2016/06/25 - 2016/07/01
5位(同エリア42件中)
玄白さん
オーストリア・チェコ一ヶ月のんびり旅の個別旅行記第3弾は、バート・イシュル滞在記である。
ザルツブルクの南東部に位置するザルツカンマーグート地方は、数多くの湖が点在し、緑と岩の山々に囲まれた小さな村が点在する風光明媚なところで、オーストリアの湖水地方とも称される。そのほぼ真ん中に、温泉保養地として知られるバート・イシュルがある。この小さな町は、おそらくオーストリアで最も知名度が高い人物、エリザベート皇妃と皇帝フランツ・ヨーゼフが婚約を交わし、結婚後もたびたび別荘で夏を過ごしたところでもある。
バート・イシュルはザルツブルク、ハルシュタット、ゴーザウ、ダッハシュタイン、ザンクトヴォルフガングなど、世界遺産やハイキングが楽しめるところへのアクセスにも都合が良い。これらの村や街に気の向くままに出掛けるべく、貸別荘を借りて一週間滞在した。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 高速・路線バス
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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6月25日
2日間の前座としてのミュンヘン観光を終え、いよいよオーストリアへ。
ミュンヘンに乗り入れているオーストリア国鉄のEC特急で、ザルツブルクへ。
今回は、連れ合いの還暦祝いでもあり、一等車での列車の旅がしたいという本人の希望で、ちょっと贅沢にユーレイル3か国セレクトフレキシーパスを利用。それほど頻繁に長距離を移動する旅ではないので、二等車チケットを都度買うのと大して値段の差はないのだが、まあ、お祝いなので・・・ -
8:18発のクラーゲンフルト行きのEC特急に乗り込む。
今回予約してあるバートイシュルの貸別荘はチェックインは午後3時からということになっていたが、ミュンヘン滞在中にオーナーから連絡があり、朝からでもチェックインできるということになったので、予定を早めて、この電車に変更。 -
ゆったりとした車内。
ガラガラである。発車直後も数人の乗客しかいなかった。 -
定刻どおり、ミュンヘンを後にする。
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車窓から南ドイツのきれいな風景を眺めながらザルツブルクまでの1時間40分の列車の旅を楽しむ。
2枚の写真に写っている湖は、日本ではほとんど知られていないシムス湖(Simssee)という湖。
湖岸にはプレジャーボートがあったり、近くの山にはロープェイがかかっていて、トレッキングルートもあるに違いない。日本の旅行ガイドブックでは全く紹介されていない見も知らぬこんな村に滞在してみるのも面白そうだ。 -
定刻通り、ザルツブルク駅に到着。天気が悪く山に行けないときはザルツブルクの観光をするつもりなので、事前にツーリストインフォメーションに寄ったりして、バートイシュル行きのポストバスにぎりぎり間に合ったので、乗り換え時の写真は無し。
10:15発のポストバスでバートイシュルへ。定刻通り12時頃、到着。
(写真は後日写したバートイシュル駅舎、バス停は駅舎の奥隣りにある)
事前の予定では、別荘オーナーにバス到着予定時刻を連絡してあり、駅に出迎えてもらって、別荘まで送迎してくれることになっていた。しかし、日本を出発する直前に「え〜!」というようなメールをもらっていたのだ。
そのメールとは、
「すみませんが、椎間板ヘルニアで入院してしまい迎えに行けなくなりました。タクシーを使って下さい、ただし、別荘の前の道が工事中で車は通れませんが、歩行者は通れます。部屋の鍵は○○にある□□の中に隠してあるので、取り出して自分で開けて部屋を使ってください」だと・・・
暗澹たる思いがするようなメールである。まず、小さな田舎町だからすぐにタクシーがつかまるかどうか、つかまらなければタクシー会社に電話して呼ばなくてはならない・・重い荷物を持って工事で掘り返されたデコボコ道を歩かねばならない、どれくらいの距離かわからないが・・・別荘に入る前に宝探しゲームをせねばならない・・・重い荷物を持って、まず駅からはちょっと離れたところにあるツーリストインフォメーションに行くべきかどうか・・・バート イシュル駅 駅
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幸い、タクシーは1台だけ駅舎の前で客待ちしていて、すぐにつかまえることができた。別荘の前の道路工事は終わっていて、別荘前までタクシーを横付けすることができた。よかった〜!
工事は終わったばかりのようで、アスファルトの匂いがプンプンしている。 -
これが、1週間滞在する我が貸別荘。奥の2階建ての本館と手前の別棟があり、3家族が滞在できる。我々が使うのは手前の別棟である。
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庭からみた見たところ。
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間取りは、ダイニングキッチンと寝室、シャワーのみのバスルーム。貸別荘としてはちょっと狭いが、旅行計画段階ではすでに空きが少なく、あまり選択の余地がなかった。一番のこだわりは連れ合いのキッチンの設備の充実度合。炊飯器なしで御飯を焚くのでIHが必須。5年前、ツェルマットの貸別荘で、電熱コンロしかなくて、御飯がうまく炊けなくて懲りたようだ。
バスタブもMustに近いのだが、今回は温泉もあることだし、シャワーだけで我慢することにした。(毎日、温泉通いするわけではないが・・) -
ベランダやテラスもない。窓からの眺めは庭木が見えるだけ・・・
これが普通なのかもしれないが、今まで貸別荘を借りたときは、いずれも眺望抜群のところだったので、チト、ギャップを感じる。 -
本館の建物には1階にベランダらしきスペースはある。本館に滞在者はいないようなので、使おうと思えば使えたが、眺めが良いわけではないので、利用しなかった。
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蚊が出るらしく、コンセントに差し込んで使う蚊取りマットがおいてあった。
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荷ほどきをして一休みしたところで、空リュックを背負ってスーパーに買い出しに出かけねばならない。事前にスーパーの場所は調べてあったが、念のためネットで確認しようとしたところ、wifiがつながらない。スマホもパソコンもダメである。
ダイニングのテーブルの上に手書きのメモでパスワードが書かれていたが、どうもこれが間違っているらしい。
直前の天気予報を調べて翌日の行動予定を決めたりするので、ネットに繋がらないのは困る。やむを得ず、入院中のオーナーに電話してパスワードを確認したが、案の定、入院中ですぐには分からない。調べて一時間後に電話をもらうことになった。
電話を待つ間、別荘の敷地内をざっと見て回った。
中庭は、きれいに刈り込まれた芝生である。 -
本館の裏手に回ってみた。暖炉用だろうか、薪がたくさん積み上げられている。本館には暖炉があるのかもしれない。
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川のせせらぎが聞こえるが、ずいぶん下を流れているらしく、川面は見えない。GoogleMapで見ると、確かに小川が流れている。
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この時期、どの家の窓も花をいっぱい飾ってあるのだが、我が別荘は、オーナーが入院中。プランターの花の世話ができないからであろう、窓に飾られた花はなく、ちょっとさびしい。
中庭にピークを過ぎ雨に濡れた木の花がしょんぼり咲いている。 -
道路を挟んだ向かいの家も別荘風だが、窓や軒下に置かれたプランターには花が咲き誇っている。
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隣りの家のベランダに置かれた植木鉢にもきれいな花が・・・
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我が別荘の窓の下には、花のプランターの代わりに、オブジェがわりに木の根っこが置かれている。
30分ほどしてオーナーから電話があり、パスワードを確認。12桁の英数字の中、最後の文字「b」を「6」と読み違えていたことが判明。ヨーロッパの人は「1」をギリシャ文字のΛ(ラムダ)のように書くことは知っていたが、bを6のように書くのは、オーナーのクセかもしれない。どう見ても6としか読めないのだが・・・
ともかく、一件落着。やれやれ! -
スーパーでの買い出しのため、街中へ。
日本を出るときに持ってきたGoogleMapのコピーでは近道がわからないので、遠回りでもタクシーで来た道を歩いた。30分もかかる。
買い出しの前に、ツーリストインフォメーションに行き、バートイシュルの詳細な地図をゲット。街の中心部から別荘までの近道を教えてもらう。地図に書き込んだオレンジのラインが車道、緑のラインが近道のフットパスである。
しかし、買い出し後に、この地図を手掛かりに近道を行こうとしたのだけれども、フットパスの入口が分からない。迷って変なところに出てしまい、結局駅に戻って、またタクシーを使う羽目になってしまった。
地図はフットパス(地図の中の破線)こそ記載されているが、けっこうおおざっぱで、GoogleMapとあまり変わらない。 -
もう一つ、ツーリストインフォメーションでやるべきことは、別荘の宿泊カードのコピーを提出して、ザルツカンマーグートサマーカードなる割引カードをもらうこと。ザルツカンマーグート地方のいずれかの街に3日以上滞在すると、無料でもらえる。色々な施設の入場料が割引になる特典がある。ただし、ポストバスなど公共交通機関の割引はない。割引率は施設によってことなる。たとえば、バートイシュルの温泉は1.8ユーロ、ハルシュタットの岩塩坑は6ユーロの割引が受けられる。裏面に使用開始日、署名をして使う。
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連れ合いが夕食の準備をしている間に、もう一度市街への近道のルートファインディングに出かける。
御飯は、ここのIHと鍋でちゃんと炊けるようだ。翌日のハイキングの弁当用の混ぜご飯を作ってくれた。 -
ツーリストインフォメーションでもらった地図を片手に歩き回り、ようやく駅への近道のフットパスを確認できた。
多少、アップダウンがある森の中を通っている。レッテンバッハの森という。 -
イチオシ
幼子イエスを抱くマリアの絵が飾られた祠が森の中にある。
明日から、あちこち出かけるためには、毎朝、森林浴をしながら15分ほど歩くことになる。
なお、別荘の近くに駅行きバスの停留所はあるのだが、便数がやたら少ない。しかも、土日は運休だという。信じられない!
駅に出るには、このフットパスを歩くしかなさそうだ。 -
森を抜けるとバート・イシュルの街並みが見えてくる。
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トラウン川沿いの遊歩道に合流する。レッテンバッハの森に入るフットパスは、民家の庭に入り込むような感じになっている。反対側から初めて来るととても分かりにくい。迷ってもしようがない。
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トラウン川に架かる南側の電車の鉄橋の横の歩道を渡れば駅はすぐだ。ほぼ15分の道のりである。
駅舎の前の噴水。奥にみえるのが温泉施設「オイロテルメンリゾート」
長い一日が終わった。 -
滞在中の自炊の朝食、夕食の一部。今回は節約モードの食事。公開するほどの料理でもないが・・・
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翌日はあまり天気がよくなかったので、山歩きはやめて、ハルシュタットの岩塩坑を見にでかけた。(これは別途、後続の旅行記にて)
次の日(6月27日)も、また朝から小雨が降ったり止んだりの天気。そこで、この日は温泉とバートイシュル観光の一日とすることにした。
写真は、レッテンバッハの森を抜けてトラウン川沿いの遊歩道に合流したあたり。犬の散歩をする地元の人以外、歩いている人を見かけない。 -
対岸の街の中心部。尖塔は聖ニコラウス教会。
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バートイシュルの一番南側に架かる車道の橋で、名前はエリザベート橋。建築物としての橋は、ごく普通で特段コメントするほどのこともない。
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エリザベート橋の袂にある「レハール・ヴィラ」
オペレッタの作曲で名高いフランツ・レハールが終の棲家とした家。今ではレハールに関する遺品や、当時の家具などが展示されている博物館となっている。
ここもバート・イシュルの観光スポットになっているようだが、あいにく、レハールについては玄白は全くなじみがないので、パス。もっとも朝9時過ぎという時刻では開館していないが・・・レハールヴィラ 博物館・美術館・ギャラリー
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エリザベート橋を渡り、すぐに右に折れると、対岸の遊歩道とはちがう、ちょっと上品な印象の遊歩道が延びている。
エスプラナーデ 散歩・街歩き
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イチオシ
エスプラナーデという。ただし、普通名詞のエスプラナーデが、川岸、湖岸の散歩道という意味だから、まさしく、「散歩道」という名前の散歩道である。
この辺りは、かつては岩塩の取引で財を成した裕福な人達の豪奢な邸宅が並んでいたという。 -
エスプラナーデの中ほどにハプスブルク家御用達の有名なケーキの店、カフェ・ツァウナーの散歩道支店がある。本店は街の中心部プファルガッセにある。
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カフェ・ツァウナー。創業1832年の老舗。
グランド カフェ ツァウナー エスプラナーデ カフェ
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イチオシ
窓にはよく手入れされた花が飾られている。
バート・イシュルに入る前から、連れ合いはカフェ・ツァウナーでケーキとお茶したいと、つぶやきっ放し。
わかった、わかった、行きゃいいんでしょう。だが、まだオープン前なので今は入れない。 -
瀟洒な邸宅も立ち並んでいる。
さらに先に進むと、皇妃エリザベートとフランツ・ヨーゼフ皇帝がお見合いをし、一目ぼれした皇帝がエリザベートと婚約を発表したという大邸宅がある。そこは、その後、「オーストリア」というホテルに変わり、現在では市立博物館になっている。
今日のメインイベントは温泉に行くことなので、そちらはパスして、プファルガッセ方面に行く。 -
プファルガッセの西の端にある記念柱。いろいろな街で見かけるペスト記念柱とは違うようだ。
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この記念柱の向かいにあるシシィ・カフェ
言うまでもなく、シシィとは皇妃エリザベートの愛称。子供の頃は、この愛称で呼ばれていたというのだが、成人して結婚し皇妃となってからもシシィと呼ばれているというのは、本人が聞いたらどう思うだろう。
それはともかく、エリザベートは現在の観光立国オーストリアの最大功労者の一人といってよいであろう。類まれな美貌と、皇妃となってからの苦悩、最後はアナーキストに暗殺されるという過酷な運命により、様々な映画やミュージカルにも取り上げられ、知名度は抜群である。
ちなみに、我が別荘のオーナーはエリザベート・カイザーとおっしゃる。名前がシシィと同じ、苗字は「皇帝」である。エリザベートはドイツ語圏の女性の名前としては一般的ではあるが、どんな家柄なのか本人に聞いてみたいところだが、あいにく入院中で話はできない。 -
連れ合いご執心のカフェ・ツァウナー本店。ここでお茶するのは後のお楽しみということにして、温泉に向かう。
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ツァウナーの向かいにあるスーパーBILLA。
今回の滞在では自炊用の食材は、もっぱら、このスーパーを利用。 -
イチオシ
プファルガッセがバーンホフ通りと名前を変えるあたり。ギリシャ風の白い柱の建物がトリンク・ハレ、その奥が郵便局。1828年開局のザルツカンマーグート地方で最初の郵便局だという。郵便局らしからぬ高貴な印象の建物だ。それはそうだろう、バート・イシュルはハプスブルク皇帝一家の夏の保養地なのだ。ほかのザルツカンマーグートの田舎町とは訳が違うのである。
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トリンク・ハレ
トリンク・ハレとは飲泉所。かつて、ここは治療のために温泉水を飲む場所だった。今は飲泉所という名前だけ残っているが、中はコンサートなどの催しをやったりするコミュニティセンターとしての役割を担っている。この中にツーリストインフォメーションが入っている。 -
温泉施設「オイロテルメンリゾート」
かつては、カイザーテルメ、その後ザルツカンマーグートテルメと改称し、昨年からは現在の名前に変えている。ザルツカンマーグート テルメ 温泉
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温泉と言っても、ヨーロッパの他の温泉と同様、プールに温泉を張ったもので、日本の温泉のような情緒は全くない。
入り方も他のヨーロッパの温泉と同じで、
①受付で、入浴コース(時間、サウナ利用の有無)を選び・・
②ロッカーの鍵を兼ねたリストバンドを受け取る。ICチップが埋め込まれているので、施設内での飲食料金、超過した利用時間などはすべて記録される。
③ゴルフ場のロッカーのような造りのロッカーに荷物を入れ、
④更衣室で水着に着替える。(温泉と言っても男女一緒のプールなので水着着用が必須)
⑤帰るときに基本利用料、超過利用料、飲食代などを一括清算する。
なお、今回は利用しなかったが、サウナは水着禁止だが男女一緒らしい。バスタオルを体に撒いて使うようだ。 -
4時間でサウナ利用なしのコースを選んで入場。ザルツカンマーグートサマーカードで18ユーロが16.2ユーロとちょっとだけ割引になる。割引の特典があるのは4時間コースのみである。
内風呂・・といっても全くのプール。 -
プールサイドがジャグジーになっていて、5分おきに泡が出る。
泳ぐ人はほとんどおらず、ジャグジーか、泡が出ていないとき水中ウォーキングをやったり、リゾートチェアで寝そべって本を読んだりイヤホンで音楽を聴いたり、うたた寝したりと、思い思いにリラックスしている。
温泉好きの我が家も、日本の温泉のような情緒はないものの、ヨーロッパのこんな温泉も好きなのである。 -
イチオシ
露天風呂(屋外プール)もある。
ここの温泉の特徴は、塩分が非常に濃いこと。塩分濃度3%で、海水とほぼ同じくらいしょっぱいのである。源泉は死海(24%)より濃い27%もあるということだが、薄めて海水と同じくらいにしているようだ。したがって、源泉かけ流しではない。 -
流れるプールまである。さながら遊園地のプールのようだ。
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「SALIERA」というレストランがあって、食事もできる。水着のままで良いのだが、上半身裸は不可で、上にパーカーのような羽織るものが必要。なにも知らずに水着のまま入っていったら、ウェイトレスのおねえさんに注意されてしまった。
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珍しく今日のランチはレストランで外食だ。
連れ合いはウィンナーシュニッツェルとスープ、ビール、玄白はコルドンブルー(ハムとチーズを豚の薄切り肉で包み、揚げたもの、みかけはウィンナーシュニッツェルとそっくり)、サラダ、ビールである。
ランチの後、さらに温泉に浸かり、時間制限いっぱいの4時間粘ってから温泉を出る。 -
カイザーフランツヨーゼフ通りを北に向かい、カイザーヴィラ見学に向かう。
皇帝一家の夏の別荘地だった街ゆえ、馬車が似合う街である。 -
途中、聖ニコラウス教会に立ち寄った。
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教会の壁にブルックナーの肖像プレートが掲げられている。ドイツ語は読めないので、何が書かれているかわからないが、この教会と何らかの関係があったのだろう。ブルックナーは作曲家であるとともに、有能なオルガン奏者でもあったので、この教会でパイプオルガンの演奏をしたことがあるのかもしれない。ブルックナーはバートイシュルを流れるトラウン川が下ってドナウ川と合流するあたりの村、アンスフェルデンという所で生まれている。
レハールやブルックナーだけでなく、ブラームスも、バートイシュルに滞在していたことがあるという。バートイシュルは温泉とハプスブルク家別荘というだけでなく、著名な音楽家とも縁が深い街なのである。 -
教会内部
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カイザーフランツヨーゼフ通り
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街の北側を流れるイシュル川を渡るとカイザーパークという緑豊かな広大な公園がある。
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イチオシ
その敷地内に皇帝フランツ・ヨーゼフと皇妃エリザベートの夏の別荘、カイザー・ヴィラがある。
フランツ・ヨーゼフの両親であるフランツ・カール大公とバイエルン王女だったゾフィー大公妃が息子の結婚祝いとして建てた別荘である。カイザーヴィラは、いまでは一般に公開されているが、所有権は、今でも、フランツ・ヨーゼフとエリザベートの3女、マリー・ヴァレリーの家系一族の私有物であり、一族の好意によって一般に開放されているのである。カイザーヴィラ 博物館・美術館・ギャラリー
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結婚当初、皇帝夫妻は毎年夏になるとバートイシュルに避暑に来ていた。それにつれて、お供の貴族、高級官僚、皇室御用達の商人たちもバートイシュルについてきたので、街の発展に大きく貢献したと言える。
しかし、わずか16歳で皇妃に迎えられたエリザベートは、伝統と格式に縛られた窮屈な宮廷生活になじめず、義母のゾフィー大公妃とのそりがあわず、いわば嫁姑の確執に悩み、次第に宮廷を離れて旅から旅へと流浪する生活にのめり込んでいく。いつしか、この別荘に来るのは、フランツ・ヨーゼフ一人だけになっていったようだ。 -
広大なカイザーパーク
フランツ・カール大公とゾフィー妃の間には、最初なかなか子供が出来なかったが、ゾフィーがここバートイシュルの塩分が濃い温泉で療養したところ、フランツ・ヨーゼフを授かった。そのため、フランツ・ヨーゼフは「塩の皇帝」ともあだ名されている。こんなこともあって、ハプスブルク家の人々はバートイシュルと縁が深くなったのであろう。 -
カイザーヴィラの内部の見学は、ガイドツアーのみで、しかもドイツ語だけのガイド。ただし、ツアーの初めに日本語のA4版4枚の解説書を貸してもらえるので、それを読みながらの見学である。なお、内部は写真撮影禁止になっている。
ツアーの集合場所の玄関ホールには、夥しい鹿の角が飾られている。これらすべてはフランツヨーゼフが狩りで仕留めたものだという。彼は殊の外狩猟が好きで、この別荘に来ると平日は鹿狩りに興じ、日曜には教会で祈りを捧げるという生活を送っていたという。エリザベートが一緒に来なくなった寂しさを紛らわしていたのかもしれない。
別荘の造りは、ウィーンの王宮とは比べ物にならないほど質素でこじんまりしているが、結婚当初の二人の生活をうかがわせるようなものが数多く展示されている。
エリザベートの生まれ故郷バイエルンの風景を描いた絵画、乗馬が得意だったエリザベートが集めた馬の絵のコレクションなどなど
一番印象的だったのは、フランツヨーゼフの執務室。当時関係が悪化していたセルビアに関連し、自分の皇位継承予定者だった甥のフランツ・フェルディナンドが妻ともどもサラエボで暗殺されたサラエボ事件をきっかけに、フランツ・ヨーゼフはついにセルビアに宣戦布告するに至る。部屋に特別珍しいものが陳列されているわけではないが、まさにこの机の上で、その宣戦布告書に署名したのである。これをきっかけに、ヨーロッパ全体に戦乱が広がり第1次世界大戦となっていった。その結果、およそ650年にわたるハプスブルク家の帝国支配は終わりを告げたのである。
世界史の一大転機のきっかけが、バートイシュルという田舎町の質素な別荘の一部屋から始まったということに感慨を覚えたのであった。 -
カイザーヴィラから、さらに高台の方に歩いて行くと、写真博物館があるので、そちらにも行ってみる。
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写真博物館正面。
もともとは、エリザベートのプライベートなティーハウスとして建てられた。エリザベートは、ここでお茶を飲んだり、詩作や読書にふけったりという時を過ごすために建てさせたという。 -
イチオシ
エリザベートは、まだ写真が発明されたばかりのころに生きているが、最新技術である写真にも大変興味を持ち、いろいろな写真を集めさせ、ここで集めた写真の整理も楽しんでいたという。彼女自身もカメラを持って撮影を楽しんだそうだが自分の写真を撮らせる機会は非常に少なかったという。写真の腕はなかなかなものだったらしい。
カイザーヴィラの一部屋には、彼女がオーストリア帝国の各国大使館員に集めさせた美女の写真が飾られていた。自らの美貌を維持するための参考にしたのかもしれない。 -
館内は一階が、カメラの歴史がわかるクラシックカメラなどの機材展示、2階はエリザベートの肖像画や肖像写真が展示されている。
写真が発明されたばかりのころのダゲレオタイプカメラ -
ポートレート写真を撮影するためのスタジオが再現されている。当時は写真感光材の感度が恐ろしく悪かったので、撮影中に何十分、場合によっては一時間近く動かないようにじっとしていなければならなかった。写される人は、撮影中に頭が動かないように後ろから首筋を固定するサポーターが椅子につけられている。
昔は写真一枚写されるのも大変だったのである。
19世紀になると、旧来の貴族階級に加え新興のブルジョア階級が勃興してきたことで肖像画のニーズが飛躍的に高まっていた。何十分も動かないようににしなければならないとはいえ、手書きの肖像絵画より写真ははるかに手軽で便利なものだった。ポートレート写真が牽引役となって、写真術(カメラ機材、感光材料)は飛躍的に進歩したのである。 -
カメラが発明されてまもなく、すぐにステレオカメラが出現したのは驚きだ。
パララックスを利用して2枚の写真を同時に撮影する2眼のカメラ(上段)と、撮影した2枚の写真をそれぞれ左右の眼で見るビューア(下段)があれば実現できるので、原理的にはそれほど難しいことではない。立体的に映像を見たいという要求はカメラが発明された当初からあったということだ。 -
昔の暗室の様子
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カメラ史上エポックメーキングなカメラのコレクション。
左下:ニコンFフォトミック 自分の愛用カメラのメーカーなのですぐに目に留まった。ニコンFという歴史に残る名機は、良くも悪くも戦後のニコンという会社の方向を決定づけたカメラである。中学生の頃、天文少年だった玄白は、天体写真撮影用に一眼レフが欲しくてしょうがなかった。本当はニコンFが欲しかったが、とても裕福とは言えない我が家では手が出ず、ペンタックスSVという中古の安い一眼レフを親に買ってもらったことを思い出す。
右下:ライカM3 1954年に発表されたレンジファンダーカメラの最高傑作。今でもクラシックカメラファン垂涎のカメラである。日本のカメラメーカーにとって、ライカはコンタックスとならび、カメラ作りの師匠であり続けた。だが、M3の完成度の高さに驚いた日本のメーカーはレンジファインダーカメラから一眼レフへ大きく舵を切るきっかけになったとも言われている。
玄白はカメラオタクではないが、写真は好きなのでこういう展示を見ていると時間が経つのを忘れてしまう。 -
エリザベート28歳の時のポートレート。絶世の美女と騒がれただけのことはある。気品ある美しさが、まぶしいほどだ。
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ポートレートの数々。この肖像写真をもとに、各地で銅像が作られたのであろう。
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一家の食事風景。これは写真ではなく細密画のようだ。当時は、こんなポーズで簡単に写真は撮れなかったはず。
左側真ん中がエリザベート、右側真ん中のヒゲオヤジが皇帝フランツヨーゼフ。皇帝のふけ具合に比べて、エリザベートは若さと美貌を保っていることがよくわかる。彼女は美貌を保つために大変な努力をしているのだが、それはまたウィーンの旅行記で紹介することにしよう。 -
写真美術館で時間を使いすぎた。プファルガッセに戻ってきたときは、そろそろ夕食の準備の時間。BILLAで買い出しをして、別荘に戻ることにした。
カフェ・ツァウナーでのティータイムは別の日に繰り延べ。 -
イチオシ
6月28日。ミュンヘン以来4日ぶりの晴天。昼間はやや雲が多かったが、夜は晴れ渡り、しかも月がないので天の川の撮影に最適。
別荘の周辺は森で見通しが悪いので、街中のトラウン川沿いの見通しの良いところで撮影を試みる。
なお、ツーリストインフォメーションでバートイシュルの治安について聞いたところ、とても安全で夜、危険なエリアはないということだったので、安心して森の中のいつものフットパスを通ってやってきた。
駅舎は閉まっているが、ホームは出入り自由なので、電車と天の川という珍しい組み合わせでの星景写真。 -
6月29日
ダッハシュタインにハイキングに出かけた日の帰りに、連れ合い念願のカフェ・ツァウナーでティータイム。
左:絶対食べると張り切っていたシシィパフェ
右:パフェを食べているところを記念撮影。カフェ・ツァウナー本店だとわかるように窓枠の飾りまで入れろと要求がうるさい。カフェ ツァウナー カフェ
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店の中を撮影するのは気が引けたが、記念に一枚撮影させてもらった。
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ショーウィンドウから撮影した見事なデコレーションケーキ
以降、バートイシュルを起点にザルツカンマーグート各地に出かけていった旅行記に続く。
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この旅行記へのコメント (5)
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- みちるさん 2016/09/05 21:20:08
- 初めまして
- 玄白さん、初めまして
フォロー頂きました、みちるです。
こちらもフォローさせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。
ハプスブルク家、バート・イシュルと見て、ビビッときました。
そうエリザベートです。
10年以上も前ですが、エリザベートの存在を知ってからは、彼女に関する本を何冊も見て、いつかウィーン、ハンガリーに行きたいと思うようになりました。
2年前にツアーでしたが、行ったときにもう夢心地でしたね^^
彼女は、歯が悪かったので、笑わなかったとか。
笑った写真がないですものね。
知らないウィーンが、拝見できました。
ありがとうございました。
- 玄白さん からの返信 2016/09/06 10:54:10
- RE: 初めまして
- みちるさん、初めまして。
フォローしっぱなしで、何の挨拶もせず、失礼しました。
エリザベートは、歯が悪くて笑わなかったといういうエピソードは初めて知りました。昔の貴人はむやみに笑わないものかと漠然と思ってましたが・・・
連れ合いからは、玄白の旅行記は文章が硬くて面白味がないと批判されていますが、気が向いたときには、気軽に訪問してください。
今後ともよろしくお願いします。
玄白
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- クッシーさん 2016/08/28 17:35:45
- 写真の編集についてご教示ください
- 玄白さま、こんにちは。
社会人になったばかりの頃、ドイツロマンチック街道とウィーン、
ザルツブルクという鉄板コースを旅したことがあり
今回のオーストリア・チェコの旅行記も毎回楽しく拝見しています。
博識の玄白さまの旅行記を見ていると歴史や美術、建築などの知識が
広がり、また美しい写真からは構図や編集方法など参考にさせて
いただきたくなることが多く、とても勉強になります。
よろしければ1点、写真の編集(組み合わせ)について
ご教示いただけないでしょうか。
今回の旅行記でも拝見しましたが、複数の写真を1つにまとめる場合
どのようなソフトをお使いになられていらっしゃいますか?
スマホでは私も組み合わせアプリを利用しているのですが
パソコンソフトは検索してみたのですがどれが良いのかわかりません。
お勧めをご紹介いただけましたら幸いです。
図々しいお願いですが、どうぞよろしくお願いいたします。
クッシー
- 玄白さん からの返信 2016/08/28 22:27:44
- RE: 写真の編集についてご教示ください
- クッシーさん、こんばんは
お問合せの件、コラージュ写真作成のことだと思いますが、私は Fotor というフリーソフトを使っています。下記URLからダウンロードできます。
http://forest.watch.impress.co.jp/library/software/fotor/
このソフトは、写真にフレーム枠を付けたり、コントラスト、明るさ、彩度調整、トリミングなどの画像調整機能もついていますが、あまり性能はよくないので、もっぱらコラージュ写真作成だけに使っています。
画像調整は、カメラメーカーが無料で提供している現像ソフトを使っています。Photoshopのような高機能レタッチソフトも使ってみたいのですが、高価で手が出ません (^ ^);
玄白
- クッシーさん からの返信 2016/08/29 19:59:25
- 早速にありがとうございました
- 玄白さま
早速にご教示くださりありがとうございました。
また御礼が遅くなり失礼いたしました。
探していたのはまさにこのような機能です。
スマホではフリーのコラージュアプリが沢山あるのですが
パソコンではイメージに合うものが見つけられなかったので
ご紹介いただけて嬉しいです。
さっそくトライしてみましたが、組み合わせフォームの数も多く
操作もシンプルで楽しめそうですね。
今後は旅行記作成でも使わせていただきます。
これからもまたいろいろとお教えください。
どうもありがとうございました。
クッシー
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