水戸城跡。二の丸から本丸周辺を歩く。

2025/03/31 - 2025/04/06

大手橋を渡り、二の丸・本丸跡を見ながら水戸駅に戻りました。
弘道館事務所作成のマップには、水戸城散策ルートは約1.7km・約1時間。二の丸角櫓往復は、約700m・約20分追加と記載されています。

エリア 水戸(茨城)

3月31日（月）
弘道館周辺散策マップに従って、大手橋を渡り本丸・二の丸跡を歩きました。

水戸城には天守や石垣がなく御殿と三階櫓などがありましたが､他藩出身者の入城に反発した犯行とされる明治5年(1872)の水戸城放火事件、その後の解体や昭和20年(1945)の戦災でその姿は失われ、現在は薬医門､本丸跡・二の丸跡・三の丸跡の土塁と堀が残っています。

水戸城
平安時代末から鎌倉時代初期に馬場氏が建てた館に由来し、江戸氏、佐竹氏の手を経て、慶長14年（1609）徳川頼房が水戸藩初代藩主として封じられ御三家水戸徳川藩が成立。11代にわたり御三家の城として存続しました。

水戸徳川藩は参勤交代を行わない江戸定府大名であったため、実際には藩主の居城として使われることは少なく、城内の建築物は質素だったようです。

東西に細長い台地を堀で分断しながら、土塁で囲まれた曲輪が並びます。城の主要部は、東西約1.2km・南北最大約0.4kmありました。

現在では、水戸第一高校の敷地がおおよそ本丸跡、第二中学校・水戸第三高校・茨城大学教育学部附属小学校の敷地が二の丸跡、弘道館・三の丸小学校・県庁三の丸庁舎が三の丸跡にあたります。

城の主要部の東側と西側には城下町が開かれ、さらに堀切が城下町を丸ごと囲み、惣構の規模は東西約3.5km・南北最大約1.2km。石垣構築の計画は何度かされたようですが、諸事情により築かれることはありませんでした。

16:48
徳川斉昭公像
（おさらい／水戸藩第九代藩主 弘道館を設立）

大手橋の下を通る国道232号線（市毛水戸線）は、三の丸と二の丸の間に設けられた空堀の跡を利用した道路。堀の深さや幅の様子を見て感動したのに、間違えて写真を削除してしまいました。なんてこった(T_T)

大手門(復元)
御殿風の大手門は、袖石垣がない櫓門としては最大級。

水戸城大手門 名所・史跡

大手門瓦塀
東南アジアの民俗衣装を意識した、こんな絵柄のストールを持っています。アジアンチックだなと感じてしまうのは私だけ？

内側から。

家紋確認を忘れずに。

茨城師範学校跡

付近には水戸市立第二中学校、茨城大学教育学部附属幼稚園・小学校、茨城県立水戸第三高等学校があり、その先には茨城県立水戸第一高等学校が建つ一大文教地区になっています。

大手門を振り返って。
内側から大手門を見ると、高い土塁に囲まれているのが分かります。

水戸彰考館跡
徳川光圀が、大日本史の編纂所として創設した史局。

旧水戸彰考館跡 名所・史跡

大日本史完成の地 名所・史跡

日本遺産「近世日本の教育遺産群-学ぶ心・礼節の本源-」
水戸市における構成文化財／旧弘道館、常磐公園(偕楽園)、旧水戸彰考館跡、日新塾跡、大日本史

旧水戸彰考館跡 名所・史跡

二の丸展示館や二の丸角櫓は、入館時刻に間に合わなかった。

水戸城址(二の丸展示館) 名所・史跡

安積澹泊（あさかたんぱく）像
水戸黄門のドラマで知られる「格さん」のモデルとなった安積澹泊。江戸時代中期の儒学者で、彰考館の総裁も務めました。

雨は降ったり止んだりしています。雨が多いから「水」戸なのかなぁと思ったけど、そんなわけはなく。
地名の由来は、古代から太平洋から那珂川に入る湊があったための「湊（ミナト）」や「水門（ミナト）」から。

三階櫓跡地(非公開)
徳川家康の11男で水戸徳川家の祖である頼房は、三の丸や外堀の整備拡張を行い、二の丸に御殿を造営。併せて三階物見と呼ばれる櫓を建設しましたが、火災で焼失してしまいます。その後、1766年（明和3）に再建された大型の櫓には鯱が上がり、御三階櫓と称し天守の代用とされていました。

その御三階櫓は放火による損壊や明治の解体を免れたものの、太平洋戦争時の水戸空襲で焼失し、以後、再建されていません（太平洋戦争で焼失した天守相当の建築のうち、復元されていないのは現在は水戸城だけ）。

二の丸角櫓(復元)
大手門から徒歩約10分。茨城大学付属小学校・幼稚園と水戸第三高等学校の間にある歩行者用通路を通り抜けて行くようになっています。

水戸城二の丸角櫓 名所・史跡

17:05
水戸城跡の大シイ。樹齢推定400年で、佐竹氏が水戸城にいた頃より自生していたと伝わります。

杉山坂
寛永2年(1625)に、初代藩主頼房が行った水戸城大改修により整備された坂道で、那珂川方面から二の丸へと登る。

杉山門(モニュメント)
二の丸の北口にあたり、杉山坂と並行に建っているのは、かつて枡形があったため。

橋を渡って本丸跡にある薬医門へ。

薬医門(現存)
水戸城唯一の現存最古の建造物である薬医門は、1600年頃、佐竹氏が水戸城にいた時期に本丸虎口の城門として建てられたもの。形式と規模や風格からみて、本丸から二の丸に通じる橋詰門と考えられているそうです。

旧水戸城薬医門 名所・史跡

明治20年(1887)頃と昭和19年(1944)に、市内で移築。空襲により水戸城が焼失した時には祇園寺に移築されていたため、戦火を免れ姿を保つこととなりました。
その後、昭和56年(1981)に水戸城本丸跡地である、ここ県立水戸第一高等学校敷地内(旧位置近く)に移築復元されています。

門を一周。切妻造、茅葺風銅板葺。現存する建物だけあって重みを感じるなぁ。

これまで城めぐりで何度も見てきた薬医門だけど、名前の由来に、矢の攻撃を食い止める「矢食い＝ヤグい」からきたという説があると初めて知りました（説明を受けたのに、忘れていただけかも。ちゃんと勉強しなきゃ）。

薬医門を見たあと、再び本城橋を渡って戻るときに空堀をじっくりと観察。

本丸と二の丸の間にある空堀跡に走っているのはJR水郡線。こっちは直線が続き、

そして、カーブ。空堀の大きさや形を、線路がしっかり示してくれています。この感じ、堪りません。フェンスに張り付いて見てしまいました。

直線的な空間が確保された堀底に線路が敷かれたケースを何度か見たことがありますが、水戸城はその代表格で、線路との比高は22mにも及びます。
薬医門もよかったけど、ここ最高。来てよかったです。

徳川頼房公像。
（おさらい／徳川家康の11男で水戸徳川家の祖）

17:20
柵町坂下門(モニュメント)
もとは二の丸の南側虎口にあたる坂の下に設けられていましたが、景観整備の一環としてこちら（坂の中腹）に建てられています。

大手門からここまで門や塀も復元されていて、往時の城の様子を想像しながら歩くことができました。
でも、放火や明治以降の取り壊しがなければ、もっと城らしさを感じることができたのになぁ。徳川御三家でもあった水戸城が、こんなかたちなのは残念です。いや、水戸徳川家だからこそこんな風なのか・・・

17:29
駅に向かう途中に建物の間から見えたのは、復元された二の丸角櫓ですよね。また水戸を訪れる機会があれば、ゆっくり見学したいと思います。