特徴を良好に残すものとして、2013年に主屋と土蔵2棟が国の登録有形文化財に登録されている。<br /><br />さらに坂を上がって行くと同じく左手に一里塚。江戸五十五里とある。かつては街道両側に塚や根張りの良い木が植えられていたが、現在は標石が残るのみ。明治に入って1891年に制定された度量衡法だと1里は3.927kmなので、中山道で214.5㎞と云うことかな。<br /><br />一里塚を過ぎ、雨水で川のようになって来た坂をさらに登って行くと、右手に竜の口の水場があり、この辺りも竜の口と呼ばれている。この水場は、明治に現在国道142号線となっている花見新道が開かれるまでは中山道を通る旅人や石段の上にある慈雲寺に参詣する人々の喉を潤していた。石造の龍が造られたのは江戸後期の1825年で、石の造作として見事なもの。それ以前は上の斜面の横井戸から引いて、付近の人々が清花講という講を作って守っていた。<br /><br />水場から続く石段は坂の上にある慈雲寺に通じる参道で、以前は斜めに登る自然の坂道だったが1928年に124段の階段が造られ、2018年に下諏訪町チャレンジ支援事業により、観光客や住民の安全利便を図って両側に手すりが設置された。階段の上に見えるのは慈雲寺の惣門(一ノ門)。その彩色から俗に「黒門」と呼ばれている。江戸時代後期の1813年に村の大半を焼いた大火がこの門のところで止まり、その時に門が焦げ黒い門になったと云われる。<br /><br />ちなみに慈雲寺はこの石段から国道を横切って150mほど上がったところにある臨済宗妙心寺派の寺院。鎌倉時代末の1300年の開山で、戦国時代に武田信玄により中興開基された名刹。知らなかったので、行ってない。まあ、そんな天気でもなかったが。<br /><br />惣門までの半分くらいのところ、右手に稲荷神社があり、奥に敬愛社宝光院や不動滝がある(下の写真4)。稲荷神社の横には石段からの分かれ道があり、矢除石の案内がある(下の写真3)。上がって行くと不動明王が祀られた祠(下の写真5)の先にその矢除石。<br /><br />武田信玄は慈雲寺の天桂上人を師と仰いでおり、戦勝の教えを請うたそうで、その時上人はこの石の上に立って矢を射掛けさせたところ矢は全て跳ね返された。信玄が理由を聞くとこの石には矢除けの霊力があるとのことで、信玄にこの念力を持った矢除札を持たせたとのこと。<br />https://www.facebook.com/media/set/?set=a.7830671007002855&amp;type=1&amp;l=223fe1adec<br /><br />旧中山道は、竜の口の先(西)で諏訪大社下社春宮の森に突き当たり、北に方向を変えて慈雲寺の北に達し、国道142号線に合流して和田峠に向かうが、森への突き当たりの前で左に分かれて、春宮へ向かう。<br /><br /><br />諏訪大社下社春宮に到着するが、続く

長野 下諏訪 旧中山道(Old Central Mountain Route to Edo,Nagano,Japan)

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2021/08/14 - 2021/08/14

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旅行記グループ 松本

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ちふゆ

ちふゆさん

2021年8月14日(土)10時半、下諏訪宿の湯田坂を過ぎて旧中山道を諏訪大社下社春宮に向かう。雨がひどい。改めて中山道だが、江戸時代に整備された五街道の1つで、江戸の日本橋と京の三条大橋を内陸経由で結ぶが、滋賀県の草津と京の間は東海道と重なっている。

私のイメージ的には現在の中央本線から東海道線だったが、実際には江戸から信越本線沿いに高崎から軽井沢に出、佐久を経由して下諏訪に至り、あとは塩尻から中央西線沿いに名古屋に出て、東海道線沿いに草津と云うコースだった。中央東線に当たる部分のほとんどは甲州街道。なので、下諏訪では京に向かっては西の岡谷に向かうが、江戸に向かっては南ではなく、北の和田峠に向かっていた。

と云うことで、下諏訪宿中山道口の番屋跡の碑を過ぎると江戸に向かう中山道は北西に向かい、緩い上り坂になる。そして200mほど行くと御作田(みさくだ)社。諏訪大社の末社で,下社の御田植神事が行われる。社殿は流れ造りの簡素な様式(下の写真1)。

境内の一隅に斎田が残っているが、「御作田社の斎田に植えられた稲は1ヶ月で穂が出る」と云われ諏訪大社下社七不思議の一つに数えられている。石垣から街道に向かって湧水と温泉が滾々と湧き出し、古くから街道を行き交う旅人の喉を潤し、温泉は洗い物などにも利用されていた(下の写真2)。

御作田社から大雨の中。坂道を上って行くと左側に伏見屋邸。江戸末期の1864年の建築と推定される木造二階建ての旧商家。2010年に復元修理し、まち歩きを楽しむ観光客の休憩や住民の交流の場として開館した。中山道の街道沿いにあった商家の特徴を良好に残すものとして、2013年に主屋と土蔵2棟が国の登録有形文化財に登録されている。

さらに坂を上がって行くと同じく左手に一里塚。江戸五十五里とある。かつては街道両側に塚や根張りの良い木が植えられていたが、現在は標石が残るのみ。明治に入って1891年に制定された度量衡法だと1里は3.927kmなので、中山道で214.5㎞と云うことかな。

一里塚を過ぎ、雨水で川のようになって来た坂をさらに登って行くと、右手に竜の口の水場があり、この辺りも竜の口と呼ばれている。この水場は、明治に現在国道142号線となっている花見新道が開かれるまでは中山道を通る旅人や石段の上にある慈雲寺に参詣する人々の喉を潤していた。石造の龍が造られたのは江戸後期の1825年で、石の造作として見事なもの。それ以前は上の斜面の横井戸から引いて、付近の人々が清花講という講を作って守っていた。

水場から続く石段は坂の上にある慈雲寺に通じる参道で、以前は斜めに登る自然の坂道だったが1928年に124段の階段が造られ、2018年に下諏訪町チャレンジ支援事業により、観光客や住民の安全利便を図って両側に手すりが設置された。階段の上に見えるのは慈雲寺の惣門(一ノ門)。その彩色から俗に「黒門」と呼ばれている。江戸時代後期の1813年に村の大半を焼いた大火がこの門のところで止まり、その時に門が焦げ黒い門になったと云われる。

ちなみに慈雲寺はこの石段から国道を横切って150mほど上がったところにある臨済宗妙心寺派の寺院。鎌倉時代末の1300年の開山で、戦国時代に武田信玄により中興開基された名刹。知らなかったので、行ってない。まあ、そんな天気でもなかったが。

惣門までの半分くらいのところ、右手に稲荷神社があり、奥に敬愛社宝光院や不動滝がある(下の写真4)。稲荷神社の横には石段からの分かれ道があり、矢除石の案内がある(下の写真3)。上がって行くと不動明王が祀られた祠(下の写真5)の先にその矢除石。

武田信玄は慈雲寺の天桂上人を師と仰いでおり、戦勝の教えを請うたそうで、その時上人はこの石の上に立って矢を射掛けさせたところ矢は全て跳ね返された。信玄が理由を聞くとこの石には矢除けの霊力があるとのことで、信玄にこの念力を持った矢除札を持たせたとのこと。
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.7830671007002855&type=1&l=223fe1adec

旧中山道は、竜の口の先(西)で諏訪大社下社春宮の森に突き当たり、北に方向を変えて慈雲寺の北に達し、国道142号線に合流して和田峠に向かうが、森への突き当たりの前で左に分かれて、春宮へ向かう。


諏訪大社下社春宮に到着するが、続く

  • 写真1 御作田社本殿

    写真1 御作田社本殿

  • 写真2 御作田社 湧水と温泉

    写真2 御作田社 湧水と温泉

  • 写真3 慈雲寺石段

    写真3 慈雲寺石段

  • 写真4 稲荷神社に敬愛社宝光院

    写真4 稲荷神社に敬愛社宝光院

  • 写真5 不動明王

    写真5 不動明王

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松本

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