ラオス、セコンの街で、UXOのオフィスに入り込んだ。UXO(UneXploded Ordnance) 不発弾。ベトナム戦争にラオスに投下されたクラスタ爆弾。飛び散った小爆弾、ボンビー。2.6億個の30%、８０００万発は不発小爆弾。。。不発弾ボンビー、UXOと戦う、にこやかな人々と友達になった！

2017/11/21 - 2017/11/25

Pakseでバイクを借りて、320Kmの周遊コースのツーリングに出かけました。

まあ、二日、三日で回れるだろうというコースです。

1日目、4つの滝を巡りました。
ところが、その夜、Sekong セコンの街外れで、大バイク事故。。。
私は左上半身打撲。私にバイクでぶつかってきた大馬鹿野郎は、頭を打って意識不明。。。

Sekong警察には、問題が解決するまでは、街を出るのは不可、出国はもっての他と言い渡されました。。。
（この件は、別の旅行記に書く予定です。）

街に軟禁生活です。
ゲストハウスの近くをプラプラとタラート（市場）に向かって散歩していました。

子供たちがいたので、写真を撮ろうと身構えました。

えっ！？
子供たちの後ろに、爆弾が立っていました！

米軍の２０００ポンド爆弾（約９００Kg）MK84でした。。。

USAF MK-84 General Purpose Bomb
https://youtu.be/CLxwvFSEvuA

いや、何度も通りがかったはずなのですが、爆弾が大きすぎて、今まで気が付きませんでした。。。


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事故の詳細は、こちらの旅行記をご覧ください。
https://i.4travel.jp/travelogue/edit/11309413

エリア その他の都市(ラオス)

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 徒歩 バイク
• 旅行の手配内容: 個別手配

そこには、UXO Lao Office Sekong Province
セコン県、ラオス UXO オフィスと看板がかかっていました。

通りがかるたびに、UXOってなんだろうと気になっていました。

が、その後ろの２０００ポンド爆弾には気が付いていませんでした。

入り口の左右、2本の２０００ポンド爆弾が立っていました。。。

中を覗いてみると、日の丸を掲げた車両が複数停まっていました。

From the people of Japan.
日本の人たちから
と書かれていました。

日本からの贈り物。
日の丸を掲げて走り回っているのは、日本からの援助への感謝の気持ちです。

恐る恐る中に足を踏み入れました。

事務所の建物の前に、男が一人いました。

　コイ コン イープン　私は日本人です。

そして、見てもいいですか？とジェスチャーしました。
（いや、見てもいいですかといえるほど、ラオ語力はありませんでした。。。）

OKとジェスチャーしてくれました。

　コープチャイ　ありがとう。

オフィスの横には、処理された爆弾がいっぱい転がっていました。

ベトナムでも見ました。

US Cluster Bomb Legacy Costing Lives In Laos
https://youtu.be/D9z0jr-YvKo

ベトナム戦争時、北ベトナムの兵站が北から南へ伸びるホーチミントレイル。
その９０％は、ベトナムではなく、ラオスの国土でした。

それを断ち切ろうと、米軍のB52から大量の爆弾が投下されました。
そんな話は、読んだことがありました。

きっと、それです。。。

砲弾の数々を眺めて写真を撮っていると、ニコニコの英語の話せる男がやってきました。（いまでは友達です。）

　日本人ですか？
　ここには滅多に外国人が訪れません。
　とてもうれしいです。

と歓待されました。

　コープチャイ（ありがとう。）
　これは、ベトナム戦争時のものですか？
　UXOってなんですか？

と質問しました。

　そうです。ベトナム戦争の時のものです。
　UXOとは、UneXploded（不発）Ordnance（砲弾）のことです。
とのことでした。

Ordnanceという単語は知りませんでしたが、unexplodedでわかりました。

UXOとは、不発弾のことです。

UXO Laoの活動について聞いてみました。

不発弾に対して、あらゆる事とのことでした。

人々への不発弾の危険性についての啓もう活動。
不発弾に汚染された土地の特定。
そして、不発弾回収と処理。
などなどとのことでした。

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各砲弾には、水色のペイントがなされ、FEE UXO と記されていました。

FEE とは、処理された安全なものだ、と言うことです。


　　

クラスタ爆弾っていうのを聞いたことがありました。

　　クラスタ爆弾はありますか？

　　ああ、ありますよ！

壁に無造作に立てかけられていました。

一つの大きなクラスタ爆弾に、筒がいっぱい詰まっています。
その筒でした。
その筒には、テニスボールぐらいの子爆弾がいっぱい詰まっています。
その小型爆弾は、ボンビーと呼ばれています。
それが広範囲にばらまかれます。

一つのクラスタ爆弾から、６００個以上のボンビー、小爆弾、が飛び散ります。
そして、確率的に３０％が不発弾となるとのことです。

こいつには、英語で信管のセットの仕方、解除の仕方が書かれていました。。。

生々しい。

真ん中にある２つの球状のものが、ボンビー、子爆弾です。

小爆弾、ボンビーは、広範囲に散り散りばらばらに飛び散るように設計されているのだとか。。。

でも、テニスボール程度のボールの形状です。
不発のボンビーを子供が見つけて、おもちゃだと思って遊んでいるうちに、爆発してしまうこともあるそうです。

両手を失ってしまったり、命を落としてしまったり。。。


米軍が投下したクラスタ爆弾、それから飛び散ったボンビーの総数は、２.６６億個だとか。。。
その不発率は３０％なので、
約８０００万個のボンビーがラオスの大地に埋まっています。

ラオスは自然の美しい国です。
でも、８０００万個の不発弾で国土が汚染されているのです！！！！！！！

Working for a future free of UXO: 20 years of UXO Lao
https://youtu.be/_PvMJFIdsro

彼は、いちいち他の職員に自分が何を話したか、私が何をコメントしたかをラオ語に翻訳して話してくれました。

彼からヒロシマと、言う名前が飛び出したので、広島、長崎の原爆の話をしました。
また、東京大空襲では、無数のB29がやってきて、一晩で１０万人が死んだとの話もしました。

みんな熱心に聞き入っていました。。。


そのとき、遠くからボーンと音が聞こえました。

　　聞こえましたか？
　　今、不発弾の爆破処理を行っています。
　　ここから２ｋｍ先でやっています。

毎日、見つけた不発弾の処理をやっているとのことでした。。。

えーっ！？
毎日見つけたものを、爆破処理をやっている！！！

　　日本でもまだ１９４５年の空襲の不発弾が見つかることがあって、自衛隊さんが処理してくれるのです。

とコメントすると、えー１９４５年？？？
と目を丸くしてました。
そう、空爆を受けたドイツでもたまに見つかります。

みんなみんな、戦争の負の遺産です。。。

　　

UXOの職員さんたちは、誠に気持ちのいい人ばかりでした。

当たり前です。
もう人々が、不発弾の犠牲にならぬよう、そして不発弾処理でラオスの国土をクリーンナップしようと戦っている人たちです。

2日目の訪問では、昼食をごちそうになりました。

小さな子供もいました。
この事務所の寮に、家族で住みこんでいる人もいるとのことでした。

ささやかな昼食でした。

新聞を敷き詰めて、テーブルクロス。

ラオス主食のもち米とおかずです。

主食のもち米は、右手でにぎにぎと小さなライスボールにします。

そのライスボールにおかずを親指で少し一緒につまんで、一緒にしてハムハムと頂きます。
ラオス風、自分お手製寿司です。

おかずは、豚肉の脂身を茹でたのと、レモン、ミントの葉っぱなどであえたサラダ風でした。唐辛子が効いてちょっと辛めでした。
そして、焼いた川魚少々。

写真左手の彼は、少々英語が話せました。
俺が、あの飾ってある２０００ポンド爆弾を処理したんだ！ははは、と誇らしげでした。
彼は、地雷処理車の研修をカンボジアで行った経験もあるのこと。

そのほかにも日本で研修を受けた人がいました。
Nikkenでメカニックのメンテナンスを研修したそうです。
でも、日本語も英語もダメでした。。。どうやって研修を受けたんだろう。。。

きっと少しは知っているはずです。ラオ人はとっても恥ずかしがり屋さん、シャイです。

ささやかな、ラオス飯をごちそうになりました。

コープチャイ（ありがとう）です。

その後、市場でフルーツを買って来て、振る舞いました。
次の日も、フルーツいっぱい手にもって訪問しました。

とっても気持ちの良い人たちです。


英語堪能なのは、一人だけ。
少し話せるのが一人。

そのほかにも少ししゃべれる人がいるようです。

　Kaluna wao pasa ankid !　英語しゃべってよ！
　と言ってみたのですが、大笑いでした。

日本に研修に行った人もいました。
ちょっとは日本語を知っているはずです。

こちらが発する、こんにちは、ありがとうなどと言う日本語は、わかっていたはずです。

その後も、フルーツてんこ盛りを手土産にオフィスを訪れて、みんなと仲良くなりました。

英語バージョンの２０１６年のUXOの年間レポートを頂きました。

コープチャイ（ありがとう）です。

皆さんのラオスの国民を不発弾から守り、国土を安全にし、未来の子供たちに託すという素晴らしい活動のレポートです。

その内容を、日本の皆さんに知ってもらえたらと思います。

一部を抜粋して紹介します。


レポートによると、日本の政府をはじめ、JICA, JMAS, JICSが日本から、UXOを支援しています。

JICA 国際協力機構
JMAS 日本地雷処理を支援する会
JICS 日本国際協力システム

UXOとは、不発弾とは？
なぜ、ラオスに？

ベトナム戦争時、1964年から1973年に米軍から、２００万トンの爆弾がラオスに投下されました。

ベトナム戦争時に、ベトナム北部から南への物資を運ぶ兵站の90%が、ラオスを通っていました。

それを米軍が攻撃しました。

ラオスは、世界中で一番爆弾を投下された国です。
日本より、ドイツより、朝鮮戦争より、ベトナムよりも。。。

ラオスに世界で一番たくさんの爆弾が投下されたのです。

総量２００万トン！？
ええっーーーーーーーーー!!!!!!
想像もできません。

Bombing Missions Over Laos From 1965-1973
https://youtu.be/4UM2eYLbzXg

投下されたクラスタ爆弾から飛び散った2.66億個の小爆弾３０％が、すなわち、8000万発が不発弾と見積もられています。

推定８０００万発の不発弾ボンビーが、美しいラオスの国土に埋まっているのです。。。

ラオスには９のつの最も汚染された県に、UXOの事務所があります。
地図を見てみると、ほぼラオス全域です。。。
赤丸に爆弾が、UXOのエンブレムです。
このマークがついているのが、UXOが設置されている県です。

Luangprabang
Huaphan
Xiengkhuang
Khammuane
Savannakhet
Salavan
Sekong
Champasack
Attapeu

（ちなみに、私のいるSekong セコン県は、南部(地図では一番下部)のベトナムと接している、色の濃い部分です。人口10万人強の県です。東はベトナムです。南西のチャンパーサック県をさらに西に行けば、タイです。チャンパーサックから南は、カンボジアです。）

想像してみてください、国土の大半が不発弾で汚染されているなんて　　
！！！

UXOには、５つの活動があるとのことです。

もらった２０１６年間報告によれば、
１．不発弾の恐ろしさを、村々を周って教育する。
２．村からの不発弾情報を聴く
３．村を訪れて、不発弾の情報を集める
４．不発弾を発見機で見つける
５．不発弾を処理する

です。

SekongのUXO本部に張ってあった写真の一部です。

こんな風に、村々、学校を回って、不発弾の恐ろしさ、見分け方を教える活動をしています。

UXOは、１９９６から２０１６年で、１１９００の村を周って啓もう活動を行ったのことです。

見つけたら、触ってはいけません。
知らない子供がボンビーを見つけたら、大変です。。。

泊っているゲストハウスの５歳ぐらいの少女も、既に知っていました！

UXO職員によれば、ラオ人だけでなく、ベトナム人やそのほか少数民族がいっぱい住んでいるので、言葉の問題もあり、村を周る啓もう活動は難しいそうです。。。

不発弾で汚染されたと特定された場所（CHA Confirmed Hazardous Area）の１haから平均22.5の不発弾が見つかるそうです。

１９９６－２０１６の活動で、３８０平方キロメートルが、きれいな安全地帯となり、農地、そのほかに安全に使えるようになったとのことです。

UXO Sekong事務所に貼ってあった、爆破処理の写真です。

Sekongの街には、毎夕、遠くから、ボーンと不発弾爆破処理の音がとどろきます。
街から僅か２ｋｍ先で爆破処理が行われています、とのこと。

毎日です。。。

１９９６から２０１６年で、ラオス全土では、１４８００００の不発弾がUXOによって処理されたのことです。

でも、不発弾は８０００万個。。。
全部処理するのに、いったい何年かかるのやら。。。
２００年かかるだろうと言われているそうです。。。

Sekongでは、２０１６年から新しい地雷除去機が２台投入され、テスト期間中だそうです。

名前は、Brush Cutter。
日本のNikkenさんの地雷除去機だそうです。
２０１７年末までに、その性能を評価するそうです。

じゃんじゃんバリバリ､ボンボンと、ボンビーを効率よく破壊してほしいものです。

性能が評価され、さらに改良されたものがどんどんと投入されていくでしょう。

頑張れラオス、日本 !!!

これが、UXOのエンブレムです。
UXOは、日々、不発弾と戦っています。

投下されたのは１９６４から１９７３年。
つまり、最終的に投下されたのは４４年も前のこと。
超弩級の負の遺産です。

私が知らなかったのと同様に、日本のほとんどの人々はこの現実を知らないと思います。


ここSekongでは、二人の青年海外協力隊に出会いました。

看護士さん、獣医さん。
若い女性でした。
現地に溶け込んで、とっても頑張っています。
お世話になりました。


ならば、私にできることは、先ず、ラオスの不発弾問題をもっと知ってもらうことです。

日本と同じ国土面積のラオス。
８０００万発の不発弾が、国土を汚染しています。

もちろん私一人では何もできません。
でも、とりあえず多くの人に知ってもらいたい現実です。

まず、私が知ったのが第一歩。
それを広めるのがさらに一歩。

それからさらに行動を起こすのは、
さらに大きなもう一歩です。

不発弾と向き合うUXO LAOの皆さんと、友達になりました。
みんなにこやかな気持ちのいい人たち、そして愛する国土を現在未来の為に戦っている人たちです。

ささやかながら、何かお役に立ちたい、と言う思いです。

Say No to UXO in Laos
https://youtu.be/n2Vuhie5PAY

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UXO LAO の英語のホームページです。
https://www.uxolao.org/index.php/en

UXO LAO の2015版の年間報告書の英語版は、こちらからダウンロードできます。
（2016年版は、まだアップロードされていないようです。）
http://www.la.undp.org/content/dam/laopdr/docs/Reports%20and%20publications/2017/UXO%20Annual%20Report%202015%20English%20version_Final%20191016_red.pdf?download


12月6日　追加

日本語の非常にわかりやすい解説を見つけました。
プレマ株式会社さんのものです。
http://www.prema.co.jp/raos/cluster03.html

この旅行記へのコメント （3）

• picotabiさん 2017/11/27 14:26:52

  生々しいですね…

  ベトナム戦争時はラオスもベトナムも米にとっては関係なかったのでしょうか。ベトナムの地雷除去はどんな感じですか。
  
  ベトナム戦争はベトナムが共産国を増やす脅威になるとして米が仕掛けたものですが、結局はベトナム軍に勝てずに撤退、枯葉剤まで撒いて自分たちの尻拭いは一切せず、被害者は誰のせいにもできてません。心が痛くなります。

  picotabiさん からの返信 2017/11/27 14:33:45

  Re: 生々しいですね…

  あとバイクの事故は大変でしたね、相手の方も心配ですね…

  palさん からの返信 2017/11/27 22:29:12

  Re: 生々しいですね…

  picotabiさん。こんにちは。
  
  コメントありがとうございます。
  
  ベトナムの不発弾処理活動については、まったく知りません。
  これから調べてみようと思います。
  
  私が初めてベトナムを訪れたのは、1996年です。
  
  当時は、片足を失った、数多くの人たちを街で見ました。
  
  今はほんの少数しか見かけません。どこに行ってしまったのでしょう。
  
  ホーチミンでは、今はそれ以上に、枯葉剤、エージェントオレンジの影響を受けた人たちを見かけます。
  
  アメリカは、いまだに因果関係を認めていないそうです。。。
  
  去年、オバマ大統領はアジア歴訪で、ラオスにも訪れました。約100億円の援助を約束したそうです。
  
  素晴らしい。
  
  でも、不発弾処理は、米軍が全部やるべきですよぇ。。。