2016/07/03 - 2016/07/03
77位(同エリア561件中)
玄白さん
オーストリア・チェコ一ヶ月のんびり旅の個別旅行記第10弾は、インスブルック近郊のヴァッテンスへ。ここには、装飾ガラスの世界的ブランド、スワロフスキーの本社工場があり、その敷地内にスワロフスキークリスタルワールドという、クリスタルガラスの魅力をアピールする展示施設がある。様々な芸術家、建築家とのコラボでクリスタルガラスを題材にした作品を光と音で演出した見応えがある施設で、一企業の広告宣伝が目的ではあるが一種の美術館と言っても良いところだ。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 鉄道 高速・路線バス
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
昨日(7月2日)のノルトケッテの山歩きに引き続き、今日はパッチャーコーヘルでのハイキングの予定だったが、天気予報では時折小雨がぱらつくあいにくの天気。そこで、予定を変更してインスブルック観光の日とすることにした。
まずは、インスブルック近郊のヴァッテンスという町にあるスワロフスキークリスタルワールドへ。
公共交通機関ではとても行きにくいところにあるのだが、インスブルック中央駅前からシャトルバスが出ている。 -
駅正面の出口を出て左に50mほど行くと専用のバス停がある。一日5便しかない。(8:40、10:20、12:40、14:40、16:40)
10:20発のシャトルで出発。インスブルックカードを持っていれば無料。 -
20分ほどで到着。入場券もインスブルックカードがあれば無料。
口コミの評価では、必ずしも高い評価ではないスポットだが、クリスタルガラスを主役にした光と音のイリュージョンを撮影してみたかったので、あえて時間をとって訪れたのである。口コミの評価が高くない理由は、アジア系団体客で大混雑しているからということのようだが、幸い我々が訪れたときは、比較的空いていて、ゆっくりと見て回ることができた。 -
イチオシ
クリスタロワールドのシンボルとなっている巨人の顔。芝生で覆われた小高い丘の地下がクリスタルワールドになっている。口から流れ出る滝の右側に地下への入口がある。もちろん、目はクリスタルガラスでできているのだろう。
スワロフスキー クリスタルワールド 博物館・美術館・ギャラリー
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最初にブルーホールという青を基調にした展示室がある。壁一面に青色クリスタルガラスが埋め込まれた部屋に、いろいろな作品が展示されている。
これは Horse jewelry。 -
世界最大の水晶の結晶。31万カラットあり、ダイアモンドと同じカットが施されている。入口の巨人のモニュメントの心臓にあたる場所に置かれているのだそうだ。
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左上:サルバドーレ・ダリのシュールレアリズム絵画の代表作「記憶の固執」に描かれている、グニャリと曲がった時計がガラスで作られている。
左下:Niki de St Phalleという芸術家の作品「Crystal Bearing Nana」
どこか、縄文式土偶をイメージさせる造型だ。
右:ディズニー制作のミュージカル「アイーダ」で使われたブラッククリスタルを使ったオブジェ -
次の部屋「Mechanical Theatre」へ移動。ここはクリスタルとの関連が薄く、あまり面白くなかった。
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次の部屋はクリスタルドーム
球形の部屋一面に600枚のミラーを貼り付け、さまざまな色のLED照明が時間とともに移り変わる。とても照明が暗いので、カメラのISO感度を目いっぱいあげ、しかも手持ち撮影なので、写真の質はひどく悪いが、実物は鮮やかな色の照明で、万華鏡の中にいるような大変幻想的な空間が演出されている。 -
それほど混雑していないので、一枚記念写真をパチリ。
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「Silent Light」という部屋。冬をイメージさせるデコレーション
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クリスマスツリーっぽいオブジェ。 Tord Boontje と Alexander McQueenという2人の芸術家の作品で、もともとはロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館のロビーに設置されていたものを、ここに移設したという。15万個の小さなスワロフスキークリスタルが使われているという。
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イチオシ
「Into Lattice Sun」と名付けられた作品群。韓国のリー・ブルという現代建築家の作品だという。
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これも韓国現代建築家によるもの
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どこか、SF的未来都市の景観のような・・・
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「 Crystal Calligraphy」と名付けられた一連の作品。アメリカのガラス工芸家 Paul Seide という人物による。10mにおよぶ吹きガラス管を曲げ、アルゴン、ネオンガスを封入したネオンサインと同じ原理の光るガラスで作られている。
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「Ice Passage」
何もない廊下だが、人が通過すると、足元に氷の結晶が現れ、歩いた後に小さな氷のかけらが取り残される。時々氷が割れそうになり警告音も出るというサプライズ。 -
イチオシ
チロルの芸術家、Oliver Irschitz という人物の作品。
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「Transparent Opacity」という作品。広い部屋の中に、合金製、クリスタルガラス製、大理石製、鉄製の四方八方に突起が出た4つの相似形のオブジェが置かれている。
これは合金製のもの。 -
クリスタルガラス製のオブジェ。
クリスタルガラスが宝石のように美しい輝きを放つのは、ダイアモンドに近い非常に高い屈折率と透明度の高さのためである。通常のガラスの屈折率は1.5程度だが、クリスタルガラスは1.7~1.8、ちなみにダイアモンドは2.42である。こうした高い屈折率を実現するために、通常のガラス成分である二酸化ケイ素に多量の酸化鉛を混ぜて溶解する。クリスタルガラスに含まれる鉛成分は30~40%にも及ぶ。
スワロフスキーのクリスタルガラスの鉛含有量は34%だそうだ。 -
精巧なクリスタルガラスのオブジェ。サンドブラストで制作したものだろうか?
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「 Studio Job Wunderkammer」という展示室。メルヘンチックな建物模型だが・・・
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積もった雪は小さなクリスタルガラスの集まりで表現されている。
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マダガスカル原産の巨大な水晶の原石の展示
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イチオシ
あちこちにクリスタルガラス製の世界的に有名な建築物のオブジェが展示されている。
これはインドのタージマハール -
ニューヨークのエンパイアステートビル
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そしてピラミッドとスフィンクス
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「五千五百万の鏡」と称するコンピュータグラフィックスの一種。ほんのわずかな見る位置の違いで大きくその模様が変化する仕掛け。これはとても写真では表現できない。
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「Refrection」という展示室。48個の多面体クリスタルガラスの300面に、数学、物理学、天文学、化学など科学史の重要な出来事のイラスト、グラフィックスが描かれている。
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写真ではよくわからないが、この多面体は2重らせんの形で配置されている。
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この多面体クリスタルガラスは手で触れることもできる。
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イチオシ
なんともファンタジックな雰囲気が醸し出されている。
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科学史だけでなく、何やらパソコンゲーム風のキャラクターのようなグラフィックスや・・・
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アラビアンナイト風のイラストなども描かれている。
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可愛らしい女の子も興味深そうに、この不思議なクリスタル多面体を眺めている。
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いよいよ、光とクリスタルのイリュージョンの世界も終わりに近づいた。
球形のオブジェから光ファイバーのようなガラスの糸を通って光が流れ出ている幻想的な空間。 -
イチオシ
球形のオブジェは対になっているように見えるが、左側は鏡に映った虚像!
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次々と光の色が変わり、いつまで眺めていても飽きない。
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クリスタルガラスをふんだんに使ったドレスや、王冠、シンデレラが履いたようなガラスの靴など・・・
王冠はエルトン・ジョンの王冠というタイトルがついていた。ベルディのオペラ「アイーダ」を元にディズニーが制作したミュージカル「アイーダ」を作曲したのが、エルトン・ジョン。最初のブルーホールに展示されていたブラッククリスタルを使ったオブジェがミュージカル「アイーダ」で使われたものだというので、この王冠もミュージカル「アイーダ」と関係あるのかも? -
装飾用クリスタルガラスの世界的ブランドで知られているスワロフスキーは、1895年にチェコ人、ダニエル・スワロフスキーがヴァッテンスで操業開始したクリスタルガラス製造メーカーだが、息子のヴィルヘルム・スワロフスキーが1935年に子会社のスワロフスキー・オプティックスを設立し、双眼鏡やライフルスコープなどの制作にも乗り出した。あまり知られていないが、スワロフスキーは光学機器メーカーでもある。
そのため、双眼鏡のカットモデルも展示されていた。 -
クリスタルワールドの出口には広い土産物売り場がある。
光と音の幻想的空間で来場者にクリスタルガラスの魅力をこれでもかと魅せつけた後、ここで財布の紐を緩ませようという仕掛けである。 -
美しい品物を扱っているので、店員さんも美人揃いだ。
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明らかに裕福な中国人観光客をターゲットにしていると思われるクリスタルガラス製の龍の置物。値段は17,900ユーロとなっていた。
スワロフスキーの経営は、かつてほどの勢いがなくなっているという。中国やインドなどアジアの新興国への販売で活路を見出そうとしているようだ。 -
我が連れ合いの目的も、ここでのショッピング。そんなに高価なものは買えないので、自分でネックレスのようなアクセサリーを自作するための素材となるクリスタルガラスを記念に買うという。
あれこれ、迷いに迷うこと20分・・・ -
買ったのはこれ。玄白には、みんな同じに見えるのだが・・・
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ショップを出て右の方に行くと広々とした公園になっている。そこに80万個のクリスタルを使ったクリスタル雲がある。
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天気予報が外れ、青空が広がってきた。このクリスタル雲、太陽の光があたると、虹の7色の光を放ち、さながら真昼のイルミネーションのようだ。しかし、写真にすると、あまりそのきれいな光の色が写らない。どうしてなのか、最初はよくわからなかったが、しばし考えたところ、その理由に思い当たった・・・
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クリスタルガラスの発する光はほぼ理想的な点光源になっている。そのため、カメラ任せの適正露出にすると、点状の光は露出オーバーになって白トビしてしまうのである。意識的にアンダーに露出補正すると、かろうじて光の色が見えてくる。
このクリスタル雲を下から見上げると、実物はまさしく真昼の星空のような不思議な情景に見えるのである。 -
この日は風があって、池の水面は鏡のようにはなっていないが、それでも池の中に入っていくと・・・(水面ぎりぎりに柵があるので、濡れることなく池の中に入れる!)
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水面に映り込んだクリスタル雲の鮮やかな光がとてもきれいなのである。
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意識的にピントをずらすと、このようにクリスタルの発する光の色が鮮やかに写る。しかし、ピンボケではね~!
ソフトフィルターを使うといいかもしれないが、残念ながら、そんなものは持っていない。 -
こんなキラキラ輝くクリスタル雲の下で、持参した手作り弁当に舌鼓を打つ。
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ランチ後、先ほど買ったクリスタルガラス材料を眺めながら、どんなアクセサリーにしようか、思案中の連れ合い。
口コミでは評判が良くないスワロフスキークリスタルワールドだが、光と音の演出でクリスタルの美しい輝きを様々な作品で楽しめて、なかなか良かったという感想である。意外と暗いので写真としては良いものが撮れなかったが・・・
この後、13:40発のシャトルバスで、インスブルックに戻り、定番観光をするつもりである。
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この旅行記へのコメント (2)
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- こあひるさん 2016/10/11 14:45:43
- こんなところがあるんですね!
- 師匠、こんにちは!
スワロフスキー・・・あのキラキラを見ているとなんか幸せな気分になるのですよね〜(とはいっても、アクセサリーひとつと、アウトレットで買ったオーナメントをいくつか持っているだけですが)。
スワロのクリスタルと言っても、色々な趣向を凝らしてあるので、なかなか楽しそうです。
クリスタルのキラキラって・・・ああいうふうにピンボケさせるとキレイに色が写るものなんですね〜〜、面白いです。
こあひる
- 玄白さん からの返信 2016/10/11 21:18:42
- RE: こんなところがあるんですね!
- こあひるさん、こんばんは!
連れ合いのアクセサリー素材をみやげに買うだけなら、インスブルック市内の店に行けばよいのですが、クリスタルを題材にしたヒカリ物作品を撮影したくて、半日かけて出掛けてきました。
この手のものは、なかなか目で見たとおりにきれいに写真にするのは難しいですね。三脚使えば、もう少しなんとかなったかも知れませんが、狭い館内で大勢の人がいるところでは、そんなわけにも行かず・・・クリスタル雲は、日が射すと本当に真昼のイルミネーションみたいだったんですがね。「塩竈神社、神々の月明り」で撮影に苦労されたこと、よ〜くわかります。
玄白
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