2019/03/03 - 2019/03/17
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ウェンディさん
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今、世界から注目されている国ベネズエラ。
2019年3月のベネズエラ旅は旅の準備と現地での安全確保を念入りに整え、バックアップも出来る範囲では確保して臨みましたが、それでも現地で常に頭の片隅にあったのは、いざという時の自分の動き方。
自分が今いる国は世界の常識が常識ではない国。有事の際には命を守るためにどうすべきなのかの状況判断を絶えず考えていました。
その影響なのか帰国から一ヶ月間は、あまりの現地状況の波乱万丈さや記憶の強烈さ故の軽いPTSD状態だったようで、楽しかった旅の思い出を頭の中で反芻すると心拍数が上がってしまい、その記憶を文章として綴ることすらできませんでした。
帰国してから一ヶ月半が経過し、ようやくベネズエラのことを家族と話題にしても息苦しく感じなくなり、その記憶を辿ることができるようになりました。
報道されているようにベネズエラは、本当にひどい状況なのか。
私たちはバイアスのかかったフィルタを通しての情報を信じきっているのではないか。
ニュースや新聞の報道、国を抜け出した人たちからの発言、様々な情報が出回っています。
その中には国家間の紛争のために誇張され操作された情報もあるようですが、どれもその場で起きている事実であり(真実ではないですが)、立場が変わればものごとの見方が変わるだけのこと…なのだと旅を通じて感じました。
旅行記-1では旅人の視点から眺めたベネズエラの今を綴ってきました。
そして、旅行記-2ではロライマ山トレッキングの本編(1日目)について、少し脇道に逸れながらも記憶の糸を手繰ってみたいと思います。
トレッキング1日目の旅行記の始まりは、パライテプイ村から。
電気のない村で見てしまったもの、
そして、キャンプ地に到着した私たちが受けた悪魔の洗礼…
ロライマ山トレッキングは、初日からいろんなことがありました。
☆★☆2019年3月-ギアナ高地トレッキング 旅程☆★☆
・3/2 NRT18:25-DFW-MIA21:38 マイアミ宿泊
・3/3 MIA- BLA(ベネズエラ)プエルトオルダス宿泊
・3/4 Paraitepuiへ移動(9時間)パライテプイ宿泊
☆3/5-3/11 ロライマ山 6泊7日 トレッキング☆
□3/5 Day1:パライテプイ村→クカナン・キャンプ
・3/6 Day2:クカナン・キャンプ→ロライマ・ベースキャンプ
・3/7 Day3:ロライマ・ベースキャンプ→カラカス・キャンプ
・3/8 Day4:カラカス・キャンプ→The Prow→クワティ・キャンプ
・3/9 Day5:クワティ・キャンプ→プリンシパル・キャンプ
・3/10 Day6:プリンシパル・キャンプ→クカナン・キャンプ
・3/11 Day7:クカナン・キャンプ→パライテプイ村
・3/12 Puerto Ordasへ移動(9時間) プエルトオルダス宿泊
・3/13エンジェルフォールへ カナイマ宿泊
・3/14 エンジェルフォール遊覧飛行 プエルトオルダス宿泊
・3/15 BLA18:00-MIA21:00
・3/16 MIA06:50-CHI-
・3/17 NRT15:30
☆★☆2019年3月-ギアナ高地トレッキング 旅行記☆★☆
【1】旅の序章 -アクセス・安全情報・トレッキング準備編
https://4travel.jp/travelogue/11487969
【2】ロライマ・トレッキング Day1 -プリプリ悪魔の洗礼
https://4travel.jp/travelogue/11491355
【3】ロライマ・トレッキング Day2&3 -魔境の台地へ
https://4travel.jp/travelogue/11524363
【4】ロライマ・トレッキング Day3(PM) -水溜まりの楽園
https://4travel.jp/travelogue/11525847
【5】ロライマ・トレッキング Day4 -世界の果てThe Prowへ
https://4travel.jp/travelogue/11536306
【6】ロライマ・トレッキング Day4&5 -サイバー攻撃で通信がダウン
https://4travel.jp/travelogue/11539851
【7】ロライマ・トレッキング Day5&6-不思議な絶景のロライマ山
https://4travel.jp/travelogue/11715107
【8】ロライマ・トレッキング Day6・7&帰路 -拷問坂を往く
https://4travel.jp/travelogue/11772791
【表紙写真:リオ・テクを渡るポーターのアレックス、背中の荷物は15kg!】
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 一人あたり費用
- 50万円 - 100万円
- 交通手段
- 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
イチオシ
3/5 ベネズエラ入りして二日目。
いよいよロライマ山のトレッキングが始まる日だ。
昨晩は夜半に雨が降っていたので朝の天気が心配だったのだが、朝5時半に外に出た時には太陽の姿が見え、パライテプイ村の宿泊施設が建つ丘からは、クカナン・テプイとロライマ・テプイ姿が見えた。
テプイとは、一般的にはテーブル・マウンテン(山の上が広い台地状態のテーブル型の山)と訳されることが多く、ロライマ・テプイとは、山頂がテーブル型のロライマ山と云う意味になる。 -
昨晩、私達がGの襲来に脅えながら一晩を過ごしたパライテプイ村の宿泊施設がこの写真の建物で、政府の援助(観光産業促進目的)で作られた建物だそうだ。
室内にはベッド2台、洗面所、シャワー、トイレがある。
シャワーは無いよりはマシ状態で、天井からホースの口が出ていて、そこからチョロチョロと水が出てくるタイプだ。
ベッドにはマットレスも毛布もあり、Gを除けば一晩を安全に過ごすには十分な設備だった。 -
朝7時過ぎ。
今回の私たちの旅に同行してくれるポーターたちが集まり始め、ガイドのFelixと荷物の仕分けを始めていた。
ポーターの数は全部で5人。
我らアラフィフ&アラ還の2人+ガイド1名に対し、5人のポーターという人数は多すぎる気もするが、7日間の食料+テントや寝袋を運び上げる為、どうしても人手が必要となる。
ロライマ山のトレッキングはパライテプイ村(海抜1700m)から山頂(2700m)までを歩く為、キャンプ装備は日本の真夏~晩秋のトレッキング用品が必要で、その重量はそんなに軽くは無い。
私達がポーターに依頼した個人的な荷物だけで約13kg(二人分合計)の重量があった。 -
参考までに今回のトレッキングに必要なモノを書き出してみる。
1-9までは自分が身に着けたモノ&担いだもので、10-16がポーターに預けた荷物で、それ以外に食料や調理用品など様々な必需品がある。
1.日焼け止め
2.虫よけ剤
3. 帽子
4. ヘッドランプ
5.トイレットペーパー
6. 雨具上下
7.トレッキングシューズ
8.水筒(1Lサイズ)
9. 川用の靴
10.暖かい晩秋季向けの登山衣類+下着
11.夏用の登山衣類+下着
12.水着+タオル
13.スニーカー(キャンプ地で使用)
14.各種薬(かゆみ止めや湿布剤等)&洗面用具類
15.寝袋(現地手配会社が準備)
16.テント(現地手配会社が準備) -
イチオシ
私達が一晩を過ごした宿泊施設のあるエリアにはペモン族の族長家族も住んでいて、族長の娘さん二人が旅人のお世話係。
ガス・水道・電気がないパライテプイ村では食事を作るのは薪から興した焚火で、水は近くの川からパイプで水を村の中まで通している。
二人の娘さんはお喋りをしながら朝食の準備をしていたので、私もおしゃべりに仲間入り。
でも、二人ともとてもシャイで写真を撮るとなると無口になってしまった。
事前に日本の旅行会社から貰っていた情報では、ペモン族はペモン語のみを話しスペイン語は理解しないとのことだったが、現在は族長の娘さんもペモン族のポーターたちもスペイン語をバリバリ話すので、簡単な会話ならばスペイン語でOKだ。 -
この日の朝食は、ベネズエラの母の味であるトウモロコシの粉から作るアレパで、チーズをアレパの上に乗せて食べた。
前日にプエルトオルダスのホテルでもアレパを食べたが、村のアレパの方が野性味が溢れる味で、凄く美味しいか?と聞かれたら…その答えは「微妙」だろう。 -
食事中に何処からか視線を感じて上を見上げると、頭上にオウムの姿を見つけた。
この辺りは熱帯雲霧林や熱帯雨林に近いので野生のオウムが多く、オウムは日本でいえば雀みたいな感じ。
オウムの狙いは、私達の食べかす。
アレパの粉は彼らにとっては美味しい食料となるようだ。 -
朝食後に時間があったので、少しだけ宿泊施設の周りを散歩した私は、あるものを見つけて驚いた。
ガイドは「この村に電気は無い」と言っていたのに、宿泊施設の裏にあったのはソーラーパネルとそこから伸びる電線と電柱。
ソーラーパネルがあるのに電気が無いってどういうこと??? -
下に続くストーリーは、この日にトレッキング道を歩きながらガイドのFelixから聞いた話で、先の写真のソーラーパネルとこの写真の村の道に続く電線と電柱の風景は、ヒトのエゴを象徴するモノだそうだ。
以下にFelixから聞いた話を残しておく。
それは何年か前、ベネズエラがまだ豊かだったころの話。
この村をロライマ登山のベースとするために、政府が旅人用の宿泊施設を村の中の一等地に建設し、ソーラー発電のパネルを設置し、更に四駆のジープを三台、村の人達にプレゼントしてくれたそうだ。
当時の村人は、それは喜んだ。
だって、村から丘の下の小さな村;ユルアニ村まではパライテプイ村から片道3時間以上かかり、ちょっとした買い物に行くのも1日仕事。
車があれば急病人が出た時にも使えるし、電気があれば村の生活も少しは楽になる。
しかし、発電された電気も3台のジープも村の人達のモノにはならなかった。
それは、村のある人物が、電気もジープも独り占めにしてしまったから。
発電された電気は彼と彼の家族の娯楽のために使われ、車も自分たちが乗り回し、挙句の果てにぶつけて壊し、3台あった四駆は今では最後の1台しか残っていない。
太陽光発電装置も耐久時間を超えて無理に使ったために、あっという間に動かなくなってしまった。
最後の一台の四駆車は、彼の収入源のために使われていて、観光客の輸送(丘下のユルアニ村とパライテプイ村の間の輸送)用となっている。
そんな我儘で自己中で独占欲の塊の彼は誰かって・・・?
パライテプイ村の原住民のペモン族はもともと物欲が少ない民族で、自分のモノは皆のモノと言う考え方をする民族。
だから、ペモン族の中にそれほど独占欲の強いヒトはいない。
我儘で自己中で独占欲の塊なのは、西洋文化圏から来た人だけ。
この村では旅人以外に西洋文化圏からきている人物は限られていて、その中でも権力がある者…ソレがその彼。
昨日の晩に私達をジープでこの村まで運んできてくれた彼(旅行記1で少し紹介したが…)。
この日の朝に朝食の準備をしてくれた二人の娘さんの父親。
あの白人男性がペモン族の族長という立場を悪用して、好き放題をしている…という話だった。 -
朝8時。
ポーターに荷物を託した私たちの出発の時間だ。 -
村の中央にあるトレッキングのゲートへと向かう。
ゲート前にはレンジャーの小屋があり、そこで入山料の支払いをせねばならないのだが、小屋には誰もいなかった。 -
此処は南米ベネズエラ。
時間なんてかなり適当で、8時OPENならば8時半までは許容範囲と考えなければならない。
だから、とりあえず荷物を置いてその辺をプラプラ。
レンジャー小屋の裏には、トレッキングする人用の立派な待合施設があった。 -
8時15分過ぎに受付のお姉さんが登場。
思ったよりも早かったかな。 -
まずはガイドのFelixが口頭でレンジャーのお姉さんにトレッキングプランやポーターの人数等を説明し、その後に入山料金を支払う。
ロライマ山の入山料金は10USドル/1人。
支払いはドル建てで、ピッタリのお金を持って行かないとダメ。
お釣りの準備は無い。
たとえ窓口にお釣りがあったとしても偽札の可能性がある…と、ガイド談。
ベネズエラでUSドルで支払いをする時には基本、ピッタリの札を準備する方が良いらしい。
お釣りが偽札なんて嫌だからね。 -
登山者はノートに名前、国籍、パスポート番号などを記入する。
ノートに記録された2019年に入ってからの登山者数は、2月末迄で100名と少し。
これは記録的に少ない人数だそうだ。
例年ロライマ山には年間3000名くらいは登るのに、このままでは今年は1000名にも満たないだろう。 -
登山者名簿に登録した後は、村の高台へと登り、これから歩くロライマ山の方向を眺める。
-
私達が高台へ登ったのは、ガイドのFelixが村で唯一の場所に立ち寄るため。
観光客が激減している昨今、最後にFelixがこの村へと来たのは2018年の12月初旬。
約3か月ぶりに村へときたFelixは、村でただ一人のドクターに12月以降の村の様子を聞きに来たのだ。 -
ドクターは私達に診療所の中を案内してくれながら、ガイドのFelixとお喋り。
どうやら政府からの医薬品の補給が途絶えているらしく、痛み止めすらなくなってしまったとのこと。 -
診療所内には簡単な外科手術ができる設備があり、小さな太陽光発電装置もあった。
診療所内のソーラー・システムはドクターの管理下にあるので壊れてもいなく、十分使えるとのことだが、それでも1日で使えるのは数時間だけ。
大切に使っているという話だった。 -
写真左の女性がドクターで、彼女はいわゆる研修医としてベネズエラ国家からこの村に派遣されている。
両親はコロンビア人で、以前は首都のカラカスに住んでいたが今は両親も兄弟もコロンビアに戻ってしまい、ベネズエラには身寄りが誰一人いない。
任期は2年間で、残りはあと1年。
この村の人は皆優しいけれど、やはり寂しいし、経済的には厳しいのよ。
そんな風にドクターは言っていた。
ドクターと云えども、社会主義国のベネズエラでは月給は3USドルだけ。
村の中では副業をしたくともその仕事すらなく、日々の食料をやりくりするだけでも大変だと思う。(村の人が食料を分けてくれるから、ドクターは食べ物の心配はあんまりしなくても大丈夫なんだよ…とFelixが後から教えてくれた) -
村が位置するのは海抜1200mの土地だが、ベネズエラがあるのは赤道の近くなので、標高1200mでもその気候は亜熱帯性気候。
だから村の中には熱帯性の植物の木々も多く、グアバの樹もあった。 -
着生植物である蘭の姿も。
蘭の根は鳥につつかれない様に村人によって木箱で保護してあった。 -
パライテプイ村があるのはグラン・サバナと呼ばれる広大なサバンナ地帯の中。
草は生えているが土地の栄養価が乏しく、生える草は馬や牛を育てられるような牧草にはなりえない。
だから、村の家畜は鶏だけ。
鶏は放し飼い状態で飼われていた。 -
8:50にドクターに別れを告げ、トレッキング開始。
最初の3時間はひたすら緩いアップダウンのある道で、小さな丘陵地帯をいくつも超えていく。 -
ロライマ山のトレッキング地図がコチラ。
トレッキンング全体での総距離は約100km。
トレッキング1日目であるこの日は、パライテプイ村からクカナン・キャンプまでの13kmを歩く。
この日は全行程を通して見ると150mの緩い下り坂となるので、13kmの歩きと言ってもそんなに辛くは無い。
この道が辛いのは帰路の最終日。
13kmをダラダラと登る道はかなり足に堪える。 -
村はずれの丘の上に来ると、遠くに昨晩宿泊した村の施設が見えた。
丘までの歩行時間は約1時間だ。 -
村はずれには川があり、その周りには小さな森が出来ていて、木々も沢山。
小さな花をつけた樹も多かった。 -
イチオシ
村の領域を外れると、そこからは木陰も無い1本道。
ひたすらロライマ山への一歩一歩、進む道だ。
気温は35℃程度と暑く、顔から汗が噴きだすが、その汗もあっという間に乾いた空気に持って行かれ、塩の結晶のみが顔に残る。
気温が高いので半袖T-シャツで歩きたいところだが、それは止めておいた方がいい。
赤道近くの陽射しは強く、火傷のような日焼けとなる。 -
トレッキング道はロライマ山に向かって真っすぐとあるのだが、私達はアチコチで立ち止まって自然観察。
ガイドのFelixがつついているのはアリ塚。
アリ塚はいわゆるシロアリの巣だが、この辺りのシロアリが家を作るのは木の中ではなく、土と砂を唾液で噛めたドームの中。
アリ塚の表面はガチガチに硬く、ちょっとつついたくらいでは壊れないが、それをFelixがトレッキング・ポールでつついてガツンと穴を開けた。
え~何するの!!!と驚いて見ていたら、穴の中からシロアリたちがゾロゾロと出てきて、修復作業の開始。
あっという間にFelixの開けた穴は塞がってしまった。
この辺りにはアリクイもいて、アリ塚を壊して食事をするそうだが、それは真夜中にしか見られない光景で、日中は無理とのこと。
アリクイに会ってみたかった私は、とても残念。 -
野に咲く花も色々あり、こちらの植物は葉の日焼けを防ぐために日中になると葉が縦に丸まってしまう特性を持ち、ペモン族の言葉で恥ずかしがり屋さんという綽名がある。
多分だが、日中は葉の裏にある気孔が乾燥で閉じてしまい、葉が後ろ側に反り返るのだと思う。 -
道の途中に小さな祠のようなモノがあり、その上には蜥蜴の姿。
実は何年か前にこの場所でポーターが雷に打たれ、命を失ったそうだ。
この祠は無くなったポーターの慰霊碑だ。
グサン・サバナの中には背の高い樹木は無く、雷鳴が聞こえる時に起立しているのは非常に危険な場所。
蜥蜴を見つけたガイドのFelixが、亡くなったポーターが会いに来てくれたのかも…と言っていた。 -
グラン・サバナでは落雷による草原火災も多く、トレッキング道の近くでも焼け焦げた野原を多く見かけた。
落雷で火事が起きると草原は焼け野原となるのだが、自然界が驚異的なのは、そんな落雷火災を利用して種の繁栄をもくろむ植物もいると言う点。
ぞれが、この小さなポンポンを草の先端に付けた植物で、綽名を爆弾草(現地語:Bombasettia Paradoxia)と言う。 -
一見、乾いた犬の糞にも見えるこの植物だが、糞の塊状の根っこの黑い部分に秘密が隠されている。
-
根っこの黒い部分を二つに割ってみると、外側は針状結晶の様にみっしりと植物繊維が密集しているのだが中心部が柔らかくてふかふか。
この植物は火事で焼けた野原で、まず最初に目覚める早起きさん。
火事が起きた時に、黒い根の部分の外側が火で焼かれても中心部まで火は通らずにそのままの形で焼き上がるそうだ。
そして火事が終息し、地面の熱が取れたころに外側の焦げた部分がポロリと剥がれ落ち、中心部の柔らかい揺り篭の中で守られていた細胞たちが再び活動を開始し、新しい芽を成長させる。
この日はロライマ山に向かって歩くだけの予定だったので、道中はたいして面白くないかな…と思っていたのだが、そんなことはなく、あちらこちらに自然の見所がタップリ。
日本で見ることの出来ない植物が沢山で、飽きることは無かった。 -
2時間半ほど歩いたところで、ポーターのアレックス(本名:アレクサンダー)が私達に追いついて合流した。
アレックスはランチの準備があるので、他のメンバーよりも急いで歩いてきてくれたそうだ。
今回のポーターの中で一番俊足なのが、このアレックス。
アレックスは、ベネズエラのTrail.Runの大会での優勝経験を持つアスリート。
ガイドのFelixもアレックスを信頼していて、まるで息子の様にアレックスに接していた。 -
歩き出して3時間40分後の12:30に昼食休憩の場所であるリオ・テク・キャンプ(以下テク C.)に到着した。
テク C.は敷地も広く、規模が大きいトレッキング・パーティが1日目の宿とすることが多いキャンプ地だが、テク C.には日陰が無くテントを立てても日中は暑くて休むこともできないのが難点な場所。
だから、私達はテク C.では昼食休憩だけで、もう少し先にあるキャンプ場で宿泊する。 -
ポーターのアレックスは重い荷物を担いで疲れているにも関わらず、すぐに昼食の準備に取り掛かってくれ、生野菜とハムのサンドイッチを準備してくれた。
ここまで12kmを必死で歩いてきた私はもう腹ペコ。
アレックスが準備してくれた野菜をペロリと平らげた。 -
昼食を終えたら、午後の歩きは残り1kmだけ。
距離的には全然長くは無いのだが、実はこの1kmがトレッキング1日目の難所で、渡渉;川渡りが2か所ある。 -
川辺に着いたらまずやるべきことは、靴を履きかえること。
トレッキングシューズを脱ぎ、水中用の靴に履きかえる。
水中靴で大事なのは底の素材で、ヌルヌル滑る岩でもホールドできるグリップがしっかりした靴であることだ。
脱いだトレッキングシューズは背中に担ぐバックパックに括り付けるのだが、此処でもポイントがあり、括り付ける場合は歩く時に靴が左右に揺れない様にしっかりと固定する事。
もしくはバックパックの中へ収納してしまう事。
背中で靴が揺れるとバランスを崩す原因となり、水中へと転んでしまう場合がある。 -
イチオシ
1本目の川渡りは、リオ・テク。
リオとはRio;即ちスペイン語で川を意味するので、リオ・テクとはリオ川のこと。
まずは、ポーターのアレックスが水底の状態を探るために偵察隊としてリオ川の中へ。
リオ川は水の流れも強くはなく、水深も膝下程度なので、渡るのにそれほど苦労はなかった。
水温は冷たくはなく、水遊びにちょうど良い位の温度だった。 -
リオ川を渡り終えたら靴を再度トレッキング用に履き替えて、丘を1つ分歩く。
丘の上にあるのは教会だが、現在は使われていないとのこと。
ベネズエラも他の中南米諸国同様にコロンブスの新大陸発見以降に、欧州各国(スペイン・ポルトガル)からの侵略者たちが攻め入り、原住民たちを征服・奴隷化し、プランテーションなどでの労働力として原住民たちを酷使した国。
1600年代に宣教師により持ち込まれたキリスト教は、その後もベネズエラに根づいてはいるが、真のキリスト教徒はそれほど多くはないらしい。
原住民の人達はキリスト教もなんとなく信じてはいるが、もともとの土着の宗教(日本でいう八百万の神的なモノ)への信仰心の方が強い。 -
教会の近くには50年ほど前まで使われていたという墓が残っていて、当時は甕のような陶器の容器の中に遺体を燃やした灰を入れ、地面に埋めていたそうだ。
-
リオ川から次のリオ・クカナン(クカナン川)へは30分位の道のり。
あともう少しと分かっているから12kmを歩いた後でも私達の足取りは軽い。 -
クカナン川が見えたら、その川向こうは、本日のキャンプ地。
-
川辺で靴を履きかえて川渡りにチャレンジなのだが、クカナン川は真ん中あたりの水深が深い。
バックパックを背中に担いだままでは川の水流に押されてバランスを崩し転んでしまう場合があるので、カメラもリュックも全てをポーターに預け、まずは荷物だけを向こう岸に渡してから自分たちが渡る。 -
川岸は石の上を飛びながら歩いたが、真ん中くらいはどうしても足を川水に突っ込む必要があった。
川の水深は身長157cmの私の腿の真ん中付近。
ズボンの膝下を外して更にまくり上げて川を渡ったが、それでもやはり濡れてしまった。
川の水流は予想通り強く、更に川底の石は藻でツルツル。
ポーターのアレックスが手を掴んでいてくれなかったら、転んで尻もちをついていたであろう場面が何カ所かあり、かなりヒヤリとした。 -
14:10にクカナン・キャンプ(以下クカナンC.)に到着。
昼食時間を入れても5時間程度で今日のキャンプ地に到着出来た。 -
クカナンC.の名前は川からクカナン山が良く見えるところから名づけられている。
写真は翌朝に撮影したものだが、景色の良さで選ぶならば1泊目はテク C.よりもクカナン C.の方がお勧めだ。 -
イチオシ
クカナンC.にはキャンプの管理人さんとしてペモン族のご家族が生活していて、周辺の登山道の整備を担当してくれている。
ご家族は4人家族でお子さんは二人。
子供たちは幼児位の子供もいたが、スペイン語でバッチリ会話ができる。
憶測だが、ペモン族においても彼らの日常会話はもしかしたらペモン語ではなく、ベネズエラの公用語であるスペイン語にシフトしているのかもしれない。
その様に考えなければ、子供が第二外国語のようなスペイン語を流暢に話せるはずはないと思う。 -
ポーターたちが全員到着するのを待つ間に、私達はクカナン川で水浴びの時間。
男性は全裸でも水浴びOKだが女性はそういう訳には行かないので、私は水着用の速乾性の半パンツと濃い色のT-シャツを着たまま川の中へ。
川では生分解性のある石鹸ならば使ってよいので、相棒はのんびりと体を洗ったりしていたが、女性の私はさすがに濡れると服が体に張り付き体のラインが出てしまうので、T-シャツや半パンツの中に手を突っ込み手早くささっと体をこすり、水浴びを済ませた。
35℃の気温の中を歩いてきたので、髪の毛も地肌まで汗でびっしょり。
だから、川で水浴びが出来るというのは非常にありがたかった。
男性は周りの目を気にしなくともよいので良いな~と相棒の事を羨んだ私だったのだが、実はこの日、彼がのんびりと水浴びを愉しんだことはこの晩以降に裏目に出ることに…。 -
水浴びで使ったタオルやT-シャツは木の間に渡したロープ(持参)に吊るして天日干し。
空気が乾燥しているので、一晩でパリンと乾いてくれた。 -
私達が川で水浴びをしている間に他のポーターも到着し、テントのセッティングも完了。
今回のトレッキング旅は私達は本当に何もしなくて良いラクチン旅。
テントの設営も撤収も、食事の準備も片づけも全てポーターがやってくれる。 -
日本人としてはついつい設営を手伝いたくなるのだが、彼らはプロとしてきているので、中途半端な手伝いは却って仕事の邪魔になる。
だから、私は椅子(キャンプ椅子もポーターが運んできてくれている)に座って、日記を書いたりのリラックスタイム。 -
ポーターたちはそれぞれに役割分担があり、ガイドのFelixのお気に入りのアレックスは私達のお世話係。
アレックスが歩きながら摘んできてくれた道端のハーブでハーブティを作ってくれた。 -
蟻さんがお湯の中に浮いているのは気にしないことにして飲んだのだが、歩いてきた疲れを癒すような爽やかな香りのハーブティは最強。
ここでしか飲めない味だった。 -
イチオシ
夕暮れ近くになると雲も晴れてきて、キャンプ地の丘からはロライマ山がきれいに見えだした。
聳えるあの崖の高さは約1000m。
あと2日後にはあの1000mの崖を上るのかと思うと、私に出来るのかな…と不安になるが、年間3000人が登る山であるロライマ。
2999人に出来て私に出来ない訳は無いだろう。ロライマ山 山・渓谷
-
夕食は19時頃。
キャンプ地にある小屋の片隅でポーターが料理を作る。
夕食は必ずスープ+サラダ+メインの組み合わせで、同じメニューが被ることは一回もなかった。
キャンプ初日の夕食はコーンスープ、人参サラダ、ポークリブ・ステーキとかなり豪華。
食材はガイドのFelixが指示して買い出しをしていて、その内容でメニューを考えるのがポーターの仕事だ。 -
ロライマ山トレッキング旅行記の初日編の最後に、トレッキング中の人間生活に欠かせないものを紹介したい。
人間生活に欠かせないもの…それはトイレだ。
写真の青いテントがポーターが運んできたトイレ・テントで、ロライマ山トレッキングでは排泄は決まった場所でしかできなく、ポータブル・トイレもポーターが持ち運ぶ。
ソレが基本ルールとなっている。
ただ、ローカル・ルールとしてロライマ山B.C.までは草むらであればどこでしてもOKだが、いったん山へと登り出したらその先に出された全ての排泄物は全て下界にお持ち帰り…ということになっているとのことだ。 -
トイレ・テントの中には簡易型のトイレ椅子があり、その下には穴が掘ってある。
クカナンC.では、排泄物は地面の中に埋めればOK。
自分が用を済ませたら、穴の中へと砂を落として排泄物を隠せば、基本は匂いも残らない。 -
イチオシ
ベネズエラでのトレッキングの初日はこんな風に始まり、夜は満点の星空の下での星空観察。
頭上にあるさそり座に違和感を覚えつつも、人工衛星を見つけたり、流れ星の数を競ったりして夜を愉しんだのだが、悲劇が相棒を襲ったのは夜中のこと。
夜中に相棒がガサゴソと何回も寝返りを打つのに気が付いて声をかけると、どうやら膝の裏、肘の内側が痒くて眠れないという話。
実は私自身も膝の内側が痒かったのだが、暑さでアセモノができたかも程度に考えていたのだが、彼の場合は尋常な痒さではないらしい。
夜中にテントの中で二人で起き上り、ヘッドランプを照らして彼の肘の内側、ひざ裏を見てみると、そこにあったのは無数の小さな赤い点。
どうやら、プリプリと呼ばれるベネズエラに居る吸血昆虫にヤラレタらしい。
プリプリはその大きさは1mmにも満たない小さな体なのだが、刺された後の痒みは強烈で、その痒みも1週間程度続く。 -
翌朝、ガイドのFelixにプリプリについて聞いたところ、プリプリは水辺に多く生息し、彼らの好みは膝の裏と肘の内側の柔らかい皮膚。
昨日午後にゆっくりと川で水浴びをしていた相棒は、手早く体を洗った私よりも長い時間プリプリに暴露され、彼の柔肌がその餌食となってしまったらしい。
名前の響きはカワイイのだが、その実体は全く可愛くない昆虫のプリプリ。
プリプリに一度刺されたら、その痒みはしばらくは悪魔のように付きまとい夜も熟睡できなくなる。
悪魔の【プリプリ】。
それがロライマ山トレッキング我らが受けた最初の洗礼だった。
前の旅行記↓ベネズエラ旅の準備編
【1】Lost Worldへ- 序章 https://4travel.jp/travelogue/11487969
続きの旅行記↓ 魔境の台地へFirst Step
【3】 https://4travel.jp/travelogue/11524363
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