2015/07/23 - 2015/07/27
4位(同エリア22件中)
2013tomoさん
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写真はEstellaの町の夏の夜祭り。
(朝は6:30でもまだ暗いが夜は21:30迄明るい)
我々のテーブルを訪れた祭りの物の怪と
私のツーショット。
暑気払いなのか異様な姿をした物の怪たちが
祭りの通りを徘徊していた。
7月24日(巡礼24日目)はUterga村からEstellaの町まで
約30キロを歩いた。
この日の巡礼路でも新たな出逢いがあった。
しかしそれまでの出逢いが
新たな出逢いと絡み合いながら
更に新しい出逢いを創りあげていくという
螺旋のようなプロセスを楽しむことができた。
巡礼路で起きることは
一見”バラバラ”に起きている
ようだが
すべての出来事は”つながって”いる
ということを実感した。
次回はLos Arcosのサンチャゴ祭りの巨大パエリア鍋パーティ
について説明する。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 10万円 - 15万円
- 交通手段
- 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
私はUtergaのアルベルゲを6:30に出発した。
他の巡礼者はもっと早く出発して行った。
きっと遠くまで歩くのであろう。
早朝の巡礼路はまだ薄暗くヘッドランプを
装着して歩いた。
東の空が朝日に輝き始めている。 -
太陽はまだ東の空に昇っていないが
東雲が美しく空に冴えわたっている。
今日は暑くなりそうだ。 -
途中で畑に給水している噴水機の列があった。
深緑の畑に真っ白な水がアーチを作り
朝の清々しい景色を更に鮮やかにしていた。 -
7キロ程歩きObanosの町に到着した。
町の教会が昇ってきた朝日に映えて
美しい。 -
昔の巡礼者スタイルの銅像が道端に
立っている。
歩くという行為は今と変わらないが
宿泊場所や食料等の確保は
今と比較にならないほど大変だった
らしい。
苦しい巡礼の旅だったと思う。
先輩に深く頭を下げて礼拝した。 -
2013年の早春に巡礼で歩いた時宿泊したアルベルゲを
通り過ぎた。
あの時と同じ新鮮な気持ちで歩けることに感謝したい。
(単純にその時を良く覚えていないだけかもしれないが) -
町を通り抜けていると当時の記憶が
かすかに蘇ってきた。
当時は初めての巡礼路であり
もっと不安な気持ちで歩いていた
ように思う。 -
背中に朝日を受けて
私の影が西の方向に延びている。
私の歩いている巡礼路の方向は間違っていない。
私の影に従って行けばコンポステーラまで
道がつながっている。 -
Puente la Reinaの橋が見えてきた。
午前の強い朝日を受けて眩しく輝いている。 -
青い空が飛行機雲に縦横に切り裂かれている。
群青色の空と銀色の飛行機雲のコントラストが
美しい。
日本ではあまり見たことがない風景だ。
空気が乾いているためだろうか。 -
途中でバルセロナから来たという
中年男性の巡礼者ホアンさんに
声をかけられる。
彼は道端の低い塀に腰かけていた。
私に英語で
「写真を撮ってもいい?」と聞くので、
「構わないけど、どうして?」と尋ねた。
彼は
「カミーノ(巡礼路)を歩いている東洋人は
珍しいからなあ。」と言う。
変わったことをいう巡礼者だなあと思っていると
「君は坂の上の教会をどう思う?」と言う。
彼は続けて、
「この坂は人生と同じだよ。
僕たちは坂を登り続けなくてはならないんだ。
でも坂の上に教会のような
目標があれば希望を持って
登り続けることが出来ると思うんだ。
君はどう思う?」
と独り言のように言っている。
私は
「私も同感だな。
ただ明確な目標がなくても
歩き続けること自体も
大切だと思うよ。
僕はカミーノ(巡礼路)を歩きながら
”Yo ando,luego yo soy.
(「我歩く、故に我あり」のスペイン語)”
という言葉を大切にしながら歩いているんだ。
目標を達成することも重要だが
そのプロセスを楽しまないと
もっと大切なことを見落としてしまうような
気がするんだよね。」と応えた。
彼は
「君の言葉はデカルトの”我考える、故に我あり”の変形だね。
しかし、僕は生き方を少し急ぎすぎていたかもしれないな。」
と考え深げな顔をしていた。
(この巡礼路では様々な課題を秘めて歩いている人が多い)
その後彼とは前後しながら同じ巡礼路を歩くことになった。 -
道端でホアンさんがスマホで撮った私とのツーショット。
後でEstellaの町で再会して食事をした時にメールで
日本のアドレスに送信してくれた。
私は携帯等は持って行かなかった。 -
今日の目的地Estellaのひとつ前にあるVillatuertaの町が見えてきた。
歩く速度が早くなってきたのか予定よりもハイペースである。 -
Villatuertaの町の入口に来ると小学生くらいのかわいい女の子が
たむろしていた。
私が「ブエノスディアス。」と挨拶しながら通り過ぎようとすると
メンバーの一人(ブルーのヘルメットを着けている少女)が地面に
頭をつけて前転倒立をし、彼女の両足を他のメンバーが受け止めて、
残りのメンバーが大きな声で
「ブエンカミーノ!」と大きな声で叫んでいる。
私は彼女たちが僕たち巡礼者を
歓迎して挨拶してくれているのだと思って、
「ムーチャスグラシャス! セニョリータス」と
言って通り過ぎて行った。
10m程歩いていくと、後ろでまた「ブエンカミーノ!」
という大きな声がした。
振り向くとホアンさんが彼女たちの前に立っている。
そして彼女たちの前に置いてある小さなお皿に小銭を入れている。
「ああそうか!彼女たちはあれでお小遣い稼ぎをしてたんだ。」と
思って引き返し
「ごめんね。お金を入れるのを忘れてた。
とっても上手なチアリーダーだったよ。」と
言って2ユーロを小皿に入れてあげた。
彼女たちは「ムチッシマ(ス)グラシャス(本当にありがとう)!」と
言って可愛い笑顔を返してくれた。
「お母さんたちは彼女たちがここでお小遣い稼ぎをしているのを
知っているのかなあ?」と少し心配になった。 -
Estellaの町へ緑の川が流れ込んでいた。
木々の緑と川の色が素敵なコンビネーション
を作っている。 -
Estellaの町のアルベルゲではたまたまホアンさんと
隣り合わせのベッドになった。
これも特別なご縁があると思って昼食を
近くのレストランで一緒に取ることにした。
彼は大きな会社の社長さんで
たくさんの従業員を雇っている。
会社の業績も順調だが今後の展開に限界を感じて
今回の巡礼に来ているそうだ。
私は「タブラ・ラサ(※)」と「知非」という考え方を
紹介した。
「限界を突破する道は過去の成功体験からは
出てこないかもしれませんね。
イノベーションのためには『創造的破壊』が必要ですが、
そのためには
確立された固定観念をまず壊してしまうことが
求められると思います。
この巡礼の中で心の中に「タブラー・ラサ」を
作ってみてはいかがですか。
そのために心の状態をオープンにして
カミーノ(巡礼路)を歩きながら
雲の流れや、風の音、草花の揺らぎ、香りを
感じてみることで過去の成功体験を洗い流して
白紙にすることが出来るかもしれません。」
と言ってみた。
※タブラ‐ラサ(〈ラテン語〉tabula rasa)
《何も書かれていない書板の意》ロックの認識論での用語。
生まれながらの人間の心には白紙のように生得観念はない
という主張のたとえ。
また、
「東洋思想に『知非』(※)という考え方があります。」
「50歳で49歳までやってきたことを否定し、
60歳に向かって変化し続けるという内容です。」と言うと
彼は
「いままでやってきたことをすべて否定することは難しい。」
と言っていた。
※知非 人生50(歳)にして49(歳)の非を知り、60(歳)にして60化す。
(人が日進月歩するためには常に変化することが必要だという意味)
「荘子」
ホアンさんから
「今夜この町で祭りがある。
その時に巡礼路であった仲間で夕食パーティを
するが君も参加しないか?」と言われた。
巡礼路であったバルセロナから歩いてきている
仲間でその多くはカタローニャ人とのことだ。
私は
「私はスペイン語も十分話せないし、
ましてやカタローニャ語は話せないけど。」
と言うと、
「大丈夫だよ。分からないところは僕が
英語で通訳するから。」と言ってくれた。
結局私は彼らの夕食パーティに参加することにした。 -
ホアンさんと別れて私は残り
レストランでビールを追加して
一人で飲んでいた。
すると昨日、Utergaの村で別れた
イタリア人二人がレストランに
入って来るではないか。
ご縁がある人とは何度も会うのだと思った。
3人で再会を祝ってビールを飲んだ。
私が背の低い方のイタリア人を見て
「映画俳優に似ているなあ。
ゴッドファーザーに出ていた人だよ。」
と言うと、
「俺はシシリーのアルパティーノと呼ばれているんだ。」
と言ってメガネをはずして目をギョロリとさせる。
なるほどアルパティーノにそっくりだ。
わたしは以後彼を「シシリーのアルパティーノ」と
呼ぶことにした。
ビールを飲んだ後彼等とは別れたが2日後に再び会うことになった。 -
昼食後は街の教会を尋ねた。
教会内部では丁度パイプオルガンの練習をしていた。
涼しくて静かな雰囲気の中で音楽を楽しむことが出来た。 -
教会を出て町の広場で寛いでいると通りの向こうから
男女のカップルが私に近づいてきた。
男性の方は大男だ。
かれは私の方を見て何かを言っている。
「僕は彼の気に障るようなことをしてしまったのだろうか?」
と考えていると、
「Tomo!」と私の名前を呼ぶではないか。
良く見ると7月19日にSaint-Jean-Pied-de-Portの
アルベルゲで一緒に夕食を食べた米国から来た巡礼夫婦だ。
とても仲が良い二人でいつも「虹色のオーラ」を
まとっているような夫婦として記憶していた。 -
写真の米国から来た巡礼夫婦はとても素適なカップルだ。
ご主人は2m近い大男だが笑顔がキュートである。
奥様はポーランド系の方で爽やかな美しい人である。
二人が一緒に歩いている様子はティーンエージャーの
恋人同士がデートしているようでいつも明るい笑いが
溢れている。
二人は「虹色のオーラ」に包まれているようだ。
これ以後彼らと7度程会うことになった。 -
祭りの夕食パーティは街のレストランの
テラスで開かれた。
男性は男前だし、女性達は魅力的だ。
私は自分の顔が見えないことが幸いして彼らにまったく
同化してしまっている(唯一の東洋人だ)。
しかし、皆さんに出逢った時、女性の一人(美人!)が私の両頬に
キスをしてきたときは緊張して体が硬直してしまった。
食事の時に
「私の国では挨拶として頬にキスをする習慣がないので
先ほどは大変失礼してしまいました。」とお詫びした。
彼女は別れるときは
「これでいいかしら?」と手を差し伸べて握手してくれた。
食事中の会話はスペイン語とカタローニャ語が中心であった。
しかし私に気を使ってくれたのか英語も少し話してくれた。
イタリア人の女性が一人参加していたがイタリア語とスペイン語は
良く似ているので大体わかると言っていた。
「うらやましい!」 -
祭りも佳境になると物の怪達が通りに繰り出してきて
食事をしているお客さん達にいたずらを始めた。
古代ケルト文化の名残だろうか。
秋田の「なまはげ」のようで面白い。
古代ケルト文化と日本文化は地下水脈で
つながっている気がした。 -
大きな斧を担いだ物の怪がわれわれに
関心を持ったようで近づいてきた。
東洋人好みの物の怪なのだろうか? -
仲間の男性が物の怪にいたずらをされている。
通行人は全く無視して通り過ぎているので
このような光景に慣れているのだろう。 -
物の怪は最後は私と意気投合して
ツーショット!
彼(?)なりにポーズを取ってくれた。 -
パーティが終わって別れるときに
仲間の女性の一人(グロリアさん)が次の質問をしてきた。
「日本人は夫婦でも挨拶をするときに頭を下げるだけだが、
我々のように抱擁しないのはなぜか?」
私は「相手を大切にしたいという気持ちは我々もあなた方も
同じである。
ただ表現方法と習慣が異なるだけだ。
文化的な違いはあるが”好きだ”という真実は変わらない。」
と説明した。
理解していただいたかどうかわからないが
異文化理解は大切なテーマだと思った
(「愛」の表現方法が異なるだけだ)。
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この旅行記へのコメント (2)
-
- mistralさん 2015/08/31 11:45:46
- 素敵な出逢いの数々が。
- 2013tomoさん
巡礼道の旅行記
楽しみに拝見させていただいてます。
ホアンさんとの会話が素敵です。
歩きながら、その時々にこころの中に
わき起こってくる想いを
たまたま出会った人に投げかけ、
そのことで話し合える時を持てる!
ということの素晴らしさ!
おなじ巡礼仲間ならではの
ことと想います。
tomoさんの言葉は
パウロ コエーリョさんの
ご本のように
とても示唆に富んでいます。
mistral
- 2013tomoさん からの返信 2015/08/31 12:43:45
- RE: 素敵な出逢いの数々が。
- >mistral 様
2013Tomoです。
お便り頂きありがとうございます。
パウロ・コエーリョ氏の
「星の巡礼」は私も読みました。
私は俳人の黛まどかさんの
「星の旅人」スペイン「奥の細道」
を読んで彼の「星の巡礼」に行き
つきました。
カミーノやお遍路には人生を考える
ヒントがたくさんあるように思います。
カミーノを歩いていますと「内観」
のように自分の内面を観想する機会が
多くありました。
日本に帰国しますといつもの自分に
戻るのですがカミーノを歩いて時は
別の人格が歩いていたような気持が
しています。
ブログを書きながら当時を懐かしく
思い出しています。
カミーノに関するブログは明日で終わる
予定です。
でもその後の行程には「意味のある偶然」
が私を待っていました。
そのことは4日後に書く予定です。
繰り返しになりますが私の拙いブログを
読んでいただき感謝したします。
ありがとうございました。
2013tomoさん
>
> 巡礼道の旅行記
> 楽しみに拝見させていただいてます。
> ホアンさんとの会話が素敵です。
> 歩きながら、その時々にこころの中に
> わき起こってくる想いを
> たまたま出会った人に投げかけ、
> そのことで話し合える時を持てる!
> ということの素晴らしさ!
> おなじ巡礼仲間ならではの
> ことと想います。
> tomoさんの言葉は
> パウロ コエーリョさんの
> ご本のように
> とても示唆に富んでいます。
>
> mistral
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