2016/05/09 - 2016/07/29
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おくさん
歩く歩く歩く2016 北の道6
歩き18日目 Poo - Pineres
5月30日(月)Llanes de Poo の私営アルベルゲ。結局、易きに流れて今日は18キロ先のPineresを目指すことにする。短い距離と決めたので余裕の一日になりそう。アルベルゲの朝食は既に前の晩に用意してくれたらしく、下に降りてきたら食堂に準備されていた。アルベルゲの人は誰も起きてこないらしい。いつものようにトーストやシリアルと飲み物しかないが、歩くためのエネルギーなのでバターやジャムをいっぱい載せて、カロリーばっちり。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 30万円 - 50万円
- 交通手段
- 徒歩
- 航空会社
- カタール航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
空の方は雨模様なので、ザックカバーを装着してスタートするが、パラパラ雨が降った後は止んでくれ、暫くしたら青空に変わった。今日はもう雨の心配はなさそうだ。
今夜カタリナが泊まろうと提案している Pineres にはスーパーがないので、その手前の町で食料を仕入れるんだと教えてくれる。ガイドブックを持たない私には貴重な情報だ。最初はカタリナと一緒に歩くが、そのうちカタリナがぐずぐずし出したので、何か思惑があるのかなと忖度し、私が先行しだしてからは一人旅になる。 -
海の側から山の中に入っていくと沼地の向こう岸に城のような教会のような目を引く建物があった。教会にしては仰々しいし、城にしては無防備だな。もしかして昔はこの沼が城の堀だったのか?
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次の町の後方にはまるで一枚岩かと思われるような巨大な石の山が見えてきて、圧倒的な存在感を放っている。スペインって石の文化の国だからあちこちに石が取れる山があるんだなぁと歩いていて思った。歩きなので鈍いから良い景色の場合は飽きるほど見ていられるのが利点だ。近くても見えている物が変わらないんだから、遠くの景色なんて何時間でも同じ景色の時がある。
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また海岸に出てから再度山の中に入って忙しい道だな。カタリナに教えてもらったとおり、目的の村のひとつ手前に Naves の町があった。ここで予ての予定どおり、カミーノ沿いにあったスーパーで食料を仕入れておく。缶ビール2、生ハム、オレンジ、パンにT字カミソリも買っておく、6,78ユーロ。店の前にベンチがあったので、ここで一杯やってしまおうと、生ハム肴に缶ビールを飲みだす。折角冷えた缶ビール買ったのに2km歩いているうちに温まってしまうしね。
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道路の反対側をマリナ母娘が通りかかったので「マリナッ」と声をかける。次の町のRibadesellaまで行くそうだ。ここからまだ8.9キロの距離だから、あと2時間か。マリナ達とはこれを最後に会うことはなかった。
今度はカタリナがやって来た。途中、カミーノを見失って1キロ迷ったそうだ。女性のソロが知らない外国で迷うのは相当なストレスだろう。食べ終わったところなので一緒に歩き出す。 -
いつものように矢印で舗装路から泥道に誘導されて歩いていたら、前には見覚えのある長い杖を持った女性が!やっぱりサントーニャの立派なアルベルゲで一緒の部屋だったアルバニアの女の子だった。でも、話を聞いているとアルバニアでなくてドイツらしいがハッキリしない。カタリナとドイツ語でお喋りしながら歩いていて、私達とおなじ Pineres に泊まることに決めたらしい。
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着いたアルベルゲは村から離れた所にポツンと一軒だけだった。どうりで周りには店がないと言う筈だよ。とても小さなアルベルゲで、敷地の奥には管理人の住居があって、そっちの方が一回り大きい。アルベルゲを副業で経営するために建てた専用の家のように見える。
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受付は2時半なので、みんなで外にあったベンチに座って30分待つ。奥さんがやって来て鍵を開けてくれたので入ってみたら二段ベッドが3台の、とてもこじんまりしたアルベルゲだった。定員6人は今までで一番小さなアルベルゲだ。私とカタリナは今度も下段を取ったが、女の子は下段が空いていても上のベッドを取ったので、前に二人だけの部屋になったときに下段があっても上のベッドにしたのは、私を警戒してのことではなかったんだと分かった。私は自意識過剰かな?
キッチンが使えるので一緒に歩いてきた二人にスパゲティとワインをシェアするかと確認して、2km離れたさっきのスーパーまで食料を買いに歩いていく。その途中、Pendueles で一緒だった74歳が通りかかったので立ち話をする。やはりマリナ達と同じリバデセージャまで歩くそうだ。この人はずっと手の震えが止まらない人で、会うといつも良く頑張って歩いているなぁと感心する。
町に向かって歩きながら大変なことに気がついた、いま3時前なのでシエスタ真っ最中だ。でも、ここまで歩いてきてしまったのでシエスタをやらないスーパーがあることを祈るしかない。果たして着いてみたら3軒ともしっかり入り口の扉は鍵をかけてシエスタやっていた。抜け駆けしないように協定でもあるんか。3軒もあるんだからローテーションで開けようって気にならないのかな。
5時まで開かないので、仕方なしに手ぶらでまた2キロ歩いて帰り、食事をシェアしようと誘った二人には残念ながらシエスタだったことを伝える。長い棒の女性はミリアムと言う名前なのが分かる。背が高いのに名前はミリアムか。アルベルゲには若い男性が増えていた。 -
夕方になったら可愛い女の子がチェックイン手続きしに来てくれる。お母さんのお手伝いをしているらしい。私営なので10ユーロ。とても可愛いので写真を撮らせてもらう。夕飯は食べるところもないので手持ちの物で済ますことにする。カタリナからパン・バターとアボガドを一切れもらい、何も持っていないミリアムには私のカステラパンを1つ上げる。来るときに寄ったスーパーで、もっと大袈裟に買い込んでおけば良かったな。
その後、若い男二人とミリアムが村まで買い物に行くと言うので誘われるが、もう2往復してうんざりなので行かない。8キロも余計に歩くことになってしまうよ。
歩き19日目 Pineres - La Isra -
5月31日(火)曇り。この小さなアルベルゲでは朝食が用意されていた。朝食付きで10ユーロなら私営としたら最安だ。食料が心許なかったので丁度良かった。有り難く頂こう。若者二人は朝から何か作っているようだが、私とカタリナはアルベルゲで用意してくれた物だけで簡単にすまそう。ミニカステラ、ビスケット、コーヒー、牛乳で腹を満たし7:45に一人で出発する。今日は26.5km先の La Isla を目指す。
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牧場の中なのか、牛が草を食べている所が巡礼路になっていた。これはどうみても私有地だろう。草原の中に歩いた跡がうっすらと道のようになっているが、こんなとこ歩いていいのかなぁ?牛を驚かさないように、そろりそろりと歩いて行く。
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山から次の町までは結構な距離があったが、気持ちのいい山道なので爽快な気分で歩くことが出来る。腰の方も段々と良くなってきたようで嬉しい。このまま全快してもらいたい。
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町に下りてきて長い橋を渡った先に格好の公園があったので靴を脱いで休んでいくことにする。こういう公園がそこかしこにあると気持ちよく休めて助かるのだがなぁ。
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スペインの農地には動物被害から守るための電柵がアチコチニ設置してある。余りに多いので本当に電気が通っているのか一度試してみたい気もするが、怖くてやったことがない。電柵は結構効き目があるらしい。
町を離れて山の中を歩いていたらどっかの年配男性巡礼と一緒になる。田舎道なのに分岐点の矢印があいまいで迷い易いところが2箇所もあったので、しばらくカミーノを探しながら一緒に歩く。途中の村にやって来たらこの男性は泊まることに決めたのか、良く分からないが別行動になった。こんな村にアルベルゲがあるなんてひとつも知らなかった。ガイドブックを持ってないとやっぱり情報不足だ。 -
また分かりづらい分岐点でどっちに行くのか考えていたらカタリナが追いついてきた。カタリナはスマホにカミーノのアプリを入れてるので、こういう時はすぐポケットからスマホを出して道を確認してくれる。自然とそこからは一緒に歩くようになる。もっとも、歩く方向が一緒で一本道なんだから「じゃ、また」なんて分かれる方が不自然だけど。
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Vegaの村に差し掛かったところでカタリナがコーヒーが飲みたいと言い出したら、偶然にも村の中の一般家庭(らしい)がコーヒーのサービスをしてくれていた。そこには年配の二人の男女がいて、入っていくと早速コーヒーをすすめてくれてクッキーも召し上がれと言っているらしい。二人とも揃っておでこに大きなコブがあるので、この辺りの水にでも何か問題があるのかと思ったが聞くわけには行かない。カフェコンレチェを大きなカップで入れてもらいスタンプも押してくれた。親切な村人に和風マリアカードを進呈する。この人に聞いたら目的の La Israまではまだ11キロあるそうだ。コインが沢山入っている皿に1ユーロずつ入れてグラシアスと言い残して出発する。
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海岸にでたところで、カタリナがビーチを歩きたいと言い出したので付き合う。山に囲まれたオーストリアには海がないので珍しいようだ。水着を持ってきているそうなので、いつか海で泳ぐつもりらしい。
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暫く砂浜を歩いて、さて巡礼路に戻ろうかという段になったらカタリナが迷いだした。道が分かって砂浜歩きを始めたんじゃないらしい。道でもない所を無理やり15分ほど上って行ったら何とか普通の道路に戻れる。調度そこへバックパックを背負ったペレグリノがやって来たのでカミーノと確認でき、カタリナは「私達カミーノに戻れたわ~っ」なんて喜ぶ真似をしておどけているが、その前に知らない道に入って行ってはいけません。
炎天下を歩き続け、大きめな町に入ったところでビールを飲もうということになって通りのバルに入る。ここのビールはカタリナがおごってくれた。ひとと歩くのは楽しいのだが、こういうのがちょっと煩わしいときもあるが流れにまかそう。この次は私がおごる番か。
海岸に出たところにアルベルゲがあったので、カタリナが「もう見つかった」と喜んでいるが、私は「これはムニチパル(公営)じゃないよ」と素通りする。そこへ昨日一緒のアルベルゲだったミリアムと、スペイン青年が追いついてきたので4人で公営アルベルゲを探すことになる。この男はいつもミリアム(割と美人)に熱い視線を送っているのが丸出しだった。どうやら惚れてしまったらしい。そのあとも見ていると、片時もミリアムの側を離れようとしないようだ。ミリアムが美人なので他の男が来ないように自分がいると主張しているのかな。 -
町の中に入ってぐねぐねと細い道を歩いて4:20 La Israのアルベルゲ到着。昨日も会っていた、手がぶるぶる震えるおじさんが椅子に座って待っていた。家からおばあさんが出てきて、この人がオスピタレラだった。受付をして5ユーロ払ったので、二階がアルベルゲになっているのかと階段を上がっていったら下でお婆さんが何やら大騒ぎを始めた。アルベルゲはここじゃなくて、離れたところだそうだ。ここは受付だけするところで、お婆さんの自宅だった。カタリナが大笑いしている。全員受付が終わったところで、お婆さんが本物のアルベルゲまで皆をゾロゾロ率いて案内してくれる。
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着いたアルベルゲは大きな建物で、一部屋に全員が寝るタイプだった。二段ベッドと平ベッドが同数置いてあり、私はもちろん平ベッドだ。シャワー洗濯したあと、日本から持ってきたペペロンチーノのインスタント粉末を使いたいので、カタリナに夕飯はシェアしようと提案する。スパゲティの材料などを仕入れにカタリナと村のスーパーを目指す。
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地元の人に教えてもらって離れたスーパー前にたどり着いたら数人のおっさんペレグリノが外のベンチでビールを飲んで楽しくやっていた。手がぶるぶるの人と、そのほかの人も顔見知りだった。一人が「フェリー」と言って来たので、サンタンデールへ渡る渡し舟乗り場で一緒になった人だと思い出す。その中の一人は白衣を着たスーパーの店員さんだった。暫しの間たのしい交歓会になってスーパーの人に写真撮影をお願いする。おっさん達はアルベルゲじゃなくて別のオスタルにチェックインしたらしく、別方向に散っていった。
缶ビールはハイネケンをカタリナの分も出してあげる。固形石鹸がちびてきたので買い足し、スパゲッティなど食料を6.2ユーロ買って帰る。 -
ここのアルベルゲのキッチンでは何人もの人たちが自炊を楽しんでいる。ポベーニャのバルで夕飯を一緒に食べたマルテンは一人で大量のパスタを大きめの鍋で黙々と作っている。あの量を一人で食べるのか?でも後で見てたら食べきれない分をほかの人にも食べさせているようだった。
スパゲッティを作るのは昨年のフランス人の道で人生初挑戦したが、それ以来日本でも作るようになった。今回もアルベルゲのキッチンで作ってみようと、インスタントのぺぺロンチーノを4人前持ってきたのがやっと役に立った。 -
買ってきたトマトを切って皿に盛り、チョリソーは袋を開けたままテーブルに並べる。ワインはカタリナが買ってくれた。多めに作ったスパゲッティだったが、カタリナと二人でペロリと平らげてしまう。百均で買ったペペロンチーノだったが好評で、日本で食べたときより美味しく感じた。
先に食べ終えたカタリナがインスタント・ペペロンチーノに入っていた鷹の爪のかけら十数個を皿の中に残していたので辛いのは苦手らしい。「辛いのダメなんだ?」と何となく言ってみたところ、「食べる?」と言いながら、私が返事をする間もなくフォークを使い全ての欠片を私のスパゲティの上に振りまいてしまったので密かにびっくりした。日本人は自分の食べ残しを人に上げるなんて、しかも食べている中に混ぜるなんて絶対にやらないことだろうが、こういうのも文化の違いと言うのだろうか、非常に面白いものを見せてもらった気がした。帰ったら何度も旅ネタとして使わせて貰えそうだ。食べさせてくれたお礼のつもりなのか、カタリナが「YOUと出会えて良かった」と嬉しいことを言ってくれる。 -
そろそろ北の道が二つのルートに分かれる地点まで近づいてきた。ここからなら二日後になるかな?北の道は分岐点から山に入って行きサンティアゴを目指すプリミティボの道と、このまま海の側を9日間歩き続けてから内陸に入ってサンティアゴへ向かうラコスタの道とに分かれる。さてどうするか。私としては北の道に来たんだから、このままずっと海沿いを歩きたい。取り合えず明日は Villavisiosa から1キロ入った Amandi のアルベルゲを目指すことにする。そこには新しくオープンした私営アルベルゲがあるという情報が入ったから。だが、Villavisiosa の町から北の道は分岐するのか、それとも Amandi から分岐するのかがハッキリしない。カタリナは Amandi が既にラコスタに入っていると思い込んでいるようだが、これもはっきりしない。これは確認する必要があるのでマップを見直してみたら Amandi はプリミティボの道に入っているらしい。カタリナに伝えたら、だったら1キロ戻るなんて言っているが、私は1キロでも戻りたくないぞ。手前のセブラド辺りで考えた方が良さそうだ。
こないだから顔見知りになった手がぶるぶる震える人はオランダ人でテオ74歳だった。体が大きく身長は180cm以上だろう。横にも大きいので重い体で歩くのは大変な気がする。歳も歳だし。同じくオランダのマルテンもラコスタを選ぶそうなので、道ずれが増えて嬉しい。カタリナのスマホによると、今日は32km歩いたらしい。炎天下で山坂有りの32㎞は大したもんだが、テオも同じ距離を74歳ぶるぶる震える手と重い体で歩いているので、テオの方がずっと凄いと思った。
マルテンもテオも身長が180cm以上はありそうだ。あとで気が付いたが、オランダって世界一の巨人国だと言うことだ。どおりで!
歩き20日目 La Isra - Amandi
6月1日(水)快晴。
とうとう6月になった。家を出発したのが5月9日なので、既に20日以上も遊び暮らしていることになるが、まだまだこの先2ヶ月も外国の空の下でウロウロ出来るので嬉しいような気が遠くなるような・・・。言葉がもっと分かればもっと気楽でいられて楽しめるのになぁといつも思う。 -
La Israのアルベルゲを8時に出発する。今日は朝からカタリナと一緒に歩き出す。カタリナは写真が好きなのが分かった。歩きながら頻繁にスマホを構えている。
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田舎道をだらだらと歩き、Colungaの町にあったスーパーマーケットでOIKOSのヨーグルトを2個買い(2個入り)、そこから少し歩いた所にあったバルのテラス席でカフェコンレチェを飲みながら食べる。同じアルベルゲに泊まっていたオランダのマルテン、スペイン、ドイツの3人が既に休んでいたので、彼らはカルテラ(舗装路)を歩いて来たようだ。我々より後から出発した筈なのに、ちゃんとここでは先に着いていたので。
マルテンが先に出発するときに、今晩の宿はアマンディだよねと確認してきた。昨晩、明日はアマンディの新しいアルベルゲに泊まるんだと皆で話していたのを覚えていたらしい。知り合いがアルベルゲでいっぱい集合すると楽しい。 -
その後もカタリナと二人でずーっと歩き続け、途中で他の人たちも加わって4,5人で歩いていると、山の木陰でマルテンが一人横になって寛いでいた。マルテン大丈夫か!?そんなことやってるとアルベルゲに着かないぞと皆で笑いながら通り過ぎる。嘘から出たマコトと言うのか、後でこの冗談が冗談でなくなる。
やっと Villaviciosa の町に入って来た。カンカン照りの中を歩き続けたので、二人して町に入ったら飲もうと楽しみにしていたビールを飲みに通りのバルに入る。私は大ジョッキでカタリナはグラス。これはカタリナが奢ってくれた。二人で店に入るといつも奢る奢られるを繰り返しているので、ちょっと面倒だな。次は私が奢る番か、ん、今回は私の番だったかな。
このビジャビシオサの町から巡礼路が分岐するのかと思っていたので、その表示があるかと注意しながら通りの両側を見ながら歩いているが、特にそういった表示は見当たらないようだ。どこから分岐するのか興味津々。分からないまま希望しないルートのプリミティボの道を歩き出してしまうのが一番困るので割と真剣だ。別の道を数キロ歩いてしまったら、もう戻る気にならないだろう。 -
そうこうしてる内に、2キロ歩いて次の町アマンディに入ってきた。みんなといるので出来たばかりというアルベルゲを簡単に見つけることができる。でも、新築じゃなくて古い家をリフォームしてアルベルゲにしたのが分かった。新しくアルベルゲとして登録しただけのようだ。ここは夕食、朝食、洗濯までしてくれてドナティーボと言うことだった。私営にしては珍しいかも。金儲けのためじゃなく、ペレグリノの為に作ったというのが容易に想像できる。サンティアゴ巡礼はこういう奇特な人のお陰で私たちが歩かせて貰っていることを忘れてはならないだろう。
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気が付かなかったが、カタリナは足の指にマメを作っていた。それを知った他の婦人ペレグリノが早速カミーノで噂の手当を始めてくれる。マメに針で穴をあけ中の水を出し、そこに糸を通したままにして湧いてくる水を外に出すという治療法だ。なんか痛そうだけどそうでもないのかな?糸の端同士を結わえて糸が抜けないようにしているようだ。すっごい原始的に見えるが、これが早く治って効果的らしい。糸は消毒してあるんだよね?
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シャワー洗濯して洗濯物は小さな中庭にロープが張ってあったので干させてもらう。そこに一緒に歩いたスペイン人カップルがいたので適当なスペイン語でお喋りをする。こういうときに私が良く使うフレーズは「カミーノのためにスペイン語を習ったが、スペイン語は少ししか喋れない」だ。日本人が喋るスペイン語はカタカナ発音でばっちり届く。でも、スペイン人の喋るスペイン語は早口でほぼ分からないので「ノエンディエンド(理解できない)」の連発になる。
道を聞く時のなんちゃってテクニックも紹介する。スペイン人は早口なので、その中から右・左・まっすぐと言う単語を見つけるとグラシアスと言ってから次の地点まで行き、そこで同じことを質問、またそこから右・左の単語を拾って次の地点まで行く。これを繰り返すと目的の場所へ行けるんだと、身振り手振りを交えてと言うか、このうち半分は身振り手振りだ。でもちゃんと伝わって必ず受ける。
音声だけの電話じゃこうは行かないし、機械相手の券売機なんかはアウトだ。身振り手振りは国境を越えて伝わり、しかも勉強不要で誰でも使えるから素晴らしい。世界共通の身振り手振りが開発されたら外国語が話せなくても気楽に海外へ行けるようになるかも知れない。
暫くしてからマルテンがやってきたが、既にベッドに空きはなかった。だからあんな所で昼寝してるんじゃないよと、みんなから言われていたようだった。オーナーから Villaviciosa の町に行けばアルベルゲがあるよと教えてもらって、また2キロを戻っていった。その前に自転車ペレグリノが3人もチェックインしてたのが原因だが、良く聞く話ではアルベルゲは徒歩のペレグリノ優先で、自転車巡礼は夕方にならないとチェックインできない決まりがあるそうだが、私営じゃそれは適用されないようだ。
やっぱり今回のように、歩きの巡礼が次のアルベルゲまで行くには30分必要としても、自転車なら5分で行けるだろう。可愛そうマルテン。でも後で逢ったときに聞いたら、ちゃんとアルベルゲに泊まれたと言っていた。
カタリナが上をワンピースの水着になっている。海もプールもないのになんで?洗濯しちゃって着るものがないのかな。そしたら大きく開いた背中にはお洒落なタトゥーが入っていたので褒めたら誇らしそうにしている。欧米人はタトゥーを気楽に入れている。中には度を越した汚らしいのもあるが、カタリナのは本当にお洒落だった。
ここは町から離れているので近くにスーパーがない。ビールが飲めないと言ってたら、それを耳にしたオーナーが缶ビールを出してきてくれる。幾ら?と聞いたらいらないそうだ。そんなんで経営が成り立つのかと心配になる。 -
ここの息子が日本に非常に興味を持っていて、私のところにやって来てあれこれ質問攻めにあう。日本語も勉強していて少しだけ話せるし、英語は私よりずっと喋れるので、まだ15才なのにたいしたものだ。私は子供の頃から興味のない勉強には見向きもしなかったので、60才を過ぎてから必要に駆られて英語を勉強しだしたので相変わらず単語を並べる程度のカタカナ英語だ。許されるなら今から中学校の英語授業に参加してイチから勉強し直したいと本当に思う。光陰矢のごとしとは私のことだ。
少年は四国の遍路に行きたいそうだ。言葉が通じないところは互いにGoogleの翻訳を使ってコミュニケーションする。少年はスマホ、私はタブレットを持っている。日本は物価が高く、四国の人は巡礼に優しいことなどを伝えてあげる。行くための資金を作るために倹約していることを翻訳を使って伝えてくれるので本気の本気のようだ。四国遍路に憧れていると言うことに共感したので、私がバックパックに下げている中で一番大きなカラビナをプレゼントする。
日本の漫画も良く知っていて、ナルトや亀仙人も知っていたので変な所で盛り上がる。2歳の可愛い甥っ子もやって来たので写真を撮らせてもらう。4歳くらいに見えたけど、2歳ってこんなに育ってたんだ!? -
夕食は全員がひとつの長いテーブルを囲み、オーナーと息子も一緒になって食べるスタイルだった。オーナーは外国人の中に息子を同席させることで何かを教えたいのかなと思った。取りあえず英語の習得には持って来いの環境だな。
料理は、この前のアルベルゲで作ってくれたのと同じ、どろどろスープにサラダ。メインは何だったか忘れてしまった。サラダは大皿を自分の小皿に取り分けるのじゃなくて、みんなで突っついて食べるスタイルで、とても自由だった。最後にカップのヨーグルトが出てきた。モチロン、スペインではパンとワインは必ず付く。みんなで食べる食事は盛り上がっていつも楽しい。 -
毎日こういう生活をしていて、経営もそれなりに成り立てばこんな楽しい商売はないだろうなと思う。でも、シーズンオフになると一日経っても巡礼が一人もやって来ない日もあるかも知れない。副業でやってるのでなければ成り立たないのは想像できる。親切なアルベルゲなので是非とも頑張って続けてもらいたい。
日本びいきの少年が、自宅からルービック・キューブを持ってきて、私にぐちゃぐちゃにしろと言っている。へー、この子はテレビで見るようなルービック・キューブ技が出来るんだと思いながらぐちゃぐちゃにして渡すと、キューブをグルリと見渡しながら作戦を立てて、一気にぐるぐる回し始めて最後にはちゃんと全面同じ色に合わせて見せたので周りから拍手喝采が起きた。テレビでは何度か見たことあるが、目の前で見たのは初めてだった。賞賛されて少年もオーナーの父親も満足げな表情だった。私は1面を合わせることしか出来ないので教えてもらいたいところだが、それにはスペイン語が必要だろう。
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