2015-7月　嘉義縣の旅　15　嘉義縣政府

2015/07/18 - 2015/07/22

　旅行三日目、７月２０日月曜日の午後。ようやくメインイベントの嘉義縣政府にやってきました。

　今シリーズ最初の旅行記に書いた通り、嘉義県の縣政府所在地（県庁所在地）は太保市です。
　太保市は県下第５位の人口規模でありながら縣政府所在地なのです。しかも台湾で最も人口が少ない「市」です。なぜここが県政の中心地になったんでしょう？

　台湾ヤフーのＱ＆Ａによると。
　嘉義縣の県庁所在地はもともと嘉義市でしたが、民国71年に嘉義市が省轄市に昇格し嘉義縣政府は場所を移す必要がありました。
　嘉義縣で長く政治力を持っていた勢力は海側自治体に多く、山側の出身者の没落を招いていました。
　政治的な理由により縣政府は太保の東勢寮に設けられ、縣政府所在地についての法律に基づき大保子は縣轄市になりました。
（翻訳：私　なのでかなりアヤシイ…）

　つまり政治的な力関係で県下第五位の自治体（当時は太保鎮でした）に縣政府が誘致され、当時の法律では縣政府所在地は規模にかかわらず市になれると規定していたため太保は市になったんです。この法律で市になったのは太保だけではなく、馬公、南投、苗栗、新營、斗六も人口要件を満たさないまま市になりました。（現在はその法律規定はなくなっています。）

　では朴子は市になる要件を満たしているのでしょうか？
　人口は2015年現在43,240人と、市になる条件（人口15〜50万）には遠く及びません。
　実は太保が市になった翌年、朴子も特例で市になったんです。なぜ特例が認められたかというと、朴子に嘉義縣議会の建物があるから。太保より少し大きな自治体である朴子は、太保だけが県政の中心になることを許さなかったようです。縣政府を太保と朴子の境付近に設定し、縣議会は朴子に誘致したわけです。
　朴子は「縣議会がある」という理由で市になった台湾唯一の自治体なんです。

　現在両市を跨ぐ地域が「縣治特区」として開発中。太保の「太」と朴子の「子」をとって「太子市」というシンボリックな名称も考え出しました。
　これからが楽しみです。

エリア 嘉義(台湾)

• 旅行の満足度: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 10万円 - 15万円
• 交通手段: 高速・路線バス 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

　嘉義客運朴子站15：45のバスで縣政府へやってきました。
　10分くらいで着きます。

　朴子や嘉義から縣政府へ行くバス路線には嘉義客運、ＢＲＴ、嘉義縣公車があります。
　嘉義客運とＢＲＴのバス停はと同じ縣道168線沿いにあります（ＢＲＴの運行会社は嘉義客運）が、縣公車のバス停は少し中へ入った野球場前にあります。両方ともバス停名は縣政府なので紛らわしい。ＢＲＴや縣公車の一部は縣政府北にある長庚病院を経由しますし、嘉義客運の一部は永慶高中（高校）を経由するなど、経路が数種類あり複雑ですが縣政府前にはどの路線も止まります。

　付近の地図です。

　二頭の馬が嘉義県を見守っています。

　情熱、奔放、阿里山。
　縣政府前の地面にあったタイル。県のマークでもないし、８６年（1997年）に記念すべきことでもあったんでしょうか？

　県の政府機関があつまる縣治特区は東半分が太保市、西半分が朴子市です。そしてここがその境目。期待通りに市境の碑がありました。

　こっち側が太保市で。

　こっち側が朴子市。

　碑から黒い線が伸びていて、

　その先にあったのがこの看板。
　ここにカメラを置いて自撮りに挑戦。

　看板から見るとこんな感じ。真ん中に小さく見える黒いのが市境の碑。

　うまいこと市境に立てました。やった！

　朴子市側にあるのが縣政府。

　朴子側と太保側の街灯に違いがあるのか検証してみることに。
　この街灯が朴子側。

　これが太保側。
　やっぱり違いますね。使ってる業者が違うとか？（←太保と朴子は別に対立なんてしてませんから。誤解なきよう。）

　これが太保市にある縣政府です。

　平日の昼間なので県民を装って中に入ってみます。

　旧台中縣政府に似た吹き抜け構造です。上の階の廊下とか暑そうだなあ。

　ベンチかと思ったらアート作品でした。

　坪庭風の場所やカフェもあります。
　縣政府ではちゃっかりお手洗いを借りました。

　高鐵駅にあったアート作品がここにも。このお二人、作品ごとにペイントが違います。

　高鐵駅のところにも載せましたが、アートの説明です。言い回しが難しくて意味がよくわかりません。

　縣政府から北へ、その名も「太子大道」という遊歩道が続いています。
　この先１キロのあたりに「国立故宮博物院南院」を建設中です。

　太子大道から見る縣政府（左）と縣議会（右）。

　太子大道を歩きます。

　途中にあったアート。南院と複合した芸術エリアにするのでしょうか。

　塀の向こうに建設中の南院が見えます。
　台北の故宮博物院が手狭で展示に限界があることと、台湾南部の振興のために「南院計画」が打ち出され、数多あった候補地から嘉義縣が誘致を勝ち取ったんです。高鐵駅から近くていい場所ですよね。多くは台糖の土地だったようです。

　建物はだいぶできていますが完成には程遠い感じ。調べてみてもいつ開院するのかはふれられていません。

　ちなみに、南院の敷地は全て太保市です。

　どこかのバス停に完成予想図があったので撮影しておきました。周りを人工湖に囲まれた優美な姿です。

　縣治特区は太保にとっても朴子にとっても市街地から離れた僻地です。農地のただなかに突然未来都市のごとく、政府機関や学校、病院が群れをなして立ち並んでいます。

　その一つがこの高校。周りには学習塾と宿舎らしき建物しかありません。誘惑ゼロ。進学校かな？

　建物より先に道路が整備されているので、交通量がとても少ないです。

　こちらは大学の建物。

　長庚科技大学嘉義キャンパス。

　まだまだ空き地が目立つ縣治特区。あちら側には何ができるんでしょう。

　太子大道を歩いて戻ってきました。
　公園があったので入ってみます。

　小山があったので登ってみましたが、たいして景色はよくなかった。

　朝の天気予報では一日雨が降る（しかも大雨）って言ってたから、日焼け止めも塗らずサンダルで歩いてましたが、結局降られることなく、サンダルの形に日焼けしました。脚も疲れた。

　再びバス停。時刻は17：00。この後はどこへ行こうか…。