2019/03/02 - 2019/03/17
16位(同エリア96件中)
ウェンディさん
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- 旅行記380冊
- クチコミ2264件
- Q&A回答130件
- 2,161,459アクセス
- フォロワー349人
この旅行記のスケジュール
2019/03/03
-
アメリカのマイアミ経由でベネズエラのバルセロナ空港へ
-
カラカス経由は治安が悪いので、可能ならば避ける方が良い
2019/03/04
-
プエルトオンダスからロライマ山トレッキングのスタート地点のパライテプイ村へは陸路移動;丸一日
2019/03/05
-
トレッキング1日目:パライテプイ村→クカナン・キャンプ
2019/03/06
-
トレッキング2日目:クカナン・キャンプ→ロライマ・ベースキャンプ
2019/03/07
-
トレッキング3日目:ロライマ・ベースキャンプ→カラカス・キャンプ
2019/03/08
-
トレッキング4日目:カラカス・キャンプ→The Prow→クワティ・キャンプ
2019/03/10
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トレッキング6日目:プリンシパル・キャンプ→クカナン・キャンプ
2019/03/11
-
トレッキング7日目:クカナン・キャンプ→パライテプイ村 パライテプイ村で1泊
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この旅行記スケジュールを元に
あれから、何年が過ぎたのだろう。
私たちがこの場所に閉じ込められてから。
最初の内は今だけの我慢だから・・・と云われ、その内、もう少しの期間だから・・・となり、今は、あとどのくらい待てば良いのか、そもそも、その終着点が存在し得るのか、誰もその答えを明示することはできない。
仕事を頑張り、ふらりと訪れていた異国の地。
今は、いくら頑張っても、その足を予約することすらためらわれる世の中になってしまった。
見知らぬ国での出会い、トラブル、経験。
それらはすべて人生の糧。
新型コロナが収束して、皆が笑顔で異国の旅のことを話せるようになったら続きを綴ろうと思っていた思い出たち。
先の見えない今だが、明けぬ夜はない。
夜が終われば、必ず朝はやってくる。
また、何の気兼ねもなく海外へと遊びに行ける日が来ることを信じ、ギアナ高地でのかけがえのない思い出の日々を、再び文字として浮上させることにした。
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2019年春に3週間弱の長い休暇を取り訪れた南米のベネズエラ。
そこは、独裁者政権による賄賂政治により自国の通貨は暴落し、チャイニーズマフィアが流通を仕切る、日本での報道からは想像もつかないような世界でした。
でも、ベネズエラの国民は逞しく生きていました。
お店には商品が並んでいなくとも、闇市に行けば手に入ります。
“弁護士の仕事がなくなったら、タクシー運転手をやればいい”と話すのは、私たちの車を運転してくれたお兄さん。
ホテルの従業員は、50USドル紙幣を手に食事をする観光客の間を歩き“あなたの持っている細かい45ドル”と交換して“と高レートでの両替交渉を囁きます。
実はこの50ドル札は、素人には、特に外国人には判別ができないほど巧妙に作られた偽札。
要はホテルの従業員による詐欺なのですが、現在のベネズエラの状況では、一種の商売。
だまされる方が悪いと云うことになるのでしょう。
お酒だって基本はどこにもないはずですが、レストランでは瓶ビールを飲むこともできます。
蛇の道は蛇、ですね。
ですから、私たちもその中に紛れ込み、できるだけ都市部では目立たないように過ごしました。
都市部で相棒と日本語で会話するのは、信頼できる人達の前のみ。
幸い、私がスペイン語を話せるので現地でのちょっとした意思疎通に困ることはありませんでした。
でも、山間部へと入ってしまえば、そんな隠密行動なんて必要なし。
シャーロック・ホームズを生み出した英国人作家;コナンドイルが、恐竜が現代まで生き残っていると夢想したギアナ高地;ロライマ山で、強盗や泥棒に襲われる心配もないトレッキングの日々を過ごしてきました。
このベネズエラ旅行記-7で紹介するのは、ロライマ山トレッキング5日目午後の情景。
テーブル・マウンテンのロライマ山で目にした壮絶なまでに美しい大地の造形の記憶を呼び覚ましていきたいと思います。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 4.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 一人あたり費用
- 50万円 - 100万円
-
☆★☆2019年3月-ギアナ高地トレッキング 旅程☆★☆
・3/2 NRT18:25-DFW-MIA21:38 マイアミ宿泊
・3/3 MIA- BLA(ベネズエラ)プエルトオルダス宿泊
・3/4 Paraitepuiへ移動(9時間)パライテプイ宿泊
・3/5-3/11 ロライマ山 6泊7日 トレッキング
3/5 Day1:パライテプイ村→クカナン・キャンプ
3/6 Day2:クカナン・キャンプ→ロライマ・ベースキャンプ
3/7 Day3:ロライマ・ベースキャンプ→カラカス・キャンプ
3/8 Day4:カラカス・キャンプ→The Prow→クワティ・キャンプ
□3/9 Day5:クワティ・キャンプ→プリンシパル・キャンプ
3/10 Day6:プリンシパル・キャンプ→クカナン・キャンプ
3/11 Day7:クカナン・キャンプ→パライテプイ村
・3/12 Puerto Ordasへ移動(9時間) プエルトオルダス宿泊
・3/13 エンジェルフォールへ カナイマ宿泊
・3/14 エンジェルフォール遊覧飛行 プエルトオルダス宿泊
・3/15 BLA18:00-MIA21:00
・3/16 MIA06:50-CHI-
・3/17 NRT15:30
☆★☆2019年3月-ギアナ高地トレッキング 旅行記☆★☆
【1】旅の序章 -アクセス・安全情報・トレッキング準備編
https://4travel.jp/travelogue/11487969
【2】ロライマ・トレッキング Day1 -プリプリ悪魔の洗礼
https://4travel.jp/travelogue/11491355
【3】ロライマ・トレッキング Day2&3 -魔境の台地へ
https://4travel.jp/travelogue/11524363
【4】ロライマ・トレッキング Day3(PM) -水溜まりの楽園
https://4travel.jp/travelogue/11525847
【5】ロライマ・トレッキング Day4 -世界の果てThe Prowへ
https://4travel.jp/travelogue/11536306
【6】ロライマ・トレッキング Day4&5 -サイバー攻撃で通信がダウン
https://4travel.jp/travelogue/11539851
【7】ロライマ・トレッキング Day5-不思議な絶景のロライマ山
https://4travel.jp/travelogue/11715107
【8】ロライマ・トレッキング Day6・7&帰路 -拷問坂を往く
https://4travel.jp/travelogue/11772791
(写真:ロライマ山の先端部、The Prow
座っているのはテーブルマウンテンの端
足下は垂直な崖で、落ちたらブラジル側に真っ逆さま
雲海の向こうにいくつものテーブルマウンテンの岬が見えている) -
ロライマ山の麓から登り始めて5日目。
たった5日間だが、もう5日間、あっという間の5日間・・・。
この日の夜が明けたら、ロライマ山の山頂での日々は終了となり下山ルートに入らなければならない。
通常ならば、テーブルマウンテンの上で古代から命をつなぐ植物や生き物に出会い、なんと素晴らしい経験だったのだろう!という感想で締めくくられ、感動のフィナーレを迎えるはずのロライマ山のトレッキング。
でも、動乱の中にあったベネズエラでは、そんな安易な体験だけで山頂での日々が終わることはなかった。 -
もちろん、私たちも素晴らしい大自然に出会い言葉を失うような絶景も見たのだが、このトレッキングは更に波瀾万丈で、軍艦型のロライマ山の先端にあるThe Prowからの帰り道に、広大な山頂で、奇跡的な確率で出会ったペモン族の少年から聞いた情報は、私たちの想像の遙か彼方まで上り詰めていた。
-
ペモン族の少年の情報。
それは、ベゼズエラの独裁者であるマドゥーロ大統領の発表によると、アメリカによるベネズエラへのサイバー攻撃があり、国内発電所の中枢システムが破壊され送電が全域でダウンし、ベネズエラ国内はもとより国際的な回線すら使うことができなく、現在、国は混乱状態にある!という、信用するかも迷ってしまうような荒唐無稽な話。
でも、少年たちはいたって真面目。
麓の村では停電は実際に起きているし、大統領はそう言っている。
携帯電話、衛星電話もすべてが使えなくなっているとのことだった。
さぁて、こんな非常事態な話を聞いてしまった私たち、この先どうする? -
ガイドのフェリックス(Felix)と私たちのポーター家族とのちょっとした会議の末の決断は、このまま旅の続行。
今から急いで山を下りたところでベネズエラの国内情勢は変わらない。
当初の予定では、私たちがロライマ山の麓の村であるパライテプイ村に下りるのは2日後。
都市部に戻るのは3日後だ。
あと3日も経過すればもう少し国内情勢もクリアとなり、停電だって解消している可能性もある。
せっかく旅に出ているのだから、今は旅を愉しもう♪ -
心配性の日本人からしてみたら、なんとまあ・・・お気楽なとも思えるが、これがラテンの国の考え方。
自分の力でどうにかできない部分は抗ったところで、なんとかなるモノではない。
それならば、現状を愉しみましょ!と云う感じ。
私もそれには賛成!
下界で起きていることを知ってしまった私たちが抱いているこの先に対する不安感と焦燥感。
その気持ちを表に出したところで状況は好転しないし、疲れが増すだけ。
それならば、今、失われた大陸;ゴンドワナ大陸の一部であったロライマ山にいるこの瞬間を愛おしみ、満喫する方が精神衛生的にもベターな選択だよ。
ということで、ペモン族の少年たちに情報のお礼を伝えて別れたあとは、再びテーブル・マウンテンの不思議な自然を堪能。
見てみて!この石、なんだか蛇の頭みたいな模様。
日本だったら、この場所に蛇神様としてまつられて祠ができてるね、間違いなく。 -
トレッキング5日目のこの日、私たちが歩くのはロライマ山を縦断する15kmの距離。
頑張って歩かないと、次の岩窟ホテル(キャンプ地)に到着するまでに夜が来ちゃうよ!. -
ギアナ高地のロライマ山のテーブル・マウンテン。
台地(テーブル・マウンテン)という呼び方から、だだっ広い一枚板のような広い山頂を想像するかもしれないが、起伏は激しく、丘があったり、谷があったりと歩いているとその景色はめまぐるしく変わる。 -
イチオシ
時折、1000mの高さを誇る絶壁の崖の端から現れた白い雲が流れるように台地の上を進んでくる。
あの雲の中、入ってみたいな!なんて思うが、近くに見えるあの雲も、実際の距離は何kmも先。 -
軍艦型のロライマ山の山頂面積はおよそ31平方km。
その広さは、台地の下にあるベースキャンプから見上げて想像していたよりも遙かに広く、ロライマを遊び尽くすためには山頂3泊の日程では足りなかった!というのが実感だ。 -
そんなテーブル・マウンテンの上。
そこには、男心をくすぐるモノが多く存在する。
この場合は男心というよりも、山男心かな。
進行方向右手の岩の上に、巨人が積み上げたような平たい大岩を見つけた私たちパーティの男どもが、なんだかソワソワ。 -
この岩の側で少し休憩をするということで、ポーターの若い二人のアレックスとエルナンはウキウキ。
-
彼らがウキウキしている理由は、この岩。
巨人の積み木ならぬ、積み岩。
この岩を登りたいらしい。 -
岩を登り始めた彼らを見ていた私の相棒までなんだかソワソワ。
そして、自分も行ってくる!と。
えぇ!アラ還に近いのに、未だ20代の若者と張り合ってどうするの・・・という感じだが、高いところがあると登りたくなってしまうのが山男たちらしい。 -
そんなわけで、相棒も岩にとりついて登る。
大きな岩では1つの高さが2m以上あり、足を滑らせたら危険なのだが、器用に登っていくのはさすがかな。 -
ロライマ山の山頂の巨人の積み岩の上でポーズを決める日本男子。
こんなことをする日本人は、彼以外にいるのだろうか。 -
まあ、“いくつになっても童心を忘れない漢”ということにしておこう。
-
この写真は、彼が岩の上から撮ってくれたのも。
こうやってみると、山あり、谷ありの起伏の激しいロライマの山頂の様子がよく分かる。
ポーターのアレックスとエルナンも岩の上でポーズ。
さすが20代前半の若者たちの身の軽さは見ていて惚れ惚れするほど。
するすると岩の上へと登っていく。
私もあと25歳若かったらチャレンジしていたかもしれないが、アラフィフの私の体力では岩で滑って怪我をするのがオチだろう。 -
足休めの休憩をしたら、再び歩き始め。
(岩遊びをした相棒にとっては、全くの足休めにはなっていないが・・・)
見晴らしの良い高いところを歩いていた私たちに、元気な兄弟ポーターたちが声をかけてきた。
こっちへ来いよ!珍しいモノがいるよ・・・と。 -
さて、珍しいモノとはなんだろ?
このテーブル・マウンテンでは目にするモノ全てが珍しいから、ちょっとやそっとのことでは驚かないよ。
彼らの側まで下りて、指さす岩の上を見ると、何かがいた。
岩と同化していて、とってもわかりにくかったのだが・・・ -
生き物だ。
それも8本足の・・・。
タランチュラだよ。と教えてくれた。
私のイメージのタランチュラは、毛むくじゃらの足で手のひらサイズの大きな体。
でも、ギアナ高地のロライマ山にいたこのタランチュラは、体長は1cmもない小さな躰。
よく見ると短い体毛が生えているのが分かるが、云われなければ、この虫がタランチュラだとは気がつかなかっただろう。
タランチュラは糸を吐き出し巣を張るタイプの蜘蛛ではなく、岩陰などに身を潜めて餌を狙う。
数千万年以上昔に台地の隆起により下界とは切り離され、限られた種の植物や昆虫、動物しか生息しないこの台地の上では、肉食昆虫が餌となるタンパク質を得るのも大変だと思う。
それ故に、タランチュラでありながらも躰がコンパクトなのではないかな。 -
時刻は11:40。
今日の行程の3/4は歩いた頃に見えてきたのは、私たちがこのロライマ山頂での1泊目に使った岩窟キャンプ場であるカラカス・ホテル。
双子キノコのような傘を持つ岩は、遠くから歩いていてもよく分かる。 -
カラカス・ホテルがあるのはロライマ山の広大な台地の中でもくびれのある部分なので、奇岩が多い。
この岩の形も、面白いでしょ。
元々は1つの大きな岩だったものが風化によりその中央部に風穴があき、まるで柱のある神殿のような形になっている。 -
面白いのは岩だけではなくて、地形そのものも。
写真に写り込んでいる人物は無視していただくとして、人物の背後に見えているのは、ロライマ山の切り立つ崖ぷちと、雲海に浮かぶお隣にあるテプイのクカナン山。
(テプイ:テーブル・マウンテンのこと) -
ありとあらゆるところに絶景が広がっているのが、此処、ロライマ山だ。
-
カラカス・ホテルのある岩群からもう少し歩いたら、本日のランチの場所。
-
食事の時にはお茶を出してくれるので、少しでもきれいな水たまりを探してのランチタイムとなる。
この日のランチは豆とチーズとトルティージャ。
好き嫌いは一切関係ない。
この山の上では、お腹に入る食べ物があるだけありがたい。 -
この先は、今までいたロライマ山の開けた部分とはちょっと異なる地形となってくる。
岩が谷を作り、台地の上には水たまりも多く出てくる。 -
川を持たないロライマの山頂で水たまりが多いという事実が示すのは、このエリアは雨雲の通り道だということ。
軍艦型の三角形をしたロライマ山の山頂では、風向きはほぼ1年を通して変わることなく同じ方向から吹く。
だから、朝、気温が上がってくると熱帯のジャングルから立ち上がる水蒸気が雲となりやすい場所もいつも決まっていて、それがこの辺り。
だから、このエリアでは1日に1度はどこかの時間帯で、雨が降ると云うことだ。 -
ランチをいただいて30分程度歩いたら、本日の宿泊場所、ロライマ山頂で最後の宿となるプリンシパル・ホテル(キャンプ場)が見えてきた。
最後の山頂滞在でこの場所を選んだのは、ロライマ山での展望場所として1番人気のマーベリック・ポイントの目の前にあり、運が良ければ、マーベリック・ポイントから夕景と朝の2つの絶景展望が楽しめるから。 -
プリンシパル・ホテルも今までの岩窟ホテル同様に、風により岩に窪みができ、雨や風を避けられる造りになっている。
-
キャンプ場に到着したらまずはテントの設営からなのだが、それらは元気な兄弟のアレックルとエルナンの仕事。
-
イチオシ
ポーター兼、料理担当のエリカ母さんは食器の洗い物から。
この辺りは水たまりが多いので、食器の洗い物をするにも遠くまで行かなくてすむので、楽ちん。 -
お父さんポーターのオラリオはキャンプ地から少し離れた水場で、飲み水を確保していた。
水たまりの中から泥が入らないように上澄みだけをそっとすくい取るので、とても根気のいる作業だ。
ロライマの山頂には基本的には川はなく、あるのは雨水がたまった水たまりだけで、昆虫や小動物達の水場である水たまりを私たち人間もシェアさせてもらう。
料理で煮込みに使う水は、そのままの水たまりの水で、生で飲む水は簡易的なフィルターを通してから飲み水にする。
それでお腹を壊さないのか?と気になるところだが、滞在中、比較的デリケートなお腹の私が下痢しなかったので、問題ないのだろう。
おそらくだが、ロライマ山頂の水たまりの水は化学物質で汚染されていない水であり、動物や人間の排出する糞尿でもほとんど汚染されていないので、日本のそこいらの川や海の水よりは断然、キレイなのだろう。 -
テントの設営や最低限の準備が終わったら、みんなの休憩タイム。
15kmを歩いて疲れた足をゆっくりと休ませる。 -
私たちは、見晴らしの良い岩の窪みテラスに椅子を設置してのんびりとリラックス。
この日は、歩いているときの直射日光が照りつけるトレイルは暑くて30℃位の気温だったが、風の通る岩陰に入ると、一気に体感気温が下がり寒いくらい。 -
そんな私たちに、エリカ母さんがポップコーンと暖かいホットチョコ・ドリンクをつくってくれた。
ロライマ山の7日間トレッキングというとハードに聞こえるが、重い荷物やテント、食料、トイレは5人のポーターさん達が運んでくれるので、私たちは身の回りのモノだけもって、景色を見ながら歩くだけでOK。
日本の山の縦走なんかよりも楽だし、いたれりつくせりの状態。
天然の水たまりジャグジーで汗は流せるし、あと3日くらいロライマの山の上にいても全然OKだと思えるくらい快適だ。 -
プリンシパル・ホテルのテラスから眺める風景は、今まで見てきた黒い岩がゴツゴツとした広がるロライマ山の世界とは異なり、緑が多い。
この景色からも、この辺りは他のエリアに比べて圧倒的に降水量が多いことが分かる。
(写真:キャンプ地の前のマーベリック・ポイント) -
イチオシ
1時間ほど休憩したらポーターのアレックスから、マーベリック・ポイントに登らないか。のお誘い。
どうやらこの日は雲の感じからして夕方に雨が来そうなので、早めにマーベリック・ポイントの展望を見ておく方が良いという判断らしい。
本来ならば、私たちのガイドであるフェリックスがマーベリック・ポイントへと案内してくれるはずだったのだが・・・、
ギアナ高地のベテランガイドである彼は、人生経験数においてもベテランで、60歳を超えた躰には連日の歩きが堪えたらしく、今日のトレッキングの最中に膝が痛くなってしまい、大事をとって休憩するとのことだった。 -
キャンプ地からマーベリック・ポイントの上までは登りで30分かからないくらい。
キャンプ地からは台地の端は見えていても、その崖下は見えていなかったが、このマーベリック・ポイントの岩の上はものすごい眺望!
ロライマの台地の上が地平線まで見え、更にベネズエラ側の草原であるグラン・サバナが、足下に垂直にそびえる1000m以上の崖の下に一面に広がる様子が一望できる。ロライマ山 山・渓谷
-
イチオシ
右を見れば、隣のテプイのクカナン山の断崖絶壁。
-
崖の下を見れば、グラン・サバナ。
-
後ろを振り返れば、まるで月面のようにも見える黒いロライマの山頂の台地が一面に広がる。
-
私たちがキャンプを張っているプリンシパル・ホテルも見えていた。
-
崖の部分を拡大すると、黄色いテントと青いテントが張ってあるのが分かるでしょ。
-
マーベリック・ポイントの先端の岩に腰を下ろして、360度の全方向のパノラマを堪能。
これで雲がなければ最高なのだが、このエリアは雲の通り道なので仕方がない。 -
実際の自分の目で景色を見ると、パノラマ写真と同じくらいの範囲が見えているのだが、
-
パノラマ撮影にしてみても、実際に目の前に広がる本物とは違う。
こればかりは、自分の目で見て皮膚で空気を感じないことには、ロライマの世界の壮大さは実感できないかもしれない。 -
雲はグラン・サバナから立ち登ってくる水蒸気が集まりできるもの。
少し晴れ間が見えたから・・・と期待すると、またいつの間にか次の水蒸気が霧状になり崖を登ってきて、灰色の塊の雲となる。 -
いつ雨が降り出してもおかしくないような空。
-
夕方までこの景色をこのマーベリック・ポイントで見ていたいのだが、灰色の雲が広がるこの空模様では厳しいかも・・・。
案内をしてくれたアレックスに、あとどのくらいこの場所にいても良いか聞いてみた。 -
副ガイドの権限を与えられたアレックスの判断は予想通りで、そろそろプリンシパル・ホテルに戻るよ。と。
空気が湿ってきたので、雨が降り出すかもしれない。
そう、彼は伝えてきた。 -
イチオシ
そうだね。
降り出したら濡れてしまう。
戻ろうか。 -
壮大な景色に後ろ髪を引かれながらも、マーベリック・ポイントの岩を下る。
-
ただキャンプ地に帰るだけなのだが、アレックスが次から次へといろんなモノを見つけるので、下りなので15分もかからないはずがなかなかたどり着かない。
アレックスが見つけたモノは、このロライマ山やギアナ高地に固有な生き物たち。
この子はクワガタ。 -
タランチュラ同様にクワガタのサイズは小さめで、人差し指の第一関節と同じくらいだから、全長2cm程度。
-
イチオシ
小さな黒い宝石だ。
-
こちらは、その体毛に毒がある芋虫。
蝶になるのか蛾になるのかだが、蜜のある花の少ないロライマ山頂で生きているのだから、多分、蛹になった後は蛾になるのだろう。 -
この芋虫は食欲旺盛で、貴重なロライマ山頂の植物たちが芸術的にカットされている光景をトレイルのあちこちで目にした。
-
キャンプ地の前で、アレックスが草むらを指さして、見てごらん!と。
何?
なにがいるの?
どこどこ? -
彼の指先を見ると、花の中に黒い何か。
これは、ギアナ高地にしか生息しない稀少な蛙のオリオフリネラだ。
オリオフリネラは卵からいきなり蛙になる種で、オタマジャクシには変態しない。
蛙の原種で、指の間に水かきを持たない泳げないカエルだ。
オリオフリネラはその昔の恐竜時代の頃、このギアナ高地の台地が地面から隆起する前の時代からその生態を変えずに世代交代を続けているといわれる、生きた化石でもある。 -
ギアナ高地で生き物に触れる場合には、化粧品や薬品などの化学製品を皮膚に塗ることは厳禁。
この日は、手に日焼け止めを手に塗っていたのでオリオフリネラには触れなかったが、水かきのないその姿はこんな感じ(旅行記5で紹介)。
形は蛙だが、爬虫類に近いのかな。 -
道草を食いながら岩窟ホテルに戻った私たちは危機一発。
岩の下に入って5分もしない内に濃い霧が流れ込んできて、小雨がパラパラ。
雨と云ってもスコールのようにザーザーと降るわけでなく、霧雨のちょっとひどい程度といった感じだ。 -
霧が出て気温が下がってきたのでフリースを着る。
エリカ母さんが暖かい珈琲を入れてくれたので、暖をとりながら霧で煙る景色を眺める。 -
雨が小降りになってきて、霧も晴れてきた・・・と思ったころ、先ほどまで私たちがいたマーベリック・ポイントの上で、何か白いモノが動くのを発見!
ビックリしてカメラを向け拡大してみると、それは人。
なんと彼らは、純白のウエディングドレスとタキシードを着ている。
彼らが岩から下りてきてから会って話を聞いたのだが、
新婚ホヤホヤのベネズエラ人で、結婚の記念にカメラマンの友人と一緒にロライマ山に登り、ウェディング・フォトを撮っているとのこと。 -
ウェディングドレスを持参してトレッキングしていて、あちこちで撮影する予定でこの日が山頂初日だという話だった。
ウェディング・フォトは世界中で流行っているが、まさかギアナ高地のロライマ山の上でソレをやるのは、世界でも数人しかいないのではないかなぁ。
でも、人のやらないことにチャレンジするのは面白いし、ましてやロライマの山頂でウェディングドレスをはためかせるなんて、普通は思いつかないアイディアで、簡単にまねもできないし、一生の思い出になるね。
仲睦まじく写真を撮っている様子は、眺めている私たちもほのぼのした気分に。
幸せのお裾分けをありがとう♪
そして、二人とも末永くお幸せに! -
夕方、霧も上がってきて、夕陽がロライマの台地を照らし出す。
-
私たちの最後のロライマの夕方。
-
イチオシ
少しだけ、台地の上へと散歩に出る。
-
イチオシ
食虫植物のモウセンゴケも夕日に染まる。
-
最後となるこの景色をもっと堪能したかったが、ガイドのフェリックスから“日が落ちる前にディナー食べるよ”と呼ばれたので、戻ることに。
-
日没のクカナン・テプイを眺めながらの夕食だ。
-
夕食が終わる頃、日が落ちたことで気温が下がり、天の雲も切れ、月や星がその姿を見せ始めた。
この日の夕方、マーベリック・ポイントでポーターのアレックスが“雨が降りそうだから戻ろうか”と提案した後につづけて私にこう言った。
Nunca llovio que no escampara.(西語)
日本語に訳すと“止まない雨はない”・・・となる。
このシチュエーションでは“雨はいつしか止むし、その後にはまた美しい景色が現れるさ”という意味になるのだと思う。
確かに、この日、ロライマをしめらせた霧雨はいつしか止み、夕日が台地を照らし星空が姿を現した。
明日の朝はきっと良い天気となるのだろう。
この旅行記を綴りながら、ギアナ高地でのあのときの情景を思い出し、そして今の新型コロナがはびこる世界、ハイパーインフレで通貨の価値が100万分の一に下落したベネズエラの現状にアレックスのこの言葉を重ね合わせた。
今はコロナや独裁者政権による横暴政治でいろんなことが厳しい状況だが、いつしか必ず好転する日も来る。
だって、明けない夜はないのだから。
前の旅行記↓ ロライマ・トレッキング Day4&5 -サイバー攻撃で通信がダウン
【6】https://4travel.jp/travelogue/11539851
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2023/04/28~
キナバル公園周辺
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この旅行記へのコメント (4)
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- jamokaさん 2021/10/13 06:48:45
- 奇岩だらけ
- おはようございます
岩好きにはたまらない写真ばかりでソワソワしてしまいます^^;
積み木岩、私も登ってしまうかも!
一瞬、エイリアンかと思える様な奇岩もあったり…なかなかその場を離れられなくなりそうです。
興味深いレポ有り難うございました。
- ウェンディさん からの返信 2021/10/13 20:56:57
- RE: 奇岩だらけ
- jamokaさん こんばんは。
ロライマ山の山頂は不思議な場所でした。
恐竜時代から変わらないその台地は、エリアによって岩の風化の仕方も様々。
月面のような世界を一日10km以上は歩いてその景色を愉しむのですが、時間ごとに変わりゆく光景が面白かったです。
ギアナ高地の台地の光景はアフリカのレソトの世界遺産:Drakensberg Parkの自然とも似ているそうです。
この二つの地域はゴンドワナ大陸が地殻変動を起こしたときの軸となったとも言われて、なにかしら地形的に共通点がありそうな気もします。
現在の状況ではなかなかアフリカや南アメリカに遠征することも難しいですが、いつかまた、不思議な岩が連なる光景を求めて旅ができたら良いですね
ウェンディ
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- 琉球熱さん 2021/10/08 00:11:51
- 異世界
- ウェンディさん、こんにちは
ウェンディさんの旅行記は私にとってはどれも“異世界”で興味が尽きません
ベネズエラ、なんの知識もありませんが、なんとエキサイティングな場所でしょうか
景色も生物も植物も、全てが日本のそれとは全く異質
楽しい
テーブルマウンテン、出くわしたら私も登ります(笑)
---------琉球熱--------
- ウェンディさん からの返信 2021/10/09 11:17:50
- RE: 異世界
- 琉球熱さん こんにちは。
ベネズエラでのトレッキングの日々は、今ベネズエラの現状やコロナ禍にある世界情勢を考えると、本当に奇跡的に行けた旅で、プランニングがあと1年遅かったら、もう行けなかったのではないかと思います。
ベネズエラは現在も悪政を行う大統領マド〇-ロの支配下にあり、通貨のボリバルの価値が100万分の一に引き下げられたとのこと。
日本円で考えれば、100万円が1円の価値となってしまうのですからとんでもないことなのですが、現在でもあの国で私たちを案内してくれたガイドさんやポーターをしてくれたオラリオ一家は生活をしています。
どうやら今は自国通貨は意味を持たないらしく、ブラジルのレアルやアメリカドルが人々の間で使われ様々な流通が行われてはいますが、経済の状況は悪くなる一方で薬も満足手に入らないとのガイドのフェリックスの話です(ガイドさんとは現在もSNSでつながっていて、時折、話をしています)
現在、ロライマ山一帯はコロナの蔓延防止のため入山禁止となっていて、ベネズエラ国内からも訪れることができなくなっているそうです。
人間が訪れるようになり、ロライマの水晶の谷が壊され、生態系がくるってしまうならば、しばらく自然のための回復期間を置くのもよいかもしれませんが、ベネズエラは原油が出る以外は、観光の国。
早くコロナの蔓延が収まって、自由に海外を旅できる日々がもどってきてくれるとよいですね。
ウェンディ
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