9万５千円で２週間、タイの遺跡やラオスを巡り、東南アジア初心者のシニア婦人たちをエスコートする旅（12/22）雨のラオス

2019/08/24 - 2019/08/24

　雨が降っている。
　それも大きな音をたて、時に嵐のように。
　ベッドの中でその音を聞き、今日はどうしようかと、また眼をつぶる。
　町から東へ15km離れた場所に、タートインハンという綺麗なお寺があるという。
　自転車で行けたら楽しいだろうな・・
　と思っていたけど、こんな雨の日に行けるはずがない。
　

エリア サワンナケート(ラオス)

• 交通手段: 徒歩

　コーヒーを飲み、昨夜のパンを食べ、雨の止むのを待つしかない。
　ラオスの雨は、そんなに長く降り続かないだろう・・

　おばさんがたは、ベッドの上でゴロゴロ体操をしたり、

　下のロビーでぶらぶらして過ごす。
　ヤーコは若い頃にプーケットに来たことがあって、
　「丸１日はずっとエステとマッサージで、２日間はシュノーケル。
　どんなホテルだったのか、何を食べたのか、どうやって行ったのかは、思い出せないけど・・」と言い、
　「タイに誘われた時、真っ先に頭に浮かんだのはエステで・・
　バスで移動したり、ソンテオや自転車に乗ったり、現地の人と話したり、食べ物を探したりする、こんな旅行もあるんだと、初めて知ったよ。」と言う。
　そうか、私たちは今、そんな旅をしてるんだな・・と気が付いた。

　ホテル内を散策した。
　このカーテンの向こう側は、コンクリむき出しの落とし穴はなっている。
　エレベータがまだ完成していないホテルなんだと、こんな発見もある。　

　小さいけれどプ－ルもあった。
　暑い日にはここで涼めば良いけれど、今は冷たい雨だ。

　雨はいつになっても降りやまない。
　昼食はホテルで食べることにした。
　チャーハン、グリーンカレー、オムレツ、野菜炒めなどを注文し、いつもと違った高級料理を期待していたが、なかなか運ばれてこない。
　「レストランじゃないから、準備できていないんじゃない？」
　「まさか、材料を買い出しに行ってるわけでは・・？」

　心配していたが、やっと大きな器にたっぷりと盛られた料理が現れた。
　ラオスの料理は、１人前で２人分は十分ある。

　それを綺麗に平らげる、たくましいおばさんたちで、
　一滴残らずなめきって、
　「はい、ごちそうさま」

　４時を過ぎると、やっと雨は小降りとなり、
　「じゃ、メコンでも見に出掛けるか・・」
　と傘をさして歩きだした。

　道路脇の小さな市場で、

　「あっ、これ、いい匂い！」と
　焼き芋とビーコンを買い込んで、

　川岸目指してお喋りしていると、

　樹木の隙間にメコン川が見えた。

　メコンは増水して、流れが速い。
　速いといっても、早歩きくらいだろう。
　「あの町がムクダハン？」
　遠くてはっきりしないが、望遠で撮影してみる。

　「友好橋は見えないかな？」
　川上方向は、樹木が邪魔をして見えそうで見えない。
　残念。

　代わりに対岸の山に、真っ白な大仏が見える。
　ワット・プラプッタバートだ。
　その下にムクダハンタワーも見える。
　待望のメコンを前にして、私たちは大満足。

　雨は止んだようだ。
　ぬかるみの道、泥水を跳ねないようにそっと歩いていくと、

　川べりにレストランがあった。

　レストランの半分は、川の中の杭の上だ。
　水量が増したら沈没だろう。

　デッキに立つと、川上に友好橋が見えた。　　

　日本の援助で造られたそうだ。
　明日は、あの橋を渡ってタイに戻る。

　夕食の時間には少々早すぎるので、果物シェイクを注文してメコンを眺め続ける。
　流れを見つめていると、自分がボートに乗って動いているようだ。

　おばさんたちはどんな時でも元気がいい。
　「私ね、普段はこうではないのよ。
　ここに来ると、性格がガラッと変わるの。」
　それが楽しくてたまらないらしい。

　レストランの近くに寺院があった。

ワット サイヤプーム 寺院・教会

　お堂の中から声が聞こえてきて、

　のぞくと、少年たちがお経を唱えていた。
　多くの少年は貧しさから、親元から離されて寺に預けられているという。
　寺から衣食住を提供され、勉学と修行に励む少年たちだ。
　悪戯ざかりの子どももいれば、あどけなさの残る子どももいる。

　つるべ落としに夕闇が迫ってきた。
　寺院に明かりが灯り始める。

　夕暮れの中にたたずむ寺院は、これまた幻想的で、
　その魅力に立ち去りがたく、しばらく眺めていたが、空はますます暗くなり、

　我に帰って寺院を出ると、偶然にも昨日お世話になった日本国籍を持つ男性と出会った。
　この近辺に住んでいるとのこと。
　仏の導きなんてことは信じないが、この偶然性には驚くしかない。

　真っ暗になってしまった夜道を帰る。
　ラオスは暗くなると、途端に人通りが途絶えてしまう。
　夜遊び文化に侵されていない、健全なラオスがまだ残っている。
　暗くなっても治安に不安はない。

　しかし例外はあるもので、交通が途途絶えた道路上で、パーティーが開かれていた。
　結婚式なのか誕生会なのかは分からないが、料理がふるまわれ、私たちが近づくと好意的に迎えてくれたが、遠慮した。

　閉まりかけている屋台でちまきや焼肉を買い、コンビニでパンや飲み物を仕入れて、

　今夜は慎ましい夕食会。
　ガイドブックに載っているタイ料理やラオス料理とは無縁な、つつましい旅を続けている、自分の身の丈を知っている私たちだ。
　見回すところ、高級レストランなどないのだから、不平不満も出ない。