ミディピレネー地方旅行記(ブログ) 一覧に戻る
表紙は7月6日(巡礼6日目)の朝、ジット(巡礼宿)の前で<br />撮影した写真だ。<br />巡礼宿のチャーミングなマダムと昨夕に足の豆の薬をくれた<br />女性巡礼が朝風の中で爽やかに微笑えみながら私を送り出して<br />くれた。<br />旅立ちの最高のプレゼントだ。<br /><br />昨日(7月4日)は早め(午後3時)にホテルにチェクインし、<br />洗濯も早い時間にできたので<br />十分乾かすことができた。<br />食事も夕食をたっぷりとったので元気いっぱい。<br />睡眠もベッドが良かったのか快眠できた。<br />リュックサックの持ち物も<br />更にダイエットしたのでもっと<br />軽くなった。<br />足指の豆も症状は安定化して来たので安心。<br /><br />今日は暑くなりそうだが体力、<br />気力ともに充実しているので<br />これまでの遅れを取り返すつもりで<br />実験的に1日30キロを歩いて<br />みる予定を立てる。<br /><br />Saint-Alban sur-Limagnoleを7:00に出発し、<br />30キロを歩いて<br />夕方5:00頃にはMalbouzon近くの<br />村で宿泊する予定を立てた。<br /><br />私の当初の計画では今回の巡礼路を<br />1日平均で25キロ歩き、<br />30日で750キロを走破して7月末までには<br />サン・ジャン・ピエドポーに到着。<br />更にゆとりがあればピレネー山を越え<br />パンプローナまで足を伸ばす<br />予定であった。<br />そうすれば通算してユーラシア大陸を<br />ロシアのウラジオストックから<br />スペインのフィニステーラまで<br />横断したことになり私の「若き日の夢」<br />が実現する。<br /><br />私は2013年春のスペイン巡礼では<br />後半は1日30キロ以上を歩けるように<br />なっていたのでこの当初の計画は<br />無理のないものだと思い込んでいた。<br /><br />この神をも恐れぬ『私の無邪気な傲慢さ』が<br />今日の失敗のはじまりだった。<br /><br />巡礼路は毎日が想定外である。<br /><br />Saint-Alban sur-Limagnoleを出発し、<br />10キロ程歩いたところに給水所があったので<br />新鮮な飲料水に入れ替える。<br />これであと28キロ歩いても水は大丈夫だ。<br /><br />更に10キロ程歩いて昼過ぎに<br />a Chaze de-Peyreという村を過ぎる。<br /><br />この時、アメリカから来たという<br />巡礼グループと一緒になり言葉を交わす。<br />明るい笑い声、楽しそうな会話、<br />力強い歩みといかにもアメリカ人という<br />印象である。<br /><br />彼らはあまり荷物を持たず軽装なので<br />いわゆる「巡礼ツーリスト」なのかも<br />しれない。<br /><br />※重い荷物はタクシーで次の町まで<br /> 前に運んでもらい<br /> 巡礼路を観光感覚で<br /> 楽しく歩くツーリスト達のことを<br /> 他の巡礼者たちは「巡礼ツーリスト」と呼んでいた。<br /> <br />あと10キロh程歩けば<br />目的地のMalbouzon近くにくるので体を<br />休めることができると<br />歩く速度を早めた。<br /><br />巡礼標識はその都度十分<br />確認して歩いていたはずだ。<br /><br />地図も時々取り出して確認していた。<br /><br />しかし、3時間ほど歩くうちに<br />不安感が生まれてきた。<br /><br />地図ではこんな木々の多い道を<br />歩くとは書いていない。<br /><br />背の低い灌木地帯か牧草地帯を歩くはずだ。<br /><br />「おかしいなあ」という一抹の<br />不安を抑えながら更に1時間<br /> 歩き続けた。<br /><br />するとようやく巡礼路が明るく開けて<br />村の入口の標識が見えてきた。<br /><br />「やたー!」、「村にたどりついたぞ!」と<br />元気が出てくる。<br /><br />しかし、どうも様子がおかしい。<br /><br />この村の風景はどこかで見た覚えがある。<br /><br />「これはデジャブ(既視)現象かなあ。」<br /><br />「でもフランスの村はどれもよく似ているからかなあ」と自分に<br /> 言い聞かせながら村の中に入って行く。<br /><br />「あれ!この坂道は今日アメリカ人達と休憩した場所にそっくりだ。」<br /><br />既に私は「ここはどこ?私はだれ」のパニック状態である。<br /><br />更に村の中心部に入ってようやく納得した。<br /><br />「この教会前広場は確かに覚えている。」<br /><br />ここは昼過ぎに通り過ぎたLa Chaze de-Peyreの村だ。<br /><br />私はLa Chaze de-Peyre村の次にあるLasbros村を<br />6キロ程過ぎたあたりで標識を読み間違い、<br />左折して大きく左に逆旋回しながら<br />炎天下の道を4時間以上かけて歩き続け<br />お昼ごろに通り過ぎたLa Chaze de-Peyre村に<br />また戻って来てしまったのだ。<br /><br />膝関節の力が抜けて倒れそうになり、<br />思わず私の杖にしがみついた。<br /><br />以下ではその後の顛末を報告します。<br /><br />「人生万事塞翁が馬」という意味が<br />少し理解するような出来事が<br />次の出逢いで待っていました。<br />

還暦一人旅フランス巡礼路(巡礼5日目)何故か途中で大回り逆戻りーああ、この村はいつか来た村?

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2015/07/01 - 2015/07/20

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2013tomo

2013tomoさん

表紙は7月6日(巡礼6日目)の朝、ジット(巡礼宿)の前で
撮影した写真だ。
巡礼宿のチャーミングなマダムと昨夕に足の豆の薬をくれた
女性巡礼が朝風の中で爽やかに微笑えみながら私を送り出して
くれた。
旅立ちの最高のプレゼントだ。

昨日(7月4日)は早め(午後3時)にホテルにチェクインし、
洗濯も早い時間にできたので
十分乾かすことができた。
食事も夕食をたっぷりとったので元気いっぱい。
睡眠もベッドが良かったのか快眠できた。
リュックサックの持ち物も
更にダイエットしたのでもっと
軽くなった。
足指の豆も症状は安定化して来たので安心。

今日は暑くなりそうだが体力、
気力ともに充実しているので
これまでの遅れを取り返すつもりで
実験的に1日30キロを歩いて
みる予定を立てる。

Saint-Alban sur-Limagnoleを7:00に出発し、
30キロを歩いて
夕方5:00頃にはMalbouzon近くの
村で宿泊する予定を立てた。

私の当初の計画では今回の巡礼路を
1日平均で25キロ歩き、
30日で750キロを走破して7月末までには
サン・ジャン・ピエドポーに到着。
更にゆとりがあればピレネー山を越え
パンプローナまで足を伸ばす
予定であった。
そうすれば通算してユーラシア大陸を
ロシアのウラジオストックから
スペインのフィニステーラまで
横断したことになり私の「若き日の夢」
が実現する。

私は2013年春のスペイン巡礼では
後半は1日30キロ以上を歩けるように
なっていたのでこの当初の計画は
無理のないものだと思い込んでいた。

この神をも恐れぬ『私の無邪気な傲慢さ』が
今日の失敗のはじまりだった。

巡礼路は毎日が想定外である。

Saint-Alban sur-Limagnoleを出発し、
10キロ程歩いたところに給水所があったので
新鮮な飲料水に入れ替える。
これであと28キロ歩いても水は大丈夫だ。

更に10キロ程歩いて昼過ぎに
a Chaze de-Peyreという村を過ぎる。

この時、アメリカから来たという
巡礼グループと一緒になり言葉を交わす。
明るい笑い声、楽しそうな会話、
力強い歩みといかにもアメリカ人という
印象である。

彼らはあまり荷物を持たず軽装なので
いわゆる「巡礼ツーリスト」なのかも
しれない。

※重い荷物はタクシーで次の町まで
 前に運んでもらい
 巡礼路を観光感覚で
 楽しく歩くツーリスト達のことを
 他の巡礼者たちは「巡礼ツーリスト」と呼んでいた。
 
あと10キロh程歩けば
目的地のMalbouzon近くにくるので体を
休めることができると
歩く速度を早めた。

巡礼標識はその都度十分
確認して歩いていたはずだ。

地図も時々取り出して確認していた。

しかし、3時間ほど歩くうちに
不安感が生まれてきた。

地図ではこんな木々の多い道を
歩くとは書いていない。

背の低い灌木地帯か牧草地帯を歩くはずだ。

「おかしいなあ」という一抹の
不安を抑えながら更に1時間
 歩き続けた。

するとようやく巡礼路が明るく開けて
村の入口の標識が見えてきた。

「やたー!」、「村にたどりついたぞ!」と
元気が出てくる。

しかし、どうも様子がおかしい。

この村の風景はどこかで見た覚えがある。

「これはデジャブ(既視)現象かなあ。」

「でもフランスの村はどれもよく似ているからかなあ」と自分に
 言い聞かせながら村の中に入って行く。

「あれ!この坂道は今日アメリカ人達と休憩した場所にそっくりだ。」

既に私は「ここはどこ?私はだれ」のパニック状態である。

更に村の中心部に入ってようやく納得した。

「この教会前広場は確かに覚えている。」

ここは昼過ぎに通り過ぎたLa Chaze de-Peyreの村だ。

私はLa Chaze de-Peyre村の次にあるLasbros村を
6キロ程過ぎたあたりで標識を読み間違い、
左折して大きく左に逆旋回しながら
炎天下の道を4時間以上かけて歩き続け
お昼ごろに通り過ぎたLa Chaze de-Peyre村に
また戻って来てしまったのだ。

膝関節の力が抜けて倒れそうになり、
思わず私の杖にしがみついた。

以下ではその後の顛末を報告します。

「人生万事塞翁が馬」という意味が
少し理解するような出来事が
次の出逢いで待っていました。

旅行の満足度
4.5
ホテル
4.5
同行者
一人旅
一人あたり費用
10万円 - 15万円
交通手段
徒歩
旅行の手配内容
個別手配

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  • Saint-Alban sur-Limagnoleを出発して<br />6?程歩いたところにある給水所。<br /><br />この炎天下の巡礼路では水分補給が<br />生命線なので本当に助かる。<br /><br />飲料水の使用料と水の残量を<br />常に確認しながら歩くことが習慣となった。<br /><br />ここからはしばらく下り坂が続くので歩くのが楽だ。

    Saint-Alban sur-Limagnoleを出発して
    6?程歩いたところにある給水所。

    この炎天下の巡礼路では水分補給が
    生命線なので本当に助かる。

    飲料水の使用料と水の残量を
    常に確認しながら歩くことが習慣となった。

    ここからはしばらく下り坂が続くので歩くのが楽だ。

  • 途中、雑木林の中に面白そうな小屋があったのでシャッターを押した。<br /><br />雨が強く降ってきたらこの中で避難するのであろうか。<br /><br />小屋の中には休憩できるようにテーブルも設置されていた。<br /><br />野宿もできるかもしれない。

    途中、雑木林の中に面白そうな小屋があったのでシャッターを押した。

    雨が強く降ってきたらこの中で避難するのであろうか。

    小屋の中には休憩できるようにテーブルも設置されていた。

    野宿もできるかもしれない。

  • 炎天下の巡礼路である。<br /><br />先日、巡礼路を前後して歩いていた<br />フランス人の巡礼夫婦に再会する。<br /><br />「あなたはゆっくりと歩いているけれど私たちによく追いついてくるね」<br />と声をかけてくれる。<br /><br />私は「J suis monsieur Escargot.」(私は”でんでんむし”です。)<br />と声を返す。<br /><br /><br />同じ路を歩むものとして<br />今は声を掛け合う巡礼仲間になった。<br /><br />不思議だが巡礼路で出逢う人とは何度でも再開する。<br /><br /><br />ご主人から「水ばかり飲むよりもこれを食べたら。」とすももを頂く。<br />旅の人情がありがたい。<br /><br />私がお返しするものは<br />精いっぱいの笑顔と「メルシーボクー(本当に<br />ありがとうございます。」の感謝の言葉しかなかった。<br /><br />「われわれは暗号の世界のなかに生きている。」<br />というヤスパースの言葉がある。<br /><br />この不思議な出逢いの連続性の意味を<br />帰国後にしっかりと考えてみたい。<br />

    炎天下の巡礼路である。

    先日、巡礼路を前後して歩いていた
    フランス人の巡礼夫婦に再会する。

    「あなたはゆっくりと歩いているけれど私たちによく追いついてくるね」
    と声をかけてくれる。

    私は「J suis monsieur Escargot.」(私は”でんでんむし”です。)
    と声を返す。


    同じ路を歩むものとして
    今は声を掛け合う巡礼仲間になった。

    不思議だが巡礼路で出逢う人とは何度でも再開する。


    ご主人から「水ばかり飲むよりもこれを食べたら。」とすももを頂く。
    旅の人情がありがたい。

    私がお返しするものは
    精いっぱいの笑顔と「メルシーボクー(本当に
    ありがとうございます。」の感謝の言葉しかなかった。

    「われわれは暗号の世界のなかに生きている。」
    というヤスパースの言葉がある。

    この不思議な出逢いの連続性の意味を
    帰国後にしっかりと考えてみたい。

  • 途中でかわいらしいマドモアゼルに追い越される。<br /><br />勇気を振り絞って<br />「あなたの歩く姿があまりにも美しいので写真を撮らせてください。」<br />とお願いしてみた。<br /><br />彼女は立ち止まって笑顔で対応してくれた。<br /><br />私の4トラベルの畏友カリオカケイタさんから<br />「トモさん。旅では女性に対してピロポが大切ですよ。」<br />と教えていただいていた。<br />これを実行してみたのである。<br />私にはとても勇気が必要な行為であったが効果は抜群である。<br /><br />※ピロポ:スペイン語(特に中南米諸国)の世界にはピロポ(piropo)<br />     と呼ばれる言葉があります。<br />     女性という存在そのものに対する詩的な賛美の言葉といわれています。<br /><br />

    途中でかわいらしいマドモアゼルに追い越される。

    勇気を振り絞って
    「あなたの歩く姿があまりにも美しいので写真を撮らせてください。」
    とお願いしてみた。

    彼女は立ち止まって笑顔で対応してくれた。

    私の4トラベルの畏友カリオカケイタさんから
    「トモさん。旅では女性に対してピロポが大切ですよ。」
    と教えていただいていた。
    これを実行してみたのである。
    私にはとても勇気が必要な行為であったが効果は抜群である。

    ※ピロポ:スペイン語(特に中南米諸国)の世界にはピロポ(piropo)
         と呼ばれる言葉があります。
         女性という存在そのものに対する詩的な賛美の言葉といわれています。

  • 写真を撮っていたら<br />後から追いついてきた若い男性巡礼から<br />「僕の写真も撮ってよ!」と声をかけてきたので<br />「じゃあ特別にね。」とカメラを向けると<br />「いいよ、いいよ。」と言いながら通り過ぎて行った。<br /><br />巡礼路のちょっとした交流が楽しい。<br /><br />

    写真を撮っていたら
    後から追いついてきた若い男性巡礼から
    「僕の写真も撮ってよ!」と声をかけてきたので
    「じゃあ特別にね。」とカメラを向けると
    「いいよ、いいよ。」と言いながら通り過ぎて行った。

    巡礼路のちょっとした交流が楽しい。

  • 私の巡礼姿をこのマドモアゼルに撮って頂いた。<br /><br />なんだか「アジアから来た怪しげな老人」という<br />雰囲気です。<br /><br />ドラゴンボールの<br />亀仙人に似ているような気もします。<br /><br />とにかく怪しい雰囲気が漂っていますね。<br /><br />自分では気が付いていませんでした。<br /><br />これを読んでいた家族から<br />「亀仙人はエロ爺だよ~!」と言われてしまいました。<br />(私は知りませんでした)<br /><br />2024年3月8日(金)の記事で「漫画家・鳥山明さん(68)急逝」<br />が報じられていました。<br />『ドラゴンボール』『Dr.スランプ』などの名作を生み出してきた<br />漫画家の鳥山明さんが2024年3月1日に急性硬膜下血腫のため<br />亡くなっていたことが分かりました。68歳でした。<br />他の記事では<br />米紙ニューヨーク・タイムズは「鳥山氏の作品は国境を超えて<br />広く知られ、何世代もの漫画家に影響を与えた」とたたえ、<br />また他の記事では<br />鳥山明さんの代表作「ドラゴンボール」は世界80カ国以上で<br />愛読され、集英社によると累計発行部数は約2億6千万部に上ると<br />書かれています。<br />(産経新聞)<br /><br />よく知らないのに<br />「ドラゴンボールの<br />亀仙人に似ているような気もします。」<br />と書いた私の無知加減が恥ずかしくなります。<br /><br />世界を旅していてドラゴンボールのことが<br />よく話題になりました。<br />若い人たちはこの漫画を読んで日本が好きになり<br />日本語の勉強を始めた人も多くいました。<br />漫画の力は世界共通で偉大です!!

    私の巡礼姿をこのマドモアゼルに撮って頂いた。

    なんだか「アジアから来た怪しげな老人」という
    雰囲気です。

    ドラゴンボールの
    亀仙人に似ているような気もします。

    とにかく怪しい雰囲気が漂っていますね。

    自分では気が付いていませんでした。

    これを読んでいた家族から
    「亀仙人はエロ爺だよ~!」と言われてしまいました。
    (私は知りませんでした)

    2024年3月8日(金)の記事で「漫画家・鳥山明さん(68)急逝」
    が報じられていました。
    『ドラゴンボール』『Dr.スランプ』などの名作を生み出してきた
    漫画家の鳥山明さんが2024年3月1日に急性硬膜下血腫のため
    亡くなっていたことが分かりました。68歳でした。
    他の記事では
    米紙ニューヨーク・タイムズは「鳥山氏の作品は国境を超えて
    広く知られ、何世代もの漫画家に影響を与えた」とたたえ、
    また他の記事では
    鳥山明さんの代表作「ドラゴンボール」は世界80カ国以上で
    愛読され、集英社によると累計発行部数は約2億6千万部に上ると
    書かれています。
    (産経新聞)

    よく知らないのに
    「ドラゴンボールの
    亀仙人に似ているような気もします。」
    と書いた私の無知加減が恥ずかしくなります。

    世界を旅していてドラゴンボールのことが
    よく話題になりました。
    若い人たちはこの漫画を読んで日本が好きになり
    日本語の勉強を始めた人も多くいました。
    漫画の力は世界共通で偉大です!!

  • 途中のLasborosを過ぎても巡礼路は平坦な道が続き<br />気温は高いが歩くのは楽です。<br /><br />このまま歩けばあと3時間程で目的の村近くに到達<br />するはずでした。

    途中のLasborosを過ぎても巡礼路は平坦な道が続き
    気温は高いが歩くのは楽です。

    このまま歩けばあと3時間程で目的の村近くに到達
    するはずでした。

  • ところが途中から巡礼路は森の中に入って行く。<br /><br />「おかしいなあ。地図ではもっと開かれた灌木地帯か<br /> 牧草地帯を歩くはずなんだが。」<br /><br />「ほかに迂回路はないのでとにかくまっすぐ行ってみよう。」<br /><br />※この時点で「おかしいとおもったら原点に戻る」という基本を<br /> 忘れています。<br /> 心のどこかに傲慢さが生まれている証拠です。<br /><br />しばらく歩き続けると巡礼路が開けて村の標識が見えてくる。<br /><br />「ようやく到着したか。」<br />とホッとしながら村の入口にさしかかると、<br /><br />「あれ!この村どこかで見たような気がするなあ?」<br />と不思議な気持ちになる。<br /><br />「デジャブ(既視)現象か?」<br /><br />でも最終的に私は標識を見誤り、<br />巡礼路をはずれ大回りして山道を<br />逆戻りしていたのが分かった。<br /><br />「やっぱりこの村は4時間前に通った村だ。」<br /><br />「決してデジャブー(既視)現象ではない。」<br /><br />「4時間も炎天下を歩き続けた結果がこの有様だ。」<br />と愕然として膝から下の力が抜け落ちる。<br /><br />しかし、ここで座っていても何も解決しない。<br /><br />幸い庭の植物に水をやっている老人がいた<br />ので声をかける。<br /><br />「ムッシュー、すみません。<br /> この近くに宿泊できるところはありますか?」<br /><br />「ここにはないなあ。<br /> あと2キロメートル行ったところにジットが<br /> あるよ。<br /> そこまでは歩いて行かなければならないがね。」<br />という回答。<br /><br />あと2キロメートルも歩くのかとガッカリする。<br /><br />かなり疲れているがとにかく歩き出す。<br /><br />私の歩く速度はさらに遅くなる。<br /><br />「うしろ姿のしぐれてゆくか」(山頭火)<br /><br />という俳句がピッタリの心境になる。

    ところが途中から巡礼路は森の中に入って行く。

    「おかしいなあ。地図ではもっと開かれた灌木地帯か
     牧草地帯を歩くはずなんだが。」

    「ほかに迂回路はないのでとにかくまっすぐ行ってみよう。」

    ※この時点で「おかしいとおもったら原点に戻る」という基本を
     忘れています。
     心のどこかに傲慢さが生まれている証拠です。

    しばらく歩き続けると巡礼路が開けて村の標識が見えてくる。

    「ようやく到着したか。」
    とホッとしながら村の入口にさしかかると、

    「あれ!この村どこかで見たような気がするなあ?」
    と不思議な気持ちになる。

    「デジャブ(既視)現象か?」

    でも最終的に私は標識を見誤り、
    巡礼路をはずれ大回りして山道を
    逆戻りしていたのが分かった。

    「やっぱりこの村は4時間前に通った村だ。」

    「決してデジャブー(既視)現象ではない。」

    「4時間も炎天下を歩き続けた結果がこの有様だ。」
    と愕然として膝から下の力が抜け落ちる。

    しかし、ここで座っていても何も解決しない。

    幸い庭の植物に水をやっている老人がいた
    ので声をかける。

    「ムッシュー、すみません。
     この近くに宿泊できるところはありますか?」

    「ここにはないなあ。
     あと2キロメートル行ったところにジットが
     あるよ。
     そこまでは歩いて行かなければならないがね。」
    という回答。

    あと2キロメートルも歩くのかとガッカリする。

    かなり疲れているがとにかく歩き出す。

    私の歩く速度はさらに遅くなる。

    「うしろ姿のしぐれてゆくか」(山頭火)

    という俳句がピッタリの心境になる。

  • 写真はジットの前にある広場。<br /><br />7時前にようやくLasborosのジットに到着した。<br /><br />玄関い入ると男性がくつろいだ様子で本を<br />読んでいる。<br /><br />「予約をしていないのですがこのジットに止まれますか?」<br />と英語で尋ねる。<br /><br />男性は質問の意味が分からないのか怪訝な顔をしている。<br /><br />今度はフランス語で同じことを聞いてみる。<br /><br />男性はまた怪訝な顔をする。<br /><br />更にスペイン語で聞いてみる。<br /><br />男性が「私は巡礼者で泊り客です。」とフランス語で答えた。<br /><br />「それはすみません。オーナーはいますか?」と聞くと<br /><br />「知らないなあ」とそっけない返事が返ってきた。<br /><br />「フランス人は冷たいなあ。」と心の中で思う。<br />(これは後で全く私の誤解であることが判明した)

    写真はジットの前にある広場。

    7時前にようやくLasborosのジットに到着した。

    玄関い入ると男性がくつろいだ様子で本を
    読んでいる。

    「予約をしていないのですがこのジットに止まれますか?」
    と英語で尋ねる。

    男性は質問の意味が分からないのか怪訝な顔をしている。

    今度はフランス語で同じことを聞いてみる。

    男性はまた怪訝な顔をする。

    更にスペイン語で聞いてみる。

    男性が「私は巡礼者で泊り客です。」とフランス語で答えた。

    「それはすみません。オーナーはいますか?」と聞くと

    「知らないなあ」とそっけない返事が返ってきた。

    「フランス人は冷たいなあ。」と心の中で思う。
    (これは後で全く私の誤解であることが判明した)

  • オーナーのマダムは19時前にパンや食料を持って帰って来た。<br /><br />夕食用の買い物をして帰ってきたのだ。<br /><br />マダムと言っても若い感じの爽やかな魅力的な女性である。<br /><br />「今晩、泊まれますか」と聞いてみると<br /><br />「夕食の材料を準備できていないのでパンと野菜とチーズくらい<br /> しかないけどいいかしら?」との回答。<br /><br />「それで充分です!」といってチェックインの手続きをした。<br /><br />泊まれるだけでもありがたい。<br /><br />夕食は写真の右下にある玄関前のテーブルで<br />さっきのフランス男性と一緒に<br />食べた。<br /><br />彼の名前はアリベルという。<br /><br />巡礼路は今月初めから暑いので<br />朝は6時に出発し13時頃には次の<br />宿泊先にチェックインして<br />本を読んだりしながら休養しているとのこと。<br /><br />食事中に彼は私のおかずが少ないことを<br />気にしてくれて自分の料理を少し<br />分けてくれたり、ワインをグラスについでくれた。<br /><br />私は単純なので<br />「このフランス人は良い人だ。」とすぐに認識を改めた。<br /><br />私が巡礼のスケジュールの遅れを取り戻すために<br />今後の巡礼の移動方法を相談すると<br />アリベルさんはバスや<br />鉄道の利用方法を具体的に教えてくれた。<br /><br />明日はバスでConques(コンク)まで移動することにした。<br /><br />時間が20時を回ってマリさんというフランス人の巡礼が到着した。<br /><br />彼女は休暇を利用しながら巡礼路を何回かに分けて歩いている<br />と言っていた。<br /><br />彼女は自分で料理を作って食事をしていた。<br /><br />

    オーナーのマダムは19時前にパンや食料を持って帰って来た。

    夕食用の買い物をして帰ってきたのだ。

    マダムと言っても若い感じの爽やかな魅力的な女性である。

    「今晩、泊まれますか」と聞いてみると

    「夕食の材料を準備できていないのでパンと野菜とチーズくらい
     しかないけどいいかしら?」との回答。

    「それで充分です!」といってチェックインの手続きをした。

    泊まれるだけでもありがたい。

    夕食は写真の右下にある玄関前のテーブルで
    さっきのフランス男性と一緒に
    食べた。

    彼の名前はアリベルという。

    巡礼路は今月初めから暑いので
    朝は6時に出発し13時頃には次の
    宿泊先にチェックインして
    本を読んだりしながら休養しているとのこと。

    食事中に彼は私のおかずが少ないことを
    気にしてくれて自分の料理を少し
    分けてくれたり、ワインをグラスについでくれた。

    私は単純なので
    「このフランス人は良い人だ。」とすぐに認識を改めた。

    私が巡礼のスケジュールの遅れを取り戻すために
    今後の巡礼の移動方法を相談すると
    アリベルさんはバスや
    鉄道の利用方法を具体的に教えてくれた。

    明日はバスでConques(コンク)まで移動することにした。

    時間が20時を回ってマリさんというフランス人の巡礼が到着した。

    彼女は休暇を利用しながら巡礼路を何回かに分けて歩いている
    と言っていた。

    彼女は自分で料理を作って食事をしていた。

  • 夕食後は外で足小指の豆の治療をしていた。<br /><br />今日、30キロも歩いたのでまた悪化してきたのだ。<br /><br />私が縫い針で水液体を出す<br />我流のまめ治療をしているとマリさんがやって来て<br /><br />「そんな乱暴な治療はやめなさい。逆に悪化するわよ。」<br /> 私が専用の薬と、<br />テープを持ているからあなたに上げる。」<br /><br />といってわざわざ部屋に帰って持ってきてくれた。<br />彼女は英語が話せた。<br /><br /><br />とてもうれしかったので<br />「私はキリスト教徒ではありませんが<br />聖書で読んだ『良きサマリア人の例え』みたいですね。」というと、<br /><br />彼女はにっこりとほほ笑んでくれた。<br /><br />うれしくて涙が出そうになった。<br /><br />今日の事件があったので<br />気弱になっていたのかもしれない。<br /><br />彼女は高校の美術の先生をしている。<br /><br />日本の俳句に関心があると言う。<br /><br />「どうして?」と聞くと<br /><br />「俳画が好きで松尾芭蕉を勉強したことがある。」と言う。<br /><br />「俳画だったら与謝野蕪村も良いですよ。」と付け加えると、<br /><br />「帰ったら調べてみるわ」と言っていた。<br /><br />私が「今回の巡礼では芭蕉の 奥の細道 の英訳版を持って<br />歩いているのですよ。」というと、<br /><br />「人生は旅と同じですからね。」と反応してくれた。<br /><br />彼女は「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人成り。」<br />という「奥の細道」の<br />冒頭の言葉を知っているのだと思った。<br /><br />彼女はアメリカの森の詩人ソローも<br />芭蕉ついて書いていると言っていた。<br /><br />帰国したら調べてみたい。

    夕食後は外で足小指の豆の治療をしていた。

    今日、30キロも歩いたのでまた悪化してきたのだ。

    私が縫い針で水液体を出す
    我流のまめ治療をしているとマリさんがやって来て

    「そんな乱暴な治療はやめなさい。逆に悪化するわよ。」
     私が専用の薬と、
    テープを持ているからあなたに上げる。」

    といってわざわざ部屋に帰って持ってきてくれた。
    彼女は英語が話せた。


    とてもうれしかったので
    「私はキリスト教徒ではありませんが
    聖書で読んだ『良きサマリア人の例え』みたいですね。」というと、

    彼女はにっこりとほほ笑んでくれた。

    うれしくて涙が出そうになった。

    今日の事件があったので
    気弱になっていたのかもしれない。

    彼女は高校の美術の先生をしている。

    日本の俳句に関心があると言う。

    「どうして?」と聞くと

    「俳画が好きで松尾芭蕉を勉強したことがある。」と言う。

    「俳画だったら与謝野蕪村も良いですよ。」と付け加えると、

    「帰ったら調べてみるわ」と言っていた。

    私が「今回の巡礼では芭蕉の 奥の細道 の英訳版を持って
    歩いているのですよ。」というと、

    「人生は旅と同じですからね。」と反応してくれた。

    彼女は「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人成り。」
    という「奥の細道」の
    冒頭の言葉を知っているのだと思った。

    彼女はアメリカの森の詩人ソローも
    芭蕉ついて書いていると言っていた。

    帰国したら調べてみたい。

  • アリベルさんは朝の6時に出発して行った。<br /><br />長身の彼の後姿が朝もやの中に消えて行った。<br /><br />朝食はマダムとマリさんと一緒に楽しく食べた。<br /><br />マダムがバス会社に電話をかけてくれて次の町の<br />Nasbinalsで私をピックアップしてくれることになった。<br /><br />親切にもそこまでマダムが自分の車で送ってくれると言う。<br /><br />ありがたい。<br /><br />7時過ぎにマリさんも出発して行った。<br /><br />写真は出発直前のマリさんとマダムの写真。<br /><br />二人とも爽やかで美しい人だと思った。<br /><br />自然に「とてもきれいですよ!」”Très joli!&quot;<br />と言うと<br />素敵な笑顔を返してくれた。<br /><br />今日はConques(コンク)まで行く予定。<br /><br />コンクから私の出逢いに変化が生じてきた。<br /><br />そのことは次回から順次書いていきたい。<br />

    アリベルさんは朝の6時に出発して行った。

    長身の彼の後姿が朝もやの中に消えて行った。

    朝食はマダムとマリさんと一緒に楽しく食べた。

    マダムがバス会社に電話をかけてくれて次の町の
    Nasbinalsで私をピックアップしてくれることになった。

    親切にもそこまでマダムが自分の車で送ってくれると言う。

    ありがたい。

    7時過ぎにマリさんも出発して行った。

    写真は出発直前のマリさんとマダムの写真。

    二人とも爽やかで美しい人だと思った。

    自然に「とてもきれいですよ!」”Très joli!"
    と言うと
    素敵な笑顔を返してくれた。

    今日はConques(コンク)まで行く予定。

    コンクから私の出逢いに変化が生じてきた。

    そのことは次回から順次書いていきたい。

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この旅行記へのコメント (2)

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  • yamayuri2001さん 2017/03/08 17:27:55
    2013tomoさん、はじめまして!
    私の旅行記にご訪問いただきまして、ありがとうございます。
    また、たくさんのいいねを頂きまして、重ねてお礼申し上げます。

    巡礼の旅、素晴らしいですね。足の豆はお辛そうで、
    苦労もおありだとは思いますが、
    歩くと人との出会いは 多くなりますね。

    世界各国、田舎町が素敵だなと
    拝見していて思いました。
    歩くのは好きですが、長時間は厳しくなりました。
    還暦過ぎましたので!(爆笑)

    私達夫婦は、アメリカの田舎町をドライブすることが多いのですが、
    都市部よりも人情があって楽しいです。

    景色と人の優しさと、おいしい食べ物に出会うために
    まだまだ旅を重ねたいと思っていますので、
    これからもよろしくお願いいたします。

    yamayuri2001

    2013tomo

    2013tomoさん からの返信 2017/03/08 18:17:58
    RE: 2013tomoさん、はじめまして!
    > yamayuri2001様

    2013tomoです。

    お世話になります。

    yamayuri2001さんの旅行記をいつも楽しく拝見させて頂いています。

    私たちも旅を始めての未知の土地が多いのでとても参考になります。

    いつもは家内と二人で旅をしているのですが巡礼のように長距離を
    歩く旅は彼女は苦手ですので一人で旅をすることになります。

    でも私も60歳の半ばを過ぎて一人旅が覚束なくなってきましたので
    家内から「一人旅は危険だからやめなさい」と指導を受けています。

    二人で旅をするのも楽しのですが一人旅も味わいが深くまだ憧れを
    持っています。

    「限りある命のひまや秋の暮れ」(蕪村)という心境で次の一人旅
    を夢の中で追い続けています。

    次回はシルクロードのカシュガルまで鉄路で足を伸ばしてみたいと
    かってに計画しています。

    体が健康な限り旅を楽しみたいですね。

    美しい自然や人との出逢い美味しい食べ物(お酒も含む)等が私たちを
    待っているような気持がしています。

    これからも楽しい旅を続けましょう。


    私の旅行記にご訪問いただきまして、ありがとうございます。
    > また、たくさんのいいねを頂きまして、重ねてお礼申し上げます。
    >
    > 巡礼の旅、素晴らしいですね。足の豆はお辛そうで、
    > 苦労もおありだとは思いますが、
    > 歩くと人との出会いは 多くなりますね。
    >
    > 世界各国、田舎町が素敵だなと
    > 拝見していて思いました。
    > 歩くのは好きですが、長時間は厳しくなりました。
    > 還暦過ぎましたので!(爆笑)
    >
    > 私達夫婦は、アメリカの田舎町をドライブすることが多いのですが、
    > 都市部よりも人情があって楽しいです。
    >
    > 景色と人の優しさと、おいしい食べ物に出会うために
    > まだまだ旅を重ねたいと思っていますので、
    > これからもよろしくお願いいたします。
    >
    > yamayuri2001

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