2009/05 - 2009/06
179位(同エリア374件中)
小心者さん
【ダマスカス→アンマンの国境越え】
ダマスカスの『ソマリエ・ガラージュ』から乗合タクシーでジャーベル国境を越えました。
「4人集まれば出発する」とのことでしたが、結局アラブ人のおじさん2人が乗り込んで、3人で出発しました。
途中で車が炎上していて、ちょっと渋滞。
運転手さん含むおじさん3人が車を降りたので、野次馬根性で後に続こうとすると「キミは見ない方がいい」と阻まれ黒煙しか見えず。くそぅ。
シリア側の免税店は空港のように立派。
国境での荷物チェックなどは非常に簡単で、難なく通過しました。
乗り込む際に漠然と「アンマン」としか言われなかったので一体どこで降ろされるのか不安でしたが、ダマスカスを出発してから3時間ほどで、アンマンの『ムジャンマ・アブダリ』に到着しました。
(乗合タクシー550SP、シリア出国税500SP)
【アンマンで宿泊したホテル】
『サンライズ・ホテル』・・・ムジャンマ・アブダリのすぐそば。トイレ・シャワー付きツインルーム 10JD
『ZAHRAN HOTEL』・・・キングフセイン・モスク裏。トイレ・シャワー共同ツインルーム 6JD(シャワー別料金)
『マンスール・ホテル』・・・トイレ・シャワー共同ツインルーム 8JD
ヨルダンの通貨・・・JD(ヨルダン・ディナール)
1JD=約140円(2009年5月現在)
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 25万円 - 30万円
- 交通手段
- 鉄道 高速・路線バス タクシー
- 航空会社
- アエロフロート・ロシア航空
-
乗合タクシーを降りた途端、寄ってきたタクシーのオッサンにガンガン話しかけられて混乱。
強烈な陽射しから逃げたいのも相まって、目の前の『サンライズホテル』に飛び込みました。
ダマスカスのホテルがきれいだったのでボロく感じましたが、疲れもあってここに泊まることに。
チェックインの際にパスポートを預けさせられましたが、これが後に災難を呼びます。 -
宿の人に「ダウンタウンまで徒歩10分」と言われ、両替と夕食のためにダウンタウンまで歩いてみたらめっちゃ遠くて更に疲弊。
この「たいした距離じゃない」という過小申告は過去に何度もヤラれ、ジモピーの「徒歩○分」は信じてはいけないと肝に銘じました。
アンマンのダウンタウンの街並み。
ダウンタウンは小高い丘に囲まれています。 -
かつてフィラデルフィア大聖堂のあった場所に建つ『キング・フセイン・モスク』。
-
モスクのすぐ横には食料品スークがあります。
カップ麺を売っているお店もあって感激!もちろん食べました。 -
ヨルダン人もやっぱり写真好きです。そしてフレンドリー。
でもシリア人ほどではないかな。 -
スークを抜けると、妖精ニンフに捧げられたという『ニンファエウム』があります。
現在は重機が入って修復作業中のため、内部の見学はできませんでした。 -
さて。ここでサンライズホテルでの受難について記しておきたいと思います。
めちゃくちゃ長文になり、申し訳ありません。
**********************
レセプションで迎えてくれたのは、ものすごくヘラヘラした男の子だった。
愛想いいのはありがたいが、とにかくずっとヘラヘラしているので、何やら信用ならない気持ちになること甚だしい。
ダウンタウンで早めの夕食を済ませて部屋に戻り、シャワー中に停電(真の闇)されたりとロクでもない目に遭う。
明日はペトラ行きのバスに乗るため早朝5時起きだ。
そして私はふと、レセプションに預けさせられたパスポートのことが気になってきた。
低血圧の私は朝に弱い。タダでさえボンヤリしているのに、寝起きは更に割増。
なので、明日のチェックアウト時にパスポートを返してもらうことを忘れないか大いに不安になったのだ。
そこで、今夜のうちに返してもらえないか尋ねてみることにする。
「へらへら君、交代してないかなー」という私の願いも虚しく、レセプションではへらへら君がテレビを観ていた。
もちろん相変わらずヘラヘラしている。どころか、テレビのせいで更にヘラヘラが増している。
パスポートの返却を交渉してみたが、ヘラヘラしながら
「パスポートは金庫の中で、鍵を持ったオーナーが今いないから明日まで待って」
と、ろくに目も合わさずに言う。
私のパスポート如きよりもテレビの方がはるかに重要であることを隠すつもりは全くないらしい。
私は俄然不安になってくる。 本当に大丈夫なのかっ!?
どうしようもないので渋々部屋に戻り、明日に備えて早々にベッドに入る。
国境越えの乗合タクシーの中で爆睡したせいか、なかなか眠れない。
1時間以上悶々としてやっと少し眠気の兆しが見え始めた時、突然ドアがノックされた。
一瞬ドキッとした後、私は「あ!パスポートを持って来てくれたんだ!へらへら君、意外とやるなぁ」と勝手に突っ走った。
そしてドアに駆け寄り、何の疑いもなくドアを開いた。
しかし、なぜかそこには全身黒ずくめのチャドルを着た女性が立っていた。
…へ?
えーっと…どちらさんですか?
彼女はキョトンとしている私の目を見ながらつかつかと部屋に入り、後ろ手にドアを閉めた。
えっ? えっ? えっ? なに? なに?
誰、この人?
私は混乱する頭で「どこかで見たな、この人」と必死で考える。
確か、さっきフロントでへらへら君と話している時に廊下で立っていた女性だ。
で、それはいいとして、いったい何の御用ですか?
当然、彼女はここのスタッフではない。
宿泊客なのか? ひょっとして告られるのか?
はっ!もしや占い師(押売り型)?(←黒ずくめの格好からなんとなく想像)
ま、まさかマッサージ師(押売り型)!? し、しかもちょいエロい系っ!?
混乱しまくる私を尻目に、彼女は狭い部屋の中をキョロキョロと見回しまくっている。表情は、無表情と半笑いのちょっと無表情寄りな感じ。
そして、おもむろに私に向かって掌を差し出した。
どうやら彼女は私に何かを要求しているようだ。
…で、何を?
てか、なんで?
ひょっとして先払いなのか? てか何の?
事態は完全に私の理解を超え、混乱しすぎて固まる。
頭の中は「あぁ何でスカッっとドアを開けてしまったんだろう。さすがアホだなぁ」と後悔の念でいっぱいだ。
静止してしまった私に業を煮やしたらしい彼女は、差し出した掌を私にぐいぐいと押し付け、口を開いた。
「まいまい」
……??
…『まいまい』って何? 何語? もしかしてMyMyってこと?
私はますます混乱を極める。
固まったまま顔を引き攣らせる私に、彼女は「まいまい、まいまい」と繰り返しながら詰め寄ってくる。
そしてついには部屋にあった椅子に腰掛けてしまった。
ああ゛・・・もう・・・(号泣)
・・・どうしたらよいのか?
どうすればこの人から解放されるのか?
『まいまい』なるものを渡せば出て行ってくれるのか?
てか、そもそも私は『まいまい』を持っているのか?
渡せなければこの人はここに泊まっていくのか?
なんでこんなことになってしまったのか?
・・・はっ!!
そんなことより、私は明日5時起きだっ! いったい今何時だっ!?
自分の睡眠時間に考えが及んだ瞬間、私は突然スイッチが入った。
「あなたの言ってることが分からない。私は寝るから出て行ってください」と、彼女を立たせて部屋から押し出した。
意外にも彼女は何の抵抗もせずに微半笑いのまま押し出されて行った。
私はドアにがっちり鍵をかけてベッドに倒れこむ。
……。
あ゛ーーーー怖かった。
なんだったんだろう。
てか結局『まいまい』ってなんなのか?
今回は相手が女性だったし、正体不明ではあったがとりあえず実害はなかった。
けれどもしもこれが悪意のある相手、たとえば強盗だったりしたら、私は完全に身ぐるみを剥がれて簀巻きにされ、ペトラどころではなくなっていただろう。
とにかくもう少し気を引き締めないと、次は命を落としかねない。
こんな不祥事が旅慣れた日本人にバレたらどれだけ説教されることか!
さすがに自分の馬鹿っぷりを大いに反省した。
そんなこんなで、ほとんど眠れないまま翌朝を迎えた。
レセプションに行くと、またまた私の願いも虚しく、そばのソファでへらへら君がスヤスヤ眠っていた。
私は遠慮なくへらへら君を叩き起こし、パスポートを返してくれるようお願いする。
へらへら君はさすがにヘラヘラしてなくて、9割9分9厘は夢の中にいる様子だ。
のろのろと金庫を開けて中を見た彼は「パスポートは無いよ。昨日返したはず」とぬかしやがった。
…あぁ良かった。念の為に早めにチェックアウトして良かった。
絶対すんなりいくはずがないと思ったんだよ。
私は「返してもらってない。とっとと探してください」と言い募る。
「もし無かったらどうしよう…」と、既にちょっとパニックになっている。
へらへら君は切羽詰った私を見てさすがにヤバイと思ったのか、そこらじゅうの引き出しを捜し始めた。
そして、明らかにテキトーにガラクタを突っ込んであるっぽい引き出し(鍵なし)から私の赤いパスポートが出てきた。
……そんなとこに入っとんなら昨日のうちに返してもらえたんとちゃうんかぁぁああ!!!
と、心の中で叫びながらパスポートを受け取り、それでも見つかったことにホッとする。
そして、出発しようとした私に彼は「1泊18ドルだよ」とのたまった。
はあぁぁぁああ!!? 昨日チェックインの時に払っただろうがぁぁああ!!
てか、1泊15ドルだろうがぁ!寝ぼけとるくせになにちょっとボッとんねんっ!!!!! しばくぞ!!!!
という心の声とは裏腹に「えっと、昨日払いましたよ」と応えた私に、へらへら野郎は「あっそう。じゃ」と手を振り、そのまま間髪入れずにまたソファに横になったのだった。
時間に余裕が無くなった私は、バックパックを背負ってバス停への坂道(1キロ余り・全行程上り)を死ぬ気で急ぎながら「なんだかヨルダンは相性が悪い気がするぞ」という予感に怯えるのだった。
そして、もちろんその予感は残念すぎるほど当たりまくっていたのだった。
合掌。 -
↓ここからは、ペトラから戻って二度目の滞在の際の写真です。
ペトラからバスとセルビスを乗り継いてアンマンに戻った私は、前日の暴挙が祟りまくり、まさに半死半生。
一番最初に目についたホテルにヘロヘロと飛び込み、とりあえず2時間ほど爆睡。
その後我に返ると、ホテルは相当ボロくてアラブ人のおっちゃんしかいない。カーテンは寸足らず。共用シャワーなど浴びられる状態ではありませんでした。
明日はホテルを移動しようっと。
写真は、キング・ファイサル通りに建つ、アンマン最古の石造建築物『The Duke's Diwan』 -
ここには道で取り憑かれた『勝手にガイド』が連れてきてくれました。
それは良かったのですが、不気味だし執拗だしで往生しました。
このおっさん、顔見知りらしき人々に声をかけるのですが、軒並み塩対応が返ってきていました。
露天商のおばあさんからは「ソイツは駄目だ」と渋面で首を振られました。 -
古い洋画に出てきそうなラジオ。
1924年に建てられたこの建物は、現在は観光客にも解放されています。
ここではなぜかジュースを振る舞われました。
おっさんは貪るように何杯も飲みまくり、ここでも塩対応くらっていました。
どういう人なのかわかりませんが、振り切っても振り切ってもまた湧いてきて取り憑かれました。
自分のこの小心者ヅラが恨めしい。
振り切る度に暴言は吐かれるし、最後には金を請求され、断ったらまた罵られ… -
中で催されていた集まりに出席されていた方。
手にしているのは、アラブ音楽で使われる『ウード』という弦楽器。
結局なんだかよくわからないままここを後にしました。
ところで、この建物の横の路地に『ハビーバ』というカナーファ屋があります。
持ち帰り専門ですが、とろけたチーズが絶妙で、いつも人だかりができています。
『ハーフサイズ、シロップなし(0.5JD)』で是非味わってみてください。
カナーファ:薄い生地の間にチーズやクリームを挟んで焼いた温かいデザート -
アンマンで食べたものをいくつか紹介します。
これは、キング・ファイサル通りの食堂で食べたサンドイッチとサラダ。両方で1.5JD。
サンドイッチは、具を挟んでからオーブンで焼いてくれます。
今回の中身は『チキンと野菜のカレー煮込み』。 -
『マタアム・エクスプレス』で食べた、モロヘイヤスープとごはん。両方で1.25JD。
ご飯頼んでもパンは付いてきます。 -
『ハーシェム・レストラン』で食べた、ファラーフェルとホンモスのセット。両方で1.0JD。
※ホンモス・・・豆をペースト状にしてレモン汁などを混ぜたもの
ファラーフェル:豆を潰して香辛料を加え、丸めて揚げたもの -
3軒目に泊まった日本人宿『マンスールホテル』で知り合った若者にご一緒させてもらった『カイロ・レストラン』での食事。
手前が私の食べたオクラスープ0.6JD。
後日、右奥の『チキンと野菜の煮込み』も食べましたが、女性一人では食べきれる量ではありませんでした。
でも、スープも煮込みもおいしかったです。
私は、日本人の若者がひしめく『日本人宿』が苦手であまり寄り付かないようにしています。馴染めず浮きまくるし、夜になると共有スペースでこぞってブログを更新するその姿が異様だし、ハンドルネームで呼び合うことにも違和感を覚えるし。
しかし、この時はこの先の行動を決めるのに役立ちました。
・当初はアカバからエジプトへ渡るつもりだったのですが、ヨルダンでコテンパンにされるうちにシリアが恋しくてたまらなくなり、シリアに戻ることにしました。
・宿の若者たちにイスラエルへと誘われ(イスラエルに向かう組が毎日いる)、かなり心が揺れましたが、万が一パスポートにスタンプを押されたら二度とシリアには戻れないので断念。
・結局『エジプト→ヨルダン→シリア』の私とは逆ルートの若者と一緒にシリアへ向かいました。
この数年後にエジプト旅行を2度計画しましたが、『アラブの春』などのお陰で遂行できず。おそらくもう死ぬまで行けないと思います。
やはり「行ける時に多少無理してでも行っとけ」が鉄則ですね。
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