≪マックスとモーリッツ・七つのいたずらの話≫

2014/05/09 - 2014/05/23

ドイツの春：北方二州・シュレースヴィヒ・ホルシュタイン州＆メクレンブルク・フォアポンメルン州を中心に巡る旅
期間：2014年05月09日~23日　 15日間）

05月20日（火）　202km、晴れ、朝方20℃と早くも高い、この日の最高は28.5℃、

＜Hannoverハノーファー＞
14：55〜16：20

ハノーファーはLeineライネ川（全長281km、ヴェーザー川の支流）沿いに発展した町、14世紀にはハンザ同盟に入って繁栄した。18世紀にイギリス国王を兼ねたハノーファー王家ゆかりの町であり、今はニーダーザクセン州の州都（人口51万人）でもある。
この町は特に優美なバロック様式のヘレンハウゼン王宮庭園と見本市がよく知られている。

参考：
≪ドイツの春：北方二州を巡る旅に出る≫
http://4travel.jp/travelogue/10883955

写真はいたずら小僧マックスとモーリッツ

エリア ハノーバー(ドイツ)

• 旅行の満足度: 4.5

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 一人あたり費用: 30万円 - 50万円
• 交通手段: レンタカー
• 航空会社: ルフトハンザドイツ航空 ANA
• 旅行の手配内容: 個別手配

≪マックスとモーリッツ・七つのいたずらの話≫
Max und Moritz ：Eine Bubengeschichte in sieben Streichen

『マックスとモーリッツ ：七つのいたずらの話』はドイツの画家にして詩人Wilhelm Buschヴィルヘルム・ブッシュ（1832〜1908年）により、1865年に発表されたドイツ語の絵本である。

この極めて独創的でブラックユーモアに満ちた物語は全編にわたって韻を踏んだ対句で記述されている。

この絵本は最初期のComic stripコミック・ストリップ（滑稽な端切れ）であるルドルフ・ダークスによる連載コマ漫画『カッツェンジャマー・キッズ』（1897年）に、直接に影響を与えており、漫画史における重要な作品であると考えられている。
また、『マックスとモーリッツ』は1887年に『WAMPAKU MONOGATARI』（わんぱく物語）の題で渋谷新次郎および小柳津要人によりローマ字訳された、日本で最初に翻訳されたオリジナルの絵本でもある。

尚、ハノーファーの有名なヘレンハウゼン王宮庭園・「ゲオルゲン・ガルテン」内に1937年に開設されたヴィルヘルム・ブッシュ博物館がある。

http://www.youtube.com/watch?v=e8_-l9k3Ftw

http://www.youtube.com/watch?v=uRGxKUFVzxo

写真は絵本作家のWilhelm Buschヴィルヘルム・ブッシュ

あらすじ：

①一番目のいたずら

マックスとモーリッツはパンのかけらを糸で縫い合わせて、年寄りの後家さんが鶏を飼っている中庭に置きっぱなしにし、糸にからまった鶏たちは宙吊りになって死んでしまう。

写真は鶏たちは宙吊りになって死んでいるのを見て後家さんは吃驚

②二番目のいたずら

後家さんが死んだ鶏を丸焼きにすると、マックスとモーリッツは後家さんの家の屋根に忍び上がる。後家さんが厨房を離れた隙に、二人は釣竿で煙突を通して丸焼きを盗み出す。
飼い犬の吠える声を聞いて厨房に駆け戻った後家さんは、竈が空になっているのに気付き、飼い犬に折檻を加える。

写真は釣竿で煙突を通して丸焼きを盗み出す

写真は盗み出した鶏の丸焼きを食べて満腹になったマックスとモーリッツ

③三番目のいたずら

マックスとモーリッツは、流れの速い川の前に住んでいる人の良い仕立屋を苦しめる。二人は川に掛かっている木の板に鋸で切れ目を入れてから、仕立屋が家から飛び出してくるまでからかい続ける。

橋は壊れ、仕立屋は川に落ちて溺れかけるが、二羽のガチョウに掴まって辛くも助かる。

写真は仕立屋が川に落ちて、してやったりのマックスとモーリッツ

④四番目のいたずら

生真面目な先生が教会でオルガンを弾いている間に、マックスとモーリッツは先生の家に忍び込んでお気に入りのパイプに火薬を詰めておく。
先生がパイプに火をつけると、パイプが爆発して先生は気絶し、顔は真っ黒に煤けて、髪の毛はみんな燃えてしまう。

写真は先生のパイプに火薬を詰めておくマックスとモーリッツ

⑤五番目のいたずら

マックスとモーリッツは袋一杯のコガネムシを集め、叔父のベッドにこっそりと隠しておく。
眠り込もうとした叔父は、鼻の上をコガネムシが這い回っているのに気付く。ぞっとした叔父は、必死になって靴でコガネムシを片っ端から叩き潰す。

写真はコガネムシが這い回っているのに気付いた叔父さん

⑥六番目のいたずら

マックスとモーリッツは、パン屋が休みだと思って店の中に忍び込む。
プレッツェルを盗もうとした二人は、パン生地のタンクに転がり落ちる。

戻って来たパン屋は、パン粉に塗れた二人を捕まえて竈で焼き上げる。
しかし二人は生きていて、中からパン粉を食い破って逃げのびる。

写真はパン生地のタンクに転がり落ちたマックスとモーリッツ

写真はマックスとモーリッツは竈で焼き上げられた

⑦最後のいたずら

農夫の穀物倉庫に隠れたマックスとモーリッツは、穀物袋にいくつも切れ目を入れておく。戻って来た農夫はすぐにいたずらに気付く。
農夫は穀物の代わりに二人を袋の中に投げ込んで、水車小屋へ持っていく。
マックスとモーリッツは碾き臼で細かく磨り潰されて、アヒルの餌にされてしまう。二人が死んでも、悲しむ者は誰もいなかった。

写真は最後のいたずらの各場面

写真は最後のいたずらの各場面

写真は最後のいたずらの各場面

写真は最後のいたずらの各場面

写真は最後のいたずらの各場面

写真は最後のいたずらの各場面

写真は最後のいたずらの各場面

＊二人を磨り潰す水車小屋はドイツのGoettingenゲッティンゲン近郊 Ebergoetzenエバーゲッツェン（マックスとモーリッツの作者ヴィルヘルム・ブッシュの出身地）に実在し、観光名所となっている。

写真は最後のいたずらの各場面

写真は最後のいたずらの各場面

写真は最後のいたずらの各場面

写真は最後のいたずらの各場面

写真は最後のいたずらの各場面

写真は最後のいたずらの各場面

＜ヴィルヘルム・ブッシュの経歴＞

①1832年4月15日、当時のハノーファーのWiedensahlヴィーデンザールに7人兄弟の長男として生まれる。ヴィルヘルム・ブッシュの生家はヴィルヘルム・ブッシュ博物館となっており、旧牧師館前には記念碑が建てられている。http://www.wilhelm-busch-geburtshaus.de/

②1841年、GoettingenゲッティンゲンのEbergoetzenエバーゲッツェンにいる牧師の叔父ゲオルク・カイネに預けられる。

③1847年、ハノーファーの総合技術学校の入学試験に合格し、機械学を学ぶ。

④1851年、デュッセルドルフ美術学校に入学。

⑤1852年、オランダのアントワープ王立芸術アカデミーに転校する。

⑥1853年、重度のチフスに罹り、両親の家に戻る。ブッシュはドイツの民話および童話を収集する。


写真は絵本『マックスとモーリッツ（Max und Moritz）』

⑦1854年、ミュンヘンに転居し、美術学校に入学。ミュンヘン青少年芸術家協会に加入。風刺週刊誌『フリーゲンデ・ブレッター（Fliegende Blaetter）』の出版に協力する。

⑧1865年、絵本『マックスとモーリッツ（Max und Moritz）』を出版する。

⑨1868年、弟オットーの住むフランクフルトに転居。哲学者アルトゥール・ショーペンハウアーおよびヨハンナ・ケスラーと知り合いになる。

⑩1879年、生まれ故郷ヴィーデンザールに戻り、『サルのフィップス（Fipps der Affe）』等いくつかの作品を出版する。

⑪1898年、ハルツ地方（Seesenゼーゼン近郊）のメヒツハヴセンに転居し、詩集『結局（Zu guter Letzt）』を出版。

⑫1908年1月9日、メヒツハヴセンにて心不全により死去。

写真はTodestag_Wilhelm_Busch_10_Pfennig_1958ドイツ郵便切手・没後50周年記念

写真は1990,_MiNr_868（絵本『マックスとモーリッツ（Max und Moritz）』の出版125周年記念切手）
：先生のパイプに火薬を詰めておくマックスとモーリッツ

写真は1990,_MiNr_869ドイツ郵便切手（絵本『マックスとモーリッツ（Max und Moritz）』の出版125周年記念切手）
：マックスとモーリッツはパン粉を食い破って逃げのびる

写真は1990,_MiNr_870ドイツ郵便切手（絵本『マックスとモーリッツ（Max und Moritz）』の出版125周年記念切手）
：穀物袋にいくつも切れ目を入れておく

写真は1990,_MiNr_871ドイツ郵便切手（絵本『マックスとモーリッツ（Max und Moritz）』の出版125周年記念切手）
：鼻の上をコガネムシが這う

写真は2001_-_Lebenslanges_Lernenドイツ郵便切手
：2001年、先生、長生きの勧め

＜文化的な位置づけ＞

このブッシュによる二人のBubeいたずら小僧を描いた古典的な物語は現在パブリックドメイン（知的財産権が発生しない場合、または発生した権利が消滅する場合）となっており、英語圏における知名度は低いが、ドイツ語文化圏を代表する作品となっている。

今日でもドイツやオーストリアにおいて、この物語はしばしばマスコミで取り上げられ、広く親しまれている。マックスとモーリッツの小憎らしい顔はいたずら小僧のシンボルであり、広告ロゴや落書きなどで頻繁に使われている。

写真はSeesen_Max_Moritzマックスとモーリッツ：人気者の二人の像が各地にある。

（2014.03.10.Wik抜粋他・編集加筆）

Grosser Garten Herrenhausenヘレンハウゼン王宮庭園：
14：55〜16：20　入場料Euro16

写真はHannover_Herrenhaeuser_gaerten俯瞰

1696年から1714年にかけて、郊外にあった夏の離宮ヘレンハウゼンをハノーファー選帝侯妃ゾフィー・ハノーファーがバロック様式の美しい王宮庭園に造形したものである。

ヘレンハウゼン王宮庭園は「グローサー・ガルテン」、「ゲオルゲン・ガルテン」、「ヴェルフェン・ガルテン」、「ベルク・ガルテン」の4つ庭園からできていて、ヨーロッパで最も美しい庭園のひとつに数えられている。

庭園の中心となるのは、巨大な野外宴会場「グローサー・ガルテン」で、1666年に建設が始まり、1696年から1714年にかけて今日の姿に形づくられた。 文字が描かれた大花壇や夏の花3万本の庭、真っ白な砂岩によるヘラクレス、ビーナス、天使たちの彫像が多数飾られている。

82mの大噴水はヨーロッパ一高い噴水であり、多段式の滝（1670年頃) は現存する最古のものに数えられている。

金色の彫像が立ち並ぶ、ドイツ初の庭園劇場は今日なお選帝侯妃の時代と同様の、華々しい雰囲気を醸している。

「ベルク・ガルテン」では草原や湿原の他に、蘭や熱帯雨林、サボテン用の温室、熱帯気候のサンルーム、1794年のキュウリモクレンのような希少な古樹が見られる。又、ここには王家の霊廟もある。
園内北西部に1676年に造られた洞窟があり、世界博覧会エキスポ2000年にあわせて修復された。1720年建設のオランジェリーもまた一見の価値があります。

見学時間：05/01〜08/31＝09：00〜20：00

写真は1708年Hannover_Herrenhaeuser_gaerten

写真はHannover_Herrenhaeuser_gaertenヘレンハウゼン王宮庭園の「グローサー・ガルテン」

写真はヘレンハウゼン王宮庭園の「グローサー・ガルテン」

写真はヘレンハウゼン王宮庭園の「グローサー・ガルテン」にあるドイツ初の庭園劇場

この旅行記へのコメント （6）

• チェロ爺さん 2020/11/29 11:50:20

  Jijidarumaさん初めまして

  寒くなり、以前にベルリンのフンボルト大学の構内の市で買って来た
  ウイルヘルムブッシュさんの「Das grosse Lesebuch」を辞書片手に
  読み始めた所です。
  マックスとモーリッツの７話を詳しく写真入りで
  解説やビデオで詳しく解説頂き感謝しています。
  コロナ禍の前は５年間毎年、ベルリンを中心に旅行して居ました。
  すっかりドイツファンです。
  他の旅行記も今から読ませていただきます。

  jijidarumaさん からの返信 2020/11/29 13:06:18

  Re: Jijidarumaさん初めまして

  チェロ爺さん、
  今日は。初めまして。喜寿のダルマです。どうぞ宜しくお願いします。
  そして、お立ち寄りとコメントありがとうございます。
  
  さて、私はドイツ好きで、古城好き、伝説好きですので、田舎巡りで
  気になるものはこうして掲載させて頂いております。
  それにしても、原書からお読みになるのも、なかなかすごい事です。
  ちょっぴりでも、ご参考になれば嬉しいですね。
  ・・・
  ≪2019年9月25日（水）ドイツのメルヘン街道と木組み建築街道の旅：⑯英国王となったハノーファー王家ゆかりの町へ≫
  この時も『Wilhelm Busch Museumヴィルヘルム・ブッシュ博物館』を
  予定に入れていましたが、余裕が無くなり断念しました。一応ご紹介すると、
  1937年開設。「ゲオルゲン・ガルテン」内にあるブッシュ博物館は19世紀の漫画家ヴィルヘルム・ブッシュの描いた2000ものスケッチが集められ、その他1600年頃からの風刺漫画の歴史が展示されている。
  ドイツで良く知られているMax und Moritz - Eine Bubengeschichte in sieben Streichen『マックスとモーリッツ - 七つのいたずらの話』
  の絵本の作者である。
  ・・・
  多岐に渡るドイツのこと、ご興味あれば、又お立ち寄りください。
  それではまた。ありがとうございました。
  jijidaruma

  チェロ爺さん からの返信 2020/11/29 17:58:37

  Re: Jijidarumaさん初めまして

  私はjijidarumaさんほどドイツの知識は無いので色々教えて頂き有難うございます。お近くならお会いしてドイツのよもやま話がしたいです。地元金沢に夫婦で旅行されて居る伊関さんご夫婦がいらっしゃるようで旅行記を２冊も出版されて居て、お話したいとメールしましたが返事が無く寂しい思いをして居ます。

  jijidarumaさん からの返信 2020/11/30 00:11:02

  Re: Jijidarumaさん初めまして

  チェロ爺さん、
  イエイエ、私は30代と40代の頃、二度デュッセルドルフに駐在しましたから、少々言葉も土地勘もあって、ドイツ免許を持ち、レンタカーの旅をしながら、田舎を巡っております。
  ドイツ感傷旅行と称して、定年後の旅を続け、４Traでドイツ好きの方にこうして情報も提供しているのです。
  
  武漢ウイルス禍で今年は断念しました。
  ちょっとこの先の予定が立てなくなった昨今ですね。
  jijidaruma

  チェロ爺さん からの返信 2020/11/30 07:49:55

  Re: Jijidarumaさん返信有難うございます。

  私は一度、定年直後にツアーでオーストリアに行って、欧州の素晴らしさに感激して、大学の夜間ドイツ語講座に２年間夫婦で通い、少し理解できる様になって、夫婦で個人旅行をしました。
  　プラハへ行く汽車の中で家内が携帯を忘れて、プラハの駅前警察に行って、たどたどしい英語とドイツ語で巨漢の警察官に怖い思いをしながら説明したら、鉄道警察に行きなさいと言われ、翌日朝から探して行って、書類を書きましたが結局音沙汰なしで、後日、帰国後に携帯会社が保険で支給して来れました。
  　又、ベルリンからプラハに行く列車のホームの案内表示が突然消えて、アタフタしてたら雪で遅れたので先に来る別の列車の案内が出て来たようで、結局中央駅で１時間待たされて漸く目的のウイーン行きの列車が来てホッとしたり、
  　ハイデルベルクで乗り換えのホームにお土産の入ったバックを忘れ次の駅で降りて戻って取りに行ったり、そんなドタバタ、失敗も良い思い出です。
  ベルリンでは金沢大学の夜間大学のドイツ語講師の青年が、ボンから会いに来てくれてポツダムに案内して来れたり、しました。
  　コロナでいつもう一度行けるか分かりませんがもう一度行きたいです。

  jijidarumaさん からの返信 2020/11/30 12:45:09

  Re: Jijidarumaさん初めまして

  チェロ爺さん、
  さらに、コメント恐縮です。
  いろいろと、旅のエピソードがおありですね。
  頭の体操にその頃のものを旅行記に掲載されたら如何でしょう。
  拝見すると、2014年の分が最終ですが、同じ年の旅でもエピソード
  一つで日記が出来ますよ。
  武漢ウイルス禍の今年は、日記で楽しまれますように。
  なお、ご返信は不要です。
  jijidaruma