2016/11/27 - 2016/11/29
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Takashiさん
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シマフクロウは世界最大級のフクロウで、極東地域にわずかの数が棲んでいる。観察が比較的容易な日本には140羽ほどしかいない。バードウォッチャーには有名な民宿があり、その庭先の小川の中の小さな池に入ったサカナを目当てにシマフクロウがやってくる。これまで、長い間、1つがいのシマフクロウがここを狩場として、多くの子孫を残してきた。このつがいも老齢となり、ついに世代交代が起きた。
バードウォッチングツアーに参加して、この民宿を訪れると、新しいカップルが元気に現われた。柔らかな照明の下に見るシマフクロウには気品があった。アイヌの人々が部落を守る神とあがめたのが良くわかる。
たくさんの写真も撮影できて、幸せな一夜であった。来年、このカップルに無事に2世が誕生し、育っていくことを祈りたい。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- 社員・団体旅行
- 交通手段
- 観光バス ANAグループ
- 旅行の手配内容
- ツアー(添乗員同行あり)
PR
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11月27日、羽田空港に集合して、バードウォッチングツアーがはじまった。最大の目的はシマフクロウを見ることである。知床のバードウォッチングは世界的に有名で、ことに流氷がやってくる2月が最盛期だ。しかし、シマフクロウ観察に最適なのは冬ではなく春から秋だというので、このツアーに参加することを決めていた。
ところが、今年の夏にかけてシマフクロウの様子がおかしいという情報が入ってきて、心配していた。夏に訪ねた知人は空振りで帰ってきた。空港でお会いした、ベテランガイドに尋ねると、新しいカップルが誕生して出が良くなったとのことで、すっかり安心して、期待に胸が膨らんだ。 -
中標津空港で待っていたツアーバスに乗って羅臼に向かった。その郊外に、バードウォッチャーの間では世界的に有名な民宿、鷲の宿がある。部屋の様子は典型的な民宿であるが、料理はおいしく、そして宿の隣にシマフクロウの観察小屋があるのだ。これも世界的に有名なカソワリハウス(Cassowary House, 筆者の旅行記もある: http://4travel.jp/travelogue/11015589)の日本版だ。
写真は観察小屋の外観で、翌日、撮影した。民宿 鷲の宿 宿・ホテル
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観察小屋の内部。シマフクロウがやってくると、窓を開ける。
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前を流れる小さな川の中に、小池が作ってあり、ここに毎日、民宿のおかみさんが生きたヤマメを入れてあげる。これを目当てにシマフクロウがやってくる。お金と労力がかかり、大変なことである・
観察小屋と小池との距離は20-30メートル。 -
午後4時半ごろ宿に着いた。早い時は5時にシマフクロウが現れるというので大慌てで撮影の準備をした。ここは目に優しい特殊な照明をしていて、そのおかげで1/80秒のシャッタースピードにすると、1/800秒のシャッターを切った効果がある。
使ったレンズはニコンの500mm F4でD810(フルサイズ)に装着した。出発前に写真を撮影された方々の情報を調べると、レンズが長すぎるのではないかと恐れた。400mm F2.8ならぴったりだろうが、持っていない。しかし、この施設(シマフクロウオブサバトリー)のホームページはとてもしっかりしていて、それによると、このレンズでも大丈夫なようで、思い切って使用した。細長い観察小屋の中ほどに場所を定め、カメラのフォーカスポイントを下げておくことによって、シマフクロウが巨大な羽を広げても(羽の両端の間隔は1.8mほどある)、ほとんどの場合、羽の先端がちぎれることなく撮影できた。なお、ここに示した写真は鳥がじっとしている時のはトリミングしているが、鳥が動いている時のはノートリミングである。
5時には準備ができて、シマフクロウを待ったが、現れない。しかし、待っている間に、現地のエキスパートの話を聞くことができた。それまでに持っていた情報と総合すると、恐らく以下のようなのだろう。ここで、長い間、シマフクロウのカップルが子育てをし、小池のヤマメの恵みもあって、毎年、順調に子孫を残して行った。しかし、老齢となってメスが死に、続いて、この場所を絶好の狩場と思った、流れオスが老いたオスに挑んで、勝った。新しいオスは用心深かったので、小池に現れる頻度が減った。ところがしばらくして、古いカップルの娘と新参のオスが新しいカップルとなった。メスがこの場所に慣れているためか、再び、シマフクロウの出現は定期的になった。
必ず来ると思っても、顔を見るまでは不安である。ことに今日は雪が降っている。雪が降るころにシマフクロウの活動レベルは下がるという。
まず食事をしようとなった。観察小屋は食堂を兼ねているのだ。ところが、頂きますと言おうとしたところで、「来ました」と声が上がった。5時半を大分過ぎたころである。
オスもメスも一緒に来ている。凛々しい顔である。 -
じっと魚を狙った。
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飛び込んで大きく羽を広げる。
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イチオシ
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シマフクロウは何度も飛び込んでサカナを獲った。顔が正面を向くときもあった。
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突然、キタキツネが現れて、観察小屋の脇を通った。シマフクロウに興味はないようだった。シマフクロウも注意はしているものの、おびえた様子はない。シマフクロウの強さを明示している出来事だ。
この写真はサブカメラで撮った。150mm相当だ。
それまでエサを獲っていたのは主にオスで、やがて満足したオスは飛び去った。メスは残ってしばらく活動した。こうして25分ほどの間、私たちはシマフクロウの飛び込みを何度も何度も撮影できた。 -
シマフクロウがいなくなってからゆっくり食事。そして寛いだ。十分にサカナを獲っていたので、もう出ないかと思ったが、9時を過ぎたころメスがまたやってきた。
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真剣に狙って。
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何回も飛び込んでサカナを獲った。
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美しい姿だ。
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イチオシ
きりっと前を向いて羽を広げている。
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美味しそうに食べる。
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メスが去ると入れ替わりにオスがやってきて、また頻繁に飛び込んだ。
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飛び込んだ瞬間は目を閉じている。
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また飛び込み。
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小池は深く石も置いてある。サカナを探っているのか。
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羽を広げて飛び出そうとする。
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足にしっかり獲物を掴んでいる。
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イチオシ
たたずむ姿。
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顔を拡大。
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帰り支度。
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そして去って行った。オスメス併せて30分以上の滞在であった。
予想を超えた素晴らしい体験だった。
かってのカップルはここを拠点として多くの子供たちを育てた。その意味で、この民宿はシマフクロウの保護に大きく貢献している。新しいカップルも来年、無事に子育てできることを祈りたい。
なお、シマフクロウオブザバトリーのホームページは訪問や写真撮影についての貴重な情報を満載しているが、シマフクロウ保護のためにも興味深いものである。 -
バードウォッチングツアーは2泊3日のもので、シマフクロウが中心であるものの、それ以外にも収穫が多かった。
タンチョウのサンクチュアリーではカップルが鳴きあっていた。鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ 自然・景勝地
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知床から野付半島に至る海岸線では、ワシたちの姿もあった。最盛期はもっと後だが、初めて見る私には楽しいものだった。
写真はオジロワシ。オオワシと共に世界最大級のワシである。カラスを嫌がっている。カラスに比べると大きさが分かる。 -
木のてっぺんにオオワシがいる。
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飛び立った。
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ワシたちが集まった所もあった。
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オオハクチョウの群れ。
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港にも冬鳥の姿が。写真はウミアイサのカップル。オスが捕まえたサカナをメスがねだっている。
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林にいる鳥も本州と違う。ゴジュウカラが多い。
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同じく目につくハシブトガラ。コガラに似ている。
このように収穫の多いツアーだった。さすがに定評のあるバードウォッチング・ツアーだけのことはある。
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この旅行記へのコメント (2)
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- ドロミティさん 2016/12/09 19:06:42
- 精悍な顔ですね!
- Takashiさん、こんばんは^^
お久しぶりです。
シマフクロウの魚を捕獲する姿を目の当たりに見て、しばし精悍な顔に見とれました。
まるでナレーション付きの動画を見ているような感じで、又々見知らぬ世界を垣間見る
ことができて、興味深く拝見しました。
毎日シマフクロウにヤマメを提供している女将さんのためにも、是非この若いカップルに
2世が誕生して、無事に育って欲しいですね。
本格的な冬の到来を迎えましたから、風邪など召されませんようになさってください。ドロミティ
- Takashiさん からの返信 2016/12/09 21:26:00
- RE: 精悍な顔ですね!
- ドロミティさん
こんばんは
お便り大変ありがとうございます。また、シマフクロウの旅行記を読んでくださり、ご投票頂き、ありがとうございます。
そうなんです。シマフクロウが、とっても見事な顔をしているのに、あらためて驚きました。サカナを獲る時の表情は、写真に撮って初めてわかりますので、後で眺めて感心するとともに嬉しくなりました。世界的に少なくなっている、こんな素晴らしい鳥が日本で生き残っていることは誇らしいです。ただ数が激減しているので、保護には難しい面もあるようです。
まずは、このカップルでの2世誕生ですね。タンチョウも激減していましたが、今は復活しています。そうなるといいですね。
Takashi
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