2016/09/25 - 2016/09/25
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Takashiさん
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日本の秋の自然風物詩の一つはタカの渡りである。サシバ、ハチクマなどのタカが越冬のため南を指して渡って行く。ことに有名な観察場所は長野県の白樺峠と愛知県の伊良湖岬だ。日常生活ではタカにお目にかかることは滅多にない(もっともトビもタカの仲間であるが、ここでは除いておこう)。バードウォッチングに出かけても、特定の場所に行かない限り、必ずタカに出会えるわけではない。渡りの時期はタカを見る好機なのである。
タカの渡り観察は天候に左右される。雨が降ったり、霧がかかったりではタカも飛ばないし、観察も困難だ。いっぽう、悪天候が続いた後の、天候回復時には壮大な数のタカが渡る。
2016年9月25日、白樺峠バードウォッチングツアーに参加し、1日で数千羽のタカが飛ぶ幸運な時に巡り合った。3時間余りの観察時間の間でも、数百羽は飛んだであろう。私は、この日は写真撮影より観察に主眼を置いていたので、2015年の、これも絶好調の時であった伊良湖岬での写真を加えて記してみた。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 交通
- 3.5
- 同行者
- 社員・団体旅行
- 交通手段
- 観光バス
PR
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2016年9月25日午前9時30分ごろ、乗鞍岳近くの白樺峠に着いた。すさまじい数の車が駐車しているのに驚いた。それまで1週間くらい悪天候が続いた。今日は晴れたり曇ったりの予報だから、タカがたくさん飛ぶことが予想される。日曜日ということもあって、これだけの人が押しかけたに違いない。
駐車場から、ゆっくり登って20分ほどのところにタカ見の広場が整備されている。斜面一帯に、望遠レンズを装着したカメラを構えた人たちが展開している。後で聞くと500人ほどの人出だそうだ。写真は人物が特定できないような撮り方でごく一部を示した。
斜面の向こうの山を越えてタカが渡ってくるのである。白樺峠 自然・景勝地
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私たちが到着する前に、すでに大規模な渡りがあったようだ。しかし、さらに1000羽を超えるタカがこちらへ向かっているという情報が流れていて、皆期待して待っていた。
大群は到着しなくても、パラパラとタカが渡るから退屈はしない。高いところを飛ぶから双眼鏡で見ないと分からない場合も多いが、高度を下げて真上を飛んでいく時もある。12時前になってタカが群れて飛ぶようになった。そして小休止。
ついに大群がやってきて、次々にタカが渡っていく。今日は、私は観察を主にすることにして、持参したのは400mmのズーム。三脚はなし。この条件ではタカの撮影は、私の腕では厳しい。しかし、大群が渡ると、たまには何とか見られるかもしれない写真が撮れた。
渡るタカの主体はサシバである。中型のタカで体長49cmとされている。カエルやヘビなどの小動物をエサとしている。写真のように、タカらしく悠然と羽を広げる時も多い。 -
しかし今日は先を急ぐから、結構あわただしく羽を動かしている。
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サシバが先を行くタカに迫っている。
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サシバが高度を上げた。
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そして追い越した。
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サシバに続いて数が多いのはハチクマという、やや大型(体長55cm)のタカである。ハチクマも様々な小動物を狩るが、特にスズメバチやアシナガバチの幼虫やサナギは好物らしい。
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広い視野で撮ったタカの渡り。壮大だ。全部で10羽のタカがいる。写真に熱中せずに見ているのも悪くない。
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タカが谷から湧き上がってくるのを眺めるのも素晴らしい。特に数が多いと。
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上昇気流に乗ってタカが旋回する時、タカの数が多いと、蚊柱のように見え、これをタカ柱とよぶ。
大群がやってきたので、私たちは何度もタカ柱に遭遇した。一度サッと数えただけで20羽近くはいるタカ柱だった。しかし写真に記録したのでは、遠くにいるのを含めて11羽が写っているだけだ。
写真では、何だということになるかもしれないが、実際に、谷から何羽ものタカが上がってきて旋回するのを見ると陶然とする。 -
上の写真の右中ほどを拡大した。
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左側も拡大した。7羽いる。
1時近くになると、タカの渡りは小康状態となった。まだ続きはあるだろうが、帰宅しなければいけないので、ここで撤収。素晴らしい時に出会ったと喜び合った。
この日、白樺峠を渡ったタカは5000羽近くで、過去数年で最多らしい。詳しい情報はタカの渡り全国ネットワークのホームページに掲載されている(http://www.gix.or.jp/~norik/hawknet/hawknet0.html)。
タカが多く渡る日は過去のデータから大体分かる。しかし、天候次第の面があるから正確に予測することは不可能だ。このあたりと見当をつけていただいた主催者の判断と勘、そして参加者の運に感謝した。 -
今年のタカの渡りは素晴らしかったが、昨年の伊良湖岬も当たりだった。伊良湖岬は2014年と2015年に訪ね、最初ははずれだった。しかし、2回目に幸運に巡り会っていた。この時は撮影主体の一人旅で500mm, F4のレンズに1.4倍のテレコン装着というタカを撮るのには、私の腕では最低必要だろうという装備で臨んでいた。少しはましな写真となっているので紹介しておこう。
渥美半島の先端にある伊良湖岬は、かなり前からタカが渡る場所として知られていた。渡るタカの総数は白樺峠の半分程度であるがアクセスがいい利点がある。
伊良湖岬でのタカ見の場所として最適な所の一つは伊良湖ビューホテルである。このホテルの駐車場と屋上という2つの観察場所がある。豊橋駅からホテルまで無料の送迎があるのもうれしい。
2015年9月29日。快晴の日で、勇んで予約してあった伊良湖ビューホテルに向かった。シャトルバスは午後の便なので、早めに着くため電車を乗り継ぎ、最後はタクシーを使った。伊良湖オーシャンリゾート 宿・ホテル
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イチオシ
ホテルの屋上に陣を据えた。伊良湖岬の先端から神島、さらに遠く志摩半島まで見渡せる。この間の海の上をタカが渡っていくのだ。
比較的近くでサシバが旋回してくれた。 -
サシバが急いで飛んでいく。
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悠然たる姿。
多くのサシバが飛び、また近くを飛ぶのが何羽かいていい日だった。 -
9月30日。晴れた日だが風が強い。ホテルの駐車場で撮影した。ここのほうが渡りのルートに近い利点がある。
東側の山を越えたサシバがやってくる。通り過ぎる瞬間が撮影のチャンスだ。 -
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イチオシ
懸命に羽ばたいている。
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風が強いから低く飛んでくれる。
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ハチクマの渡り。
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低く飛ぶ。
この日もたくさんのタカが渡り、満足して11時のシャトルバスでホテルを後にした。
両日とも700羽前後のタカが飛び、2015年の伊良湖岬ではトップレベルであったようだ。詳しい情報はやはり前述のサイトにある。
伊良湖岬と白樺峠の両方で絶好の時に巡り合えたのは、只々幸運である。
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この旅行記へのコメント (8)
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- olive kenjiさん 2016/10/19 20:17:03
- タカ祭りがあるとは
- 教授、お久しぶりです。
私の久ひさの旅行記にいいねありがとうございました。
いやー、タカが5,000羽も飛来する時があるなど全く知りませんでした。NHKのダーウインの何とかで取り上げてもよさそうなもんですが。
それより驚いたのは、それを見るために500人!信じられません。
日本にはこういう愛好家とか野次馬がいらしゃるということが、まだまだ日本には知らない世界があるのだと再認識した次第です。。
写真も動画のようで、良かったです。むしろ本当の動画よりも新鮮な感じです。
また前述されたドロミティさんも、高山植物どころか鳥もよく知っているんですね。
タカが知れている・・・
私なんかサシバ、サシバ と聞いても先日歯医者で入れた差し葉しか思いつきません。
これからも、また私たちの知らない世界を教えて下さいませ。
教授、元気で世界を探検して下さいよ。インディージョーンズはやっていましたよ。
- Takashiさん からの返信 2016/10/19 22:22:20
- RE: タカ祭りがあるとは
- olive kenji さん
こんばんは
お便り大変ありがとうございます。瀬戸内旅行記も楽しませて頂きました。特に太鼓台の鮮やかな写真が何とも言えません。
白樺峠のタカ祭りは全く愉快でした。
今年はその後タカの渡りは低調で、あの日だけが突出していました。皆もある程度予想していて、見ず知らずどうして、いやーよかったですねーと笑いあっていました。
多くの人が巨大なレンズを持っていて、あれだけバズーカ砲が集まったのは珍しいです。
でも多分テレビのクルーはいなかったような。何時にあたりが来るかわからないので、ずっと張り込むのも大変なのかもしれません。
激励を頂いたので、また変わった所を探訪したいです。
Takashi
- ドロミティさん からの返信 2016/10/22 19:09:45
- 恐縮ですが、、、
- Takashiさん、 olive kenji さん
こんばんは^^
お二人の会話?に割り込みさせてくださいね。
ついついolive kenji さんの書き込みを発見して、そこに自分の名前
を見つけたので嬉しくて(^_-)
olive kenji さんの仰るとおり、タカの知識はタカが知れるどころか
全くゼロです。高山植物もしかり、、(;゜ロ゜)
Takashiさんのお写真で初めてサシバ、ハチクマの羽の模様を見たんですから〜!
「写真も動画のよう」とのコメント拝見して、正しくそうだ!と思いましたヽ(^o^)丿
> 激励を頂いたので、また変わった所を探訪したいです。
是非是非!未だ見ぬ世界を楽しみにお待ちしております。
これから一段と朝夕冷えてまいりますので、お二人とも健康管理にお気をつけてお過ごしくださいね。 ドロミティ
- olive kenjiさん からの返信 2016/10/22 19:57:35
- 三人の関係とは
- Takashiさんの掲示板上で失礼します。
三人とも何かの関係でお知り合いだったのですね。
得てして言へば、ドロミテのとある山で学術調査も兼ねて登山していた世界奇怪探検王インディージョーンズTakashi教授のところへ、好奇心旺盛トレッキング中タフネスウーマンドロミティさんが何してるのと寄ってきて、そこへ観光ハイキングのおっさんolivekenjiが、こんにちは日本人ですかと場違いな話に入り込んでくる。そんな感じですかね。
- Takashiさん からの返信 2016/10/22 21:40:25
- RE: 恐縮ですが、、、
- ドロミティさん
こんばんは
楽しいお便りありがとうございます。olive kenjiさんからも愉快なお便りをいただきました。旅の話題で盛り上がれるのは素晴らしいですね。
動画の方は妻がやっているので棲み分けて、写真にこだわって撮っていますが、動きにしたらという視点が入っているのかもしれません。
こちらでは、やっとキンモクセイが満開になりました。例年より10日以上遅れていますが、そのかわり花は今まで見たことがないほど見事です。いよいよ秋たけなわ、お互いに良い日々でありますように。
Takashi
- Takashiさん からの返信 2016/10/22 21:56:37
- RE: 三人の関係とは
- olive kennjiさん
こんばんは
愉快なお便りありがとうございます。最初はドロミティさんが先輩であるドロミテが共通の興味だったと思いますが、私のホームグラウンドであるタカに2人とも興味を持っていただいて盛り上がって下さり、とてもうれしいです。
インディージョーンズには憧れますので、そう呼んでいただくと、こそばゆくうれしいですが、次の旅では宝が出てくるのか。計画だけはきっちりいたしましょう。
Takashi
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- ドロミティさん 2016/09/30 02:08:09
- タカの渡り☆
- Takashiさん、こんばんは^^
タカの渡りを素晴らしいお写真とTakashiさんの臨場感のあるコメントで
見せていただき、どうもありがとうございました。
何も知らなくてお恥ずかしいですが、タカは隊形を整えて渡るのでは
ないのですね。
Vの字とかレの字になって飛行するのだと思ってました。
また、羽の模様?が綺麗で、サシバとカチクマとでは大夫違いがあると言うことも鮮明なお写真でよく分かりました。
タカの勇姿に感動しました☆ ドロミティ
- Takashiさん からの返信 2016/09/30 10:26:03
- RE: タカの渡り☆
- ドロミティさん
おはようございます。
タカの旅行記を読んでくださり、コメントとご投票を大変ありがとうございます。
そうなんです。タカの場合は集団で渡っても、ちゃんとした隊列は作らないようですね。集団写真で載せた最初のでも、主に右手に移動していますが、中には反対方向に旋回しているのもいます。タカの場合、怖いものがいないからでしょうか。
タカは羽の模様と胴体の筋が美しいですね。露出をうまくしないと、この模様が出せず、黒くなってカラスみたいになります。カラスの大きさと、多くのタカの大きさは似ていますから。
タカの区別、詳しく見ていただいて、さすがドロミティさんです。模様が重要で、さらに羽の先もポイントになります。指のように出ている羽先がサシバの場合5枚、ハチクマですと6枚となります。こちらは最後の確認手段でしょうが、サシバと思っていたのが6枚あれば、はてとなります。
この日は本当にすごい日で、お祭りだという人がいました。タカ祭りでした。
Takashi
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