2016/04/08 - 2016/04/12
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binchanさん
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4月11日月曜日、この日の深夜には帰国便に乗らなくてはなりません。
公共交通機関を使って旅行をしていると、どうしても駅を中心に観光をすることが多くなります。なので最後の観光先もやっぱり鉄道駅関連です。
秘境駅というカテゴリーがあります。
極端な田舎にあるとか、乗降客がめったにないとか、秘境と呼ばれる理由はいくつかあります。三貂嶺站は山の中にあり、近くに大きな集落がないという秘境ポイントに加え、「車やバイクでのアクセスができない」台湾唯一の秘境駅なんです。ただ、観光路線である平渓線の起点であり、近くに人気の古道(昔の交易路を利用した遊歩道)があるため乗降客数は「秘境」ではありません。
ここで三貂嶺という地名についてちょっと。
今回の旅行記04で訪問した三貂角、これと三貂嶺は名前が似ていますよね。ウィキペディアの「三貂嶺車站」にも、名前の由来については聖地亜哥(サンディアゴ)と三貂角を参照と書かれています。それによれば、「三貂」とは1626年に三貂角にやってきたスペイン人がその地を「San Diego」と呼び、それを現地語に音訳したのが「三貂」、それに「角(岬の意味)」とか「嶺」とか、地形を表す単語をつけて地名としているとの説明です。
でも、スペイン人は三貂嶺までは来ていないし、二つの場所は直線距離で19キロほど離れているため、直接関連があるというのは無理があるように思えます。
この疑問には台鐵HPの三貂嶺站紹介ページが答えています。
http://www.railway.gov.tw/Yilan-Transportation/CP.aspx?sn=11118
先のスペインと三貂角の関係を記した後にこのような説明が続きます。
:…清代後期に現在の貢寮、雙溪一帯を「三貂堡」と命名し、続いて牡丹溪と基隆河の分水嶺を「三貂嶺」と称した。
なるほど、最初は三貂角から始まり、広く地域の名前として広がっていったということですね。
この説明でほぼ納得していますが、一応異説も紹介しておきます。
個人の方がブログで以下のような反論をしています。
①1600年代のスペインの記録に「San Diego」の記載はなくそう呼んだのは後にやってきたオランダ人である。
②San Diegoと呼んだのも土地の名前ではなく平埔族の社(グループ)だった。(当初は閔南語の音訳で山朝と書かれた。)
③三貂嶺については清代の文献に「隘寮(山間部の要害を守備する自衛組織)」についての記述があり、三貂社との境界を守備する隘寮から名付けられている。
(古い文献の引用が多く難しい表現だったので100%正確な理解だと確信がないんですが、その認識でご覧ください。)
③についてはちょっとわかりにくい内容で、どうしてそれで三貂「嶺」になるのか納得しかねます。でも、三貂が土地の名前でないというのはしっくりきますね。原住民族はこれくらいの距離を移動していても全く不思議ではないので。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
- 交通手段
- 鉄道 高速・路線バス 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
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もともとの計画では瑞芳についたら荷物を預けてすぐ三貂嶺へ向かい、ほかのハイキング客に紛れて三貂嶺瀑布を目指し、そのまま大華站まで歩いて行くというハードなもの。ハイキングの所要時間は3〜4時間。もしきついようなら、山道に入る前に引き返すという対策まで考えていました。
しかしこの雨の中、素人ハイキングは危なすぎる。たぶんほかのハイカーもいないだろうし。
そんなわけで三貂嶺行きはやめようかと思っていたのですが、中途半端に時間が余ったので、とりあえず駅まで行ってみることにしました。
13:29蘇澳行きの宜蘭線区間車に乗車。三貂嶺は宜蘭線と平渓線両方の列車が通ります。瑞芳駅 駅
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13:39三貂嶺站で下車。
站牌には宜蘭線の駅しか書かれていませんね。もしかすると平渓線の站牌は別にあったのかな?三貂嶺駅 駅
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片側は山が迫り、山肌からの水を流すために一部に屋根がつけられています。
雨水はあの屋根部分に導かれ、右の軒から滝のように流れ落ちるんだそうですが、この日の雨ではそのような光景には出会えませんでした。 -
なんと、駅の設備を取り壊し中。どんな駅になるんだろう。
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反対側のホームには線路を越えて渡ります。通過する列車もそこそこある路線だからちょっと怖いですね。
ホームに電光板があるのが意外でした。
駅員さんは安全確認のためホームに。 -
熱心に写真を撮っていたら。
「こんなきれいでもない駅をなんで撮ってるの」と話しかけられました。「仕事が終わったら近くの風景がきれいなところを案内してあげるのに」と駅に掲示してある三貂嶺瀑布の写真を示しながら。面白い駅員さんだなあ。「私も行きたいですが、雨が降ってますから無理でしょう」と言うと、「雨だって全然大丈夫」とおっしゃるんですよね。いや〜大丈夫じゃないです。靴も普通の靴だし。
この後、三貂嶺站最寄りの集落まで歩き、そこから新北市のコミュニティーバスで瑞芳に戻るつもりだと伝えておきました。観光客がコミュニティーバスに乗るなんて思わないだろうし、もし駅に帰ってこなかったら心配すると思って。 -
駅員さんに挨拶して駅舎の外へ。
この先がさっき取り壊されていた建物があるとことろ。たしかあの建物はトイレだったと思うんですが…。仮設トイレもなさそうだし、駅員さんたちはどうしてるんでしょう。 -
集落がある方に出て、駅を振り返ったところ。
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かつては駅前に商店街があったそうです。
三貂嶺站は周辺にまとまった平地がありません。集落は1キロほど離れたところにあります。広い場所に駅を作ればよかったのにと思いますが、宜蘭線と平渓線が分岐する手前に駅を設置するにはここしかなかったのかなといった感じです。 -
駅前の廃屋の看板は、1キロ先の集落にあるお店のものです。
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廃屋にちょっとだけ展示がありました。
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宜蘭線は1917年に南北端からじわじわと工事を進め、1922年、北からの線が先に三貂嶺に達しました。同年民営の平渓線も開通します。その後1924年に宜蘭線が全線開通し路線は現在のような形となりました。(1929年平渓線官営化。)
今でこそ平渓線は山間の観光路線ですが、開業当時は周辺の炭鉱から積み出される石炭を運ぶ鉱業路線だったんです。1929年には三貂嶺に機関庫がつくられ、鉄道の仕事に就くひとたちでそれはにぎわっていました。
その後石炭産業の斜陽とともにその賑わいもなくなっていきましたが、廃屋のプレートには当時の様子が書き記されています。 -
上の写真のプレートに記されている内容は絵皿に描かれて壁にかけられています。
これは三項目目の廣場上的賈薬郎(広場の薬売り)の様子。プレートに書かれた内容を訳してみました。
「機関庫(鉄道員宿舎)広場の薬郎の、売り口上のクライマックスは双頭の蛇だったとか。すべての薬の紹介が終わるのを待ち切れず子供たちは居眠りを始め、だれも双頭の蛇を見たことがない、と言われています。」
ほかの項目の絵皿もありましたよ。 -
この廃屋もそのうち取り壊すんでしょうね。古い廃屋は危ないですからね。
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廃屋の中。意外としっかりしているようにも見えます。
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最近は古道をハイキングする観光客も多いのでこんな案内看板も出ています。
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駅の方を振り返ったところ。実際は線路を右に見て歩いています。
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線路の向こう側もこのあたりまでは道があります。かつては鉄道関連の設備があったようです(建物は残っていますね)。階段の行き先は不明。
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観光気分を盛り上げる案内板。
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再び線路の向こうに階段。階段の上には建物が見えますので、そこへ行く道だと思われます。しかし、向こう側には線路沿いの歩道がないので、どうやってたどり着くのかは謎。
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左側は基隆河。対岸の木々の向こうには車道が通っています。
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対岸の山の中腹に旧トンネルが見えます。
入口の上部には「至誠動天地」と彫られており、それは1918年当時の台湾総督總督明石元二郎氏の字だそうです。 -
トンネルがあるのはこんなところ。近くに行くのは難しそうです。
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線路沿いの歩道はこんな感じ。
このくらいの道なら、自動車は無理でもバイクくらいなら通れそうに見えますが、この先に難所がございます。 -
つまり地下道。
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夜は通りたくない地下道だな。
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向こう側に出ました。
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おっと、ここで列車が通過。と思ったら機関車の部分だけが単独で通過していきました。
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地下道でくぐったのは宜蘭線だけ。今度は平渓線に沿って歩きます。宜蘭線側は歩けません。
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振り返ったところ。宜蘭線が右に分岐しています。
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宜蘭線三貂嶺トンネル。
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宜蘭線の鉄橋の向こうにも家が見えますが、あちらから駅へはかなり遠回りになります(秘密の道があるのかもしれませんが)。
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線路脇が少し広くなってきました。
こういったところにかつては貨車を引きこむ線があったり、整備に必要な施設があったと思われます。
機関庫という大きな設備は2012年まで壊されずに残っていたそうです(役割はとっくに終えていましたが)。私がこの路線に初めて乗ったのは2006年なので、その時はまだあったんですね。 -
この歩道は魚寮路というようですが、対岸の道路も同じ名前です。
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線路の向こうにまた階段。今度は階段の上に廟があるみたいですね。
でも線路の向こうに何かがある場所には必ず「通行するな」という注意書きがあるんですけど、じゃあどうやってあそこに行くのか教えてほしいものです。 -
基隆河はまだ左手にあります。
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ここで橋。小さな支流を渡ります。
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また線路の向こうに民家と階段。そして「通行するな」の看板。
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集落につきました。
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集落は線路の両脇に広がっていますが、やはり線路を渡るなと言う表示があります。
あちらの建物からはカラオケの大音響が聞こえていて、決して廃墟ではないなず。 -
このあたりは古道の入口なので、ハイカー相手のお店があります。
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古そうな壁にアート。
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渡っちゃダメって書いてあるけど渡ります。一応近くにいた人に渡ってもいいか確認して。
渡っちゃダメと書いてあっても、平渓線の列車はスピードを出していないので、住民は便宜的に線路を歩いて越えているようです。でも、三貂嶺から地下道をくぐるまでの区間のように、特急列車が走る区間では絶対にやってはいけません。あの区間は特急列車がすごいスピードで通り過ぎてゆきます。 -
線路の向こう側が三貂嶺歩道(三貂嶺古道)の入口です。
三貂嶺古道 山・渓谷
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碩仁國小(碩仁小学校)。
1996年に廃校になりました。この学校のOBが作っているHPには、古い写真や新聞記事がたくさん載せられていて、すごく見ごたえがあります。碩仁國小で検索してみてください。
駅は碩仁里にあるのに駅名は三貂嶺。駅名は日本時代に当時の地名をもとにつけられたものをそのまま使い、碩仁は戦後この地域につけられたのだそうです。 -
現在小学校はレンタルスペースとして利用されています。
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学校を見ていたら、背後から犬がグルルとうなりながら接近してきました。
彼が来る方向へ歩いて行くつもりだったのですが、どうしよう。 -
「不審者じゃありません」と口に出して唱えていたら、そのうち「友好的に」なってくれました。
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犬に挨拶して道を進みます。
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学校脇の石段から三貂嶺瀑布への古道が始まっています。
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こんな階段を上がっていきます。
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淡蘭古道(淡水から宜蘭への古道)のこの区間を三貂嶺歩道というらしい。
三貂嶺古道 山・渓谷
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こんな感じで石段と坂道が続きます。
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雨もほとんど降っていないし、道もきれいなのでちょっとだけ歩いてみます。
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滝まで2.2キロの0.4キロ地点か、ちょっと最後までは厳しいなあ。
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一人ぼっちで山道を歩くのも危険そうなのでここで引き返します。
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碩仁里の集落がよく見えます。
かつては日本式の鉄道員宿舎が立ち並んでいました。 -
基隆河の対岸にも集落が広がっています。
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基隆河を渡る鉄橋。ここで列車が来たら怖いなあ。
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鉄道と同じ橋を渡ります。
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渡った先は線路をはさんで家が立ち並んでいます。
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こんなところにも案内看板が。
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集落の先はトンネル。トンネルを抜けた先は大華站です。
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線路を渡ります。
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ここから上流へ向かった大華の周辺は奇岩地帯です。
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この先は新北市のコミュニティーバス(新巴士)に乗りたいので、バス停を探して歩きます。
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今日は雨の平日なので閑散としていますが、おしゃれなお店なんかもあって、休日はハイカーでにぎわっていることが想像できます。
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先ほど渡った鉄橋が見えます。
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バス停発見。
新巴士F808路線、平日のみ運行です。
http://e-bus.tpc.gov.tw/ -
市民じゃないけど何食わぬ顔で乗りこむ。
14:40、始発の碩仁里バス停を出発。終点は瑞芳の近くですが、まっすぐそこに向かうわけではありません。離れたところにある小さな集落を縫って進む路線です。対岸に三貂嶺站を見ながら侯トンの集落を抜け、細い道を切り返したりUターンしたり、運転手さんは器用でないと務まらない路線です。
目的のバス停で下り損ねないように、近くに座っていた人に確認をしました。その方も同じ瑞芳火車站で下車するとのことで安心です。もちろん「台湾人じゃないですよね?どうしてこのバスに?」と聞かれました。「三貂嶺から瑞芳に戻るためですよ」と答えましたが答えになっていたかしら。 -
バスに乗っていたのは30分ほど。
無事瑞芳站に戻ってこられました。行李房で荷物を引き取って、そろそろ台北へ移動しますか。瑞芳駅 駅
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