2021/11/04 - 2021/11/04
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葛生(くずう)といえば、私が子供のころは「葛生原人」を教わったものです。記憶も朧気ですが、北京原人に匹敵する大発見だと聞き、興奮したものです。
今では葛生原人は全くのデタラメと判明していますが、それでも葛生という地名には妙に懐かしさを感じています。
葛生は江戸時代から続く石灰石の産地でした。明治22年(1889年)に開業した安蘇馬車鉄道は石灰石を運搬するための路線で、葛生駅~越名駅間を営業しました。越名駅で船に積み替え、渡良瀬川から利根川を下って東京方面に運んでいました。
安蘇馬車鉄道は佐野鉄道に改名して蒸気機関車による運航を行いました。明治45年(1912年)に東武鉄道が佐野鉄道を吸収し、さらに館林駅~佐野駅間を大正3年(1914年)に開業し、葛生駅までの直通運転を始めています。一方、佐野から越名への路線は大正6年に廃止しました。
大正9年には葛生駅からさらに山中へ東武会沢線が開通、平成9年に廃線するまで77年間にわたり石灰石を輸送しました。東武鉄道に限りませんが、初期の鉄道事業はその大半が貨物輸送を目的としていました。石灰石、銅や鉄などの金属、石炭、中には糞尿などもありました。
東武鉄道も貨物輸送で発展した会社で、私鉄の中では輸送量全国1位を記録していました。
1日目
普通電車と東武日光線を乗り継いで東武日光駅へ。日光駅から日光市営バスで日光市足尾町赤倉へ移動
足尾銅山の本山精錬所跡から徒歩で間藤駅、足尾駅を経由して通洞駅へ
鉱山跡の足尾銅山観光を見学してから間藤駅へ戻り、わたらせ渓谷鐵道を乗り通して桐生駅へ。桐生に宿泊
2日目
桐生駅から佐野駅へ移動し、バスと徒歩で田中正造生家跡を見学
東武佐野線の終着駅・葛生駅まで移動し、廃線跡などを見学してから帰宅
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.0
- 交通
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円 - 3万円
- 交通手段
- 私鉄 徒歩
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終着駅に向かうという標題にも関わらず、1日乗車券を利用して市バスに乗ってしまいました。
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佐野駅から乗客は3人、途中から一人乗り、病院で2人降りました。その後もう一人も降りて、終点の葛生駅南バス回転場まで乗ったのは私だけでした。しかも料金も払わずに申し訳ございません。
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11:35佐野駅前発車。田沼葛生線という路線です。
こんな風景が続きます。 -
12:23葛生駅南バス回転場に到着。
駅の近くにあったラーメン屋さんで食事します。 -
お客さんはいませんでしたが、私の食事中に一人入りました。
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東武鉄道佐野線の葛生駅。
明治22年(西暦1889年)6月23日に開業しました。 -
旧葛生町のマンホール蓋。旧葛生町の花であるヤマユリを描いています。新しい物は「さのし」に変わっています。
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駅の敷地はとても広く、かつての繁栄を忍ばせます。
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線路が終わっています。
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北東方面に線路が続いているので、線路沿いに歩いていきます。
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車止めがありました。
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かつては踏切があったと思われる地点で線路は終わっていました。
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駅の南側は大規模な太陽光発電所になっています。
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線路跡地は柵で塞がれていますが、すでに線路は撤去されています。
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さらに進むと柵もなくなりました。ここには、かつて葛生駅からは東武会沢線(あいさわせん)の線路が敷設されていました。
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線路は築堤の上を通っていたようです。
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工場が近くに見えて来ました。
東武会沢線の上白石駅からは東武大叶線(おおがのせん)と日鉄鉱業羽鶴専用鐵道が分岐していました。 -
築堤上には架線柱が残っています。
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築堤に沿って続いてきた道は、ここで途切れていて、反対側に出るしかありません。
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これを見ると平成6年11月に塗装を直していました。
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かなり遠回りしないと廃線跡を探索することができないので、街中の散策に変更しました。すると、従宅地の中に小さな公園がありました。
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四十八願(よいなら)公園。佐野市葛生東1-569-1。
ふりがながなければ絶対に読めません。 -
後で調べたところ、今から400年ほど前にこの地よりもう少し山側に四十八願という地名があったそうです。
仏教用語の四十八願 (しじゅうはちがん)とは、浄土教の根本経典である「仏説無量寿経」において法蔵菩薩が仏に成るための修行に先立って48の願の立てたことだとか。何か謂れがあるのでしょうか。 -
ルピナス。
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柵の向こう、東武鉄道の敷地と思われる土地に小さなお社が見えました。詳細分かりませんが、遠方より手を合わせました。
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街歩きに変更して、やって来たのが葛生伝承館です。
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佐野市葛生伝承館です。
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葛生伝承館。
常設展示は、牧地区に伝わった牧歌舞伎、吉澤家から寄贈された吉澤人形頭です。ほぼ年間を通じて何かしらの展示会が催されているようです。 -
月曜休館とは知っていたのですが、休日の翌日も休館でした。
観覧料は無料です。 -
入り口横のフレスコ画。
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平成18年の9月から、栃木県石灰工業協同組合の協力により、西側の外壁(23.4メートル×3.1メートル)に”文化や自然・人物”をモチーフとした、四季の移ろいと様々な風物を描いていくフレスコ画の制作を行っています。
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完成予定は令和7年みたいです。
休館日でも作業は続いていました。 -
葛生伝承館の説明。
フレスコ画とは、砂と石灰を混ぜて水で練って出来たモルタルを壁に塗り、その上に水だけで溶いた顔料で絵を描く技法のことです。 -
フレスコ画が他の絵画技法と最も異なるのは、絵の具の定着溶剤を使用しないところです。例えば、日本画には膠(にかわ)、油彩には油、水彩にはのりといった溶剤を使用しますが、フレスコ画はそれを一切必要としません。
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濡れた石灰の上に、水で溶いた顔料(粉末状の色素)をのせて描くと、石灰水が顔料を被い空気中の二酸化炭素と反応して透明な結晶になります。顔料はこの結晶の中に閉じ込められるため、色がとても美しく耐久性があり、長期間そのままの色を保つことができます。日本の高松塚古墳やヨーロッパにある教会などの壁画もフレスコ画の技法で描かれています。
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隣接する葛生文化センター1階にある佐野市葛生化石館に行ってみました。観覧料は無料です。こちらも月曜休館とは知っていたのですが、休日の翌日も休館でした。やっぱり藤原秀郷とは相性が悪いようです。
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意気消沈した老人に哀れを感じてか、佐野市葛生文化センターの展示室なら観ても良いですよとの言葉をいただいて「里山の生きものたち」という展示を拝見しました。便宜を図っていただきありがとうございました。
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基本的に小動物や鳥類の剥製を展示しています。
苦手な方はスルーしてください。 -
小動物や鳥類の剥製を展示しています。
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小動物や鳥類の剥製を展示しています。
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小動物や鳥類の剥製を展示しています。
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小動物や鳥類の剥製を展示しています。
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小動物や鳥類の剥製を展示しています。
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小動物や鳥類の剥製を展示しています。
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小動物や鳥類の剥製を展示しています。
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コアホウドリの剥製。
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キンケイの剥製。
「里山の生きものたち」を観られて良かったです。 -
さざれ石。
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石筍。会沢鉱山の鍾乳洞から採掘された石筍です。この石筍が1cm積るのに約500年かかるということです。1m以上あるこの石筍は、この大きさに成長するまでに5万年以上かかっています。
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敷地に鉱山鉄道で使用されていたガソリンカーがありました。鹿沼市の金沢唐沢鉱山から会沢線を通り葛生の栃木工場まで運搬していました。
昭和37年(1962年)に日立製作所で製造され、10t機のディーゼル機関車が3t積み鉱車22両を牽引しました。昭和55年に廃止。 -
鉱山鉄道(ガソリンカー)。日立製10t機No.13。
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鉱山鉄道(ガソリンカー)。
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鉱石を運ぶ3t貨車。
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鉱夫を運ぶ車両も展示されています。
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鉱夫を運ぶ車両の内部。
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昭和のはじめ、東武会沢線の略図です。
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化石館らしく、庭の岩石にも名前が付けられていました。
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駅に戻りながら、葛生駅前の安養院(あんにょういん)という真言宗のお寺に参拝しました。山門は駅から墓地を挟んだ反対側にあり、レンガ橋を渡って入ります。
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延命地蔵尊。
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秩父・西国・坂東百観音巡拝記念の碑。
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十九夜塔。観音信仰の一つ、十九夜講に関係しているものです。
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六地蔵様。
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無縁仏の石塔。
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八龍山阿弥陀寺安養院の本堂。
真言宗豊山派。嘉吉元年(1441年)、葛生町東山麓四十八願の地に空性上人が阿弥陀如来を安置、南に八龍権現をお祀りしたことが創建とあります。また、八竜神社の別当として開山ともあります。
後に2度の災禍に遭い、弘化元年(1844年)にこの地に再建されました。 -
弘法大師像。
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八龍山の扁額。知らないと「八」の字は読めません。
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供養塔。
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阿弥陀如来坐像(定印)。
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駅前に出るための山門です。
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帰りも市バスに乗る方が安いのですが、東武佐野線を完乗するため電車で帰りました。
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駅舎の内部。
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ホームは古いです。館林へ向かいます。
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廃線になった北方向。
ホームは1面だけですが、線路は他にも残っています。 -
南(佐野・館林)方向。
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東武佐野線の車内。
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渡良瀬川を通過します。
栃木県佐野市と群馬県館林市の境界です。 -
東武佐野線・渡瀬駅。昭和2年に駅を設置する際に地元の渡瀬村(現・館林市)から名付けました。次は館林駅です。
一泊二日のお手軽旅行にもかかわらず、5編になってしまいました。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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