2018/12/27 - 2019/01/06
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ウェンディさん
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この旅行記のスケジュール
2019/01/03
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地平線から登る朝日を眺めたければ早起きは必須!大砂丘は登りだけで1時間かかります。
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朝食後は砂の海を渡り、朝漠を横断し、アルジェリアとの国境地帯へ。
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礫漠の大地は風が吹くと砂埃が舞うワイルドな土地。その中を駱駝に乗り、ひたすら進みます。
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お昼前に到着したのは、ノマドの集落。この日は此処でお世話になります。
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私達の宿泊場所は、ゲストテント。夜には天幕の隙間から星の光が透ける最高のロケーション♪(寒いけどね)
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ノマドの集落には、電気、水道、ガス・・・などのインフラは何一つ無い。自然のままのスタイルで過ごす。
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火を使うのは、母屋から離れた土の竈で。風呂、シャワーはなく、躰は拭くだけ。
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ノマドのオンナになるために、お母さんがヘナ・タtゥーを施してくれました。魔除けと自由を表す伝統模様。
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コレで私達もノマドのオンナ。
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この旅行記スケジュールを元に
2018年の年末モロッコ旅は、20歳を迎えた娘に成人のお祝いとして母からのプレゼント旅。
娘と共にモロッコでディープな10日間を過ごしてきました。
私達の旅のコンセプトは“感じる旅”。
メジャー処の観光も沢山楽しみたいけれど、現地の空気感を自身の肌で感じ、味わうことのできる旅。
今回の旅では、乙女心をくすぐる紅の砂漠地方でしか体験することのできないレアな旅-ノマドのオンナ旅-を旅程の後半にプランニングしてみました。
二十歳を迎えたばかりの娘に、いきなりの-オンナ旅-は刺激が強すぎるかしら?
No Problem!
彼女は、見た目よりも肝は据わっていますから・・・
☆★☆2018年末-2019年始 アダルト娘と旅するモロッコ☆★☆
【1】別室連行から始まるモロッコ旅:https://4travel.jp/travelogue/11441497
【2】知られざるフェズを探して:https://4travel.jp/travelogue/11445658/
【3】青の絶景に瘴気の谷を見た:https://4travel.jp/travelogue/11459763
【4】もふもふ ネコ歩き:https://4travel.jp/travelogue/11461954
【5】黄金の野獣と・・・:https://4travel.jp/travelogue/11548820
【6】砂漠の一夜はLuxury♪:https://4travel.jp/travelogue/11556861
【7】ディープなモロッコ:https://4travel.jp/travelogue/11624159
【8】星降るサハラ:https://4travel.jp/travelogue/11626421
【9】ノマドのオンナ:https://4travel.jp/travelogue/11635130
【10】砂漠の料理教室:https://4travel.jp/travelogue/11670909
【11】真夜中のTea Time:https://4travel.jp/travelogue/11675222
☆★☆ 旅程 ☆★☆
□12/27 成田空港発22時のエミレーツ航空でモロッコへ
□12/28 カサブランカ空港着13時 モロッコ国鉄でフェズへ移動
□12/29 フェズ1日観光
□12/30 シェアチャーター車でシャウエンへ シャウエン観光
□12/31 シャウエン観光 シェアチャーター車でフェズへ
□1/1 モアイワン・アトラス山脈を越えてメルズーガ砂漠へ
□1/2 朝の砂漠散歩と化石探し
地元の暮らしを体験し、駱駝で砂漠の真ん中へ
■1/3 ノマドのお宅にホームステイ
□1/4 駱駝で砂漠を縦断し、Ziz谷へ
□1/5 エルラシディア空港9時のモロッコ国営航空でカサブランカへ
カサブランカ空港15時発のエミレーツ航空で日本へ
□1/6 成田空港着17時半
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 3.5
- グルメ
- 5.0
- 交通
- 5.0
- 同行者
- 家族旅行
- 一人あたり費用
- 25万円 - 30万円
- 交通手段
- 徒歩
-
2019年1月3日
サハラの旅人の朝は早い。
まだ夜も明けぬ内に布団を抜け出し、ツーリストキャンプの大砂丘を懐中電灯の明かりを頼りに1時間かけて駆け上がる。
登りきった砂丘の上は360度、見渡す限りの地平線までが砂で覆われた砂の世界を実感できる特等席。
砂丘の上にひとり陣取り、アルジェリア方向にある地平線を眺める。 -
朝のマジックアワー。
太陽が地平線から顔を覗かした瞬間、一面の砂の海は夜の闇の名残が作り出したモノトーンの色合いから一気に紅く染まり、そしてまた静かにその色を戻していく。 -
太陽と砂漠が演出する朝のショータイムは、時間にしたらほんの5分くらい。
時間としては短いが、砂漠のど真ん中に滞在するのだから、朝のこの光景は見逃すわけにはいかない。
登りに1時間かかった大砂丘だが、下りは走って降りるので砂丘の麓にあるツーリストキャンプまではあっという間。 -
下っている最中に砂漠に目をやると、早朝にキャンプを発つキャラバンの姿が目に入った。
きっと彼らは昨晩に宿泊したキャンプでおしゃべりをした、この日はフェズまで一気に車を走らせると話していたオーストラリアからのファミリーだろう。
彼らとはモロッコで何をしたか、何処へ行ったかという話を昨晩していたのだが、私達がこの砂漠で3泊すると言ったら、そんなに長く砂漠に滞在して何をするの?と不思議そうに聞かれた。
この質問に、私は上手くは答えられなかった。 -
私達が砂漠エリアで何をするのか?
砂漠での行動はある程度ラフなプランニングはしてきたが、実際はその時の場の流れに任せ動けば良い・・・そんな風に考えていた。
だから、彼らの問いに対する私の応えは「砂漠の風や空気、その雰囲気、生活感を味わうことかな」
彼ら、特にファミリーのお父さんは、私の答えにかえって困惑した顔。
抽象的過ぎた回答だったな?とも思ったが、ご家族のお母さんは私の言わんとしたことを理解してくれたみたい。
彼女は「私達は既成のツアーだから一週間でモロッコをぐるりと巡るツアーだけど、あなたたちの様な滞在型の旅も素敵よね。急いでいる旅では通り過ぎてしまうモノが見つかる旅ね」
そう、それ!
1回の旅でいくつの観光地を巡ったかをカウントするような旅もワクワクするけれど、娘と私が楽しみたいのは観光地のスタンプラリーではなく、現地に溶け込めるような旅。
日本人がモロッコに溶け込むだなんて現実的には難しいが、その気分を味わえる旅をしたいんだな。 -
眼下の景色を眺めながら大砂丘を下りきってキャンプへ戻ったら、朝食の時間。
朝食はどうやら私達がラストのお客さんで、ビュッフェ形式のお皿の上は残り物だけだったが、私達にはソレで十分。
モロッコ特産の蜂蜜をクレープにたっぷりつけて、美味しくいただいた。
キャンプの周辺では、ほとんどのグループの駱駝たちが出発準備万端で待機中。 -
動物好きな娘は、そんな駱駝たちの一頭一頭に朝のご挨拶をしていた。
-
さてさて、私達の駱駝はいずこに?
駱駝たちが多く集まっている待機場所にはその姿はなく、辺りを見渡してもその姿はない。
まさか、逃げた!?
私達の駱駝が居たのは、他の駱駝たちとは少し離れた小さな砂丘の上。 -
どうやら私と同じで、見晴らしの利く高い処が好きらしい。
-
イチオシ
背後から「おはよう!今日もよろしくね」と呼びかけると見返り美人風に、振り返って返事をしてくれた。
駱駝はどの子も同じ顔にも見えるがよく見ると一頭一頭が個性的な顔立ちをしているので、慣れてくるとなんとなく見分けがつくようになってくる。
もっともこの時はまだその個性を掴み切れていなく、私達が自分達の駱駝を識別する目印にしたのは、駱駝の背に乗っているクッションの模様“Berber Freedom”のマーク。 -
この文様“Berber Freedom”は砂漠の民;ベルベル人のシンボルで、その意味は“Eternal-永劫”。
ベルベル民族の自由と人権を守る運動旗であるベルベル旗にも使われていて、旗ではシンボルの背景が3色に塗り分け、黄色が砂漠や大地、緑が木々、青が海を表していて、一時は民族解放運動の象徴ともなった旗でもある。
だから、ベルベル人はこの永劫を意味する模様を“Berber Freedom”と呼ぶことが多い。 -
朝9時半。
私達のパーティの出発時間だ。 -
駱駝に乗り、Silk Caravan Campをあとにする。
キャンプの背後にあるのが、今朝、私が1時間をかけて登った砂丘だ。 -
イチオシ
砂の海の波間を駱駝に跨がり進む、私達。
そのシルエットが砂のスクリーンに映し出され、流れていく。 -
今回の娘と母のふたり旅は全10日間。
旅の前半3日間ではフェズやシャウエンなどの日本でもメジャーな観光地を歩いてきた。
そして後半戦が砂漠。
アフリカの巨大な砂の海、サハラへのチャレンジだ。
サハラは日本語ではサハラ砂漠と表記するが、実はSAHARAとはアラビア語で、何もない場所、砂、砂漠を意味する単語。
だから、日本語表記のサハラ砂漠は、真面目に訳すと“砂漠砂漠”となってしまうが、サハラの広大なイメージを表現するには、ある意味、ぴったりなのかもしれない。
(蛇足な話だが、日本における地名の英語表記でも、同じようなことが起きている。
関東地方を流れる荒川はArakawa River、利根川はTone Riverと表記され、Arakawa Riverは日本語に再変換すると“荒川・川”となってしまう不思議な表現手法が採用されている) -
サハラ砂漠というと北アフリカ一面に広がる壮大な砂の海をイメージするかもしれないが、実際の砂漠は北アフリカの中に点在している。
実は私自身もモロッコを初めて旅した8年前までは、北アフリカ一面にサハラ砂漠と呼ばれる広大な砂の海があるのだとばかり思っていた。
しかし、実際は複数の国に跨がる小規模の砂の海の総称がサハラと呼ばれる砂漠なのだ。
(La Saharaの分布地図;Wikipediaより)
そして、サハラ砂漠はモロッコにもその端っこがかかっていて、その中でも一番美しい砂丘と言われるのが、私達が滞在したメルズーガ砂漠:Erg Chebbi(北アフリカ地図の左上の赤丸)だと言われている。 -
メルズーガ砂漠があるのは、アトラス山脈の南麓でアトラスの赤土がその砂漠の砂の源。
紛争地帯であるアルジェリアの国境からもさほど離れていない辺鄙な場所だ。
写真はメルズーガ砂漠を撮影した航空写真(Google Mapより)だが、砂漠の周りに広がる黒い部分は礫漠(れきばく)や土漠(どばく)と言われる不毛地帯。
地面には低木の木や草は生えてはいるが土地が痩せていて、水源となるオアシスの傍らでしかヒトは生活をすることができない。
このメルズーガ砂漠で私達が夜を過ごしたのは、1泊目がハシラビードのRiad Madu、2泊目が砂漠の真ん中のツーリストキャプ;Silk Caravan Camp、そして3泊目がこれから向かうノマドの集落だ。
そう、砂漠での最後はツーリストの域を少し抜け出して、砂漠の畔で暮らす遊牧の民のノマドに密着する。 -
今回の旅では、私自身では手配が難しい砂漠エリアでの過ごし方は、現地手配会社の“サハラ砂漠の風(ホームページ:https://sahara-breezetravel.com/)”に相談しながらプランニングしていった。
でも、この日、ノマドの集落に行ってからのことはNo Planな状態。
ノマドの生活エリアに入り込んでしまえば、現地の彼らのルールに従うのが全て。
未知の世界に向け、駱駝は砂丘の上を進む。 -
実はこの日はノマドの集落を訪れるとプランニングはしていたモノの、その集落がメルズーガ砂漠に対してどっちの方向にあるのか、どの辺りにあるのかは私達には知らされていなかった。
コレには事情があり、遊牧の民ノマド独特の事情で、その日に泊めてくれる家が何処になるかは、その日が来てみないと確実にはならないから。
だから、事前情報は皆無の状態で駱駝の背に揺られていた。
砂の海の景色の移ろい、時刻と太陽の方角や影の長さから自分たちはアルジェリア方向へ向かって南南東に梶を切っているらしいこと位は分かっていたけどね。 -
歩き始めの頃は周囲は大小の砂丘に囲まれていたのだが、1時間も進むと砂山のサイズがどんどん小さくなり、遠くに広大な礫漠(小石が転がる荒れた大地)の姿が見えてきた。
-
どうやらメルズーガ砂漠を横断し、その反対側の砂漠の畔へと辿り着いたようだ。
-
このあたりは通常の観光客は立ち寄らないエリアで、欧米人向けにシャワーを完備したゴージャスなツーリストキャンプなどもない。
舗装された道も無く、地元の人が運転する車やノマドが曳く駱駝が、砂塵が舞う礫漠の中を横切っていく。 -
荒涼とした風景の中を駱駝が歩く。
この光景は100年前も200年前も、もしかしたら500年前だって変わらないのかもしれない・・・ -
イチオシ
とか思いながら駱駝の背に揺られ、目の前の光景を眺めていたのだが、やっぱり昔とは変わってきているようだ。
だって、駱駝を引率する男性の手にはスマホ。
100年前どころか20年前にはまだ庶民の手の届かなかったスマホが、いまはもう、砂漠の民の生活の中にどっぷりと入り込んでいる。 -
砂漠の中のツーリストキャンプを出発して2時間くらいが経過し、優雅に紅い砂が流れるメルズーガの砂丘も遙か後ろになり、
なんとなく少しセンチメンタルな気分。 -
でも、砂漠地帯では何が起きても不思議がないもの。
突如、荒れ果てた荒涼とした礫漠の中に、砂漠の飛び地が出現した。 -
サハラを流れる強い風がメルズーガの紅い砂をここまで運んできて、吹き溜ったのかもしれないが、吹きだまりなどとは思えないほどの数多くの砂丘のうねりが目の前に広がっていた。
-
イチオシ
風が描いた砂紋は、堅そうに見えるが実はとてもソフトで繊細。
軽く足を載せるだけで、小さな砂のサミットはサラサラと音もなく崩れていく。メルズーガ大砂丘 (サハラ砂漠) 砂漠・荒野
-
駱駝を曳くハッサンとユーセフに「このルートは度々お客さんを案内するの?」と尋ねたところ、その返事は「まさか!」
「自分たちだって、メルズーガの砂漠の裏側、アルジェリア寄りの部分は滅多に来ないよ。
君たちのリクエストが特別なだけさ」
と言う応えで、やはり、ノーマルなツーリストはこんな旅はしないらしい。 -
駱駝に揺られて3時間(メルズーガ砂漠を1時間半、礫漠を1時間半)渡って、ようやく本日の目的地が見えてきた。
この日、ノマドの集落があったのは、Hassi Mardani地区。
ネットで住所検索してもヒットしない僻地で、メルズーガエリアの中でもアルジェリアとのボーダーに近接したエリアとなる。 -
冬とは言えモロッコの日中の日射しは強く、暑い。
そんな中を私達を乗せてきてくれた駱駝たちに“ありがとう”の言葉をかけながら駱駝を下りる。 -
本日の宿は、ノマドのゲストテント。
さて、どんなところで、私達は過ごすのだろうか? -
目の前に広がる景色を眺めながら、娘と共にドキドキ♪
もしかして、あっちに見える藁の塊が私達の宿? -
それとも、ノマドの女性が歩いて行く、あそこの小屋だろうか?.
-
どうやら私達の宿泊テントはこちらみたいだ。
-
リビングがテント中央から右、ベッドルームが中央から左となる豪華なスイート・テントで、昼間は幌をあげれば風通しも抜群。
これだけ風通しが良ければハエだって気にならないネ。 -
イチオシ
まずはテントでミントがたっぷりと入ったウェルカムティーを戴く。
モロッコの紅茶は高い所から紅茶を落とすようにして注ぐ。
高い所から落とすのは、ミントと紅茶の香りを立てるためだ。 -
お茶を戴いて一息ついたら、お世話になるノマドのお家の方にご挨拶しなくっちゃ。
お家の方は何処かしら・・・と探したら、男の子発見! -
言葉は通じないのは承知で、日本語で「お母さんはどこかしら?」と聞いてみた。
-
そしたら、男の子はなんと私達を案内してくれてお母さんの所へ。
まあ、これは言葉を理解したのではなく、変なおばちゃん達が迫ってきたからお母さんに助けを求めに行ったのが正解だろう。
お母さんは竈の近くでお仕事中。 -
一家の竈があるのは母屋から50m程離れた場所で、もし、火の粉が飛んで竈の小屋が火事になったとしても母屋まで火が燃え移らない距離だ。
-
私達がゲストテントから出てふらふらしていたら、駱駝曳き兼砂漠ガイドのハッサンとユーセフも出てきて、ノマドの家を案内しようか?と申し出てくれた。
ソレは、是非是非!
ノマドの人たちが話す言葉はベルベル語。
此処ではアラビア語すらも通じず、私達だけでは意思疎通が難しい。
ノマドのファミリーが暮らすのは藁をかぶせた簡易型の家。 -
遊牧の民である彼らは家畜と共に移動するので、定住するような家を持たない家族が多い。
(それでも、最近は定住型のノマドも増えているという話だが・・・)
母屋の入口は狭く、四角い藁の部屋を何個かくっつけたような構造をしている。
勿論、水道、ガス、電気などの近代文明では当たり前となっているモノは此処には何一つ無い。
水は村の共同井戸から汲み、燃料は貴重な乾燥した木の枝と牛の糞、そして夜の明かりは蝋燭の灯火だ。 -
母屋の主寝室は、地面に厚手の絨毯を敷いただけ。
藁と布の壁は風通しも良く、冬の明け方は零下まで冷え込むことがある砂漠地帯ではかなり厳しい環境だと思う・・・が、コレがノマドの人たちにとっての日常だ。 -
母屋の裏手にはテントがあり、このテントで日帰りのノマド見学の観光客に手織り絨毯の織り方を見せたり、食事を振る舞ったり、手作りの小物を売ったりして観光収入としているそうだ。
-
そういえば、前回に砂漠に来たときに私達もノマドのテントへ案内してもらい、ベルベル・ティを振る舞って貰った。
まさか、その彼らの生活の中にちょっとだけお邪魔するような旅をすることになろうとは、6年前には考えもしなかったことだ。 -
この日もノマドの生活風景を見に来るゲストがあり、彼らはランチを食べていくと言うことでお母さんはクスクスの準備で大忙しだった。
-
朝にキャンプでお茶を飲み、ノマドのお宅でもお茶を戴いた私達は、そろそろ生理現象がやって来る時間。
何処にあるのかな?・・・トイレ。
ユーセフにトイレ何処?と尋ねたらユーセフが指さしたのは、遠くに見えるメルズーガの砂丘の方向。
そっか、あちらにトイレの小屋があるのだね♪
でも、どの小屋がトイレ?なのかが分からない。
だから、再度ユーセフにトイレは何処?と聞いたら、今度は方向ではなく言葉での応え。
「だからぁ、砂漠の手前にブッシュがあるでしょ。あそこがトイレだよ」
「あぁ、そういうこと!
トイレは小屋があって地面に穴が掘ってあるわけではなくって、自分で藪の中に入っていて、好きなところで大空トイレってことか」
まあ、そんなこともあろうかと想像していたからそんなには驚かなかったけど、伝染病が流行するときにはちょっと注意をしなくてはいけないトイレかな。
そんなわけで、ノマドの集落にはどこの家庭もこんな感じで、厠は存在しないらしい。 -
この日は、ランチタイムから私達が参加してのノマドライフの始まり。
ノマドのお母さんと一緒に砂漠のピザであるベルベル・ピザを作る。
でも、その前に。
ノマドの集落で暮らすならば、まず形から入らなくっちゃということで、ノマドのお母さんがヘナ・タトゥーを描いてくれると言う。 -
ノマドの女性は子供の頃からヘナを美しく描ける様に練習をし、結婚したらお姑さんの躰に美しいヘナ・タトゥーを描くのが日課となる。
-
お母さんは針なし注射器のシリンジにヘナの染料を入れ、ゆっくりと描く。
-
下絵もないオール・フリーハンド。
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イチオシ
お母さんの画くラインに迷いはない。
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娘と私のふたり、
足甲から足首にかけ、美しい紋様を描いて貰った。 -
描いて貰ったのは、ベルベル女性の伝統的な魔除けの紋様と永遠を示すBerber Freedomのデザイン。
-
マラケシュやフェズの町中で施されるヘナ・タトゥーのような美術的な繊細さはないが、各家庭の女性達が母娘と繋いできた田舎のベルベル模様。
描いて貰えて、とても嬉しかった。
今回、娘と私がヘナで装飾を描いて貰った様子はYou TubeにもUPしてみたので、短い動画ですが、よろしければどうぞ♪。
https://youtu.be/nwOjCzkO5HA
ノマドのお宅での滞在の続きは、ベルベルの花嫁修業編から。
日本では絶対に経験できない未知の世界は、プライスレス!
前の旅行記:【8】星降るサハラ
https://4travel.jp/travelogue/11626421
続きの旅行記:【10】砂漠の料理教室
https://4travel.jp/travelogue/11670909
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この旅行記へのコメント (2)
-
- pedaruさん 2020/07/22 06:58:09
- 貴重な体験、タイムスリップ
- ウェンディさん おはようございます。
またまた凄い経験をしていますね、アルジェリア近くへラクダライディング、
砂の壁に映る影、素敵ですね。
ノマド、聞きなれない言葉です、カマドは知ってますが(笑)、ここにもあるカマド、
お料理には欠かせない世界共通の設備、縄文遺跡にもカマドありました。
ウェンディさんの遺伝子を受け継いで、お嬢様もこういうところに泊まるなんて
若い子にしては趣味が渋すぎます。砂漠の一夜は彼女にとって生涯の宝のような思い出になることでしょう。
pedaru
- ウェンディさん からの返信 2020/07/22 08:30:43
- RE: 貴重な体験、タイムスリップ
- pedaruさん こんにちは
ちょっぴりワイルドな砂漠旅−ノマド編を旅日記に綴り始めました。
写真を見返しながら娘とも話していたのですが、モロッコの旅の中で一番印象深かったのが、やはり、砂漠、特にノマドの集落での経験です。
今回の10日間の旅では有名な観光地のフェズもシャウエンも訪れましたが、双方とも頭の中にイメージ映像がすでにできあがっており、旅はそのイメージ図をなぞる感じ。
更に、日中のシャウエンなどは観光地化されすぎたその雰囲気に逆にひいてしまう部分もありました。
しかし、砂漠では全てが予想外。
もともとNo Planで臨んだので何があるかはお楽しみの旅でしたが、びっくり箱を開けるような迷路を進むような、次に何が起きるのかは目の前のコーナーを曲がってみなければ見えてこない旅は本当に刺激的でワクワク。
次にモロッコに行くならば、やはり砂漠は必須。
ツーリスト・キャンプももっと僻地の砂にタイヤ跡のないエリアに行きたいですね。
ウェンディ
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