2016/04/08 - 2016/04/12
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binchanさん
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4月10日日曜日、北迴線全駅めぐりをしていますが、ここでちょっと寄り道。
これで14回目の台湾旅行ですが実は太魯閣峡谷に行ったことがありません。高所恐怖症だしトレッキングも趣味じゃないのであまり興味がなかったのですが、駅から駅へのバス移動の途中に入口があるのでちょっと寄ってみることにしました。寄ると言っても入口だけですけど…。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
9:38太魯閣バス停で下車。
ここは太魯閣遊客中心の一つ手前のバス停。太魯閣客運の302路線は現在運行停止中なので、ここを通る路線は2016年4月現在花蓮客運の路線のみ。 -
バス停の目の前には「太魯閣長春」と彫られた岩壁。
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太魯閣の写真で見かける牌楼も見えます。
太魯閣峡谷に沿って走る台8号線(中部横貫公路)は、台湾中央山脈を越えることができる数少ない道路の一つなので、バスもトラックも、乗用車でもなんでもじゃんじゃん走っています。
その合間に記念撮影する観光客。 -
バス停から200メートルほどのところにある石碑。
ここが太魯閣国家公園の入口のようです。 -
グローバルな観光客層。
-
売店でソーセージ。
台湾ソーセージ(香腸)ってちょっと甘くてあまり好きではありませんが、空腹の極みだったのでめっちゃおいしかった。早くどこかでご飯を…。 -
これが太魯閣峡谷を穿って流れてきた立霧溪。
日本語では「りつむけい」と読むのだと思っていたら「たっきりけい」と読むのだそうな。戦前からの習慣的な読み方なんでしょうか。日本語の固有名詞の読み方は複雑ですね。 -
この橋を渡った先が太魯閣遊客中心。
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遊客中心側には上流への車道がないので、車で太魯閣峡谷上流を目指す場合は、この洞門を通って直進。
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路線バスの一部は橋を渡り、対岸を下流へと進んで崇徳へと向かいます。それ以外の路線は遊客中心に寄ったあと、上流へと進みます。なので花蓮客運北線は小ぶりの車体を使ってます。
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このあたりで立霧溪の川幅は急に広がります。
固い大理石をコツコツ浸蝕してきて、ここからやっとゆったりできるぞ、と思ったらすぐ海なんですよね。ご苦労様な川です。 -
観光客の方に写真を撮ってもらいました。
後ろの道路はひっきりなしに車が通るので、車が入らないようにすごく苦労してくれました。ありがとうございます。
腕カバーは日焼け防止というより蚊よけです。気をつけていたのに結構さされちゃった。 -
さて、これ以上上流に行く時間的余裕はないので、次の駅新城站に向かいます。
途中、姫望紀念教会を見たいので脇道へ入ります。 -
脇道にはこんな絵が。
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太魯閣族の生活風景でしょうか。
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ほかにもいくつかありました。
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このあたりには富世遺址という考古遺跡もあるのですが、正確な場所もわからないし、山の中に一人で入るのは危険なので向かいません。(←だいぶお利口になったでしょ)
富世遺址は卑南や麒麟遺址と同様列石が特徴の新石器時代の遺跡です。2000年ほど前のものらしいですが、おそらく当時は川辺、海辺にあったのでしょう。台東の八仙洞に行ったときも、それほど古くない遺跡が、岩壁面の高いところにあることに驚きましたが、台湾の隆起の速度が大変早いというテレビ番組を見て納得しました。台湾東部の急峻な地形は、海や川の浸食と大地の隆起という二つの相乗効果によって生み出されているんですね。 -
これが姫望紀念教会。
姫望は1872年から1976年にかけて生きた太魯閣族の女性です。
母親はかつて頭目とも婚姻していた名門の出でですが、再婚した夫に早く死なれた後は生活が大変だったようです。長女であった姫望も苦労して育ちました。一家の生計を助ける重責を担う中、自立した考えを持つようになったようです。そして太魯閣族の習慣に背き漢族の男性と結婚します。夫と主に太魯閣族との交易を行い成功しました。彼女は漢族の合理的な考えに共感していたようです。
やがて日本が台湾にやってきました。太魯閣族は日本の統治に激しく抵抗します。日本軍は漢族にも太魯閣族にも知られている姫望を仲介役に頼みます。合理的な考えを持っていた姫望は、圧倒的物量で攻めてくる日本軍に逆らっても無駄であると悟っていました。何年もかけ族人を説得し和平にこぎつけ、日本軍にも一目置かれるようになったといいます。
最初の夫を太魯閣族の青年に殺され、二人目の夫(これも漢族)は病死。三人目の夫(これも漢族)は、商売で成功した姫望の財産が目当てでした。この夫に裏切られ財産を奪われ、深く傷ついた姫望。しかし故郷の族人からは裏切り者とみなされていたため、戻ることもできません。
そんな姫望を救ったのがキリスト教でした。1929年、58歳の姫望はアメリカ人宣教師に伴われ、淡水の婦女聖教学校で学ぶこととなりました。字も読めなかったであろう姫望は大変な努力と才能を発揮し、8か月後には故郷へと派遣されます。
当然太魯閣族の伝統信仰と衝突し、最初からうまくいったようではありませんが、徐々に伝教に成功していきます。しかし日本政府は原住民族地区でのキリスト教布教を禁止していました。姫望はかつて日本軍に功労があったため、あからさまに迫害されることはありませんでしたが、それでも行動は監視され、布教は夜陰に紛れ、あるいは深山で、洞窟で行われました。
第二次世界大戦が始まると、キリスト教徒は敵欧米と通じているとみなされ激しい弾圧を受けます。それでもあきらめることなく布教を続けた結果、戦後太魯閣族全員が帰依するに至りました。
彼女の活動は太魯閣族だけではなく、広く台湾全土の原住民族に影響を及ぼしたようです。ゆえに姫望は「原住民信仰之母」と称されています。
宗教には多くの功も罪もありますが、伝統的な文化に新たな発想法や社会システムをもたらすという機能も持っていると思います。太魯閣族、漢族、日本といった異文化を横断して生きた姫望が、最後に伝教に尽くしたというのは、自然なことだったのではないでしょうか。
(姫望の略歴については、台湾の個人のブログを参考にしています。) -
この日は日曜日で、信者のみなさんが続々と集まっていました。なので中をのぞくことはできませんでしたが、10時の鐘が鳴ると堂内からは讃美歌が聞こえてきました。
教会の傍らには姫望が日本警察の目を逃れて礼拝を行ったという石洞があるそうです。残念ながら私は見ていません。 -
入口には「芝苑紀念教会」と書かれています。芝苑は姫望を台湾語の音に基づいて書いたものだそうです。今日では太魯閣語の音に基づいて「姫望紀念教会」と改称されています。
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教会前からの景色。
あ、セブンイレブンがある。
讃美歌の清らかな調べに心洗われてたのに、急に俗っぽい意識が…、おなか減った。
でもな〜、ここまで我慢してコンビニ買い食いってのもね。このあと新城站へ移動したら駅前にいい店があるに違いない、と思いなおして、寄らずに歩き始めました。 -
このあたりの台8号線にはサイクリングロードも並走してます。
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でも自転車道の方がアップダウンがあって距離が長そう。
結局車道を歩くことに。 -
可楽のバス停までやってきました。ちょっと疲れたのでバスに乗りたいところですが、次のバスまでの待ち時間は40分ほど。
そんなに待ってるのもいやなので歩くことに。 -
車が多いので、やっぱり自転車道に移動。
そろそろ自然豊かな太魯閣から、工業地帯の新城に入ってきそうなものですが、相変わらず道路沿いはこの緑。 -
と思っていたら、この緑は緑化された工場の塀でした。かなり前から続いてます。
木々の向こうにはセメント工場の設備。おお〜見事にカムフラージュされてる。 -
で、工場の入口。
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亜洲水泥公司花蓮製造廠(アジアセメント花蓮工場)です。
なぜかこういうものにワクワクします。太魯閣峡谷の入口から3キロほどでこの光景。セメント材料は大自然から採掘されてるんですからね。 -
工場前のバス停。ちぇっ、ベンチがないや。
しかし地図を確認すると新城站まではあと1キロくらいしかないことが判明。じゃ、歩くか。
新城の街が近づくと、ドライブイン的な飲食店が出てきました。このあたりで食べようかな〜、どうしようかな〜と逡巡しつつも、駅前にはきっともっとたくさん店があるに違いないと自分に言い聞かせて通過。 -
北迴線の線路を跨ぎます。駅はもうすぐ。
-
台8号線から線路沿いの道に入ると、遠くに先ほどのセメント工場が見えました。
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で、突然のキリン。
公園とかではなく、ただ道端に立ってました。どこから来た? -
キリンを過ぎると間もなく駅が見えてきました。
お、復興號型車両が停まってますね。11:32の復興685でしょう。
時刻は10:54、もう完全にお昼ご飯の時間です。新城駅 駅
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