2021/05/26 - 2021/05/26
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若い時から日本各地を旅してきたが、今まで和歌山県は通過しただけで宿泊したことはなかった(たぶん)。
令和3年初夏、和歌山城を訪れるために和歌山市に滞在することにした。その機会に紀三井寺や和歌の浦へも足を伸ばしてみた。
(2021.06.04作成開始)
※表紙の写真は紀三井寺の鐘楼(国重要文化財)
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JR和歌山駅。午前10時過ぎの列車に乗る。
和歌山駅 駅
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6分後、二駅先の紀三井寺駅に着く。
写真は紀三井寺駅の西側(和歌の浦側)。 元々は西側にしか駅の出入り口がなかったのだと思われる。紀三井寺駅 駅
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しかし、現在は紀三井寺に近い東側にも出入り口があり、そちらから出て線路に沿って進むことにする。紀三井寺への案内表示の類は一切なく、工場地帯のようなところを通って行くので少し不安になる。
しばらく歩くと「紀三井寺無人案内所」の看板を出した店舗があった。中を覗くと確かに誰もいない。 -
ようやく紀三井寺の参道に出た。写真の手前は線路を横切る踏切である。もともとの参詣のルートは駅西側から国道に沿って歩き、その踏切を渡ってこの参道に至ったのであろう。
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参道の奥に紀三井寺の建物が見えてきた。
紀三井寺は西国三十三所第2番札所。紀州徳川家歴代藩主が訪れ、繁栄を祈願した寺院である。紀三井寺 寺・神社・教会
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階段下の石灯籠には享保6(1721)年と刻まれている。
享保6年は徳川吉宗(よしむね)公が紀州藩第5代藩主から第8代将軍(在職1716~ 1745年)に就任して6年目である。 -
紀三井寺の楼門。国指定重要文化財。
室町時代・永正6(1509)年建立。以後たびたびの修理を受け、桃山時代の様式を残す。 -
楼門の前に設置された閻魔大王像。2019年12月建立。
楼門の手前で入場料(税込200円)を支払う。 -
楼門の先に真っ直ぐ延びる石段を上がる。両側には小さな社などいろいろなものがある。
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私の年齢ではさすがに「無謀な挑戦」をする体力は残っていない。
紀三井寺の正式な寺名は「紀三井山金剛宝寺護国院」であるが、山内から湧き出す三つの霊泉(清浄水・楊柳水・吉祥水)から「紀三井寺」という名前で親しまれてきた。 -
楼門から境内まで続く231段の急な石段は「結縁坂(けちえんざか)」とも呼ばれている。この場所で紀ノ国屋文左衛門と玉津島神社の宮司の娘おかよが結婚したころから、そのように呼ばれるようになったとのことである。
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松尾芭蕉の句碑。
紀三井寺の境内には約500本の桜の木が植えられている。京阪神では早咲き桜の名所として有名で、開花宣言の目安となる和歌山地方気象台指定の標本木(次の写真)が本堂前にあることから「近畿地方に春を呼ぶ寺」として3月も半ばとなるとマスコミ等の注目を集める。
俳人・松尾芭蕉は、せっかく花見を期待してきたのに既に散り始めていた桜を仰いで
みあぐれば桜しもうて紀三井寺
と詠んだ。 -
気象台指定のソメイヨシノ標本木。本堂の前に生えている。
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石段を登る途中の右手に湧き出している清浄水(しょうじょうすい)。
その昔、開山の唐僧・為光上人が紀三井寺開創の頃、上人の前に忽然として出現した美女が身を投じて龍に化身したと伝えられるのがこの清浄水の井水と伝わる。 -
石段を上り終えると本堂などの建物が並ぶ平地に出る。
写真は階段に一番近い場所に建つ六角堂。寛延4(1751)年建立。総欅造り。西国三十三所観音霊場の御本尊が安置されている。 -
鐘楼。国指定重要文化財。
安土桃山時代・天正16(1588)年建立。
上層の朱塗りと新緑とのコントラストが美しい。 -
階段を上り詰めた場所から左手(北の方角)に進む。
写真奥が本堂。県指定重要文化財。宝暦9(1759)年建立。総欅造り。 -
本堂よりも一段高い場所に建つ多宝塔。
国指定重要文化財。室町時代・文安6(1449)年建立。本瓦葺三間多宝塔。室町中期様式。
この建築物の写真は過去に何かで見たような気がする。 -
本堂の奥には日本の寺院や神社では珍しいエレベーターが設置されている。
ミャンマーやタイで訪れた仏教寺院では比較的よく見かけたものである。 -
最後に仏殿というまだ新しい建物に立ち寄る。紀三井寺駅や和歌の浦方面などの遠方から紀三井寺を眺めたときに最も目立つ建物である。
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御本尊の大千手十一面観世音菩薩。高さ12m、重さ約30t。日本最大の木造立像仏。平成20年に開眼した。
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仏殿の外側のテラスからは和歌の浦方面がよく見える。
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このあと参道へ戻り、踏切を横切って和歌の浦方面へ向かう。線路の先に紀三井寺駅が見える。
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紀三井寺から和歌の浦方面へは一本道。和歌川に架かる旭橋(写真)を渡る。
写真の左手の建物は県立医科大学附属病院。中央のやや右寄りに紀三井寺の仏殿が見えている。 -
旭橋を渡った後、観光パンフレットに載っている海沿いの細い道を歩く。今日初めて間近に海を見る。
和歌川の河口の入江(写真)は引き潮でかなり干上がっている。 -
干潟に浮かぶ島のような妹背山。橋で手前側の陸地と繋がっている。
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観海閣という建物が建つ名所らしいが修復工事中である。見学は諦めた。
島と陸地を繋ぐ橋は、中国の名橋をモデルに造られた県内最古の石橋・三断橋(三段橋)というらしい。観海閣 名所・史跡
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少し先に架かっている不老橋。市町川という小さな河川の河口近くにある。
この橋は嘉永4(1851)年に紀州徳川家第10代藩主・徳川治宝(はるとみ)公が架けたとされる。江戸時代のアーチ型石橋は九州以外ではたいへん珍しいとされる。不老橋 名所・史跡
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不老橋の奥の小さな山は鏡山。このあと訪れる。
鳥居は鹽竈(しおがま)神社のもの。 -
不老橋の下流側に架かる車が通るあしべ橋。
紀三井寺の方から歩いてくるとき、この橋がよく見えていた。 -
不老橋は歩いて渡ることができる。
橋の辺りには不老橋の修復についての解説板が立っている。 -
橋の銘が刻まれた現在の親柱は、忠実に復元されたものとのこと。
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鹽竈神社。洞窟の奥に社がある。地元では安産のご利益があることで有名なようだ。私が訪れたときも安産祈願が行われていた。
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市町川の上流側から見る不老橋。
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玉津島神社の鳥居をくぐり境内へ。
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鳥居の傍らに立つ解説板。万葉の家人・山部赤人の歌は昔中学か高校の教科書で見た記憶がある。
その当時から現在に至るまで、この辺り一帯の海の風景は大きく様変わりしたとのことである。 -
鹽竈神社の裏に鏡山と呼ばれる小さな丘がある。その頂上へ至る石段を上がる。
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紀三井寺方面と入江の干潟が一望出来る。
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今しがた渡った二つの橋が眼下に。
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玉津島神社の拝殿。境内で水彩画を描いている人が何人もいる。インストラクターのような人もいるので、社会人対象の絵画教室のようである。
玉津島神社 寺・神社・教会
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玉津島神社の創建年代は不明である。社伝によれば、仲哀天皇の皇后息長足姫(神功皇后)が紀伊半島に進軍した際、玉津島神の加護を受けたことから、その分霊を祀ったのに始まるという。
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玉津島神社の拝殿の右奥にアクリル板で保護された石碑が立っている。
「奠供山(てんぐやま)碑」という。市指定文化財。
奠供山は玉津島神社の北側にある小さな丘である。 -
江戸時代後期の紀州藩の儒学者で『紀伊続風土記』を編纂した仁井田好古が紀州の史跡を顕彰するために碑文を作成した碑の一つである。
和歌浦(和歌の浦)に所在する奠供山の由来を記したもの。砂岩製で高さ156cm。
神亀元(724)年、聖武天皇の和歌浦行幸の際、和歌浦の景観に感動し、守戸をおくことを命じた詔が発せられたのが奠供山とされており、天保3(1832)年に碑文が作成されている。 -
奠供山の頂上。
奠供山 自然・景勝地
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山頂に建ってきる望海楼遺址碑。市指定文化財。
仁井田好古が碑文を作成した碑の一つである。砂岩製で高さ182cm、幅80.5cm。
天平神護元(765)年の称徳天皇の和歌浦行幸の際に「望海楼」が営まれたが、奠供山の南麓がその遺址であるとされている。
この碑は元は奠供山麓の市町川沿いに建てられていたが、現在はこの場所に置かれている。 -
奠供山の頂上からの眺望。中央の山の麓に紀州東照宮と和歌浦天満宮がある。
今日の朝観光に出かけるときは、この二つの社へも参詣するつもりであった。しかし、紀三井寺から和歌の浦へ歩き回った疲れに加え、前日の09時30分から18時00分まで和歌山市の中心部をほとんど休まず歩き回った疲れが残っていた。
まだ14時を少し回ったばかりであるが、今日の観光をここで打ち切り、帰途につくことにした。 -
途中まで往路とは違う道で少し遠回りして紀三井寺駅へ戻る。
コンビニの奥の山に雑賀城址※がある。麓から山を眺めた後、駅への道をのんびり歩いた。
※天正年間(1573~1593年)に石山本願寺を追われた教如を匿うため、雑賀衆の棟梁・雑賀孫市によって築城された。天正13(1585)年の豊臣秀吉の紀州征伐の後に廃城となった。 -
紀三井寺駅に戻る。14時58分発の列車で和歌山駅へ帰った。
【了】紀三井寺駅 駅
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