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2月最初の週末、東京国立博物館で開催されている特別展『顔真卿 王羲之を超えた名筆』を観るために上野へ行くことにした。<br />それだけでは時間が余るので、先月始めたばかりの『東京そぞろ』を絡めることに。<br />今回は、日暮里駅から谷中を抜け、上野桜木から根岸へと歩るくことにして、展覧会は上野桜木と根岸との間に挟むことにした。<br />しかし、実際に歩いてみると、惹かれるものが多く、寄り道ばかり。<br />結局、博物館へ辿り着いたのは、歩きはじめてから三時間後だった。

東京そぞろ 其の2 上野桜木・根岸界隈

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2019/02/02 - 2019/02/02

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旅行記グループ 東京そぞろ

6

55

旅猫

旅猫さん

2月最初の週末、東京国立博物館で開催されている特別展『顔真卿 王羲之を超えた名筆』を観るために上野へ行くことにした。
それだけでは時間が余るので、先月始めたばかりの『東京そぞろ』を絡めることに。
今回は、日暮里駅から谷中を抜け、上野桜木から根岸へと歩るくことにして、展覧会は上野桜木と根岸との間に挟むことにした。
しかし、実際に歩いてみると、惹かれるものが多く、寄り道ばかり。
結局、博物館へ辿り着いたのは、歩きはじめてから三時間後だった。

旅行の満足度
4.0
観光
4.0
グルメ
4.0
交通
4.0
同行者
一人旅
交通手段
JRローカル 徒歩

PR

  • 今回は、上野駅まで出て、懐かしい常磐線で一駅戻って日暮里駅で下車。<br />天気も素晴らしく、今日は良いそぞろ日和だ。

    今回は、上野駅まで出て、懐かしい常磐線で一駅戻って日暮里駅で下車。
    天気も素晴らしく、今日は良いそぞろ日和だ。

    日暮里駅

  • とりあえず、南改札口から外に出て、跨線橋を通って駅の東側へ。<br />この跨線橋も、江戸時代、御殿坂から降りて来た道があった場所になる。<br />そして、東口から東南へと続く道もまた、江戸時代からある道だ。<br />その道を歩いて行くと、左手に寺が見えて来た。<br />善性寺と言う寺だった。

    とりあえず、南改札口から外に出て、跨線橋を通って駅の東側へ。
    この跨線橋も、江戸時代、御殿坂から降りて来た道があった場所になる。
    そして、東口から東南へと続く道もまた、江戸時代からある道だ。
    その道を歩いて行くと、左手に寺が見えて来た。
    善性寺と言う寺だった。

    善性寺 寺・神社・教会

  • 山門の前には、将軍橋と言う石橋が架けられている。<br />名前の由来は、江戸時代の宝永年間、この寺に隠棲した松平清武の兄で六代将軍徳川家宣が、しばしばこの寺を訪れたことからだそうだ。<br />この寺には、家宣の母長昌院が眠っているのだ。

    山門の前には、将軍橋と言う石橋が架けられている。
    名前の由来は、江戸時代の宝永年間、この寺に隠棲した松平清武の兄で六代将軍徳川家宣が、しばしばこの寺を訪れたことからだそうだ。
    この寺には、家宣の母長昌院が眠っているのだ。

  • その善性寺の前には、有名な羽二重団子があるのだが、ちょうど改装中だった。<br />しかし、駅前にある店で食べられると掲示されていたので、駅前まで戻ることに。<br />そこは、団子屋とは思えないほどお洒落な店で、少々気が引けたが、誘惑には勝てず入ることにした。<br />注文したのは、定番の団子二種。<br />散策の始めに、江戸時代から続く団子を食べるのは感慨深いものがある。

    その善性寺の前には、有名な羽二重団子があるのだが、ちょうど改装中だった。
    しかし、駅前にある店で食べられると掲示されていたので、駅前まで戻ることに。
    そこは、団子屋とは思えないほどお洒落な店で、少々気が引けたが、誘惑には勝てず入ることにした。
    注文したのは、定番の団子二種。
    散策の始めに、江戸時代から続く団子を食べるのは感慨深いものがある。

    はぶたえ 日暮里駅前店 グルメ・レストラン

  • 善性寺の前に戻り、羽二重団子本店の脇から散策を始めることにする。<br />羽二重団子は、文政2年(1819)創業で、王子街道を行き交う人たちに団子を供したのが始まりだそうだ。

    善性寺の前に戻り、羽二重団子本店の脇から散策を始めることにする。
    羽二重団子は、文政2年(1819)創業で、王子街道を行き交う人たちに団子を供したのが始まりだそうだ。

  • 歩き始めてすぐ、道は線路に突き当たった。<br />江戸の頃、道はそのまま続いていたのだが、今は左に曲がり、跨線橋で線路を越えて行く。

    歩き始めてすぐ、道は線路に突き当たった。
    江戸の頃、道はそのまま続いていたのだが、今は左に曲がり、跨線橋で線路を越えて行く。

  • その跨線橋の上からは、大きく変貌した日暮里駅の姿が眺められた。

    その跨線橋の上からは、大きく変貌した日暮里駅の姿が眺められた。

    芋坂跨線橋 名所・史跡

  • 渡り切った先には、小さな坂があった。<br />これが、正岡子規や夏目漱石の作品にも登場する芋坂の名残だ。

    渡り切った先には、小さな坂があった。
    これが、正岡子規や夏目漱石の作品にも登場する芋坂の名残だ。

  • 芋坂を登り切ると、そこには木造の家が軒を連ねていた。

    芋坂を登り切ると、そこには木造の家が軒を連ねていた。

  • そこからすぐのところで、悠然と道を横切る猫さんが。<br />まったくこちらを気にせず、その堂々たる態度に、思わず道を譲ってしまった。

    そこからすぐのところで、悠然と道を横切る猫さんが。
    まったくこちらを気にせず、その堂々たる態度に、思わず道を譲ってしまった。

  • 谷中霊園の中を歩き霊園管理所の辺りまで来ると、そこにはお茶屋さんと呼ばれる花屋が数軒建っていた。<br />どれも趣のある木造建築で、この界隈だけ独特な景観を醸し出していた。<br />特に目立つ『ふじむらや』は、黒く塗られた板壁が特徴的だった。

    谷中霊園の中を歩き霊園管理所の辺りまで来ると、そこにはお茶屋さんと呼ばれる花屋が数軒建っていた。
    どれも趣のある木造建築で、この界隈だけ独特な景観を醸し出していた。
    特に目立つ『ふじむらや』は、黒く塗られた板壁が特徴的だった。

  • その店先にあった葦簀が何とも言えず美しい。

    その店先にあった葦簀が何とも言えず美しい。

  • この辺りは戦災を免れたらしく、風情ある街並みが少しだけ残っている。

    この辺りは戦災を免れたらしく、風情ある街並みが少しだけ残っている。

  • 谷中と上野桜木の境を歩いて行くと、左の路地の奥に古民家が見えた。<br />行ってみると、三軒の戦前から残る民家を利用した商業施設だった。

    谷中と上野桜木の境を歩いて行くと、左の路地の奥に古民家が見えた。
    行ってみると、三軒の戦前から残る民家を利用した商業施設だった。

  • 『上野桜木あたり』と呼ばれ、昭和13年(1939)に建てられた三件の民家が、寄り添うように佇んでいる。

    『上野桜木あたり』と呼ばれ、昭和13年(1939)に建てられた三件の民家が、寄り添うように佇んでいる。

    上野桜木あたり 名所・史跡

  • その佇まいに惹かれるように中へと入ってみる。

    その佇まいに惹かれるように中へと入ってみる。

  • 奥には、魅力的な木造二階建ての建物が建っていた。<br />最近の住宅では感じられない温かみのある外観である。<br />中を観ることが出来なかったのは残念だった。

    奥には、魅力的な木造二階建ての建物が建っていた。
    最近の住宅では感じられない温かみのある外観である。
    中を観ることが出来なかったのは残念だった。

  • その手前にあった建物には、谷中ビアホールの暖簾が掛かっていた。<br />ちょうど昼時だったので、ここで一休みすることにした。

    その手前にあった建物には、谷中ビアホールの暖簾が掛かっていた。
    ちょうど昼時だったので、ここで一休みすることにした。

    谷中ビアホール グルメ・レストラン

  • 中に入ると、魅惑的な空間が私を待ち構えていた。

    中に入ると、魅惑的な空間が私を待ち構えていた。

  • 手前にあった椅子席ではなく、奥のカウンター席に陣取る。<br />洒落た感じに手が入れられているが、どことなく、人が住んでいた頃の温もりが感じられる。<br />初めて来たのに、なぜかホッとした。

    手前にあった椅子席ではなく、奥のカウンター席に陣取る。
    洒落た感じに手が入れられているが、どことなく、人が住んでいた頃の温もりが感じられる。
    初めて来たのに、なぜかホッとした。

  • まず頼んだのは、この店のために醸したという谷中ビール。<br />有名なアウグスビールが製造しているようだが、こんな場所で呑むと、また違った味わいに感じられる。

    まず頼んだのは、この店のために醸したという谷中ビール。
    有名なアウグスビールが製造しているようだが、こんな場所で呑むと、また違った味わいに感じられる。

  • つまみは、この店の定番だと言う『あたりセット』をいただく。<br />バター焼き枝豆とフランクフルト、そしてスモークチーズが盛り付けられていた。<br />思ったよりも量が多く、これだけで十分だった。

    つまみは、この店の定番だと言う『あたりセット』をいただく。
    バター焼き枝豆とフランクフルト、そしてスモークチーズが盛り付けられていた。
    思ったよりも量が多く、これだけで十分だった。

  • 追加で、澄んだ黄色の谷中ゴールデンを。<br />まだ新しい木のカウンターに、木製のコースターが良く似合う。<br />もっと長居をしたかったが、酔っぱらうわけにはいかないので、30分ほどで切り上げた。

    追加で、澄んだ黄色の谷中ゴールデンを。
    まだ新しい木のカウンターに、木製のコースターが良く似合う。
    もっと長居をしたかったが、酔っぱらうわけにはいかないので、30分ほどで切り上げた。

  • 気になる料理などもあったので、いつかまた、ゆっくりお邪魔しよう。<br />それにしても、居心地の良い店だった。

    気になる料理などもあったので、いつかまた、ゆっくりお邪魔しよう。
    それにしても、居心地の良い店だった。

  • その店の近くの路地には、木製のごみ箱が。<br />白い塗料が良い感じに剥げていた。

    その店の近くの路地には、木製のごみ箱が。
    白い塗料が良い感じに剥げていた。

  • 一旦、谷中と上野桜木の境にある表通りに戻る。<br />その交差点の角には、真っ白な建物があった。<br />よく見ると、以前は銭湯だったようだが、今はやっていないらしい。<br />立ち寄ってみると、前衛的な芸術などを鑑賞するための空間として利用されていた。

    一旦、谷中と上野桜木の境にある表通りに戻る。
    その交差点の角には、真っ白な建物があった。
    よく見ると、以前は銭湯だったようだが、今はやっていないらしい。
    立ち寄ってみると、前衛的な芸術などを鑑賞するための空間として利用されていた。

    SCAI THE BATHHOUSE 美術館・博物館

  • 脱衣所や浴室は完全に無くなっていたが、入口の靴箱は当時のままのようだった。

    脱衣所や浴室は完全に無くなっていたが、入口の靴箱は当時のままのようだった。

  • その並びに、大雄寺と言う寺があった。<br />入口にあった案内板に、幕末の三舟の一人、高橋泥舟の墓があるというので立ち寄ってみることにした・<br />その墓は、本堂の前に建つ大楠の根元に、樹に抱かれるようにして立っていた。

    その並びに、大雄寺と言う寺があった。
    入口にあった案内板に、幕末の三舟の一人、高橋泥舟の墓があるというので立ち寄ってみることにした・
    その墓は、本堂の前に建つ大楠の根元に、樹に抱かれるようにして立っていた。

    大雄寺 寺・神社・教会

  • 上野桜木の交差点の角にあるカヤバ珈琲の向かいに、古い酒屋の建物が保存されている。<br />旧吉田屋酒店だ。渋い木の看板がと提灯鮟鱇のような電球が良い感じだ。

    上野桜木の交差点の角にあるカヤバ珈琲の向かいに、古い酒屋の建物が保存されている。
    旧吉田屋酒店だ。渋い木の看板がと提灯鮟鱇のような電球が良い感じだ。

    下町風俗資料館付設展示場旧吉田屋酒店 美術館・博物館

  • 中には、酒屋だった当時のものが展示されていて、壁には古い貼り広告が飾られている。<br />明治の頃のものか、着物の女性と煉瓦造りの工場が描かれていた。<br />広告と言うより、今となっては絵画作品のようだな。

    中には、酒屋だった当時のものが展示されていて、壁には古い貼り広告が飾られている。
    明治の頃のものか、着物の女性と煉瓦造りの工場が描かれていた。
    広告と言うより、今となっては絵画作品のようだな。

  • 旧吉田屋酒店から寛永寺へと向かう。<br />その途中の路地裏に、古い民家が建っていた。<br />庭で水やりをしていた若い女性に尋ねると、築百年以上のものとのこと。<br />後で調べてみると、隣の豆腐屋の持ち家だったもので、放置されてたところを、二人の学生が住みながら活用していくことになったそうだ。<br />『桜縁莊』と名付けられた建物は、新建材の建物に囲まれながら、上野桜木に郷愁と温もりを与えてくれているようだった。

    旧吉田屋酒店から寛永寺へと向かう。
    その途中の路地裏に、古い民家が建っていた。
    庭で水やりをしていた若い女性に尋ねると、築百年以上のものとのこと。
    後で調べてみると、隣の豆腐屋の持ち家だったもので、放置されてたところを、二人の学生が住みながら活用していくことになったそうだ。
    『桜縁莊』と名付けられた建物は、新建材の建物に囲まれながら、上野桜木に郷愁と温もりを与えてくれているようだった。

  • その女性と話していると、ふと視線を感じた。<br />その視線の主は、硝子窓の向こうにいた猫さん。<br />冬の柔らかな陽も、硝子を通せば暖かくなるのだろう。<br />縁側は、彼らの憩いの場だ。<br />こんな家に、私も住みたい。

    その女性と話していると、ふと視線を感じた。
    その視線の主は、硝子窓の向こうにいた猫さん。
    冬の柔らかな陽も、硝子を通せば暖かくなるのだろう。
    縁側は、彼らの憩いの場だ。
    こんな家に、私も住みたい。

  • この界隈には、僅かだが、昭和を感じさせる建物がまだ残っていた。<br />このような住宅には、僅かな敷地でも木が植えてあったり、周りに花などの鉢が置いてあったりする。<br />下町ではよく見られた光景だが、今は少なくなってきているのが寂しい。

    この界隈には、僅かだが、昭和を感じさせる建物がまだ残っていた。
    このような住宅には、僅かな敷地でも木が植えてあったり、周りに花などの鉢が置いてあったりする。
    下町ではよく見られた光景だが、今は少なくなってきているのが寂しい。

  • 上野桜木の住宅街を抜けると、寛永寺だ。<br />言わずと知れた徳川家の菩提寺だが、現在の寛永寺は、支院のひとつであった大慈院の場所に再興されたものだ。<br />上野戦争と東京大空襲で壊滅的となった寛永寺だが、川越の喜多院本地堂を移築したものが根本中堂となっている。<br />この日は、外国からの旅行客が多く参拝していた。

    上野桜木の住宅街を抜けると、寛永寺だ。
    言わずと知れた徳川家の菩提寺だが、現在の寛永寺は、支院のひとつであった大慈院の場所に再興されたものだ。
    上野戦争と東京大空襲で壊滅的となった寛永寺だが、川越の喜多院本地堂を移築したものが根本中堂となっている。
    この日は、外国からの旅行客が多く参拝していた。

    寛永寺 寺・神社・教会

  • 寛永寺から国利博物館の脇の道を歩いて行く。<br />右手には、国際子ども図書館が建っている。<br />明治39年(1906)に、帝国図書館として竣工したものだ。<br />今あるものは、第一期分として竣工したものに、一部増築したものだが、計画では第四期を経て東洋一の図書館にする計画だったらしい。<br />財政難などで頓挫したらしいが、それでもかなりの規模である。

    寛永寺から国利博物館の脇の道を歩いて行く。
    右手には、国際子ども図書館が建っている。
    明治39年(1906)に、帝国図書館として竣工したものだ。
    今あるものは、第一期分として竣工したものに、一部増築したものだが、計画では第四期を経て東洋一の図書館にする計画だったらしい。
    財政難などで頓挫したらしいが、それでもかなりの規模である。

    国際子ども図書館 美術館・博物館

  • 黒田記念館のある交差点まで来ると、その角には、京成電鉄の旧博物館動物園駅の重厚な駅舎が建っている。<br />子どもの頃、博物館に来るときに利用した記憶がある。<br />荘厳な造りで、広い階段や薄暗い構内が思い出されるが、そんな駅も、平成9年(1997)には営業を止めてしまった。<br />昨年、東京都選定の歴史的建造物に指定されたそうだ。

    黒田記念館のある交差点まで来ると、その角には、京成電鉄の旧博物館動物園駅の重厚な駅舎が建っている。
    子どもの頃、博物館に来るときに利用した記憶がある。
    荘厳な造りで、広い階段や薄暗い構内が思い出されるが、そんな駅も、平成9年(1997)には営業を止めてしまった。
    昨年、東京都選定の歴史的建造物に指定されたそうだ。

    博物館動物園駅跡 名所・史跡

  • この日は芸術作品を展示する企画で限定公開されていた。<br />現役時代には無かった扉は、日比野克彦によるものだそうだ。

    この日は芸術作品を展示する企画で限定公開されていた。
    現役時代には無かった扉は、日比野克彦によるものだそうだ。

  • 覗き込むと、天上は円蓋のようになっている。<br />階段の方も観たかったが、限定配布の入場券が無いと入れないらしく、残念ながら観ることはできなかった。

    覗き込むと、天上は円蓋のようになっている。
    階段の方も観たかったが、限定配布の入場券が無いと入れないらしく、残念ながら観ることはできなかった。

  • 交差点を左折し、国立博物館の正門の方へ。<br />その途中には、立派な大名屋敷門がある。<br />これは、因州池田家上屋敷の表門だったもので、両脇に唐破風を載せた番所を構えた最も格式の高い形式のものだ。<br />江戸の頃には、このような豪壮な大名屋敷門が数多く建ち並んでいたかと思うと、それだけでも胸が高鳴る。

    交差点を左折し、国立博物館の正門の方へ。
    その途中には、立派な大名屋敷門がある。
    これは、因州池田家上屋敷の表門だったもので、両脇に唐破風を載せた番所を構えた最も格式の高い形式のものだ。
    江戸の頃には、このような豪壮な大名屋敷門が数多く建ち並んでいたかと思うと、それだけでも胸が高鳴る。

    東京国立博物館 美術館・博物館

  • そしてようやく、この日の目的である国立博物館に到着。<br />奥にある平成館で開催されている『顔真卿』展を鑑賞した。<br />王義之を超えた名筆と言うことだったが、個人的には、王義之や褚遂良のほうが美しいと感じた。

    そしてようやく、この日の目的である国立博物館に到着。
    奥にある平成館で開催されている『顔真卿』展を鑑賞した。
    王義之を超えた名筆と言うことだったが、個人的には、王義之や褚遂良のほうが美しいと感じた。

  • 『顔真卿』展を堪能した後、もと来た道を寛永寺へと戻る。<br />その先の突き当りにあったのが浄名院。<br />寛永寺の支院のひとつであった浄名律院が前身の寺だ。<br />境内には、無数の地蔵尊があり、八万四千体地蔵と呼ばれている。

    『顔真卿』展を堪能した後、もと来た道を寛永寺へと戻る。
    その先の突き当りにあったのが浄名院。
    寛永寺の支院のひとつであった浄名律院が前身の寺だ。
    境内には、無数の地蔵尊があり、八万四千体地蔵と呼ばれている。

    浄名院 寺・神社・教会

  • その中に、ひと際大きな地蔵があったが、これは明治に廃寺になった富岡八幡の別当であった永代寺にあった江戸六地蔵を再造したものだった。

    その中に、ひと際大きな地蔵があったが、これは明治に廃寺になった富岡八幡の別当であった永代寺にあった江戸六地蔵を再造したものだった。

  • 浄名院から、北東の方へと歩いて行く。<br />しばらくすると、寛永寺橋で線路を越える。<br />この橋は、緩やかに曲がりながら下って行く坂になっており、寛永寺坂とも呼ばれる。<br />江戸時代には無かった道だが、大正の頃には出来ていたらしい。<br />この坂を下った場所が、所謂、根岸だ。

    浄名院から、北東の方へと歩いて行く。
    しばらくすると、寛永寺橋で線路を越える。
    この橋は、緩やかに曲がりながら下って行く坂になっており、寛永寺坂とも呼ばれる。
    江戸時代には無かった道だが、大正の頃には出来ていたらしい。
    この坂を下った場所が、所謂、根岸だ。

  • 坂の途中から階段で降りた場所が根岸二丁目。<br />江戸時代は金杉村と呼ばれたところで、根岸はその字名だった。<br />そんな根岸の一角に、かの正岡子規が暮らした子規庵があった。<br />建物は戦災で焼失してしまったが、昭和25年(1950)に再建されたものが残されている。

    坂の途中から階段で降りた場所が根岸二丁目。
    江戸時代は金杉村と呼ばれたところで、根岸はその字名だった。
    そんな根岸の一角に、かの正岡子規が暮らした子規庵があった。
    建物は戦災で焼失してしまったが、昭和25年(1950)に再建されたものが残されている。

    子規庵 名所・史跡

  • 見学できるので入ってみると、庭を眺める部屋が再現されていた。<br />病に伏していた子規は、部屋から庭を眺めて過ごすことが多かったそうだ。<br />子規と同じ視線を体験できるのは、とても貴重かもしれない。

    見学できるので入ってみると、庭を眺める部屋が再現されていた。
    病に伏していた子規は、部屋から庭を眺めて過ごすことが多かったそうだ。
    子規と同じ視線を体験できるのは、とても貴重かもしれない。

  • その子規庵の向かいに、台東区立の書道博物館がある。<br />ちょうど、『顔真卿』展との連携による『王義之書法の残影』と言う企画展をやっていたので、観て行くことにした。<br />本館の建物は、昭和11年(1936)に建てられたもので、洋画家の中村不折が設立した私設博物館だったものだそうだ。

    その子規庵の向かいに、台東区立の書道博物館がある。
    ちょうど、『顔真卿』展との連携による『王義之書法の残影』と言う企画展をやっていたので、観て行くことにした。
    本館の建物は、昭和11年(1936)に建てられたもので、洋画家の中村不折が設立した私設博物館だったものだそうだ。

    台東区立書道博物館 美術館・博物館

  • 向かいの子規庵が空襲で焼けたにもかかわらず、この建物は奇跡的に残ったらしい。<br />以前本館の入口だったらしい門には、凝った意匠の扉が付けられていた。

    向かいの子規庵が空襲で焼けたにもかかわらず、この建物は奇跡的に残ったらしい。
    以前本館の入口だったらしい門には、凝った意匠の扉が付けられていた。

  • 館内には、中村不折が集めた書に関する貴重な資料が展示されていた。<br />中には、文字の歴史を知るためのかなり古い資料もあった。<br />展示室などに掲示されていた注意書きなどは、書の博物館らしく、達筆で手書きされていた。

    館内には、中村不折が集めた書に関する貴重な資料が展示されていた。
    中には、文字の歴史を知るためのかなり古い資料もあった。
    展示室などに掲示されていた注意書きなどは、書の博物館らしく、達筆で手書きされていた。

  • 博物館を出たのは16時前。<br />そのまま帰ろうかと思ったが、鶯谷駅近くに正岡子規が贔屓にしていたという豆富料理の名店『笹乃雪』で軽く食事をしていくことにした。

    博物館を出たのは16時前。
    そのまま帰ろうかと思ったが、鶯谷駅近くに正岡子規が贔屓にしていたという豆富料理の名店『笹乃雪』で軽く食事をしていくことにした。

    笹乃雪 グルメ・レストラン

  • 中に入ると、玄関は広く、下足番までいた。<br />これは結構な値段がしそうだと思ったが、入ってしまったので、覚悟を決めることに。

    中に入ると、玄関は広く、下足番までいた。
    これは結構な値段がしそうだと思ったが、入ってしまったので、覚悟を決めることに。

  • 通されたのは、かなり広い部屋。<br />そこを独りで貸し切り状態になり、さらに不安になった。<br />しかし、品書きには豆富懐石だけではなく、手軽な一品料理もあったので助かった。

    通されたのは、かなり広い部屋。
    そこを独りで貸し切り状態になり、さらに不安になった。
    しかし、品書きには豆富懐石だけではなく、手軽な一品料理もあったので助かった。

  • 注文したのは、『生笹乃雪(冷奴)』。<br />思いのほか大きく、食べきれるかと心配したが、一緒に頼んだ酒『荒武者』を飲みながらつまんでいると、いつしかかなり口に入ってしまった。

    注文したのは、『生笹乃雪(冷奴)』。
    思いのほか大きく、食べきれるかと心配したが、一緒に頼んだ酒『荒武者』を飲みながらつまんでいると、いつしかかなり口に入ってしまった。

  • 『荒武者』を燗で追加し、併せて焼き鳥もお願いした。<br />この焼き鳥がなかなか美味しかったのだが、二本で600円は高かった。

    『荒武者』を燗で追加し、併せて焼き鳥もお願いした。
    この焼き鳥がなかなか美味しかったのだが、二本で600円は高かった。

  • この時に飲んだ『荒武者』と言う酒は旨かった。<br />伏見のキンシ正宗が醸したものだそうだ。<br />冷やでも燗でも楽しめる、やや辛口の酒だった。<br />子規も、この酒を飲んだのだろうか。<br />そんなことを考えながら飲む酒もまた良いものだ。

    この時に飲んだ『荒武者』と言う酒は旨かった。
    伏見のキンシ正宗が醸したものだそうだ。
    冷やでも燗でも楽しめる、やや辛口の酒だった。
    子規も、この酒を飲んだのだろうか。
    そんなことを考えながら飲む酒もまた良いものだ。

  • 美味しい豆腐と旨い酒を堪能した後、鶯谷駅へ。<br />この駅は上野公園側に降りることが多いので、北口側は一度くらいしか来たことがない。<br />駅前には、魅力的な定食屋があり、かなり惹かれたが今回は我慢。<br />次に訪れた時には、ここに入ろうと思う。<br />また、そぞろ歩く日に。

    美味しい豆腐と旨い酒を堪能した後、鶯谷駅へ。
    この駅は上野公園側に降りることが多いので、北口側は一度くらいしか来たことがない。
    駅前には、魅力的な定食屋があり、かなり惹かれたが今回は我慢。
    次に訪れた時には、ここに入ろうと思う。
    また、そぞろ歩く日に。

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この旅行記へのコメント (6)

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  • 前日光さん 2019/11/08 21:23:19
    私もこの界隈。。。
    けっこう歩いた所です。

    こんばんは、旅猫さん。
    旅猫さんの旅行記アップの速度に、なかなかついていけませんが、マイペースでボチボチと行きますね。
    羽二重団子本舗って、私が知っているお店かな?
    芋坂を下って行った記憶はあるのですが。
    着流し姿の男性が坐っていて驚きました。
    おいおい、その姿で団子かい?って思いましたが。

    上野桜木辺りには、多方面から猫のまなざしが感じられるのですね?
    根岸の子規庵、行きましたよ~(~o~)
    再建ですが、子規がここに横たわってヘチマでも眺めていたのかな?と思うと感じるものがありました。
    糸瓜咲いて 痰のつまりし 仏かな
    中村不折設立の書道博物館、中にははいりませんでした。

    顔真卿は大らかでいいという人は多いですが、確かにおっしゃるように王羲之や褚遂良
    の一目見ただけで美しいと思われる書体が、私も好きです。
    「笹乃雪」は、思いっきり高そうで、入る勇気はなかなか出ません。
    でも特にお豆腐、おいしいのでしょうね?
    写真で見ただけでも分かります。
    けっこう行ったところがたくさん出て来て、懐かしく拝見させていただきました<(_ _)>


    前日光

    旅猫

    旅猫さん からの返信 2019/11/09 08:19:30
    RE: 私もこの界隈。。。
    前日光さん、こんにちは。

    書き込みありがとうございます。
    これでも、アップは遅い方なんですけどね(^^;
    未だに、去年の旅行記も書いています(笑)
    最新版は、去年の11月の道後温泉ですからね。

    芋坂下の羽二重団子本舗は、この時、改装中で閉まっていたので、駅前のカフェ風の店でいただきました。
    前日光さんの知っている本店は、今頃新しく生まれ変わっていると思います。
    着流し姿って、今どきいるんですね!?

    上野桜木辺りは、まだまだ下町の風情が色濃く残り、猫さんたちにも暮らしやすい街のようです。
    子規庵は、再建とは言え、風情がありますよね。
    子規の目線で撮ってみましたが、確かに庭がよく見えました。
    去年、子規の故郷道後温泉を訪れたので、子規庵はそのつながりで。

    書道博物館はかなり渋いですからね。
    顔真卿展の流れで立ち寄りました。
    は大らかでいいという人は多いですが、確かにおっしゃるように王羲之や�權遂良
    笹乃雪は、恐ろしく高くはないです。
    ちょっと質の良い居酒屋のような感じです。
    そこは下町なので。
    湯豆腐は、やはり一押しのようですよ。
    冷奴でも、十分美味しかったですので。

    旅猫
  • salsaladyさん 2019/04/01 19:17:35
    令和の初投稿! Sorry to check your comment for me ~
    ☆旅猫さんちへはちょくちょく顔を出してるので、まさかコメントすっぽかしをするとは思わなかった~平成のちょんぼですね。

    ☆令和もまだ一ヶ月先のことだっけ?浮かれすぎです。

    ☆上野ー谷根千を、数年前のゴールデンウィーク散歩で経験しましたが、貴重な界隈だから東京の開発から逃れて欲しい地域ですね。猫も堂々と為てるし~see you~

    旅猫

    旅猫さん からの返信 2019/04/07 08:40:05
    RE: 令和の初投稿! Sorry to check your comment for me ~
    salsaladyさん、こんにちは。

    こちらこそ、お返事が遅くなりすみません。
    4月早々、色々と忙しくて。。。

    改元を4月1日だと思っていた人が多かったみたいですね(^^;
    どこぞの桜祭りのポスターにも、元年最初の祭りみたいに書いてありました(笑)
    まだ4月は平成なのに。

    下町の戦災を免れた地域は、とても貴重ですよね。
    なんとかその佇まいを後世に残してほしいものです。
    猫たちが住みやすい街をね。

    旅猫
  • 墨水さん 2019/03/22 00:12:57
    焼き鳥、600円也。
    旅猫さん、今晩は。
    焼き鳥、2本で600円也。
    下足番が居るところで、1本300円は妥当と言うより、良心的だと思う。(笑)
    長居は禁物だね。(爆)
    冷奴の出し方だって、上品な出し方だよ。
    品の無い所は、氷水に泳がせて来るからね、奴より氷りの方が数が多い場合が多々有るしね~っ。(笑)
    墨水。

    旅猫

    旅猫さん からの返信 2019/03/23 20:38:30
    RE: 焼き鳥、600円也。
    墨水さん、こんばんは。

    書き込みありがとうございます。
    下足番が居るところなどで食事をしたのは初めてなので、相場が分かりません(^^;
    料理もお酒も美味しかったので、長居をしたかったところですけど(笑)
    でも、あまりにも広くて静かな部屋に一人きりだったので、どうもにも落ち着かず。
    お店の方の応対も良かったので、良い店だと思いました。

    旅猫

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