2015/06/22 - 2015/06/29
25位(同エリア145件中)
2013tomoさん
- 2013tomoさんTOP
- 旅行記352冊
- クチコミ156件
- Q&A回答234件
- 379,329アクセス
- フォロワー78人
私はここでもう一度与謝野晶子の詩を
引用する。
「晶子や物に狂うらん、
燃ゆる我が火を抱きながら、
天がけりゆく、西へ行く、
巴里の君へ逢ひに行く。」
歌集『夏より秋へ』の中の「旅に立つ」より
一部抜粋
日本にまだ幼い4人の子供を残して
パリに留学させた愛する夫、
鉄幹の後を追い
晶子はシベリア鉄道で
シベリア原野を駆け抜ける。
そしてパリで恋しい鉄幹と出会った
晶子は次のような歌を声高く歌いあげる。
「ああ皐月/仏蘭西の野は火の色す/
君もコクリコ/われも雛罌粟」
彼女の瞳に映ったシベリアの
自然はどのような
風景だったのであろうか。
今回の旅で私はそれを少しでも
追体験できればと考えていた。
今回は私の印象に残った風景の幾つかを
写真とともに説明したいが
シベリアはあまりにも大きすぎて
写真でも、文書でも表現することが
できないことを認識した。
「頭でロシアを理解することはできない。
ただ信じるだけだ。」
ロシアの詩人チュッチェフの“Silentium!”より
次回はモスクワからパリへの道のり
「フランスは火の色に燃えていた」を書きます。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 交通
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
- 交通手段
- 鉄道
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
「地震だ!」
と飛び起きてみるとシベリア鉄道のベッドの
上だった。
列車の振動が直接ベッドに伝わってくるのである。
昨夜ウラジオストック駅を出発した列車は朝の
シベリアを走っていた。
車窓から見る限り日本の田舎で見る風景と変わらない。
しかし、真冬になると景色は一変するのであろう。
人家を見ることはめったにない。ウラジオストック駅 駅
-
列車は主要駅でしばらく停車する。
駅の大きさで停車時間は異なるようだ。
後で気づいたのだが車掌の仮眠室前に
時刻表があり到着、停車、出発時間が掲載
されていた。
列車はほぼ定刻に運行されていた。
停車中、乗客は体を伸ばしたり、
たばこを吸ったり、
売店で買い物をしたり、
しばしの自由をそれぞれ楽しんでいた。
また、列車が移動するときよりより
停車しているときの方が「旅情」を
感じることが多い。 -
車窓の風景にたまに人家が現れると
珍しくてシャッターを押してしまう。
これだけ見ると何の為に写真を撮ったのか
分からないが車窓に長く続く緑の空白の後に
出現した人の気配が何故か懐かしい。 -
緑の原野があまり長く続くと
小さな小川も珍しくて
シャッターを押してしまう。
通路側に座っているロシア人
のおばあちゃんも写真を撮っている。 -
朝焼けの写真を撮ろうとしたが
外気が低いのか窓の水滴が写って
うまく撮れない。
しかし空気が汚染されていないので
肉眼には朝焼けが鮮明に輝いている。
子供のころに見た朝焼けのようだ。 -
バイカル湖に日が沈んでいく。
-
太陽がゆらゆらとした残照を
バイカル湖面に映しながら
今日の最後の光を
車窓の奥まで送り込んできた。 -
太陽が名残りを惜しみながらバイカル湖の
向こうに落ちて行った。
湖面はすでに夜の暗さに覆われ始める。
この写真には写っていないが
車窓の窓辺にはロシアの乙女たちが座り
残照が消えるまでバイカル湖の湖面を
見つめていた。
バイカル湖の夕日は乙女たちの心に
旅情やロマンを掻き立てるようだ。 -
列車は翌日も白樺と松林の混合林の中を
突き進んでいく。
これだけ原始林が続く風景にシベリアを
感じた。 -
シベリア鉄道も中間点である。
ノボシビルスク駅の前にある
「タイガ」という名前の駅に
停車した。
早朝の空にコバルトブルー
の駅舎が映えて美しい。 -
「タイガ」駅の次は
「ノボシビルスク」駅であった。
駅舎の形とコバルトブルーの色彩
が似ている。
まるで姉妹のようだ。
背景の空が明るくなっているのが
分かる。 -
ノボシビルクスを流れる
オビ川の支流である。
かなり内陸部の支流で
この広さであるから
河口近くの広さは
どれくらいなのだろう。 -
今日も原生林の間から
太陽が昇ってきた。
この朝日をもう何度見た
ことだろう。
チェーホフの言葉で
「母なるロシアは大きい!」
(「谷間で」より)
があり、
チュッチェフの詩に
「知力でロシアは理解できない。
ロシアはただ信じることが
できるだけだ」
という言葉がある。
これだけの距離を走らないと
ロシアを感じることができない
のだとしみじみ思った。 -
朝日が高くなると列車は
白樺の林の中をまだ走っていた。
この風景はどこまで続くのだろう? -
シベリア鉄道の友人、アンドレイが
私を車窓に呼び出し対岸の山を指さし
ながら
「トモ、あの岩がアジアとヨーロッパの
境目だ。
いまから我々はヨーロッパに
入るぞ!」
と教えてくれた。
彼の町であるキーロフも近づいてきたのだ。
シベリア鉄道の終着駅であるモスクワまで
あと少しだ。 -
6月29日、シベリア鉄道7泊8日の最終日の
朝の景色である。
少し雲があるが朝日が雲に反映して美しい。
本日、午前11:03にモスクワのヤロスラヴリ駅
に到着するのだ。 -
車窓の朝焼けを見ながら下車の
準備を始める。
シーツを丸める。
窓辺に置いていた生活用具を
リュックに入れる。
周りのごみを清掃して客車
後部の収納庫に捨てる。
1週間の生活を片づけるのは
結構大変だった。 -
11:03にシベリア鉄道は定刻通りモスクワの
ヤロスラヴリ駅に到着。
長いシベリア鉄道の旅が終わったが次の移動に
あわただしく旅情を感じる暇もなく列車を出る。
一緒の席だった家族たちの荷物出しを手伝いながら
車掌さんたちに「本当にありがとう(ボリショイ、
スパシーバ)」というと
「ああ、早く行きな。」と言われた。
彼女たちもとても忙しそうだった。
私は明日にはパリに到着し、
フランス巡礼路の出発点であるル・ピュイ
まで移動だ。
この旅行記のタグ
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
旅行記グループ
還暦一人旅シベリア鉄道とフランス巡礼路の旅45日間
-
前の旅行記
還暦一人旅 シベリア鉄道3等車は旅人の温もりがある。Eチケットではダメと言われ帰国かと心配
2015/06/22~
シベリア
-
次の旅行記
還暦一人旅モスクワからパリ、そして炎熱のフランス巡礼路が始まる
2015/06/30~
ル・ピュイ=アン=ヴレイ
-
シベリア鉄道とフランス巡礼45日間の旅『風たちぬいざ歩けやも!<総集編>』(後半にカミーノ俳句掲載)
2015/06/21~
ウラジオストック
-
還暦一人旅ウラジオストックは身近なヨーロッパ
2015/06/21~
ウラジオストック
-
還暦一人旅シベリア鉄道3等列車の生活空間ー狭いが住めば我が家
2015/06/22~
シベリア
-
還暦一人旅シベリア鉄道の食堂車が結構楽しい!頭でロシアは分からない。
2015/06/22~
シベリア
-
還暦一人旅 シベリア鉄道3等車は旅人の温もりがある。Eチケットではダメと言われ帰国かと心配
2015/06/22~
シベリア
-
還暦一人旅 シベリア鉄道の車窓に映る自然が美しい。与謝野晶子も見た風景を走る!
2015/06/22~
シベリア
-
還暦一人旅モスクワからパリ、そして炎熱のフランス巡礼路が始まる
2015/06/30~
ル・ピュイ=アン=ヴレイ
-
還暦一人旅フランス巡礼路(1日目)「最初の試練」道に迷い巡礼挫折寸前!
2015/07/01~
ル・ピュイ=アン=ヴレイ
-
還暦一人旅フランス巡礼路(巡礼2日目)灼熱の山越えーたった13.5キロしか歩けなかった!
2015/07/01~
サントル・ロワール地方
-
還暦一人旅フランス巡礼路(巡礼3日目)巡礼ダイエットー荷物と体重を減らしたら楽になった!
2015/07/01~
ミディピレネー地方
-
還暦一人旅フランス巡礼路(巡礼4日目)歩いても歩いても遠い道ー曲がり角の向こうには何がある?
2015/07/01~
ミディピレネー地方
-
還暦一人旅フランス巡礼路(巡礼5日目)何故か途中で大回り逆戻りーああ、この村はいつか来た村?
2015/07/01~
ミディピレネー地方
-
還暦一人旅フランス巡礼路(巡礼6日目)バスでコンクへ向かうー「遠くの町」へ
2015/07/01~
コンク
-
還暦一人旅フランス巡礼路(巡礼7日目)道なき道を行くーえ?本当に道がなくなった!
2015/07/01~
コンク
-
還暦一人旅フランス巡礼路(巡礼8日目) 森かげの中に館はあったー出逢いの予感。
2015/07/01~
モアサック
-
還暦一人旅フランス巡礼路(巡礼9日目)ひまわり畑ーここもかしこも花ざかり
2015/07/01~
モアサック
-
還暦一人旅フランス巡礼路(巡礼10日目)人だけではなかった、ロバも巡礼してた!
2015/07/01~
モアサック
-
還暦一人旅フランス巡礼路(巡礼11・12日目)祭りの始まりー食べ、飲み、歌い、踊る!
2015/07/01~
モアサック
-
還暦一人旅フランス巡礼路(巡礼13日目)町はパリ祭前夜祭。町のマドモアゼルにナンパされる。
2015/07/01~
モアサック
-
還暦一人旅フランス巡礼路(巡礼15・16日目) カミーノ(巡礼路)は”愛の道(Chemin d'Amour...
2015/07/01~
サン=ジャン=ピエ=ド=ポル
-
還暦一人旅スペイン巡礼路(巡礼18日午後・19日)ピレネー越えーでんでんむしのかなしみ(その1)
2015/07/18~
サン=ジャン=ピエ=ド=ポル
-
還暦一人旅(巡礼20日目)ピレネー越えー困った出逢い でんでんむしのかなしみ(その2)
2015/07/20~
サン=ジャン=ピエ=ド=ポル
-
還暦一人旅(巡礼21・22日目)ピレネー越え、間一髪で来た嵐 でんでんむしのかなしみ(その3)
2015/07/21~
バスク地方
-
還暦一人旅(巡礼23日目)今日は灼熱のスペイン巡礼路を40キロ歩いたーアルト・デ・ペルドンの石ころ路下り
2015/07/23~
パンプローナ
-
還暦一人旅(巡礼24日目)スペイン巡礼路 夏の夜祭りーEstellaでの出逢い
2015/07/23~
ログローニョ
-
還暦一人旅スペイン巡礼路(巡礼25日目)サンチャゴ巡礼者祭りー特大パエリア鍋Los Arcosにて
2015/07/23~
ログローニョ
-
還暦一人旅スペイン巡礼(巡礼26日目~27日目早朝)最終日ー幾山川越えさり行かば
2015/07/23~
ログローニョ
-
還暦一人旅帰還の道程(1日目)別れ、最後の出逢い、そしてサンセバスチャンのピンチョスへ
2015/07/27~
サンセバスチャン
-
還暦一人旅帰還の道程(2~6日目)国境の町エンダヤ 折り紙のご縁で失意の哲学者、ウナムノと出逢う
2015/07/28~
アキテーヌ地方
-
還暦一人旅帰還(最後の3日間)モンパルナスの裏通りから成田へー初めに戻ると新しい命が待っていた!
2015/08/02~
パリ
旅行記グループをもっと見る
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
この旅行で行ったスポット
シベリア(ロシア) の旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
旅行記グループ 還暦一人旅シベリア鉄道とフランス巡礼路の旅45日間
0
18