2015/07/01 - 2015/07/20
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2013tomoさん
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写真は巡礼路沿いに広がるひまわり畑である。
巡礼9日目は約22キロ歩いて
Saint-Antoine de-Pont-d'Arratz
まで行く予定。
今日の朝はひまわり畑の中を歩き続けた。
私は太陽を背中に受けながら歩くので
向日葵たちは一斉にこちらに顔を向けて
いる。
※向日葵の花言葉:「私はあなただけを見つめる」
朝はまだ涼しいのか元気いっぱいだ。
大きな声で「おはよう!」と挨拶している
ようだ。
私も歩きながら「みんなもおはよう!」
と声に出して挨拶を返す。
誰も見ていないのだから童心に帰って
こんなことをやってみるのも楽しい。
次の町のMaiauseから巡礼路は4キロ程
美しい運河沿いをまっすぐ進む。
運河の両側に背の高い木々が並んでいる
ので木陰ができて歩きやすい。
歩いている巡礼は少ないが、それども
若い男性巡礼や二人ずれの女性巡礼に
出逢う。
次のAuvillarの町は坂道の上にあった。
私が息を切らせて登っていると
若い女性巡礼が小鳥が飛んで行く
ように私の横を通り過ぎていた。
若い人の体力はすごい。
でも私は一定ペースで歩く。
巡礼は競争ではなくそれぞれが
自分のリズムで歩き続けることが
大切だ。
Saint-Antoine de-Pont-A7Arratz
の町ではジットに宿泊した。
そこには私より2時間ほど前に出発した
ノルウェー人のアンさんも宿泊していた。
途中で前後しながら声を掛け合っていた
若い男性巡礼も同じ宿だ。
他にもフランス人、オランダ人の巡礼が宿泊
していた。
夕食はみんなで一緒に近くのレストランで食べる。
会話はフランス語が中心で早口で話すので私の
サバイバルフランス語ではとてもついて行けない。
何とか聞こえてくる単語だけをピックアップして
話している話題を追っかけるのが精いっぱいである。
もっと早くから計画的に勉強しておけばと反省する。
でも彼らも英語がある程度話せるので私が話す
ときは英語を使っていた。
同じ巡礼仲間なので話題はこれから訪れるルートや
町のことや、苦労談が中心である。
ワインを飲みながら、食べ、話し、かつ笑いながら
みんなと食事をするのは楽しい。
これもみんな同じように巡礼で苦労している仲間たち
だからだろう。
次回は「フランス巡礼の歌『ウルトレーヤ』を修道院のジットで
を歌う」を報告します。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- ホテル
- 4.0
- グルメ
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 10万円 - 15万円
- 交通手段
- 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
朝出発してからMalauseの町の前でいつものように
道を間違えた。
気づくと普通の住宅の裏庭に出た。
そのまま庭から道路に出ようとすると
その家のおばあちゃんとお孫さんの女の子二人が
立っていた。
おばあちゃんが出かけるのでお孫さんたちがお見送り
をしているようだ。
怖がらせてはいけないので帽子を脱ぎ、サングラスを
はずし、杖を体の後ろ側に回して
「ボンジュール。私は巡礼です。
道に迷ったようです。
巡礼路を教えていただけますか?」
と笑顔で丁寧に静かに尋ねた。
お孫さんたちは興味深そうに私をジロジロ
見ている。
おばあちゃんが
「Malauseの町へは右の道の方が近いけれど、
左の道をまっすぐいた方が向日葵が花盛りで
きれいよ。」
と左の道を進めてくれた。
道の前方を見るとひまわり畑が朝日に輝く黄金のように
広がっていた。
「メルシーボクー(ありがとうございます)。」
オールヴォワール(さようなら。)」と言って
私はひまわり畑を目指して進んで行った。 -
向日葵たちと挨拶を交わしながら巡礼路
を歩く。
なんだか彼らと気持ちが通じ合うようだ。
「けふも托鉢ここもかしこも花ざかり」(山頭火)
といった気分だ。 -
真昼時には太陽は天中に来る。
向日葵たちも暑さと渇きで疲れ果て
みんな下を向いている。
「巡礼さん。
もうぼくたちもうグッタリだよ・・・。」
と言っているようだ。
私も暑さのために疲れが蓄積してくる。
「私もグッタリだよ。」
と返事を声に出して返す。
他の人が見たら
この年寄りの巡礼は頭が少しおかしいぞ
と思うかもしれない。
「どうしようもないわたしが歩いてゐる」(山頭火)
という状態であろうか。 -
写真は美しい運河沿いに沿って続く巡礼路
ここでは巡礼と言うよりも散歩をしている
ような気分になった。
Malauseの町で足指のマメを治療する薬を
購入するため薬局を探す。
街の中を薬局を探しながらキョロキョロしていると
前方から少しチャビイ(小太り)なおばあちゃんが
歩いてくる。
「巡礼さん何を探しているの?
私に聞きなさい。
私に尋ねなさいってば!」
というオーラを出しながらこちらに向かてくる。
私は10m先から帽子を脱いで、サングラスを外して
深々と頭を下げて挨拶をする。
おばあちゃんは
「何々?! どうかしたの?」
という感じで歩みを少し早めて近づいてくる。
3mくらいに近づいてから
「おはようございます。マダム。
すみませんが・・・。」と言いながら
帽子を胸の前に置いて
「薬局を探しているのですが、
この近くにありますか?」
と静かに尋ねた。
「あら、すぐそこよ。
この道をまっすぐ行ったら右側に見えてくるわ。」
すぐにわかるわよ。」
と答えてくれた。
「ところで巡礼の道へはどのように行くのですか?マダム。」
と私が追加の質問をすると、
「この道を前にまっすぐ行って右に曲がれば運河が見えてくるの。
橋を渡って右に曲がれば巡礼の道よ。
この道をまっすぐ行くのよ。」
と間髪をいれずに答えてくれた。
「メルシーボクー、マダム(奥さまありがとうございます。)」
「オールヴォワール(さようなら)。」というと、
「巡礼さん。私に道を尋ねてくれてありがとうね。」と言いながら
私の腕を撫でてくれた。
これもフランスの「お接待文化」の一つかもしれない。
おばあちゃんありがとう。
薬局では薬剤師の方に相談してまめ治療用の軟膏を購入した。
とても親切に対応していただいた。
お金を支払う時に彼女は
「私、今年の春に日本を観光旅行したの。
素晴らしい国だわ。
桜の花がとてもきれいだったし、
富士山も見たのよ。
日本人ガイドのマサコに本当にお世話になったわ。」
と言って日本が大好きだと言って懐かしそうにしていた。
私が
「私も巡礼でル・ピュイから歩いていますが
フランスも自然がとても美しい国でね。
それにフランス人は親切な方が多いです。」というと
「フランス人の全部ではないけどね。」といってニッコと
笑てくれた。
薬局を出て巡礼路に向かって歩いたが
曲がり角が分からなくなった。
丁度前方に「家売ります」という立看板を道に立てている
若いマドモアゼル(小学生の上級生くらいか)が
いたので
「すみません、お嬢さん。
巡礼路を探しているのですが
どの道を曲がればよいのですか。」
と聞くと、
すごく真面目な顔をして
「巡礼さん。そこの道を右に曲がって下さい。
まっすぐ行くと橋が見えてきますので
そこを渡って右に曲がれば巡礼路です。」
と私の目をしっかりと見つめて答えてくれた。
お嬢さんありがとうございます。
私はMalauseの町の人たちはみんな親切だと
思った。 -
巡礼路の道端で朝食を食べている若い男性巡礼に声をかける。
「ボンジュール!朝ごはんだね!」と声をかけると。
彼は笑顔で手をあげて応じてくれた。
彼とは巡礼路を前後しながら歩くようになった。
彼が私に話しかけてくるときは必ず
「マイフレンド。」といって語りかけてきた。
「このフレーズは使えるな。」と思ったので
その後私も使うようにした。
彼とは今晩と翌日のジットで同宿することとなる。 -
Auvvillarの町に到着した。
坂が多い街である。
私が杖をついてゼイゼイ息を切らせながら坂を登っていると、
小鳥が飛ぶように素早く歩く若い女性巡礼に追い抜かれた。
追い抜きざまに振り返って私をちらっと見て
「頑張ってね」という笑顔を投げかけてくれた。
彼女とは翌日次の町のジットで同宿することになる。 -
Auvvillarの町を過ぎるとまた緑のトンネル
が待っていた。
この道を通り抜けて巡礼路を進むと
Saint-Antoine de-Pont-d'Arratzの町だ。 -
Saint-Antoine de-Pont-d'Arratzの町に
ついてまずレストランに行き
冷たいビールを頂く。
ジットの場所を尋ねたらすぐに教えてくれた。
カウンターの中にいた人たちがポルトガル語
を話しているようなので
「ボンジ−ア(※ここでは「さようなら」という意味で使った)
オブリガード(ありがとう)。」と言うと
「あなたポルトガル語をはなすの!」と言ってとてもよろこんでくれた。
少しでも相手の母国語を話すとよい人間関係が作れるようだと思った。
ジットに着くと早朝に出発した
ノルウェー人のアンさんが泊まっていた。
「あらTomo!ここまで歩いてきたのね。」といって喜んでくれた。
ご縁のある人はまた再会するのだと思った。
途中であったフランス人の若い男性巡礼も泊まっていた。
巡礼路にはご縁がある人を引き寄せる磁場があるようだ。 -
夕食は私がビールを飲んだレストランで準備されていた。
このジットとレストランは提携しているのだろう。
夕食にみんなでレストランへ出かけた。
全員がひとつのテーブルに座ってワインを飲み、料理を食べ、
話し(フランス語が中心だが)、笑って楽しい時間を過ごす
ことができた。
夕食会ではそれぞれが小話を紹介することになった。
Tomoもなにか日本の小話を話せと言う事になったので
「胡蝶の夢」を小話として紹介した。
夢の蝶と現実の自分が交錯して、どちらが夢か現実か
分からなくなるという話だ。
これは私が朝にひまわりとコミュニケーションした体験
に基づいて話したものだ。
長い時間、巡礼路を歩いていると自分と
自然との心理的垣根が曖昧になり、
ひまわりの気持ちもわかるようになる
ということを話したかった。
しかし私の英語力ではそこまで説明できなかった。
みんなは私の英語では意味はよくわからなかった
ようだが東洋のエキゾティックな話だと感心していた。
トランスパーソナル心理学(※)の考え方をベースにして
説明すればもう少し理解してもらえたかもしれなかった。
※トランスパーソナル心理学
ロジャーズやマズローらの人間性心理学の自己超越の概念を発展させて、
個を超える領域への精神的統合を重んじる心理学。
次の日は出発時間はそれぞれだが巡礼路を前後しながら歩いた。
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