2015/06/03 - 2015/06/03
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kojikojiさん
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デルフト3日目は朝からトラムでスヘフェニンゲンへ行って荷物を預けてからデン・ハーグの観光をする予定でしたが、「マウリッツハイス美術館」を開館から見学するために予定を変えました。オランダもベルギーも朝1番の美術館が空いているのに味をしめていました。ホテルに荷物を預けて電車でデン・ハーグに行って観光してから一度デルフトに戻るという一見無駄なようですが、実際はこれが良かったと思います。お蔭で誰もいない部屋で妻と2人でフェルメールの3作品と対峙することが出来ました。「真珠の耳飾りの少女」を10分以上2人で独占するのは贅沢な思い出になりました。その後に他の部屋を観てからもう一度戻ると人込みで部屋が埋まっていました。有名どころの作品以外にも素晴らしいものがたくさんあって驚きでした。あぁこの作品ってここに収蔵されていたのかと思うことの連続でした。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- グルメ
- 4.5
- ショッピング
- 4.0
- 交通
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 一人あたり費用
- 30万円 - 50万円
- 交通手段
- 鉄道 高速・路線バス 観光バス 船 タクシー 徒歩 飛行機
- 航空会社
- エミレーツ航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
当初の予定を変更してホテルに荷物を預けて、デルフト駅から列車でデン・ハーグに入りました。約15分くらいなのでロッテルダムとほぼ近い距離のようです。駅舎は工事中のようで改札はまだありませんでした。
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当初はデルフトからトラムでスヘフェニンゲンに行って、ホテルに荷物を預けてから市内へ戻るつもりでしたが、「マウリッツハイス美術館」の開館時間に間に合わないと思い、美術館に近い国鉄駅を利用しました。結果これが正解でした。
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駅前の掃除は巨大な掃除機でした。誰が考えたのか面白い発想です。初めて1,000円床屋の吸引器を見たときの驚きに似ています。
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早く到着しすぎたので街中をブラブラしながら美術館へ向かいます。デルフトに比べると大きな街で活気があります。
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美しいフレーム付のミラーが信じられない安さで売っていました。妻と2人ウインドウに釘づけでした。
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広場には巨大なハイネケンのトレーラーが停まっていました。オランダではハイネケン系のビールばかり飲んでいたような気がします。隣り合わせたベルギーでは町ごとに何種類ものビールがあった事を考えると寂しい気がします。
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駅から歩いて最初の広場ヘット・プラインまで来ました。広場の中央にはオラニエ公ウィレム1世の像が建っています。デルフトのプリンセンホフ博物館と新教会で勉強してきたばかりなので感慨深いものがあります。オランダにとってとても大切な人なのだと感じます。その周りにチョークで訳の分からない数字や文字を書いている人がいました。
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「マウリッツハイス美術館」です。建物は17世紀中期ヤーコプ・ファン・カンペンの設計で建てられたもので、オランダ古典様式建築の代表作とされます。まっすぐ正面から入るのかと思っていましたが違いました。
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館の名前はここに住んだナッサウ=ジーゲン侯ヨハン・マウリッツにちなむそうです。ヨハン・マウリッツは代々オランダ総督を務め、後に王家となったオラニエ=ナッサウ家の傍系で、当時植民地であったオランダ領ブラジルの総督を務めた人物です。
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左手にはビネンホフへ続く道がありますが、我慢して美術館の前で開館を待ちます。
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もっと並ぶのかと思いましたがあっけないほど1番で入館できました。左手の階段を下ると現代的なエントランスがあり、受付でミュージアムイヤーカードを見せます。他の人はチケットを購入しているのを横目にさっさと館内へ入ってしまいます。
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建物の中央に階段室が配され、吹き抜けの天井には綺麗なフレスコ画で覆われていました。色だけ見るとパリのオペラ・ガルニエのシャガールの絵みたいです。
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イチオシ
順番に見学しないで上階のフェルメールの部屋へ急ぎます。
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「デルフトの眺望」
ヨハネス・フェルメール
昨日デルフトの駅近くのこの風景の場所に行ったので感無量です。まさにデルフトの眺望でした。1人だけでしたが似たような背格好のおばさんも立っていました。 -
「デルフトの眺望」を観るとマルセル・プルーストの「失われた時を求めて」を思い出してしまいます。プルーストは死の前年にジュ・ド・ポーム美術館のオランダ絵画展で「デルフト眺望」を見たそうです。
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20年ほど前にプルーストに一時期ハマったのですが、あまりに難解だった記憶しか残っていません。
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プルーストの文中に「このように書かなくちゃいけなかったんだ」「この小さな黄色い壁のように絵具をいくつも積み上げて、文章そのものを価値あるものにしなければいけなかったんだ」とあります。
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そんなことを思い出しながらディティールを追いかけます。
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今までフェルメールの絵はいくつも見てきましたが、実際にデルフトへ行った今となってはこの絵が一番思い出深い作品です。
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ここでこの絵を観てデルフトの旅が終えられそうだと思いました。
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「真珠の耳飾りの少女」
ヨハネス・フェルメール
昨日デルフトの旧教会でフェルメールの墓詣りしてきたので感慨深いものがあります。 -
イチオシ
1881年のハーグのオークションにてわずか2ギルダー30セント(およそ1万円)でこの絵は落札されたそうです。当時この絵は極めて汚れていて評価の低さもやむを得なかったのでしょう。その後マウリッツハイス美術館に寄贈され、以後ここに所蔵されています。現在取引きされるならその価格は100億円とも150億円とも言われるそうです。
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「ディアナとニンフたち」
ヨハネス・フェルメール -
一番手前の人物がディアナなのは頭上の三日月の飾りからわかります。ニンフの1人がディアナの足を洗っているのは、キリストが弟子の足を洗ったエピソードを思わせます。個人的にはフェルメールを感じさせない作品だと思います。
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美術館の係員もいない中で2人だけでしばらく絵を眺めていました。
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開館と同時に美術館へ入った時の醍醐味でもあります。昔修復が終わったばかりのバチカンのシスティーナ礼拝堂へ開館と同時に早足でどこにも立ち寄らずに向かったことがあります。さすがに係員が2人いましたが、ミケランジェロの天井画と修復したばかりの美しい最後の審判を20分ほど1人で眺められたことは未だに忘れられません。
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「男の肖像」
フランス・ハルス
17世紀前半のフランス・ハルスはハーレムの肖像画家でした。彼は老後まで働いていたのは おそらく金銭的な問題によって80歳の頃まで肖像画を描きました。
ハルスは素早い筆使いで男を描ききました。暗い目の輝きと意志の強さを感じる唇は、肖像画の男性の個性と人生感じさせます。 -
「笑う少年」
フランス・ハルス
陽気な笑顔の少年は肖像画ではなく子供の笑顔の研究のために描かれたようです。非常に滑らかな筆使いで少年の性格や内面までも描き切っているようです。 -
イチオシ
下描きを描いたり下地を置いたりせずに直描技法で大胆に描いているので表情が生き生きしています。またボサボサの髪の毛も子供らしさを感じさせます。そしてフランス・ハルスの絵画の最大の魅力である笑顔が何とも言えません。
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「ゴシキヒワ」
カレル・ファブリティウス
兄のバーレント・ファブリティウスと共にアムステルダムのレンブラントの工房で絵を学んでいます。レンブラントのもっとも才能ある弟子のひとりと言われ、後にデルフトへ移り画家ギルドに加入します。その2年後に弾薬庫の40トン以上の火薬が爆発しデルフト市街の4分の1が破壊され、数千人が負傷し死者100人以上が出る大惨事が起こります。ファブリティウスの工房も爆発に巻き込まれ、ファブリティウスはがれきの下から助けられますが搬送先の病院で息を引き取ります。この爆発で作品の大半も失われ、今日に残る彼の作品は10点余りです。 -
イチオシ
レンブラントの弟子たちの中で、レンブラントから離れた独自の様式を築くことができたのはファブリティウスだけと言われます。
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「9人のミューズによって囲まれるアポロ」
ジェイコブ・デ・ウィット
この天井絵はライデンの家から来てここで描かれています。アポロン(芸術の古典的な神)は楕円の中心に描かれて9人のミューズによって囲まれています。 -
2人だけの貸切のようで申し訳ない気がしてきます。展示されている作品も素晴らしいですが美術館のインテリアも素晴らしいです。
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「若い雄牛」
パウルス・ポッテル
これはマウリッツハイスの最も有名な絵画の1つです。牡牛の大きさにもかかわらず、空のヒバリや草原の日光、雄牛の背中の周りのハエや牛のヒゲなど、細部に多くの注意を払いました。この絵はオランダの自然主義者絵画の手本となる作品です。 -
ボッテルは当初宗教画や神話画を手がけていましたが、徐々に動物画を多く手がけるようになります。アムステルダムで名声を得て多くの作品を制作します、が結核のために28歳の若さで亡くなってしまいます。
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牛の足元にカエルが1匹います。
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牛に対してよほどの愛情が無いとこのような顔は描けないのではないでしょうか。
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「5つのアプリコットの静物画」
アドリアーン・コルテ
コルテの静物画はすべて同じシンプルなデザインを持っています。石の卓上には暗い背景のため光の中にいくつかの果物や野菜や木の実があります。コルテはここで5つのアプリコットを描きました。 -
絵画というよりもグラフィック的な印象を受けます。数点しか観ていませんが同じような構図の絵が多いです。コルテのサインはいつもテーブルに描かれています。
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「苺のある静物」
アドリアーン・コルテ -
イチオシ
コルテはベリー類やアスパラガスや貝といった題材を好んで描いたそうです。また17世紀の手法としては珍しく、板に紙を張ったものの上に描いた作品が多く、作品は60点あまりが現存しています。18世紀の画家ですが20世紀の後半になるまで忘れられた作家だったそうです。
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「眠っているリナルドを花で縛るアルミダ」
ウィーレム・バン・ミーリス -
ロッシーニのオペラにもなっている題材です。物語はどろどろした愛憎劇ですがここではあくまでも美しい絵に仕上がっています。
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リナルドの兜で遊ぶ天使たちが愛らしいです。
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この美術館は数年の閉鎖と改修工事の後に床面積も拡大され2014年に再オープンしています。部屋の窓からビネンホフが望めます。鑑賞ん途中で表の景色を眺めないと頭の中が沸騰しそうです。
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「神殿奉献(賞賛の歌を歌うシメオン)」
アールト・デ・ヘルデル
見た瞬間にヘルデルの作品と分かりました。生まれたばかりの幼子イエスを主に捧げるべく聖母マリアとヨセフが神殿を訪ねる場面です。昨日行ったロッテルダムのボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館にも作品がありました。この絵は2003年に国立西洋美術館にも来ています。 -
「二人のムーア人」
レンブラント・ファン・レイン
ブリュッセルの王立美術館で観たルーベンスの「黒人の顔・四つの習作」を思い出します。17世紀のオランダではアフリカ人は主に聖書の場面で奴隷など、支持される側の人物として描かれていました。しかしレンブラントは彼らを主題にしました。おそらく彼らはアムステルダムに住んでいた自由人と思われます。 -
どちらも素晴らしいですがルーベンスの楽しさげな表情とレンブラントの心の奥に秘めた心象の違いが面白いです。
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「年取った男の肖像画」
レンブラント・ファン・レイン
描かれた男性のジャケットは開き、襟が緩んで帽子も曲がってます。肖像画は最高の状態で自分自身を描くのでこのような態度は珍しいです。この男性はレンブラントの友人であり、肖像画は公式のものではなかったようです。 -
「ハイチェアーの少女」
ホーファールト・フリンク
姪の七五三を思わず思い出しました。何でこんな恰好をさせられているのかは分からないけれど、少し誇らしげな表情をしているように感じます。 -
だいたい3歳のこの女の子はベビー用食事椅子の隣に気取って立っています。 彼女はきれいな服を着て、水晶で花の花輪を頭に、金の鎖とブレスレットと金のガラガラをつけています。 この女の子の両親は明らかに裕福だったのでしょう。
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「自画像」
レンブラント・ファン・レイン
レンブラントほど多くの自画像を作った17世紀の芸術家はいません。この自画像は1669年のレンブラントの人生の最後の年にさかのぼります。たぶんこれは彼の最後の自画像です。表現力の自由さはレンブラントが人生の終わりに疲れ果てっていなかったことを示しているようです。 -
イチオシ
若くして肖像画家として成功し、晩年には私生活における度重なる不幸と浪費癖による財政的苦難に喘ぎますが、オランダには比類すべき画家がいないとさえ考えられています。デン・ハーグの次は旅の最終日のアムステルダムですが、そこには「夜警」が待っていると思うと気分は高揚してきます。
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「神殿奉献(賞賛の歌を歌うシメオン)」
レンブラント・ファン・レイン
まるで劇場の芝居を見ているような劇的な空間を感じます。養父ヨセフと聖母マリアは彼らの新生児イエスを神に捧げるために寺院にいます、そこで赤子はシメオンによって待望された救世主と認められます。 老人は腕に幼子抱き賞賛の歌を歌います。 シメオンに降り注ぐ神の光は子供自身から輝いているようにも見えます。 -
レンブラントがこの場面を描いたとき、彼は25歳でライデンに住んでいました。 同じ年にアムステルダムへ引っ越して大きな作品を描き始めます。
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「若い母親」
ヘラルト・ドウ
画面の中から強烈な視線を感じます。 -
若い母は針仕事で窓のそばに座っています。 メイドの娘は揺りかごの隣にひざまずいています。この絵は1660年にオランダからのイングランド王チャールズ2世への外交的な贈り物のひとつでした。
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「羊飼いの崇拝」
ジャン・デ・ブレイ -
ベツレヘムの厩舎で3人の羊飼いが新生児のイエスを崇拝して跪きます。マリアは彼らにイエスの姿を見せるようにおくるみを持ち上げています。 暖かい光と落ち着いた色は画面に親密な空気を醸します。
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「レンブラントの肖像画」
レンブラント・ファン・レイン -
「長老たちに脅かされるスザンナ」
レンブラント・ファン・レイン
裕福なユダヤ人ヨヤキムの妻スザンナの水浴を2人の長老達が覗き見し、「我々と関係しなければ、お前が若い男と姦通していると通報する」と脅迫します。姦淫の要求をするもスザンナに拒否されると、それに立腹して脅迫どおり姦通を犯した罪で死罪にするよう告発します。少年であった預言者ダニエルが2人の長老達の告発に疑いを持ち、スザンナが何処で罪を犯したか別々に話を聞きます。一方は乳香樹の下、もう一方は柏の木の下でと別々の場所を答えたことから2人の長老達の虚偽が暴かれ無実が証明されます。 -
「羽の付いたベレー帽をかぶる男の肖像」
レンブラント・ファン・レイン
男は頭を右に回して肩越しにこちらを見ています。羽と金の刺繍とコートと帽子で正装されています。光が彼の顔に明るく落ちて襟のカラーの金属が美しく輝いています。 -
こうやってレンブラントの作品を幾つもの美術館で鑑賞しながらアムステルダムへ向かうのは楽しいものです。
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「窓辺に置かれた花瓶の花」
アンブロジウス・ボスハールト -
30種類のカラフルな花束のこの絵はアンブロジウス・ボスハールトによる名人芸で、 彼は細心を払って花を描きました。
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そのためにそれぞれの花は簡単に認識できるそうです。 この絵はチューリップを含む最も美しい花を描いています。
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「デルフトの新教会のウィレム1世の墓」
ジェラール・ブラームフックヘース
昨日拝観してきたばかりの新教会の数百年前の絵を観るというのは不思議な感じがします。そしてほとんど現状と変わらない姿なのが驚きです。 -
「テュルプ博士の解剖学講義」
レンブラント・ファン・レイン
レンブラントはアムステルダムの外科医を描くために重要な任務を与えられた時にわずか25歳でした。この肖像画は1632年1月にニコラエス・トゥルプ博士が行った解剖学のレッスンに応じて命じられました。 -
描かれているのはニコラス・テュルプ博士が腕の筋肉組織を医学の専門家に説明している場面です。死体は矢作り職人アーリス・キントのもので、その日の午前中に強盗の罪で絞首刑になったばかりです
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見学者の一部は絵に描いてもらう代金を支払った医者たちです。またこの当時はお金を払って解剖を見学することもあったそうです。
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上の階の見学が終わったので下へ降ります。まだこの時間でも空いています。
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ゲル・ラタスター
「イカロス(人間のうぬぼれの寓話)」
イカロスの物語を彼はたくさんの色の構成で表現しています。イカロスは空を飛ぶために彼自身の翼を作りますが、太陽の熱が翼を固定した蝋を溶かして海に落ちます。 -
階段を降りたところに綺麗な花が生けられていました。まるで今見て来たばかりの静物画のようでもあります。もう少し早かったらチューリップだったのかもしれません。
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下の階は部屋の内装も変わりまた違った印象を与えてくれます。
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「氷上の遊び」
ヘンドリック・アーフェルカンプ -
この絵は典型的なオランダの冬の情景を表しています。人々は氷上でスケートをしたり、、そりに乗ったり、コルフと呼ばれる一種のアイス・ホッケーをしています。 左の一団の人々は氷の上で倒れましたが助けがやってきます。
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そして橋の前で倒れた女性は尻を露わにしています。
跳ね橋があるので通常は船が通過できるほどの深さがあるのでしょう。
そして橋の前で倒れた女性は尻を露わにしています。
アーフェルカンプは冬の景色を専門に描く北オランダの画家でした。 彼はカンペンで人生の大部分を送りますが、耳と口が不自由だったので「カンペンの愚か者」というあだ名をつけられたそうです。 -
「水差しのスイセンとツルニチニチソウとスミレ」
ルドガー・トム・リング
このような絵は1600年以前にはほとんど描かれませんでしたので貴重な作品と言えます。このような花がオランダとフランダースの絵の人気の対象物になった17世紀になってからでした。 背の高い水差しにはスイセンとスミレとツルニチニチソウ花が活けられています。 -
ツルニチニチソウの花は当初紫色でしたが青い顔料は経年の変色でオレンジ色に変わっています。彼は画家だった父の元で修業して、オランダやフランドルとイングランドで活躍します。 1569年以降はブラウンシュヴァイクに留まり亡くなるまで暮らします。
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「ジェーン・シーモアの肖像」
ハンス・ホルバイン?
ジェーン・シーモアは英国王ヘンリー?世の3人目の妻でした。 彼女の高価な衣装は金糸で刺繍されます。そして真珠のネックレスと宝石のペンダントをつけています。 ジェーンはヘンリーの大好きな妻でした。 -
イチオシ
彼女は難産の末にハンプトン・コートで待望の王子を出産します。王子の洗礼式は3日後の夜に行われますが、王妃たる者すべての儀式に出席せねばならずそのことが祟って12日後に亡くなります。ヘンリー8世は自分の死後隣に葬るように切望したそうです。宮廷画家だったホルバインはジェーン・シーモアのいくつかの肖像を描いています。
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妻はいつになく真剣な眼差しで絵画鑑賞しています。
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「聖母子」
ルーカス・クラナッハ
この作品は今まで観てきたものとは色調も落ち着いて、違う作家の作品のように見えます。 -
イチオシ
ルネッサンス期の多くの絵は聖母マリアと彼女の幼児イエスを題材にしています。クラナッハは理想的な丸顔と波打った長い髪でマリアを描いています。 イエスがブドウを摘もうとする姿を気にも留めていないようです。2人の天使が天蓋のように布を掲げています。
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気に入った作品でも光の具合で写真に残せなかったのが残念です。
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「エジプトへの逃避」
ヤン・ブリューゲル?
天使がヨセフの夢に現れてマリアとイエスを連れてエジプトに逃げるように命じます。またヘロデ大王が死んだと知らせるまでエジプトに留まるように告げたので、養父ヨセフは夜が明ける前に聖母子を連れてベツレヘムから脱出して難を逃れます。 -
その逃避行を助けながら先を急がせているような天使の姿があります。追手が迫っているような緊迫感も感じます。
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「最後の審判」
ヤン・ブリューゲル?/ハンス・ロッテンハイマー -
キリストによる審判が描かれています。画面左が救われる人々でしょうか。歩き去った後から悪魔が人々を地獄へ落としているようです。ブリューゲルとロッテンハンマーはしばしば一緒に作品を制作したそうです。この絵はオラニエ家の所蔵で、オランダ総督ウィレム1世のコレクションの一部でした。
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悪魔と共に地獄へ落ちてゆく人々の姿があります。天国より地獄の場面に気持ちが行ってしまうのは何かの暗示でしょうか…。
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「青華花瓶と花」
ヤン・ブリューゲル -
ヤン・ブリューゲルはビロードのブリューゲルと呼ばれ、高い精度で絵を描きました。 彼は花の静物画を描く専門の画家でした。バラとチューリップで構成されるのこの小さな花束は、特別な中国製の磁器の花瓶に生けられています。ブリューゲルは暗い背景の前にそれを置いたので、バラやスイセンと炎のようなチューリップは非常に映えます。
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「花瓶」
ヤン・ダヴィス・デ・ヘーム -
この絵は本当に花の爆発です。 形式ばった花束では無いことがそう思わせるのかもしれません。目に留まるのはガラスの花瓶に映った映像です。それは窓枠と窓から差し込み光をリアルに描き切っています。ヘームはこの時代で最も有力な花の画家でした。
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「ローマの勝利(ローマに栄誉を与える若々しい皇帝コンスタンティン)」
ピーテル・パウル・ルーベンス -
キリスト教を公認してその後の発展の政治的社会的基盤を用意したことからカトリック教会では聖人とされています。そのことから絵画の題材にされたのかもしれません。これもオリジナルを製作する前の習作です。
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イチオシ
「キュベレを囲んでいる果物の花輪」
ヤン・ブリューゲル/ヘンドリック・ファン・バーレン
非常に華やかで美しい作品なのですが、正面に窓があってどうしても写りこんでしまいます。ちょっと残念でした。 -
ファン・バーレンは神話画や大型の祭壇画を残しています。またヤン・ブリューゲルの風景画に人物像を描き込むなどの共同制作も多いです。
アナトリア半島のプリュギアで崇拝され、古代ギリシアや古代ローマにも信仰が広かった大地母神の姿を花で縁取っています。 -
「キャンドルを持つ老婆と少年」
ピーテル・パウル・ルーベンス
この絵も印象に残りました。今回観た数々のルーベンスの中でも一番良かったと思います。老婆は前に見つめますがロウソクに視線は合っていません。多分目が見えないのでしょう。左手をかざして火が灯っていることは分かっています。そして彼女の後から男の子がロウソクを灯そうとしています。ルーベンスはイタリアでカラヴァッジョの作品を見ているのでその影響を感じます。 -
イチオシ
この絵に惹かれたのはカラヴァッジオを感じたからかもしれません。彼の絵を追いかけてローマからナポリ、シチリアを巡りマルタ島まで行ったほど好きですから。
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ルーベンスはこの絵を手放しませんでした。それは工房のスタッフの勉強のためなのか、それとも気に入ってのことだったのでしょうか。
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「肖像画を描くアベレス」
ウィレム・ファン・アールスト
このタイプの画中画を描いた作品は幾つも観てきましたがこの作品は驚異的でした。 -
部屋の中の絵はフランドルやドイツやイタリアの実在する作品で満たされています。小さく描かれた絵は非常に精密の忠実に描かれています。彫像もまた有名な古典作品です。
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しかしこの空間の広さには驚きです。アントワープで見たルーベンスの家の工房も大きかったですが、こちらはローマの宮殿くらいの広さを感じます。
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左の最前面では古典的な物語を題材に絵を描いています。
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パソコン上の画面でかなりの拡大をしても手を抜いたような所は見つけられません。
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地球儀の周りの人々は東方三博士のようないでたちです。
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右下の絵はクエンティン・マサイスの「両替商とその妻」が描かれています。パリのルーブル美術館に収蔵されているものではなくてブリュッセルの王立美術館に納められているもののようです。画中のさらに中に描かれた凸面鏡の中の映り込みまで再現されています。
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「エデンの園(人間の堕落)」
ヤン・ブリューゲル/ピーテル・パウル・ルーベンス -
この絵はフランドルの2人の有名な画家のルーベンスとブリューゲルの共作です。ルーベンスが先に構図を考えアダムとイブ、木と馬とヘビを描いています。 その後ブリューゲルが非常に細かいタッチで動植物を加筆しています。
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アダムとイブが蛇にそそのかされて禁断の木の実を食べる場面です。ルーベンスらしい筆致を感じます。
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周囲の動物たちは明らかに筆致が違います。部分部分を切り取ると違った絵に見えますが、全体を眺めると1つの絵になっているので不思議です。
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「ロバート・チェスマンの肖像」
ハンス・ホルバイン・ヤング
ドイツの画家ハンス・ホルベインは、ついにイギリスに定住した直後にこの傑作を作りました。彼の見事な絵画技術は、例えば、男性の緊張した視線、彼の袖の光沢のあるサテン、真鍮の鐘の中ではっきりと見ることができます。 -
ラテン語の銘には「我々にこの貴族の身元を記する。ロバート・チェスマン1533年の48才。」彼は英国王ヘンリー8世の鷹匠でした。画中でも優しい手つきで鷹に触れています。
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「レスピネット家の男性の肖像画」
ハンス・メムリンク -
彼の黒いカールした髪や毛皮のついたダブレットと彼の鼻の傷跡まで非常に詳細に描いています。彼の名前は分かっていませんが、画中の紋章からフランスのレスピネット家のメンバーであろうという事が分かるそうです。メムリンクは肖像画の背景に景色を加えた初めての画家です。
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ヨハン・マウリッツ・ファン・ナッサウの彫像です。かなり高級そうな白大理石に正装した衣装の細かい所まで表現されています。
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オランダ総督の家系オラニエ=ナッサウ家の同族で、オランダ領ブラジル総督を務めたこの美術館の名前の由来になった人です。
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大満足の見学が終わりました。この頃にはたくさんのお客さんが入館を待っていました。
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ミュージアムショップのチューリップは残念ながら造花でした。それにしてもいろいろな種類があるものです。
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人気のある美術館だけあってフェルメールだけでは無くて素晴らしい作品を収蔵しているところでした。
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さあ現実の世界へ戻ってビネンホフからデン・ハーグの街歩きへ行きましょう。
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初夏のオランダ旅行(10)スヘフェニンゲンの早朝散歩で海の彫刻美術館の屋外彫刻の面白さを堪能し、美しい海岸を...
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初夏のオランダ旅行(11)旅の最終地アムステルダムはディ ポート・ファン・クレーフ ホテルに宿泊し、レンブラ...
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初夏のオランダ旅行(12)アムステルダム 屋根裏部屋の教会と街歩き、大人の社会科見学で「飾り窓」の夜を満喫す...
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初夏のオランダ旅行(13)アムステルダムの最大の目的である国立美術館でレンブラントの「夜警」に感動し、オラン...
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初夏のオランダ旅行(14)アムステルダム 国立美術館の後半はオランダの歴史から近代絵画までの流れを知り、ゴッ...
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初夏のオランダ旅行(15)美しいアールヌーヴォーのカフェ・アメリカンでランチを楽しみ、市立美術館でマティスを...
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旅行記グループ 2015 ベルギー・オランダの旅(2)
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