ドイツの秋：④ビューディンゲン城の姉妹城・ロンネブルク城には孔雀がいた

2016/10/14 - 2016/10/28

2016年ドイツの秋：ライン・モーゼル・アール・ミュンスターラントの旅
2016年10月14日（金）～10月28日（金）15日間

第3日：114km＊
古城ホテル　ビューディンゲン城の姉妹城になるBurg Ronneburgロンネブルク城の見学。
Odenwaldオーデンの森は英国女王ヴィクトリアとも関係が深いライニンゲン侯爵の町アモールバッハがある。この町の近郊、昨年宿泊できなかった古城ホテル　デアー・シャーフホフ・アモールバッハに泊まり、ミシュラン1星の料理をたのしむ予定だ。

写真はロンネブルク城の遠望

エリア ドイツ

• 旅行の満足度: 4.0

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 一人あたり費用: 30万円 - 50万円
• 交通手段: レンタカー
• 航空会社: ANA
• 旅行の手配内容: 個別手配

＜オーデンの森の“宝石箱”アモールバッハの町へ＞

第3日：10月16日（日）・・・114km、快晴、9～19.5℃＊
ビューディンゲン＝＞L3010・B457・L3193　23km　ロンネブルク城＝＞L3193　10km　＝＞A45　24km（Stockstadt）　＝＞B469　55km　Amorbach（アモールブルン礼拝堂）＝＞L？　2km古城ホテル　デアー・シャーフホフ・アモールバッハ

写真はビューディンゲンの本丸と天守閣

＊5：15起床、6：10には入浴した。朝食は7：30からと思っていたら日曜日は8：30からだった。
9：30にチェックアウト。

目に付いたシュロスガイスト（お城の幽霊）のTシャツがあり、孫に購入した（Euro9.5＝1,225円）。

写真はビューディンゲン城の朝食

Hotel Schloss Büdingen ホテル

レセプションのルーマニア女性に頂いたパンフレット古城ホテル　ビューディンゲン城は参考になったが、そこにも姉妹城になるBurg Ronneburgロンネブルク城の記載があった。

今日の予定はまずはロンネブルク城の見学からだ。気温は9℃と寒い。
9：40にホテルを出る。

写真はビューディンゲン城（赤丸）、ロンネブルク城（橙色）の図

朝から気分の良い天気であり、遠い高台に立つ古城を見つけた。

古城の写真を撮るべく、横道に入り農地の端から撮ってみた。下を見ると樫のドングリが落ちている。
日本で見ないような大きなしっかりしたドングリに家内も喜び、10個ほど拾ってみた。

写真はロンネブルク城の遠望

一度坂道を下がり、道標の出た道を山頂に向けて車を走らす。山道の上りは10km、下りは30kmの制限がある。

ビューディンゲン城から予想よりも倍の距離になった23kmを走り、ロンネブルク城の駐車場に10：20到着。早速、城に向かう。

写真はWappen_Ronneburg_(Hessen)ロンネブルクの紋章（中央が天守閣）

写真はロンネブルク城の絵葉書

≪Burg Ronneburgロンネブルク城の見学≫（ヘッセン州）：③
D-63549 Ronneburg‐Altwiedermus

10：20～11：30　　シニア入場料Euro11（1,418円）
http://www.burg-ronneburg.de/

ロンネブルク城はロンネブルクの町の一地区Altwiedermusアルトビーダームス（ヘッセン）にある。

遠望した城はロンネブルク丘陵地帯の険しい玄武岩上に高々と立っていて、中々趣のある古城である。

30年戦争でKernburg本丸は焼失したが、16世紀のドイツの山城の形がもっとも良く残る城の一つとして評価が高いそうだ。

写真はBurg Ronneburgロンネブルク城：俯瞰

先に姉妹城と書いたように古城ホテル　ビューディンゲン城と同様にロンネブルク城もWolfgang- Ernst zu Ysenburg（＝Isenburg） und Buedingenヴォルフガング・エルンスト・イーゼンブルク・ビューディンゲン侯爵が所有している。

写真はBurg Ronneburgロンネブルク城：一の城門であるPhilippstorフィリップの門

最初の城門Philippstorフィリップの門（昔はこのあたりに第一の橋、二つ目の門扉の前に第二の橋があったと云う）をくぐると、左手にVorburg一の丸（今はレストラン、15時に鷹匠のショーが見られる）、さらに右に行くと、三つの門扉でしっかり守られた本丸となる。そこは当時の城主たちの居住棟であり、現在は博物館となっている。

写真はBurg Ronneburgロンネブルク城：縄張り図

ロンネブルク城はルネサンス風様式の豪壮な建築（上の縄張り図でNo.2）で、中でも網状円天井の部屋、高々とした天守閣（上の縄張り図でNo.1）、96mの深さを持った踏み車付きの城内井戸（上の縄張り図でNo.7）、囲炉裏のある台所（上の縄張り図でNo.2）、魔女の塔（上の縄張り図でレストランCafe Marstallカフェ・マルシュタールの下に見えるNo.13です）など中世の趣ある古城の姿が残り、訪れる観光客も多いようだ。

写真はロンネブルク城：古城にお決まりの人形

この日は日曜日なので昼近くの頃になると、レストランもチケット・土産売り場も観光客で一杯であった。

城内レストランにはメインのCafe Marstallカフェ・マルシュタール（上の縄張り図でNo.10）や、Ritterkeller騎士のケラー（上の縄張り図でNo.2）、Kaminzimmer暖炉の間（上の縄張り図でNo.2）、Bandhausバンドハウス（Gewoelbekeller円天井ケラー（上の縄張り図でNo.11））がある。

写真はロンネブルク城：古城にお決まりの人形・・・首の場所が高すぎて、背伸びしても顎が引っかかる程度だった。

＜ロンネブルク城城内博物館見学＞
10：30～11：30、1時間で自由に見て回れる。

火曜日～日曜日・・・10時～18時、毎週月曜日と12月～2月末の期間は休館になる。

Burghof中庭からPalasパレスに入る。

1階には武具の間、真っ黒に煙で燻されたAlte Burgkueche囲炉裏のある台所、改装された様子の広間・宮廷の間が目に付く。

写真はロンネブルク城：武具の間

写真はロンネブルク城：煤で黒ずんだ囲炉裏のある台所

更に上階には網状円天井の部屋つまり城内礼拝堂、書斎のような部屋には立ち机、薬品の収納庫が見られ、また、城内の壁がどのようになっているか、参考に壁土をむき出しにした展示もある。

写真はロンネブルク城：城内礼拝堂

写真はロンネブルク城：書斎のような部屋

写真はロンネブルク城：壁土をむき出しにした展示

暖炉と美しい色合いのシュランク（衣装棚）もあれば、魔女の人形が立っていたAlchimistenstube錬金術師の工房と薬局のような薬品棚、旅行用と思われる移動式トイレ、改装されたErker張り出し窓の間（夫人棟）の壁に描かれた絵、それは赤茶けた色で中世の男性を描いたものだ。

写真はロンネブルク城：シュランク（衣装棚）

写真はロンネブルク城：魔女人形もたつ錬金術師の工房と薬局のような薬品棚

写真はロンネブルク城：今も使用できそうな移動式トイレ

写真はロンネブルク城：張り出し窓の間（夫人棟）の壁に描かれた絵

ロンネブルク城は孔雀を飼っていた。人に慣れている所為か、私共の後ろについてトコトコ本丸の2階、3階と登ってきて、また中庭に下がっていった。

写真はロンネブルク城：一緒に城内見学！した孔雀（七面鳥ではないが、よく似ているので飼っているのか？よくわかりません）

こうして見て回ると、ロンネブルク城の博物館はビューディンゲン城に比し、価値あるものは少ないようだが、中世らしさを感じさせた。

写真はロンネブルク城：錫人形の家も

高々としたBergfried天守閣は“Welschen Haube七面鳥の丸屋根（帽子）”の異称がある。何処を読んでも高さ何mなのか出ていないが凡その感じは30mぐらいあろう。

思い切って四つの出窓が付く、独特の形をした塔に登り、風の強い中、恐々としながらも周辺の眺望を楽しんだ。

写真はロンネブルク城：Bergfried天守閣

写真はロンネブルク城：周辺の眺望

写真はロンネブルク城：周辺の眺望

写真はロンネブルク城：パレス（本丸）を下に見て

古城の周辺一帯はドイツの秋だったが、城の前面になだらかな広い斜面があり、そこでは現代を象徴するパラグライダーが飛んでいた。今日は休日故、愛好家が集まったようだ。

写真はロンネブルク城：パラグライダーが飛んでいた斜面

〝Brunnenhaus城内井戸”は本来、場内に入った時に先に見るべきものだったが、気付かずに通り過ぎた。

本丸見学から降りてくると、二つ目の門扉の左手にある部屋の中に井戸はあった。
96m（かつては125mの深さだったそうだ）の深さだという、古いTretrad踏み車付きの井戸では、Euro0.5を払って井戸内の電気を付けてから、バケツに溜めた水を井戸内にこぼす。

ザーとした音とともに水は井戸の底をめがけて落下し、水面に至ると音を上げる。その間、何秒もないのだが、待つ時間は長く感じたものだ。
井戸の水面がこの深さだと小さな丸に見える。

いくつかの古城の井戸で同じ体験をしているが、96mの深さはなかなか無い。

写真はロンネブルク城：Brunnenhaus城内井戸

写真はロンネブルク城：城内井戸はTretrad踏み車付きの井戸

写真はロンネブルク城：城内井戸

井戸にバケツに溜めた水をこぼす。ザーとした音とともに水は井戸の底めがけて落下し、水面に至ると音を上げる。
深い底が小さな白点になって見える。

＜昼食：城内レストランCafe Marstallカフェ・マルシュタールにて＞
11：40～12：40　　Euro35（4,512円）

少し早目のお昼です。
二階にあったレストランは長細く、私共が最初の客だった。

写真はロンネブルク城：城内レストランCafe Marstallカフェ・マルシュタール

飲み物はBitterLemonビッターレモン（レモンソーダ）Euro2.5X2＝Euro5、

写真はロンネブルク城：これからアモールバッハまで走るのでビッターレモン（レモンソーダ）で乾杯！

家内は子供用のウィーン風シュニッツェル（カツレツ）にポンフリッツ（フライドポテト）添え（Euro9）、

私はロンネブルクのTopfトップフ（キノコ、豚肉のメダリオン、シュペッツレ、キノコのクリームソース）に野菜サラダ添え（Euro18.9）でした。

値段も良いだけに美味かった。

・・・・・・・・・・・

写真はロンネブルク城：美味かった料理

城の歴史：

ビューディンゲン城と同様に、13世紀当初はHohenstaufenホーエンシュタウフェン王朝の支配領域（ヘッセン州Wetterauヴェッテラウ地区）を守る砦として作られた。

1231年にRoneburgロネブルク（この名はその後Raneburgラネブルク、Ronneburgロンネブルクと変遷 ）の名が史書で言及されている。
その後、GerlachⅡvon Buedingenビューディンゲン家のゲルラッハ2世により築城されている。これはヴェッテラウ地区とマイン平野との交易路を守る目的があったと云う。

1476年、イーゼンブルク騎士領主が居城として強固に築城された。
16世紀になると、Grafen Ysenburg（＝Isenburg） und Buedingenイーゼンブルク・ビューディンゲン伯爵の分家の居城となった。

写真はロンネブルク城：Meisner_Kieser_Burg_Ronneburg_1631年の古図

天守閣は“七面鳥の丸屋根（帽子）”の異称があるそうだが、この古図の左の鳥はその七面鳥だろうか。

写真はロンネブルク城：Die_Gartenlaube_(1867年)庭園と城の絵

写真はロンネブルク城：場外からの景観

写真はロンネブルク城：冬景色

写真はStammburg Isenburgイーゼンブルク城址：イーゼンブルク侯爵家一族の発祥の地である。

21代を数えるIsenburg-Buedingenイーゼンブルク・ビューディンゲン家は現在、"Fuerst zu Isenburg"イーゼンブルク侯爵家の称号を名乗っている。

写真はイーゼンブルク侯爵家一族の居城の一つ、Burg Runkel_Lahnルンケル城（ラーン川）

写真はロンネブルク城：周辺を車が囲む中世祭り（騎士祭り＝城祭り）の賑わい

〝Mittelalterliche Burgfestspiele中世祭り”は9月の最後の週から10月の第1週までの期間に催行される。

写真はロンネブルク城：騎士祭り

写真はロンネブルク城：騎士祭り1

【Odenwaldオーデンの森】

オーデンヴァルトはヘッセン州、バイエルン州、バーデン・ヴュルテンベルク州にまたがる低中山地の地域である。
この地域はケルト人、ゲルマン人、ローマ人、アレマン人、フランケン人達の２千年以上前からの歴史の跡や城砦、中世の貴族の館、独特な木組み建築の家並みを見ることができる魅力的な地域である。

西にはBergstrasseベルクシュトラーセ・山岳街道を含む上部ライン平野を、マイン川のブドウ栽培の斜面と集約農業地区であるバウラントを東に、Darmstadtダルムシュタット付近のライン・マイン平野を北に、南はNeckartalネッカータル・ネッカー渓谷までの地域である。

ネッカー渓谷はオーデンヴァルトの南沿いに流れ、その流域にたくさんの古城や魅力的な町々が見られる。
この南側一帯を称して、「小オーデンヴァルト」とも呼んでいる。

XXX

写真はAmorbach (Bayern)アモールバッハ（バイエルン）：Kapelle Amorsbrunnアモールブルン（アモールの泉）礼拝堂

＜Amorbach (Bayern)アモールバッハ（バイエルン）＞

アモールバッハがライニンゲン侯爵家の支配地であった期間は短いが、英国ヴィクトリア女王の両親、ケント公爵エドワード・オーガスタスと公爵夫人ヴィクトリアはアモールバッハで結婚した経緯がある。

英国女王ヴィクトリアとも関係が深いライニンゲン侯爵の町、つまり三代目のカール・ライニンゲン侯は女王の異父兄なのである。

写真はアモールブルン（アモールの泉）礼拝堂：洗礼式

12：50ロンネブルク城を発つ。アウトバーンA45にのり、34kmのStockstadtシュトックシュタットでB469に入り、マイン川沿いに一部エクスプレス道になっている道を渋滞もなくAmorbachアモールバッハに向かった。

マイン川に沿って左に行けば、好ましいMiltenbergミルテンベルクの町がある。今回は迷わず、アモールバッハの町に走る。
ライニンゲン侯爵家の宮廷所在地であった町の山間に2015年7月、宿泊できずにお茶だけに寄った古城ホテル　デアー・シャーフホフ・アモールバッハがある。

街に入ると旧市街は祭りでもしているのか、交通制限をしていたので、前回の道を走れない。仕方なく旧市街を迂回し、街の端っこを通る一方通行の道を抜けてKapelle Amorsbrunnアモールブルン礼拝堂まで行った。

写真はアモールブルン（アモールの泉）礼拝堂：洗礼式・三人の聖歌隊

＜Kapelle Amorsbrunnアモールブルン（アモールの泉）礼拝堂＞
14：15～14：40

http://www.heilige-quellen.de/Orte_Bayern/Amorsbrunn/Amorsbrunn_Seite.html
https://www.youtube.com/watch?v=ogy2bTxcHaI
堂内見学は5月1日～10月30日、10：00～17：00。

昨年、この横を通りホテル　デアー・シャーフホフまで行ったので、今回初めて訪れる。
礼拝堂の壁にはSt.Christoph聖クリストフ（ギリシア語でSt.Christophorus聖クリストフォロスといい、「キリストを背負ったもの」という意味）が幼きキリストを背負って川を渡る場面が描かれている。

尚、伝説：ラインの守護聖人・聖クリストフ（クリストフォロス）については既に書いた。
http://4travel.jp/travelogue/10840277


入口まで来ると、讃美歌の声が聞こえるので、ミサの最中と思って入るのを遠慮した。
その内、礼拝堂の裏手を歩き、戻ってこない人がいたので、そちらにも入口がありそうだと上ってみた。2階席に入る裏口だった。

参列者と思われる数人の女性、3人の楽器をかかえた聖歌隊が下のセレモニーを見守っている。静かに私共も上からのぞくと、1階のセレモニーは男子の赤ちゃんの洗礼式（幼児洗礼）だった。この日を祝って、神父さんの挨拶が長く続いた。

日本のお宮参りの産着とは違って、真っ白で裾長のベビードレスを神父によりかけてもらった男子の赤ちゃん、両親、両家の祖父母、親族・縁者たちの二十人ほどが参列して、挨拶を拝聴していた。

写真はアモールブルン（アモールの泉）礼拝堂：洗礼式

写真はアモールブルン（アモールの泉）礼拝堂：洗礼式

写真はアモールブルン（アモールの泉）礼拝堂：洗礼式

そして聖歌隊の歌が流れる中、赤ちゃんに神父が洗礼の聖水を3度額にかける。

父親に抱かれた赤ちゃんは泣くことも無く、にこにこしている。

洗礼後は両親からの宣言、お礼の言葉が返され、厳かにかつ和やかに執り行われた。
初めて洗礼式の終始を拝見できたのは幸運だった。

写真はアモールブルン（アモールの泉）礼拝堂：洗礼式

Unterfranken (Bayern)バイエルン州下フランケン地方のアモールバッハにある小さな礼拝堂は泉の礼拝堂である。泉信仰＝聖地巡礼先の対象となっているそうだ。
礼拝堂内にある泉の水は毎秒4Lの水を噴出していると云い、傍を流れ、時に干上がってしまうOtterbachオッターバッハ（マインの支流：距離5kmの小川）を助ける存在である。

アモールブルン（アモールの泉）礼拝堂に残る「泉信仰と伝説」については先に書いた。

≪アモールバッハ：神の泉は「アモールの泉」と名付けられた。≫
http://4travel.jp/travelogue/11232584


写真はアモールブルン（アモールの泉）礼拝堂：聖壇

・・・・・・・・・