9万５千円で２週間、タイの遺跡やラオスを巡り、東南アジア初心者のシニア婦人たちをエスコートする旅（13/22）再びムクダハン

2019/08/25 - 2019/08/25

　今朝も小雨が降っている。
　傘をさしてターミナルまで歩く。
　タイへの入国時、また置き去りにされてしまうのだろうか？
　それを覚悟して、バスに乗車する。

エリア ムクダーハーン(タイ)

• 交通手段: 高速・路線バス 徒歩

　頭の中は出入国カードのことばかり。
　間違いなく書けるだろうか？
　素早く書けるだろうか？
　デコちゃんは眼鏡のつるが外れてしまい、文字がはっきり見えない状態。
　そんな状態で書けるんだろうかと不安が増す。

　隣の席に可愛い子どもがいて、ちょっとばかり気持ちが和ませてくれる。
　ヨッコはいそいそとバッグに付けてあった鈴を外し、子供にプレゼント。
　鈴を振って喜ぶ子どもを見て、満足するヨッコ。

　ラオス側のボーダーに着いた。

　出国手続きの列に並ぶ。
　順調に列は進んで行くが、しかし私の指紋認証が出来なくて、ここでストップ。
　係員が指を押さえてくれたり、洗剤で洗ってくれたりして、やっとのことで合格した。
　他の人はスムースにできるのに、どうした訳だ！
　指紋が老化したのかと、自信をなくす。

　バスはしっかり待っていた。　

　

　メコンを渡る。
　見れば歩道があるではないか。
　歩いている人は皆無だけど、もしかしたら自転車で渡れるかも・・
　

　入国手続きだ。
　カードを探し、輪になって記入を開始する。
　「ここ、何？」
　「なんて書けばいいの？」
　焦るので間違える箇所もある。
　途中から悲鳴となって、半狂乱に近い4人の日本人。

　いい加減な記入箇所もあったが、するするとパスした。
　この国ではそんなものだ。
　しかしラオス入国ではなかった荷物検査が、タイ入国ではあった。
　バッグを開けて目視で点検する。
　「バッグを開けて！」（係員のジェスチャー）
　鍵の番号が見えず、もたもたしているデコちゃんに、
　「もういいよ。はい、通って。」（係員のジェスチャー）　

　「えっ！　なんていい加減。すごい国だね！」
　おばさんたちは大笑いしながら通過してきた。
　バスは待っている。
　しかし最初の人数に比べるとかなり減少。
　途中で消えてしまう人がいる。

　これで安心とバスの中はゆったりムード。
　これまでのアクシデントが、全て笑い話に変わってしまう。
　あんなに泣きそうな顔だったのに、
　「いい思い出が、できたね。」
　「こんな旅行、生まれて初めてだよ。」
　「帰って話したら、みんなびっくりするよ。」

　今度の宿泊場所はメコン川の近くにした。
　メコンあってのムクダハンだ。
　歩いてもよいが、荷物があるのでトゥクトゥクに乗る。
　バッグを積むと人の乗るスペースがなくなり、無理な姿勢で荷台につかまり、辛抱する。
　危険極まりないが、これがタイ旅行というものだ。

　トゥクトゥク代は200バーツと、法外な料金だが、
　この運転手さん、今日は何人の客を拾えるだろうかと考えれば、仕方ないのか・・
　運転手さんはニコニコ顔で去って行った。
　

　泊まるのは『SubMukuda Grand Hotel』
　１泊590バーツ。

　３日前に泊まった 『Place Hotel』（470バーツ）よりも高く、
　しかしながら部屋の造りは劣っている。
　メコンに近い遠いという立地条件で料金は決まるようだ。　

　空模様は相変わらずどんよりしている。
　雨の降らないうちにと、食事に出かけた。

　眼鏡屋があった。
　つるの外れた眼鏡を見せると、ちょこちょこと直してくれた。
　無料だった。
　その優しさに思わず手を合わせ、お礼を言うデコちゃん。
　ほんのわずかな出来事だけど、こうした人との出会いが、何より旅の思い出となる。

　食堂でタイのラーメンと肉丼を注文する。
　そしていつものように分け合って、両方の味を楽しむ。
　辛いもの好きのデコちゃんと、辛いの苦手なヤーコさんだが、それもうまくこなして仲良くつつく。
　この食堂、生野菜がたっぷり付いてきた。

　ムクダハンタワーに行くために、10年前に走っていた市内観光用の無料オープンバスを探すが、見つからない。
　この乗り物、すごく風情があったのに。
　ムクダハンは元気がなくなっている。

　しかたなく、メコン添いの道を歩くことにする。
　タワーまでは直線で1.6km、歩いても２kmだろう。
　おばさんたちは、歩いてくれるかな・・

　ボートを岸に付けている場面に出会った。
　長くて細い、競技用のボートだ。
　乗っているのは若者たち。
　祭りの日にボート競走があるんだろう。

　若者たちはジャブジャブと水の中に降りて、岸辺に上がってくる。
　ふざけて泳ぐ者もいる。
　「この人たち、修行中の若い坊さんじゃない？」
　なるほど、近くのお寺の境内に入って行く。
　坊さんもチームを作って競技に参加するのか・・
　楽しい国だ。

　原っぱの向こう側にタワーが見えた。
　真横だ。
　その距離200～300m。
　しかしそこに通じる道がない。

　泣く泣く後戻りし、通りかかる人に尋ねたりして、
　（この看護師さんが良い人で、こんな人に出会えて嬉しかったのだが・・）

　タワーのある道路に出たが、２kmと見積もったコースは、３km以上となってしまっている。
　申し訳ない。
　私のミスです。
　とおばさんたちを見るが、意外と平気な顔をしていて安心する。

　正面の山に、真っ白な大仏が見える。
　『ワットプラプッタバート』らしい。
　「行ってみようか？」
　声をかけるが、良い返事がなく中止とした。

　後日、この『ワットプラプッタバート』の写真を見た。
　ＣＧ映画に出てくるような、巨大な竜がいた。
　展望台からの見晴らしも抜群だ。
　「ああ・・行けば良かった！」と後悔した。

　タワーの１階、２階は資料館となっていて、この地方の歴史や文化を紹介している。
　（その紹介は省きます。）　

ムクダーハーン タワー 現代・近代建築

　エレベータで展望台に上がり、ガラス窓に張り付いて、

　周囲を眺める。
　ムクダハンはメコンに張り付く小さな町だ。
　周囲は森と草原に囲まれている。

　対岸はラオスで、

　家並みの見える場所が、今朝までいたサワナケートの町だ。

　川上には友好橋も見える。
　前にも見た景色だが、何度見ても素晴らしい。

　中国を源流とするメコンの流れは、タイとラオスの国境沿いを通り、カンボジアを経てベトナムまで続く。
　メコンのメ（メー）は母の意味、コンは川だ。
　母なる川・・メコン。
　それを眺めているだけで、今生きていることを嬉しく思う。