2025/05/22 - 2025/05/22
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kojikojiさん
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ウォーリア(HMS Warrior) の見学を終えたところで渡船の時間まで間があるのでボートハウス4(Boathouse 4)の見学を先にすることにします。この建物は子供の頃に社会の時間に習った「のこぎり屋根」を持っていました。授業で習って55年後に初めて本物の屋根を見た気がします。このタイプの屋根はイギリスで動力織機が設置された1820年代後半から30年代にかけて出現し、英語では、「northlight shed」あるいは「saw tooth roof」と呼ばれるようです。内部は吹き抜けの2層になっていて、片側には細長いドックが設けられ、建屋の中に船を曳き込めるような構造になっています。1階の部分にはたくさんの船が並べられ、その何艘かは実際に修復作業が行われていました。こんな博物館は日本には無いなと感心します。ひと通り見学した後は横にある船着き場に移動して潜水艦博物館への渡船を待ちます。ピストン運行している渡船は本数が限られているので早めに見てしまった方がよいと思いました。ポカポカ陽気に中で後方のオープンデッキに座り、湾内を航行するのはとても気持ち良かったです。「ポーツマス・ヒストリック・ドックヤード」は海軍の施設でもあるので湾内に出ると巨大な航空母艦「HMSクイーン・エリザベス/HMS Queen Elizabeth, R08」が見えました。これは2025年8月に日本に来る予定の「プリンス・オブ・ウエールズ/HMS Prince of Walles」の姉妹艦です。20分ほどのクルーズで渡船は対岸のヨットハーバーの中にある船着き場に到着します。階段を上がるとそこには巨大な潜水艦「HMSアライアンス/HMS Alliance」が陸上に展示されています。まずは「The Royal Navy Submarine Museum」で受付を済ませて、潜水艦の見学チケットを貰います。なるほど狭い館内をガイドツアーで周るには人数制限があるようです。社会科見学の学生たちが前にいましたが、我々は2名だけなので前のツアーの中に入れてもらえました。潜水艦に入るのは初めてのことでしたし、昨年ドイツの「キール」からクルーズに出航する際には近郊のラーボエの「海軍記念館」に現存する潜水艦「U995 」を見損なっているという思いがありました。初めて潜水艦の中に入るとウォルフガング・ペーターゼン監督の映画「Uボート」という映画の息の詰まるような閉塞感を感じました。20歳くらいの頃に父と2人で観に行った映画だったことを思い出します。狭い艦内に身を置くと絶対に潜水艦乗りにはなれないなと実感しました。しかし、狭い空間を効率的に設計した設備には感心しました。潜水艦内は昼夜の区別をつけるため夜になると艦内の電気を赤灯にしますが、それも体験できたのはいい思い出になりました。まだ半分も見学できていませんが、あっという間に昼を過ぎてしまいました。やはりここに1日かけて見学するように予定して良かったと思います。再び渡船に乗って次の見学に移ります。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- ホテル
- 4.0
- グルメ
- 4.0
- ショッピング
- 4.0
- 交通
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 一人あたり費用
- 50万円 - 100万円
- 交通手段
- 鉄道 高速・路線バス 観光バス 船 タクシー ヒッチハイク 徒歩
- 航空会社
- ANA
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
「HMSウォリアー」の見学が終わった後は「潜水艦博物館/The Royal Navy Submarine Museum」へ移動する渡船の時間を確認しておきます。
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「アクション・ステーションズ/Action Stations」
2025年10月まで閉館予定ですが、以前イーストニーにあった王立海兵隊博物館の展示があるようですが、今回は時間の関係でパスしました。 -
「ボートハウス4/Boathouse 4」の建物の見学に移ります。北東側に当たる入り口はほぼ全面がガラス張りになっているので内部はかなり明るくなっています。
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1930年代にアールデコ様式で建てられたボートハウス4は小型の歴史的船舶の修復施設と教育センターの両方として機能しています。また、英国空軍の救難艇、中型揚陸艇(MTG)、そして最後に稼働していたフォークランド紛争で使用された揚陸艇など、歴史的船舶が展示されています。修復と教育施設に加え、レストランとトイレも完備されています。
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シップスバッジ(Ship's Badges)とは海軍の艦船や陸上施設、組織を識別するために用いられる紋章のことです。19世紀後半以降に船首像や金箔装飾といった識別方法が廃止された後、海軍の艦船を識別するために導入されました。
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手動のサイザルロープ撚り機が置かれてありました。この細いロープをを撚ることによりさらに太い係留用のロープを作っていくようです。
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「HMSヴィクトリー」で使われていたロープの太さまでにするには大変な作業なのだろうなと思えます。
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「スチーム・カッター438/Steam Cutter 438」
アドミラルティ・カッターNo,438として1897年に建造されました。当初は「HMSエスピエグル(HMS Espiegle)」に割り当てられ、次に病院船「HMHSメイン(HMHS Maine)」に割り当てられました。 -
メイン号ではボーア戦争と中国の義和団の反乱の両方でイギリス軍を支援するために使用されました。1914年にメイン号はスコットランド西海岸のマル沖で難破し、SC438は改修され、ポーツマス造船所に送られます。1920年代に退役しモータークルーザーに改造されますが、後に元の構造に戻されて2008年にポーツマス港で再就役しました。
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「ボートハウス4」の建設は第2次世界大戦の勃発により中断され、仮設のトタン壁が追加され、現在では歴史的痕跡として残されています。その独特の1930年代の建築と「のこぎり歯」の屋根により、ポーツマス港の風景の中ですぐに認識できます。
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戦時中の「ボートハウス4」は現在も使用されている4台のガントリークレーンを含む最先端の吊り上げ装置を備えたイギリス海軍の小型艦艇の建造とメンテナンスに不可欠な工場でした。
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「上陸用舟艇フォックストロット8」はフィアレス級揚陸艦の搭載艇として配備されました。これは第2次世界大戦期より使用されていたLCAを更新したもので、イギリス海兵隊第1強襲群によって運用されました。
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現在も日々この造船所では歴史ある船舶が修復されていることに驚かされます。それだけの技術が継承されていることと、それを国民や観光客に開放していることが素晴らしいと思います。
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「Seaplane Tender 01502」
船体にはロイヤル・エア・フォース(RAF)のラウンデル(円形の国籍マーク)と1502という番号が描かれています。水上飛行機や飛行艇は翼があるために従来のドックを使用することが出来ないためこのようなテンダーが使用されました。海軍の設計者ジョージ・セルマンによって設計された54隻は1940年から1943年に製造されました。このST1502は第2次世界大戦中ヨークシャーのブリドリントンとスコットランドのアルネスで海兵隊舞台で使用されました。 -
「JANET」と名付けられた美しいカッターも修理されていました。2000年の年末、ミレニアムの年始をパリで迎えたことがありました。年明けの瞬間のシャンゼリゼを歩いたのもいい思い出でしたが、その数日後に「ヨット・ド・パリ(Yacht de Paris)」のクラシックなカッターで21世紀最初のディナーを妻と食べたことを思い出しました。このようなクラシックな船でセーヌ川を航行し見上げたエッフェル塔の美しさは忘れられません。
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「グリーンパロット/Green Palot」
この船はポーツマスの発注された3隻のボートのうちの1隻で、1956年にはHMSメイドストーンに搭載された最高司令官のはしけとして完成しました。この時緑色に塗装され「緑のオウム」と名付けられました。1996年には退役し、長い修理の時を待っています。 -
「ボートハウス4」の巨大な建屋の壁面にはぺテ・コドリング(Pete Codling)というアーティストの絵画が掲げられていました。このサイズを見てひらめいたのがこれはスプリットセイルと呼ばれる帆船の帆ではないだろうかと思いました。彼のホームページを見てみると果たしてその通りで、「HMSウォーリアー」に張られた姿も写真で紹介されていました。
ぺテ・コドリング:https://www.petecodling.com/post/full-sail-ahead -
2023年8月に「ボートハウス4」では真新しいレプリカの「沿岸モーターボート(CMB)」の7年間の建造を完了しました。このボートは40フィートのCMBを完全に再現したもので、経験豊富な造船専門家の指導のもと、ボランティアによって完全に建造されました。ビルドには最新の接着剤が使用されましたが、すべての技術は1916年に導入されたであろう伝統的なものです。ボートビルダーはワックスクロスに描かれ、デザイナーのジョン・ソーニークロフトによって注釈が付けられた元の計画に基づいて作業しました。CMB4Rと名付けられた新しいCMBは2023年9月に海上試験を成功させました。
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「特別展:SHE_SEES」
2024年8月から2025年8月まで開催される海事業界の女性の物語を祝う革新的な展示会「SHE_SEES」が開催されていました。英国に本拠を置くロイズ・レジスター財団が主催するこの展覧会では、海事業界を形作ってきた先駆的な女性たちにスポットライトを当て、英国とアイルランド全土のアーカイブを公開しています。
ポーツマス歴史地区およびポーツマス大学と提携して、SHE_SEESは海事産業における多様性の向上に波を起こすことを目指しています。 -
「HMSアンドロメダ/HMS ANDROMEDA」
イギリス海軍の32門のハーマイオニー級5流フリゲート艦で、1781年に起工されて1784年に進水しました。その艦船に記念パネルのようで、絵の題材はまさにギリシャ神話のアンドロメダの物語の場面です。 -
アンドロメダは母カッシオペイアが自らの美貌が神に勝ると豪語したことから、怒った神々によって怪物ケートスの生贄とさせられようとして、波の打ち寄せる岩に鎖で縛りつけられました。そこをゴルゴンの三姉妹の1人であるメドゥーサを退治してその首級を携えてきたペルセウスが通りかかります。ペルセウスは怪物にメデューサの首をケートスに見せて石に変えてアンドロメダを救出しました。
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「スチームピナース199/Steam Pinners 199」
1888年から1929年にかけて製造された786隻のピナースのうちの1隻です。ピナースは帆船時代に商船や軍艦に搭載されていたオールまたは帆で動く小型ボートを指します。 -
この船は1967年にポーツマス造船所で建造された最後の船であるHMSアンドロメダの進水式にも使われました。この船は現存する唯一の蒸気機関を搭載したピナースです。
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見た瞬間にマルタ島の船だということが分かりました。マルタには2回訪問していて、妻と行った際には木製のルッツ(Luzzu)と呼ばれる船の木製キットを買って作ったことがありました。ヴァレッタのグランドハーバーでは訪問船は渓流の費用を節約するために岸壁から離れて係留することが好まれました。そのため岸と船を行き来する水上タクシーのディサ(Dghajsa)が用いられました。
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船体にはマルタ十字を組み合わせた紋章やヴィクトリア女王やウィルソン・ピケットなどのシンボルが描かれています。この船はセント・ローレンスが描かれていました。伝統的な「邪眼を倒す手」も反対側の船尾に描かれていました。漁船に取り付けられる「フェニキアの目」はここにはありません。
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2階からは1階で行われている修復作業が手に取るように分かりました。
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2階の奥には美しいレストランがあり、空いているのでお昼を食べようかとも思いましたが、ここで時間を取ってしまうと先の予定がこなせなくなるので、妻には黙っていました。そろそろ「潜水艦博物館/The Royal Navy Submarine Museum」へ向かうことにします。
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「ボートハウス4」の脇にある桟橋を進みます。お昼時なので並んでいる人の数は少ないようです。
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「補給沿岸船舶56/Victualling Inshore Craft 56」
VIS56は1945年にフェーバーシャムのジェームズ・ポロック&サンズ社によって弾薬を運ぶための石油燃焼汽船として建造されました。この船の特徴は変換可能な石炭/石油火力設計でした。 -
「ボートハウス4」近くの桟橋には「ハイスピードランチ10/High Speed Launch 102」が停泊しています。このHSL102は100クラスのハイスピード・ランチの唯一の生き残りです。
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「潜水艦博物館」から戻るお客を載せた渡船が到着しました。一番良い後方のデッキに陣取りましたが、最初は空いていましたが出港する頃には満席になっていました。
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ボートは定刻に出航して15分ほどの湾内クルーズです。大都会の湾内ですが海の水の色はとてもきれいです。そしてこの日も最高のクルーズ日和でした。
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桟橋を離れると巨大な航空母艦「HMSクイーン・エリザベス/HMS Queen Elizabeth, R08」が見えました。これは2025年8月に日本に来る予定の「プリンス・オブ・ウエールズ/HMS Prince of Walles」の姉妹艦です。
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以前にマルタ島のヴァレッタの港に面した「ブリティッシュ・ホテル」に宿泊したことがありました。港を眺めながら朝ご飯を食べていると目の前をイギリス海軍のインヴィンシブル級航空母艦が横切って行きました。シーハリアーFRS.1艦上戦闘機とシーキングHAS.5哨戒ヘリコプターを甲板に乗せ、エンジンで動く船舶における最高の礼式は「登舷礼(とうげんれい)」を行っていました。
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手の空いた乗員が甲板上に集合し、直立して敬礼する姿で等間隔で並んでいます。軍艦では他国の港へ入港する際に正装した乗員が敬礼を行い、航空母艦では戦闘準備や戦闘を企図しないことの証明という故事に則り、艦載機を飛行甲板上に並べることが多いのですが、その姿には感動しました。
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「ハスラーマリーナ/Haslar Marina」はポーツマス港の内側のヨットハーバーの入り口にあります。防波堤の外側に恒久的に係留されている明るい緑色の軽船です。灯台船には小さなバーとレストランのほか、シャワー、トイレ、ランドリー設備まであるようです。
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「クイーン・ガラドリエル/Queen Galadriel」は1937年にデンマークのスヴェンボルグで建造されました。ガラドリエルは元々最初の船長の娘にちなんでエルゼと呼ばれていました。この帆船はデンマークとノルウェーの海岸を貨物船として航行し、最初はモーターセーラーとして、1956年以降はモーターのみで航行しました。1983年にシルダントラストに買収され、再装備されて保存されています。
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「潜水艦博物館」の桟橋から階段を登ります。
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まずは「ビジターセンター」に向かうようです。ここで潜水艦「HMS アリアンス/HMS Alliance」のガイドツアーのチケットを貰いました。先に下船した高校生の社会科見学のグループがいましたが、彼らの前のツアーの最後に入れてもらえました。
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この潜水艦は第2次世界大戦の終わりに起工され、戦後の1947年に完成したイギリス海軍のA級、アンフィオン級、またはアケロン級潜水艦です。「HMS アリアンス」は1981年以来博物館船として残っているこのクラスの唯一の例です。
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アンフィオン級潜水艦は極東で使用するために設計されており、長距離で高い水面速度、乗組員の相対的な快適さが重要な機能となり、大西洋や地中海で活動するイギリスの潜水艦よりもはるかに広い哨戒エリアと海上での長期滞在が可能になりました。
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2014年4月からこの「潜水艦博物館」で訪問者に公開されました。映画で変身する姿は見られませんが、映画「トランスフォーマー:最後の騎士」にも登場しています。
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見学ツアーの最後尾から館内に入ります。狭い艦内なので、間に入ってしまうと写真が撮りにくいと考えたのですがこれは正解でした。専門用語の多い英語の説明は近くで聞いても分かりません。
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船首側に設けられた入り口から中に入るとすぐに魚雷発射管が見えました。中には魚雷が装填されています。
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そして巨大な魚雷も天井の鉄骨から吊られています。館内には数人の退役軍人の方がいらして、それぞれのエリアの説明をしてくれます。
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1947年10月9日から11月8日までこの艦はアフリカ沖の大西洋で長い実験巡航を行いスノルトマストの限界を調査し、30日間水中に沈んだまま航行を続けました。館内に入った途端に閉塞感を感じ、自分は絶対に潜水艦乗りにはなれないなと感じます。
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潜水艦について初めて興味を持ったのは日本海軍の「伊四百型潜水艦」についてでした。特殊攻撃機「晴嵐」3機を搭載したことから「潜水空母」とも呼ばれ、通常動力型潜水艦としては2012年に竣工した中国人民解放軍海軍の032型潜水艦が竣工するまで世界最大の潜水艦でした。
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小学生の頃は1960年代後半で、まだ太平洋戦争中の日本軍の軍用機や艦艇についての本がたくさん刊行されていた時代でした。テレビでは「決断」なんて番組も放映されていました。連合軍やドイツ軍についても詳しくなったことから、今回のクルーズとその後の旅では昔の知識がフラッシュバックのように蘇ってきました。
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1958年から1960年にかけてこの艦は甲板砲と外部魚雷発射管を取り外し、船体を流線型にし、フィンをアルミニウム製のより大きくより流線型のものに置き換えることで広範囲に近代化されました。元の砲へのこのアクセスハッチは維持され、1960年代初頭のインドネシア対立中の極東で任務に就いた際に、再び小口径の甲板砲を装備することができました。
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細かい機器については分からないものが大半ですが、航行中の生活が感じられるこのような給湯器やポットを見ると人の生活感が感じられます。
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展示はかなりリアリティがあり、ミルクの入った紅茶など、今までここに人がいたのだと感じられます。
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人の行き来する通路の脇には少し丈の短いカーテンがありました。
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その中は1人分のプライベートスペースとベットがあります。恋人なのか女優なのかピンアップ写真が貼られてあります。ここで何十日も生活できないなと感じます。
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少しランクの上がった搭乗員のダイニングには美味しそうなフルブレックファストの朝食が並んでいます。それでもダイニング専用ではなく、壁際には寝台が並んでいます。
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昔懐かしい鉄道の三等寝台のようですが、一番下の寝台には寝たくないと思います。
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階級が上がるにつれて寝台とダイニングの環境は良くなっていきますが、個室が与えられることは無いようです。
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先頭のガイドさんとは10メートル以上離れているので説明は全く聞こえてきません。もっともこの方が気兼ねなく写真も撮れて気楽なものです。
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上級の士官になるとこのようなスペースもあるようです。
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水密区画を幾つも通過していきますが、今まで観てきたいくつかの潜水艦を舞台にした映画が思い出されます。父は終戦時16歳だったので戦争には行っておらず、8月15日には墜落した二式複座戦闘機「屠龍」を見に行っていて玉音放送を聴かず、学校の先生に怒られたと言いながら軍用機や艦艇には興味が合ったようで何度か一緒に映画を観に行ったことがありました。
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一番記憶に残っているのはウォルフガング・ペーターゼン監督の「Uボート(Das Boot)」でした。実物大レプリカが建造されて、このセットを用いたリアルな艦内描写が作品の中心に据えられ、さらに物語が進むにつれ薄汚れて髭だらけになっていく乗組員の姿がリアルでした。この時建造されたUボートは後に「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」にも登場しています。
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そしてショーン・コネリー主演の「レッド・オクトーバーを追え(The Hunt for Red October)」です。ソ連潜水艦の珍しい戦術「クレージーイワン」について知ったり、乗組員を降ろした後にアメリカの潜水艦が緊急浮上してジャンプするシーンは鳥肌が立ちました。
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アメリカ海軍の潜水艦員たちが「潜望鏡を覗く」の同義語として「Dancing with the Grey Lady(灰色のレディとダンスする)」というそうです。2本のレバーを閉じて、床に開いた円筒の中に潜望鏡を沈めるシーンはよく映画の中でも出てきます。ただ、足元が映ることが無いので初めて「ペリスコープウェル(井戸)」の構造が分かりました。
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傾斜角度測定器はまだデジタル化されていなかったようです。
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潜水艦内は昼夜の区別をつけるため夜になると艦内の電気を赤灯にしますが、それも体験できたのはいい思い出になりました。
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管制室の中は映画の中でもよく出てくるので何となく見覚えのある機器が並んでいます。
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エンジンテレグラフ(船内通信機)と舵角指示器(ラダーアングルインジケーター)です。現地で分からないことも最近はグーグルレンズのAI先生が何でも教えてくれます。
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この計器類とハンドルを全て覚えていないと扱えないと思いますが、眺めるだけで能が拒否反応を起こしそうです。
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mぅ1つ大きな線暴行がありました。こちらには「ペリスコープウェル」はありませんでした。
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貼られていた潜水艦のシルエット図は新しいもので、中には原子力潜水艦の物もあります。
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トイレのスペースも機能的に作られています。イギリス軍のトイレの汚物はタンクに貯蔵されました。ドイツ海軍の潜水艦のトイレは連合軍のもの異なり、汚水タンクに排泄物を貯めるのではなく、直接水圧で艦外に排出する方式をとっていました。従来のトイレは水圧が低い浅深度でのみ使用可能だでしたが、「U-1206」に搭載されていた新型のトイレはより深い深度でも使用可能なものでした。
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艦長は新型トイレを使用しましたが、流すためには複雑なバルブ操作が必要であるため訓練を受けた者のみが操作せよという規則を無視して自ら操作した結果、排泄物が混ざった海水がトイレから噴出してトイレの真下にあったバッテリーを冠水させ、その結果有毒な塩素ガスが発生したために浮上せざるを得なくなり、浮上した「U-1206」はイギリス空軍の哨戒機に発見されて爆撃を受け、自沈させることとなりました。
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海外でトイレを使う際に日本とシステムが違うことがあったりして戸惑うことがあります。特に洗面台は足元にレバーがあったり、ボタンを踏むものだったり途方に暮れたことを思い出します。
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生活空間の大きさに比べて小さい厨房です。ほとんど現在の物と変わりが無いように思えます。熱源は当たり前ですがガスではなく電熱のようです。イギリス海軍のカレーは19世紀に起源を持ち、長期間の航海における食事の課題から生まれました。数ヶ月から数年にわたる航海では新鮮な食材の入手が難しく、保存食が重要でした。栄養確保のためシチューをメニューに考えていましたが、日持ちしない牛乳の代替としてカレー粉が使われるようになりました。明治時代になると日本海軍がイギリス式の兵式や食事制度を参考にする中で、このカレーが日本に持ち込まれました。
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後ろからは社会科見学の高校生の声が聞こえてきます。早くしないと挟み込まれそうです。
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我々のツアーは後方の機関室に入りました。
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ここも映画の中では重要な場面でよく登場します。さぞかしうるさい音がしたのではないかと思います。
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大きなブレーカーがいくつも並び、それぞれが触れないように仕切り板が設けられています。
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最後尾の魚雷室まで来ました。ここに吊られた魚雷は内部を見ることが出来るようになっています。同じように渡船で渡る「海軍火力爆発博物館/Explosion Museum of Naval Firepower」があるので、詳しくはそこで学べますが時間が無いので割愛します。
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ドイツのキールではUボートの博物館へは行けませんでしたが、今回ポーツマスに来ることが出来て良かったです。
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息の詰まるような潜水艦の館内からようやく解放されました。
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これから潜水艦を舞台にした映画を観ることがあれば、今日を境に見方が変わるような気がします。
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「ビジターセンター」にも立ち寄ろうと考えていましたが、いいタイミングで渡船が来るのようなので列に並ぶことにします。釉薬午前中の見学が終わりましたが、だいぶ時間が押しています。
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