2019/03/02 - 2019/03/17
3位(同エリア96件中)
ウェンディさん
- ウェンディさんTOP
- 旅行記379冊
- クチコミ2264件
- Q&A回答130件
- 2,149,230アクセス
- フォロワー349人
この旅行記のスケジュール
2019/03/02
-
成田発-ダラス経由-マイアミへ
2019/03/03
-
車での移動
プエルトオルダスへは専用車で4時間
-
Hotel Waipaに宿泊
もっと見る
閉じる
この旅行記スケジュールを元に
旅先を決める理由。
私の場合、それは本による影響が一番大きいように思えます。
今回の旅;南米にあるギアナ高地へ私を誘ったのも、1冊の本。
イギリスの作家であるSir Arthur Ignatius Conan Doyle(アーサー・コナン・ドイル)が1912年に記したThe Lost World-失われた世界-でした。
初めて-失われた世界-を読んだのは、小学生低学年の頃。
この地球上のどこかにある、不思議な世界。
ジャングルの中にある現代社会から切り離された崖の上の台地。
その台地の上を闊歩するのは、数万年前の太古の世界から生き続けている恐竜たち。
青く高い大空には翼竜が滑空し、餌を求め、その鋭い眼差しを地上へと注ぐ。
本を読んだ当時は物語の舞台となった台地:ギアナ高地が現実に地球上に存在している…とは知りませんでしたが、小学校の社会科の地理で南米大陸にThe Lost Worldの世界が実在することを教わりました。
その時から、私の心の片隅で燻っていたのは「いつかギアナ高地と呼ばれる世界を自分の足で歩いてみたい」という熱い想い。
そして、その願望は2019年3月に叶う事になりました。
☆★☆2019年3月-ギアナ高地トレッキング 旅程☆★☆
□3/2 NRT18:25-DFW-MIA21:38 マイアミ宿泊
□3/3 MIA- BLA(ベネズエラ)プエルトオルダス宿泊
□3/4 Paraitepuiへ移動(9時間)パライテプイ宿泊
・3/5-3/11 ロライマ山 6泊7日 トレッキング
3/5 Day1:パライテプイ村→クカナン・キャンプ
3/6 Day2:クカナン・キャンプ→ロライマ・ベースキャンプ
3/7 Day3:ロライマ・ベースキャンプ→カラカス・キャンプ
3/8 Day4:カラカス・キャンプ→The Prow→クワティ・キャンプ
3/9 Day5:クワティ・キャンプ→プリンシパル・キャンプ
3/10 Day6:プリンシパル・キャンプ→クカナン・キャンプ
3/11 Day7:クカナン・キャンプ→パライテプイ村
・3/12 Puerto Ordasへ移動(9時間) プエルトオルダス宿泊
・3/13 エンジェルフォールへ カナイマ宿泊
・3/14 エンジェルフォール遊覧飛行 プエルトオルダス宿泊
・3/15 BLA18:00-MIA21:00
・3/16 MIA06:50-CHI-
・3/17 NRT15:30
☆★☆2019年3月-ギアナ高地トレッキング 旅行記☆★☆
【1】旅の序章 -アクセス・安全情報・トレッキング準備編
https://4travel.jp/travelogue/11487969
【2】ロライマ・トレッキング Day1 -プリプリ悪魔の洗礼
https://4travel.jp/travelogue/11491355
【3】ロライマ・トレッキング Day2&3 -魔境の台地へ
https://4travel.jp/travelogue/11524363
【4】ロライマ・トレッキング Day3(PM) -水溜まりの楽園
https://4travel.jp/travelogue/11525847
【5】ロライマ・トレッキング Day4 -世界の果てThe Prowへ
https://4travel.jp/travelogue/11536306
【6】ロライマ・トレッキング Day4&5 -サイバー攻撃で通信がダウン
https://4travel.jp/travelogue/11539851
【7】ロライマ・トレッキング Day5&6-不思議な絶景のロライマ山
https://4travel.jp/travelogue/11715107
【8】ロライマ・トレッキング Day6・7&帰路 -拷問坂を往く
https://4travel.jp/travelogue/11772791
【表紙写真:ロライマ・テプイから眺める朝のクカナン・テプイ】
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 4.0
- グルメ
- 4.0
- ショッピング
- 1.0
- 交通
- 2.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 一人あたり費用
- 50万円 - 100万円
- 交通手段
- タクシー 徒歩 飛行機
- 航空会社
- アメリカン航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
-ギアナ高地-があるのは、ベネズエラ。
ベネズエラ…その国名は知っていても、何処にベネズエラがあるのかは見当もつかないという方も多いかもしれません。
ベネズエラがあるのは、南米のカリブ海沿岸。
隣国にはブラジル、コロンビア、ガイアナがあり、イメージ的にはなんだかヤバそうな位置にある国です。
そのヤバそう…というイメージは決して外れではなく、現在のベネズエラの政界を支配するのは危険なDrug Money。
ある意味、日本で生活をする私達の日常生活からは、非常に縁遠い国です。 -
そんな危険な国への旅を敢て計画する理由。
それは、幼い頃の私を夢見させたテーブル・マウンテンのロライマ山(ギアナ高地にあるテーブル・マウンテンの一つ)があるから。
(写真:ロライマ山の上から眺めるお隣のテプイ;クカナン山)ロライマ山 山・渓谷
-
イチオシ
ロライマ山は、英国の作家であるコナン・ドイルが綴ったSF探検小説【The Lost World】でその名を世界に知らしめた山で、本の中では偏屈探検家のチャレンジャー教授が挑み、先史時代からの生き残りを発見した山として紹介されています。
切り立つ崖の上にあるロライマ山では、下界ではとうの昔に滅びてしまった恐竜や猿人が現代まで生き残り、チェレンジャー教授が率いる探検隊と死闘を繰り広げるというのが物語の大筋で、その内容は明らかにフィクションなのですが、本の挿絵としてつけられた実際のギアナ高地の写真は、その現実離れした風景に「もしかしたら…、このお話は本当かもしれない」と思わせる何かを秘めた場所でした。
アマゾンの奥地にあり、その存在が世界中に知れ渡ってからまだ100年と少しが過ぎたばかりの山域;ギアナ高地。
今回の旅行記では、16日間に渡る旅がどんな旅だったのか、
そして、今のベネズエラの現状、
少しでも安全に旅をするためのルート、
ベネズエラ入りしてからのロライマ山への唯一のアクセス方法について等を紹介したいと思います。
(写真:ロライマ山ベースキャンプから見上げる夕方のロライマ山)ロライマ山 山・渓谷
-
ベネズエラへの旅は日本を出国して帰国するまでの16日間の旅。
16日間の休暇…ソレはなかなか普通の会社員では取得できない長期休暇で、2019年の3月に私が仕事を休めたのは職場のリフレッシュ休暇のおかげ。
25年間、会社のため(自分のため)に働いてきたご褒美に14日間の連続した休暇をいただくことができました。
2週間の連続休暇を何に使うのか、私には迷いはなく、行先はベネズエラにあるテーブルマウンテン;ロライマ山のトレッキングと心に決めていました。
当初は私一人でトレッキングに行くつもりでしたが、様々な事情から相棒も同時期に休暇が取れそうなことがわかり、二人で行くことに。
ベネズエラは安全をお金で買う国なので、一人旅と二人旅では旅に必要となる費用がかなり変わってくるので、相棒が一緒に旅に出るということは私にとってもありがたい話となりました。
(写真:ロライマ山の山頂にて)ロライマ山 山・渓谷
-
イチオシ
しかし、2018年の春以降のベネズエラは政治が混迷し、経済的にもいつ国が破綻してもおかしくない状態で、私たちの旅も最悪の場合、日本を飛び出す前日にでも状況によっては旅をキッパリとあきらめなければならない。その費用は安くはないけれど支払った費用を全部捨てることも必要である…そのような覚悟をして挑んだ旅でした。
12月、1月、2月…と出立の日が近づいてきても、ベネズエラの現大統領マドゥーロ氏と反体制派のクワイド国会議長が対立する国内の政治状況は一向に改善せず、アメリカが発信するニュースはその国内情勢はよくなってはいないことを示唆していました。
今回の旅のアレンジを依頼した旅行会社と密に連絡を取り、旅行会社は現地手配先と現地状況を確認しあい、中止とするならばどこの時点で決断すべきか、計画を続行しても大丈夫なのかを毎日のように考えていました。
日本を立つ前日の3/1にも現地に状況確認をしてもらい、現地手配会社が出した答えはGo!
「暫くは今よりは状況は悪くならない。だから、安心してベネズエラに来てほしい」
それが現地からの回答。
現地状況をしっかりと把握している現地手配会社がOKを出してくれたことで、私たちの旅はスタートすることになりました。
(写真:セスナから眺めるギアナ高地最大のテプイのアウヤン・テプイ)カナイマ国立公園 国立公園
-
今回のベネズエラ旅の目的は二つで、そのひとつ目がコナンドイルが綴ったLOST WORLD‐失われた世界‐であるロライマ山のトレッキングです。
ロライマ山のトレッキングの方法にはいくつかのパターンがあります。
1. 往復ヘリコプターを使う殿様トレッキング
2. 片道にヘリコプターを使う楽々トレッキング
3. 自力でチャレンジ、体力勝負トレッキング
必要旅日数から見ると、1.の往復ヘリコプターを利用するのが最短で、次にトレッキング期間が短いのが2.の片道ヘリ利用で、3.の登りも下りも自力で歩く体力勝負トレッキングは一番日数を必要とします。
日本発の団体ツアーでは2.をアレンジしたロライマ山への登りをヘリコプター利用で下りをトレッキングで歩くツアーが多く紹介されています。
しかしヘリコプター利用のトレックはかなり高根の花で、一機ヘリを飛ばすだけで2000USドルの出費となり、往復ヘリだと4000USドルとなります。
団体ツアーの場合や個人でもお金が有り余るほどあるならばヘリコプター利用も一案だとは思いますが、実際問題として、私たち庶民向けではありません。
それに、ロライマ山トレッキングの醍醐味は目の前に聳えるテーブル・マウンテンに向かって自分の足で一歩一歩近づいていく高揚感。
ヘリコプターを使ったら、その楽しみは皆無となります(これはヒマラヤ、アンナプルナABC・トレッキングでも同様に感じました)。
だから私たちのセレクトは体力勝負の自力でチャレンジ・トレッキング。
(写真:ロライマ山頂にてカメラで遊ぶポーターのALEX)ロライマ山 山・渓谷
-
トレッキングに自力でチャレンジと書くといかにも女豪傑的な感じですが、実際のロライマ山トレッキングはお姫様(おばさま)登山。
予備の衣類などの重い荷物はポーターさんたちが運んでくれます。
自分で持つのは水筒、雨具、カメラくらいで私がトレッキング中に担いだのは25Lのバックパックのみ。
食事の準備から宿営・撤収までの全てをポーターさんたちが担ってくれるトレッキングは、感覚的には標高が高く空気の薄いネパールのABCトレックよりもかなり楽に感じました。
(写真:朝の調理風景。ポーターの女性からベネズエラ家庭料理の作り方を教えてもらう) -
さらに、ロライマ山の上では予想もしないものが私たちを待ち受けていました。
その1つがジャグジーで、毎日とはいかなかったですが、トレッキング後にはきれいな水の中で汗を流すことができ、想像以上に快適な山歩きでした。
宿泊だってロライマの山頂にはホテルと呼ばれる場所があり、私たちが山頂で3泊したのはカラカス・ホテル、クワティ・ホテル、プリンシパル・ホテル。
そのホテルたちがどんなところだったかは、次の旅行記以降で紹介したいと思います♪
(写真:ロライマ山頂のジャグジー)ロライマ山 山・渓谷
-
イチオシ
ロライマ山の頂上には、先カンブリア紀からの自然が今なお5億年前と同じ姿形で存在しています。
さすがに恐竜は生き残ってはいませんでしたが、太古の生き物たちがそのままの姿で台地の上に息づき、闊歩していました。
飛べないカエルに食虫植物、蘭の原種などギアナ高地の中でもロライマ山とお隣のクカナン山にしか生息しない貴重な動植物がたくさん。
それはもう、目がハート形になりそうなくらい素敵な世界でした。
(写真:ロライマ山にしか生息しない貴重な食虫植物Drosera roraimae)ロライマ山 山・渓谷
-
イチオシ
ロライマ山の山頂での滞在は3泊4日。
既成のツアーでは長くても山頂2泊3日なので、私たちの3泊4日というのは普通の団体ツアーでは組まれない長めの滞在です。
今回のトレッキングでロライマでの頂上滞在を3泊4日とした理由。
これは手配会社から「せっかく時間があるならば軍艦型をしたロライマ山の端から端までを歩き、絶景といわれるThe Prowへのトレッキングをしてみないか」という提案があったから。
そして私たちはその提案に乗り、ブラジル側のロライマ山の端っこであるTheProwまでのロング・トレックに挑戦してきました。
ブラジル側の展望ポイントのTheProwは多分ですが、日本語のブログではほとんどその記事はないと思うので、なかなかレアな旅行記になるような気がします。
(写真:ロライマ山頂The Prowにて。テプイの端に腰を下ろし、遥か崖下にあるブラジル・ジャングルを眺める)ロライマ山 山・渓谷
-
ロライマ山トレックの必要日数は、ベースであるプエルトオルダスからならば最低でも6泊7日(山頂1泊の場合)で、私たちは8泊9日となりました。
基本的にトレッキングに入ってしまったら下界とは切り離され、携帯電話などの通信端末は役立たずとなります。
故に、ガイドさんは緊急連絡用に衛星電話を持ち、1日に1回は旅行会社本部と連絡を取り、いざという時も安心の筈でしたが、今回の旅ではトラブル発生!
歩き始めて3日目の夜に衛星電話が通じなくなり、その後は一切衛星電話が使えない状態に…。
衛星電話が使えないという事態はガイドさんも初めてのことで、下界で何が起きているのかが分からず、政情が不安定な状況下だっただけに、ガイドさんも私たちもかなり不安な気持ちでいっぱいでした。
(写真:ロライマ山の山頂にて) -
ベネズエラでの二つ目の目的はエンジェルフォール。
ロライマ山でのハードな運動を終えた後はリラクゼーションの旅で、世界一の落差を誇るエンジェルフォールへ。
プエルトオンダス空港からエンジェルフォールのあるアウヤン・テプイ(AUYAN-TEPUI)まではセスナ機で移動で、そのセスナが、まさかの貸し切り状態でびっくり!
そんなこんなで、あっという間の16日間であったベネズエラ旅の旅行記が始まります。
(写真:セスナから眺めるエンジェルフォール) -
【ロライマ山トレッキング旅行記‐1】
今から2年ほど前までは、ベネズエラへのアクセスには様々なルートがあった。
カリブ海に位置するベネズエラはアメリカからも近く、日本からならばアメリカン航空を使うのが一番簡単で、カラカスまで一度の乗り換えで空港宿泊もなく待ち時間も短くアクセスでき、ベネズエラは中南米の中では比較的移動時間が少ない旅先だった。
しかし、2019年初旬のベネズエラはそんなに簡単にはアクセスできない国へと変わっていた。
まず、アクセスするための航空機だがアメリカからの便はあるものの、アメリカ資本の航空会社はアメリカ政府とは仲の悪いベネズエラへの乗り入れを続々と中止し、デイリーで航空機が運航するのは、マイアミから出発するベネズエラ資本のAVIOR航空だけで、そのほかの航空会社だと、大廻りルートとなり費用と移動時間が非常に長くなる。
しかし、AVIOR航空利用であったとしても、行きも帰りもマイアミでの一泊が必要で、決して所要時間が短いわけではない。
また、AVIOR航空そのものが経営が安定している航空会社ではないのでいつ破綻してもおかしくはないし、そのうえ航空券はネット販売のみで、AVIOR航空公式ページはスペイン語での案内しかなく、一般の旅行者が航空券を購入するのも若干ハードルが高い。マイアミ国際空港 (MIA) 空港
-
そのような状況下で、マイアミ発のAVIOR航空しか選択肢のなかった私たちはアメリカ-ベネズエラ往復航空券を12月中旬に公式ホームページから購入した。
ネットには様々な航空券販売会社があり、そのような会社を使えば英語での購入ができるが、AVIORは時間変更も多いのでダイレクトに航空会社からメール連絡が入る公式HPからの直接購入のほうが安心かもしれない。
航空券はMIA-BLA往復973USドル/2人だがこれは自分で購入した場合の金額で、今回の旅を依頼した旅行会社(Andina Travel)に購入を依頼した場合には手数料等を含めて2人分で倍額の20万円かかるそうだ。
ちなみに購入前と購入後に航空券について質問があったので、AVIOR航空公式ホームページの問い合わせ先メールアドレスに英語とスペイン語の両方で質問を送ったが、レスポンスは一切なく、次にフェースブックのメッセージに同様に質問を入れたが、こちらも梨の礫。
AVIOR航空はこちらからの働きかけには一切答える気のない会社らしいので、この航空会社に多くを期待してはいけない。
これから自力購入をしようという方のために航空券予約時の情報を残しておく。
購入画面まで進むと写真のような画面になり、座席クラスには似たような料金の区分がいくつか表示されるが、基本は一番安いところを選んでOK。
Premium(ビジネス)以外は、どのクラスでも手荷物の個数等の購入条件にほとんど差がない。
様々な理由で航空機が飛ばなくなった場合には、どのクラスの航空券でも紙切れになってしまうので一番安いクラスを選択すれば、被害は少なくて済む。
(写真:航空券購入画面のクラス分け) -
3/2土曜日に日本を立った私達はマイアミに同日に到着し、宿をマイアミ国際空港近くのホテル;Red Roof Inn Plus Miami Airportにとり、翌朝の5時にホテルの送迎バス(無料)でマイアミ空港の国際ターミナルへと移動した。
ホテルへの滞在は22:30~朝4:30までと極短だが、今回の旅の行程を考えると南米入りする前の十分な睡眠は必須なので、この日は空港のロビーでの夜明かしは考えてはいなかった。
マイアミの空港近くのホテルの宿泊代金は概して安くはなく、☆☆クラスでも1泊150USドルと旅人泣かせの価格帯だ。
Red Roof Inn Plus Miami Airportは空港からタクシー10分(13USドル:ゾーン料金)で、宿泊料金に朝食が含まれるが、私達の様に早朝出発の旅人には簡単なスナックボックスが準備されていた。
(このスナックボックスは無いよりはマシ程度で、その中身はヌガーチョコレートの詰め合わせでいかにもアメリカ的。ヘルシーな果物は入っていない残念なタイプだ)レッド ルーフ イン プラス + マイアミ エアポート ホテル
-
マイアミ空港のAVIOR航空の出発ロビーは離れ小島のようになっていて、マイアミ空港のメイン・ターミナルからは完全に切り離されている。
そのせいかもしれないが、出発ゲートの前の空間の雰囲気はもうアメリカではなく、カリブ。
出発案内のアナウンスもスペイン語のみで英語での案内は一切なかった。マイアミ国際空港 (MIA) 空港
-
マイアミを8時に飛び立った飛行機は定刻の12:30にベネズエラのバルセロナ空港へと到着。
ベネズエラといったらカラカスでしょ!というのは、現在は危険な考え。
2019年の3月時点でベネズエラの首都カラカス、特にカラカスの中でも空港があるエリアは非常に危険な地帯で、旅行者が現在のベネズエラ旅で避けるべき場所のNo.1がカラカス。
例えカラカスで乗り継ぎの飛行機に乗るだけだとしても、カラカスの空港へ降り立つことすら推奨されていない。
少なくとも、私たちが旅をした時点で安全に旅行者が滞在できる国際空港はBarcelona(バルセロナ)空港のみだということだった。
マイアミ‐バルセロナ間の飛行時間は3時間とそんなに長くはないのだが、ベネズエラへの入国、そして、荷物のセキュリティチェックが異様に厳しかった。 -
現在のベネズエラでは入国者にも出国者にもその監視の目が厳しく注がれる。
特に入国の場合、ベネズエラ政府の意図にそぐわない物資をもっているとか、反体制運動にかかわりがある人物などはチェックされる。
入国審査の申請用紙には、預け入れ手荷物、そして機内持ち込み荷物の持ち物を全て記入し(上着〇枚、文房具〇点、食品〇点、靴〇足、お金〇ドル分など)、全ての乗客がカバンを開けられ、申告書類との相違がないかチェックされる。
私たちはいかにも観光客風だったので、機内持ち込み荷物を開けられてもさらっと表面を見られる程度だったが、目をつけられた人は全ての持ち物をカバンから出されて、小袋の中身も確認されていた。
だから、飛行機が到着してから空港の出口を出るまでの所要時間は長く、2時間。
14時半にようやく今回のベネズエラ旅の案内人(ガイド)であるFelixさんと空港出口で合流できた。バルセロナ空港(ベネズエラ) (BLA) 空港
-
今回のベネズエラ旅は様々な不安要素があったので、個人旅は端からあきらめて現地の事情に精通している旅行会社に手配を依頼するつもりでいた。
そして、依頼する手配旅行会社選びも念には念を入れて。
1年以上をかけて(実際は3年ほど前から旅行会社のチェックはしていた)ベネズエラ旅の実績のある手配会社を片っ端から探したのだが、実際に最近にツアーが催行されているところは少なかった。
秘境系大手の西遊でさえ団体ツアーは企画してはいるものの、個人旅手配は責任が持てないからと断られた。
それでも小さな旅行会社のいくつかはかすかな脈ありで、その何社かにメールを送ってみた。
日本人が日本で手配会社を運営しているところ、日本人がベネズエラで手配会社を経営しているところと連絡を取ったのだが、金額的に見ればお安く旅をできるのは在ベネズエラの旅行会社。
手配会社が在日本か在ベネズエラかで、一人当たり500-800ドル、手配料金が高くなる。
通常のトレッキング旅ならば二人で15万円以上も変わってくるならば安いほうの在ベネズエラの旅行会社にお願いしようか…という発想になりがちだが、今回のベネズエラ旅は政情が不安定で日本の外務省の危険情報ではレベル3(渡航中止勧告)の出ているエリアも含まれていた。
レベル3(渡航中止勧告)と言ってもその指定エリア面積は広大で、ベネズエラの現状的にはオレンジ色の色づけされた地域すべてがレベル3の危険状態ではない。
実際に私たちが訪れる地域はテロの危険もなく、ベネズエラの中では安全と言われているエリアで、ベースとするホテルのある都市では市民生活も学校も通常と変わらず、そこからトレッキングやセスナ観光に出かける分にはなんの問題もない場所と言われているが、政情が不安定な国ではいつ何が起こるかわからない。
だから、現地で有事の際には、日本でのアンカーとなる人(旅行代理店)が欲しいということで、以前にもロライマ・トレッキングをアレンジした経験もあり、ご自身も豊富なトレッキング経験を持つというAndina Travelの松井氏に手配を依頼した。
(ベネズエラでの現地手配はAkanan Travel & Adventureで、Akananのベテランのトレッキング・ガイドさんが今回の現地アテンドとしてついてくれた) -
アメリカの報道によるとベネズエラでは超ハイパーインフレが起き、モノの価格が毎日毎日どんどん上がっていき、国内の停電時には食料や水を求める人で暴動が起き、商店街が打ち恐しにあっている…。
そして、世界中の報道機関はそのアメリカの報道を各国語に訳して自国でのニュースとして流している。
でもね、私たちが旅をして感じたこと。
アメリカの報道は間違ってはいないが、アメリカ政府の意向をかなり意識した報道に傾いているのではないかな。(アメリカ政府とベネズエラ政府は仲が悪いのは周知の事実だし)
確かにベネズエラの首都のカラカスで暴動が起きているのは事実。
でも、それは貧民街の一部分でのできごとで、一般市民はこうなることは予測できていたので、ある程度の備えをしていてなんとかやっているそうだ。
ガイドのFelixがカラカス在住で、旅を終えた現在も連絡を取り合っているが、アメリカの報道はひどすぎる…といつも憤慨している。
写真は帰路に米国の空港で入手した広域停電によりカラカスでは水道水の供給が滞り、人々が水場に殺到しているというアメリカの新聞。
ガイドさんによると、コレは一部の地域でのみの話で、カラカスでの市民生活は電気が無いのは不便だが、水は何処の家でも買い置きがあるのでしばらくは大丈夫とのことだった。
因みに日本のニュースでは、この新聞記事をそっくりそのまま日本語に変換したものが報道されていた。 -
私たちが3泊した地方都市のプエルトオルダス(Puerto Ordaz)では、スーパーは営業こそしていないが、Black Marcket;闇市では生活必需品を買うことができ、朝になれば市民は乗り合いバスで出勤し、子供たちはスクールバスで学校に向かい、日中の公園では子供を連れたお母さんや年配の方たちがくつろぐ寛ぐ風景が広がっていた
道沿いには朝市が立ち、近所のお母さんたちが道行く通勤の人たちにコーヒーや朝食を販売してこずかい稼ぎをする光景もあった。
たぶん、それが彼ら今までの日常であり、これからの日常でもあるのだろう。
物価の上昇が起き、ベネズエラの通貨であるボリバルの価値が暴落しているのは事実だが、アメリカのCNNのように果物のリンゴを引き合いにして、ハイパーインフレと報道をするのは、偏った報道だと思う。
だって、リンゴはベネズエラでは高級輸入果物。
高くて当たり前だ。
政治的な意図があるのか、それとも報道番組としてセンセーショナルに見せたいがための演出なのか…。
天下のCNNの報道でも全てが真実とは限らない。
色々な圧力下でのバイアスがかかっている。 -
バルセロナの空港からベネズエラ初日の宿泊地であるプエルトオルダスへは車で4時間。
この4時間を利用してベネズエラ初心者の私たちからガイドのFelixに質問タイム。
日本ではベネズエラの現状について正確な情報の入手は難しい。
だから、現在のベネズエラの実情について知りたいことをFelixに次から次へと質問した。
そこで、得られた情報が先ほど書いたような内容だ。
プエルトオルダスまでの幹線道路の道沿いには小さな村があり、その村でとれた野菜や自家製のお菓子、チーズなどを販売していた。
アメリカの報道ではベネズエラでは物資が不足し、食料すら手に入らない状況にあるとあったが、車窓風景を見る限りは、ある所にはモノはあるのだろう。
参考までに2019年3月初旬の街頭販売の卵は1ダース:8500ボリバル(ベネズエラ通貨)。
ドルに換算すると2.6USドルなので、決して安くはない。
3000%のハイパーインフレ、これが私たちが旅をした時点のベネズエラの経済状態だった。 -
プエルトオルダスの町に到着したのは17時頃。
町の中はいたって、南米にある他の国と同じ雰囲気。
ただ違うのは、街路にある商店の商品棚に商品が一つも並んでいないこと。
3000%のハイパーインフレ下では、まじめの商売をやったのでは商店主の首を絞めてしまう。
商品は倉庫にしまい込み、毎日の時価で販売する。
それが今のベネズエラの商売のやり方で、全ての商品がそんな感じで流通している。
町の中には日本の車やアメリカの車ディーラーのショールームも山ほどあったが、その建屋の中は立ち並ぶ商店と同じく、がらんどう。
3面がガラスで囲まれた無機質の箱だけが残っていた。 -
そんな中で唯一、ショールームの中に車が展示してあったのは、三菱自動車。
強盗の心配をしなくても大丈夫なのかな?
余計なお世話かもしれないが心配になってしまった。 -
ベネズエラでの1泊目となるホテルはプエルトオルダスにあるホテル・ワイパ(写真:Hotel Waipa).
クラスで言えば3☆から4☆で、中庭を囲む3階建ての建物だ。
3月はベネズエラの観光のオフシーズンなのでホテル内に宿泊しているのは、ベネズエラ国民で、休暇で旅をしている方たちがほとんどだった。 -
ホテルの中庭にはプールがあり、夕方はプールで水遊びをする家族連れの姿もあった。
部屋も広く清潔で、電源コンセントも数多くあり、電気が来ている時にはカメラやポータブル・バッテリーの充電に困ることもなかった。
ただ、唯一ベネズエラの物不足を実感したのは、トイレットペーパー。
ある程度の☆数のあるホテルならば、部屋のトイレのペーパーは1ロールが嵌められているのが普通だが、ホテル・ワイパではホルダーにペーパーの姿はなく、折りたたんだ数組のトイレットペーパーがビニル袋に小分けされて、洗面所に置いてあった。
幸い、私たちはトレッキング用に日本からペーパーを1ロールまるまる持参していたので問題はなかったが、人によってはホテルが準備してくれた量では足りないかもしれない。 -
夕食はホテル2階のレストランで。
メインの種類は二種類のみで、肉か魚のみ。
手に入った物で勝負の日々だから、メニューなんて存在しない。
シェフがその日に仕入れることのできた食材が夕食のメニューとなる。 -
私は魚を選び、ナマズのソテーをお願いした。
食材の素材は限られているが、ソテーだったりボイルドだったり、好みに合わせて調理してくれる。
ホテルでの夕食は、生パパイアジュース込みで10USドル程度だった。
今回のようなスルーガイドの旅で、現地通貨の価値が日々変動する旅の場合、現地通貨への両替はせずに、現地通貨が必要な時にはガイドさんに建て替えてもらい、あとからUSドルで清算するほうがベターだ。
そして、夕食後に明日からのトレッキングに備え、さぁシャワーと思ったらなんとボイラーの調子が悪くて、お湯がでないという事態に。
幸い、夜になっても外気温は30℃を超えていたので、シャワーが水でもそれほど寒くはなかった。 -
翌朝の起床は5:30。
トレッキングに備えて、トレッキングに不要な荷物はスーツケースに入れてプエルトオルダスに預けていく。
そのために朝一番にしなければならないのは、荷物のパッキング作業。
荷物の預け先はホテルではなく、ベネズエラでの現地手配会社であるAkananTravel & Adventureのプエルトオルダス事務所のスタッフのお宅。
ガイドによると言葉を濁してはいたが、ホテルに預けるのはあまり得策ではない…とのこと。 -
そして、この朝は想定外の事態も起きた。
ロライマ山の麓エリアにはプリプリという厄介な虫がいて、虫よけスプレー持参が必要なのだが、日本の虫よけ剤では薬効が弱すぎてプリプリに対しては役に立たない。
だから、日本での手配会社Andina Travelにベネズエラ入りしてから現地仕様の虫よけスプレーを購入できるかどうか確認をお願いし可能と返答をもらい、現地手配のAkananにも現地での購入希望の旨の情報を流しておいてもらった筈なのだが、実際にベネズエラに来てみたら、虫よけスプレーは闇市でも手に入らないことが判明。
虫よけスプレーを買いに行ってくれたAkananのスタッフの方が入手できずにごめんねと言いながらご自宅で使っている子供用の虫よけ剤を貸して下さった。
ベネズエラの情勢は日々変わるので、日本を離れる直前にもう一度手配会社に確認をしなかった私たちも悪かったのだが、日本の手配会社もリクエストを受けたのだから、最終日程表の作成の段階で現地とその辺の確認をしてもらいたかった…と思う。
(写真:プリプリに刺されて6日目の腕で、腫れは引いているがかゆみが残っている状態。プリプリは目にも止まらないほどの小さい虫だが、刺された日の夜から数日間は痒さで夜中に目が覚めるほどで結構つらい。プリプリを侮ってはいけない) -
翌朝のホテルでの朝食は7時から。
プエルトオルダスに置いていく荷物、トレッキングにもっていく荷物をまとめ終わってから朝食タイム。
この日の朝は、アレパがメインの朝食。
アレパはベネズエラの家庭の味で、トウモロコシの粉で作ったピタパンのような感じ。
地域や家庭によって、その食感や作り方が違うそうだ。 -
8時前には車への荷物の積み込みを開始。
プエルトオルダスを離れると大きな町はなくなるので、この町でトレッキングに必要な全ての食材を車へと詰め込む。
食材を買い出しに行ってくれたのは、Akananのローカルスタッフの方。
昨日、車窓から街に立ち並ぶ商店の商品棚が空っぽだったのを見ていたので「どこで買ったの?」と聞いたら、Secreto(秘密よ)の答え。
車に乗り込んでからガイドのFelixに聞いたところ、やはりプエルトオルダス市内にも食品専門の闇市があり、そこでは食材が豊富に手に入るとのことだった。 -
この日の目的地はトレッキングのスタート地点であるパライテプイ(Paraitepui)村。
車が走るのはひたすら1本道だが、運転手さんの好みでわざと裏道を通る場合もある。
メインの道路は舗装道路だがメンテナンスが行われている様子はなく、ところどころ穴ぼこだらけ。
どうやらこの日の運転手さんはデコボコ道は好みではないらしく、遠回りも多かった。
写真の村も回り道をして立ち寄った村。
ちょうどこの日、村ではお祭りが開催されていて、村人たちが仮装をして、村の中を練り歩いていた。 -
体を黒く塗ったこの男性が扮しているのはDiablo;悪魔。
悪魔崇拝…というわけではなく、悪魔がこの村にいるぞ~と悪魔姿を仮装でアピールすることで、本物の悪魔・悪霊を村から遠ざけるというお祭りだということだ。 -
イチオシ
村のおばちゃんも黒いマスクをつけ、小悪魔風の女悪魔。
車の窓を開けて写真を撮らせてとお願いしたら、腰をくねらせてセクシーダンスを披露してくれた。 -
こちらは、小学生の子供悪魔。
顔にはねた青いペイントは意味があるのかな? -
運転手さんは、悪魔祭り村の片隅の売店で給油の時間。
ベネズエラにもガソリンスタンドはあるが、いつ行っても長蛇の列ができていて給油だけで1時間待ちといつのが、いつものこと。
だから、この日のようにお客さんを送迎するときの途中給油は、街中の大手のスタンドではなく、小さな村の販売店を利用する方が早いのだって。
でも、露店のガソリン屋さんはガソリンの管理が雑なことが多いので、馴染みの村スタンドを作っておくのが重要というのが運転手さんの話。
馴染みになったら、変な品質のガソリンは売りにくいものね。 -
ガソリンスタンドの片隅では、村の自家製チーズも販売していて、1個のサイズが直径20cmくらいと結構大きい。
価格は露店によってさまざまだが、あのサイズだったら2USドル程度かなと、ガイドさん談。
あんなに大きなチーズが2ドルならば安い!と思うかもしれないが、現在のベネズエラの経済状態では2ドル=3週間分のお給料に値する大金だ。
社会主義国家であるベネズエラではどんな職業についてもお給料は月給3USドル。
お医者さんも先生もスーパーの店員さんもバスの運転手さんも、どんな仕事をしている人でも国が定めた仕事についている場合は、月給は月に3ドルしかもらえない。
年金だって月に3ドルだけ。
この月3ドルで人々がまともな生活できるはずはなく、ほとんどの大人は何かしらの副業をしていて、国から支給される3ドル以外にも現金収入の手段を持っているということだ。
実はこの日の専用車のドライバーであるReiさんも本職は弁護士で、タクシードライバーは副業なのだが、今は本業のほうが開店休業で副業がメインの収入となっているとのこと。
車を持っている人の場合、タクシードライバーはかなり利率の良い副業となる。
特に今回のような旅行会社が依頼する送迎者を運転する場合は旅行会社からもらえるお金以外に乗客である私たちからのチップ(20ドル/1日)が得られるので、そのうま味は大きい。
参考までに、ベネズエラの公立病院で処方される高血圧の薬代(1か月)は約8USドルで、国民に支給する3ドルでは、高血圧の薬は買うことはできない。 -
車が走り出して3時間ほどで、1回目のトイレ休憩。
休憩ポイントには有料のトイレがあり、管理人が利用代金を徴収していた。
利用料は200ボリバルで、0.1USドル程度。
こちらは妥当な金額だね。 -
トイレは便座こそないものの、そこそこきれいに清掃されていて、扉も閉まる。
ここ以外で、雑貨屋さんのトイレをお借りしたときは、便器が半分かけた上に扉もないトイレだったので、0.1ドルでこのトイレを利用できるのはありがたい。
ただ、この有料トイレも水は流れずに、バケツに入った水で便器の中を洗い流すスタイルだった。 -
ガイアナ国境も近いこの村では、村の郊外に牧場があり、馬も移動手段としては現役だ。
-
13時過ぎに遅めのランチタイムで、幹線道路沿いのレストランへと入る。
レストランの入り口付近は入る前からおいしそうな匂いが漂っていて、店の脇にあるグリルがその匂いの源。 -
グリルの中にはチキンやらいろいろな肉が素敵な焼き色を付けて、脂を垂らしながら焼きあがっていた。
私の腹の虫は、これらのお肉を見て、ぐ・ぐ・ぐ~と自己主張を開始。 -
このレストランでは基本は肉がメイン。
鶏・豚・牛から選べるとのことで、私が選んだのは鶏肉のスープと焼き豚。
どちらもほっぺたが落ちそうなくらいうまかった。
(肉や野菜などは自給自足生活が当たり前の農村部の方が豊富にある…と、ガイドのFelix談) -
食事が終わった後は不覚にも車の中で寝落ちしてしまったのだが、ふと目覚めると、車窓の景色が今まで見てきた村や町とは雰囲気が異なることに気が付いた。
-
村の何が違うかって、それは活気。
みんなが元気で、生き生きしている。 -
そして、何より驚いたのは、商店の商品棚。
車が通り過ぎるときに見えただけなのだが、スーパーのような商店の店内の商品棚には品物がびっしりと詰まっていた。
ベネズエラでここ以前に通りかかった町では商店があってもその商品棚は空っぽで、店番の人も店表にはいないところばかりだったのに、この町ときたら、道端の露店もスーパーも商品があふれ、まるでベネズエラ以外の他の国に迷い込んだみたいだった。 -
ハイパーインフレ中のベネズエラではなかなか手に入りにくいとされているコカ・コーラだって、店内の壁にびっしりと並べられていた。
この村では、何が起きているのか?
車の中から狂ったように写真を撮り始めた私の様子に気が付いたガイドのFelixが「この村の様子が他とは異なるのに気が付いたようだね。その理由がわかるかい?」と聞いてきた。
Felixが教えてくれた、この村の実情。
それは私の想像の遥か上をいくものだった。 -
この写真「Se Compra ORO(Gold買います)」と書かれた窓がある建物、それが活気あるこの村の全てを表しているそうだ。
どういうことかというと、Las Craritasと呼ばれるこの町(村)はベネズエラ国内にありながらも、警察も司法もベネズエラの国家ルール、そのなにもかもが通用しない街で、町を仕切っているのはチャイニーズマフィア。 -
中華マフィアには巨大なネットワークをがあり、国境警備隊、検問警備隊のひとりひとりとも仲が良く(オトナな意味で)、ベネズエラの他の土地からLas Craritasへトラックで商品を運んでくるのに、なんの不自由もしていない。
そして、この土地で必要なのはGold(金)とGun(銃)。
ベネズエラの法律なんてこの村では一切通用しない。
生き延びたければ、無法地帯の村;Craritasでは、何があっても窓を開けたり、車から降りたりしない事だ。
車に乗っている限りは大丈夫だから…
そうFelixは言っていた。 -
無法地帯の村を過ぎると、車はどんどん高度を上げて熱帯雨林・熱帯雲霧林を抜けて、サバンナ地帯へと入り、17時過ぎにユルアニ(Sanfrancisco de Yuruani)村に到着した。
朝8時半にプエルトオルダスの街を出発して8時間半のドライブだが本日の目的地はここではなく、まだ先。
ここから先の道はデコボコのオフロード山道となるために、車をセダンから四駆に乗り換えて先へと進む。 -
ユルアニ村からは車の運転手さんが交代し、パライテプイ村まではパライテプイ村の村長であり、先住民族であるペモン族の族長さんでもある方だ。
外見から人を判断するのはあまり的確な方法ではないが、この彼は明らかにネイティブ・インディアンではない顔立ちで、いわゆる白人といわれる民族に属する方で、ペモン族の族長の娘と恋人関係となることで、族長デビューをしたのだろう。 -
最終目的地のパライテプイ村に到着したのは、日が落ちてからの18時過ぎ。
荷物を下ろして、宿としてあてがわれた部屋へと向かう。 -
パライテプイ村にあるトレッキング者用の施設(簡易宿泊施設)の部屋はコンクリート造りで、部屋の中にコンセントの差込口があるのだが電気は来ていない。
というか、この村そのものに送電線を伝った電気(ガスも水道も)は送られてはいない。
だから、室内の明かりはヘッドランプと日中に太陽光充電をしたランプを併用した。
この晩は、明日からのトレッキング時にポーターさんに預ける荷物と自分が担ぐ荷物、そしてこの村へと置いていきトレッキング明けに用いる荷物の仕分けを行わなければならないので、荷物のパッキングに大忙しだった。
部屋のベッドには蚊帳があり、夜中にこの蚊帳が大活躍。
何に蚊帳が活躍したしたか、知りたい?
もちろん蚊帳はもともとの使用目的である蚊がベッド内へと侵入することを防いでくれたが、この部屋にはもっと厄介なのが住みついていて、そいつらが夜になるとガサゴソ音を立てていた。
気にしなければいいのだが、ついついヘッドランプでその方向を照らしてしまい、Gと呼ばれる黒光りするヤツを発見してしまった。
昆虫の中でもGはかなり嫌いで、そんなのが数匹もいる部屋の中で落ち着いて眠るなんて芸当は私には無理。
でも、蚊帳のおかげで自分の周りだけはゴキブリを寄せ付けないスペースを確保できた。 -
パッキングに時間がかかったこともあり、夕食にありついたのは20時半ころ。
メニューは冷凍のパテを焼いたものだったのだが、そのソース;クマチがかなり面白かった。
クマチ・ソースはパライテプイ村の原住民であるペモン族の伝統的調味料で、ギ酸と唐辛子から作られていて、ピリッとするスパイシーさが癖になる旨さ。
ソースがギ酸から作られているということが意味するのは、ソースの原料は蟻。
クマチ・ソースは、このエリアに生息する1種類の蟻を使い発酵させて作るいるそうで、各家庭ごとにその味付けが異なるそうだ。 -
イチオシ
長かった移動の1日も夕食を食べたら、あとは寝るだけ。
部屋に水の出るシャワールーム(ホースが天井から伸びているだけ)はあったが、あまりの室内の清潔感のなさに、この日はとても使う気にはなれなかった。
そして、翌日からはロライマ山トレッキングへの挑戦♪ -
アラフィフ、アラ還の二人はロライマ山への100kmのロング・トレックを歩ききることが出来たのか!?
続きの旅行記↓ トレッキング1日目編に続く♪
【2】カワイイが可愛くないプリプリ https://4travel.jp/travelogue/11491355
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
旅行記グループ
自信を持ってオススメ♪な絶景旅 海外編
-
前の旅行記
天の川煌めく 星降るサハラ♪Camel Walk into Midnight【アダルト娘と旅するモロッコ-8...
2018/12/27~
エルフード
-
次の旅行記
酸素50% 海抜5000mの絶景へ Let’s Try♪/ガンダ・ラ トレック2日目-祈りのタルチョたなびく...
2019/07/03~
レー
-
64歳の母との旅 空中都市マチュピチュ/歩いて・歩いて・歩き尽くす
2009/03/16~
マチュピチュ周辺
-
天空を駆けぬける鳥となれ!カナディアン・ロッキー最高峰ロブソン山(Mt. Robson)ヘリハイク/キャンプ...
2011/08/05~
ジャスパー
-
中2の娘と女子二人旅♪ノマドのテントに泊まり、化石の谷を彷徨い、紀元前の落書きを発見 【モロッコ5・6日目】
2012/12/28~
エルフード
-
Jordan【3】砂漠ツアーは命がけ☆ワディ・ラムで月面旅行/気分はアラビアのロレンス
2013/12/28~
ワディ・ラム
-
Jordan【5】闇夜に浮かぶ砂漠の薔薇 /ペトラ遺跡で遭難未遂…
2013/12/28~
ペトラ
-
密林ランチは白蟻亭で召し上がれ♪蛇を纏う花・畑を耕すアリ【2014夏 コスタリカ冒険譚 3/コルコバード編】
2014/08/07~
コルコバード国立公園周辺
-
トロルの舌で愛を叫ぶ☆ガイドブックにはない絶景 - Crazyな10時間トレッキング:Trolltunga【...
2017/07/01~
ハルダンゲルフィヨルド周辺
-
荒ぶる女神の抱擁-蛇の誘惑は甘い香り-【神々の峯へ-4 】ABC Trek Day-4 (マチャプチャレBC...
2018/01/02~
ヒマラヤ
-
74歳の初体験は、紅焔の淵で/「炎と闇の絶景が閉鎖」って本当?【地獄の門へ-2(Darvaza Gas Cr...
2018/04/29~
その他の都市
-
天の川煌めく 星降るサハラ♪Camel Walk into Midnight【アダルト娘と旅するモロッコ-8...
2018/12/27~
エルフード
-
アラフィフ&アラ還の挑戦☆ギアナ高地 Lost Worldへ/村を支配するのはGoldと銃【ロライマ山Tre...
2019/03/02~
ギアナ高地周辺
-
酸素50% 海抜5000mの絶景へ Let’s Try♪/ガンダ・ラ トレック2日目-祈りのタルチョたなびく...
2019/07/03~
レー
旅行記グループをもっと見る
この旅行記へのコメント (9)
-
- eightさん 2019/07/24 23:48:08
- はじめまして
- すごい旅をされてますね。
私も来年末に行ければと思っています。
とは言えトレッキングではなく、ヘリで一気に頂上に行くなんちゃっての旅をになりますが、ただ、なかなかの場所だと言うのがよく分かりました。ありがとうございます😊
- ウェンディさん からの返信 2019/07/25 07:28:10
- RE: はじめまして
- eightさん はじめまして。
来年末のベネズエラ旅、楽しみであり、色々と考える所があるのでは…と思います。
ベネズエラでガイドをしてくれたFekixとは今でも連絡を取り合っていますが、現実のベネズエラでの生活はアメリカ経由のニュースで報道されている内容と一致する部分、異なる部分、それぞれがあるそうです。
ヘリでロライマへ上がるという事はツアーでしょうか。
現地の事情は刻々と変化し、旅の間も変わると思います。
米国の軍事介入は(現在は米国の目が別方向に向いているので)暫くはなさそうですが、注視する必要がある部分かもしれません。
情報が信頼のできる旅行会社さんを使って下さいね。
ロライマ山やエンジェルフォールなどベネズエラにはまだまだ手つかずの自然が多く残っています。
ワクワクする素敵な旅になりますように!
Buen Viaje!
ウェンディ
- eightさん からの返信 2019/07/25 11:27:58
- RE: RE: はじめまして
- ウェンディさん
ありがとうございます。
今回エンジェルフォールにも立ち寄る予定を計画していましたがどうせならロライマにも行きたく、そうなると時期的にはロライマはオフシーズンとのことで断念しました。
これから情報を集めながら検討していきたいと思います。
ヘリは現地での手配を考えています。
> eightさん はじめまして。
>
> 来年末のベネズエラ旅、楽しみであり、色々と考える所があるのでは…と思います。
> ベネズエラでガイドをしてくれたFekixとは今でも連絡を取り合っていますが、現実のベネズエラでの生活はアメリカ経由のニュースで報道されている内容と一致する部分、異なる部分、それぞれがあるそうです。
>
> ヘリでロライマへ上がるという事はツアーでしょうか。
> 現地の事情は刻々と変化し、旅の間も変わると思います。
> 米国の軍事介入は(現在は米国の目が別方向に向いているので)暫くはなさそうですが、注視する必要がある部分かもしれません。
> 情報が信頼のできる旅行会社さんを使って下さいね。
>
> ロライマ山やエンジェルフォールなどベネズエラにはまだまだ手つかずの自然が多く残っています。
> ワクワクする素敵な旅になりますように!
>
> Buen Viaje!
>
> ウェンディ
>
-
- らびたんさん 2019/05/05 22:13:10
- ORO
- ウェンディさん、こんばんは(^^)
待ってました!
序章から飛ばしますねー。
なんというか、ウェンディさんは慎重で綿密な計画を練って、危ない国なんて絶対行かなさそうなんですけど、時に大胆でおもしろいです(*^▽^*)
マフィアの町では写真撮ってたりして車ごと襲われたりしないんでしょうか。
金(カネ)の力ってすごいんですね。
今後、この国がどうなって行くか見守りたいと思います。
ご無事で何よりでした。
ご主人も一緒に行くことができよかったですね!
長いお休みはなかなか取れるもんじゃありませんし、この期に思い切った行動に賭けられたこと素晴らしいと思います。
最後にツッコミですが、ご主人けっこう年上だったんですね(^o^)
らびたん
- ウェンディさん からの返信 2019/05/06 00:35:47
- RE: ORO
- らびたんさん こんばんは。
最後の突っ込みですが、相棒とは9歳違いの凸凹コンビです。
仕事の絡みで彼の方でも休めることになったのは私的にはラッキーでしたが、我が家的には微妙。
最悪の場合は親二人がこの世からいなくなってしまうかもしれない状況でしたからね。
出来るだけ、その状況を避けるべくお金で解決できる安全は買うようにしましたが、今回の旅は私達にしては珍しく高額の海外旅行傷害保険をかけての出立。
どちらにしても今回の時期しか私にはチャンスは無かったので、一か八かの旅でしたが、優秀な手配会社のお蔭で現地の細かな情報も逐一手に入り、旅を続けることができました。
旅の女神の微笑もあったのかもしれませんね。
パライテプイ村へと向かう途中で通り過ぎた中華系マフィアの村:Las Craritasですが、この村は政府からは独立している状況なので水道も来ていません(電気はあるようでした)し、ポリスもいません。
でも、車に乗っている限り旅行者は安全であるとガイドさんの話でした。
ベネズエラの自給自足の小さな村々は基本的に超インフレを起こしているベネズエラ通貨が無くとも生活していけるので、食料は比較的豊富に村内で流通していましたがLas Craritasは別格。
隣国のガイアナからの輸入品である薬品や生活必需品の化成品も露店に並んでいて、親分の力の影響力の強さを教えてくれました。
(政府とはDrug Moneyで繋がっている様です)
ベネズエラについては、5月に入ってからも色々と報道が続いています。
国民の生活が安定し、通貨暴落が落ち着くまっとうな方が大統領に就任してほしいと思いますが、なかなか道は真っ直ぐではなさそうです。
ウェンディ
-
- スイカさん 2019/05/05 12:35:07
- いやはや。。。
- こんにちは、ウエンディさん
旅行の準備編、知識のためにと読み始めたら。。
トレッキング始まる前から、こりゃ大変だ。
中国マフィアが取り仕切る街なんて、西部劇ままじゃないですか。
ジャンゴにやっつけてもらうしかない。
ゴキブリもきついですね。そんなこと言ってちゃジャングルに入れないか。。
とりあえず、超楽しみなのでコメントしたくてしちゃいましたが、以後アップされる旅行記、じっくり読ませていただきます。
スイカ
- ウェンディさん からの返信 2019/05/05 18:30:23
- RE: いやはや。。。
- スイカさん こんにちは
旅の序章から内容ずっしりの旅行記となりました。
政情不安定の国なので、現地で絶えず頭の片隅にあったのは、自分の命をどの様に守るかということ。
故に帰国してからも軽いPTSD状態で思い出すだけで息苦しくなるほど。
だからしばらく書けませんでしたが、ようやく心の整理も完了し、文章となりました。
ウェンディ
-
- 旅熊 Kokazさん 2019/05/05 06:31:32
- Wao!
- ん~、感動しました!
- ウェンディさん からの返信 2019/05/05 18:26:19
- RE: Wao!
- 今、世界中を騒がせているベネズエラ。
何もこんな時に…でしたが、アメリカ系の報道が全てではないことを実感。
でも、出来れば落ち着いている時期に再訪したい…
そう思います。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
この旅行で行ったホテル
この旅行で行ったスポット
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
ベネズエラで使うWi-Fiはレンタルしましたか?
フォートラベル GLOBAL WiFiなら
ベネズエラ最安
1,081円/日~
- 空港で受取・返却可能
- お得なポイントがたまる
旅行記グループ 自信を持ってオススメ♪な絶景旅 海外編
9
57