はちのすけさんのクチコミ(38ページ)全3,565件

　堀川北大路と堀川紫明のちょうど中間付近にある。島津製作所の一角のような場所だ。入り口の堀川通り沿いには古い石碑で「小野篁卿墓」、新しい石碑で「紫式部墓所」とある。もともと篁の墓があった場所に、紫式部の墓を移設したとされる。なぜ二人の墓が隣接しているのか。源氏物語や作者の紫式部を供養する「源氏供養」という中世にみられた文化に鍵があるかもしれない。紫式部は源氏物語で好色な物語を描いたことから地獄に落ちたと考えられており、その霊を救うために篁の墓に寄せたのかもしれない。高級官吏だった篁は夜になるとあの世に行き、閻魔大王の補佐をしていたと物語に書かれた人物。数人をあの世から救い出しており、そうした超能力が源氏供養にぴったりと考えたのだろうか。小さな墓所だが、なかなか興味深い場所だ。

　千本今出川を少し上がった所にある。「湯たく山茶くれん寺」の通称で有名な浄土院がすぐそばにある。平安貴族で超人的な能力で知られた小野篁が一木から掘り出した六体の地蔵を後白河法皇の命で平清盛が京の六口に設けたお堂に配した。京都の魔除けのためといい、ここのお寺にはそのうちの一体「鞍馬口地蔵」がある。本来は深泥池のそばにあったが、廃仏毀釈の折にここに移ったという。参拝した時は屋根の普請をしており、残念ながら詳しく拝観できなかった。

　堀川寺之内を少し上がった所にある。入り口には二基の石碑があり、それぞれ「慈受院門跡」「薄雲御所」と大書されている。山門前には毘沙門堂とお稲荷さんも。駒札によると、室町幕府４代将軍の足利義持らの冥福を祈って正室の日野栄子が創建した。以来、皇室、足利家、摂関家から住持が入山する門跡尼院となる。大正期に同じく栄子が創始した総持寺（薄雲御所）を併合した。最近の研究で源氏物語の「薄雲」巻のゆかりの場所であることが判明している。門跡尼院であることから、門扉には「拝観謝絶」の札が。ただ、年に一回程度、特別公開するようだ。

　北野天満宮参道にある宝物殿。菅原道真の慰霊行事の一環で昭和二年に建設されたという。開館は不定期だが、訪れた時（1月の三連休）は記念展「雪月花と宝刀の煌き」と銘打って、特別開館中だった。道真に関連する神宝が多数あるが、豊臣秀吉や前田利家が多くの刀剣を奉納しており、そちらが人気を集めていた。いつでも開館しているわけではないので、事前の確認が必要だ。

　千本今出川にある寺院だ。正式名称は浄土院だが「湯たく山　茶くれん寺」の通称が石碑となって山門に立っている。石碑に豊公遺跡とあり、豊臣秀吉関連の寺院だとわかる。山門前の駒札によると、北野大茶会の折、秀吉はこの寺院が名水で有名であることを思い出し、突然立ち寄って茶を何杯も所望したという。僧侶は未熟な自分の点前では恥ずかしいと考え、二杯目以降は白湯をだした。秀吉は僧侶の配慮に「湯沢山（たくさん）、茶くれん」と笑ったという。その後、このお寺は山号が「湯たく山」、寺院名を「茶くれん寺」と呼ばれるようになった。常時開門しておらず、参拝には問い合わせが必要という。

　山門横に掲げられた駒札によると、摂関政治の礎を築いた平安時代の貴族・藤原良房ゆかりの寺院が始まりだという。清和天皇譲位後の後院として整備されたことからこの名がついた。本尊は地蔵菩薩。ただ、室町期に焼失した寺院の聖観音を合わせて祭っていることから洛陽三十三所観音霊場の一つに数えられている。門は開かれており、境内の参拝は自由だ。

　北野天満宮の境内にある茶店には立ち寄ったことがあるが、本店には初めて訪れた。北野商店街の一角にあり、通り側にウインドーが広がる売店、奥に茶店がある。ただ、この日は天満宮内の茶店を開いていたので本店の茶店は休みだった。せっかくだったので長五郎餅を買って帰ったが、長五郎餅以外にもいろいろな商品があり、イメージが少し変わった。

　日蓮を宗祖と仰ぐ本門佛立宗の本山だ。明治になってから日蓮宗から分派したという。門構え、境内の建築物からして立派だ。門札には「本山佛立宗根本道場」と日蓮宗のお寺でよく見る達筆で大書されている。大将軍商店街と北野商店街の間付近の交差点にあり、威容はとても目立つ。観光寺院というよりも、いかにも道場という空気が張り詰めている。

　やきもちと大書された文字が目印だ。北野天満宮の東門前にある門前菓子店。上賀茂神社前にもある「やきもち」と同類のお菓子だ。正直言って上賀茂神社前のやきもちと比べると知名度は低いが、おいしさはなかなか。甘さを控えたあんと、柔らかい餅が絶妙だ。とても控えめな店舗だが、もっと人気が出てもいい門前菓子だと思う。二カ月ほど前に防府天満宮に参拝した時も「天神餅」という名のやきもちがあったし、大宰府天満宮の門前にも「梅ケ枝餅」というやきもちがある。天神さまとやきもちには何かつながりがあるのだろうか。

　一月の三連休、コロナ禍での初詣だったが、この頃は感染が沈静化していたとあって、ものすごい人出だった。参拝した後、招福の梅の枝である「思いのまま」を購入した。長五郎餅の茶店に寄ろうと思ったが、結構な人出で諦めた。境内の梅は一輪二輪とほころんでおり、梅園のオープン間近を思わせた。

　すぐ近くにある宥清寺を本山とする本門佛立宗が運営母体の仏教系ミュージアムだ。訪問の前にホームページを見たが「国宝級の仏像や絵画の類はありません」と断言し、生きた仏教との出合いを標榜する。観光ばかりでない、仏教美術施設のあり方としては異色かもしれない。2012年に開館したばかりの施設で、新しい。入館は無料だ。

　大将軍八神社の門前町的な場所に広がる商店街だ。西大路から北野商店街に接続する約400メートルに20店ほどが並ぶ。地域生活を支えるタイプの商店街だが、大型スーパーの進出などで沈滞。活性化策として標榜したのが「妖怪ストリート」だという。商店街がある一条通は妖怪が練り歩く百鬼夜行の伝説があったことから、近隣の美術大学とタイアップして妖怪が練り歩くイベントなどを展開し、人気を呼んでいる。1月の3連休に訪ねたが、生活型とあって閉店のショップが多かった。平日に訪ねたほうが、商店街の魅力が実感できそうだ。

　桓武天皇が平安京に遷都した際、京中に四カ所設けた方除け神社の一つ。当時は方角の神様である大将軍だったが、現在は素戔嗚尊を祭っている。境内はそう広くないが、よく整備されており、寄せられる信仰の厚さがうかがえるようだ。一月の三連休に参拝したが、成人式の関連のイベントが実施されていた。現代でも八方ふさがりなど都市によって変化する吉凶に対する関心は高いらしく、各種のお守りお札が置いてあった。

　小さいがとても印象的な建物だ。北野天満宮の近くで、住宅街の一角にある。とても風格ある建物だが、これで門衛所だというから恐れ入る。もともと大正時代に財閥で知られる住友家の当主が長男のために建てた別宅で、現在は修道院だ。本宅は昭和時代に取り壊されているが、残された門衛所が「修道院の門の家」として現在も活用されている。住宅と言っても立派に通用する門衛所だ。続きの門と一緒に独特の雰囲気がある。国の登録有形文化財。

　嵐電嵐山駅のホームにある足湯だ。ホームにあるが、ここは改札のない駅なので、キモノフォレスト同様、近くまで立ち寄れる。入湯料はオリジナルタオルがついて200円。近くで湧く嵐山温泉の湯が引いてあるという。キモノフォレストだけでなく停車中の電車も視野に入る。少し変わった風景の足湯だ。

　平安期の陰陽師・安倍晴明の墓は各地にあるが、ここは晴明神社（京都市)が管理する墓所だ。同神社の飛び地境内でもあり、毎年9月の命日には神事が行われる。嵐山のすぐ近く。現地の説明版によると、晴明は嵯峨の地で亡くなったとされていたが、墓所は荒廃。1972(昭和47)年に同神社が整備したという。五芒星もあしらってあり、われわれが知っている晴明の雰囲気がある場所だ。晴明の墓は「晴明塚」として全国各地にある。岡山県浅口市にもライバル芦屋道満の墓の近くに存在する。おそらく、後年の陰陽師があやかって建立したのではないかとされる。

　渡月橋を渡った嵐山西岸にある神社で、モンキーパークいわたやまの入り口にある。櫟谷神社と宗像神社を合祀しており、宗像三女神のうち田心姫神と市杵島姫神の二柱を祭る。宗像三女神は弁財天と習合したことから「嵐山弁財天」と呼称されることも。宗像は水の神様、櫟はクヌギのことなので、この辺りの地主神だったかもしれない。現在は松尾大社の摂社という。境内には縁結びの絵馬もあり、人気を呼んでいるようだった。

　大ざっぱに言えば京中の西側を流れる川だ。嵐山までは川下りで有名な保津川、嵐山周辺は大櫃川と名前を変えるが、正式名称は源流から淀川に合流するまで桂川という。対比される鴨川とは異なり、郊外の住宅街、田園部をのんびりと流れるイメージだ。下流部は河川敷にスポーツ施設などが広がる。ハイライトは嵐山だろう。渓谷美と川の流れが調和して国内を代表する観光地を演出。平安貴族が舟遊びをした優雅な雰囲気を川が醸し出している。

　嵐山を観賞、散策する景勝地に広がる公園だ。亀山地区、中之島地区、臨川寺の三カ所あり、それぞれに特徴がある。なじみ深いのは中之島地区と臨川寺地区だろう。中之島地区は渡月橋を渡った中州にあり、特に桜がきれいだ。臨川寺地区は渡月橋左岸の松並木で、嵐山の代表的な風景を撮影しようと思えばこの場所が欠かせない。

　一月の三連休に参拝したが、初詣と思しき人々が参道に列をつくるほど大人気だった。かなりPRに熱心で、ネット上でもコメントが行き交う。お守りなどの授与品、神社のパワースポット化にも成功。境内摂社の芸能神社の人気も相まって、若年層の参拝客も多い。変わった社名だが、いにしえの伝説に由来する。嵯峨天皇が社前を通った際、牛車の軸が折れたことから、門前右側の石を「車折石」と呼んで、祭神に車折大明神の神号を贈った。嵐電の駅が神社のすぐ近くにあり、寄り付きはとてもいい。