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極寒のオシフィエンチム駅で8時近くになるまで耐え抜き、バックパックを背負ったまま徒歩で博物館に向かいました。<br /><br />ここに『オシフィエンチム駅での悲劇』を記しておきます。<br />長いので、お読みいただくと時間を無駄にします。<br /><br />******************<br /><br />出来るだけ到着が遅れますように…と祈ったが、無情にも列車は定刻どおり午前5時前にオシフィエンチム駅に到着した。<br />それでなくても冷え切った未明の寒さに追い打ちをかけるように、冷たい冷たい雨も降っていた。<br />駅舎に入ってみたが何もない。ベンチすらない。ガラーンとしてものすごく寒い。<br />どうやら2階に待合室っぽいものがあるようだが、今の時間は閉鎖されている。<br />どうしようもない。<br />駅の端っこにある石の段差に腰掛けて朝を待つ。<br />ひんやりどころか、氷のような石からも冷たさがヒシヒシと伝わってくる。<br /><br />あぁもうダメだ。本当に凍え死ぬかも知れない。<br />私は少しでも体温を逃がすまいと身体を丸めていた。<br />ひょっとして凍死寸前までいっていたのかも知れない(話盛り気味)。<br /><br />突然頭に激しい衝撃を感じた。<br />私は床に倒れていた。<br /><br /><br />一体何が起きたのか!? 棍棒状のもので殴られたのか!? さっき隣で新聞を読んでいた若者に!?<br />痛みより先に『犯罪に巻き込まれた!』ということがショックでパニックを起こしかけている。<br /><br />しかし周りには誰もいなかった。さっきの若者もいなかった。<br /><br />どうやら私は身体を丸めて眠りこけ、台から勝手に転げ落ちたらしい。<br />いやいや。眠りこけたわけではないと思う。凍死寸前で意識が薄れていたのだ(たぶん違います。すみません)。<br /><br />なんにせよ、とりあえずさっきとは違う理由で周りを見渡す。<br />構内に待合客は全然いないが、売店と切符売り場には人がいる。<br />その人たちに目撃されなかったかをすばやく確認する。<br />彼らが人の恥を見て見ぬフリをしてくれる思いやりのある人たちだったのなら話は別だが、どうやら誰も私の大マヌケな事態に気付いた人はいない様子だった。<br />ちょっとだけ安心した。<br />しかしパニックが治まるに連れ、額の痛みが恐ろしく気になってきた。<br />落下距離はそれほどではないとはいえ、床は石造り。<br />おそらく、50cmほどの距離をとって石の壁に思い切り頭突きをしたようなものだろう。<br />傷を撫で撫でしていると、見る見るデコが膨れてきた。<br />こんな見事なタンコブを作ったのはいつ以来だろう。いや、きっと生まれて初めてだろう。<br />それはいいけど(全然良くないけど)オツムの中身は大丈夫なのだろうか。<br /><br /><br />・・・結局このタンコブの痛みは3週間ほど続くことになった。<br />もちろん青黒く膨らんでいたので、前髪で隠した。<br /><br />それにしても恐ろしい体験だった。<br />夜はきちんとベッドで眠るべきだと肝に銘じた。

中欧・東欧16 ポーランド(アウシュヴィッツ)

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2008/04/14 - 2008/07/09

218位(同エリア385件中)

旅行記グループ '08 中欧・東欧(前編)

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小心者

小心者さん

極寒のオシフィエンチム駅で8時近くになるまで耐え抜き、バックパックを背負ったまま徒歩で博物館に向かいました。

ここに『オシフィエンチム駅での悲劇』を記しておきます。
長いので、お読みいただくと時間を無駄にします。

******************

出来るだけ到着が遅れますように…と祈ったが、無情にも列車は定刻どおり午前5時前にオシフィエンチム駅に到着した。
それでなくても冷え切った未明の寒さに追い打ちをかけるように、冷たい冷たい雨も降っていた。
駅舎に入ってみたが何もない。ベンチすらない。ガラーンとしてものすごく寒い。
どうやら2階に待合室っぽいものがあるようだが、今の時間は閉鎖されている。
どうしようもない。
駅の端っこにある石の段差に腰掛けて朝を待つ。
ひんやりどころか、氷のような石からも冷たさがヒシヒシと伝わってくる。

あぁもうダメだ。本当に凍え死ぬかも知れない。
私は少しでも体温を逃がすまいと身体を丸めていた。
ひょっとして凍死寸前までいっていたのかも知れない(話盛り気味)。

突然頭に激しい衝撃を感じた。
私は床に倒れていた。


一体何が起きたのか!? 棍棒状のもので殴られたのか!? さっき隣で新聞を読んでいた若者に!?
痛みより先に『犯罪に巻き込まれた!』ということがショックでパニックを起こしかけている。

しかし周りには誰もいなかった。さっきの若者もいなかった。

どうやら私は身体を丸めて眠りこけ、台から勝手に転げ落ちたらしい。
いやいや。眠りこけたわけではないと思う。凍死寸前で意識が薄れていたのだ(たぶん違います。すみません)。

なんにせよ、とりあえずさっきとは違う理由で周りを見渡す。
構内に待合客は全然いないが、売店と切符売り場には人がいる。
その人たちに目撃されなかったかをすばやく確認する。
彼らが人の恥を見て見ぬフリをしてくれる思いやりのある人たちだったのなら話は別だが、どうやら誰も私の大マヌケな事態に気付いた人はいない様子だった。
ちょっとだけ安心した。
しかしパニックが治まるに連れ、額の痛みが恐ろしく気になってきた。
落下距離はそれほどではないとはいえ、床は石造り。
おそらく、50cmほどの距離をとって石の壁に思い切り頭突きをしたようなものだろう。
傷を撫で撫でしていると、見る見るデコが膨れてきた。
こんな見事なタンコブを作ったのはいつ以来だろう。いや、きっと生まれて初めてだろう。
それはいいけど(全然良くないけど)オツムの中身は大丈夫なのだろうか。


・・・結局このタンコブの痛みは3週間ほど続くことになった。
もちろん青黒く膨らんでいたので、前髪で隠した。

それにしても恐ろしい体験だった。
夜はきちんとベッドで眠るべきだと肝に銘じた。

同行者
一人旅
一人あたり費用
30万円 - 50万円
交通手段
鉄道 高速・路線バス
航空会社
大韓航空

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  • タンコブをさすりつつ駅からとぼとぼ20分ほど歩き、アウシュヴィッツ博物館に到着です。<br />サービスセンターで荷物を預け(2ズウォティ)、この『人類の負の遺産』を見学します。<br /><br />「働けば自由になる」と書かれているそうです。<br />『B』の文字がさかさまになっているのは有名です。

    タンコブをさすりつつ駅からとぼとぼ20分ほど歩き、アウシュヴィッツ博物館に到着です。
    サービスセンターで荷物を預け(2ズウォティ)、この『人類の負の遺産』を見学します。

    「働けば自由になる」と書かれているそうです。
    『B』の文字がさかさまになっているのは有名です。

  • 『アウシュヴィッツ第一強制収容所』<br /><br />美しいとさえ思える収容所の建物。<br />未明に降った雨のせいもあり、陰鬱な雰囲気です。

    『アウシュヴィッツ第一強制収容所』

    美しいとさえ思える収容所の建物。
    未明に降った雨のせいもあり、陰鬱な雰囲気です。

  • 高圧電流が流されていたという有刺鉄線。

    高圧電流が流されていたという有刺鉄線。

  • 時間が早いため、他に観光客が全然見当たりません。<br />少し躊躇しましたが(びびっている)一向に誰も来ないので、一人で建物内を見学します。

    時間が早いため、他に観光客が全然見当たりません。
    少し躊躇しましたが(びびっている)一向に誰も来ないので、一人で建物内を見学します。

  • 収容者から刈り取られたおびただしい髪の毛。

    収容者から刈り取られたおびただしい髪の毛。

  • その髪の毛で織られたカーペット。

    その髪の毛で織られたカーペット。

  • 収容者から没収したおびただしい数の眼鏡類。

    収容者から没収したおびただしい数の眼鏡類。

  • 靴。<br />男性用、女性用、木製のものもあります。

    靴。
    男性用、女性用、木製のものもあります。

  • カバン、トランクなど。<br />書かれているのは名前でしょうか?

    カバン、トランクなど。
    書かれているのは名前でしょうか?

  • 多くの人々の命を奪った『チクロンB』の空き缶。

    多くの人々の命を奪った『チクロンB』の空き缶。

  • 地下牢のドア。<br />ビビリ度も最高潮を迎えています。

    地下牢のドア。
    ビビリ度も最高潮を迎えています。

  • 「人が少ない」に越したことはありませんが、これほど見事に無人なのは想定外でした。

    「人が少ない」に越したことはありませんが、これほど見事に無人なのは想定外でした。

  • 立ったまま身動きできない『立ち牢』

    立ったまま身動きできない『立ち牢』

  • 収容者のトイレ。<br /><br />当時そのままの状態で残されています。

    収容者のトイレ。

    当時そのままの状態で残されています。

  • 洗面所。<br /><br />壁に、子供に湯をかける男性の姿が描かれています。<br />現実とかけ離れた優しげな絵が悲しいです。<br /><br />こちらは元々『ポーランド軍兵営の建物』だったこともあり、これらの設備は整っています。

    洗面所。

    壁に、子供に湯をかける男性の姿が描かれています。
    現実とかけ離れた優しげな絵が悲しいです。

    こちらは元々『ポーランド軍兵営の建物』だったこともあり、これらの設備は整っています。

  • 木枠の3段ベッドです。<br />ボロボロながら布団があります。<br />

    木枠の3段ベッドです。
    ボロボロながら布団があります。

  • 煉瓦塀に板を渡したベッド。

    煉瓦塀に板を渡したベッド。

  • 藁が敷いてあるだけの部屋。<br />どんどん劣悪になっていきます。

    藁が敷いてあるだけの部屋。
    どんどん劣悪になっていきます。

  • 開館と同時に来たので、ほとんどの棟をたった一人で見学しました。<br /><br />時間が経つにつれ、大勢の人々で込み合ってきました。<br />じっくり見学したい方は朝早く来られることをお勧めします。<br />が、「なかなか寂しい」ということも書き添えておきます。<br /><br />そして、急に増えた観光客に圧倒され、ガス室は見学し忘れました。

    開館と同時に来たので、ほとんどの棟をたった一人で見学しました。

    時間が経つにつれ、大勢の人々で込み合ってきました。
    じっくり見学したい方は朝早く来られることをお勧めします。
    が、「なかなか寂しい」ということも書き添えておきます。

    そして、急に増えた観光客に圧倒され、ガス室は見学し忘れました。

  • 『アウシュヴィッツ第一強制収容所』を後にしてビルケナウへ向かいました。<br />無料のシャトルバスが運行されているのですが、出来るだけ歩くことに決めているので、徒歩で向かいました。<br />しかし、非常に遠かったです。<br />3キロくらいあったのではないでしょうか・・・。

    『アウシュヴィッツ第一強制収容所』を後にしてビルケナウへ向かいました。
    無料のシャトルバスが運行されているのですが、出来るだけ歩くことに決めているので、徒歩で向かいました。
    しかし、非常に遠かったです。
    3キロくらいあったのではないでしょうか・・・。

  • 『第二強制収容所ビルケナウ』<br /><br />アウシュヴィッツの象徴『収容所内まで延びる鉄道引込み線』。<br />線路に花束が手向けられています。

    『第二強制収容所ビルケナウ』

    アウシュヴィッツの象徴『収容所内まで延びる鉄道引込み線』。
    線路に花束が手向けられています。

  • ここにも有刺鉄線が張り巡らされています。<br />こちらまで見学に来る人は少ないのか、相変わらずの孤独感です。

    ここにも有刺鉄線が張り巡らされています。
    こちらまで見学に来る人は少ないのか、相変わらずの孤独感です。

  • ビルケナウの収容棟は更に劣悪で、元は馬小屋だったようなバラックです。

    ビルケナウの収容棟は更に劣悪で、元は馬小屋だったようなバラックです。

  • 暖房設備のようですが、燃料は供給されなかったようです。<br />隙間だらけなので、どれほど寒かったことでしょう。

    暖房設備のようですが、燃料は供給されなかったようです。
    隙間だらけなので、どれほど寒かったことでしょう。

  • トイレ(溝)を挟んで、両側には息が詰まりそうに窮屈な木製のベッドが並びます。<br />もちろんマットレスなどはなく、藁を敷いて使用したそうです。

    トイレ(溝)を挟んで、両側には息が詰まりそうに窮屈な木製のベッドが並びます。
    もちろんマットレスなどはなく、藁を敷いて使用したそうです。

  • 囚人用のトイレ。<br />使用は午前と午後の2回のみに制限され、一斉の使用を強制されました。<br />これらの不衛生かつ劣悪な環境のせいで、病原性の下痢も蔓延していたそうです。

    囚人用のトイレ。
    使用は午前と午後の2回のみに制限され、一斉の使用を強制されました。
    これらの不衛生かつ劣悪な環境のせいで、病原性の下痢も蔓延していたそうです。

  • この土地で行われたことを実感し、様々なことを考えさせられました。<br />この『負の世界遺産』を訪れることができて良かったです。

    この土地で行われたことを実感し、様々なことを考えさせられました。
    この『負の世界遺産』を訪れることができて良かったです。

  • 来るときに「思ったより遠い」ことを思い知ったので、素直にシャトルバスに乗り込み、『アウシュヴィッツ第一強制収容所』に戻りました。<br /><br />サービスセンターで荷物を受け取った後、クラクフまでのミニバスが2時間待ちだということに気付きました。<br />受け取る前に気付きたかったです。<br /><br />仕方ないので、傍らの椅子にチェーンロックで荷物を縛りつけて爆睡しました。<br />よくバスに乗り遅れなかったものです。

    来るときに「思ったより遠い」ことを思い知ったので、素直にシャトルバスに乗り込み、『アウシュヴィッツ第一強制収容所』に戻りました。

    サービスセンターで荷物を受け取った後、クラクフまでのミニバスが2時間待ちだということに気付きました。
    受け取る前に気付きたかったです。

    仕方ないので、傍らの椅子にチェーンロックで荷物を縛りつけて爆睡しました。
    よくバスに乗り遅れなかったものです。

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