2024/02/24 - 2024/02/24
126位(同エリア212件中)
まりも母さん
港区白金台にあった旧渡辺甚吉邸
解体の危機を乗り越え茨城県取手市に移築復原されました。
昨年度から行われている 一般公開日に申し込み 見学させて頂きました。
あまりにも見どころの多いこの建物。
とても一度では見きれず 2度も見学してきちゃいました。
2度の見学をまとめて旅行記に記載します
(主な目的は自分の備忘録でもあります)
見どころ多すぎなので 外観・1階・2階 の3つの旅行記に記載します。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 交通
- 4.5
- 同行者
- 家族旅行
- 交通手段
- 自家用車
- 旅行の手配内容
- その他
-
旧渡辺甚吉邸は 2022年3月
取手市の前田建設工業ICI総合センターの敷地内に移築・復原されました。
ICI総合センターは前田建設工業の研究施設です。
研究施設内である事から 広く一般に公開することが難しいそうで、
期間を決めて 人数制限のある予約制での一般公開がされています。
2023年6月・8~9月・11月2024年2月 と過去4回行われています。(2024年4月現在)
まりも母は3回目の11月と4回目の2月の2度 参加しました。
約1時間半の見学時間が与えられましたが
見どころが多すぎて 写真は取り損なっているし 見なかった部分もあったりで
とても1回の見学会では時間が足りない程の建物でした。
広いICI総合センターの門前からは 中の様子も判らない程。
常総線寺原駅前の集合場所へ向かいます。 -
関東鉄道常総線 寺原駅南口の集合場所。
取手から3つ目の駅ながら ローカルなディーゼル車の鉄道駅で
昼間は1時間に3本の運行。
南口の真ん前には ICIセンターへの門があり そこから施設内に案内されました。
南口はICIセンターが出来た時に新設されたようです。 -
会社の方に案内されて進むと 目的の建物が見えてきました。
一見 昭和初期に建てられたとは思えない 瀟洒な雰囲気。
都内にあれば 普通に「豪邸」として違和感もないように見えます。
(画像は11月と2月のものが混ざっていますので季節感が違います) -
まずは 甚吉邸の隣 W-ANNEXで受付をします。
ワークショップが行われたり 甚吉邸をサポートする施設として造られたW-ANNEX
RC構造の上にネオハーフティンバーと言う 国産材とポリカの組み合わせで出来た建物です。 -
着席し 見学に関する注意などを聞きます。
建物の紹介ビデオも繰り返し映され それは見学時間内に見られます。
説明を聞いたのちは 指定の時間にここへ戻るまでは 自由見学です。 -
見学者それぞれ 自由に 建物内、外観からと 見学開始です。
私たちはまず 建物正面 門の前から。
甚吉邸(旧渡辺甚吉邸)昭和9年(1934)
遠藤健三設計 内装・照明器具など 今和次郎デザイン
建築全体計画 山本拙郎
国指定登録有形文化財
岐阜の資産家の跡取りであった 渡辺甚吉が 新婚生活を送るために建てた邸宅。
戦後GHQに接収され 後 スリランカ大使館や結婚式場に使われ 2016年取り壊しの危機を迎えます。
有識者や研究者が保存を唱え 解体後 取手市のこの場所に 移築・復原されました。
ハーフティンバースタイルの建物。
施主の甚吉氏は 東京商科大学卒業の翌年 欧米に一年程遊学。
その時 この建物を設計する 遠藤健三と一緒だったそう。
2人は遊学先のイギリスで見た チューダー様式のハーフティンバー造を気に入り
自邸にそれを採用した、と言う事です。 -
門に付けられた外灯。
これだけで「普通と違う」を感じさせるデザイン。
この照明も 現存作品が少なく 幻のデザイナーとされる今和次郎のデザイン。
今和次郎は 建築学者であり 民俗学や意匠、家政学にまで精通した人
遠藤と山本の師でもあります。 -
門の左に建物があります。
これはガレージ。
車の入り口が正面の通り方向でなく 内向きなのは当初のまま。
白金台にあった当時も 門が通りに面していたため
門扉やガレージの石積み ファサードはとても目立っていたそう。
ガレージが外向きでは 不用心と言う意味もあっただろうと。
また、甚吉氏はイギリスから車を輸入し レースカーに改造していたそうです。 -
窓の周りが石の額縁仕立てになっています。
左右 下の所に四つ葉のような彫刻があります。
このモチーフの意味は判りませんが この後何度も登場するのです。 -
観音開きの門
素敵なデザインです。
蝶番の飾り金具は重厚感があり イギリスっぽさを感じます。
矢羽根状に 彫られた所も美しいです。
敷かれたアプローチの鉄平石も素敵。 -
観音開きの門脇のドアを内側から。
ガレージ、門、塀と続く同じデザイン。
ドアの表面には門扉と同じ 矢羽根の仕上げ。
この左の壁面には 移築工事に携わった関係者の方々のお名前が記された
記念板がありました。 -
ガレージから見せて頂きます。
ガレージはコンクリート造であったので 移築が出来ず
屋根と石材など一部再利用の復原。
現在 内部は展示空間。
移築復原の際 取り外したオリジナル、復原に使用した型、
修理や部材再現の様子を示したパネルなどがありました。 -
後に室内で見る事になる 天井レリーフのオリジナル。
状態の良い物で型どりし 復原された部分と
元のまま使われた物があるそうです。 -
外観をぐるっと見ます。
正面にあたる玄関ポーチと2階の部分
最も特徴的なフェイス部分。
張り出した窓の周り 構造材の見える真壁っぽいハーフティンバー。
しかし、実はこれ 意匠上のものであり
本当の構造柱ではなく 化粧柱のようなものだそうです。 -
軒の部分 破風板に波のような彫刻があります。
はつりも施され 手仕事のすばらしさが見て取れます。
しかし 風雨を受けて痛みの酷かった為 ここは修復されています。
この部分 実は左右で復原方法が異なるのだそう。
左側は従来の修復方法でもある 職人による手作業での埋木によるお直し。
右側は前田建設の最新技術で 痛みの少ない部分を3Dスキャンし
それを基に 多軸加工機という機械でそっくりに切削加工して復原したものだそう。
現代のハイテク技術が 昔の手作業を忠実に再現できる時代になってきたのですね。 -
その下の窓部分
出窓の下の方 クロスした材の中に煉瓦も見えます。
煉瓦をちらっと覗かせる意味は チューダー様式アピールな気がします。
この煉瓦も構造体とは全く関係が無いでしょう。
見える木部に名栗加工を施すのも
チューダー様式を追求したからだと思います。
そういう 手抜き無しの完成度?追求度?ヲタク度と言えるかもしれない所 好きです。 -
反時計まわりに。
結構複雑な形をしています。
特にこの面から見ると 全然古臭さなんて感じず
むしろ 近年のモダン住宅のようにも見えます。 -
2階建て 一部3階部分も見えます。
手前側1階の下部には石が張られています。
建物奥(画像右側)は基礎部分が見えます。 -
手前のここ 基礎部分が見えなくて石が張ってあるのもスタイリッシュですが
この部分って高い基礎のコンクリートなのだろうか?
雨除けの為に石を張ったのか?単に意匠的なものなのか?
(そういうの・・・後から疑問に感じちゃっても
見学中に気づかないと質問できないねぇ
いつもそんな感じです。今回は2回も行ったのに) -
2階の壁面。雨戸の鎧戸上 ここにも四つ葉モチーフ。
ひし形のステンドグラスはあちこちに採用されています。
そして、雨どいの樋を壁に留めている金具のデザインがオシャレではありませんか!
樋の水が落ちる箇所にはレリーフまで。 -
更に裏手へ進むと 左の壁 元台所(非公開部分)の裏は
W-ANNEXへの渡り廊下と後付けで改修されたドアなどがあります。
本当は この辺りに女中さんの住まいだった別の和館が繋がっていたとか。 -
玄関前に戻ります。
ひし形ステンドグラスが沢山見えます。
ステンドグラスは各所に使われています。
ほとんどは 柄のステンドグラスではなく このひし形の単色のもの。
ハーフティンバーの柱の見える壁は 正面の飛び出した場所だけです。
建物全体に使われていないから 重すぎない印象なのかも。
玄関辺りは石積みになっています。
ここは重厚感がありますから バランスを取った外観と言えそうです。 -
ステンドグラスの出窓を側面から
木部 釿で削ったはつりだらけです。
軒屋根の持ち送りも凝っています。
そして出窓の出っ張り脇の所にも矢羽根に並べられた 壁と同じタイルが。 -
玄関ドアは案外こじんまりとしていました。
ここが見学の入り口になります。 -
ドアが閉まった状態(見学中は開け放しです)
玄関ドアにも金属製の飾りが付いています。
ドア上の石には彫り物がありました。 -
玄関ポーチのペンダント灯
これは今和次郎のデザインなのか?は確認できません。
ちょっと和風、と言うか 寺社にありそうなデザイン。
しかし 鎖が四角型で変わっています。
凝ったデザインと言えますね。 -
石積み基礎に開けられた排気口。
鉄製の排気口カバーはやはり四枚葉のモチーフでした。 -
建物を時計回りに進み左脇にある階段とドア。
これは1階応接室と2階の居室へ繋がる 裏口的な動線。
ドアは玄関ドアと似たデザイン。
階段の蹴上にも石が張られてオシャレです。 -
更に建物裏手の方へ
どの雨どいにも同じ装飾金具が使われていました。
画像中央は 先ほどのドアの先 階段室
左1階の中は和室です。(このお部屋は非公開でした)
屋根が瓦葺きなのも良くわかります。 -
二両編成ののどかなディーゼル電車の線路脇に移築された甚吉邸
よくぞ解体の難を逃れ生き残ってくれました。
なんの所縁もない茨城県に移築されましたが
これは、もう茨城県の宝だと思います。
外観編の旅行記は以上です。
あまりにも見どころの多い甚吉邸。
内部は更に驚きの空間がそこかしこに。
続きは 内部を1階と2階に分けて記載致します。
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