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:.。運命に立ち向かう女王のドラマから、のどかなオランダの光あふれる水辺の旅へ.。:<br />今回の舞台は、ルーヴル美術館のリシュリュー翼3階(メディシスのギャラリーから、17世紀フランドル・オランダ絵画エリアへ)です。全30枚の写真とともに、宮廷の華麗なドラマから心安らぐ大自然の風景へと進む、とても贅沢なルートを3つの見どころに分けてご紹介します。<br /><br />【前半】女王マリーの波乱万丈な歴史ドラマ(1~9番)圧倒的なスケールを誇る『メディシスのギャラリー』からスタート。1作目の『ブロワ城からの脱出(連作第17作目)』をはじめ、息子ルイ13世との激しい権力争いや奇跡的な和解の物語を、巨匠ルーベンスが描くきらびやかな神話の世界とともにじっくりと辿ります。<br /><br />【中盤】迫力あふれる聖人や動物たちの世界(10~20番)ギャラリーを抜けると、空気がキリッと引き締まるフランドル絵画のお部屋へ。ヴァン・ダイクの最高傑作『キリストの磔刑』などの息をのむような祭壇画に圧倒されたあとは、ヤン・フィトが描く『オルフェウスの音楽に集まる動物たち』など、生き生きとした動物たちの姿に心がふっと癒されます。<br /><br />【後半】光と風が流れるオランダの美しい水辺(21~30番)旅のしめくくりは、美しい光が広がるオランダ風景画の部屋へ。サロモン・ファン・ロイスダールの『牛のいる川の風景』など、情緒あふれる水辺のパノラマを心地よく巡り、最後は穏やかな光に包まれた牧歌的な風景画で、今回の一連の展示室巡りをすっきりと締めくくります。<br /><br /><br />全体の大まかな行程は以下になります。<br /><br />今日は,★☆★です (^^)/<br /><br />4/13(日) 成田⇒ドバイ⇒<br />4/14(月) ⇒アムステルダム フォーレンダム観光<br />4/15(火) アムステルダム,ホールン,エダム観光<br />4/16(水) アムステルダム国立美術館,市内観光<br />4/17(木) ギートホルン観光<br />4/18(金) キューケンホフ観光<br />4/19(土) ザーンセ・スカンス観光⇒ロッテルダムへ移動<br />4/20(日) デハール城,ユトレヒト観光<br />4/21(月) キンデルダイク,デルフト観光<br />4/22(火) ハーグ観光<br />4/23(水) プラハへ移動とプチ観光<br />4/24(木) プラハ観光+コンサート<br />4/25(金) プラハ観光+コンサート <br />4/26(土) プラハ観光<br />4/27(日) プラハ観光<br />4/28(月) プラハ観光<br />4/29(火) チェスキー・クルムロフへ移動⇒観光<br />4/30(水) チェスキー・クルムロフ⇒プラハへ移動<br />5/1(木) パリへ移動,観光<br /><br />★☆★5/2(金) パリ観光<br /><br />5/3(土) ヴェルサイユ宮殿観光<br />5/4(日) パリ観光<br />5/5(月) 体調不良により観光無し<br />5/6(火) 体調不良により観光無し <br />5/7(水) パリ観光<br />5/8(木) シャルトルへ移動・観光<br />5/9(金) パリ観光<br />5/10(土) パリ観光<br />5/11(日) パリ観光<br />5/12(月) ベルノンへ移動・観光,パリ観光<br />5/13(火) パリ観光<br />5/14(水) パリ観光後⇒ドバイへ移動<br />5/15(木) ドバイ観光⇒成田へ向けて出発<br />5/16(金) 成田着

302。*:.。オランダ,チェコ,フランス35日間の旅 ☆パリ-41 ルーブル-38☆.。.:* 

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2025/05/02 - 2025/05/02

-位(同エリア17259件中)

mitsu

mitsuさん

:.。運命に立ち向かう女王のドラマから、のどかなオランダの光あふれる水辺の旅へ.。:
今回の舞台は、ルーヴル美術館のリシュリュー翼3階(メディシスのギャラリーから、17世紀フランドル・オランダ絵画エリアへ)です。全30枚の写真とともに、宮廷の華麗なドラマから心安らぐ大自然の風景へと進む、とても贅沢なルートを3つの見どころに分けてご紹介します。

【前半】女王マリーの波乱万丈な歴史ドラマ(1~9番)圧倒的なスケールを誇る『メディシスのギャラリー』からスタート。1作目の『ブロワ城からの脱出(連作第17作目)』をはじめ、息子ルイ13世との激しい権力争いや奇跡的な和解の物語を、巨匠ルーベンスが描くきらびやかな神話の世界とともにじっくりと辿ります。

【中盤】迫力あふれる聖人や動物たちの世界(10~20番)ギャラリーを抜けると、空気がキリッと引き締まるフランドル絵画のお部屋へ。ヴァン・ダイクの最高傑作『キリストの磔刑』などの息をのむような祭壇画に圧倒されたあとは、ヤン・フィトが描く『オルフェウスの音楽に集まる動物たち』など、生き生きとした動物たちの姿に心がふっと癒されます。

【後半】光と風が流れるオランダの美しい水辺(21~30番)旅のしめくくりは、美しい光が広がるオランダ風景画の部屋へ。サロモン・ファン・ロイスダールの『牛のいる川の風景』など、情緒あふれる水辺のパノラマを心地よく巡り、最後は穏やかな光に包まれた牧歌的な風景画で、今回の一連の展示室巡りをすっきりと締めくくります。


全体の大まかな行程は以下になります。

今日は,★☆★です (^^)/

4/13(日) 成田⇒ドバイ⇒
4/14(月) ⇒アムステルダム フォーレンダム観光
4/15(火) アムステルダム,ホールン,エダム観光
4/16(水) アムステルダム国立美術館,市内観光
4/17(木) ギートホルン観光
4/18(金) キューケンホフ観光
4/19(土) ザーンセ・スカンス観光⇒ロッテルダムへ移動
4/20(日) デハール城,ユトレヒト観光
4/21(月) キンデルダイク,デルフト観光
4/22(火) ハーグ観光
4/23(水) プラハへ移動とプチ観光
4/24(木) プラハ観光+コンサート
4/25(金) プラハ観光+コンサート 
4/26(土) プラハ観光
4/27(日) プラハ観光
4/28(月) プラハ観光
4/29(火) チェスキー・クルムロフへ移動⇒観光
4/30(水) チェスキー・クルムロフ⇒プラハへ移動
5/1(木) パリへ移動,観光

★☆★5/2(金) パリ観光

5/3(土) ヴェルサイユ宮殿観光
5/4(日) パリ観光
5/5(月) 体調不良により観光無し
5/6(火) 体調不良により観光無し 
5/7(水) パリ観光
5/8(木) シャルトルへ移動・観光
5/9(金) パリ観光
5/10(土) パリ観光
5/11(日) パリ観光
5/12(月) ベルノンへ移動・観光,パリ観光
5/13(火) パリ観光
5/14(水) パリ観光後⇒ドバイへ移動
5/15(木) ドバイ観光⇒成田へ向けて出発
5/16(金) 成田着

旅行の満足度
5.0
観光
5.0
同行者
カップル・夫婦(シニア)
交通手段
徒歩
旅行の手配内容
個別手配
  • 1  ピーテル・パウル・ルーベンスの『ブロワ城からの脱出』<br /><br />はるか奥まで巨大な絵画が並ぶ、リシュリュー翼3階の「メディシスのギャラリー(ルーム801)」に展示されています 。<br />全24作からなるマリー・ド・メディシスの壮大な連作の中で、こちらは第17作目にあたる非常にドラマチックな作品です。<br /><br />息子である国王ルイ13世との権力争いに敗れ、ブロワ城に幽閉されていた王妃マリーが、真夜中に命からがら脱出する歴史的な大事件を描いています。<br />画面中央で、落ち着いた黒い衣装をまとって静かに歩みを進めるのがマリーです。彼女の右側では、ヘルメットをかぶったフランス国家の擬人化が優しく寄り添い、脱出を手助けしています。<br /><br />左側をよく見ると、たいまつを掲げて周囲を警戒する忠実な兵士たちの緊迫した姿がリアルに描き込まれています。<br />上空では、大きな翼を持った夜の女神たちがたいまつで道を照らしています。<br />左上の遠くの空には薄っすらと夜明けの光が描かれており、これからの運命に差し込む新しい希望をすっきりと予感させる、ルーベンスらしい神話的な演出です。<br /><br />幽閉からの脱出という、王家にとっては不名誉な歴史の出来事。<br />それをまるで、神々と忠臣に守られた「聖なる旅立ち」であるかのように華麗に仕立て上げた、バロック美術らしい劇的な明暗が美しい素晴らしい大作です。

    1 ピーテル・パウル・ルーベンスの『ブロワ城からの脱出』

    はるか奥まで巨大な絵画が並ぶ、リシュリュー翼3階の「メディシスのギャラリー(ルーム801)」に展示されています 。
    全24作からなるマリー・ド・メディシスの壮大な連作の中で、こちらは第17作目にあたる非常にドラマチックな作品です。

    息子である国王ルイ13世との権力争いに敗れ、ブロワ城に幽閉されていた王妃マリーが、真夜中に命からがら脱出する歴史的な大事件を描いています。
    画面中央で、落ち着いた黒い衣装をまとって静かに歩みを進めるのがマリーです。彼女の右側では、ヘルメットをかぶったフランス国家の擬人化が優しく寄り添い、脱出を手助けしています。

    左側をよく見ると、たいまつを掲げて周囲を警戒する忠実な兵士たちの緊迫した姿がリアルに描き込まれています。
    上空では、大きな翼を持った夜の女神たちがたいまつで道を照らしています。
    左上の遠くの空には薄っすらと夜明けの光が描かれており、これからの運命に差し込む新しい希望をすっきりと予感させる、ルーベンスらしい神話的な演出です。

    幽閉からの脱出という、王家にとっては不名誉な歴史の出来事。
    それをまるで、神々と忠臣に守られた「聖なる旅立ち」であるかのように華麗に仕立て上げた、バロック美術らしい劇的な明暗が美しい素晴らしい大作です。

  • 2 連作の第18作目、和解への切実な願いが込められた『アングレームの交渉』<br /><br />先ほどのブロワ城からの脱出ののち、息子の国王ルイ13世との間で本格的な内戦を避けるため、アングレームという街で和解の交渉が行われた歴史的な場面を描いています。<br /><br />画面左側で玉座に座り、神妙な面持ちでオリーブの枝(平和の象徴)を受け取ろうとしているのが王妃マリーです。<br />彼女の隣にいる赤い法衣をまとった男性は、仲介役を務めたラ・ロシュフコー枢機卿です。そして、右側から若々しい姿で平和のオリーブを差し出しているのは、神々の伝令であるメルクリウスです。<br />ルーベンスは、実際の交渉役であった人物をあえて神話の神メルクリウスに置き換えることで、この交渉が神聖でスマートなものであったと演出しています。<br /><br />複雑な親子の権力争いを、神話の力を借りて格調高い「平和への第一歩」へと見事に仕立て上げた、静かな緊張感と上品さが同居する素晴らしい1枚です。

    2 連作の第18作目、和解への切実な願いが込められた『アングレームの交渉』

    先ほどのブロワ城からの脱出ののち、息子の国王ルイ13世との間で本格的な内戦を避けるため、アングレームという街で和解の交渉が行われた歴史的な場面を描いています。

    画面左側で玉座に座り、神妙な面持ちでオリーブの枝(平和の象徴)を受け取ろうとしているのが王妃マリーです。
    彼女の隣にいる赤い法衣をまとった男性は、仲介役を務めたラ・ロシュフコー枢機卿です。そして、右側から若々しい姿で平和のオリーブを差し出しているのは、神々の伝令であるメルクリウスです。
    ルーベンスは、実際の交渉役であった人物をあえて神話の神メルクリウスに置き換えることで、この交渉が神聖でスマートなものであったと演出しています。

    複雑な親子の権力争いを、神話の力を借りて格調高い「平和への第一歩」へと見事に仕立て上げた、静かな緊張感と上品さが同居する素晴らしい1枚です。

  • 3 連作の第19作目、緊迫した平和への決意を描いた『アンジェの和平』<br /><br />息子ルイ13世との対立が再び激化し、アンジェの街で再び和解の交渉が行われた際、マリーが「自らの安全」を確かなものにするために、毅然と立ち向かう場面が描かれています。<br /><br />画面中央で、白い衣服をまとって凛とした表情で歩みを進めるのが王妃マリーです。<br />彼女のすぐ後ろでは、ヘルメットをかぶった知恵の女神ミネルヴァが優しく寄り添い、彼女に安全な道を示しています。<br />画面右側を覗き込むと、松明を掲げた力強い男性たちが、暗闇の中から迫る「悪徳や嫉妬、戦争の不和」を象徴する不不気味な人物たちを、力強い身振りで下界へと追い払おうとしています。<br />足元に転がっている鎧や武器は、戦争が終わりを告げ、平和の時代がやってくることをすっきりと物語っています。<br /><br />複雑な宮廷内の権力争いを、天界の神々が平和のために団結する壮大なドラマへと昇華させた、ルーベンスの類まれな構図の粋を尽くした、じっくりと見ごたえのある素晴らしい1枚です。

    3 連作の第19作目、緊迫した平和への決意を描いた『アンジェの和平』

    息子ルイ13世との対立が再び激化し、アンジェの街で再び和解の交渉が行われた際、マリーが「自らの安全」を確かなものにするために、毅然と立ち向かう場面が描かれています。

    画面中央で、白い衣服をまとって凛とした表情で歩みを進めるのが王妃マリーです。
    彼女のすぐ後ろでは、ヘルメットをかぶった知恵の女神ミネルヴァが優しく寄り添い、彼女に安全な道を示しています。
    画面右側を覗き込むと、松明を掲げた力強い男性たちが、暗闇の中から迫る「悪徳や嫉妬、戦争の不和」を象徴する不不気味な人物たちを、力強い身振りで下界へと追い払おうとしています。
    足元に転がっている鎧や武器は、戦争が終わりを告げ、平和の時代がやってくることをすっきりと物語っています。

    複雑な宮廷内の権力争いを、天界の神々が平和のために団結する壮大なドラマへと昇華させた、ルーベンスの類まれな構図の粋を尽くした、じっくりと見ごたえのある素晴らしい1枚です。

  • 4  連作の第20作目、すべての争いに終わりを告げる『完全な和平(あるいは、マリー・ド・メディシスと息子の和解)』<br /><br />長年にわたる息子ルイ13世との激しい対立や内戦が、ついに終わりを告げ、母と息子の間に「完全な和平」がもたらされた歴史的な大団円の場面です。<br /><br />画面左側で、神々しい白いドレスをまとって天へと導かれているのが王妃マリーです。<br />彼女の手元には、平和の象徴であるオリーブの枝がすっきりと握られています。<br />彼女を優しく支え、右側から手を差し伸べているのは、神聖な光を放つ息子の国王ルイ13世(あるいは、和解を導いた神)の姿です。<br />画面の右下には、バロック美術らしい劇的なドラマとして、平和を邪魔しようとする「嫉妬や不和、戦争の悪徳」を象徴する不気味な怪物や蛇たちが、天からの聖なる光に打ち負かされ、奈落の底へとねじ伏せられていく様子がダイナミックに描かれています。<br />上空では、平和の女神たちが穏やかに見守っており、フランスに再びもたらされた黄金時代を格調高く讃えています。<br /><br />親子の激しい権力闘争という人間臭い歴史の結末を、悪を退けて光が勝利する壮大な天界のドラマへと昇華させた、ルーベンスの類まれな演出力が光る見ごたえのある素晴らしい1枚です。

    4 連作の第20作目、すべての争いに終わりを告げる『完全な和平(あるいは、マリー・ド・メディシスと息子の和解)』

    長年にわたる息子ルイ13世との激しい対立や内戦が、ついに終わりを告げ、母と息子の間に「完全な和平」がもたらされた歴史的な大団円の場面です。

    画面左側で、神々しい白いドレスをまとって天へと導かれているのが王妃マリーです。
    彼女の手元には、平和の象徴であるオリーブの枝がすっきりと握られています。
    彼女を優しく支え、右側から手を差し伸べているのは、神聖な光を放つ息子の国王ルイ13世(あるいは、和解を導いた神)の姿です。
    画面の右下には、バロック美術らしい劇的なドラマとして、平和を邪魔しようとする「嫉妬や不和、戦争の悪徳」を象徴する不気味な怪物や蛇たちが、天からの聖なる光に打ち負かされ、奈落の底へとねじ伏せられていく様子がダイナミックに描かれています。
    上空では、平和の女神たちが穏やかに見守っており、フランスに再びもたらされた黄金時代を格調高く讃えています。

    親子の激しい権力闘争という人間臭い歴史の結末を、悪を退けて光が勝利する壮大な天界のドラマへと昇華させた、ルーベンスの類まれな演出力が光る見ごたえのある素晴らしい1枚です。

  • 5  連作の第21作目、親子の絆の復活を晴れやかに描いた『真実の顕明(あるいは、マリー・ド・メディシスと息子の完全な和解)』<br /><br />長きにわたる誤解や対立を乗り越え、母マリーと息子の国王ルイ13世が、天界の祝福を受けて心からの和解を果たした、この壮大な連作のクライマックスとなる場面です。<br />画面の上部では、雲の上で母マリー(左)と、鎧をまとった凛々しいルイ13世(右)が優しく見つめ合っています。<br />二人の手元には、燃えるハートが描かれた「愛と誠実」を象徴する美しいお花の冠)が掲げられており、親子の絆が完全に復活したことをすっきりと物語っています。<br />この作品の最大の見どころは、画面下部に描かれたダイナミックな神話のドラマです。<br />大きな翼を持った「時の神」が、衣服をまとわない美しい裸体の女性を力強く抱き上げています。<br />この女性は「真実の女神」であり、時が経つことによって二人の間の誤解がすべて解け、美しい真実が白日の下にさらされたという、ルーベンスらしい非常に知的なメッセージが込められています。<br /><br />ドロドロとした宮廷の権力闘争の終わりを、真実と愛が勝利する神聖な歴史絵巻へと見事に昇華させた、品格あふれる最高に美しい1枚です。

    5 連作の第21作目、親子の絆の復活を晴れやかに描いた『真実の顕明(あるいは、マリー・ド・メディシスと息子の完全な和解)』

    長きにわたる誤解や対立を乗り越え、母マリーと息子の国王ルイ13世が、天界の祝福を受けて心からの和解を果たした、この壮大な連作のクライマックスとなる場面です。
    画面の上部では、雲の上で母マリー(左)と、鎧をまとった凛々しいルイ13世(右)が優しく見つめ合っています。
    二人の手元には、燃えるハートが描かれた「愛と誠実」を象徴する美しいお花の冠)が掲げられており、親子の絆が完全に復活したことをすっきりと物語っています。
    この作品の最大の見どころは、画面下部に描かれたダイナミックな神話のドラマです。
    大きな翼を持った「時の神」が、衣服をまとわない美しい裸体の女性を力強く抱き上げています。
    この女性は「真実の女神」であり、時が経つことによって二人の間の誤解がすべて解け、美しい真実が白日の下にさらされたという、ルーベンスらしい非常に知的なメッセージが込められています。

    ドロドロとした宮廷の権力闘争の終わりを、真実と愛が勝利する神聖な歴史絵巻へと見事に昇華させた、品格あふれる最高に美しい1枚です。

  • 6  ピーテル・パウル・ルーベンスによる肖像画『トスカーナ大公妃ヨハンナ・フォン・エスターライヒの肖像』<br /><br />実は、この気品あふれる女性こそ、この巨大な展示室の主役である王妃マリー・ド・メディシスの実のお母様(トスカーナ大公フランチェスコ1世の最初の妻)にあたります。<br /><br />画面の中では、贅沢な金刺繍が隅々まで施された重厚な茶色のドレスをまとい、首元には大きなレースの襟(ひだ襟)をあしらった、当時の最高格式の宮廷ファッションに身を包んでいます。<br />左手で長いヴェールをそっとつまみながら、凛とした佇まいでこちらを見つめる眼差しには、大国ハプスブルク家出身の王女としての気高さがすっきりと表現されています。<br /><br />ルーベンスが描いた一連の「マリーの生涯の物語」をじっくり追う中で、彼女のルーツであるお母様の厳格な美しさに触れられる、展示室のなかでも歴史の繋がりを感じさせる大切な1枚です。

    6 ピーテル・パウル・ルーベンスによる肖像画『トスカーナ大公妃ヨハンナ・フォン・エスターライヒの肖像』

    実は、この気品あふれる女性こそ、この巨大な展示室の主役である王妃マリー・ド・メディシスの実のお母様(トスカーナ大公フランチェスコ1世の最初の妻)にあたります。

    画面の中では、贅沢な金刺繍が隅々まで施された重厚な茶色のドレスをまとい、首元には大きなレースの襟(ひだ襟)をあしらった、当時の最高格式の宮廷ファッションに身を包んでいます。
    左手で長いヴェールをそっとつまみながら、凛とした佇まいでこちらを見つめる眼差しには、大国ハプスブルク家出身の王女としての気高さがすっきりと表現されています。

    ルーベンスが描いた一連の「マリーの生涯の物語」をじっくり追う中で、彼女のルーツであるお母様の厳格な美しさに触れられる、展示室のなかでも歴史の繋がりを感じさせる大切な1枚です。

  • 7 連作の第22作目、王妃マリーの不屈の権威を象徴する『勝利の王妃(ミネルヴァに扮したマリー・ド・メディシス)』<br /><br />内戦や対立のすべての嵐が去り、平和を手に入れた王妃マリーが、まるで「勝利の女神」のように堂々と佇む姿を描いた肖像画です。<br /><br />画面中央で、胸当てとヘルメットを身につけて力強く立っているのがマリーです。彼女は知恵と戦いの女神ミネルヴァに扮しており、右手には小さな「勝利の女神」を乗せ、左手には権威の象徴である指揮杖をすっきりと握っています。<br /><br />彼女の頭上を覗き込むと、2人の愛らしい天使たちが舞い降り、栄光と平和を意味する美しい「月桂冠」を彼女の頭へ授けようとしています。<br />足元や背景には、大砲の筒、盾、鎧、そして何本もの槍や剣が山積みに描かれており、これらは彼女がすべての逆境と戦いに打ち勝ったことをリアルに証明しています。<br />数々の政争や幽閉、そして亡命といった人間臭い苦難の歴史をすべてはねのけ、「私は勝利した支配者である」というマリーの並々ならぬ誇りを、ルーベンスが華麗な神話の表現で完璧に描き出した見事な1枚です。

    7 連作の第22作目、王妃マリーの不屈の権威を象徴する『勝利の王妃(ミネルヴァに扮したマリー・ド・メディシス)』

    内戦や対立のすべての嵐が去り、平和を手に入れた王妃マリーが、まるで「勝利の女神」のように堂々と佇む姿を描いた肖像画です。

    画面中央で、胸当てとヘルメットを身につけて力強く立っているのがマリーです。彼女は知恵と戦いの女神ミネルヴァに扮しており、右手には小さな「勝利の女神」を乗せ、左手には権威の象徴である指揮杖をすっきりと握っています。

    彼女の頭上を覗き込むと、2人の愛らしい天使たちが舞い降り、栄光と平和を意味する美しい「月桂冠」を彼女の頭へ授けようとしています。
    足元や背景には、大砲の筒、盾、鎧、そして何本もの槍や剣が山積みに描かれており、これらは彼女がすべての逆境と戦いに打ち勝ったことをリアルに証明しています。
    数々の政争や幽閉、そして亡命といった人間臭い苦難の歴史をすべてはねのけ、「私は勝利した支配者である」というマリーの並々ならぬ誇りを、ルーベンスが華麗な神話の表現で完璧に描き出した見事な1枚です。

  • 8  ピーテル・パウル・ルーベンスによる肖像画『トスカーナ大公フランチェスコ1世の肖像』<br />先ほどのお母様に続き、こちらは主役である王妃マリー・ド・メディシスの実のお父様の姿を描いた、大変立派な公式肖像画です。<br /><br />画面中央に佇むフランチェスコ1世は、黒い高貴な衣装の上から、真っ白なテンの毛皮を贅沢にあしらった重厚なマントを羽織っています。<br />首元からは、自身が深く関わっていた聖ステファノ騎士団の象徴である、立派な赤い十字架の勲章がすっきりと下げられています。<br />右手に杖をそっとつきながら、こちらを静かに見つめる眼差しには、メディチ家の一代を築いた統治者としての圧倒的な威厳がリアルに表現されています。<br /><br />背景を彩る鮮やかな赤いカーテンが、彼のまとう高貴な衣装の質感を引き立てており、マリーを育んだイタリア・フィレンツェの高貴な血筋と名誉の歴史を、お部屋の中でじっくりと感じさせてくれる素晴らしい1枚です。

    8 ピーテル・パウル・ルーベンスによる肖像画『トスカーナ大公フランチェスコ1世の肖像』
    先ほどのお母様に続き、こちらは主役である王妃マリー・ド・メディシスの実のお父様の姿を描いた、大変立派な公式肖像画です。

    画面中央に佇むフランチェスコ1世は、黒い高貴な衣装の上から、真っ白なテンの毛皮を贅沢にあしらった重厚なマントを羽織っています。
    首元からは、自身が深く関わっていた聖ステファノ騎士団の象徴である、立派な赤い十字架の勲章がすっきりと下げられています。
    右手に杖をそっとつきながら、こちらを静かに見つめる眼差しには、メディチ家の一代を築いた統治者としての圧倒的な威厳がリアルに表現されています。

    背景を彩る鮮やかな赤いカーテンが、彼のまとう高貴な衣装の質感を引き立てており、マリーを育んだイタリア・フィレンツェの高貴な血筋と名誉の歴史を、お部屋の中でじっくりと感じさせてくれる素晴らしい1枚です。

  • 9  連作のプロローグとなる重要な作品『マリー・ド・メディシスの運命』です。<br /><br />前回の旅行記の最初に出てきた縦長の大作と同じ構図ですが、こちらはマリーの波乱万丈な生涯がすべて終わったあと、彼女の「輝かしい天界での運命」を改めて決定づけるために配置された、とても深い意味を持つ1枚です。<br /><br />画面の上部では、ギリシャ・ローマ神話の最高神であるユピテル(ゼウス)と、その妻ユノ(ヘラ)が、雲の上に仲睦まじく寄り添いながら優しく下界を見守っています。<br />彼らの足元では、人間の生死や運命を司る「運命の三女神(パルカ)」たちが、マリーのために美しく輝く運命の糸をせっせと紡いでいます。<br />通常の神話では、三女神のうちの1人が「人間の寿命を尽きさせるために糸をハサミで断ち切る」役割を持っています。<br />しかし、この絵の中にはハサミを持つ女神はどこにも描かれていません。<br />これはルーベンスによる大変知的な演出で、「王太后マリーの運命は神々によって特別に祝福されており、その名声は決して途切れることなく永遠に不滅である」という、最大級の賛辞と宮廷的なメッセージがすっきりとちりばめられているのです。<br />バロック絵画らしい豊満で躍動感あふれる肉体美と、劇的な光の表現が縦長の美しい画面に見事に凝縮されており、女王の歴史を締めくくるのにふさわしい、圧倒的な格調高さを放つ素晴らしい1枚です。

    9 連作のプロローグとなる重要な作品『マリー・ド・メディシスの運命』です。

    前回の旅行記の最初に出てきた縦長の大作と同じ構図ですが、こちらはマリーの波乱万丈な生涯がすべて終わったあと、彼女の「輝かしい天界での運命」を改めて決定づけるために配置された、とても深い意味を持つ1枚です。

    画面の上部では、ギリシャ・ローマ神話の最高神であるユピテル(ゼウス)と、その妻ユノ(ヘラ)が、雲の上に仲睦まじく寄り添いながら優しく下界を見守っています。
    彼らの足元では、人間の生死や運命を司る「運命の三女神(パルカ)」たちが、マリーのために美しく輝く運命の糸をせっせと紡いでいます。
    通常の神話では、三女神のうちの1人が「人間の寿命を尽きさせるために糸をハサミで断ち切る」役割を持っています。
    しかし、この絵の中にはハサミを持つ女神はどこにも描かれていません。
    これはルーベンスによる大変知的な演出で、「王太后マリーの運命は神々によって特別に祝福されており、その名声は決して途切れることなく永遠に不滅である」という、最大級の賛辞と宮廷的なメッセージがすっきりとちりばめられているのです。
    バロック絵画らしい豊満で躍動感あふれる肉体美と、劇的な光の表現が縦長の美しい画面に見事に凝縮されており、女王の歴史を締めくくるのにふさわしい、圧倒的な格調高さを放つ素晴らしい1枚です。

  • 10  ヤコブ・ファン・オースト(子)による『ペストの犠牲者を救うヘントの聖マカリウス』<br />ここで展示室の雰囲気ががらりと変わりました 。<br />先ほどまでの華やかな『メディシスのギャラリー』を抜け、17世紀のフランドル・ベルギー絵画の至宝が美しく並ぶリシュリュー翼3階の「ルーム800(あるいは隣接する17世紀フランドル絵画エリア)」へと移動しています<br /><br />1012年にベルギーのヘントで世を去ったキリスト教の聖人、聖マカリウスが、当時街を襲った恐ろしい「ペスト」の蔓延に立ち向かい、苦しむ病民たちを命がけで救済する緊迫した場面を描いています。<br /><br />画面中央で、厳かな宗教服をまとって聖杯を掲げ、病床の犠牲者に最後の祈りを捧げているのが聖マカリウスです。<br />彼の足元や周囲には、病に倒れて力なく横たわる人々や、必死に祈る市井の家族たちの姿が、バロック美術らしい生々しい肉体描写で細密に描き込まれています。<br /><br />上空を覗き込むと、たいまつや十字架を掲げた小さな天使たちが暗闇を照らすように舞い踊っており、絶望の淵にある人々に神聖な救いの光をもたらす、ドラマチックな明暗のコントラストがすっきりと表現されています。<br /><br />人類を脅かした大疫病の悲劇と、それに立ち向かう聖人の高潔な信仰心を、圧倒的なパノラマの臨場感で包み込んだ、お部屋の中でもひときわ深く心に刻まれる素晴らしい傑作です。

    10 ヤコブ・ファン・オースト(子)による『ペストの犠牲者を救うヘントの聖マカリウス』
    ここで展示室の雰囲気ががらりと変わりました 。
    先ほどまでの華やかな『メディシスのギャラリー』を抜け、17世紀のフランドル・ベルギー絵画の至宝が美しく並ぶリシュリュー翼3階の「ルーム800(あるいは隣接する17世紀フランドル絵画エリア)」へと移動しています

    1012年にベルギーのヘントで世を去ったキリスト教の聖人、聖マカリウスが、当時街を襲った恐ろしい「ペスト」の蔓延に立ち向かい、苦しむ病民たちを命がけで救済する緊迫した場面を描いています。

    画面中央で、厳かな宗教服をまとって聖杯を掲げ、病床の犠牲者に最後の祈りを捧げているのが聖マカリウスです。
    彼の足元や周囲には、病に倒れて力なく横たわる人々や、必死に祈る市井の家族たちの姿が、バロック美術らしい生々しい肉体描写で細密に描き込まれています。

    上空を覗き込むと、たいまつや十字架を掲げた小さな天使たちが暗闇を照らすように舞い踊っており、絶望の淵にある人々に神聖な救いの光をもたらす、ドラマチックな明暗のコントラストがすっきりと表現されています。

    人類を脅かした大疫病の悲劇と、それに立ち向かう聖人の高潔な信仰心を、圧倒的なパノラマの臨場感で包み込んだ、お部屋の中でもひときわ深く心に刻まれる素晴らしい傑作です。

  • 11  17世紀フランドルの巨匠、ジェイコブ・ヨルダーンスによる『最後の審判』<br /><br />世界の終わりにキリストがすべての人間を裁き、天国に昇る者と地獄に落ちる者とに分けるという、新約聖書のクライマックスを描いています。<br /><br />画面の一番上には、光を放ちながら両手を広げて君臨するキリストの姿があります。<br />そのすぐ下では、天使たちがラッパを吹き鳴らして審判の始まりを告げています。印象的なのは、画面の大部分を埋め尽くす無数の人間たちの躍動感あふれる肉体描写です。<br />左側からは救われた人々が光に導かれて上空へ昇っていく一方、右側では罪を犯した人々が暗闇の奈落へと連鎖するように次々と突き落とされています。<br />バロック美術らしい劇的なうねりと明暗のコントラストがすっきりと見事に表現されています。<br />人類の運命が1枚に凝縮されたかのような、そのあまりの熱量と格式の高さに、しばらく展示室の中で圧倒されながらじっくりと見入ってしまいました。

    11 17世紀フランドルの巨匠、ジェイコブ・ヨルダーンスによる『最後の審判』

    世界の終わりにキリストがすべての人間を裁き、天国に昇る者と地獄に落ちる者とに分けるという、新約聖書のクライマックスを描いています。

    画面の一番上には、光を放ちながら両手を広げて君臨するキリストの姿があります。
    そのすぐ下では、天使たちがラッパを吹き鳴らして審判の始まりを告げています。印象的なのは、画面の大部分を埋め尽くす無数の人間たちの躍動感あふれる肉体描写です。
    左側からは救われた人々が光に導かれて上空へ昇っていく一方、右側では罪を犯した人々が暗闇の奈落へと連鎖するように次々と突き落とされています。
    バロック美術らしい劇的なうねりと明暗のコントラストがすっきりと見事に表現されています。
    人類の運命が1枚に凝縮されたかのような、そのあまりの熱量と格式の高さに、しばらく展示室の中で圧倒されながらじっくりと見入ってしまいました。

  • 12  17世紀フランドルの巨匠ヤーコプ・ヨルダーンスによる『神殿から商人を追い払うキリスト』<br /><br />新約聖書に登場する有名なエピソードで、神聖な祈りの場である神殿の中で、牛や羊を売りさばき、お金儲けに執着する商人たちに怒ったキリストが、縄の鞭を振るって力強く追い出す場面を描いています。 <br /><br />画面の右側では、赤い衣服をまとったキリストが堂々と立ち、必死になって逃げ惑う商人や両替商たちを厳しく叱責しています。<br />中央を覗き込むと、驚きのあまり今にも絵から転げ落ちそうな表情を見せる男性や、ひっくり返るテーブルの緊迫感がバロック美術らしい劇的な臨場感で細密に表現されています。 <br />画面の左奥では、この大騒動を複雑な面持ちでじっと見つめているユダヤの司祭たちの姿があり、キリストへの不信感を募らせるドラマの伏線がすっきりと盛り込まれています。 <br />当時の市場の賑やかさと、そこに差し込むキリストの神聖な正義のパワーを、圧倒的な大パノラマの熱量で包み込んだ、いつまでも眺めていたくなる素晴らしい名作です。

    12 17世紀フランドルの巨匠ヤーコプ・ヨルダーンスによる『神殿から商人を追い払うキリスト』

    新約聖書に登場する有名なエピソードで、神聖な祈りの場である神殿の中で、牛や羊を売りさばき、お金儲けに執着する商人たちに怒ったキリストが、縄の鞭を振るって力強く追い出す場面を描いています。

    画面の右側では、赤い衣服をまとったキリストが堂々と立ち、必死になって逃げ惑う商人や両替商たちを厳しく叱責しています。
    中央を覗き込むと、驚きのあまり今にも絵から転げ落ちそうな表情を見せる男性や、ひっくり返るテーブルの緊迫感がバロック美術らしい劇的な臨場感で細密に表現されています。
    画面の左奥では、この大騒動を複雑な面持ちでじっと見つめているユダヤの司祭たちの姿があり、キリストへの不信感を募らせるドラマの伏線がすっきりと盛り込まれています。
    当時の市場の賑やかさと、そこに差し込むキリストの神聖な正義のパワーを、圧倒的な大パノラマの熱量で包み込んだ、いつまでも眺めていたくなる素晴らしい名作です。

  • 13  17世紀フランドルの名匠ガスパール・デ・クライエルによる壮麗な宗教画『聖人たちに囲まれる聖母子』<br /><br />画面の上部中央では、気品あふれる聖母マリアが玉座に腰掛け、膝の上の幼子キリストを優しく抱いています。<br />この作品の素晴らしい見どころは、聖母子の周囲を囲む聖人たちのドラマチックな描き分けです。<br />画面の右下で、豪華な金刺繍の法衣をまとって跪き、燃える心臓を捧げ持っているのは聖アウグスティヌスです。<br />彼の後ろには、その母親である聖モニカが優しく寄り添っています。<br />さらに聖母子のすぐ横からは、聖ドロテアと聖バルバラといった美しい女性の聖人たちが、幼子キリストに花かごを差し出しています。<br />画面左側を覗き込むと、托鉢僧の衣服をまとった聖ドミニクスや大修道院長聖アントニウスが静かに祈りを捧げており、それぞれの聖人が持つシンボルがすっきりと美しく収められています。<br /><br />背景の大きな赤いカーテンが、登場人物たちの陶器のような肌と格調高さを引き立てる、バロック美術の真髄を感じさせる素晴らしい大作です。

    13 17世紀フランドルの名匠ガスパール・デ・クライエルによる壮麗な宗教画『聖人たちに囲まれる聖母子』

    画面の上部中央では、気品あふれる聖母マリアが玉座に腰掛け、膝の上の幼子キリストを優しく抱いています。
    この作品の素晴らしい見どころは、聖母子の周囲を囲む聖人たちのドラマチックな描き分けです。
    画面の右下で、豪華な金刺繍の法衣をまとって跪き、燃える心臓を捧げ持っているのは聖アウグスティヌスです。
    彼の後ろには、その母親である聖モニカが優しく寄り添っています。
    さらに聖母子のすぐ横からは、聖ドロテアと聖バルバラといった美しい女性の聖人たちが、幼子キリストに花かごを差し出しています。
    画面左側を覗き込むと、托鉢僧の衣服をまとった聖ドミニクスや大修道院長聖アントニウスが静かに祈りを捧げており、それぞれの聖人が持つシンボルがすっきりと美しく収められています。

    背景の大きな赤いカーテンが、登場人物たちの陶器のような肌と格調高さを引き立てる、バロック美術の真髄を感じさせる素晴らしい大作です。

  • 14  17世紀フランドルを代表するもう一人の天才画家、アントニール・ヴァン・ダイクによる最高傑作『キリストの磔刑(聖母、聖ヨハネ、マグダラのマリアを伴う十字架上のキリスト)』<br /><br />新約聖書のもっとも厳かな場面である、十字架にかけられたキリストの最期の瞬間を描いた、非常に神聖なバロック様式の祭壇画です。<br /><br />画面中央の十字架の上では、キリストが息を引き取り、その神々しく白い肉体が暗い夜空の中に浮かび上がるように描かれています。<br />彼の足元に跪き、キリストの足にそっと口づけをして深い悲痛を表しているのが黄金のドレスをまとったマグダラのマリアです。<br />画面の左側には、我が子の凄惨な運命を前に、静かに天を見上げて涙を流す青いマントの聖母マリアが佇んでいます。<br /><br />右側には、赤いマントを羽織り、キリストの教えを胸に刻むようにじっと十字架を見つめる若き使徒ヨハネの姿がすっきりと美しく収められています。<br />実はこの作品、ヴァン・ダイクが若き日に師匠である巨匠ルーベンスの助手として働いていた時代に手がけた、二人の才能が見事に融合した歴史的にも大変貴重な1枚でもあります。 <br /><br />背景に漂う皆既日食のような怪しげな暗い空の表現が、登場人物たちの生々しい悲しみと、静かな信仰の格調高さをドラマチックに引き立てている、胸に深く刻まれる素晴らしい大作です。

    14 17世紀フランドルを代表するもう一人の天才画家、アントニール・ヴァン・ダイクによる最高傑作『キリストの磔刑(聖母、聖ヨハネ、マグダラのマリアを伴う十字架上のキリスト)』

    新約聖書のもっとも厳かな場面である、十字架にかけられたキリストの最期の瞬間を描いた、非常に神聖なバロック様式の祭壇画です。

    画面中央の十字架の上では、キリストが息を引き取り、その神々しく白い肉体が暗い夜空の中に浮かび上がるように描かれています。
    彼の足元に跪き、キリストの足にそっと口づけをして深い悲痛を表しているのが黄金のドレスをまとったマグダラのマリアです。
    画面の左側には、我が子の凄惨な運命を前に、静かに天を見上げて涙を流す青いマントの聖母マリアが佇んでいます。

    右側には、赤いマントを羽織り、キリストの教えを胸に刻むようにじっと十字架を見つめる若き使徒ヨハネの姿がすっきりと美しく収められています。
    実はこの作品、ヴァン・ダイクが若き日に師匠である巨匠ルーベンスの助手として働いていた時代に手がけた、二人の才能が見事に融合した歴史的にも大変貴重な1枚でもあります。

    背景に漂う皆既日食のような怪しげな暗い空の表現が、登場人物たちの生々しい悲しみと、静かな信仰の格調高さをドラマチックに引き立てている、胸に深く刻まれる素晴らしい大作です。

  • 15  17世紀フランドルの名高き巨匠ピーテル・パウル・ルーベンス(あるいは彼の工房)による壮大な大作『聖母被昇天』<br /><br />地上での生涯を終えた聖母マリアが、肉体と魂を伴って天へと迎え入れられる、カトリック教会における極めて神聖な奇跡の瞬間を描いた宗教画です。<br /><br />画面の上部では、純白のドレスと青いマントをなびかせた聖母マリアが、まばゆい天界の光に包まれながら、無数の愛らしい天使たちに支えられて優雅に昇天しています。<br />画面の下部へと視線を移すと、地上に残された使徒たちがマリアの空になった棺の周りに集まっています。<br />驚きと畏怖のあまり天を見上げる者、祈りを捧げる者たちのドラマチックなポーズや、衣服のダイナミックな「ひだ」の表現は、まさにルーベンスらしい圧倒的な熱量にあふれています。<br /><br />天上のきらびやかな歓喜と、地上の使徒たちの人間味あふれる驚きが、縦長の構図の中にすっきりと美しく対比された、お部屋の中でもひときわ神聖な輝きを放つ素晴らしい大作です。

    15 17世紀フランドルの名高き巨匠ピーテル・パウル・ルーベンス(あるいは彼の工房)による壮大な大作『聖母被昇天』

    地上での生涯を終えた聖母マリアが、肉体と魂を伴って天へと迎え入れられる、カトリック教会における極めて神聖な奇跡の瞬間を描いた宗教画です。

    画面の上部では、純白のドレスと青いマントをなびかせた聖母マリアが、まばゆい天界の光に包まれながら、無数の愛らしい天使たちに支えられて優雅に昇天しています。
    画面の下部へと視線を移すと、地上に残された使徒たちがマリアの空になった棺の周りに集まっています。
    驚きと畏怖のあまり天を見上げる者、祈りを捧げる者たちのドラマチックなポーズや、衣服のダイナミックな「ひだ」の表現は、まさにルーベンスらしい圧倒的な熱量にあふれています。

    天上のきらびやかな歓喜と、地上の使徒たちの人間味あふれる驚きが、縦長の構図の中にすっきりと美しく対比された、お部屋の中でもひときわ神聖な輝きを放つ素晴らしい大作です。

  • 16  17世紀フランドルの巨匠フランシス・ルバウト(またはアンソニー・ヴァン・ダイク周辺の画家)に帰属される、非常に深く厳かな雰囲気を持つ大作『十字架上のキリストと聖フランチェスコ、マグダラのマリア』<br /><br />先ほどの華やかな昇天の場面から一転して、こちらはキリストの受難という、新約聖書の中で最も深く敬虔な祈りが捧げられる場面を描いた祭壇画です。<br /><br />画面中央では、十字架にかけられたキリストの、苦痛を耐え抜いた白く美しい肉体が、暗雲立ち込める夜空の中に厳かに浮かび上がっています。<br />画面の左側で跪き、胸の前で手を合わせて一心に祈りを捧げているのは、粗末な修道服をまとった聖フランチェスコです。<br />右側からは、美しい衣装をまとったマグダラのマリアが十字架の足元にすがりつき、切ない眼差しでキリストを見上げて涙を流しています。<br />足元には小さな天使たちの姿もあり、悲しみに満ちた聖なる儀式をすっきりと引き立てています。<br /><br />激しい明暗のコントラストによって、登場人物たちの心からの哀悼と深い信仰心がドラマチックに表現された、お部屋のなかでも静かに心に染み渡る素晴らしい1枚です。

    16 17世紀フランドルの巨匠フランシス・ルバウト(またはアンソニー・ヴァン・ダイク周辺の画家)に帰属される、非常に深く厳かな雰囲気を持つ大作『十字架上のキリストと聖フランチェスコ、マグダラのマリア』

    先ほどの華やかな昇天の場面から一転して、こちらはキリストの受難という、新約聖書の中で最も深く敬虔な祈りが捧げられる場面を描いた祭壇画です。

    画面中央では、十字架にかけられたキリストの、苦痛を耐え抜いた白く美しい肉体が、暗雲立ち込める夜空の中に厳かに浮かび上がっています。
    画面の左側で跪き、胸の前で手を合わせて一心に祈りを捧げているのは、粗末な修道服をまとった聖フランチェスコです。
    右側からは、美しい衣装をまとったマグダラのマリアが十字架の足元にすがりつき、切ない眼差しでキリストを見上げて涙を流しています。
    足元には小さな天使たちの姿もあり、悲しみに満ちた聖なる儀式をすっきりと引き立てています。

    激しい明暗のコントラストによって、登場人物たちの心からの哀悼と深い信仰心がドラマチックに表現された、お部屋のなかでも静かに心に染み渡る素晴らしい1枚です。

  • 17  17世紀フランドルの静物・動物画の巨匠ヤン・フィトによる、大変に賑やかで見応えのある大作『ロバ、雄鶏、猟犬、そして静物のある風景』<br /><br />画面中央には、美しいお花をたくさん背中に載せたロバが佇んでおり、その足元には真っ白なガチョウや、逞しく立つ猟犬、ヤギなどの動物たちが大集結しています。<br />左側をよく覗き込むと、きらびやかな孔雀(クジャク)が羽を休めており、手前には豪華な銀の皿や壺などの工芸品が、バロック美術らしい豊かな色彩と圧倒的な細密描写ですっきりと散りばめられています。<br />右奥の背景には、遠く霞むのどかな田園風景と、うっすらと広がる青空のパノラマが描かれており、画面に心地よい奥行きを与えています。<br /><br />神話や聖書のお話ではなく、動物たちの毛並みや工芸品の輝きといった「現実の物質の美しさ」を、1枚の格調高いパノラマ風景の中にユーモアたっぷりにまとめ上げた、いつまでも眺めていたくなる素晴らしい名作です。

    17 17世紀フランドルの静物・動物画の巨匠ヤン・フィトによる、大変に賑やかで見応えのある大作『ロバ、雄鶏、猟犬、そして静物のある風景』

    画面中央には、美しいお花をたくさん背中に載せたロバが佇んでおり、その足元には真っ白なガチョウや、逞しく立つ猟犬、ヤギなどの動物たちが大集結しています。
    左側をよく覗き込むと、きらびやかな孔雀(クジャク)が羽を休めており、手前には豪華な銀の皿や壺などの工芸品が、バロック美術らしい豊かな色彩と圧倒的な細密描写ですっきりと散りばめられています。
    右奥の背景には、遠く霞むのどかな田園風景と、うっすらと広がる青空のパノラマが描かれており、画面に心地よい奥行きを与えています。

    神話や聖書のお話ではなく、動物たちの毛並みや工芸品の輝きといった「現実の物質の美しさ」を、1枚の格調高いパノラマ風景の中にユーモアたっぷりにまとめ上げた、いつまでも眺めていたくなる素晴らしい名作です。

  • 18  17世紀フランドルの巨匠ジェラール・セーヘルス(Gérard Seghers)による輝かしい名作『キリストの復活』<br /><br />十字架にかけられて崩御したキリストが、すべての死の苦しみに打ち勝ち、奇跡的な復活を遂げて大いなる栄光とともに墓から立ち上がる新約聖書の決定的な瞬間を描いています。<br /><br />画面中央では、白い布をまとったキリストが、まばゆい聖なる光を放ちながら堂々と右手を掲げています。<br />彼の背後には、勝利の象徴である白と赤の大きな十字架の旗が鮮やかになびいており、画面全体に祝祭的な格調高さを与えています。<br />画面の手前を覗き込むと、キリストのあまりの神聖なパワーと輝きに驚き、腰を抜かしてひっくり返るローマの兵士たちの姿が、バロック美術らしいダイナミックな肉体描写で生き生きと表現されています。<br /><br />暗い背景の中からキリストの輝く白い肉体がドラマチックに浮かび上がり、死に対する正義の勝利をこれ以上ないほどすっきりと、そして品格高く表現した素晴らしい1枚です。

    18 17世紀フランドルの巨匠ジェラール・セーヘルス(Gérard Seghers)による輝かしい名作『キリストの復活』

    十字架にかけられて崩御したキリストが、すべての死の苦しみに打ち勝ち、奇跡的な復活を遂げて大いなる栄光とともに墓から立ち上がる新約聖書の決定的な瞬間を描いています。

    画面中央では、白い布をまとったキリストが、まばゆい聖なる光を放ちながら堂々と右手を掲げています。
    彼の背後には、勝利の象徴である白と赤の大きな十字架の旗が鮮やかになびいており、画面全体に祝祭的な格調高さを与えています。
    画面の手前を覗き込むと、キリストのあまりの神聖なパワーと輝きに驚き、腰を抜かしてひっくり返るローマの兵士たちの姿が、バロック美術らしいダイナミックな肉体描写で生き生きと表現されています。

    暗い背景の中からキリストの輝く白い肉体がドラマチックに浮かび上がり、死に対する正義の勝利をこれ以上ないほどすっきりと、そして品格高く表現した素晴らしい1枚です。

  • 19  17世紀フランドルの静物・動物画の巨匠ヤン・フィトによる、大変にユニークで愛らしい作品『オルフェウスの音楽に集まる動物たち』<br /><br />ギリシャ神話に登場する稀代の音楽家オルフェウスが、竪琴を奏でると、そのあまりに美しい音色に魅了され、野生の動物たちが敵味方の垣根を越えてうっとりと集まってきたという有名なエピソードを描いています。<br /><br />画面の右奥をよく覗き込むと、木々の間で静かに竪琴を弾くオルフェウスの姿が小さく表現されています。<br />メインとして描かれているのは、主役である動物たちの驚くほどリアルな肖像です。左側で美しい毛並みを見せる大きな馬をはじめ、立派な角を持つ鹿、鋭い目つきのライオンやヒョウ、手前を歩くキツネや、上空を舞う鳥たちまで、まるで「動物の楽園」のようなパノラマが広がっています。<br /><br />どんなに獰猛な猛獣たちも、美しい芸術の前では心を一つにして穏やかになるという平和への願いが、バロック美術らしい豊かな色彩とすっきりとした構図でまとめられた、優しくも格調高い素晴らしい1枚です。

    19 17世紀フランドルの静物・動物画の巨匠ヤン・フィトによる、大変にユニークで愛らしい作品『オルフェウスの音楽に集まる動物たち』

    ギリシャ神話に登場する稀代の音楽家オルフェウスが、竪琴を奏でると、そのあまりに美しい音色に魅了され、野生の動物たちが敵味方の垣根を越えてうっとりと集まってきたという有名なエピソードを描いています。

    画面の右奥をよく覗き込むと、木々の間で静かに竪琴を弾くオルフェウスの姿が小さく表現されています。
    メインとして描かれているのは、主役である動物たちの驚くほどリアルな肖像です。左側で美しい毛並みを見せる大きな馬をはじめ、立派な角を持つ鹿、鋭い目つきのライオンやヒョウ、手前を歩くキツネや、上空を舞う鳥たちまで、まるで「動物の楽園」のようなパノラマが広がっています。

    どんなに獰猛な猛獣たちも、美しい芸術の前では心を一つにして穏やかになるという平和への願いが、バロック美術らしい豊かな色彩とすっきりとした構図でまとめられた、優しくも格調高い素晴らしい1枚です。

  • 20  17世紀フランドルの画家テオドール・ファン・テュルデンによる、天界の輝きに満ちた傑作『聖母マリアの前に現れる復活したキリスト』<br /><br />復活を遂げたキリストが、最愛の母である聖母マリアの前に最初に姿を現し、二人がお互いの無事を喜び合うという、聖書には直接書かれていないものの、古くから信仰のなかで大切にされてきた大変感動的な場面です。<br /><br />画面中央では、勝利の旗を手にしたキリストが、跪いて手を合わせる聖母マリアへと優しく手を差し伸べています。<br />マリアは息子の姿を前に、深い喜びと敬意に満ちた美しい表情を見せています。 <br />彼女たちの頭上を覗き込むと、雲の間から無数の愛らしい天使や、リュートを奏でる音楽の天使たちが大集結しています。<br /><br />中央に浮かぶリボンには、カトリックの有名な聖歌の一節である「Regina caeli laetare alleluia(天の女王、喜び給え、アレルヤ)」の文字がすっきりと美しく刻まれており、奇跡の祝祭感を一層引き立てています。<br /><br />親子の愛の奇跡を、バロック美術らしいダイナミックな明暗のコントラストと、まばゆい天界のパノラマで包み込んだ、お部屋の中でもひときわ晴れやかな格式を放つ素晴らしい大作です。

    20 17世紀フランドルの画家テオドール・ファン・テュルデンによる、天界の輝きに満ちた傑作『聖母マリアの前に現れる復活したキリスト』

    復活を遂げたキリストが、最愛の母である聖母マリアの前に最初に姿を現し、二人がお互いの無事を喜び合うという、聖書には直接書かれていないものの、古くから信仰のなかで大切にされてきた大変感動的な場面です。

    画面中央では、勝利の旗を手にしたキリストが、跪いて手を合わせる聖母マリアへと優しく手を差し伸べています。
    マリアは息子の姿を前に、深い喜びと敬意に満ちた美しい表情を見せています。
    彼女たちの頭上を覗き込むと、雲の間から無数の愛らしい天使や、リュートを奏でる音楽の天使たちが大集結しています。

    中央に浮かぶリボンには、カトリックの有名な聖歌の一節である「Regina caeli laetare alleluia(天の女王、喜び給え、アレルヤ)」の文字がすっきりと美しく刻まれており、奇跡の祝祭感を一層引き立てています。

    親子の愛の奇跡を、バロック美術らしいダイナミックな明暗のコントラストと、まばゆい天界のパノラマで包み込んだ、お部屋の中でもひときわ晴れやかな格式を放つ素晴らしい大作です。

  • 21  17世紀オランダの画家イサーク・ファン・オスタードによる素朴な冬の情景を描いた名作『家並みの続く道を下る馬車と凍った川』<br /><br />当時のオランダの人々の何気ない日常や美しい自然の光景が広がる、リシュリュー翼3階の「ルーム836(17世紀オランダ風景画の部屋)」へと進んでいます。<br /><br />寒々とした冬の空の下、すっかり凍りついた広い川のほとりで、馬に引かれた荷馬車が坂道をゆっくりと下ってくる様子が描かれています。<br /><br />画面中央を覗き込むと、防寒着を着込んだ村人たちが立ち話をしていたり、氷の上で作業をしていたりする日常の温かみのある息づかいが、細密なタッチですっきりと描き込まれています。<br /><br />右側には素朴な茅葺き屋根の農家が佇み、左奥にはうっすらと街のシルエットが広がるパノラマ的な構図が、画面に心地よい奥行きを与えています。<br /><br />派手な神話や歴史のドラマではなく、厳しい冬を逞しく、そして平穏に暮らす市井の人々の営みを、オランダ絵画らしい落ち着いた美しい色彩で品格高くまとめ上げた、旅情をそそる素晴らしい1枚です。

    21 17世紀オランダの画家イサーク・ファン・オスタードによる素朴な冬の情景を描いた名作『家並みの続く道を下る馬車と凍った川』

    当時のオランダの人々の何気ない日常や美しい自然の光景が広がる、リシュリュー翼3階の「ルーム836(17世紀オランダ風景画の部屋)」へと進んでいます。

    寒々とした冬の空の下、すっかり凍りついた広い川のほとりで、馬に引かれた荷馬車が坂道をゆっくりと下ってくる様子が描かれています。

    画面中央を覗き込むと、防寒着を着込んだ村人たちが立ち話をしていたり、氷の上で作業をしていたりする日常の温かみのある息づかいが、細密なタッチですっきりと描き込まれています。

    右側には素朴な茅葺き屋根の農家が佇み、左奥にはうっすらと街のシルエットが広がるパノラマ的な構図が、画面に心地よい奥行きを与えています。

    派手な神話や歴史のドラマではなく、厳しい冬を逞しく、そして平穏に暮らす市井の人々の営みを、オランダ絵画らしい落ち着いた美しい色彩で品格高くまとめ上げた、旅情をそそる素晴らしい1枚です。

  • 22  17世紀オランダの風景画の巨匠サロモン・ファン・ロイスダールによる、穏やかで美しい水辺の風景を描いた傑作『牛のいる川の風景(あるいは、川の景色)』<br /><br />雲が広がるオランダ特有の大きな空の下、ゆったりと流れる広い川を帆船が行き交う、当時の豊かな水運の日常を描いた情緒あふれる1枚です。<br /><br />画面の右側には、たくさんの人々を乗せた大きな帆船が静かに浮かんでおり、その奥には別の白い帆を掲げた船がパノラマのように美しく配置されています。<br />この作品の優しく微笑ましい見どころは、画面の左側の川岸です。<br />数頭の牛たちが集まってのんびりと水を飲んでおり、その素朴な佇まいが画面全体にのどかな平穏さを与えています。<br />右奥の岸辺に小さく見える家々や、水面に映り込む船の影のリアルな質感描写には、ロイスダールならではの卓越した職人技が光っています。<br /><br />劇的なドラマではなく、オランダの豊かな水辺の空気感とそこに流れる静かな時間を、落ち着いた美しい色彩で品格高くまとめ上げた、旅情をそそる素晴らしい風景画です。

    22 17世紀オランダの風景画の巨匠サロモン・ファン・ロイスダールによる、穏やかで美しい水辺の風景を描いた傑作『牛のいる川の風景(あるいは、川の景色)』

    雲が広がるオランダ特有の大きな空の下、ゆったりと流れる広い川を帆船が行き交う、当時の豊かな水運の日常を描いた情緒あふれる1枚です。

    画面の右側には、たくさんの人々を乗せた大きな帆船が静かに浮かんでおり、その奥には別の白い帆を掲げた船がパノラマのように美しく配置されています。
    この作品の優しく微笑ましい見どころは、画面の左側の川岸です。
    数頭の牛たちが集まってのんびりと水を飲んでおり、その素朴な佇まいが画面全体にのどかな平穏さを与えています。
    右奥の岸辺に小さく見える家々や、水面に映り込む船の影のリアルな質感描写には、ロイスダールならではの卓越した職人技が光っています。

    劇的なドラマではなく、オランダの豊かな水辺の空気感とそこに流れる静かな時間を、落ち着いた美しい色彩で品格高くまとめ上げた、旅情をそそる素晴らしい風景画です。

  • 23  17世紀オランダの海景画の巨匠アドリアーン・ファン・デ・フェルデによる『スケフェニンゲンの浜辺の馬車』<br /><br />オランダのデン・ハーグ近郊にある有名なリゾート地、スケフェニンゲンの広大な砂浜を舞台に、当時の人々の活気ある日常を描いた非常に旅情あそる1枚です。<br /><br />画面中央では、何頭もの立派な馬に引かれた大きな乗合馬車が砂浜に到着し、周囲にはそれを取り囲むように大勢の村人や旅人たちが集まっています。<br />右側には砂浜に引き揚げられた漁船が佇み、その奥には特徴的な教会の塔が小さく見え、パノラマのような構図にすっきりと奥行きを与えています。<br />この作品の素晴らしい見どころは、画面の大部分を占めるオランダらしいダイナミックな「雲の広がる大空」の表現です。<br />アドリアーンは、刻一刻と変化する浜辺の光と、人々の生き生きとした営みを、繊細で透明感のある色彩で見事に調和させています。<br /><br />神話の劇的な世界とは一味違う、北海の潮風や人々の笑い声が今にも聞こえてきそうな、いつまでも眺めていたくなる素晴らしい風景画です。

    23 17世紀オランダの海景画の巨匠アドリアーン・ファン・デ・フェルデによる『スケフェニンゲンの浜辺の馬車』

    オランダのデン・ハーグ近郊にある有名なリゾート地、スケフェニンゲンの広大な砂浜を舞台に、当時の人々の活気ある日常を描いた非常に旅情あそる1枚です。

    画面中央では、何頭もの立派な馬に引かれた大きな乗合馬車が砂浜に到着し、周囲にはそれを取り囲むように大勢の村人や旅人たちが集まっています。
    右側には砂浜に引き揚げられた漁船が佇み、その奥には特徴的な教会の塔が小さく見え、パノラマのような構図にすっきりと奥行きを与えています。
    この作品の素晴らしい見どころは、画面の大部分を占めるオランダらしいダイナミックな「雲の広がる大空」の表現です。
    アドリアーンは、刻一刻と変化する浜辺の光と、人々の生き生きとした営みを、繊細で透明感のある色彩で見事に調和させています。

    神話の劇的な世界とは一味違う、北海の潮風や人々の笑い声が今にも聞こえてきそうな、いつまでも眺めていたくなる素晴らしい風景画です。

  • 24  17世紀オランダの巨匠ヤン・ファン・ゴイエンによる、深い情緒を湛えた名作『風車と朽ちた城のある川辺の風景』<br /><br />ゴイエンの代名詞とも言える、茶色や黄色を基調とした落ち着いた色彩(単色画風)で、オランダのどこか物寂しくも美しい水辺の日常を描いた見事な1枚です。<br /><br />画面の右側には、長い歴史を物語るような古びた城の塔がどっしりとそびえ立ち、その手前には素朴な平屋の家々や小さな舟が細密に描き込まれています。<br />画面中央の少し奥を覗き込むと、川沿いに佇むオランダの象徴・風車のシルエットがパノラマのように美しく配置されています。<br />左側の広い川面には、のんびりと進む帆船や、手前で言葉を交わしながら舟を漕ぎ出す人々の日常の息づかいがすっきりと表現されており、画面に心地よい奥行きを与えています。<br /><br />派手な色彩に頼ることなく、水辺を包むしっとりとした空気感とオランダの大きな空の表情を、抜群の気品と職人技でまとめ上げた、深く心に染み渡る素晴らしい風景画です。

    24 17世紀オランダの巨匠ヤン・ファン・ゴイエンによる、深い情緒を湛えた名作『風車と朽ちた城のある川辺の風景』

    ゴイエンの代名詞とも言える、茶色や黄色を基調とした落ち着いた色彩(単色画風)で、オランダのどこか物寂しくも美しい水辺の日常を描いた見事な1枚です。

    画面の右側には、長い歴史を物語るような古びた城の塔がどっしりとそびえ立ち、その手前には素朴な平屋の家々や小さな舟が細密に描き込まれています。
    画面中央の少し奥を覗き込むと、川沿いに佇むオランダの象徴・風車のシルエットがパノラマのように美しく配置されています。
    左側の広い川面には、のんびりと進む帆船や、手前で言葉を交わしながら舟を漕ぎ出す人々の日常の息づかいがすっきりと表現されており、画面に心地よい奥行きを与えています。

    派手な色彩に頼ることなく、水辺を包むしっとりとした空気感とオランダの大きな空の表情を、抜群の気品と職人技でまとめ上げた、深く心に染み渡る素晴らしい風景画です。

  • 25  17世紀オランダの巨匠ヤン・ファン・ゴイエンによる、光と影の調和が素晴らしい傑作『ナイメーヘンのファルクホフの眺め』<br /><br />ゴイエンが1640年代に好んで何度も描いた、オランダ最古の都市の一つであるナイメーヘンの街並みと、そこをゆったりと流れるヴァール川の美しい景観をパノラマ的な構図で描いています。 <br /><br />画面の右側には、川岸にどっしりと佇む中世の堅牢な要塞城「ファルクホフ」が、歴史の重みを感じさせる渋い佇まいでそびえ立っています。<br /> 画面の左手前をよく覗き込むと、大勢の人々や荷物を乗せた大きな渡し舟が川をゆっくりと渡っており、その奥にも美しい白い帆を掲げた小舟たちが点々と並んでいます。<br />ゴイエンの代名詞とも言える、茶色や黄色をベースにした落ち着いた「単色画風」の色彩が、水面に反射するきらきらとした柔らかな光の質感とオランダの雄大な空の表情を、すっきりと品格高く引き立てています。<br /><br />どこかノスタルジックで静かな時間が流れる、当時の豊かな水運の日常を職人技の技巧でまとめ上げた、いつまでも眺めていたくなる素晴らしい風景画です。

    25 17世紀オランダの巨匠ヤン・ファン・ゴイエンによる、光と影の調和が素晴らしい傑作『ナイメーヘンのファルクホフの眺め』

    ゴイエンが1640年代に好んで何度も描いた、オランダ最古の都市の一つであるナイメーヘンの街並みと、そこをゆったりと流れるヴァール川の美しい景観をパノラマ的な構図で描いています。

    画面の右側には、川岸にどっしりと佇む中世の堅牢な要塞城「ファルクホフ」が、歴史の重みを感じさせる渋い佇まいでそびえ立っています。
    画面の左手前をよく覗き込むと、大勢の人々や荷物を乗せた大きな渡し舟が川をゆっくりと渡っており、その奥にも美しい白い帆を掲げた小舟たちが点々と並んでいます。
    ゴイエンの代名詞とも言える、茶色や黄色をベースにした落ち着いた「単色画風」の色彩が、水面に反射するきらきらとした柔らかな光の質感とオランダの雄大な空の表情を、すっきりと品格高く引き立てています。

    どこかノスタルジックで静かな時間が流れる、当時の豊かな水運の日常を職人技の技巧でまとめ上げた、いつまでも眺めていたくなる素晴らしい風景画です。

  • 26  17世紀オランダの画家ヤン・ボトによる、黄金色の光がどこかノスタルジックな名作『ラバの乗客のいるイタリアの風景』<br /><br />ヤン・ボトは、イタリアのローマに留学した際、南欧のまばゆい太陽の光に深い感銘を受けました。<br />オランダに帰国後、そのイタリアの美しい「夕暮れ時の黄金の光」をベースに、空想の牧歌的な大自然を描き、当時絶大な人気を誇った「イタリア派風景画」の第一人者です。 <br />画面中央の低い木立の間を覗き込むと、ラバの背中にまたがって、のんびりと旅を続ける市井の旅人や村人たちの姿が細密に描き込まれています。<br />画面の左側には深い緑の木々やゴツゴツとした岩山がどっしりとそびえ立つ一方、右側にはうっすらと夕霧に霞む遠くの山並みや広大な平原のパノラマが広がっており、画面に心地よい奥行きを与えています。<br /><br />オランダの涼しく平坦な気候とは一味違う、地中海の温かみのある空気感としっとりとした夕暮れの時間を、抜群の気品と職人技の技巧でまとめ上げた、深く心に染み渡る素晴らしい風景画です。

    26 17世紀オランダの画家ヤン・ボトによる、黄金色の光がどこかノスタルジックな名作『ラバの乗客のいるイタリアの風景』

    ヤン・ボトは、イタリアのローマに留学した際、南欧のまばゆい太陽の光に深い感銘を受けました。
    オランダに帰国後、そのイタリアの美しい「夕暮れ時の黄金の光」をベースに、空想の牧歌的な大自然を描き、当時絶大な人気を誇った「イタリア派風景画」の第一人者です。
    画面中央の低い木立の間を覗き込むと、ラバの背中にまたがって、のんびりと旅を続ける市井の旅人や村人たちの姿が細密に描き込まれています。
    画面の左側には深い緑の木々やゴツゴツとした岩山がどっしりとそびえ立つ一方、右側にはうっすらと夕霧に霞む遠くの山並みや広大な平原のパノラマが広がっており、画面に心地よい奥行きを与えています。

    オランダの涼しく平坦な気候とは一味違う、地中海の温かみのある空気感としっとりとした夕暮れの時間を、抜群の気品と職人技の技巧でまとめ上げた、深く心に染み渡る素晴らしい風景画です。

  • 27  17世紀オランダの画家アラールト・ファン・エーフェルディンヘンによる、北欧の厳かな自然を描いた傑作『山岳地帯の川』<br /><br />エーフェルディンヘンは、実際にノルウェーへ旅をした経験をもとに、ゴツゴツとした岩山や激しい急流といった「北欧独特の荒々しい大自然」をオランダへ紹介し、当時の画壇に大きな衝撃を与えたパイオニアです。<br /><br />画面の右側には、天に向かって鋭く切り立った巨大な岩山が迫力たっぷりにそびえ立っています。<br />中央の谷間からは、白波を立てて激しく流れ落ちる川のパノラマが広がっており、そのふもとには素朴なログハウス風の木造の家々が細密に描き込まれています。<br />左上の高い丘の上には小さなお城のような建物も見え、画面に心地よい奥行きを与えています。<br /><br />オランダの平坦な景色とは一味違う、どこか神秘的で険しい異国の山の空気を、計算された構図と職人技の技巧ですっきりと品格高くまとめ上げた、旅情を深くそそる素晴らしい1枚です。

    27 17世紀オランダの画家アラールト・ファン・エーフェルディンヘンによる、北欧の厳かな自然を描いた傑作『山岳地帯の川』

    エーフェルディンヘンは、実際にノルウェーへ旅をした経験をもとに、ゴツゴツとした岩山や激しい急流といった「北欧独特の荒々しい大自然」をオランダへ紹介し、当時の画壇に大きな衝撃を与えたパイオニアです。

    画面の右側には、天に向かって鋭く切り立った巨大な岩山が迫力たっぷりにそびえ立っています。
    中央の谷間からは、白波を立てて激しく流れ落ちる川のパノラマが広がっており、そのふもとには素朴なログハウス風の木造の家々が細密に描き込まれています。
    左上の高い丘の上には小さなお城のような建物も見え、画面に心地よい奥行きを与えています。

    オランダの平坦な景色とは一味違う、どこか神秘的で険しい異国の山の空気を、計算された構図と職人技の技巧ですっきりと品格高くまとめ上げた、旅情を深くそそる素晴らしい1枚です。

  • 28  17世紀オランダ風景画のもう一人の巨匠、メインデルト・ホッベマによる味わい深い傑作『森の道』<br /><br />ホッベマは、風景画の大巨匠ヤーコプ・ファン・ロイスダールの唯一の弟子として修業を積んだ画家です。<br /><br />師匠の描く自然がどこか厳しくドラマチックなのに対し、ホッベマは木漏れ日の差し込む穏やかな田舎道など、人々の生活に寄り添った優しく温かみのある風景を得意としました。<br /><br />画面中央には、青々と葉を茂らせた立派な大樹がどっしりとそびえ立ち、その足元からうねるように続く素朴な土の道が描かれています。<br />道をよく覗き込むと、のんびりと歩みを進める旅人たちの姿が小さくすっきりと描き込まれています。<br />木々の隙間からは赤茶色のレンガ造りの家が顔を覗かせており、右側にはオランダらしいダイナミックに湧き立つ白い雲と美しい青空のパノラマが広がり、画面に心地よい奥行きを与えています。<br /><br />派手な演出はなくとも、美しい木々の緑、差し込む柔らかな光、そしてそこに流れる静かな日常の時間を、卓越した職人技の技巧で品格高くまとめ上げた、旅情をそそる素晴らしい1枚です。

    28 17世紀オランダ風景画のもう一人の巨匠、メインデルト・ホッベマによる味わい深い傑作『森の道』

    ホッベマは、風景画の大巨匠ヤーコプ・ファン・ロイスダールの唯一の弟子として修業を積んだ画家です。

    師匠の描く自然がどこか厳しくドラマチックなのに対し、ホッベマは木漏れ日の差し込む穏やかな田舎道など、人々の生活に寄り添った優しく温かみのある風景を得意としました。

    画面中央には、青々と葉を茂らせた立派な大樹がどっしりとそびえ立ち、その足元からうねるように続く素朴な土の道が描かれています。
    道をよく覗き込むと、のんびりと歩みを進める旅人たちの姿が小さくすっきりと描き込まれています。
    木々の隙間からは赤茶色のレンガ造りの家が顔を覗かせており、右側にはオランダらしいダイナミックに湧き立つ白い雲と美しい青空のパノラマが広がり、画面に心地よい奥行きを与えています。

    派手な演出はなくとも、美しい木々の緑、差し込む柔らかな光、そしてそこに流れる静かな日常の時間を、卓越した職人技の技巧で品格高くまとめ上げた、旅情をそそる素晴らしい1枚です。

  • 29  17世紀オランダの画家ピエテル・ファン・サントフォールトによる、枯れ木の佇まいが印象的な名作『冬の風景』<br /><br />画面の左側には、葉をすべて落とし、ゴツゴツとした枝を大きく広げた立派な枯れ木がどっしりと描かれており、冬の厳しい寒さを静かに物語っています。<br />その足元に広がる土の道をよく覗き込むと、荷物を背負って歩く旅人や、身を寄せ合って休憩している村人たちの姿が細密に描き込まれています。<br />右側にはゆったりと流れる川があり、数羽の水鳥がのんびりと浮かんでいる様子がのどかです。遠くには霞む平原のパノラマと、オランダらしい柔らかな光を帯びた大きな空がすっきりと広がり、画面に心地よい奥行きを与えています。<br /><br />華やかな色彩はありませんが、厳しい季節の中でも変わらない、大自然の静けさと人間の素朴な営みを、抜群の気品あるタッチでまとめ上げた、深く心にしみる素晴らしい1枚です。

    29 17世紀オランダの画家ピエテル・ファン・サントフォールトによる、枯れ木の佇まいが印象的な名作『冬の風景』

    画面の左側には、葉をすべて落とし、ゴツゴツとした枝を大きく広げた立派な枯れ木がどっしりと描かれており、冬の厳しい寒さを静かに物語っています。
    その足元に広がる土の道をよく覗き込むと、荷物を背負って歩く旅人や、身を寄せ合って休憩している村人たちの姿が細密に描き込まれています。
    右側にはゆったりと流れる川があり、数羽の水鳥がのんびりと浮かんでいる様子がのどかです。遠くには霞む平原のパノラマと、オランダらしい柔らかな光を帯びた大きな空がすっきりと広がり、画面に心地よい奥行きを与えています。

    華やかな色彩はありませんが、厳しい季節の中でも変わらない、大自然の静けさと人間の素朴な営みを、抜群の気品あるタッチでまとめ上げた、深く心にしみる素晴らしい1枚です。

  • 30  17世紀オランダの画家カレル・デュジャルダンによる、陽だまりのような温かみを感じる小品『パトレスと馬のいるイタリアの風景』<br /><br />デュジャルダンは、イタリアのローマに留学した際、南欧の澄み渡る青空とまばゆい光に深く魅了された画家です。<br />オランダに帰国後、その南欧の光の記憶をもとに、穏やかな陽の光に包まれた牧歌的な大自然を描き、当時絶大な人気を博しました。<br /><br />画面の手前では、くっきりと美しい白黒の斑(ぶち)模様を持った1頭の馬が佇んでいます。<br />その傍らでは、旅の途中で足を休めているような牧人の姿が、非常に静かで落ち着いた佇まいで描き込まれています。 <br /><br />上半分へ視線を移すと、イタリアを思わせるのどかな平原と、すっきりと晴れ渡った美しい青空のパノラマが広がっており、画面に心地よい奥行きを与えています。夕暮れ前の柔らかな光が、馬の美しい毛並みや素朴な大地の質感を品格高く引き立てる、心にしっとりと染み渡る素晴らしい風景画です。 <br /><br />つづく

    30 17世紀オランダの画家カレル・デュジャルダンによる、陽だまりのような温かみを感じる小品『パトレスと馬のいるイタリアの風景』

    デュジャルダンは、イタリアのローマに留学した際、南欧の澄み渡る青空とまばゆい光に深く魅了された画家です。
    オランダに帰国後、その南欧の光の記憶をもとに、穏やかな陽の光に包まれた牧歌的な大自然を描き、当時絶大な人気を博しました。

    画面の手前では、くっきりと美しい白黒の斑(ぶち)模様を持った1頭の馬が佇んでいます。
    その傍らでは、旅の途中で足を休めているような牧人の姿が、非常に静かで落ち着いた佇まいで描き込まれています。

    上半分へ視線を移すと、イタリアを思わせるのどかな平原と、すっきりと晴れ渡った美しい青空のパノラマが広がっており、画面に心地よい奥行きを与えています。夕暮れ前の柔らかな光が、馬の美しい毛並みや素朴な大地の質感を品格高く引き立てる、心にしっとりと染み渡る素晴らしい風景画です。

    つづく

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