還暦一人旅フランス巡礼路（巡礼１３日目）町はパリ祭前夜祭。町のマドモアゼルにナンパされる。

2015/07/01 - 2015/07/20

写真はArzacq-Arraziguetの町のパリ祭前夜祭の
クライマックスのディスコダンスパーティです。
私の巡礼仲間もダンスに
参加して盛り上がっています。

会場はは空中にぶら下げられた袋から流れ出る大量の泡で
泡の海状態です。

大音量のディスコミュージックに思考回路も停止しています。

私はみんなの履物と貴重品を預かり
会場の外からチェアリーダー
として熱い声援を送り
みんなをカメラで撮影しています。

会場全体が熱気にあふれた雰囲気です。

そんな時ふと島崎藤村の次の詩が浮かんできました。

唇に言葉ありとも
このこゝろ何か写さん
たゞ熱き胸より胸の
琴にこそ伝ふべきなれ

「吾胸の底のこゝろには」　　　　　　
　島崎藤村「落梅集」より

思い出づくりに言葉は特に必要ないのかもしれない。

Mramontの村を朝7:00に出発した。

今日はArzacq-Arraziguetの町まで
約１４?を歩く予定。

町ではパリ祭前夜祭が
開催されると聞いていたので楽しみだ。

今朝は爽やかな旅立ちができた。

昨夜の適度な運動（食事、お酒、お喋り、ダンス等）で
すっかり疲れが取れたようだ。

教会の見える村を過ぎ、
緑の畑を見下ろしながら緩やかな
坂道を下る。

途中でカッコイイ父親とおばあちゃん、
可愛いお嬢さん達の
一行に追い抜かれる。

彼らは今日で巡礼を終えて
車でパリに帰るとのこと。

別れの写真を撮っているとき、
もう一人のお嬢さの姿が見えないので
「もう一人のプリンセスはどこ？」と聞くと
車の後ろからひょっこり顔を出してくれた。
可愛い二人（小学生上学年と低学年）である。
私の孫娘達を思い出した。

彼らの車は父親が手を振り
クラクションを鳴らして
過ぎ去って行った。

出逢いの数だけ”さようなら”があるのだと認識した。

次の町、Arzacq-Arraziguetに到着すると
町はパリ祭前夜祭が日中から
盛り上がっていた。

以下で詳細を報告します。

エリア モアサック(フランス)

• 旅行の満足度: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 10万円 - 15万円
• 交通手段: 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

巡礼１３日目、７月１３日

今日も良い天気だ。

私の影法師が巡礼路に青い影を作る。

ゆるやかな坂道を登っていると教会が見えてきた。

あそこまで行けば後は下り坂だ。

教会前には休憩所と売店があって巡礼仲間たちが
休憩していた。

私は水分補給だけして前に進む。

教会を過ぎると眼下に緑の畑が広がっていた。

涼しい風が吹いて来て気持ちが良い。

「風立ちぬ　いざ歩めやも！」と言いながら
どんどん下って行く。

途中で後ろににぎやかな話し声が聞こえた来たので
振り返ると仲の良い家族が追いついて来ていた。

今日は彼らの巡礼の最終日だそうだ、

道端に彼らの車が停車していた。

父親は少し離れたところで携帯を使っていた。

おばあちゃんとお嬢さんの写真を撮った。

もう一人のお嬢さんがいないので

「もう一人のプリンセスはどこ？」と聞くと

車の後ろから可愛い顔がひょっこり出てきた。

彼らの車は「さようなら」のクラクションを残して
走り去った。

彼女たちはプレゼントした折り紙を見て私のことを
思い出してくれるかなあ。

Arzacq-Arraziguetの町に着くと前夜祭のデモンストレーションが
既に始まっていた。

大きくない町なので町全体で楽しんでいるようだ。

宿泊したジットのすぐ斜め前に
今晩のメイン会場が準備されていた。

大音量で明日の夜明けまで
ディスコダンスパーティが行われるので
十分な睡眠が取れない可能性がある。

でもせっかくのパリ祭前夜祭だから
みんなで楽しもうと思う。

様々な楽隊がパレードをしている。

ウエスタンスタイル、英国スタイル、
バトングループ（でも男性の女装です）
等、これまで練習してきた
町の楽団グループが行進しています。

演奏が終わると広場の前のバルで
みんな食事をしたりビールを飲んでいました。

男性が女装したバトングループ。

体は大きい過ぎるし、すね毛は生えているし、
化粧がケバすぎるので気色が悪いグループでした。

ウエスタンスタイルのグループが現れました。

かなり練習していたみたいで数曲を上手に演奏
しながら隊列も乱れずに行進をしています。

行進の最終場所は広場のバル前です。

祭りに備えて練習してきた成果を
みんなで楽しんでいるようです。

我々巡礼仲間はバルの前でビールを飲みながら祭りの
デモンストレーションを楽しみました。

前方右に座っているのはドイツから歩いてきた
ドイツ人巡礼者です。

東ドイツ出身者で英語が上手です。

彼はコンポステーラまで巡礼する予定だそうです。

「フランス語もスペイン語もできないが
何とかサバイバルして行くよ」と
明るい表情で言っていたのが印象的でした。

東ドイツでは統一前は外国語として
ロシア語を第一外国語として
英語を第二外国語として学ぶのが
一般的だったそうです。

今のドイツのメルケル首相も
東独出身なのでロシア語が得意だ
と言っていました。

笑顔が爽やかなドイツ人紳士でした。

夕食は巡礼仲間たちと会場近くの広場で取った。

５人の女性たちから
「我々はTomoのカミーノ（巡礼路）妻になってあげる。」
と言われた。

きっと巡礼をするには便利なやつだと思われたに違いない。

「５人も奥さんがいたら大変だなあ。」とマリさんに励まされる。

「がんばります。」と言っているわたし。

夕食後にディスコダンス会場に全員で行った。

途中で会場から帰ってくる人を見ると体に泡を
くっつけたてままで歩いている。

どうしたのだろうと思いながら会場に行くと
理由が分かった。

ディスコ会場は腰より低いフェンスに囲まれ、
フェンスの中は泡の海である。

その中で若者や子供たちが強烈なサウンドの中で
乱舞しているではないか。

日本でも上陸との次のようなインターネットニュースがあった。

ガンガンの音楽で踊って泡まみれ。
愉快な楽しさを満喫できる評判の野外イベントが大阪に登場。
「泡フェスOSAKA2015」だ。
太陽の塔がそびえ立つ「万博記念公園お祭り広場」（大阪府吹田市）
で初開催、初日はファンで大盛り上がりだった。
地中海のイビタ島が発祥とのことである。

巡礼仲間も誘い合って会場の中に入って行く。

私も誘われたがさすがにお断りした。

「みんなのサンダルと貴重品を預かって
　外で応援しているよ。」

ということでフェンスの外からチアリーダーとして
応援することにした。

<この私が町のマドモアゼル達にナンパされてる！＞

若いみんなはノリノリ、
中年のマリノエルもダンスが好きみたいで
踊っている姿が魅力的だ。

私も外でノリノリ状態でカメラで
撮影しながらみんなの応援をしていた。

すると、なんだか隣の人の踊る手が私の肩や顔に当たる。

何だろうと横を向くと

若いマドモアゼル二人が横で踊りながら
「あなたも私たちと一緒に踊りましょ！」という雰囲気で
笑顔で踊っている。

「これって何なの？　もしかしてナンパ？」

※私は今までナンパしたことも、
　ナンパされた経験もないので
　何が起きているのかわからない。

フェンスの中から泡だらけになった仲間たちが

「Tomoが若い女性たちにアタックされているぞ！」

と笑いながらこちらを指さして笑っている。

私は若いマドモアゼル達に手を合わせて謝りながら
ナンパされるのは勘弁して頂いた。

巡礼路ではまったく想定外の
ハプニングが起こるものだと改めて認識した。
　

我々のダンスは次の日の朝１時ごろまで続いた。

さすがに明日の巡礼があるので我々は会場から
ジットまで一列になって踊りながら帰って行った。

それから明け方３時ころまで大きな音楽や大きな声が
部屋の中まで聞こえていた。

当然、我々は睡眠不足であったが疲れていたのか私は
短時間だがぐっすり寝ることが出来た。

しかし、早めにジットに帰って寝ていた
エチチェンさんには
大変迷惑をかけてしまった。

ステファニーさんが帰って来ると

「早くドアを閉めろよ！」と怒っていたそうだ。

年配の私が早めに帰るように
みんなに促すべきであった。

私も一緒になって遊んでしまった。

反省している。

すみませんでした。

鮮やかな朝日が昇ってきた。

睡眠時間は少なかったが早く目が覚めた。

今日も新しい旅立ちが始まる。

フランス巡礼路の最終目的地であるサン・ジャン・ピエドポー
まであと１週間未満だ。

一抹の寂しさを感じさせる朝焼だ。

宴の後の朝だ。

昨日の会場にはまだ泡が残っていた。

掃除の方々が早朝から懸命に清掃している。

私はその横を通り過ぎながら巡礼路に向かった。

今日は７月１４日、パリ祭当日だ。

どんな出来事が待っているのだろう。

次回は「別れの始まりーさよならだけが巡礼だ！」について報告します。

ピレネーを越えるとスペインで次の祭りが私を待っていた。