伊吹島の瀬戸内国際芸術祭2022を追憶 　瀬戸内あいらんど紀行vol.28

2022/10/13 - 2022/10/14

瀬戸内国際芸術祭2022秋会期が開催されている伊吹島を泊りで訪島しました。今回の旅では、瀬戸内に沈む夕陽、朝陽に映える作品、島の美味しい魚、そして島の名物人物に出逢い、とても印象に残る島旅になりました。

【旅程】
○10月14日（金）
観音寺港13：15（真鍋海運・臨時便）13：40伊吹島～徒歩で作品めぐり～
＜春日旅館　泊＞　　
○10月15日（土）
伊吹島9：00（真鍋海運）9：25観音寺港

【島データ】
・伊吹島（いぶきじま）　香川県観音寺市
　面積：1.01平方km　周囲：6.2km　標高：22ｍ　人口：323人（令和2年国勢調査）

エリア 観音寺市(香川)

• 交通手段: 船 レンタカー 徒歩

高松空港でレンタカーを借り、父母ヶ浜に立ち寄り観音寺に向けてドライブ。父母自ヶ浜から伊吹島が見えます。

父母ヶ浜海水浴場 ビーチ

市内の芸術祭来場者用駐車場に車を置き、シャトルバスで観音寺港へ。乗船券を買います。伊吹島へは片道600円。

13時15分発は芸術際会期中のみ運行される臨時便。臨時便は予備船「Popeye2」による運行です。

芸術祭のスタッフの方々に見送られて出港。

白波を立てながらかなりの速度で走ります。

伊吹島が見えてきました。

観音寺港から25分で伊吹島に到着。島の人々の足はバイクで、港にはたくさんのバイクが並んでいます。

伊吹島 自然・景勝地

島の中央部に続く坂道を登ります。

民家の跡地にはインドネシアの作家、マラ・ヤルスマとニンディティヨ・アディプルノモの作品「パサング」があります。漁船に祀られているお守り「ふなだまさん」と２艘の漁船で行われるいりこ漁から発想を得た作品とのことです。

みかんぐみ＋明治大学学生の「いりこ庵」。憩いの場になっています。

いりこの加工に使うせいろや島の瓦や廃木材などが用いられています。

芸術祭の作品ではありませんが、建築家ユニットのKASAと観音寺総合高校とのフィールドワークによるベンチが島内数カ所に設置されています。

旧伊吹小学校は芸術祭の会場となっています。伊吹島には小・中学校が別の場所にあります。

マラ・ヤルスマとニンディティヨ・アディプルノモの作品が廊下に置かれています。

校舎２階の教室にはKASA/KOVALEVA AND SATO ARCHITECTSによる「ものがみる夢」があります。１つ目の教室は「海の庭」。窓の外に広がる海の景色が教室内に幾重にも敷き詰められた漁網と一体化しています。

２つ目の教室は「島の庭」。使われなくなった古道具が彷徨っているかのように見えます。

校庭跡には石井大五の「トイレの家」があり、実際にお手洗いとして使用できます。

約100年前に建築された郵便局跡の建物にはインドネシアの6人組アーティストコレクティブ「ゲゲルボヨ」の「つながる海」が展開されています。

郵便局であった名残の窓口と作品。

住宅部分の座敷にはインドネシアに伝わる神々や伊吹島で見つけたものが描かれた屏風などが置かれています。もともとあった書も掲げられており、様々なものが一つの空間に同居、不思議な感覚を覚える面白い作品です。

外壁に描かれた壁画。伊吹島は前回もインドネシアのアーティストが作品を展開してきました。インドネシアの現代アートは独特なものがあり、次回も楽しみですね。

伊吹島の中心部は古民家が軒を連ねています。

芸術祭の会期中のみ営業している「平三水産」の店。名物は「伊吹バーガー」です。

「伊吹バーガー」を食べてしまうと夕食が食べられなくなりそうなので、ビールのお供にはいりこの天ぷらを注文。予想以上にボリューミーですが、柔らかくとても美味しく完食。

伊吹島民俗資料館へ。

展示室にはマラ・ヤルスマとニンディティヨ・アディプルノモの作品が展開されています。

島の東側の作品に向かいます。急な坂道があり、歩行に不安な人は迂回するよう注意書きがあります。

注意書きどおり急な坂です。

坂を下り終えた先の造船所跡にはサウジアラビアの作家、マナル・アルドワイヤンの「浜辺の歌」があります。アラビア湾岸で船乗りの無事を祈る儀式を伊吹島で島民の方と行い、儀式で燃え残ったトーチをオブジェにしている作品。

芸術祭の来訪者を歓迎するために島の方々が独自に掲げた旗。

港に戻るとちょうど観音寺に向かう船が出港するところです。大漁旗を振って島の方が見送りをしています。この旗を振っている方は、伊吹島元気隊で伊吹島の島おこしを精力的に取り組んでいらっしゃる亀善人こと三好さんです。伊吹島のみならず香川県では有名な方です。このあと、亀善人さんが島を案内してくださいました。

瀬戸内国際芸術祭を盛り上げるため、島の方々が独自に制作された「大きな椅子」。この椅子ははしごを登って座ることができます。ここから眺める夕陽は絶景です。

瀬戸内に陽が沈みます。

ハートのベンチ。島の方々が作られたものです。このあとも島特産の白さつまいも「いぶきホワイト」の畑を見せてもらったり、渡り蝶のアサギマダラが立ち寄る花畑に立ち寄ったりしながら真っ暗になるまで、案内してくださいました。伊吹島の島おこしの活動資金はクラウドファンディングでも集められているとのことで、時々チェックしたいと思います。

今日の宿、春日旅館にチェックイン。すぐに夕食となりました。

島で獲れた魚をふんだんに使った料理です。

高級魚アコウの刺身は姿造り。さざえはコンロで焼いていただきます。日本酒が進みます。

アコウの煮付け。これもかなり美味。

翌朝は夜明け前から島巡りを再開します。

伊吹公民館の前にも「パサング」がありました。

伊吹産院跡へ。伊吹産院は出部屋と呼ばれ、かつて出産前後の女性が集団で生活、家事から解放されていました。

伊吹産院跡には2019年会期で公開された栗林隆の「伊吹の樹」があります。

陽が昇ってきました。

朝日で黄金色に輝いています。

木造船の廃材を外壁に使っています。

島の東側へ昨日通った急坂を再び下ります。

朝日の当たるマナル・アルドワイヤンの「浜辺の歌」。鑑賞時間外で外からのぞき見で申し訳ありません。この作品は早朝に見るべき作品です。

いりこの水揚場。加工場に直結しています。

港に戻ってきました。ネコどもが出迎え。

朝から随分歩きました。朝食がうまい。

春日旅館を後にします。宿代は２食付きで8,500円（2022年10月当時）。この値段、安す過ぎやしませんか。

観音寺行きのきっぷを買います。

帰りは伊吹島9時発の通常運行便です。NEW IBUKI Ⅱは令和2年3月に就航した比較的新しい船です。

伊吹島を後にします。伊吹島の上空には伊吹島の形に似た雲が。（おわり）

この旅行記へのコメント （2）

• mom Kさん 2023/05/04 08:39:57

  全てに

  伊吹島の人々の「おもてなし」感じます。初めて知る名前。つくづく
  瀬戸内の島数の多さ、私の知らなさ、豊かさを感じています。
  
  ”感じる”旅行記でした。ありがとうございます。

  Islanderさん からの返信 2023/05/04 20:42:59

  Re: 全てに

  mom Kさん
  メッセージありがとうございます。
  伊吹島はいりこの島で漁業が盛んで人口も比較的多く、瀬戸内の島では活気がある島です。
  瀬戸内の島々はそれぞれ個性があって、島廻りは楽しいですね。コロナ禍も収束する方向になってきましたので島の方々とも話をしていきたいですね。mom Kさんの行かれた、祝島に是非行ってみようと思ってます。
  　Islander