2016/07/07 - 2016/07/07
36位(同エリア112件中)
玄白さん
オーストリア・チェコ一ヶ月のんびり旅の個別旅行記第15弾は、チロル入りして5回目のハイキング。Stubai谷の入口左側のPatscher-kofelの南側に聳えているSerles、その中腹(標高1641m)に創建1624年の古い修道院 Maria Waltrastがある。Telfesの谷を挟んで反対側にある Mieders村からゴンドラで頂上駅 Koppeneckまで行き、ほとんど平坦な道を1時間ほど歩くと Maria Waldrast修道院に至る。ここを往復するだけでは、ハイキングというより散歩なので、少しは山道を歩きたいということで、帰りは Waldraster Jöchlという小高い山を越えて Koppeneck駅に戻る。
Selresの修道院への巡礼の道は、一般の観光ガイド本では紹介されておらず、事前の旅行計画を練っているとき、「チロルの山を歩いてみませんか オーストリアアルプスハイキング徹底ガイド」(和田肇著、ラテール出版局)という本で知ったのである。
ハイカーだけでなく、祈りを捧げに訪れる人たちも大勢いるので、道は車が通れるほど広く、よく整備されている。道沿いには祠が建てられていて、普通のハイキング道とは雰囲気が違う荘厳な印象を受けるルートである。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 高速・路線バス
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
貸別荘があるTelfesからSerlesへのアクセスポイントである Mieders村へは、歩いて谷を横切っても40分くらいで行けそうではあるが、Stubai Supercardでバス乗り放題なので、遠回りしてFulpmes経由でMieders村へ。
いつもTelfes発8:52のバスに乗りFulpmesでバスを乗り換え、Mieders Serlesbahn停留所で降りる。
バス停から見たMieders村の様子。通りの奥には、昨日歩いた Elferが見えている。 -
バス停のすぐ前がゴンドラ Serles Bahnen乗り場
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ゴンドラに乗り込み、いざ頂上の Koppeneckへ
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頂上駅 Koppeneckのそばに、こんなきれいな水をたたえた(たぶん人工の)池がある。このあたりの標高は1600m。
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頂上駅の横にはベルクレストランや、子供達の遊び場がある。歩き始めてすぐ、振り返って撮影。
後方の山並みは、一昨日歩いたSchlick2000、その後ろがKalkkogel山群である。 -
Maria Waldrast修道院に向けて歩き出す。
しばらくは牧草地の中を通っていく。 -
牧草地
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イチオシ
目の前の岩山がSerles, 標高2717mの岩山である。当たり前だが、こんな岩山の頂上を目指すつもりは毛頭なし。
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歩き始めてすぐに樹林帯に入るが・・・
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ふたたび牧草地に出る。彼方に見える山並みは、チロル入りして最初に歩いたノルトケッテ山脈である。
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ゆったりとした九十九折りの道をのんびり歩く。
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針葉樹林越しにSerlesを望む
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やがて広い道に変わる。ハイキング道というより、車道のようだ。
正面にSerlesを見ながら進む。 -
ところどころにベンチが置いてあり、絶景を眺められる。
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随分、平らで広い道だと思ったら、こんなミニトレインが走っている。どうやらKoppeneckとMaria Waldrastを結んでいるらしい。小さな子供連れの家族や、修道院へ参拝する年配の人たちが利用しているのだろう。
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道端には牧草の花以外はそれほどたくさん高山植物が見られるわけではない。
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目立つのは栂のような針葉樹林である。Schlick2000やElferと雰囲気が違うのは、道が登山道らしくないこともあるが、植生の違いが大きい。
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巡礼の道らしく、ところどころ、こんな祠が建てられている。祠内には、Maria崇拝の修道院の巡礼の道らしく、マリアが描かれた聖画像が飾られている。
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やがて Maria Waldrast修道院付属の教会の尖塔が見えて来た。
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イチオシ
Maria Waldrast修道院。 奥に見える山並みはツィラータールに沿った山並みだろうか。
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修道院の道を挟んで反対側の池で、子供達が水中ウォーキングを楽しんでいる。
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教会に入ってみた。修道院付属の教会なので装飾に派手派手しさはないが、清廉さが感じられる。
主祭壇(右)と左右の翼廊の祭壇。左側のピエタが飾られている翼廊の祭壇にはひときわたくさんのローソクが備えられている。 -
側廊の壁には、ローマ総督ピラトから磔刑を宣告されたイエスが、十字架を背負ってゴルゴダの丘に向かい、十字架に磔けられるという、おなじみのキリスト受難の絵が飾られている。
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説教壇もシンプルだ。
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小規模ながらも均整がとれた美しいパイプオルガンも設置されている。
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天井のフレスコ画がレリーフ。左下も文様は、何を意味しているのかと思ったが、よく見ると MARIA というアルファベットを図案化したもの。
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2005から2013年までローマ法王に在位していたヴェネディクト16世の写真も飾られていた。
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修道院に通じるドアの彫刻
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教会の向かいにある聖母マリアの泉。ここで喉を潤したり、ペットボトルに入れて持ち帰る人も多い。霊験あらたかな水ということなのだろうか。
飲んでみたが、確かに美味だった。 -
修道院の隣りに小さな売店があったので、覗いてみた。
夥しい数のローソクが売られている。おそらく、ここで買って教会で祈りを捧げるときに使うものであろう。
下の写真の瓶は、ラベルの絵と「PINIEN-LIKOR」という文字から、松脂のリキュールらしい。修道院では昔からワインや薬草リキュールが作られていたが、松脂リキュールとはめずらしい。ギリシャワインで「レチーナ」という松脂が入ったワインがあるくらいだから、松脂リキュールもいける味かもしれないが、買うにはちょっとギャンブルかな・・
店員のオバサンに、これはどんなリキュールかと聞いてみたところ、16世紀にフィレンツェの修道士がこの地に伝えたもので、ジンに似た味だという。やっぱり、やめておこう。 -
20分ほど休憩して引き返す。
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帰りは広いなだらかな巡礼の道をはずれ、 Waldraster Jöchlという、Serles中腹の小高い丘のような小さな山を通り越してゴンドラ駅に戻る。修道院からは240mほどの登りになる。標識によれば頂上まで1時間。
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少し登ったところでWaldrast修道院を見下ろす。
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Serlesの山容。8合目くらいまで針葉樹林が続き、それより上は荒々しい岩山となっている。
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この登山道にも小さな祠が立てられている。番号が振られていて、ここは12番目。木札に、ここでイエスは十字架で亡くなったというようなことが書かれている。どうやら、登山道の途中に立てられている祠はキリスト受難をたどっているようだ。
そういえば、大した標高差はない山だが、傾斜はきつく、十字架を背負ってはいないものの、苦しい。イエスの受難の苦しみの数千分の一の苦しみだろうが、苦しいことに違いはない。自ら進んで苦しい目に合うという点で、キリスト受難と登山は共通するものがあると言えば、言い過ぎかな・・・ -
イチオシ
進むに連れて、Serlesの山頂の形が少しずつ、変わっていく。
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ブックスタイルの解説プレートにMaria Waldrast修道院の縁起が説明されている。
最初のページには「Maria Waldrastはチロルで最も標高が高い巡礼地で、1641mに位置している。Serlesの足元の美しい場所とその霊気は600年に亘って巡礼者やハイカーを魅了し続けて来た」というようなことが書かれている。 -
途中に、こんな質素な礼拝堂が建てられている。
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伐採されたのか、自然に枯れ死したのか定かではないが、ぽっかりと木がないところに出た。
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このルートを歩く人は少ないらしく、道案内標識も壊れたままになっている。
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大きな松ぼっくり
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この頂上にも十字架が立っている。オーストリアの山は、ほとんどすべての登れる山の頂上に十字架が建てられている。日本の山も山岳信仰で神社の祠があることを考えれば、特に珍しいとは言えないだろう。
十字架の柱の根元に金属製のボックスが取り付けられていて・・・ -
記帳ノートが入っていた。登頂記念のメッセージを自由に書き込めるようになっている。最初からめくってみたが、日本人が書いたメッセージは見当たらない。日本語と英語で名前(本名)と初めてチロルに来た印象を書き綴っておいた。
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山頂は針葉樹林に囲まれていて、期待したほど、見晴らしは良くない。
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ここで、本日のハイキングランチ。今日は簡単なちらし寿司と昨晩の残りのクリームシチュー。そろそろ、日本から持参した食材が残り少なくなってきた。
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荒れているというほどではないが、ハイキングルートに倒木が放置されたままになっている。やはり、ここを通る人は少なそうだ。
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少し眺望が利くところに出た。彼方に見えるのは Marchrelsendspitze と AmpfersteinというKalkkogelの端に位置する2山。オーストリアの山は、なじみがないので地図と首っ引きでみないと山座同定できない。
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またまた、カトリックの祠
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このコースは、花咲く高原といった風景はなく、森林浴コースである。
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オーストリアではチロルに限らず、飛行機雲をたなびかせて飛んでいる飛行機が多い。
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Koppeneckに戻ってきた。公園の中に展望台が設えられているので、行ってみよう。
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展望台の上は360度の眺望。
北方向、Nordkette山脈 -
Patcherkofel
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西方向。Schlick2000とKalkkogel山塊遠望。歩いている途中でも何回も見た。
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南方向 隣りの山 Elfer。奥に見えるのは氷河を抱くStubaier Alps。ここは、ロープウェイが動き出す明後日に行く予定。
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Patcherkofelの山裾とNordketteを望遠にて。Innsbuckの街はPatcherkofelの裏側にあたる。
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持参した双眼鏡で眺望を楽しむ連れ合い。
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イチオシ
牧草地は一面の花畑
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ここは子供達にとっても楽しい所である。
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最後のお楽しみは、これ、サマーリュージュ。子供の遊具かと思いきや、大人が楽しんでいる。
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意外にそりが小さい。大柄な人は窮屈そうだ。
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いよいよ、連れ合いの番。ジェットコースターの類が大の苦手な連れ合いは、こわごわそりに乗り込む。
操作はレバー一本。前に押すと加速、手前に引くとブレーキ。前の人は40m郷里を開けるようにと、簡単なオリエンテーションを受けてから出発。 -
乗っている間はカメラやビデオ撮影禁止なので写真は無し。
連れ合いを先に出発させたのが失敗だった。ノロノロ運転でスピードが出せず、面白さ半減。
一人一台だが、小さな子供は前にだっこして二人乗り。これは到着点での撮影。 -
早めに山歩きが終わったので、今日の午後は貸別荘の近くのプールで過ごすことに。例のStubai Supercardで、一回だけタダで利用できるのである。
その様子については、
旅行記「初めてのチロル、暮らすように旅する10日間 ~シュトゥバイタールにて~」
http://4travel.jp/travelogue/11172059
で紹介済み。
普通のハイキングコースとは、ちょっと趣きが異なるSerlesに別れを告げ、Telfesへ。
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