2019/01/01 - 2019/01/01
1位(同エリア2件中)
ウェンディさん
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- 旅行記382冊
- クチコミ2269件
- Q&A回答130件
- 2,390,724アクセス
- フォロワー354人
2018年の年末年始は砂漠の国へ、アダルトを迎えた娘との二人旅。
モロッコと言えば、古の王が支配した古都のマラケシュやフェズ、そしてサハラ砂漠が有名で、せっかく日本からはるばるモロッコまで行くのならば、その両方を満喫したいと欲張ってしまうのがヒトと言うもので、私たち母娘も典型的なヒト族の一員。
2018年のモロッコ旅では、モロッコ北部のフェズ、青い村シャウエン、そして紅のメルズーガ砂漠を味わう旅を計画しました。
古都から砂漠への移動。
紙上のプランニングでは古都→砂漠と記すだけですが、実際にはこの2区間には500kmの距離があり、しかも、その移動手段は地上移動しかなく、古都と砂漠の双方を愉しむためには、9日間しかない旅程の中の貴重な1日を移動日として費やさなければなりません。
移動だけに丸1日が必要!!というと、旅人的な視点では「なんて勿体ないプランニング!!!」と思いがちですが、モロッコ旅では、行程次第とはなりますが、この無駄に思える1日が貴重な体験ができる1日へと変わります。
私たちもこの移動日が想定外に楽しくって、モロッコの新しい一面を見つけた1日となりました。
シャイニー・ゴールドのアズルー猿との出会いや、モロッコの土色の世界に突如出現するテーマパークみたいなイフレンの町、そして、なんでこんなところで海魚が美味しいの!?のミデルト。
モロッコの楽しみ方って、砂漠と古都だけではないのです♪
☆★☆2018年末-2019年始 アダルト娘と旅するモロッコ☆★☆
【1】別室連行から始まるモロッコ旅:https://4travel.jp/travelogue/11441497
【2】知られざるフェズを探して:https://4travel.jp/travelogue/11445658/
【3】青の絶景に瘴気の谷を見た:https://4travel.jp/travelogue/11459763
【4】もふもふ ネコ歩き:https://4travel.jp/travelogue/11461954
【5】黄金の野獣と・・・:https://4travel.jp/travelogue/11548820
【6】砂漠の一夜はLuxury♪:https://4travel.jp/travelogue/11556861
【7】ディープに味わうモロッコ:https://4travel.jp/travelogue/11624159
【8】星降るサハラ:https://4travel.jp/travelogue/11626421
【9】ノマドのオンナ:https://4travel.jp/travelogue/11635130
【10】砂漠の料理教室:https://4travel.jp/travelogue/11670909
【11】真夜中のTea Time:https://4travel.jp/travelogue/11675222
☆★☆ 旅程 ☆★☆
□12/27 成田空港発22時のエミレーツ航空でモロッコへ
□12/28 カサブランカ空港着13時 モロッコ国鉄でフェズへ移動
□12/29 フェズ1日観光
□12/30 シェアチャーター車でシャウエンへ シャウエン観光
□12/31 シャウエン観光 シェアチャーター車でフェズへ
■1/1 モアイワン・アトラス山脈を越えてメルズーガ砂漠へ
□1/2 地元の暮らしを体験し、駱駝で砂漠の真ん中へ
□1/3 ノマドのお宅にホームステイ
□1/4 駱駝で砂漠を縦断し、Ziz谷へ
□1/5 エルラシディア空港9時のモロッコ国営航空でカサブランカへ
カサブランカ空港15時発のエミレーツ航空で日本へ
□1/6 成田空港着17時半
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 5.0
- グルメ
- 3.5
- 交通
- 3.0
- 同行者
- 家族旅行
- 交通手段
- タクシー
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
アダルト娘と母のモロッコ女子旅。
旅の序盤はモロッコ北部の古都を巡る旅で、モロッコの京都であるフェズ、そして青に染まる山間の村シャウエンを巡ってきた。
フェズでは道案内に金を強奪されるよう目には会わなかったものの(2012年のモロッコ旅ではかなり危険だったが…)それなりに絡まれたりと、モロッコの都市部ならではの体験をタップリと愉しみ、シャウエンではハシシの煙が漂う村の路地を歩きまわり、深い海の底を彷徨う魚の気分に浸って来た。 -
そして、モロッコ旅の後半戦は砂漠へ。
この旅行記で紹介するのは、都市旅→砂漠旅へと移り行く移動経路でのお話。
つまり、フェズからサハラ砂漠(メルズーガ砂漠)へと、ただ移動するだけのお話だ。
移動だけのお話だなんて旅行記として成り立たないだろうし、車に乗っているだけでつまらなかったのでしょ!!
読んで下さっている方がそんな風に頭に思い浮かべているのが目に浮かぶが、実は、旅をした当人の私だって、プランニング時点ではフェズ→メルズーガへの移動こそがモロッコらしさを味わう旅になるだなんて、予想すらしてなかった。 -
だから旅計画を練り始めたばかりの初期のプランニング段階では、フェズ→砂漠への移動は夜行バス利用が有力第一候補で夜間の睡眠ワープ移動を考えていたのだが、砂漠旅のアレンジをお願いしていた現地手配会社(サハラ砂漠の風:URL https://sahara-breezetravel.com/)のスタッフであるKyokoさんから「この区間を夜間に移動してしまうなんて絶対に勿体ない。私ならば昼間を選ぶよ」とのアドバイスを受け、モロッコを知り尽くした彼女の意見ならば・・・と、その助言に従ってみることにした。
フェズから砂漠までのルートは、イフレン、アズルー、ミデルト、ズィズ渓谷経由する500kmを移動する乗車時間だけで8時間を要するロングドライブ。
ガイドブックでも殆ど詳細説明のないこれらの地域を経由するルートは、本当に昼間に移動する価値のあるルートなのか…。
旅の前の私には、この移動の1日が、吉とでるのか凶となるのかは予想すらつかなかった。 -
そんなこんなでスタートしたモロッコ旅の5日目である2019年1月1日。
娘と私が目覚めたのは、フェズの宿であるリアド・サラ(Riad Sara)。
朝8時にリアドの中庭で朝食をいただく。
朝食は生絞りオレンジ・ジュースに、フルーツ・カクテル、クレープやモロッコパンなどが勢ぞろい。 -
私たちがフェズでの最後の夜を過ごしたリアド・サラ。
リアド・サラは室内装飾が美しいことで知られていて、私が予約サイトを利用して自力予約するのではなかなか手が届かない価格帯のリアドだが、現地に顔が利く手配会社経由ならば私たちの予算でも宿泊でき、更に1階中央の一番広くて内装も素敵なお部屋であるSuite el Baliを準備してもらえた。
基本的に海外の宿は、予約サイトで宿を予約する方が大手の旅行会社に依頼するよりも安く上がる…のが一般的な常識だが、モロッコの都市部の中級以上の宿は別。
“蛇の道は蛇”ではないが、ホテルの宿泊料金比較サイトもモロッコ人同士の繋がりには勝つことは出来ないらしい。女子旅にお勧め♪宿で一番人気の部屋;Suite el Bali-予約サイトよりもお手頃価格で宿泊できる裏ワザ by ウェンディさんリヤド サラ ホテル
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朝9時にフェズの宿を出発。
この日は1/1の元旦なのでフェズのメディナは静かかと思いきや、イスラム教を主教とするモロッコでは西暦の元旦は意味を持たない日なので、街中は平常モード。
メディナの門を抜けて、一路メルズーガ砂漠へ向けて車を走らせる。
車のハンドルを握るのは、今回の砂漠旅のアレンジを引き受けてくれた“サハラ砂漠の風”の主催者であり、プランナーでもあるハミド。
ハミドとは6年前のモロッコ旅で知り合い、ハミドが来日した時には何回か会っているお友達の様な関係。
だから、車の助手席に座っても安心していられる。
通常、イスラム教の国で女性が男性ドライバーの運転する車の助手席に座るのは、安全対策上あまり好ましい事ではなく、私も信頼のおける車でない限りは、基本は後部座席に座ることにしている。 -
フェズを出て暫くは幹線道路を走る。
道路の周囲の景色はモロッコの北部らしいオリーブ畑やオレンジ畑が広がる田園風景で特に物珍しいものは無かったのだが、40分が過ぎた位で車窓に広がる風景がガラリと変わってきた。
それまで茶色い土ホコリやペットボトルの空き瓶が舞っていたアスファルトの上にはごみ1つなくなり、道路脇には舗装された歩道が整備され、その奥に見える緑地帯溢れる庭を持つ家々は、まるで欧州の高級住宅街。
今まで見てきたモロッコの雰囲気とは正反対の街並みが現れたのだ。
あまりに急に風景が変わったので、砂漠の暑い空気が作り出した蜃気楼かと勘違いしそうにもなったが、車窓に見えるスイス風の町並みは全て本物。
この欧州調の街の名は、イフレン(Ifran)、モロッコでも一番地価、物価の高い町;イフレンだ。
イフレンはお金持ちの人達の別荘地として人気が高い街で、王族や政府官僚の方々、そして石油系のお仕事をしている成金の方の別荘が多くあり、モロッコ庶民の憧れの町だそうだ。
欧州風の各家々には留守を預かる管理人さん達が常駐しているそうで、日本でいえば半世紀前の軽井沢的な町に当たるのかもしれない。異次元エリア by ウェンディさんイフレンの街並み 旧市街・古い町並み
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イチオシ
私たちがイフレンの町へと立ち寄ったのは、欧州風の住宅街を見る為ではない。
かつてモロッコに生息していたアトラス・ライオンと会うためだ。
アフリカで見られるライオンの大多数は南部サバンナの平原地帯に生息するが、アトラス・ライオンはアフリカの北限の森林部を好み、その別名はバーバリー・ライオン。
バーバリー・ライオンの黒いタテガミは長く、その体長はオスでは4m近くにも育つ個体もあったと云われる百獣の王の中の王で、その昔はイフレンの近くの森でもその姿を見ることができたそうだ。異次元エリア by ウェンディさんイフレンの街並み 旧市街・古い町並み
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野生のアトラス・ライオンの姿が最後に見かけられたのは1960年代。
今から約60年前に野生のアトラス・ライオンは絶滅したと云われている。
イフレンの中央公園にはそのアトラス・ライオンの姿の石像があり、イフレンの欧州風の町並みと共に強さの象徴でもあるライオンの石像は、モロッコ人にも人気だという事だった。 -
かつてアトラス・ライオンが生息していた森があるのが、イフレンから車で30分ほどのアズルー(Azrou)。
一般的にはアズルーの森として知られる場所だ。
野生のアトラス・ライオンは居なくなってしまったアズルーの森だが、現在でも森には動物が多く生息していて、鹿などの野生動物が車道へと飛び出してくることも多く、道路脇には日本でも見かける【シカ、飛び出し注意!】の看板が立てられていた。 -
イチオシ
しかし【シカ】よりも注意看板の数が多く、そのデザインもリアルだったのが【サル】看板。
モロッコに猿?
アフリカの猿と言えば、ケニアなどで見られる大型のサルが有名、あんな奴らがこの地に居るのだろうか。 -
残念ながらアズルーの森に生息するお猿さんは、大型ではなく小型。
だけれど、アズルーの森のお猿さんは世界的にも貴重な猿。
アフリカ北部のジブラブダル海峡付近にしか生息せず、バーバリー・マカク(Barbary Macaque)がその名前だ。
バーバリー・マカクの特徴は、輝く体毛。
大人の猿でもその大きさはニホンザルよりも一回り程小さく、その性格も非常に穏やかだと云われている。
アズルーの森林地帯に生息してたバーバリー・ライオンに猿のバーバリー・マカク。
その名前の接頭語にはバーバリーのいう言葉がついている。
一説によると、モロッコの先住民族ベルベル人のベルベルとバーバリーはその語源は同じらしい。
つまり、バーバリー・ライオンもバーバリー・マカクもベルベルのライオン・猿という意味になるのだろう。 -
アズルーのアトラス杉の森は野生動物の保護区となっていて、猿だけではなく他の野生生物も保護の対象となっている。
森の中へと足を踏み入れると、そこは野生の猿の楽園。
いくつもの猿のファミリーが思い思いの場所でくつろいでいた。 -
躰のサイズが同じ位の2匹は兄弟なのか、同じころに生まれた友達なのか。
お互いに身体の毛をグルーミング。 -
でも、遊びたいお年頃の2匹がおとなしく毛繕いをしている訳は無く、あっというまに一匹がでんぐり返しをして遊び始めてしまった。
-
その近くでは、母猿と小猿があたたかな陽射しの下で日向ぼっこ。
小猿さんの目が、ぽかぽかのお日様のパワーでトロンとしている。
猿の毛の色は暖かな褐色だが、小猿の毛色はまだ柔らかなシャイニー・ブラウン。
太陽の光りを浴びるとその毛の色は更に透明度を増し、本当にゴールドみたいだ。 -
こちらのお猿さんは毛繕いが終わったばかりなのか、目を閉じて心地良さげな表情。
人間に対して警戒心を全く抱かず、近くに行っても猿に襲われる心配は全くない。 -
頭上に繁るアトラス杉の枝の上では、少し大きめの小猿たちが大運動会の真っ最中。
この子は次に飛び移る枝をしっかりと吟味していた。 -
イチオシ
そして大きくジャンプ!
頭の上の木の枝を、何匹もの猿が空を飛ぶようにして渡っていく。 -
こんな曲芸みたいな技を披露する小猿もいて、その活発な動きを見ているだけで飽きることがない。
-
そして、このアズルーの森の猿たちは、人間が食べ物を持っていることを知っている。
だから、人がやってくると傍へと寄ってきておねだり。
日本や他の国では観光客の荷物や食べ物を猿がかっぱらって逃走するという事件も多いが、アズルーの森ではそんなことは起きたことがない。
ここはイスラム教の国。
人々は動物にも優しく、猿に餌をねだられたら、自分がおやつ用に持っているナッツなどを分けてあげるそうだ。 -
森の道路沿いには猿が好む木の実などを販売する露店も有り、ドライバーのハミドが小さな袋を買ってきて娘に手渡してくれた。
娘が掌に一粒のナッツを置くと、お猿さんは上手に指でつまんでナッツを口へと運ぶ。 -
実は、娘はこの日、この時まで猿に対して大きなトラウマを抱えていて、動物の中で猿は唯一彼女が触れられない動物だった。
その昔、5歳のころケニアの丘陵地帯で大型のサルに襲われた経験がある娘にとって野生のサルは恐怖の対象でしかなかったのだが、自分から娘の近くに寄ってきて餌をねだる小柄な猿の姿に元来、動物が大好きな娘はメロメロ。
”美女と野獣”では言い過ぎ感がありすぎるが、光り輝くシャイニー・ゴールドのアズルー猿の魔法は、猿に対し閉ざしていた娘の心の棘をそっと抜いてくれたようだ。 -
イチオシ
黄金色のフワフワの毛並みを持つ小柄な猿と娘。
娘は、日本語で猿と会話をしながら、そのコミュニケーションを愉しんでいた。ほのぼのタイムwith 野生のバーバリー・マカク by ウェンディさんモンキーウォッチ サファリ・動物観察
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サルたちはナッツだけではなく、オレンジも好き。
オレンジはモロッコではとても安く手に入り、私も上着のポケットの中に水代わりにいつも1個を入れていた。
そのオレンジを少しだけ剥いて猿に手渡したら、美味しそうに食べ始めた。 -
中身を器用に食べた猿は、その皮を手に持ち思案顔。
-
その皮をおもむろに口へ・・・。
その表情は「ん、酸味が旨い!」と言っているみたい。 -
私の傍らでナッツを猿にあげていた娘は、お母さん猿に一粒ずつナッツを手渡して、お母さんも目を細めてそのナッツを味わっていた。
猿なのに全然ガツガツしてないのが、アズルーの猿だ。 -
お母さん猿が満足すると、次にやってきたのは小猿。
小猿はお母さんよりも少し積極的で、娘の膝に手をかけて「ナッツを持っているのを知っているよ!ねぇ、僕にもくれないかな」と自己主張。 -
娘が手にしたナッツを1つ持ち上げると小猿の視線もその手に移動して、もうナッツしか目に入っていない!
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娘から何個かナッツを貰って満足したサルたちは、日当たりの良い場所で食後のリラックス・タイム。
手前のサルなんて爪楊枝で歯に挟まったナッツの殻を取り除くおじさんみたいな仕草だ。 -
私たちが地上で猿と戯れている間も木の上では小猿たちの追いかけっこが続いていたが、追いかけっこをしていたのは小猿だけではなかった。
樹上では、オス猿がメス猿に猛アプローチをかけていた。 -
12月は猿の発情期の終盤で、この時期のメス猿はみんなこんなお尻。
私たちのところにやってくるサルたちが子猿やメス猿ばかりでオスはどうしたのかな?と思っていたのだが、こんな魅力的なお尻がいっぱいあったらオス猿はナッツどころではなかったのかもしれない。 -
アズルーの森の猿だが、実はいつも道路近くの森で野生の猿が遊んでいるとは限らないというのがハミドの話で、猿に会いたければ午前中の出来るだけ早い時間にアズルーを訪れるのがポイントだという事だ。
森のサルたちは観光客からある程度のナッツを貰うと満足して、午後には、森の奥にあるそれぞれのファミリーのねぐらへと戻ってしまうらしい。 -
アズルーの森を出発したのは、11時過ぎ。
目の前にはモアイアン・アトラス(小アトラス)山脈が見えてきた。 -
この先にはイフレンの様な欧州調の町並みは一切なく、街道沿いの小さなモロッコらしい町があるだけ。
-
イチオシ
でも、私はモロッコの軽井沢みたいなエリアよりも人々の生活感あふれるモロッコらしい町の方が好き。
だって、ゴミ1つ落ちて無く、綺麗な家々が整然と立ち並ぶ街って、なんだか冷たいもの。 -
13時前にミデルト(Midelt)の町に到着し、昼食休憩。
ハミドが食事場所として案内してくれたのは、町中のローカルな食堂。
因みに6年前(2012年)のモロッコ旅でのハミドのセレクトはいわゆる観光レストランが多かったのだが、私的にはこんな風にローカルな食堂の方が嬉しいし、地元感があって良いと思う。レストラン ディアファ 地元の料理
-
椅子に座った私たちがまず最初にオーダーしたのは、ミデルト特産のリンゴをふんだんに使ったリンゴジュース(もちろん果肉入りの100%)。
モロッコの特産物で林檎というと意外に思うかもしれないが、モロッコは私たちが脳内イメージで持つ座標よりも、北にある国だ。
サハラ砂漠を有するモロッコは雰囲気的には南国に近い印象を持たれがちだが、実際の緯度で比べると、ミデルトの町があるのは、日本でいえば九州地方に相当する緯度。
更にミデルトの町はアトラス山脈の麓に位置しモロッコの平地に比べて標高が高く、平地では夏に40℃近くまで上がる気温も、ミデルトの最高気温は30℃前後と低めで、林檎の生育には適した気候を有している。
だからミデルトはモロッコの中でも林檎の一大産地で、欧州へも林檎を輸出している林檎基地でもあり、町のシンボル・マークも勿論リンゴだった。 -
ハミドから好きなものを食べて良いよ!(砂漠旅の間は3食の食費が手配代金に込)との言葉を貰ったので、メニューと睨めっこ。
値段は気にしなくて良いとのことだったが、やはり相場がいくらなのかは気になる。
タジン1人前で40DH(約440円)なので、フェズの大衆食堂よりも10DH(約110円)安いくらい。
モロッコでは、大衆食堂での価格設定は都市部も田舎町もそんなには変わらないのかもしれない。 -
娘と私の最初のセレクトは、サラダ。
今晩から砂漠地帯へと入るので生野菜は貴重。
此処で食べておかないと次にいつ食べられるか分からない。
アフリカでの生野菜については、寄生虫が・・とか気にする方も多いと思うが、個人的見解としてはモロッコでの生野菜はそんなに神経質にならなくてもOKだと思う。
娘はあまり胃腸が強くは無いのだが、生野菜を食べても現地でも帰国してからも特に具合の悪そうな様子はなかった。
(娘を実験台にする私もどうかと思うが、彼女がサラダを食べたいと主張したので、起こり得る危険性を説明した上でオーダーしたので、問題ないだろう) -
そしてメインのセレクトは魚料理。
アトラス山脈の麓のモロッコのど真ん中で海の魚のグリルとは、それこそ食中毒の危険性があるのではない?って思われるのは当然。
私自身もハミドにお勧めの料理を聞いて“海魚のグリル”と教えてもらった時には、「ここは海からは遠いのにどうして海の魚なの?」と質問をした。
ハミドの説明によると、ミデルトは林檎の輸出で栄えている町で、輸出のために地中海や大西洋の港とは大きな幹線道路で結ばれている。
だから、海とミデルトの町は車で4時間位しかかからない。
朝一番に海辺の市場で仕入れられた魚は昼前にはミデルトの食堂に入荷するので、お昼が一番新鮮で美味しい魚を食べられるのだよ。
とのことだった。
モロッコ中央部ではなかなか新鮮な魚は手に入らないが、ミデルトでは林檎のお蔭で山間にありながらも美味しい魚を食することができる。 -
ミデルトの町を抜けるとその先で私たちを待ち受けるのは、アトラス山脈だ。
アトラス山脈はモロッコの大西洋側からチェニジアへ向かって伸びる山脈で、その全長は2400m。
アトラス山脈にはツブカル山(標高4167m)もあるがミデルトがあるのは大西洋からも遠くない場所なので、私たちが通り抜けるのはアトラス山脈の裾野のエリアでその標高は2000m程度だとのことだ。 -
しかし、そんなに標高が高くは無いエリアとはいえ、そこはアトラスの山道。
赤い岩が連なる山岳道路を走る。 -
山道の途中の展望台で車を止めて、運転手のハミドも休憩タイム。
私の好きなごつごつとしたダイナミックな岩がむき出しの山の景色だ。
手配会社のKyokoさんが旅の前にアドバイスをくれた「この区間を夜間に移動してしまうなんて絶対に勿体ない。私ならば昼間を選ぶ」という言葉。
確かにその通りだと思う。
モロッコと言えば、古都と砂漠がその代名詞だが、そのエリアを結ぶ地域にだって見所が沢山ある。
夜行バスで移動していたら、モロッコには場違いなイフレンの欧州風の町並みも、アズルーの黄金の毛皮を持つ猿たちにも出会えなかったし、モロッコのど真ん中で海産物が美味しく食べられる町があるなんて知ることも無かっただろう。 -
そして、アトラス山脈の始まりにあたるエリアを実際に自分の目で見る・・・なんてことも出来なかっただろう。
-
アトラス山脈を抜けると、そこは昔の山地が崩れ、丘陵地帯となったエリア。
川辺のオアシスが広がるエリアだ。
アトラスの赤い砂岩が時と共に崩れ丘となり、その丘もゆっくりと削られ紅のサハラ砂漠へと還っていく、サハラが生まれるエリアへと辿り着いた。 -
降雨量の少ない砂漠エリアは、その住居も特徴的。
日干し煉瓦を重ねて泥で塗り込んだクサルと呼ばれる昔ながらの住居が、ヤシの木が生い茂る丘陵地帯に立ち並んでいた。
手前に見えるクサルはもうヒトが住まなくなった古い住居。
クサルは日干煉瓦で作られているので建物としての耐久性はなく、手入れをしなくなるとあっという間にポロポロと崩れていく。 -
途中のリッサニの町でスーパーに立ち寄り、砂漠での生活に必要な食料をお買い物。
砂漠には3泊するがその内の1泊はノマドのお宅にホームステイで、私たちが食べる食材は持ち込みが原則。
勿論、料理はノマドのお母さんが作ってくれるのだけどネ。 -
スーパーでは、娘と私は香辛料とアルガン・オイルのコーナーに直行。
リッサニはモロッコの中で物価が一番安いと云われる町で、スーパーに並ぶ品物の価格も安い。
安いといっても、他の地域とはアルガン・オイル1本あたり100円も違わないのだが、それでも安い事には変わりはない。
香辛料コーナーでモロッコ香辛料を袋詰めする娘と私をチラチラと横目で見るリッサニの地元民の視線。
クミンやパプリカ、タジンミックス等のスパイスを袋にいっぱい詰め込む東洋人の母娘。
見かけはどう見ても観光客なのに、いったいアイツ等は何者なのだろう…と思っていたに違いない。
私たちがスパイスを袋詰めしていたそのころ、ハミドは何をしていたかって?
彼はメルズーガの町に住む家族のために、スーパーの片隅の電気屋さんで液晶テレビを選んでいた。
実は私たちの翌日からの予定にはハミドのご実家にお邪魔して、そのあとにお母さんと一緒に女性のための学校へ行き、地元の女性達と一緒にアラビア語の勉強をするというプランが組み込まれていた。
勿論、ご実家にお邪魔する時には、ハミドも一緒。
仕事が忙しくて、なかなか地元に帰る時間のないハミドにとって、今回は久しぶりの里帰りだそうだ。 -
リッサニのスーパーを出る頃には太陽はもう傾き始めていて、夕方の始まりの時間帯。
一路、メルズーガ砂漠に向けて車を走らせる。 -
途中のズィズ渓谷でサンセット・タイム。
ズィズ渓谷は砂漠に入る前の最後の緑地帯。
この渓谷を超えたら、その先にあるのは礫獏とアルジェリアへと繋がる無限のサハラ砂漠だ。 -
私たちがズィズ渓谷でサンセットを愉しんでいる間、ハミドは車の整備をしていた。
先ほどスーパーに立ち寄ったリッサニの町で車に給油をしたのだが、どうもその後のエンジンの音が気になるらしい。
ズィズ渓谷に居合わせた知り合いの整備員に車を見てもらい、更に近くの整備工場まで車を動かして本格的な車のチェック。
車のチェックが入ったせいで、15分程度の渓谷での滞在予定が45分に延長となったが、車は無事、調子を戻して帰ってきた。
どうやらリッサニでの給油時のオイルに水が含まれていたようで、それがエンジン音の異常を招いたらしい。
これから砂漠地帯へと入るので、車の調子が悪いのは一番怖いことで、直ったと聞いてほっと一安心。 -
ズィズ渓谷からは標高をどんどん下げて、砂漠地帯へ。
-
遠くにメルズーガ砂漠の砂丘が見えてきたころには、もう陽が沈み、宵の闇が迫ってくる時間帯になってしまっていた。
本来ならば、遠くの砂丘が夕日で赤く染まる時間帯にこの辺りを通過する筈だったのだが、旅にトラブルはつきものなので仕方がない。
モロッコ旅では日本の常識は当てはまらない。
この日のうちに無事にメルズーガ砂漠に着いただけでもよかった!とすべきなのだろう。メルズーガ大砂丘 (サハラ砂漠) 砂漠・荒野
-
イチオシ
そして、19:30。
10時間半を要した元旦の長いドライブも、終わり。
この日の宿、砂漠の畔に建つオーベルジュ:リアド・マドゥ(Riad Madu)へと到着した。
リアド・マドゥはメルズーガ砂漠の畔に建つ宿で、他のオーベルジュとは立地が離れているので落ち着いた滞在が出来る宿。
到着したばかりのこの時は宿のラグジュアリーさをあまり実感できなかったが、チェックイン後に案内されたお部屋で口がポカン・・・。
そんな砂漠のオーベルジュのお話は、また次の旅行記で綴りたいと思う。
前の旅行記:【4】シャウエン もふもふ ネコ歩き
https://4travel.jp/travelogue/11461954
続きの旅行記:【6】砂漠の一夜はLuxury♪
https://4travel.jp/travelogue/11556861リヤド マドゥ ホテル
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春日部
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