2009中東16　シリア(クネイトラ)

2009/05 - 2009/06

ゴラン高原にある『クネイトラ』は、1967年の第三次中東戦争の最終日にイスラエル軍に占拠され、1974年に撤退する際に爆撃によって破壊された町です。
廃墟となった町は、イスラエルのこの行為の記録として、シリア政府によって公開されています。

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【クネイトラへの行き方】
まず『マリキ広場』近くにある内務省の事務所で許可証を取る必要があります。許可証は、パスポートを渡すと30分ほどで発行されます。
ガラージュ･ソマリエからクネイトラ方面へのミクロバスで終点のバスターミナルへ(30SP)。
そこで、許可証とパスポートのチェックを受け、ガイドと一緒にクネイトラ行きのセルビスに乗り込みます(10SP)。

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ダマスカスの宿からマリキ広場へ行くにはタクシーしかなさそうなので歩いて向かいましたが、遠くて暑くてたいへん後悔しました。この「ちょっとのお金をケチって疲弊する悪癖」、いい加減にしてほしいです。

日本大使館前で『豚インフル情報』を眺めた後、許可証をもらってクネイトラへと向かいます。



シリアの通貨･･･SP(シリアンパウンド)
1SP=約2.04円(2009年5月現在)

エリア その他の都市(シリア)

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 25万円 - 30万円
• 交通手段: 鉄道 高速・路線バス タクシー
• 航空会社: アエロフロート・ロシア航空

許可証の発行を待っているとドイツ人家族(3人連れ)が現れ、「ガラージュ･ソマリエまでタクシーをシェアしない？」と提案されました。
ソマリエまで歩く気力はないのでOKし、ソマリエからバスとセルビスを乗り継いで、この国連監視下の非武装地帯『クネイトラ』に到着です。

私は孤独癖が強いので一人で行動したく、あれこれ策略を練りましたが、そんなことは不可能で、結局強引に4人一緒くたにされてセルビスをチャーター。
ガイドさん含めた5人で回ることになりました（そもそも待機しているガイドさんが一人しかいない）

この時は「これほど人が訪れそうにない場所なのに、なぜ家族連れと一緒になるかね」と自分の不運を嘆いていましたが。

私は意外にも『めっちゃ気を遣うタイプ（ほぼ空回り）』なので、一人だったら気後れして写真の1枚も撮れなかったかもしれません。

ドイツ人家族はちゃんと自己主張してくれるので、そこそこ便乗させていただきました。
それにしても、旅行中にドイツ人と出会う確率の高さは異常。

まずは、破壊されたモスクへ。

一見のどかにすら思える景色ですが、モスクの隣にも破壊された建物が。

次に病院へ。

だいたいは車窓からの見学ですが、ここには入ることができました。

壁には夥しい数の銃弾跡が残っています。

病院内部へ。

中は破壊し尽くされています。

階段の裏側にまで銃弾の跡。

あまりの惨状に絶句。
戦争の怖さと愚かさを目の当たりにし、落ち込んできました。

おそらくダイナマイトで爆破され、ひしゃげてしまった建物。
軍事施設かなにかでしょうか。

同様に潰された建物があちこちに見られます。

ここは『高原』というだけあって標高が1000mあり、気分の落ち込みも相まってか、少し肌寒さを感じました。

教会の中にも入ることができました。

ここはほぼ原型をとどめており、目立った被弾後なども見えません。
モスクは破壊したイスラエル軍ですが、さすがにキリスト教会は破壊できなかったのでしょうか。

しかし内部はがらんどう。
戦争の際の略奪によるものなのか、のちに何らかの手が加えられたのか、詳細は不明です。

床には瓦礫が散乱しています。

この後、商店や学校などが破壊された街並みを見学しました。
しかし、その悲惨さに疲弊し、もはや写真を撮る気力が残っていませんでした。
この地には、いまだ『負の感情』が渦巻いているようでした。

そんなヘタレな私とは対象的に元気いっぱいなドイツ人家族が「子供に何か食べさせたい」と言いだし、強制的に（セルビスをチャーターしているため一蓮托生）そのままカフェへ向かいます。
この時も私は「いや、もう早くここを去りたいんですけど」と内心不平不満。

すると、傍らでお茶会中の皆さんが食事に招いてくださいました。
クネイトラ見学に来られたとは到底思えず、ご近所にお住まいの方々なんでしょうか？（左手前がドイツ人母娘）

いろいろと御馳走になり、なかでもホンムス（豆のペースト）が絶品。
ニコニコとフレンドリーなご婦人方のご好意がとてもありがたく、少し心が晴れて「よし。明日マアルーラに行こう」という気力が戻ってきました。（凹むとなぜかとっととその地を離れて遠くに逃走する癖ﾍｷあり）
シリアの方々の優しさに感謝の極みです。

そして、もしも自分ひとりで回っていたらこんな時間は過ごせなかったに違いなく、どれほど凹んでここを去ることになっただろう、とドイツ人家族にもひそかに感謝しました。

この旅行記へのコメント （2）

• ciao66さん 2009/08/18 19:46:15

  戦争の廃墟

  この建物に人がいたのかと思うと本当に悲惨ですね。
  私も後が続きません・・・。

  小心者さん からの返信 2009/08/19 00:37:43

  RE: 戦争の廃墟

  言葉というものも大きな意味を持つと思いますが、
  このような惨状を実際に目の当たりにして、戦争の悲惨さがダイレクトに胸に迫ってきました。
  
  まさに、物言わぬ証言者ですね。