2020/03/22 - 2020/03/22
35位(同エリア4544件中)
旅猫さん
3月の三連休は、旅の予定をしていなかった。
しかし、桜の開花が早まるということから、21日に花見の約束をしていた。
ところが、思ったよりも開花が進まなかったことと、新型コロナウィルスによる自粛の影響もあり、中止となった。
しかし、桜は年に一度しか観られないので、連休最後の日に上野を訪れることにした。
それでも、人混みはなるべく避けたいので、上野公園は通り過ぎるだけとして、東上野の街をそぞろ歩いて来た。
- 旅行の満足度
- 3.5
- 観光
- 3.5
- 交通
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- JR特急 JRローカル 徒歩
-
地元の駅から、ちょうどやってきた特急列車に乗り込み、上野駅へと向かう。
日曜日の9時台と言うのに、車内は閑古鳥が鳴いていた。
終点の上野駅には10:13に到着し、不忍口改札から外へ出た。
京成上野駅の脇の階段を上り、上野公園へと入ると、最初に目に付いたのは、桃色の花を付けた満開の桜だった。上野恩賜公園 公園・植物園
-
歩き始めてすぐのところにあった清水観音堂へ参拝。
手水舎の脇にあった絵馬掛けには、桜の花の形をした絵馬が掛けられていた。寛永寺清水観音堂 寺・神社・教会
-
京の清水寺を模して建てられたという観音堂の舞台からは、珍しい形をした松の木が見られる。
その松は、かの歌川広重が『上野山内月のまつ』に描いた月の松を、平成24年に復活させたものだ。
円状になった幹の間からは、近江竹生島の宝厳寺に見立てて建立された弁天堂が望めた。寛永寺清水観音堂 寺・神社・教会
-
観音堂から少し歩くと、広場に出た。
例年なら、花見客で足の踏み場もないところだが、この日は、若者たちがそこかしこで呑んでるだけだった。 -
石段を下りてさくら通りへと出る。
桜の季節には、ニュースなどで必ず映し出される場所だが、今年は嘘のように人が少なく、道の脇で宴会をする人もほとんどいなかった。
それでも、やはり上野公園のさくら通りだ。
人が途切れることは無い。 -
肝心の桜はと言うと、思ったよりも開花は進んでおらず、5分咲きと言ったところ。
久しぶりに訪れたが、以前より、花付きが少ないように思える。
どの名所でも同じだが、桜の寿命を迎える問題は避けられない。
植え替えを想定しないで桜並木が造られているため、次世代を植える隙間が無い。
鎌倉の段葛のようになったら、かなり寂しいことになりそうだ。 -
まあ、場所によっては、まだまだ見応えがあるので、しばらくは大丈夫だ。
この日は風がかなり強かったので、花びらがもう散り始めていた。 -
新型コロナウィルスの影響で、博物館も美術館も動物園も休んでいるので、上野公園を早々に離れることにする。
とりあえず、今年も都内で桜を観られたので良しとしよう。 -
さくら通りを戻る途中、、道の傍らに、シャガの花を見つけた。
シャガと言うと、5月初旬に咲く感じがするので、3月中に会えるとは思わなかった。 -
不忍池に出ると、柳の若葉が風に揺れていた。
昨年の今頃、九州の旅の途中で柳川を歩いた時、濠端で見かけた柳を思い出した。 -
池端の桜も咲き始めていたが、まだつぼみも多かった。
花が開く直前のつぼみは、なぜか好きである。 -
近くでは、大好きな紫陽花がもう葉を伸ばしていた。
今年は、主役になる季節が早く訪れるかもしれない。 -
歩いていると、目の端に動くものがあった。
見れば、猫さんが一匹散歩中。
近付くと、どうだと言わんばかりの貫録を見せつけられた。 -
猫さんとしばらく楽しんだ後、不忍池を眺めながら歩く。
まだ春浅く、緑も少ない池の畔は、どこか寂し気。
枯れた蓮の葉が、まるで草紅葉のようだ。不忍池 自然・景勝地
-
下町風俗資料館まで来たが、そこも休館だった。
いつもなら大勢の人で賑わっている場所だが、信じられないほど空いている。 -
不忍池を後にして、アメ横へと歩いて行く。
さすがに混んでいるだろうと思いきや、そこもまた、いつもの賑わいは感じられなかった。アメヤ横丁問屋街 (アメ横) 名所・史跡
-
ふと、ガード下を覗くと、街の向こうにスカイツリーが見えた。
アメ横の猥雑さとスカイツリーは対照的だ。
個人的には、アメ横の方が性に合っているようだ。 -
アメ横を抜け、上野駅の前に出る。
一時は、超高層ビルへの建て替えの計画もあった上野駅だが、多くの反対の声のおかげで、変わらぬ駅舎と空の広がりが見られるのが嬉しい。上野駅 駅
-
そんな上野駅も、この日は行き交う人も少ない。
駅の向こうには、先ほどまでいた上野の森が見えている。 -
まだ時間が早いので、久しぶりに東上野界隈を歩いてみることにする。
まずは駅前から浅草へと伸びる浅草通りを歩いてみる。
すぐのところには、上野駅前とは思えないような建物がある。
これまでも何度か見ているのだが、変わらぬ姿で建っているのが嬉しい。 -
その裏手の方には、廃校となった下谷小学校の建物が残っている。
関東大震災後の昭和3年(1928)に竣工したコンクリート造りの建物だ。
平成2年(1990)の統廃合により閉校となってから、もう30年経っている。
後に建てられた同潤会上野下アパート(昭和4年竣工)や下谷区役所(昭和5年竣工)がすでに無いのに、よく残ったものだ。 -
ご多分に漏れず、東上野界隈も再開発は至るところで行われている。
ほんの少し訪れないだけで、まるで街の様子が変わってしまっていることが多い。
台東区役所の第二分庁舎があった場所も、すっかり更地になっていた。 -
それでも、街の中には木造の家も僅かに残っている。
蓮城寺と言う寺の住居部分のようだった。
温かみを感じない建物に囲まれて、そこだけ陽だまりのようだった。蓮城寺 寺・神社・教会
-
歩いていると、敷地いっぱいに建てられた大きなマンションがあった。
ここにはかつて、同潤会上野下アパートが建っていた。
10年ほど前に訪れた時はまだ健在だったが、平成25年(2015)に解体されてしまったそうだ。
東京と横浜に16か所あった同潤会アパートで、最後まで残っていたのだが、時代の流れには逆らえなかった。 -
マンションの向かいには、10年前にもあった木造の民家が残っていた。
建物は一つだが、二軒が入り、まるで長屋のようである。
すでに周りは新しい街並みに変わり、同じ頃に建てられた仲間はもういない。
この建物も、寂しいことだろう。 -
その木造民家の裏手に、永昌寺と言う寺があった。
境内に入ると、大きな石碑が建っていた。
案内板を見ると、弘道館柔道の創始者嘉納治五郎が、明治15年(1882)に稽古を始めたのが、この寺の書院だったそうだ。講道館柔道発祥の地碑 名所・史跡
-
境内では春紅葉が見られ、山門脇には八重の椿も咲いていた。
街中にある寺院や神社は、緑が見られる憩いの空間だ。永昌寺 寺・神社・教会
-
稲荷町駅のところで浅草通りを渡り、東上野3丁目へと入る。
この街も以前歩いたが、その時に見かけた銅板貼りの民家も変わらずあった。
この界隈には、銅板貼りの民家が結構多いのだ。 -
その先の四つ角に、趣のある建物があった。
元は店舗だったらしいが、今は営業していないようだ。
看板建築だが、角に立っているので、3面となっている。
しかも、タイルのような意匠で、とてもお洒落だ。
出来たころは、かなり目立ったのではないだろうか。 -
そこから駅の方へと歩いて行くと、下谷神社の裏に出た。
下谷神社は、都内最古の稲荷神社だそうで、明治になる前は下谷稲荷社と呼ばれていたそうだ。
古くは、上野台(上野公園)に鎮座していたらしい。
境内は、江戸で最初に寄せが行われた場所と云われている。寄席発祥の地碑 寺・神社・教会
-
境内の一角には、隆栄稲荷神社と言う小さな社も鎮座している。
朱色の鳥居が並ぶ祠の向かい側には、多くの神狐像が置かれた狐塚がある。
この社に来ると、必ずお狐様を撮ってしまう。 -
下谷神社の境内は狭いが、その脇の通路は風情がある。
以前訪れた時も、ここで写真を撮ってしまった。下谷神社 寺・神社・教会
-
駅へ戻る途中、路地裏に古い民家が並んでいた。
路地の突き当りは、上野駅前に建つホテルがある場所とは思えない。
上野駅まで5分と掛からない一等地なのに驚きだ。 -
駅に着くとちょうど昼過ぎだったので、入谷改札の目の前にあるアイリッシュパブで食事をと思いパンダ橋口へと向かった。
そこには青い空が広がり、とても気持ち良かった。
しかし、店は新型コロナウィルスの影響で臨時休業となっていた。
仕方が無いので、12:30発の列車でそのまま帰ることにする。
自粛真っ只中での花見と散策。
天気が良く、人も少なく歩きやすい、久しぶりの東京そぞろだった。パンダ橋 名所・史跡
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この旅行記へのコメント (4)
-
- hot chocolateさん 2020/03/30 22:59:09
- 上野界隈街歩き
- 旅する猫さん、こんばんは。
先日は、コメントを書いたまま、いいねを忘れてすみませんでした。
未読の「春の九州温泉旅」の旅行記もありますが、最新の旅行記にお邪魔しています。
去年の春、上野公園と上野動物園に行って来ました。
久しぶりの上野でしたが、大勢の人たちが、動物園や美術館や不忍池辺りを訪れ、楽しんでいたようです。
多分、東上野は行ったことがないと思いますが、昔ながらの木造の建物があったりして、情緒ある町並みが残っているのですね。
銅板貼りの民家・・・いつの時代の家なんでしょうか。あまり記憶にないです。
今年は、5月のベトナム/ダナンの旅はキャンセルしました。
秋には奈良に行けるかな?
hot choco
- 旅猫さん からの返信 2020/03/31 23:01:36
- RE: 上野界隈街歩き
- hot chocoさん、こんばんは。
書き込みありがとうございます。
新型コロナの影響で、軒並み旅行は行けませんね。
私も、3月と4月の旅は、中止にしました。
5月の連休のはざまにも計画していますが、これも無理そうです。。。
東上野は、戦災の影響はあったようですが、そこかしこに古い建物が残っています。
以前訪れた時よりも、再開発の波が押し寄せています。
銅板貼りの民家は、東上野界隈では結構観られたのですが、今は減っています。
秋の奈良、いいですね!
旅する猫
-
- 墨水さん 2020/03/24 22:24:04
- 目から鱗・・・。
- 旅猫さん、今晩は。
上野は、私も旅行記の構想を温めていたけど、ネタが続かないと言うか、写真一枚で終わっちゃう感じなので、構成をどうするかで非常に悩んでました。
(人と同じ旅行記書いても、しょうが無いし・・・。)
東上野を持ってくるとは、目から鱗が落ちる様です。(素晴らし!。)
あの辺は、情緒在る建物が点在してますよ、まだ。
ただ、今回は、酒が出てこないのが惜しまれます。(爆)
墨水。
- 旅猫さん からの返信 2020/03/26 20:24:56
- RE: 目から鱗・・・。
- 墨水さん、こんばんは。
書き込みありがとうございます。
上野はいろいろあるので、面白い街です。
このそぞろ旅行記では、上野は2回目の登場。
東上野は、何度も歩いていますが、マンションが建ち始め、風情が失われつつありますね。
今回は、帰りに立ち寄ろうとした麦酒の店が臨時休業でお酒は飲めませんでした(^^;
旅猫
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